JP2009186571A - トナー粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】トナー粒子の重合度を容易に制御することができ分子量分布がシャープで、トナー粒子中の連鎖移動剤や重合禁止剤が僅かで、残存する重合性単量体が殆ど無い、現像性や定着性に優れたトナー粒子の製造方法を提供することにある。
【解決手段】着色剤含有重合性単量体に添加剤を混合及び/または溶解し、重合性単量体組成物を得る調製工程と、該重合性単量体組成物を水系媒体中で所望のトナー粒子の粒径に応じた大きさの粒子に造粒する造粒工程と、該造粒工程において造粒された重合性単量体組成物を重合させることにより重合粒子を得る重合工程を含むトナー粒子の製造方法であって、
該調製工程は該重合性単量体組成物を収容する調製容器の気相部の酸素濃度C(%)を
1≦C≦15
に保つことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は電子写真、静電印刷、磁気記録のような、画像形成方法において静電荷画像を顕像化するためのトナーおよびトナー粒子の製造方法に関するものである。特に、トナーで形成された画像を記録材に加熱定着させる定着方式に供される乾式トナーの製造方法に関するものである。
従来電子写真用トナーとしては、一般的に熱可塑性樹脂中に着色剤を溶融混合し、均一に分散した後、微粉砕装置、分級機により所望の粒径を有するいわゆる粉砕法トナーが主流であった。この製造方法はかなり優れたトナーを製造し得るが、高速で微粉砕する場合に広い粒径範囲の粒子が形成されやすい、微粒子化しにくいといった問題があった。一方これらの粉砕法によるトナーの問題点を克服するため、懸濁重合重合法によるトナーの製造方法が提案されている(特許文献1乃至3)。この懸濁重合法は、以下のような製造方法である。まず、重合性単量体および着色剤(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤及びその他添加剤)を均一に溶解または分散させて重合性単量体組成物を得る。前記重合性単量体組成物を得る工程は通常窒素雰囲気下または大気開放にて行なわれる。さらに重合開始剤を該重合性単量体組成物中に混合する。次いで、分散安定剤を含有する連続相、例えば水相中に、適当な撹拌機を用いて分散し、前述した重合開始剤によるラジカル重合を行なわせることで、所望の粒径を有するトナー粒子を得ることができる。
一般的に懸濁重合法によるトナー粒子の製造における結着樹脂の分子量の調整には、重合開始剤の種類や使用量の調製、重合温度等の反応条件の制御が挙げられる。また、連鎖移動剤,重合禁止剤等を更に添加し用いることでも可能である(特許文献4、5)。
このような方法で、トナー粒子の重合度を一定の範囲内に制御することはある程度可能である。連鎖移動剤、重合禁止剤等の添加や、それに伴う重合開始剤の使用量増加はコストの増加に繋がるばかりか、連鎖移動剤、重合禁止剤等はその添加量の僅かな差で、重合反応によって生成される結着樹脂の重合度に大きな影響を及ぼす為トナーの現像性や定着性等が大きく変化してしまうことがある。また、トナー粒子中に残存する連鎖移動剤、重合禁止剤、重合性単量体等によりトナーの現像性や定着性等に影響をおよぼす。
特公昭36−10231号公報 特公昭43−10799号公報 特公昭51−14895号公報 特開平09−043909号公報 特開2006−221203号公報
本発明は、上述の如き問題を解決したトナー粒子の製造方法を提供することを目的とする。本発明は重合トナー粒子の製造においてトナー粒子の重合度を容易に制御することができ分子量分布がシャープで、トナー粒子中の連鎖移動剤や重合禁止剤が僅かで、残存する重合性単量体が殆ど無い、現像性や定着性に優れたトナー粒子の製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、着色剤を少なくとも含有する重合性単量体に添加剤を混合及び/または溶解し、着色剤及び添加剤を含有する重合性単量体組成物を得る調製工程において、調製工程における調製容器の気相部の酸素濃度を調整することで、得られるトナー粒子の分子量分布及び分子構造を容易に制御することができ、且つ現像性や定着性に優れたトナーを得ることができることを見出した。本発明の特徴は以下の通りである。
(1)着色剤を少なくとも含有する重合性単量体に添加剤を混合及び/または溶解し、着色剤及び添加剤を含有する重合性単量体組成物を得る調製工程と、該重合性単量体組成物を水系媒体中でトナー粒子の粒径に応じた大きさの粒子に造粒する造粒工程と、該造粒工程において造粒された重合性単量体組成物中の重合性単量体を重合させることによりトナー粒子を得る重合工程を有するトナー粒子の製造方法であって、
該調製工程は該重合性単量体組成物を収容する調製容器の気相部の酸素濃度C(vol%)を
1≦C≦15
に保つことを特徴とするトナー粒子の製造方法。
(2)該調製工程において、該重合性単量体組成物の液温における該重合性単量体組成物の飽和溶存酸素濃度S0と溶存酸素濃度Sとの関係が
0.30≦S/S0≦0.80
であることを特徴とする(1)に記載のトナー粒子の製造方法。
(3)該調製容器には撹拌翼が具備されており、該重合性単量体組成物を撹拌することを特徴とする(1)又は(2)に記載のトナー粒子の製造方法。
(4)該調製容器に具備された該撹拌翼の周速をA(m/s)とした時に、下記条件
2.0≦A≦20.0
を満足することを特徴とする(1)乃至(3)に記載のトナー粒子の製造方法。
(5)該調製工程で該重合性単量体組成物の液温度における粘度V(mPa・s)が、下記条件
V≦100
を満足することを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
(6)重合性単量体は少なくとも疎水化処理した磁性体を含有することを特徴とする(1)乃至(5)のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
(7)重合性単量体は少なくともシランカップリング剤で疎水化処理を行った磁性体を含有することを特徴とする(1)乃至(6)のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
重合トナーの製造においてトナー粒子の分子量分布や分子構造を容易に制御することができ分子量分布がシャープで、トナー粒子中の連鎖移動剤や重合禁止剤が僅かで、残存する重合性単量体が殆ど無い、現像性や定着性に優れたトナー粒子の製造方法を提供することにある。
本発明に用いられる好ましい実施態様を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
図1は本発明の調製工程に用いられる好ましい調製装置の概略図の一例である。図1において1は調製容器、2はモーター、3は酸素濃度調節用気体導入口、4は撹拌軸、5は気相部、7は撹拌翼、8はジャケットを表す。
トナー粒子を形成する方法として懸濁重合を用いる方法や溶解懸濁法がある。懸濁重合は、水に分散したモノマーの油滴内で重合を進行させる重合方法である。油滴の合一を防ぐためには分散安定剤を用いる。重合開始剤はモノマーに可溶なものが用いられる。溶解懸濁法は樹脂を含み構成される樹脂組成物を有機溶媒中に溶解させたトナー用原料を水系分散媒中に分散させ、その後、有機溶媒を除去することによって樹脂微粒子を得る方法である。
本発明は、トナー用原料を水系媒体中に分散させることによって微粒子を生成するという、溶解懸濁法や懸濁重合を利用したトナー粒子製造法に適用できる。
以下に懸濁重合法による本発明のトナーの製造方法について説明する。
(着色剤分散工程)
