JP4921681B2 - 予防薬剤 - Google Patents

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【0001】
本発明は、ブドウ種子の搾汁液より得られる抽出物として得られ、該抽出物中にフラバノールないしプロアントシアニジンを有効成分として含有する血糖もしくは血圧の上昇を抑制するための予防薬剤に関する。
【0002】
今日、欧米先進国を中心として糖尿病や高血圧症などの生活習慣病が蔓延しつつあり、日本国も例外ではなく、食環境の欧米化に伴う生活習慣病の急増が顕在化している。その結果、悪性腫瘍、および脳や心臓の循環器障害が死亡原因となる例が近年増加傾向にある。
しかるに、従来の糖尿病や高血圧症の治療効果の高い医療用医薬品は、一般的に副作用が強いうえに多剤服用による重複毒性の問題などが存在するため、長期間にわたる使用には適していない。
本発明は、このような従来の問題点を解決すべく案出されたものであり、その主な目的は、生活習慣病の中核を占める糖尿病もしくは高血圧症の進行を安全に抑制することのできる薬剤または機能性食品を提供することにある。
【0003】
ところで、プロアントシアニジンは、各種植物体中に存在する縮合型タンニンであり、フラバン−3−オールまたはフラバン−3,4−ジオール(フラバノール)を構成単位として縮合もしくは重合により結合した化合物群であり、これらは酸処理によりシアニジン、デルフィニジン、ペラルゴニジン等のアントシアニジンを生成するところから、この名称が与えられているものである。そして上記構成単位の2量体、3量体、4量体さらに10〜100量体以上の高分子のプロシアニジン、プロデルフィニジン、プロペラルゴニジン等のプロアントシアニジンおよびそれらの立体異性体、それらの没食子酸エステル等を含むものであり、分子量にして約600〜500000と非常に幅広い分子量分布を持った化合物群である。
これらのプロアントシアニジンは、リンゴ、ブドウ種子、果実、果皮等の抽出物として得られ、リンゴ由来のものは活性酸素除去、抗菌、抗う触、血圧上昇の抑制、コレステロール低下、抗アレルギー等の効能効果、ブドウ種子由来のものは、酸化的ストレス抑制、動脈硬化抑制、胃潰瘍抑制、白内障抑制、運動時酸化ストレス抑制(臨床)等の効能効果については、明らかにされていたが、ブドウ種子由来のものは血糖値の上昇の抑制作用と血圧の上昇の抑制作用については全く明らかとなっていなかった。
【0004】
本発明の課題は、以上の非常に幅広い分子量分布を持ったフラバノールないしプロアントシアニジンのうち、特定の分子量分画と安全性の高いプロアントシアニジンを利用し、より有効な血糖もしくは血圧の上昇を抑制するための予防薬剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記した課題を解決するため、鋭意研究を行った結果、ブドウ種子の搾汁液より得られる抽出物として得られ、該抽出物中に35重量%以上フラバノールとして含有される成分、好ましくは前記抽出物中に30重量%以上プロアントシアニジンとして含有される成分、より好ましくは前記幅広い分子量分画を持ったプロアントシアニジンの内、分子量3000以上、さらに言えば分子量3000以上10000以下のプロアントシアニジンに、前記した血糖もしくは血圧の上昇を抑制する効能効果があることを明らかにした。
【0006】
本発明のフラバノールないしプロアントシアニジンを含有する薬剤または機能性食品は、インスリン依存性糖尿病、およびインスリン非依存性糖尿病からなる群から選択される血糖上昇を伴う疾患などの予防、改善、或いは治療に用いることができる。また同薬剤または機能性食品は、本態性高血圧症並びに腎性高血圧症などの二次高血圧症、および境界型高血圧症からなる群から選択される血圧上昇を伴う疾患などの予防、改善、或いは治療にも有効である。
【0007】
そして、このフラバノールないしプロアントシアニジンを有効成分として含有させれば、血糖もしくは血圧の上昇を抑制するための薬剤として有用であることを見出し、これらの知見に基づき本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は幅広い分子量分画を持ったプロアントシアニジンの内、分子量3000以上、さらに言えば分子量3000以上10000以下のプロアントシアニジンである。本発明のプロアントシアニジンの構造は
【化1】
Figure 0004921681
