JP2004333826A - 重合法トナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】懸濁重合トナー製造法の造粒工程において薄膜旋回型高速攪拌機を用いることによりシャープな粒度のトナーを得る。
【解決手段】処理液膜厚規制部材と容器壁と攪拌部材外端の間隙の関係を規定することにより、処理液の全てが一様な剪断履歴を経る為粒度分布がシャープになる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法などに用いられる静電荷像現像用重合法トナーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法としては米国特許第2,297,691号明細書、特公昭42−23910号公報及び同43−24748号公報等に記載されている如く、各種の方法が提案されているが、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーを用いて現像し、必要に応じて紙等の転写材にトナー画像を転写した後、熱・圧力などにより定着し複写画像を得るものである。
【0003】
電子写真法に用いられるトナーには、優れた流動性と、安定した摩擦帯電性を有し、長期にわたって感光体上のカブリや画像濃度の低下が発生せず、高品質の印字が可能であること等が求められる。トナーの流動性が悪いと、現像剤の供給不良となって、画像がカスレたり、画像濃度が低下する。また、クリーニング不良が発生し、現像剤が感光体上に残留し、カブリを生じたり、トナーによるフィルミングが生じたりする。感光体上にトナーのフィルムが形成されると、画像に白抜けや黒色の汚れが発生し、画質が低下する。
【0004】
トナーが優れた流動性を示し、高品質の画像を形成するには、球形であって、その粒度分布がシャープであることが望ましい。
【0005】
従来、これらの目的に用いるトナーは一般に熱可塑性樹脂中に染・顔料からなる着色剤を溶融混合し、均一に分散した後、微粉砕装置,分級機により所望の粒径を有するトナーとして製造されてきた。
【0006】
この製造方法はかなり優れたトナーを製造し得るが、ある種の制限、すなわちトナー用材料の選択範囲に制限がある。例えば該材料は経済的に妥当な製造装置で微粉砕し得るに十分な脆さを有していなければならない。ところが、こういった要求を満たすために該材料を脆いものにした場合、実際に高速で微粉砕した場合に形成される粒子の粒度分布がブロードになり易く、特に微粒子の形成される割合が大きくなるという問題が生じる。トナーが満足できる現像特性を示すには、その粒度分布がある程度狭いものでなければならない。そこで、粉砕して得られた粒子を分級して、粗大粒子と微粒子を除去する必要がある。このため、一般に粉砕法では歩留が悪くトナーの収率が低い。
【0007】
更に、このように脆性の高い材料は、複写機等現像用に使用する際、更なる微粉砕ないしは粉化を受けやすく、現像性に対して悪影響を及ぼす。
【0008】
また、この方法では、着色剤等の固体微粒子を樹脂中へ完全に均一に分散することは困難であり、その分散の度合によっては、カブリの増大,画像濃度の低下や混色性・透明性の不良の原因となるので、着色剤の分散には十分に注意を払わなければならない。また、粉砕粒子の破断面に着色剤が露出することにより、現像特性の変動を引き起こす場合もある。
【0009】
また、粉砕法では、球形で表面が均一なトナーを作製することができず、流動性や摩擦帯電性の点で満足のいくものを得ることが困難である。
【0010】
これら粉砕法によるトナーにおいては、ワックスの如き離型剤を添加する場合に制約がある。すなわち、離型剤の分散性を十分なレベルとするためには、▲1▼樹脂との混練温度において、ある程度の粘性を保つ必要があること、▲2▼離型剤の含有量を約5質量%以下にすることなどである。このような制約のため、粉砕法によるトナーの定着性、離形性には限界がある。
【0011】
これら粉砕法によるトナーの問題点を克服するため、特公昭36−10231号公報、同43−10799号公報及び同51−14895号公報等による懸濁重合法トナーを始めとして、各種重合法トナーやその製造方法が提案されている。たとえば、懸濁重合法トナーでは、重合性単量体,着色剤、離型剤、重合開始剤、更に必要に応じて架橋剤,荷電制御剤,その他添加剤を、均一に溶解または分散せしめて単量体組成物とした後、この単量体組成物を分散安定剤を含有する連続相、例えば水中に適当な攪拌機を用いて分散し、同時に重合反応を行わせ、所望の粒径を有するトナー粒子を得る。この方法は、粉砕工程が全く含まれないため、トナーに脆性が必要ではなく、樹脂として軟質の材料を使用することができ、また、粒子表面への着色剤の露出等が生じず、均一な摩擦帯電性を有するという利点がある。また、得られるトナーの粒度分布が比較的シャープなことから分級工程が必要な場合でも、高収率でトナーが得られる。さらにこの方法によれば、上記の粉砕法トナーに科せられる制約がないことに加えて、ワックス等の離型剤を確実に内包化することができ、良好な定着性及び耐オフセット性が得られる。