JP2010254594A - 腸内バクテロイデス増殖促進剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】多糖類および糖吸収抑制物質の少なくとも1種を含有することを特徴とする腸内バクテロイデス増殖促進剤、これを含む食品または医薬品。
【選択図】なし
Description
近年の研究によりバクテロイデスは、免疫亢進作用が着目されている菌であり、従来から免疫賦活作用が指摘されてきた乳酸菌よりも強い免疫賦活機能を示すことが明らかになった。in vivoでもIgAや生体防御に関わるサイトカインの産生量を増加させることが明らかになっている。また、バクテロイデスは、肥満時には少なく、減量に伴って増加するという報告もなされており、全身への影響も指摘されている。
しかしながら、フラクトオリゴ糖摂取により効果を出すには多量摂取が必要であり、食事や機能性食品を通じて摂取するには身体的負担がある。また、その効果も十分とは言い難い。そこで、他の経口物質への切り替えが考えられたがフラクトオリゴ糖以外にはどのような経口物質がバクテロイデス増殖促進効果を示すかは不明であった。
したがって、身体的負担のかからない摂取量で、十分な効果を示す経口物質が望まれていた。
本発明は、具体的には下記構成よりなる。
イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖、食物繊維および糖吸収抑制物質の少なくとも1種を含有することを特徴とする腸内バクテロイデス増殖促進剤。
<2>
食物繊維が難消化性デキストリンから選択される少なくとも1種であることを特徴とする上記<1>に記載の腸内バクテロイデス増殖促進剤。
<3>
糖吸収抑制物質が、α−グルコシダーゼ活性阻害物質であることを特徴とする上記<1>または<2>に記載の腸内バクテロイデス増殖促進剤。
<4>
糖吸収抑制物質が、サラシア属植物、桑葉、ギムネマ、およびこれらの抽出物から選択される少なくとも1種以上を含有することを特徴とする上記<1>〜<3>のいずれかに記載の腸内バクテロイデス増殖促進剤。
<5>
糖吸収抑制物質が、10μg/ml〜10000μg/mlのスクラーゼの50%阻害濃度(IC50値)活性を示すことを特徴とする、上記<1>〜<4>のいずれかに記載の腸内バクテロイデス増殖促進剤。
<6>
サラシア属植物が、サラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)、サラシア・オブロンガ(Salacia oblonga)、サラシア・キネンシス(Salacia chinensis)から選ばれる少なくとも1種の植物であることを特徴とする上記<4>または<5>に記載の腸内バクテロイデス増殖促進剤。
<7>
上記<1>〜<6>のいずれかに記載の腸内バクテロイデス増殖促進剤を含有する食品、または医薬品。
本発明の腸内バクテロイデス増殖促進剤は、腸内に生息するバクテロイデス門(Bacteroidetes)の細菌を増殖させる作用を有するため、本剤を服用することで腸内細菌叢に占めるバクテロイデス門(Bacteroidetes)に属する細菌を増加させることができるものである。
イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖及びマンナンオリゴ糖としては、構成単糖の数が、通常2〜90のものが挙げられ、好ましくは2〜40、より好ましくは2〜20、更に好ましくは4〜6のものが挙げられる。
食物繊維としては、水溶性のものでも不溶性のものでもよく、デキストリン、グルコマンナン、アガロース、ペクチン、セルロース、ヘミセルロース、キトサン等が挙げられるが、難消化性デキストリンがより好ましい。
腸内バクテロイデス増殖促進剤がイソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖、食物繊維を含有する場合、その使用量は、1日量・体重1kgあたり好ましくは1.5mg〜170mgであり、より好ましくは1.5mg〜150mg、さらに好ましくは3mg〜130mgである。
尚、腸内バクテロイデス増殖促進剤は、通常の食事前に摂取することが好ましく、一日3回毎食前に摂取することが好ましい。
糖吸収抑制物質は、糖が腸に吸収されるのを抑制する作用を有する物質である。
糖吸収抑制物質は、α-グルコシダーゼ活性阻害物質であることが好ましい。
サンプル溶液の準備:チューブに2mgのサンプル(α-グルコシダーゼ活性阻害物質)を量り取り、水2mLを加えてよく懸濁し、1mg/mL濃度のサンプル溶液を作成する。これをそれぞれ0、50、100、250、500μg/mLとなるように水で希釈する。
基質液の準備:0.2Mマレイン酸バッファー(pH6.0)にスクロース濃度100mMとなるようにスクロースを溶解し、これを基質液とする。
粗酵素液の準備:10mLの生理食塩水に1gのintestinal acetone powder rat(SIGMA社製)を懸濁した後、遠心分離(3,000rpm,4℃,5min)した。得られた上清を分離し、粗酵素液とする。