の通り、C4−C8結合型プロアントシアニジンである。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の対象となるフラバノールないしプロアントシアニジンは、ブドウ種子から水あるいは有機溶媒もしくはその混合溶媒で抽出して得られるフラバノールないしプロアントシアニジンを含有する抽出液の濃縮液、あるいは濃縮液を乾燥、粉末化した粉体等であって、これらの濃縮液、粉体等中に35重量%以上フラバノールないし30重量%以上プロアントシアニジンとして含有するものが好ましい。またこのプロアントシアニジン製剤の分子量分画はその有効性の観点から、分子量3000以上、さらに言えば分子量3000以上10000以下のプロアントシアニジン分画を多く含む製剤が好ましい。
【0009】
この様な分子量分画を多く含む原料としては、特にブドウ種子が挙げられる。このため、ブドウ種子抽出物は、最も経済的なプロアントシアニジン源であり、かつ本発明の有効成分として非常に有用である。また、ブドウ種子を起源としたプロアントシアニジンはその没食子酸エステルが多く含まれている。
【0010】
本発明のブドウ種子の搾汁液より得られる抽出物として得られるフラバノールないしプロアントシアニジンを含む有効成分の精製は、公知のいかなる方法を用いて精製を行っても良いが、
▲1▼例えばブドウ種子を上記のように水−エタノールの混合溶媒を用いる事により高純度のプロアントシアニジン製剤を得ることができる(特開平3−200781号、特開平11−80148号参照)。
▲2▼また▲1▼の様にして得たプロアントシアニジン製剤をさらに精製し、分子量3000以上、さらに分子量3000以上10000以下のプロアントシアニジン分画を多く含む製剤を得るために、例えば、HP20等の合成樹脂を用いたクロマトグラフ法 [J. Sci. Food Agric., 251537〜1545(1974)]、または酢酸エチル等の有機溶媒にて不要な分画を除く溶媒抽出除去法(特開平11−335369参照)、または分子量分画膜を用いた膜分離法(特公平6−31208参照)等を用いることにより、効率的に目的の分子量分画を有するプロアントシアニジン製剤を得ることができる。
【0011】
この様なプロアントシアニジン製剤としては、上記の方法にて調整したものの他、市販品を使用しても良い。プロアントシアニジンを主成分とし且つ分子量3000以上10000以下のプロアントシアニジン分画を多く含む市販品としては、例えば、キッコーマン社製「グラヴィノール(登録商標)」、「グラヴィノールスーパー(登録商標)」等があげられる。
【0012】
(本発明の血糖もしくは血圧の上昇を抑制するための薬剤の製剤法および投与法について)
本発明による薬剤を医薬品として用いる際には、予防や治療に有効な量のプロアントシアニジンが製薬学的に許容できる担体または希釈剤と共に製薬化されると良い。
本発明の薬剤の形状は特に限定されない。従って、該薬剤は、例えば、プロアントシアニジンを含有するブドウ種子を由来とする溶液状または粉末状の粗精製物・精製物であればよい。ただし、薬剤としての操作性、あるいは生体に投与された際の吸収性等を向上させるためには、上記のプロアントシアニジンを、常法に従って適当な医薬品用担体または希釈剤と組合せて製剤化することが好ましい。その他にも、結合剤、吸収促進剤、滑沢剤、乳化剤、界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤、着色剤、香料、甘味料などを添加しても良い。
【0013】
医薬製剤の剤型としては、顆粒剤、細粒剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、噴霧剤、溶液剤、懸濁液剤、軟膏、ゲル剤、ペースト剤、クリーム剤などを挙げることができ、その投与経路としては、経口、静脈内、筋肉内、皮下、関節内など、種々の投与経路を挙げることができる。また、有効成分の投与量および投与頻度は、病状、年齢、性別、投与経路などに応じて適宜に変更することができる。
【0014】
さらに詳述すれば、本発明の薬剤は、例えば経口投与剤としては、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、細粒剤、シロップ剤、ドライシロップ剤等が例示される。また、非経口投与剤としては、軟膏、経皮吸収性テープ等の経皮吸収剤、注射剤、坐薬、膣坐薬、噴霧剤等の経鼻投与剤、が例示できる。上記の剤の人に対する投与量は、患者の年齢、症状等により適宜増減すればよい。