この方法によって得られる重合トナーは、球形で表面が均一であるため、流動性、転写性が良好で、多数回の連続現像を行っても、良好な現像特性を示し、トナーへのストレスが少なく、感光体へのフィルミングの発生が少ないという特徴を有している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように懸濁重合法により製造したトナーは粉砕法によって製造したものと比較していくつかの利点を有するが、懸濁重合法を用いた場合でもある程度の望ましくない粒径の微小粒子や粗大粒子の生成は免れない。微小粒子や粗大粒子の存在量が大きいと前述のようにトナー性状の面からも生産効率の面からも好ましくないため、懸濁重合時の粒度分布をできるだけ狭くすることが必要である。
【0013】
上記の目的のために例えば、特開平1−223470号公報、特開平6−27717号公報および特開平6−124000号公報などによれば通常用いられる懸濁安定剤に加え界面活性剤などの懸濁安定助剤を用いる方法が開示されている。しかしこれらの方法では懸濁安定助剤がトナー性状に与える影響を考慮せねばならず、懸濁安定助剤の除去を要する場合には必然的に除去工程を追加しなければならないため生産性の観点から好ましくない。
【0014】
また、特開平3−95564号公報、特開平7−281480号公報、特開平10−186719号公報などによれば一般的に造粒工程に用いられる高剪断力を有する攪拌機類によらない方法が開示されている。これらの方法によればかなり良好な粒度分布のトナーを得ることができるが、いずれも生産性やメンテナンス性の観点から工業的スケールへの展開が困難であると考えられるため、より生産効率の高い方法が望まれる。
【0015】
また、特開平11−167222号公報および特開2000−187353号広報によれば薄膜旋回型高速攪拌機を用いた方法が開示されているが、いずれも粒度分布を制御するうえで重要な要因である、膜厚を規制する部材と攪拌部材と容器壁の間隙の関係については考慮されていない。
【0016】
したがって、本発明の目的は懸濁重合法によるトナー製造において、造粒工程に一般的に用いられる高剪断力を有する攪拌機類を用いた場合と比較してトナーの粒度分布を狭くし、かつ生産効率も同等以上であるような重合法トナーの製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前述の課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、下記の方法を見出すに至った。すなわち本発明によれば少なくとも重合性単量体および着色剤を含む重合性単量体組成物を水性分散媒中に分散させ重合性単量体組成物懸濁液を得る造粒工程を有し、次いで該重合性単量体組成物懸濁液を重合させることにより得られる重合法トナーを製造する方法において、該造粒工程に用いる造粒装置が回転する攪拌部材およびこれを取り囲むように設置された該攪拌部材の回転軸と同心の円形断面を有する処理容器からなり、前記攪拌部材の回転により生じる遠心力によって処理液を該処理容器の内壁へと圧着させて旋回する膜状とすることにより分散を行う装置であり、該処理容器の一端に処理液の流入口を他端に処理液の流出口を有し、該流出口の直前には前記処理容器の内周に沿って配置された堰板状の処理液膜厚規制部材を有し、該処理液膜厚規制部材の処理容器内壁面からの高さaおよび該処理容器の断面半径と該攪拌部材の回転半径との差bの関係が0.2≦b/a≦1.2であることを特徴とする重合法トナーの製造方法が提供される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0019】
重合性単量体中に少なくとも着色剤および必要であれば離型剤、荷電制御剤、架橋剤および重合開始剤などを通常用いられる撹拌装置、ホモジナイザーまたは超音波分散機等によって均一に溶解または分散せしめた重合性単量体組成物とする。一方、分散安定剤を含有する水性分散媒を調製し、造粒装置により前記の重合性単量体組成物を水性分散媒中で分散させることにより所望の液滴粒度を有する重合性単量体組成物懸濁液を得る。
【0020】
この造粒工程においては重合性単量体組成物と水性分散媒を各々独立した経路から所定の比率で造粒装置に流入させてもよいし、予め攪拌機により水性分散媒中に重合性単量体組成物を分散させた状態で造粒装置に流入させてもよい。
また、必要であれば造粒工程時に重合開始剤を添加することができる。その場合重合開始剤は重合に不活性な有機溶媒、重合性単量体組成物中に用いられている成分の一部、水または懸濁安定剤を含む水性媒体などに溶解または分散させた流動性のある状態で造粒装置に流入させる。
【0021】
造粒工程で重合性単量体組成物懸濁液を調製した後は、分散安定剤の作用により粒子状態が維持されるため、粒子の沈降が起こらないような撹拌を行い重合工程を継続する。
【0022】