重合性単量体中に着色剤を通常用いられる撹拌装置、ホモジナイザーまたは超音波分散機等によって均一に溶解及び/または分散せしめた着色剤を含有する重合性単量体とする。
トナー粒子の製造方法においては磁性体を用いることができる。以下、好適に用いることの出来る磁性体について説明する。第一に、磁性体表面は親水性であり、重合性単量体は疎水性である。このため、磁性体表面の疎水化処理が不均一であると、磁性体の良好な分散性は得られない。また、物理的に(機械的あるいは、超音波分散等)磁性体を分散させても、表面処理が不均一な磁性体は再び凝集してしまい、ストークス径は大きなものとなってしまう。第二に、均一な処理であっても、分散媒である重合性単量体と磁性体のなじみが良くないものは、磁性体の分散が劣るものとなる。そこで、本発明の磁性トナーに使用される磁性体においては、その粒子表面を疎水化する際、水系媒体中で、磁性体粒子を一次粒径となるよう分散しつつカップリング剤を加水分解しながら表面処理する方法を用いることが非常に好ましい。この疎水化処理方法は気相中で処理するより、磁性体粒子同士の合一が生じにくく、また疎水化処理による磁性体粒子間の帯電反発作用が働き、磁性体はほぼ一次粒子の状態で表面処理される。
カップリング剤を水系媒体中で加水分解しながら磁性体表面を処理する方法は、クロロシラン類やシラザン類のようにガスを発生するようなカップリング剤を使用する必要がない。さらに、これまで気相中では磁性体粒子同士が合一しやすくて、良好な処理が困難であった高粘性のカップリング剤も使用できるようになり、疎水化の効果は絶大である。
本発明に係わる磁性体の表面処理において使用できるカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。より好ましく用いられるのはシランカップリング剤であり、こうして得られる磁性体は粒子の凝集が見られず、個々の粒子表面が均一に疎水化処理されているため、ストークス径は小さなものとなり、磁性体の分散性は良好なものとなる。
(調製工程)
前述した着色剤を含有する重合性単量体に添加剤を混合及び/または溶解し、重合性単量体組成物とする。以下明細書においては、重合性単量体組成物には、後述する生成したトナー粒子の分級工程で発生した所定外粒子を添加することもできる。所定外粒子はそのまま添加しても良いが、混練機等で混練して低分子量化してから添加しても良い。
着色剤含有重合成単量体組成物の物性は、後述する重合工程によって得られるトナー粒子の分子量分布、重合度に大きく影響する。前述したように、連鎖移動剤,重合禁止剤等を用いて重合度を制御する方法もあるが、原材料としての連鎖移動剤や重合禁止剤の追加や開始剤の使用量増加によるコスト増加、トナー粒子中にこれらが残存することによる現像性や定着性等への影響といった問題がある。
従来、該調製工程における調製容器気相部は窒素気流下もしくは空気存在下にて行なわれていたが、本発明者等は鋭意検討の結果、重合性単量体組成物を収容する調製容器の気相部の酸素濃度C(vol%)を1≦C≦15に保つことが望ましいことを見出した。上記の条件で調製工程を行った場合、重合性単量体組成物中に適度に酸素が溶解する。これによって下記重合工程における重合初期の反応速度を抑えることができる。さらに、重合が進行するにつれ系内の酸素が追い出されるため重合が阻害されにくく所望の重合度に達すると同時に分子量分布もシャープなトナー粒子を得ることができ現像性、定着性に優れたトナー粒子を得ることができる。
C<1の場合、重合性単量体組成物に中に溶解する酸素が少なく重合初期の反応速度の抑制が不十分となり所望の重合度に達しない。また、未反応の重合性単量体残存量が多くなる。これらの結果、定着性、現像性に影響を及ぼすため好ましくない。
C>15の場合、得られるトナー粒子の帯電性が悪化し画像濃度が小さくなるため好ましくない。これは以下の現象が要因であると考えられる。重合性単量体組成物に中に溶解する酸素が過剰となるため初期重合工程での酸素による重合停止反応が多く起こりトナー粒子中の低分子量成分が多くなる。一方、重合工程後期では系内の酸素が少なくなるため重合阻害が起こりにくい。さらに、系内に多くのモノマー残存し、且つ、重合初期に比べ反応活性点が少なくなっているため連鎖反応が進み重合度が大きくなるものもある。このため、トナー粒子の分子量分布が大きくなることによってトナー粒子の帯電性が悪化し画像濃度が小さくなると考えられる。
該着色剤含有重合性単量体の液温における飽和溶存酸素濃度S0に対する溶存酸素濃度Sが
0.30≦S/S0≦0.80
であることが好ましい。上記条件で調製工程を行なうことで重合初期の重合速度を抑制することができる。さらに、重合工程での重合中盤から後半にかけて該着色剤含有重合成単量体組成物中の酸素が殆ど無くなり重合阻害をしないため添加率が向上し、残存する重合性単量体の少ないトナー粒子ができる。
S/S0>0.80の場合、重合初期における酸素による重合阻害が大きく重合度の小さい重合体がトナー粒子中に多く存在することとなる。S/S0<0.30の場合、重合初期の反応速度の抑制が不十分となり重合速度が大きくなりトナー粒子中の残存モノマーが多くなるため好ましくない。
調製工程における重合性単量体組成物を収容する調製容器は収容物を撹拌する撹拌翼を具備していることが好ましい。さらに、撹拌翼の周速A(m/s)が2.0≦A≦20.0の範囲内であることが好ましい。重合性単量体組成物を撹拌することによって、重合性単量体組成物内への気相部の酸素の溶解が進行しやすくなり、撹拌翼の周速を上記範囲で行なうことでさらに効率的に重合性単量体組成物の撹拌を行うことができる。A<2.0の場合、該拌槽全体を均一に撹拌することができず処理物の撹拌が不十分でとなり酸素の取り込みが不十分となるため好ましくない。A>20.0の場合、撹拌が強くなり処理物が気槽部液面に跳ね調製容器内に付着する。付着した重合性単量体組成物は着色剤の分散状態が悪化してしまい、トナーの現像性に悪影響を及ぼすため好ましくない。
攪拌翼は、調製容器内の収容物を均一に攪拌することができる攪拌翼であれば特に限定されず、従来より知られている種々の形状の攪拌翼を用いることができる。例えば、アンカー翼、傾斜パドル翼、平パドル翼、ファドラー翼、マックスブレンド翼(住友重機械工業株式会社)、フルゾーン翼(神鋼パンテック株式会社)ヘリカルリボン翼、ブルマージン翼、スーパミックス翼(佐竹化学機械工業製)、A310翼(LIGHTNIN製)、A320翼(LIGHTNIN製)、インターミグ翼(エカート製)等が例示される。
重合性単量体組成物の粘度V(mPa・s)がV≦100であることが望ましい。V≦100であれば重合性単量体組成物の調製容器内での対流が生じやすく重合性単量体組成物の気相部との接触部が随時入れ替わることによって系内へ酸素の溶解が効率良く進行すると同時に重合性単量体組成物中の酸素濃度が均一となる。V>100の場合、該重合性単量体組成物中の対流が起こりにくいもしくは遅くなるため該重合性単量体組成物中への酸素の溶解が十分に行われない。また、撹拌への負荷が大きくなるためモーターが肥大化し設備投資が大きくなることからも好ましくない。
該調製工程において、酸素濃度を調節した気体を供給することで調製容器内の酸素濃度を調整することが好ましい。また、気体の供給方法は特に限定されるものではなく、一度または間欠的に供給しても良く、さらには連続的に行っても良い。さらに、調製容器内への気体の供給方法も特に制限は無い。気相部へ直接供給することが一般的であるが、重合性単量体組成物中へ直接供給しても良い。
なお、上記単量体組成物は、可塑剤、荷電制御剤及び架橋剤等のトナーとして必要な成分、及び、その他の添加剤(例えば重合反応で生成する重合体の粘度を低下させるために入れる有機溶媒、高分子重合体、分散剤等)を適宜加えてもよい。