【0015】
例えば、有効成分であるプロアントシアニジンの合計として、通常成人1日当たり50〜1000mg、好ましくは100〜400mgを1〜3回に分けて経口または非経口で投与すればよい。
このような医薬製剤において、有効成分であるプロアントシアニジンの担体成分または希釈剤に対する配合割合は、担体成分または希釈液100重量部に対して、5から50重量部あり、特に10から30重量部の範囲が好ましい。
【0016】
(本発明の血糖もしくは血圧の上昇を抑制するための薬剤含有する機能性食品について)
本発明によるプロアントシアニジンを含有する薬剤は、飲食品に添加して機能性食品として使用することができる。この機能性食品は、栄養素を1種以上含む天然物およびその加工物を指し、菓子類、清涼飲料など、あらゆる飲食物に適用可能である。
これらの機能性食品は、血糖もしくは血圧の上昇を予防または緩和するために摂食することもできる。
上記食品を製造する場合は、例えば、プロアントシアニジンの粗精製物あるいは精製物を、任意の食品、例えば、菓子、パン、牛乳、各種飲料、うどん、そば、パスタ、米飯、調味料、香辛料、惣菜、油脂含有食品、酒類、清涼飲料に添加すればよい。なお、上記食品は、プロアントシアニジンの粗精製物あるいは精製物を主成分とし、必要により賦形剤等を含む、粉末状、錠剤型あるいはカプセル型の食品であってもよい。そのような食品としては、市販品、例えば、キッコーマン社製「ヴィノパワー(登録商標)」、「ヴィノプロテイン(登録商標)」、「はつらつ物語(登録商標)」が挙げられる。なお、上記食品の配合原料として、他の血糖もしくは血圧の上昇を抑制するための薬剤を併用することもできる。
【0017】
【実施例】
以下に、実験例、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお実験例、実施例におけるプロアントシアニジンの定性、定量は下記の通り行った。
本発明で精製したプロアントシアニジン(以下、本品)の外観は、淡褐色〜褐色の粉末で、収斂性があった。
(確認試験)
1)本品0.01gをとり希エタノール10mlを加えて溶かし、塩化第二鉄試液1〜2滴を加えるとき液は濃緑色〜緑褐色を呈した。
2)本品0.1gをとり希エタノール10mlを加えて溶かし、濃塩酸1mlを加え水浴上で加熱するとき液は赤色を呈した。
(純度試験)
1)溶状:本品0.1gをとり水10mlを加え溶かすとき液はほとんど澄明であった。
2)重金属:20μg/g以下(1.0g、第2法、比較液 鉛標準液2.0ml)であった。
3)ヒ素:4μg/g以下(0.25g、第3法)であった。
灰分は5.0%以下(1g)、乾燥減量は6.0%以下(1g、105℃、3時間)であった。
(定量試験)プロアントシアニジン含量(フラバノールとして)
A)検量線
(+)カテキン標準品(栗田工業)約1、2、3、5mgをそれぞれ精密に量りメタノールを加え溶かし正確に10mlとした。この液それぞれ0.5mlを褐色試験管に正確にとり、バニリン−メタノール溶液(4→100)3.0mlを正確に加え直ちにフタをし10秒間攪拌した後、濃塩酸1.5mlを正確に加え直ちにフタをし18−22℃で15分間放置した。この液につき水を対照としてそれぞれの500nmにおける吸光度(ABS−CAL)を測定した。
空試験としてカテキン標準品溶液の代わりに水0.5mlを用い以下同様の操作を行いその吸光度(ABS−B)を測定し、(ABS−CAL)−(ABS−B)にて補正し検量線を作成した。
B)定量
本品20−30mgを精密に量りメタノールを加え溶かし正確に100mlとした。この液0.5mlを褐色試験管に正確にとりバニリン−メタノール溶液(4→100)3.0mlを正確に加え直ちにフタをし10秒間攪拌した後、濃塩酸1.5mlを正確に加え直ちにフタをし18−22℃で15分間放置した。この液につき水を対照としてそれぞれの500nmにおける吸光度(ABS−S)を測定した。
サンプル中に存在するアントシアニジンを差引補正するための補正試験として上記定量試験においてバニリン−メタノール溶液の代わりにメタノールを用いて以下同様に試験を行い水を対照として500nmにおける吸光度(ABS−C)を測定した。
(ABS−S)−(ABS−B)−(ABS−C)の値から検量線を用いて全フラバノールとしてのプロアントシアニジン量を(+)カテキンとして算出し乾燥減量換算して含量を求めた。本品はプロアントシアニジン含量(フラバノールとして)が80重量%以上であった。