重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃の温度に設定して重合を行う。また、所望の分子量分布を得る目的で重合反応後半に昇温しても良く、更に未反応の重合性単量体,副生成物等を除去するために反応後半、又は反応終了後に一部水性分散媒を蒸留操作により留去しても良い。蒸留操作は常圧もしくは減圧下で行うことができる。重合反応または蒸留操作終了後、生成したトナー粒子をろ過/洗浄するが、この工程の前段もしくは後段で酸および/またはアルカリ処理により、得られた粒子状表面の分散安定剤の除去を行うこともできる。最終的に液相と分離されたトナー粒子は公知の方法により乾燥される。
【0023】
本発明のトナーに用いられる重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が用いられる。該ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することが出来る。単官能性重合性単量体としてはスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ο−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン誘導体類、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体類、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体類、メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトン類などが挙げられる。
【0024】
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2′−ビス(4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2′−ビス(4−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル等が挙げられる。
【0025】
本発明においては、上記した単官能性重合性単量体を単独、或いは2種以上組み合わせて、又は上記した単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体を組み合わせて使用する。上述の単量体の中でも、スチレン又はスチレン誘導体を単独もしくは混合して、又はそれらとほかの単量体と混合して使用することがトナーの現像特性及び耐久性などの点から好ましい。
【0026】
本発明で用いられる着色剤としては、例えば、カーボンブラック、鉄黒の他、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6の如き染料、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウォッチングレッドカルシウム塩、ブリリアントカーミン3B、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、キナクリドン、ローダミンレーキ、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGの如き顔料が挙げられる。
【0027】
着色剤を選択するうえでは、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行性に注意を払う必要があり、好ましくは、表面改質、例えば重合阻害のない物質による疎水化処理を施しておいたほうが良い。特に、染料系やカーボンブラックは重合阻害性を有しているものが多いので使用の際に注意を要する。染料系を表面処理する好ましい方法としては、あらかじめこれら染料の存在下に重合性単量体を重合せしめる方法が挙げられ、得られた着色重合体を重合性単量体組成物に添加する。さらに、カーボンブラックについては上記染料と同様の処理の他、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質、例えばポリオルガノシロキサンでグラフト処理を行っても良い。
【0028】
離型剤としては、室温で固体状態のワックスが好ましく、特に融点40〜100℃の固体ワックスがトナーの耐ブロッキング性、多数枚耐久性、低温定着性、耐オフセット性の点で良い。
【0029】
ワックスとしては、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如きポリメチレンワックス、アミドワックス、高級脂肪酸、長鎖アルコール、エステルワックス及びこれらのグラフト化合物、ブロック化合物の如き誘導体が挙げられ、これらは低分子量成分が除去された、DSC吸熱曲線の最大吸熱ピークがシャープなものが好ましい。
【0030】
好ましく用いられるワックスとしては、炭素数15〜100個の直鎖状のアルキルアルコール、直鎖状脂肪酸、直鎖状酸アミド、直鎖状エステルあるいは、モンタン系誘導体が挙げられる。これらワックスから液状脂肪酸の如き不純物を予め除去してあるものはより好ましい。
【0031】
定着画像の透光性を向上させるためには、特に固体エステルワックスが好ましく、該固体エステルワックスとしては、融点40〜100℃を有するものが好適に用いられる。