以下明細書においては重合性単量体組成物には後述する生成したトナー粒子の分級工程で発生した所定外粒子を添加することもできる。所定外粒子はそのまま添加しても良いが、混練機等で混練して低分子量化してから添加しても良い。
以上の工程により得られた重合性単量体組成物を引き続き以下の工程に導入することによりトナー粒子を得る。
(水系媒体調製工程及び重合性単量体組成物分散・造粒工程)
分散安定剤を含む水系媒体を調製し、高剪断力を有する撹拌機を設置した竪型撹拌槽に投入し、ここに重合性単量体組成物を添加し撹拌することにより重合性単量体組成物の分散液とする。前記高剪断力の撹拌装置や撹拌翼の形状については特に限定されものではないが、撹拌機としてはウルトラタラックス(IKA社製)、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業社製)、T.K.フィルミックス(特殊機化工業社製)、クレアミックス(エム・テクニック社製)などの市販の高剪断力を有する撹拌装置を用いることができる。
(重合工程)
本発明における重合工程には温度調節可能な一般的な撹拌槽を用いることができる。重合温度は40℃以上、一般的には50乃至90℃で行われる。重合温度は終始一定でもよいが、所望の分子量分布を得る目的で重合工程後半に昇温してもよい。また、一般的に重合温度は調製工程の液温より高温であるため経時で重合性単量体組成物中の酸素は減少してゆくため重合工程での気相部の酸素濃度は特に限定されない。窒素気流下で行なう場合、重合性単量体組成物中の酸素を殆ど取り除くことができ、重合反応中盤から終盤にかけての酸素による重合阻害の影響がより小さくなり、残存モノマーの割合を減少させることができる。
(精製工程)
(固液分離工程、洗浄工程及び乾燥工程)
未反応のモノマーや副生成物等の揮発性不純物を除去するために、重合終了後に一部水性分散媒を蒸留により留去してもよい。蒸留は常圧もしくは減圧下で行うことができる。分散液滴が重合することで得られる重合体微粒子表面に付着した分散安定剤を除去する目的で、重合体微粒子分散液を酸またはアルカリで処理をすることもできる。この後、一般的な固液分離法により重合体微粒子は液相と分離されるが、酸またはアルカリおよびそれに溶解した分散安定剤成分を完全に取り除くため、再度水を添加して重合体微粒子を洗浄する。この洗浄工程を何度か繰り返し、十分な洗浄が行われた後に、再び固液分離してトナー粒子を得る。得られたトナー粒子は必要であれば公知の乾燥手段により乾燥される。なお、乾燥手段として熱をかけることができるが、通常多くの熱量をトナー粒子にかけるとトナー粒子中に内包された離型剤や低分子量成分が表出するため現像性に影響を与えることがある。しかし、本発明によるトナー粒子は分子量分布がシャープであり低分子量成分が少なくすることが出来るため、乾燥温度が110℃以下であればトナー粒子の現像性に影響を与えることはない。
(分級工程)
こうして得られたトナー粒子は従来の粉砕法トナーと比較して十分シャープな粒度を有するものであるが、さらにシャープな粒度を要求される場合には風力分級機などで分級を行なうことにより、所望の粒度分布から外れる粒子を所定外粒子として取り除くこともできる。
上述の各工程に用いられる装置を構成する各部材の材質としてはステンレス鋼、ガラス、FRP、セラミックなど通常使用されるものを用いることができる。また、これらの表面は電解研磨、フッ素樹脂コーティング、グラスライニングなどの処理が施されていてもよい。本発明の製造方法により得られるトナーは、前述した重合法により得られるトナー粒子のみからなるものであってもよいし、必要に応じて他の添加剤をトナー粒子に外添して得られるものであってもよい。また、上記トナー粒子とキャリアとを混合して二成分トナーとしたものであってもよい。
[モノマー]
本発明に好適に用いられるモノマーとしては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が用いられる。該ビニル系モノマーとしては、単官能性モノマーまたは多官能性モノマーを使用することが出来る。単官能性モノマーとしてはスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ο−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン誘導体類;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系モノマー類;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系モノマー類;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトン類などが挙げられる。
多官能性モノマーとしては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル等が挙げられる。本発明においては、上記した単官能性モノマーを単独、あるいは2種以上組み合わせて、または上記した単官能性モノマーと多官能性モノマーを組み合わせて使用する。上述の単量体の中でもスチレンまたはスチレン誘導体を単独もしくは混合して、またはそれらとほかの単量体と混合して使用することがトナーの現像特性及び耐久性などの点から好ましい。
[着色剤]
本発明で用いられる着色剤としては、例えばカーボンブラック、鉄黒の他、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6の如き染料、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウォッチングレッドカルシウム塩、ブリリアントカーミン3B、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、キナクリドン、ローダミンレーキ、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGの如き顔料が挙げられる。
着色剤を選択する上で、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行性に注意を払う必要がある。特に染料やカーボンブラックは重合阻害性を有しているものが多いので使用の際に注意を要する。好ましくはこれらに表面改質、例えば重合阻害のない物質による疎水化処理を施しておいたほうが良い。染料を表面処理する方法としては、予めこれら染料の存在下に重合性単量体を重合させる方法が挙げられ、得られた着色重合体を重合性単量体組成物に添加する。さらにカーボンブラックについては上記染料と同様の処理の他、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質、例えばポリオルガノシロキサンでグラフト処理を行ってもよい。
[離型剤]
本発明で用いられる離型剤としては、室温で固体状態のワックスがトナーの耐ブロッキング性、多数枚耐久性、低温定着性、耐オフセット性の点でよい。
ワックスとしてはパラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如きポリメチレンワックス、アミドワックス、高級脂肪酸、長鎖アルコール、エステルワックス及びこれらのグラフト化合物、ブロック化合物の如き誘導体が挙げられる。これらは低分子量成分が除去されており、示差走査熱量計によって得られる吸熱曲線の最大吸熱ピークがシャープなものが好ましい。OHPに定着した画像の透光性を向上させるためには特に直鎖状エステルワックスが好適に用いられる。直鎖状エステルワックスはモノマー100質量部に対して1乃至40質量部、より好ましくは4乃至30質量部含有されるのがよい。