なお一般生菌数は1000個/g以下、大腸菌群は陰性であった。
【0018】
実験例1
本発明のフラバノールないしプロアントシアニジンとして、これらを主成分とするブドウ種子抽出物を、以下の方法により調製した。得られたブドウ種子抽出物を使用して、実験例2以下の試験を行なった。
▲1▼ブドウ種子(Vitis vinifera)20重量部に30%(v/v)エタノール80重量部を加え、室温で時々撹拌しながら2週間抽出した。
▲2▼▲1▼の抽出液を濾過して粗抽出液を得た。これを1/10量まで減圧濃縮し、得られた濃縮液にエタノールを5倍量加え、再び濾過した。
▲3▼▲2▼の濾液を減圧濃縮した後に分子量分画膜(分画分子量:MW=3000)を用いて限外濾過を行ない、得られた液をそれぞれ凍結乾燥をし、高分子分画をGSE−H及び低分子分画をGSE−Lとした。
▲4▼▲3▼の分画品であるGSE−L及びGSE−Hの分子量は薄層クロマトグラフィー、GPC分析、NMR分析、質量分析から総合的に判断しGSE−Lは分子量約300〜3000の混合品及びGSE−Hは分子量3000〜10000の混合品であると推定され、いずれの分画もプロアントシアニジン没食子酸エステルが含まれていることが明らかとなった。なお、得られたブドウ種子抽出物の分析値は次の通りであった。
GSE−L(フラバノール含量95%、プロアントシアニジン含量70%)
GSE−H(フラバノール含量96%、プロアントシアニジン含量96%)
【0019】
実験例2
(自然発症糖尿病マウスにおける薬剤の血糖降下試験)
I.材料と方法
供試動物として、マウス種、KKAy系統、オス、開始週齢(入荷時指定週齢)は8週齢、微生物グレードはSPF、ブリーダーは(株)ファブを使用した。(施設環境)飼育環境は、設定温湿度:24±1℃、55±5%、空調設備:All Air Fresh方式、照明時間:12時間自動点灯・消灯方式(8:00a.m.〜8:00p.m.点灯)、飼育設備:プラスチック製ケージ、飼料:固型飼料CE−2(日本クレア(株))を自由摂取、給水:蒸留水を自由摂取(給水瓶を使用)で設定した。
実験室環境は設定温湿度:24±1℃、55±5%とした。
血糖測定機は、グルコカードTHGT−1640小型血糖測定機(アベンティスファーマ(株))を使用した。
薬剤は、グラビノール(登録商標、キッコーマン社製、商品名:KPA40(登録商標))(40重量%以上フラバノール、38重量%以上プロアントシアニジンとして含有)を使用した。
試験群の設定(p.o.)は、Control群−6匹、グラビノール200mg/kg群−6匹で設定した。
試験の項目および方法は、次の通りおこなった。
1)体重、摂餌量測定−体重および摂餌量は毎日測定した。
2)試験対象物の調製および投与−試験対象物投与群は、200mg/kg濃度に調製し、胃ゾンテを用いて投与した。
3)血糖値測定−投与前、14、21、28日目に眼窩静脈叢より採血し、血糖測定機を用いて測定した。なお、測定は満腹時血糖を測定日の午前10時に、空腹時血糖を18時間絶食後、測定日翌日の午前10時に実施した。
4)解剖−28時間の血圧値測定後に、ネンブタール(40mg/kg)麻酔下にて開腹し、肉眼的観察を行った。
5)統計処理−試験結果は、平均値±標準誤差で表し、有意差検定はStudent's-t testを用いた。
【0020】
II .結果
試験対象物(グラビノール(以下、GR)、200mg/kg)の強制経口投与(連続28日間)による血糖降下作用の有無について、自然発症糖尿病モデルマウス1)(以下、KKAy)を用いて検討した。
投与期間中における体重の推移では、投与開始時より終了時まで、対照群(KKAy単独=Control)における体重増加に対して、GR投与群では対照群に比較し、弱いながらも体重増加の抑制が観察された(表1、図1参照)。一方、同期間中の摂餌量の推移では投与14日以降で微弱な増加が認められた(表2、図2参照)。なお表1と表2、図1と図2において、試験結果(測定値)は平均値±SEM(標準誤差)で表した。また*と**はControlに対する有意差を示す(*P<0.05、**P<0.01)。
【表1】
Figure 0004921681
【表2】
Figure 0004921681
GR投与による血糖降下作用の有無を検討する指標として、満腹時および空腹時血糖を測定した。投与開始時、投与14日目、投与21日目および28日目と、経時的変化を観察した。
