JP2009196506A - 車体側部構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両の側面衝突荷重がドア内のインパクトビームの後端部からピラーに入力される際のピラーの断面変形を抑制することができる車体側部構造を提供する。
【解決手段】車両の側面衝突荷重がフロントサイドドア1内のインパクトビーム2の後端部2Bから入力されるセンターピラー4の下端部4A内の前部には、補強部材7によって車幅方向全域に亘る閉断面が形成されており、この閉断面の断面形状が車幅方向外側から内側に向かって前後幅が漸次拡大する前後幅の狭い等脚台形状に設定されている。このため、側面衝突荷重によるセンターピラー4の下端部4Aの断面変形が確実に抑制され、側面衝突荷重は、センターピラー4から車体の他の骨格部であるロッカやルーフサイドレールに分散して伝達されることとなり、車室の変形が抑制される。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両の側面衝突荷重を受けるインパクトビームがドア内に配設された車両に好適な車体側部構造に関するものである。
車両の側面衝突荷重を受けるインパクトビーム(あるいはドアビーム)が前後方向に沿ってドア内に配設された車両が従来一般に知られている。この種の車両の車体側部構造として、例えば特許文献1には、センタピラーの高さ方向の所定部位、すなわちサイドドア内に配設されたドアビームの後端部に対面する高さ位置に凸部を設けることにより、側突時の応力をセンタピラー全体に分散させるようにした車体側部構造が記載されている。
一方、センタピラーの変形を防止するようにした車体側部構造として、特許文献2には、フロントドアに配設されたウエストレインフォースと同じ高さ位置にてセンタピラーの前面部に補強部材を設けた車体側部構造が記載されている。
特開平9−254810号公報 特開平8−2438号公報
ところで、特許文献1に記載された車体側部構造を採用するには、センタピラーの断面形状を設計変更してその外面に凸部を形成する必要があり、また、センタピラーの外面に対面するサイドドアの後端部の断面形状も凸部と干渉しないように設計変更する必要がある。
このような設計変更を回避するには、特許文献2に記載された補強部材を特許文献1に記載された凸部の代わりにセンタピラーに設けることも考えられるが、この補強部材は、センタピラーの前面部に沿って設けられるものであるため、以下の問題がある。すなわち、インパクトビーム(あるいはドアビーム)の後端部からセンタピラーに側面衝突荷重が入力されると、補強部材がセンタピラーの前面部と共に座屈変形してしまい、その結果、側面衝突荷重をセンタピラーから他の骨格部材へ分散させることができなくなる虞がある。
そこで、本発明は、車両の側面衝突荷重がドア内のインパクトビームの後端部からピラーに入力される際のピラーの断面変形を抑制することができる車体側部構造を提供することを課題とする。
本発明に係る車体側部構造は、車両の側面衝突荷重を受けるインパクトビームが前後方向に沿ってドア内に配設された車両の車体側部構造であって、インパクトビームの後端部の内側に対面して配置される中空断面のピラーを備え、このピラー内には、インパクトビームの後端部から側面衝突荷重が入力されるピラーの所定部位を補強する補強部材が配設されており、この補強部材は、ピラーの壁部との間に車幅方向全域に亘る閉断面を形成するように配設されていることを特徴とする。
本発明に係る車体側部構造では、車両の側面衝突荷重をドア内のインパクトビームが受けると、その後端部からピラーの所定部位に側面衝突荷重が入力される。ここで、側面衝突荷重が入力されるピラーの所定部位には、補強部材によってピラーの壁部との間に車幅方向全域に亘る閉断面が形成されているため、側面衝突荷重によるピラーの断面変形が抑制される。その結果、ピラーの所定部位に入力される側面衝突荷重は、ピラーから車体の他の骨格部に分散して伝達されることとなり、車室の変形が抑制される。
本発明の車体側部構造において、補強部材によりピラーの壁部との間に形成される閉断面の断面形状が車幅方向外側から内側に向かって前後幅が漸次拡大する台形に設定されていると、側面衝突荷重によるピラーの断面変形がより確実に抑制されるので好ましい。
