JP2009195144A - 大豆麺及びその製造法 - Google Patents

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久治 大木
Keiichi Ishida
恵一 石田
Yukio Kamiosawa
行雄 上大澤
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幸雄 村田
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Abstract

【課題】 温湯中に長時間浸漬しておいても、膨潤することがなく、例えば50〜80℃の加温ベンダー中に長期間装填しておいても、缶詰形態のスープ麺を加温ベンダー中に数週間装填して保存販売しても、セレウス菌、ウェルシュ菌などの耐熱性菌が繁殖することはなく、安全で変質のない大豆麺製品を提供する。
【解決手段】豆乳とオカラ微粉末との混合物に凝固剤を添加して得られたオカラ入り豆腐を圧搾脱水し、細長く切断し、それを200〜650℃の過熱水蒸気に当てて加熱する。オカラ微粉末は、平均粒径10〜30μmのものが好ましい。

Description

本願発明は、大豆麺及びその製造方法に関し、特に豆乳とオカラ微粉末の混合物の凝固物を圧搾脱水し、それを麺状体に形成した大豆麺及びその製造方法に関するものである。 特に、耐熱性を有し、長期間保存可能な大豆麺を効率的に製造する方法を提供する。
従来、大豆麺の製造は、豆乳にニガリ等の凝固剤を加えて加熱凝固して豆腐を作り、それを圧搾脱水した後、細く切断することによって行われていた。
また、豆腐製造時の副産物であるオカラは、殆どが動物の飼料、堆肥等として利用されていた。
特開2007−1354900号公報 特開平7−115914号公報
しかしながら従来の大豆麺の製造方法は、特に豆腐を圧搾脱水する工程において、豆腐と豆腐の間に綿布のような透水性のシートを介在させ、上方から徐々に圧力を加えて圧縮することによって脱水する工程をとっていたが、その脱水に長時間を要していた。
また、オカラはその粒径が粗く、それを豆乳に加えてニガリ等で凝固させて豆腐としても、ざらつきがあって舌触りが悪く美味しく食することは到底できなかった。
さらに、オカラを乾燥してから微粉末となしたものには、セレウス菌等の耐熱性菌が多く含まれ、それを添加した食品は長期間保温貯蔵することができなかった。
本願発明は上記従来技術の問題点を解決し、低コストで美味しい無菌の大豆麺を提供するものであり、下記構成のオカラ入り大豆麺及びその製造方法である。
(1) 豆乳とオカラ微粉末との混合物に凝固剤を添加して得られたオカラ入り豆腐を圧搾脱水し、細長く切断して得られることを特徴とするオカラ入り大豆麺。
(2) 豆乳とオカラ微粉末との混合物に凝固剤を添加して得られたオカラ入り豆腐を圧搾脱水し、細長く切断して得られる麺状体を200〜650℃の過熱水蒸気に当てて加熱して得られたことを特徴とするオカラ入り大豆麺。
(3) 豆乳とオカラ微粉末との混合物に凝固剤を添加して得られたオカラ入り豆腐を圧搾脱水し、細長く切断して得られる麺状体をアルカリ液に浸漬した後、それを200〜650℃の過熱水蒸気に当てて加熱して得られたことを特徴とするオカラ入り大豆麺。
(4) オカラ微粉末が、平均粒径10〜30μmのものであることを特徴とする前項(1)〜(3)のいずれか1項に記載のオカラ入り大豆麺。
(5) 豆乳とオカラ微粉末との混合物に凝固剤を加えてオカラ入り豆腐を製造し、次いで圧搾脱水して板状豆腐となした後、それを細長く切断してオカラ入り大豆麺とすることを特徴とするオカラ入り大豆麺の製造法。
(6) 豆乳とオカラ微粉末との混合物に凝固剤を添加して得られたオカラ入り豆腐となし、次いで得られたオカラ入り豆腐を圧搾脱水し、細長く切断して麺状体となした後、その麺状体に200〜650℃の過熱水蒸気を当てて加熱することを特徴とするオカラ入り大豆麺の製造方法。
(7) 豆乳とオカラ微粉末との混合物に凝固剤を添加して得られたオカラ入り豆腐となし、次いで得られたオカラ入り豆腐を圧搾脱水し、細長く切断して麺状体となし、しかる後それをアルカリ液に浸漬した後、その麺状体に200〜650℃の過熱水蒸気を当てて加熱することを特徴とするオカラ入り大豆麺の製造方法。
(8) オカラ微粉末が、平均粒径10〜30μmのものであることを特徴とする前項(5)〜(7)のいずれか1項に記載のオカラ入り大豆麺の製造方法。
(9) アルカリ液が、苛性ソーダ水溶液、重曹水溶液、又はカンスイ水溶液のいずれか1種であることを特徴とする前項(5)〜(8)のいずれか1項に記載のオカラ入り大豆麺の製造法。
本願発明によれば、オカラ入り大豆麺の組織が加熱調理されると同時に耐熱性菌までが消滅した全く無菌な製品が得られる。
また、該大豆麺は耐温水性、すなわち温湯中に長時間浸漬しておいても、膨潤することがなく、例えば50〜80℃の加温ベンダー中に長期間装填しておいても、すなわち本製品麺を使用した缶詰形態のスープ麺を加温ベンダー中に数週間装填して保存販売しても、セレウス菌、ウェルシュ菌などの耐熱性菌が繁殖することはなく、安全で変質のない製品を販売することができる。