本発明においては、トナー粒子の可塑性を増し、低温領域での定着性をよくするために、融点が80℃より小さい第2の離型剤を併用することができる。 第2の離型剤としては炭素数15乃至100個の直鎖状のアルキルアルコール、直鎖状脂肪酸、直鎖状酸アミド、直鎖状エステルあるいはモンタン系誘導体のワックスが好ましく用いられる。これらのワックスから液状脂肪酸の如き不純物を予め除去してあるものはより好ましい。
[荷電制御剤]
本発明により製造されるトナーは荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤としては公知のものが利用できるが、例えばトナーを負荷電性に制御するものとしては、有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ系染料金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類などがある。また、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、ケイ素化合物、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル−スルホン酸共重合体、非金属カルボン酸系化合物等が挙げられる。
トナーを正荷電性に制御するものとしては、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など)、高級脂肪酸の金属塩、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド、ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートなどのジオルガノスズボレート類などがあり、これらを単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でもニグロシン系、4級アンモニウム塩の如き荷電制御剤が特に好ましく用いられる。
これらの荷電制御剤はモノマー100質量部に対して0.01乃至20質量部、より好ましくは0.5乃至10質量部使用するのがよい。
[重合開始剤]
本発明に用いることができる重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤がある。アゾ系重合開始剤としては2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスメチルブチロニトリル等が挙げられる。
また、有機過酸化物系開始剤を用いることもできる。有機過酸化物系開始剤としてはベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ−α−クミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
また、酸化性物質と還元性物質を組み合わせたレドックス系開始剤を用いることもできる。酸化性物質としては過酸化水素、過硫酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩など)などの無機過酸化物、4価のセリウム塩などの酸化性金属塩などが挙げられる。還元性物質としては還元性金属塩(2価の鉄塩、1価の銅塩、3価のクロム塩等)、アンモニア、低級アミン(メチルアミン、エチルアミン等の炭素数1乃至6程度のアミン)、ヒドロキシルアミン等のアミノ化合物、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムハイドロサルファイト、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート等の還元性硫黄化合物、低級アルコール(炭素数1乃至6程度)、アスコルビン酸又はその塩、および低級アルデヒド(炭素数1乃至6程度)などが挙げられる。開始剤は10時間半減期温度を参考に選択され単独又は混合して利用される。該重合開始剤の添加量は目的とする重合度により変化するが、一般的にはモノマー100質量部に対し0.5乃至20質量部が添加される。
[架橋剤]
本発明には各種架橋剤を用いることもできる。架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、4,4’−ジビニルビフェニル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能性化合物を挙げることができる。
[分散媒体]
分散媒体は各種重合法に使用される公知のものを用いることができ、使用するモノマーや重合法などによって適宜選択され、特に限定されない。なお、懸濁重合においては水系媒体が用いられる。
[分散安定剤]
トナー用原料を水系媒体中に良好に分散させるための分散安定剤として、例えば無機化合物であるリン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ、チタニア等が挙げられる。有機系化合物としては、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン等が挙げられる。分散安定剤はモノマー100質量部に対して0.2乃至10.0質量部を使用することが好ましい。
これら分散安定剤は市販のものをそのまま用いても良いが、上記の無機化合物を用いる場合、細かい均一な粒度を有する分散粒子を得るために、分散媒中撹拌下にて無機化合物を生成させることもできる。例えばリン酸三カルシウムの場合、十分な撹拌下の水中にリン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を投入混合することで懸濁重合法に好適な分散安定剤を得ることができる。
[極性樹脂]
懸濁重合のように水系媒体を用いる重合法の場合には、トナー用原料に極性樹脂を添加することにより離型剤の内包化の促進を図ることができる。水系媒体に懸濁したトナー用原料中に極性樹脂が存在した場合、水に対する親和性の違いから極性樹脂が水系媒体とトナー用原料の界面付近に移行しやすいため、トナー表面に極性樹脂が偏在することになる。その結果トナー粒子はコア−シェル構造を有し、多量の離型剤を含有する場合でも離型剤の内包性が良好になる。
このような極性樹脂としては、トナー表面に偏在しシェルを形成した際に極性樹脂自身のもつ流動性が期待できることから、特に飽和または不飽和のポリエステル系樹脂が好ましい。
ポリエステル系樹脂としては、下記に挙げる酸成分単量体とアルコール成分単量体とを縮合重合したものを用いることができる。酸成分単量体としてはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、しょうのう酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリット酸等を挙げることができる。アルコール成分単量体としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン等のアルキレングリコール類及びポリアルキレングリコール類、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等を挙げることができる。
[外添剤]
本発明の製造方法では、トナーへの各種特性付与を目的として外添剤を使用することができる。外添剤はトナーに添加した時の耐久性の点から、トナー粒子の平均粒径の1/10以下の粒径であることが好ましい。外添剤としては、たとえば酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化錫、酸化亜鉛などの金属酸化物、窒化ケイ素などの窒化物、炭化物炭化ケイ素などの炭化物、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどの無機金属塩、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩、カーボンブラック、シリカなどが用いられる。