また、補強部材が配設される所定部位、すなわちインパクトビームの後端部から側面衝突荷重が入力されるピラーの所定部位がピラーの下部であると、側面衝突荷重がより確実にピラーから車体の骨格部に分散して伝達されるようになるので好ましい。
本発明に係る車体側部構造によれば、車両の側面衝突荷重がドア内のインパクトビームの後端部からピラーに入力される際のピラーの断面変形を抑制することができ、側面衝突荷重をピラーから車体の他の骨格部へ分散して伝達することができる。その結果、車室の変形を抑制することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明に係る車体側部構造の最良の実施形態を説明する。ここで、参照する図面において、図1は一実施形態に係る車体前部構造をフロントドアの外面側から見て示す正面図、図2は図1に示したセンタピラーの下端部の横断面図である。
一実施形態に係る車体側部構造は、例えば図1に示すようにフロントサイドドア1の内部に配設されるインパクトビーム(ドアビーム)2に対応して構成された車体の側部構造である。
フロントサイドドア1は、その前端部が上下一対のドアヒンジ(図示省略)を介して車体の骨格部を構成するフロントピラー3に開閉自在にヒンジ支持され、その後端部がドアラッチ(図示省略)を介して車体の骨格部を構成するセンターピラー4に着脱自在に係止されるようになっている。
インパクトビーム2は、フロントサイドドア1内の前側上部から後側下部にわたって斜めに配設されており、その前端部2Aは、フロントピラー3の上下方向中間部の外面側に対面し、その後端部2Aは、センターピラー4の下端部4Aの前部に臨んでその外面側に対面している。
センターピラー4は、その下端部4Aが車体の骨格部を構成するロッカ5に連続し、その上端部4Bが車体の骨格部を構成するルーフサイドレール6に連続している。このセンターピラー4は、図2に示すように、概略溝形の断面形状を有するセンターピラーアウタ4Cと、概略平板状のセンターピラーインナ4Dとの接合構造により中空断面に形成されており、その断面形状は、車幅方向外側から内側に向かって前後幅が漸次拡大する前後幅の広い等脚台形状に設定されている。
ここで、センターピラー4内には、インパクトビーム2の後端部2Aが対面することでインパクトビーム2の後端部2Aから側面衝突荷重が入力される所定部位、すなわちセンターピラー4の下端部5Aの前部を補強する補強部材7が配設されている。
補強部材7は、センターピラー4内の前部の壁部、すなわち、センターピラーアウタ4Cに形成された外壁部4Eおよび前壁部4Fと、センターピラーインナ4Dからなる内壁部4Gの前部との間に車幅方向全域に亘る閉断面を形成する鋼板からなり、図2に示す例では、車幅方向外側から内側に向かって前後幅が漸次拡大する前後幅の狭い等脚台形状の閉断面を形成する。
この補強部材7の本体7Aの外端部には、センターピラー4の外壁部4Eの内面にアーク溶接、レーザ溶接、接着などの適宜の手段で接合される接合片7Bが前方に折り曲げ形成されている。
また、補強部材7の本体7Aの内端部には、センターピラー4の内壁部4Gの内面に同様の適宜の手段で接合される接合片7Cが後方に折り曲げ形成されている。そして、この補強部材7の本体7Aには、図3に示すように、車幅方向に延びるビード部7D,7Eが車幅方向の座屈強度を向上させるように形成されている。
以上のように構成された一実施形態の車体側部構造では、フロントサイドドア1に他車両が側面衝突し、その側面衝突荷重をフロントサイドドア1内のインパクトビーム2が受けると、インパクトビーム2の後端部2Aからセンターピラー5の下端部4Aの前部に側面衝突荷重が入力される。
ここで、側面衝突荷重が入力されるセンターピラー4の下端部4A内の前部には、補強部材7によって車幅方向全域に亘る閉断面が形成されており、この閉断面の断面形状が車幅方向外側から内側に向かって前後幅が漸次拡大する前後幅の狭い等脚台形状に設定されているため、側面衝突荷重によるセンターピラー4の下端部4Aの断面変形が確実に抑制される。その結果、センターピラー4の下端部4Aに入力される側面衝突荷重は、センターピラー4を介して車体の他の骨格部であるロッカ5やルーフサイドレール6に分散して伝達されることとなり、車室の変形が抑制される。