そして、オカラ入り大豆麺を200〜650℃の過熱水蒸気に当てて加熱することにより、同麺の滑りが良くなり、こしも強くなる。
以下、本願発明の実施の形態を説明する。
本願発明の大豆麺の製造の実施例は、煮呉の製造工程、分離工程、凝固工程、圧搾脱水工程、切断工程、過熱蒸気接触処理工程、(滑り付与工程)からなる。
(1)煮呉の製造工程
煮呉の製造工程では、従来方法にしたがい、約8〜18時間浸漬した大豆を加水しながら磨砕し、次に、磨砕された大豆汁(呉)を煮沸して煮呉を得る。
(2)分離工程
得られた煮呉を濾布やスクリーンにかけて、豆乳とオカラとに濾別する。
(3)オカラ微粉末の添加工程
オカラを微粉砕、好ましくは平均粒径10〜30μmに微粉砕し、それを豆乳100重量部に対して5〜30重量部添加混合して、オカラ入り豆乳を得る。
(4)凝固工程
凝固工程では、前記オカラ入り豆乳にニガリ等の凝固剤を加えて凝固させ、所定形状に成形する。
その際、加熱したオカラ入り豆乳に対して、凝固剤(塩化マグネシウムを主成分とするにがり、硫酸カルシウムを主成分とする澄まし粉など)を加えて攪拌する。なお、凝固剤を加える際のオカラ入り豆乳の温度は、70〜90℃が望ましい。
凝固剤の添加量は、オカラ入り豆乳9リットルに対して、塩化マグネシウムの場合10〜15g、硫酸カルシウムの場合6〜10gを用いることが好ましい。
また、カラギーナン、コラーゲン等の粘度調整剤などの添加剤を加えることもできる。
凝固剤を加えたオカラ入り豆乳は、凝固が始まる段階で速やかに型に入れる。 その際、(a)型の底部に木綿布を敷き、その上に凝固剤を加えたオカラ入り豆乳を注入し、(b)次いでその上に木綿布を載せ、その上に次の凝固剤を加えたオカラ入り豆乳を注入し、(c)さらにその上に木綿布を載せ、そしてまたその上に凝固剤を加えたオカラ入り豆乳を注入し、以下上記工程を繰り返すことによって、オカラ入り豆乳が凝固して生成したオカラ入り豆腐と木綿布との積層体の複数積層物が形成される。
(5)圧搾脱水工程
次に、そうして得られた積層物の上に押板と錘を載せる。すると、オカラ入り豆腐が圧縮されて徐々に水が木綿布を伝わって外部に浸出し、オカラ入り豆腐の厚みが縮小して脱水される。
オカラ入り豆腐の厚みが1/4〜4/5程度になった段階で、木綿布を剥離すると、脱水されたオカラ入り豆腐の板状物が得られる。
(6)切断工程
得られたオカラ入り豆腐の板状物を細い所定幅に切断して、麺状のオカラ入り大豆麺(オカラ入り大豆麺とも云える)を完成させる。この際、押切機や包丁などを使用して、複数枚の板状豆腐を重ねて切断してもよく、一枚一枚、別々に切断してもよい。切断幅は、2〜10mm程度が適当であるが、適宜変更して実施してもよい。
(7)滑り付与工程
得られたオカラ入り大豆麺に滑りを付与して、つるつるの食感を付与するには、前記切断された麺を沸騰したアルカリ水に漬けて1〜30分間程度アルカリ処理を行う。 なお、アルカリ水のアルカリ成分としては、カンスイ(鹹水)やソーダ水、重曹が挙げられる。
なお、鹹水は炭酸カリウム、炭酸ナトリウム及びリン酸塩からなっており、これを用いることにより、麺の粘弾性が増加し、食感の「あし」と「こし」を強くする効果がある。 また鹹水は粘弾性の変化だけでなく、麺のpHをアルカリ側にすることにより麺線が薄黄色に呈色し、また独特の香りと味を付与される。
(8)過熱水蒸気接触処理工程
次に、上記(6)工程又は(7)工程で得られたオカラ入り大豆麺を200〜650℃、好ましくは300〜550℃の過熱水蒸気に当てて加熱する。接触時間は3〜15分間が好ましい。具体的には、例えば、蓋付きの回転容器の内側に過熱水蒸気噴射ノズルを配設し、同容器中に大豆麺を投入し、容器を回転させながら前記過熱水蒸気を噴射する。
過熱水蒸気を発生させる発生装置としては、水蒸気を電磁誘導加熱により高温に過熱する方式のものを使用することが好ましい。
セレウス菌、、ウェルシュ菌などの耐熱性菌は200〜650℃の高温過熱水蒸気を1〜10分間の短時間を接触させる過熱水蒸気殺菌処理でほぼ完全に殺菌できる。
また、該処理により、オカラ入り大豆麺の滑りが良くなり、こしも強くなる。
本願発明の該処理工程による最大の効果は、麺組織が加熱調理されると同時に耐熱性菌までが消滅した全く無菌な製品が得られることである。本来、大豆の皮部にはいろいろな菌が付着しており、よってその殆どからなるオカラには一般細菌をはじめ耐熱性菌が非常に多く残存している。よって、オカラは保存の困難なものでもあった。
また、該大豆麺は耐温水性、すなわち温湯中に長時間浸漬しておいても、膨潤することがなく、例えば50〜80℃の加温ベンダー中に長期間装填しておいても、すなわち本製品麺を使用した缶詰形態のスープ麺を加温ベンダー中に数週間装填して保存販売しても、耐熱性菌が繁殖することはなく、安全で変質のない製品を販売することができる。
上記において、オカラ入り大豆麺をアルカリ液に浸漬した後、それを200〜650℃の過熱水蒸気に4〜6分間当てて加熱した後、水洗いした場合は、製品麺の滑りがより良好となり、かつ、こしも強くなる。
なお、得られた製品のオカラ入り大豆麺の調理法の一例としては、同大豆麺をゴマ油であえて調理し、タレをかけて食する。あるいは、同大豆麺を熱いスープに入れて、ラーメン様のスープ麺となして食してもよい。