これら外添剤はトナー粒子100質量部に対し0.01乃至10質量部が用いられ、好ましくは0.05乃至5質量部が用いられる。外添剤は単独で用いても、また複数併用しても良いがそれぞれ疎水化処理を行ったものがより好ましい。さらに、本発明の製造方法は、磁性材料を含有する磁性トナーの製造方法にも適用できる。
[磁性材料]
トナーに含有される磁性材料は着色剤の役割を兼ねることもできる。本発明において、磁性トナー中に含まれる磁性材料としてはマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄、鉄、コバルト、ニッケルのような金属あるいはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金およびその混合物等が挙げられる。
これらの磁性体は平均粒径が2μm以下、好ましくは0.1乃至0.5μm程度のものがよい。上記磁性体のトナー中への含有量は、モノマー100質量部に対して約20乃至200質量部、特に好ましくはモノマー100質量部に対して40乃至150質量部がよい。また、上記磁性体の800kA/m印加時の磁気特性が、保磁力(Hc)1.6乃至24kA/m、飽和磁化(σs)50乃至200Am2/kg、残留磁化(σr)2乃至20Am2/kgのものが好ましい。
[疎水化剤]
また、トナー粒子中でのこれらの磁性体の分散性を向上させるために、磁性体の表面を疎水化処理することも好ましい。疎水化処理にはシランカップリング剤やチタンカップリング剤などのカップリング剤類が用いられるが、中でもシランカップリング剤が好ましく用いられ、一般式RmSiYn[式中、Rはアルコオキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、グリシドキシ基、メタクリル基の如き炭化水素基を示し、nは1〜3の整数を示す。]で示されるものである。例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピリトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
本発明によるトナーは、高画質化の要請から、より微少な潜像ドットを忠実に再現するために、トナーもより微少粒子径の、具体的にはコールターカウンターにより測定された重量平均径が4乃至10μmで個数変動係数が25%以下のトナーが最も好ましい。4μm未満のトナーにおいては、転写効率の悪さから感光体や中間転写体上に転写残トナーが多く発生し、カブリ、転写不良に基づく画像の不均一ムラの原因となり好ましくない。また、トナーの重量平均径が10μmを超える場合には、部材への融着が起きやすい。トナーの個数変動係数が25%を超えると更にこれらの傾向が強まり問題となる。
静電荷像担持体上の非画像部へのトナー付着や転写残余トナー量を低減するには、トナー粒子の帯電性が十分で且つ均一であることが必要である。さらに、高画質化の観点から微小粒径のトナーを用いる場合は、トナー粒子の付着力が増大するため、トナー粒子の形状も静電荷像担持体上の非画像部へのトナー付着に大きな影響を及ぼす。すなわち、トナー粒子が球形に近く、形状が揃っているほど粒子の付着面積が減少し、静電荷像担持体上の非画像部へのトナー付着や転写残余トナー量が低減され、高画質および耐久安定性が可能となる。
本発明により製造されるトナーは、一成分及び二成分系現像剤のいずれとしても使用できる。
一成分系現像剤として磁性体をトナー中に含有させた磁性トナーの場合には、現像スリーブ中に内蔵されたマグネットを利用して磁性トナーを搬送したり帯電する方法が用いられる。また、磁性体を含有しない非磁性トナーを用いる場合には、ブレード及びファーブラシを用い現像スリーブにて強制的に摩擦帯電しスリーブ上にトナーを付着させることで搬送させる方法がある。
本発明の製造方法により得られるトナーを、二成分系現像剤として用いる場合には、トナーと共にキャリアを用い現像剤として使用する。本発明に使用されるキャリアとしては特に限定されるものではないが、主として鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガンおよびクロム原子からなる単独または複合フェライト状態で構成される。
これらキャリアの平均粒径は10乃至100μm、より好ましくは20乃至50μmであることが望ましい。
二成分現像剤を調製する場合のキャリアと本発明におけるトナーとの混合比率は現像剤中のトナー濃度として2質量%乃至15質量%、好ましくは4質量%乃至13質量%にすると通常良好な結果が得られる。トナー濃度が2質量%未満では画像濃度が低く実用不可となり、15質量%を超えるとカブリや機内飛散が増加し、画像の劣化および現像剤の消費量増加が起こる。
以下、本発明を実施例、比較例及び参考例を挙げてより具体的に説明するが、本発明はこれらによってなんら限定されるものではない。なお、実施例中においてトナーの粒度分布の測定には以下の方法を用いた。
(1)トナーの重量平均粒径(D4)の測定
トナー粒子の平均粒径及び粒度分布は、コールターカウンターTA−II型あるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)等、種々の方法で測定可能である。本発明においてはコールターマルチサイザー(コールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びPC9801パーソナルコンピューター(NEC製)を接続し、電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。たとえば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定法としては、前記電解水溶液100乃至150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1乃至5ml加え、更に測定試料を2乃至20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1乃至3分間分散処理を行ない前記コールターマルチサイザーによりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2μm以上のトナー粒子の体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出した。
それから、本発明に係わる体積分布から求めた体積基準の重量平均粒径(D4:各チャンネルの中央値をチャンネルの代表値とする)と個数分布から求めた個数基準の長さ平均粒径(D1)と個数変動係数を求めた。
(2)個数変動係数
個数変動係数は、個数変動係数=個数標準偏差/個数平均粒径×100
で示される。すなわち、変動係数の値が小さいほどトナー粒子の粒度分布はシャープであり、値が大きいとブロードな粒度分布であることを示す。
(3)溶存酸素濃度S/飽和溶存酸素濃度S0の測定
重合性単量体組成物の飽和溶存酸素濃度S0に対する溶存酸素濃度Sは、溶存酸素計SG6(メトラー・トレド社製)を用いて測定した。重合性単量体組成物を60℃に加熱し、容器内を酸素置換し5分間撹拌した。重合性単量体組成物中に溶存酸素センサーを入れこのとき測定した溶存酸素濃度を飽和溶存酸素濃度S0とした。調製工程によって得られた重合性単量体組成物の溶存酸素濃度Sを同じく溶存酸素計SG6(メトラー・トレド社製)を用いて測定した。測定した飽和溶存酸素濃度S0と溶存酸素濃度Sから溶存酸素濃度S/飽和溶存酸素濃度S0を求めた。