前述の各濃度のサンプル溶液500μLに対し、基質液400μLを添加し、水浴中37℃にて5分間予備加温した。ここにそれぞれ、粗酵素液を100μL添加し、37℃にて60分間反応させた。反応終了後、95℃にて2分間加温することで酵素を失活させて反応を停止させた。生成したグルコース濃度を市販のキット・ムタロターゼ・グルコースオキシダーゼ法(グルコースCIIテストワコー、和光純薬工業(株))を使用して定量を行う。
ブランクの準備:前述の各濃度のサンプル溶液250μLに対し、基質液200μL、粗酵素液50μLを添加し、直ちに95℃にて2分間加温することで酵素を熱失活させ、ブランクデータとする。
得られた値より検量線を作成し、酵素活性を50%阻害する濃度(IC50値)を求める。
腸内バクテロイデス増殖促進剤全体としてのIC50値は、式2で求められる値として、0.1〜7.5が好ましく、0.15〜4.50がより好ましく、0.3〜3.75が特に好ましい。
腸内バクテロイデス増殖促進剤1日摂取量中のα-グルコシダーゼ活性阻害物質mg)/IC50値(μg/ml)
[式2]
腸内バクテロイデス増殖促進剤(mg)/IC50値(μg/ml)
糖吸収抑制物質は、サラシア属植物であることがより好ましい。サラシア属植物は通常、粉砕物または抽出物として含有する。
サラシア属植物とは、主としてスリランカやインドや東南アジア地域に自生するニシキギ科の植物で、より具体的にはサラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)、サラシア・オブロンガ(Salacia oblonga)、サラシア・プリノイデス(Salacia prinoides)、サラシア・キネンシス(Salacia chinensis)、サラシア・ラティフォリア(Salacia latifolia)、サラシア・ブルノニアーナ(Salacia burunoniana)、サラシア・グランディフローラ(Salacia grandiflora)、サラシア・マクロスペルマ(Salacia macrosperma)から選ばれる1種類以上の植物が用いられ、サラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)、サラシア・オブロンガ(Salacia oblonga)、サラシア・キネンシス(Salacia chinensis)から選ばれる少なくとも1種の植物であることが好ましい。
サラシア属植物の粉砕物または抽出物とは、根、幹、葉、花、果実など可食部の粉砕物、乾燥物、抽出物またはその乾燥粉末(エキス末)などを意味する。1種類以上の部位を混合して使用しても良い。より好ましくは根、幹から抽出したエキス末が用いられる。
乾燥方法は噴霧乾燥、凍結乾燥などが挙げられるが、これに限られるものではない。
本発明の腸内バクテロイデス増殖促進剤は、更に他の成分を含有していてもよく、例えば、乳酸菌、ミネラル酵母、フラボノイドやポリフェノール等や、免疫賦活作用を有する経口物質を含有していてもよい。
腸内バクテロイデス増殖促進剤がこれらの成分を含有する場合、その含有量は、腸内バクテロイデス増殖促進剤が固体の場合、腸内バクテロイデス増殖促進剤全体に対して0.1質量%〜30質量%であることが好ましく、5質量%〜20質量%であることがより好ましい。腸内バクテロイデス増殖促進剤が液体の場合、腸内バクテロイデス増殖促進剤全体に対して0.001質量%〜10質量%であることが好ましく、0.01質量%〜5質量%であることがより好ましい。
クロム酵母のクロム含有量は、クロム酵母100質量部に対し、0.01〜5質量部が好ましく、0.05〜1質量部がより好ましく、0.1〜0.3質量部が特に好ましい。
腸内バクテロイデス増殖促進剤中のクロム酵母含有量は、腸内バクテロイデス増殖促進剤質量部に対し、3〜5質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましく、0.5〜50質量部が特に好ましい。
1日の摂取量または目安摂取量を設定する場合、腸内バクテロイデス増殖促進剤1日量中のクロム酵母量として、5〜500mgが好ましく、10〜100mgがより好ましく、30〜50mgが特に好ましい。腸内バクテロイデス増殖促進剤1日量中のクロムの量としては、20〜200μgが好ましく、40〜150μgがより好ましく、60〜100μgが特に好ましい。
本発明において、フラボノイドとは、植物に広く含まれる色素成分の総称で、特に、野菜や果実に多く含まれるフラバン誘導体を意味する。
フラボノイドは体内に摂取される物質であるが、一般に吸収しにくい。しかしながら、フラボノイドは少量でも有効であり、強力な抗酸化物質であるため、発ガン物質の活性を抑制したり、血行促進作用や抗血栓作用があることが知られている。