その結果、対照群は試験期間中、常に高血糖状態を維持していたが、GR投与群では満腹時および空腹時の血糖値で、対照群に対して投与14日目以降で有意な血糖上昇の抑制を示した(表3、図3と図4参照)。なお表3、図3と図4において、試験結果(測定値)は平均値±SEM(標準誤差)で表した。また*と**はControlに対する有意差を示す(*P<0.05、**P<0.01)。試験終了後に実施した解剖所見では肉眼的観察で、GR投与群に比較して対照群で内臓脂肪量がやや多かった以外には差は認められなかった。
【表3】
Figure 0004921681
【0021】
本試験で用いた供試動物の自然発症糖尿病モデルマウス、KKAyは肥満と高インスリン血症を伴い、インスリン抵抗性が強いために高血糖を生じる肥満型のモデル動物である2)3)。以上の結果より、GR(200mg/kg、p.o. For28days)の連続投与によって糖尿病モデルマウス、KKAyの血糖(満腹時および空腹時)上昇に対する有意な抑制作用がみられ、投与期間中の体重推移では対照群に比較して増加抑制がみられ、摂餌量の推移では対照群との間に微弱ながら増加したことにより、抗肥満・血糖降下作用が確認された。
今後、糖負荷試験、血清のインスリン、コレステロール、トリグリセライド濃度などの検討を進めることで、作用機序の解明が必要となる。
[参考文献]
1)木村修一、家森幸男:疾患モデル動物−栄養学研究への応用−建帛社(東京)(1994)
2)小野信悦:Medical Pharmacy 24,131〜136(1990)
3)池田 衡:病体生理 13(1)、27〜33(1994)
【0022】
実験例3
(自然発症性高血圧ラットにおける薬剤の血圧降下試験)
I.材料と方法
供試動物として、ラット種、SHRSP/Izm系統、オス、開始週齢(入荷時指定週齢)は8週齢、微生物グレードはSPF、ブリーダーは(株)ファブを使用した。
(施設環境)飼育環境は、設定温湿度:24±1℃、55±5%、空調設備:All Air Fresh方式、照明時間:12時間自動点灯・消灯方式(8:00a.m.〜8:00p.m.点灯)、飼育設備:プラスチック製ケージ、飼料:固型飼料CE−2(日本クレア(株))を自由摂取、給水:蒸留水を自由摂取(給水瓶を使用)で設定した。
実験室環境は設定温湿度:24±1℃、55±5%とした。
血圧測定装置は、非観血式血圧測定装置((株)ソフトロン;BP−98A)を使用した。
薬剤は、グラビノール(登録商標、キッコーマン社製、商品名:KPA40(登録商標))(40重量%以上フラバノール、38重量%以上プロアントシアニジンとして含有)を使用した。
試験群の設定(p.o.)は、Control群−6匹、グラビノール200mg/kg群−6匹で設定した。
試験の項目および方法は、次の通りおこなった。
1)体重、摂餌量測定−体重および摂餌量は毎日測定した。
2)試験対象物の調製および投与−試験対象物投与群は、200mg/kg濃度に調製し、胃ゾンテを用いて投与した。
3)血圧測定−投与前、14、21、28日目に収縮期血圧を測定した。なお、測定はラットを38±1℃に保温したホルダーに固定し、Tail−cuff法によった。
4)解剖−28時間の血圧値測定後に、ネンブタール(40mg/kg)麻酔下にて開腹し、肉眼的観察を行った。
5)統計処理−試験結果は、平均値±標準誤差で表し、有意差検定はStudent's-t testを用いた。
【0023】
II .結果
試験対象物(グラビノール(以下、GR)、200mg/kg)の強制経口投与(連続28日間)による血圧降下作用の有無について、脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット1)(以下、SHRSP)を用いて検討した。
投与期間中における体重の推移では、投与開始時より終了時まで、対照群(SHRSP単独=Control)において体重の増加抑制を示したのに対して、GR投与群では弱いながらも体重増加が観察された(表4、図5参照)。一方、同期間中の摂餌量の推移では顕著な差異は認められなかった(表5、図6参照)。
【表4】
Figure 0004921681
【表5】
Figure 0004921681
GR投与による血圧降下作用の有無を検討する指標として、収縮期(最高)血圧測定を行い、投与開始時、投与14日目、21日目、及び28日目と、経時的変化を観察した。その結果、GR投与群は、対照群に対して投与21日目及び28日目で有意な血圧上昇の抑制作用を示した(表6、図7参照)。
また、試験終了後に実施した解剖所見では、肉眼的観察で両群間に差は認められなかった。