(4)重合性単量体組成物の粘度測定
重合性単量体組成物の粘度は、回転式粘度計であるビスコテスターVT550型(ハーケ社製)を用いた。ビスコテスターVT550型(ハーケ社製)に循環恒温槽DC5−K20を接続し測定温度を60℃に設定した。測定方法としては、NVカップ(ハーケ社製)に重合性単量体組成物を7cm3入れ、さらにNVローター(ハーケ社製)を入れビスコテスターVT550型に設置した。測定法はCRモードで剪断速度1.0×103(s-1)の時の剪断応力から粘度を測定した。
<実施例1>
以下の手順により重合体微粒子からなるトナー粒子を製造した。
[重合性単量体組成物分散液調製工程]
(着色剤を含有する重合成単量体の調製(分散工程))
スチレン単量体 72.0質量部
n−ブチルアクリレート単量体 28.0質量部
シランカップリング処理マグネタイト 90.0質量部
飽和ポリエステル樹脂 5.0質量部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との
重縮合物;Mn=11,000、Mw/Mn=2.4、
酸価=30mgKOH/g、Tg=72℃)
負荷電制御剤 1.5質量部
(モノアゾ鉄錯体、T−77(保土ヶ谷化学工業社製))
上記の成分を調製容器に投入し、常温下、30分間撹拌を行った。
(重合性単量体組成物の調製(調製工程))
ポリエチレンワックス 12.0質量部
(DSCにおける最大吸熱ピーク65℃、
吸熱ピークの半値幅17℃)
調製容器気相部へ酸素濃度を6%に調節した気体を60秒毎に5秒間吹き込み気相部の酸素濃度を6%とした。分散工程により得られた着色剤含有重合成単量体を60℃に昇温しポリエチレンワックスを投入し撹拌翼の周速10.0m/sで30分間撹拌継続して重合性単量体組成物とした。得られた重合性単量体組成物の60℃における溶存酸素濃度S/飽和溶存酸素濃度S0は0.61であり、粘度は8mPa・sであった。
(水系媒体調製工程)
水 97.8質量部
Na3PO4 1.2質量部
10%塩酸水溶液 0.3質量部
上記の成分を別の温度調節可能な撹拌槽に投入し、60℃まで昇温しながらNa3PO4が完全に溶解するまで撹拌した。
これにCaCl2 0.7質量部を水5質量部に溶解したものを添加し、クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて周速20.0m/sで60℃に保ったまま30分間撹拌を行うことによってCa3(PO42の微粒子の水懸濁液である水系媒体を得た。
(重合性単量体組成物分散工程)
クレアミックス(エム・テクニック社製)の周速を30.0m/sとし、水系媒体の液温を60℃に保ったまま撹拌槽中に重合性単量体組成物を投入し、周速30.0m/sで撹拌を行い、撹拌開始2分後に重合開始剤t−ブチルパーオキシピバレート7.0部を投入してさらに11分間撹拌を継続することにより重合性単量体組成物分散液を得た。
[重合工程]
上述の工程により得られた重合性単量体組成物分散液をプロペラ撹拌羽根を備えた撹拌機の容器内に移し、窒素充気流下、液温を90℃に昇温し撹拌しながら4時間重合を行って重合体微粒子分散液を得た。
[精製工程](固液分離工程、洗浄工程、乾燥工程、分級工程)
重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、得られた重合体微粒子分散液に塩酸を添加して撹拌し、重合体微粒子を覆ったCa3(PO42の微粒子を溶解した後に、加圧ろ過器で脱液し、これに水を投入して再び分散液とした後に、前述の加圧ろ過器で再度脱液した。この操作を、Ca3(PO42が十分に除去されるまで繰り返し行った後に、最終的に固液分離した重合体微粒子を、気流式乾燥装置を用いて乾燥温度110℃にて乾燥を行い、分級することによってトナー粒子を得た。
[評価]
乾燥させたトナー粒子の粒度分布を測定し個数変動係数を算出し下記の評価基準に従い評価し、評価結果を表1に示した。
[画出し試験]
常温常湿環境下(23℃,60%RH)において、下記の画像形成装置によって、8ポイントのA文字を用い印字率4%とした画像パターンにて間欠モードで2000枚の画出し試験を行った。なお、転写材としてはA4の75g/m2の紙を使用した。得られたトナー粒子1を100質量部と、個数平均1次粒径12nmのシリカをヘキサメチルジシラザンで処理後にシリコーンオイルで処理し、処理後のBET値が120m2/gの疎水性シリカ微粉体1.0質量部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合し、重量平均粒径が6.5μmのトナーを得た。画像形成装置として、LBP−1210(キヤノン製)を改造し、以下の条件にて画出し試験を行った。
感光体(静電潜像担持体)に、帯電部材である一次帯電ローラーとして導電性カーボンを分散しナイロン樹脂で被覆したゴムローラー帯電器を当接させ(当接圧40g/cm)、直流電圧−620Vに交流電圧1.2kVppを重畳したバイアスを印加して、感光体上を一様に帯電する。帯電に次いで、レーザー光(露光光)で画像部分を露光することにより静電潜像を形成する(暗部電位Vdは−600Vであり、明部電位VLは−120V)。
感光体と現像スリーブ(トナー担持体)との間隙は270μmとし、磁性トナー担持体として、表面をブラストした直径12mmのアルミニウム円筒上に、下記の構成の層厚約7μm、JIS中心線平均粗さ(Ra)1.2μmの樹脂層を形成した現像スリーブを使用した。また、現像スリーブには、現像磁極の磁束密度が750ガウスであるマグネットローラーを内包させた。トナー規制部材としては、厚み1.0mm、自由長0.50mmのウレタン製ブレードを用い、19.6N/m(20g/cm)の線圧で現像スリーブに当接させた。
・フェノール樹脂 100質量部
・グラファイト(粒径約7μm) 90質量部
・カーボンブラック 10質量部
次いで、現像バイアスとして交番電界は1.6kVpp、周波数2200Hz、直流電圧(Vdc)は潜像に忠実に現像できるように(200μmの4dotライン潜像が200μmに現像されるように)設定した(実施例1において、具体的には−420Vとした)。
この条件において、得られたトナーを使用し、常温常湿環境下(23℃、60%RH)にて8ポイントのA文字を用い印字率を4%とした画像にて連続モードで2000枚の画出しを行った。なお、いずれの評価においても記録媒体としてはA4の75g/m2の紙を使用した。
<画像濃度>
この画出し試験における初期(50枚目)および2000枚の画出し後(耐久後)に、ベタ画像を形成した。このベタ画像の画像濃度を、マクベス反射濃度計(マクベス社製)によって測定した。
<カブリ>
白画像を出力し紙上カブリの測定を行い、以下の基準で判断した。なお、カブリの測定は、東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用して測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用い、カブリは下式(1)より算出した。
式(1)カブリ(反射率)(%)=標準紙の反射率(%)−サンプル非画像部の反射率(%)
なお、カブリの判断基準は以下の通りである。
A:非常に良好(1.5%未満)
B:良好(1.5%以上、2.5%未満)
C:普通(2.5%以上、4.0%未満)
D:悪い(4%以上)
[定着試験]
前記画出し試験で用いた画像形成装置と同様の装置を用いて、定着器の設定温度(定着温度)を130℃から230℃にまで5℃毎に上げていき、各定着温度でFOX RIVER BOND紙(フォックス・リバー社製、90g/m2)に、画像濃度が0.80乃至0.85となるようにハーフトーン画像を形成し定着画像を得た。