従って、一実施形態の車体側部構造によれば、車両の側面衝突荷重がフロントサイドドア1内のインパクトビーム2の後端部2Bからセンターピラー4の下端部4Aに入力される際のセンターピラー4の断面変形を抑制することができ、側面衝突荷重をセンターピラー4から車体の他の骨格部であるロッカ5やルーフサイドレール6に分散して伝達することができる。その結果、車室の変形を抑制することが可能となる。
本発明の車体側部構造は、前述した一実施形態に限定されるものではない。例えば図2および図3に示した補強部材7は、図4および図5に示す補強部材8あるいは図6および図7に示す補強部材9に変更することができる。
図4および図5に示す補強部材8は、図2および図3に示した補強部材7の接合片7B,7Cおよびビード部7D,7Eと同様の接合片8B,8Cおよびビード部8D,8Eが形成されたものであるが、補強部材8の本体8Aは、接合片8B,8Cに直交した状態で形成されている。このため、補強部材8によりセンターピラー4内の前部に形成される閉断面の形状は、図2に示した等脚台形を前後方向に2分した前半部の台形状となっている。
一方、図6および図7に示す補強部材9は、図4および図5に示した補強部材8の本体8A、接合片8B、ビード部8D,8Eと同様の本体9A、接合片9B、ビード部9D,9Eが形成されたものであるが、補強部材8の接合片8Cに対応する接合片9Cは、接合片9Bと同様に前方に折り曲げ形成されている。このため、補強部材9によりセンターピラー4内の前部に形成される閉断面の形状は、図4に示した台形状と同様の台形状となっている。
なお、図3に示した補強部材7のビード部7D,7Eは、必須のものではなく、省略してもよい。同様に、図5に示した補強部材8のビード部8D,8Eおよび図7に示した補強部材9のビード部9D,9Eも省略することができる。
本発明の一実施形態に係る車体前部構造をフロントサイドドアの外面側から見て示す正面図である。 図1に示したセンタピラーの下端部の横断面図である。 図2に示した補強部材の斜視図である。 図2に示した補強部材の第1変形例を示す図2に対応した横断面図である。 図4に示した第1変形例の補強部材の斜視図である。 図2に示した補強部材の第2変形例を示す図2に対応した横断面図である。 図6に示した第1変形例の補強部材の斜視図である。
符号の説明
1…フロントサイドドア、2…インパクトビーム、2A…前端部、2B…後端部、3…フロントピラー、4…センターピラー、4A…下端部、4B…上端部、4C…センターピラーアウタ、4D…センターピラーインナ、4E…外壁部、4F…前壁部、4G…内壁部、5…ロッカ、6…ルーフサイドレール、7…補強部材、7A…本体、7B,7C…接合片、7D,7E…ビード、8…補強部材、8A…本体、8B,8C…接合片、8D,8E…ビード、9…補強部材、9A…本体、9B,9C…接合片、9D,9E…ビード。

Claims (3)

  1. 車両の側面衝突荷重を受けるインパクトビームが前後方向に沿ってドア内に配設された車両の車体側部構造であって、
    前記インパクトビームの後端部の内側に対面して配置される中空断面のピラーを備え、このピラー内には、前記インパクトビームの後端部から側面衝突荷重が入力されるピラーの所定部位を補強する補強部材が配設されており、
    前記補強部材は、前記ピラーの壁部との間に車幅方向全域に亘る閉断面を形成するように配設されていることを特徴とする車体側部構造。
  2. 前記閉断面の断面形状は、車幅方向外側から内側に向かって前後幅が漸次拡大する台形に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の車体側部構造。
  3. 前記補強部材が配設される所定部位がピラーの下部であることを特徴とする請求項1または2に記載の車体側部構造。
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