Claims (9)

  1. 豆乳とオカラ微粉末との混合物に凝固剤を添加して得られたオカラ入り豆腐を圧搾脱水し、細長く切断して得られることを特徴とするオカラ入り大豆麺。
  2. 豆乳とオカラ微粉末との混合物に凝固剤を添加して得られたオカラ入り豆腐を圧搾脱水し、細長く切断して得られる麺状体を200〜650℃の過熱水蒸気に当てて加熱して得られたことを特徴とするオカラ入り大豆麺。
  3. 豆乳とオカラ微粉末との混合物に凝固剤を添加して得られたオカラ入り豆腐を圧搾脱水し、細長く切断して得られる麺状体をアルカリ液に浸漬した後、それを200〜650℃の過熱水蒸気に当てて加熱して得られたことを特徴とするオカラ入り大豆麺。
  4. オカラ微粉末が、平均粒径10〜30μmのものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のオカラ入り大豆麺。
  5. 豆乳とオカラ微粉末との混合物に凝固剤を加えてオカラ入り豆腐を製造し、次いで圧搾脱水して板状豆腐となした後、それを細長く切断してオカラ入り大豆麺とすることを特徴とするオカラ入り大豆麺の製造法。
  6. 豆乳とオカラ微粉末との混合物に凝固剤を添加して得られたオカラ入り豆腐となし、次いで得られたオカラ入り豆腐を圧搾脱水し、細長く切断して麺状体となした後、その麺状体に200〜650℃の過熱水蒸気を当てて加熱することを特徴とするオカラ入り大豆麺の製造方法。
  7. 豆乳とオカラ微粉末との混合物に凝固剤を添加して得られたオカラ入り豆腐となし、次いで得られたオカラ入り豆腐を圧搾脱水し、細長く切断して麺状体となし、しかる後それをアルカリ液に浸漬した後、その麺状体に200〜650℃の過熱水蒸気を当てて加熱することを特徴とするオカラ入り大豆麺の製造方法。
  8. オカラ微粉末が、平均粒径10〜30μmのものであることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載のオカラ入り大豆麺の製造方法。
  9. アルカリ液が、苛性ソーダ水溶液、重曹水溶液、又はカンスイ水溶液のいずれか1種であることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載のオカラ入り大豆麺の製造法。
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