各定着温度において得られた画像を、4.9kPa(50g/cm2)の荷重をかけたシルボン紙で10回摺擦し、摺擦前後の濃度低下率が10%以下となるときの定着温度をもとめ、これを定着開始温度とした。
[オフセット試験]
前記画出し試験で用いた画像形成装置と同様の装置を用いて、定着器の設定温度(定着温度)を130℃から230℃にまで5℃毎に上げていき、各定着温度でA4の75g/m2紙に単位面積あたりのトナー量が0.6mg/cm2となるようにベタ画像を形成した。形成されたベタ画像を観察して、高温オフセット現象が発生する温度(高温オフセット温度)を調べた。なお、高温オフセット現象の発生の有無は、画像上及び紙裏の汚れを目視して判断した。
<実施例2>
調製工程において調製容器気相部へ酸素濃度を1%に調節した気体を60秒間吹き込み気相部の酸素濃度を1%とし、溶存酸素濃度S/飽和溶存酸素濃度S0が0.43である以外は実施例1と同様の方法によりトナー粒子を得た。重合性単量体組成物の粘度は10mPa・sであった。
実施例1と同様の画像評価を行った結果を表1に示す。
<実施例3>
調製工程において調製容器気相部へ酸素濃度を15%に調節した気体を連続して吹き込み気相部の酸素濃度を15%とし、溶存酸素濃度S/飽和溶存酸素濃度S0が0.69である以外は実施例1と同様の方法によりトナー粒子を得た。重合性単量体組成物の粘度は7mPa・sであった。
実施例1と同様の画像評価を行った結果を表1に示す。
<実施例4>
調製工程において酸素濃度を4%とした気体を吹き込み調製容器の気相部の酸素濃度を4%とし、溶存酸素濃度S/飽和溶存酸素濃度S0が0.30、調製工程における撹拌翼の周速が7.0m/sである以外は実施例1と同様の方法によりトナー粒子を得た。重合性単量体組成物の粘度は11mPa・sであった。実施例1と同様の画像評価を行った結果を表1に示す。
<実施例5>
調製工程において酸素濃度を10%とした気体を吹き込み調製容器の気相部の酸素濃度を10%とし、溶存酸素濃度S/飽和溶存酸素濃度S0が0.78、撹拌翼の周速が15.0m/sである以外は実施例1と同様の方法によりトナー粒子を得た。重合性単量体組成物の粘度は5mPa・sであった。実施例1と同様の画像評価を行った結果を表1に示す。
<実施例6>
調製工程における溶存酸素濃度S/飽和溶存酸素濃度S0が0.52、撹拌翼の周速が2.0m/sである以外は実施例1と同様の方法によりトナー粒子を得た。重合性単量体組成物の粘度は9mPa・sであった。実施例1と同様の画像評価を行った結果を表1に示す。
<実施例7>
調製工程における溶存酸素濃度S/飽和溶存酸素濃度S0が0.65、撹拌翼の周速が20.0m/sである以外は実施例1と同様の方法によりトナー粒子を得た。重合性単量体組成物の粘度は7mPa・sであった。実施例1と同様の画像評価を行った結果を表1に示す。
<実施例8>
調製工程において、実施例1乃至7の分級工程時に選別された微粉と粗粉を合わせて15.1質量部加え、重合性単量体組成物の液温度60℃での溶存酸素濃度S/飽和溶存酸素濃度S0が0.49、重合性単量体組成物の粘度が97mPa・sである以外は実施例1と同様の方法によりトナー粒子を得た。実施例1と同様の画像評価を行った結果を表1に示す。
<実施例9>
調製工程において酸素濃度を4%とした気体を吹き込み調製容器の気相部の酸素濃度を4%とし、撹拌翼の周速が1.0m/sとし、調製工程で微粉と粗粉を合わせて21.6質量部加えた以外は実施例8と同様の方法によりトナー粒子を得た。このときの溶存酸素濃度S/飽和溶存酸素濃度S0、重合性単量体組成物の粘度を表1に示す。実施例1と同様の画像評価を行った結果を表1に示す。
<実施例10>
調製工程において酸素濃度を10%とした気体を吹き込み調製容器の気相部の酸素濃度を10%とした以外は実施例9と同様の方法によりトナー粒子を得た。このときの溶存酸素濃度S/飽和溶存酸素濃度S0、重合性単量体組成物の粘度を表1に示す。実施例1と同様の画像評価を行った結果を表1に示す。
<実施例11>
イオン交換水400質量部に、0.1M−Na3PO4水溶液450質量部を投入し、60℃に加温した後、クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて周速20.0m/sにて撹拌した。これに1.0M−CaCl2水溶液68質量部を添加し、リン酸カルシウム塩を含む水系媒体を得た。
一方、調製工程として、
スチレン 83質量部
n−ブチルアクリレート 17質量部
C.I.Pigment Blue15:3 5質量部
飽和ポリエステル樹脂 5.0質量部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との
重縮合物;Mn=11,000、Mw/Mn=2.4、
酸価=30mgKOH/g、Tg=72℃)
ジアルキルサリチル酸のアルミニウム化合物 1.0質量部
炭化水素ワックス 3質量部
(吸熱ピーク=80℃、半値幅=8、Mw=750)
エステルワックス 9質量部
(吸熱ピーク=67℃、半値幅=4、Mw=690)
ジビニルベンゼン 0.05質量部
酸素濃度6%に調整した気体を吹き込み気相部の酸素濃度を6%とした調整容器中に上記処方を入れ60℃に加温し、撹拌翼の周速10.0m/sで30分間撹拌し溶解・分散した。これに、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3.5質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。このときの溶存酸素濃度S/飽和溶存酸素濃度S0、重合性単量体組成物の粘度を表1に示す。
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃,N2雰囲気下において、クレアミックス(エム・テクニック社製)にて周速30.0m/sで11分撹拌し重合性単量体組成物の分散液を得た。
その後、90℃に加熱しパドル撹拌翼で撹拌しつつ、重合性ビニル系単量体の重合転化率が90%に達したところで、0.1mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加して水系分散媒体のpHを8に調製した。更に昇温速度40℃/Hrで80℃に昇温し4時間反応させた。重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去した。冷却後、塩酸を加えpHを1.4にし、6時間撹拌することでリン酸カルシウム塩を溶解した。濾過・水洗を行った後、気流式乾燥機を用いて乾燥温度110℃で乾燥し、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子の粒度分布を測定し個数変動係数を算出した。
このトナー粒子分級しトナー粒子100質量部に対し、ヘキサメチレンジシラザンで表面処理された疎水性シリカ微粉体1.0質量部(数平均一次粒子径7nm)、ルチル型酸化チタン微粉体0.15質量部(数平均一次粒子径45nm)、ルチル型酸化チタン微粉体0.5質量部(数平均一次粒子径200nm)をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で5分間乾式混合してトナーを得た。
[画出し試験]
得られたトナー粒子を下記の評価に従い評価し、評価結果を表1に示した。
<画像濃度>
評価機として、LBP−2510(キヤノン社製)を使用し、常温常湿環境(23℃,60%RH)の環境下にて画像評価を行った。