カテキン類を含む茶抽出物は、ツバキ科の常緑樹である茶の木より作製する。茶の木は、インドやスリランカ、東南アジアで栽培されているアッサミカと中国や日本で栽培されているカメリア・シネンシスのどちらも用いられる。抽出には、通常、好ましくは水、アルコール、含水アルコールを用いる。より好ましくは、抽出溶媒として熱水もしくはエタノールあるいは含水エタノールを用いる。前記含水アルコールのアルコール濃度は、30〜90質量%、好ましくは40〜70質量%の濃度のものを使用すればよい。乾燥方法は噴霧乾燥、凍結乾燥などが挙げられるが、これに限られるものではない。
本発明の腸内バクテロイデス増殖促進剤は、該茶抽出物を、0.1〜40質量%含有することが好ましく、0.5〜35質量%含有することが更に好ましく、1.0〜30質量%含有することが特に好ましい。
本発明は、該フラボノール類を成分として含む、ブドウエキスまたはブドウ酒濃縮物を含有することが好ましい。
本発明の腸内バクテロイデス増殖促進剤は、ブドウ抽出物を、0.1〜30質量%含有することが好ましく、0.1〜10質量%を含有することが更に好ましい。
また、本発明の腸内バクテロイデス増殖促進剤は、リパーゼ活性阻害効果を有するポリフェノール類を2〜80質量%含有することが好ましい。リパーゼ活性阻害効果を有するポリフェノールとしては、烏龍茶由来のもの、ブドウ由来のもの、リンゴ由来のもの、ライチ由来のもの、松樹皮由来のもの、カンカ由来のもの等が特に好ましい。
本発明の腸内バクテロイデス増殖促進剤はヒトを含む哺乳類を対象とし、該哺乳類に経口的に投与される。ここで腸内とは、ヒト小腸、ヒト大腸のようにバクテロイデスが常在して消化・吸収する消化器内を示す。
本発明の腸内バクテロイデス増殖促進剤は、食品(飲料を含む)、食品材料、医薬部外品、医薬品、医薬品材料、医薬部外品材料であってもよい。他の成分としては、経口投与剤として薬学的若しくは食品衛生上許容される各種の担体、例えば賦形剤、滑沢剤、安定剤、分散剤、結合剤、希釈剤、香味料、甘味料、風味剤、着色剤などを例示することができる。
本発明の腸内バクテロイデス増殖促進剤は、長期服用しても安全であり、副作用が少ない。
その他、イソマルトオリゴ糖は林原商事のパノラップ、ガラクトオリゴ糖は日新製糖のカップオリゴ、キトサン、ギムネマ、桑の葉エキスは株式会社クロスより入手したものを用いた。
これらの成分を、それぞれ注射用水で溶解し、10mg/mlの水溶液として投与した。
8週齢のオスのSDラットを7匹ずつ分け、以下の腸内バクテロイデス増殖促進剤を注射用水に溶解し、20mg/kg/dayとなる量を胃ゾンデを用いて1週間摂取させ、摂取前および摂取後における腸内細菌叢に占めるバクテロイデス門に属する細菌の割合をT−RFLP(Nagashima法)にて測定した。但し腸内バクテロイデス増殖促進剤は実施例1については半分量(10mg/kg/day)した。
前記非特許文献1によれば、フラクトオリゴ糖によりバクテロイデス増殖効果が得られているが、その量は本発明と比べて約90倍量を投与している。それに対して本願発明は少量でも同等の効果が得られており、簡便に摂取することができる。
なお、試験期間中各群間での体重は差が見られず、肝機能や腎機能などの異常についても見られなかった。
Claims (7)
- イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖、食物繊維および糖吸収抑制物質の少なくとも1種を含有することを特徴とする腸内バクテロイデス増殖促進剤。
- 食物繊維が難消化性デキストリンであることを特徴とする請求項1に記載の腸内バクテロイデス増殖促進剤。
- 糖吸収抑制物質が、α−グルコシダーゼ活性阻害物質であることを特徴とする請求項1または2に記載の腸内バクテロイデス増殖促進剤。
- 糖吸収抑制物質が、サラシア属植物、桑葉、ギムネマ、およびこれらの抽出物に含まれる成分から選択される少なくとも1種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の腸内バクテロイデス増殖促進剤。
- 糖吸収抑制物質が、10μg/ml〜10000μg/mlのスクラーゼの50%阻害濃度(IC50値)活性を示すことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の腸内バクテロイデス増殖促進剤。
- サラシア属植物が、サラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)、サラシア・オブロンガ(Salacia oblonga)、サラシア・キネンシス(Salacia chinensis)から選ばれる少なくとも1種の植物であることを特徴とする請求項4または5に記載の腸内バクテロイデス増殖促進剤。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の腸内バクテロイデス増殖促進剤を含有する食品、または医薬品。
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