なお表4、表5、表6、図5、図6、図7において、試験結果(測定値)は平均値±SEM(標準誤差)で表した。また*と**はControlに対する有意差を示す(*P<0.05、**P<0.01)。
【表6】
Figure 0004921681
以上より、GR(200mg/kg、p.o.28日間)の連続投与によって、SHRSPラットの血圧上昇に対する有意な抑制作用がみられたが、投与期間中の体重及び摂餌量の推移には対照群との顕著な差はみられなかった。
[参考文献]
1)木村修一、家森幸男:疾患モデル動物−栄養学研究への応用−建帛社(東京)(1994)
【0024】
実施例1(医薬組成物:経口用錠剤)
配合原料:(1)GSE−H 30g(2)マンニット 100g(3)バレイショデンプン 23.5g(4)ステアリン酸マグネシウム 1.5g
上記(1)と(2)を混合し、これに(3)を5%デンプン糊として加え、粒状化し、これをNo.60メッシュ(B.S.)のふるいを通し、更にNo.16メッシュ(B.S.)のふるいで選別し、この粒子を(4)と混合した後、打錠機で直径10mm、1錠当りの重量が500mgの錠剤とし、本発明の血糖もしくは血圧の上昇を抑制するための薬剤(経口用錠剤)とした。
【0025】
実施例2(健康食品:カプセル剤)
GSE−H25g、バレイショデンプン25g、乳糖25g及び結晶セルロース5gをよく混和し、カプセルに充填し、1カプセル中に有効成分100mgを含有する、本発明の血糖もしくは血圧の上昇を抑制するための予防用カプセル剤とした。
前記実施例1、2ではフラバノールないしプロアントシアニジンを高濃度で含有するブドウ種子抽出物の分画品(GSE−H、フラバノール含量96%、プロアントシアニジン含量96%)を使用したが、少なくともフラバノール35ないし40重量%、プロアントシアニジン35ないし38重量%以上含有する低濃度のブドウ種子抽出物も前記実験例2で示したように血糖もしくは血圧の上昇を抑制するための薬剤ないし機能性食品として好適に使用することができる。
このような低濃度のブドウ種子抽出物を前記マンニット、バレイショデンプン、乳糖等と混合するときは、高濃度のブドウ種子抽出物よりも多めに添加する。また高濃度のブドウ種子抽出物を担体成分ないし希釈剤により低濃度に調整した後に添加しても良い。
いずれにしても薬剤ないし機能性食品へのブドウ種子抽出物の添加量はあくまでも純粋なフラバノールないしプロアントシアニジンの含有量を基準にして決定するのが良い。
【0026】
本発明に用いられるプロアントシアニジンは、幅広い分子量分画を持ったプロアントシアニジンの内、分子量3000以上、さらに言えば分子量3000以上10000以下のプロアントシアニジンは、血糖もしくは血圧の上昇を抑制するための予防薬剤として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】KKAyマウスの体重変化を示すグラフ
【図2】KKAyマウスの摂餌量の変化を示すグラフ
【図3】KKAyマウスの満腹時の血糖値の変化を示すグラフ
【図4】KKAyマウスの空腹時の血糖値の変化を示すグラフ
【図5】SHRSP/Izmラットの体重の変化を示すグラフ
【図6】SHRSP/Izmラットの摂餌量の変化を示すグラフ
【図7】SHRSP/Izmラットの収縮期(最高)血圧の変化を示すグラフ

Claims (3)

  1. ブドウ種子の搾汁液より得られる抽出物として得られ、
    当該抽出物中に30重量%以上の分子量3000以上から10000以下のプロアントシアニジンとして含有される有効成分を含み、
    当該有効成分であるプロアントシアニジンの含有量が、担体成分または希釈液100重量部に対して、5重量部から50重量部含み、
    インスリン依存性糖尿病またはインスリン非依存性糖尿病(糖尿病合弁症を除く)から選択される血糖上昇を伴う疾患の予防、並びに
    本態性高血圧症もしくは腎性高血圧症の二次高血圧症、または境界型高血圧症から選択される血圧上昇を伴う疾患の予防に使用される、ことを特徴とする予防薬剤。
  2. プロアントシアニジンが没食子酸エステル型である、ことを特徴とする請求項1に記載の予防薬剤。
  3. プロアントシアニジンが請求項1記載の前記抽出物から精製したものである、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の予防薬剤。
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