評価は、カートリッジに表2に記載の各トナーを190g充填し当該トナーの色のステーションに装着し、その他のステーションにはダミーカートリッジを装着して、単色評価を実施した。
画像は、通常の複写機用普通紙(75g/m2)の転写材を用いて2%の印字比率の画像を5,000枚までプリントアウトする画出し試験において、初期と耐久評価終了時にベタ画像を出力し、その濃度を測定することにより評価した。尚、画像濃度は「マクベス反射濃度計 RD918」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分の画像に対する相対濃度を測定した。評価基準は下記に示す。
・非常に良好 1.40以上
・良好 1.35以上、1.40未満
・実用上問題なし 1.00以上、1.35未満
・やや難あり 1.00未満
<画像カブリ>
評価機として、LBP−2510(キヤノン社製)を使用し、高温高湿環境(30℃,80%RH)および低温低湿環境(15℃,10%RH)の環境下にて画像評価を行った。
評価は、カートリッジに表2に記載の各トナーを190g充填し当該トナーの色のステーションに装着し、その他のステーションにはダミーカートリッジを装着して、単色評価を実施した。
画像は、通常の複写機用普通紙(75g/m2)の転写材を用いて2%の印字比率の画像を10,000枚までプリントアウトする画出し試験において、「REFLECTMETER MODEL TC−6DS」(東京電色社製)により測定したプリントアウト画像の白地部分の白色度(反射率Ds(%))と転写紙の白色度(平均反射率Dr(%))の差から、カブリ濃度(%)(=Dr(%)−Ds(%))を算出し、耐久評価終了時の画像カブリを評価した。フィルターは、シアンの場合アンバーライトを用いた。
A:非常に良好 0.5%未満
B:良好 0.5%以上乃至1.0%未満
C:実用上問題なし 1.0%以上乃至1.5%未満
D:やや難あり 1.5%以上
[定着試験]
前記画出し試験で用いた画像形成装置と同様の装置を用いて、定着器の設定温度(定着温度)を130℃から230℃にまで5℃毎に上げていき、各定着温度でFOX RIVER BOND紙(フォックス・リバー社製、90g/m2)に、画像濃度が0.80乃至0.85となるようにハーフトーン画像を形成し定着画像を得た。
各定着温度において得られた画像を、4.9kPa(50g/cm2)の荷重をかけたシルボン紙で10回摺擦し、摺擦前後の濃度低下率が10%以下となるときの定着温度をもとめ、これを定着開始温度とした。
[オフセット試験]
評価機として、LBP−2510(キヤノン社製)を使用し、常温常湿(23.5℃,60%RH)下にてXx64g紙を用いて、耐高温オフセット性の評価を行った。ベタ白画像を50枚通紙した後、先端から5cmの全域が画像濃度0.5のハーフトーン、それ以外がベタ白という画像を両面複写した。この際の白地部に現れるオフセットのレベルを目視確認し下記の評価基準で評価した。
A:オフセットが全く発生しない
B:うっすらとオフセットが発生したが、使用上問題となるレベルではない
C:若干オフセットが発生した。実使用上ぎりぎりのレベルであるが、通常の複写におい ては問題とならない
D:長手方向全域に、オフセットが発生し、実使用上問題となるレベル
<参考例1>
調製工程において酸素濃度を0.1%とした気体を吹き込み調製容器の気相部の酸素濃度を0.1%とし、溶存酸素濃度S/飽和溶存酸素濃度S0が0.13、重合温度が70℃、乾燥温度が90℃である以外は実施例1と同様の方法によりトナー粒子を得た。重合性単量体組成物の粘度は6mPa・sであった。実施例1と同様の画像評価を行った結果を表1に示す。
<参考例2>
調製工程において酸素濃度を20%とした気体を吹き込み調製容器の気相部の酸素濃度を20%とし、溶存酸素濃度S/飽和溶存酸素濃度S0が0.88、重合温度が70℃、乾燥温度が90℃である以外は実施例1と同様の方法によりトナー粒子を得た。重合性単量体組成物の粘度は9mPa・sであった。実施例1と同様の画像評価を行った結果を表1に示す。
<比較例1>
調製工程において酸素濃度を0.1%とした気体を吹き込み調製容器の気相部の酸素濃度を0.1%とし、溶存酸素濃度S/飽和溶存酸素濃度S0が0.10である以外は実施例9と同様の方法によりトナー粒子を得た。重合性単量体組成物の粘度は201mPa・sであった。実施例1と同様の画像評価を行った結果を表1に示す。
<比較例2>
調製工程において酸素濃度を20%とした気体を吹き込み調製容器の気相部の酸素濃度を20%とし、周速24.0m/sで撹拌し、溶存酸素濃度S/飽和溶存酸素濃度S0が0.91である以外は実施例9と同様の方法によりトナー粒子を得た。重合性単量体組成物の粘度は199mPa・sであった。実施例1と同様の画像評価を行った結果を表1に示す。
<比較例3>
調製工程において酸素濃度を0.1%とした気体を吹き込み調製容器の気相部の酸素濃度を0.1%とし、溶存酸素濃度S/飽和溶存酸素濃度S0が0.16であり、調製工程に実施例11と同様の処方の分級工程時に選別された微粉と粗粉を合わせて19.6質量部加え、周速24.0m/sで撹拌した以外は実施例11と同様の方法によりトナー粒子を得た。重合性単量体組成物の粘度は152mPa・sであった。実施例11と同様の画像評価を行った結果を表1に示す。
Figure 2009186571
本発明の調製工程に用いられる好ましい造粒装置の概略図の一例である。
符号の説明
1 調製容器
2 モーター
3 酸素濃度調節用気体導入口
4 撹拌軸
5 気相部
7 撹拌翼
8 ジャケット

Claims (7)

  1. 着色剤を少なくとも含有する重合性単量体に添加剤を混合及び/または溶解し、着色剤及び添加剤を含有する重合性単量体組成物を得る調製工程と、該重合性単量体組成物を水系媒体中でトナー粒子の粒径に応じた大きさの粒子に造粒する造粒工程と、該造粒工程において造粒された重合性単量体組成物中の重合性単量体を重合させることによりトナー粒子を得る重合工程を有するトナー粒子の製造方法であって、
    該調製工程は該重合性単量体組成物を収容する調製容器の気相部の酸素濃度C(vol%)を
    1≦C≦15
    に保つことを特徴とするトナー粒子の製造方法。
  2. 該調製工程において、該重合性単量体組成物の液温における該重合性単量体組成物の飽和溶存酸素濃度S0と溶存酸素濃度Sとの関係が
    0.30≦S/S0≦0.80
    であることを特徴とする請求項1に記載のトナー粒子の製造方法。
  3. 該調製容器には撹拌翼が具備されており、該重合性単量体組成物を撹拌することを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー粒子の製造方法。
  4. 該調製容器に具備された該撹拌翼の周速をA(m/s)とした時に、下記条件
    2.0≦A≦20.0
    を満足することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
  5. 該調製工程で該重合性単量体組成物の液温度における粘度V(mPa・s)が、下記条件
    V≦100
    を満足することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
  6. 重合性単量体は少なくとも疎水化処理した磁性体を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
  7. 重合性単量体は少なくともシランカップリング剤で疎水化処理を行った磁性体を含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
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