【0032】
離型剤は、重合性単量体100質量部に対して1〜40質量部、より好ましくは4〜30質量部含有されるのが良い。
【0033】
本発明のトナーは荷電制御剤を含有してもよい。
【0034】
荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、例えばトナーを負荷電性に制御するものとしては、有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ系染料金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類などがある。
【0035】
また、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、ケイ素化合物、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル−スルホン酸共重合体、非金属カルボン酸系化合物等が挙げられる。
【0036】
トナーを正荷電性に制御するものとしては、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など)、高級脂肪酸の金属塩、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド、ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートなどのジオルガノスズボレート類などがあり、これらを単独で或は2種類以上組合せて用いることができる。これらの中でも、ニグロシン系、4級アンモニウム塩の如き荷電制御剤が特に好ましく用いられる。
【0037】
これらの荷電制御剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.01〜20質量部、より好ましくは0.5〜10質量部使用するのが良い。
【0038】
本発明に用いることができる重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスメチルブチロニトリル等のアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ−α−クミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物系重合開始剤;過酸化水素、過硫酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩など)などの無機過酸化物、4価のセリウム塩などの酸化性金属塩などの酸化性物質と2価の鉄塩、1価の銅塩、3価のクロム塩等の還元性金属塩、アンモニア、低級アミン(メチルアミン、エチルアミン等の炭素数1〜6程度のアミン)、ヒドロキシルアミン等のアミノ化合物、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムハイドロサルファイト、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート等の還元性硫黄化合物、低級アルコール(炭素数1〜6程度)、アスコルビン酸又はその塩、および低級アルデヒド(炭素数1〜6程度)などの還元性物質との組み合わせからなるレドックス系開始剤を挙げることができる。開始剤は10時間半減期温度を参考に選択され単独又は混合し利用される。該重合開始剤の添加量は目的とする重合度により変化するが、一般的には重合性単量体100質量部に対し0.5〜20質量部が添加され用いられる。
【0039】
架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、4,4’−ジビニルビフェニル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能性化合物を挙げることができる。
【0040】
重合性単量体組成物を水性分散媒中に良好に分散させるための分散安定剤として、例えば無機系酸化物であるリン酸三カルシウム,リン酸マグネシウム,リン酸アルミニウム,リン酸亜鉛,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,水酸化カルシウム,水酸化マグネシウム,水酸化アルミニウム,メタケイ酸カルシウム,硫酸カルシウム,硫酸バリウム,ベントナイト,シリカ,アルミナ,チタニア等が挙げられる。有機系化合物としては例えばポリビニルアルコール,ゼラチン,メチルセルロース,メチルヒドロキシプロピルセルロース,エチルセルロース,カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩,デンプン等が挙げられる。分散安定剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜10.0質量部を使用することが好ましい。
【0041】
これら分散安定剤は、市販のものをそのまま用いても良いが、細かい均一な粒度を有する分散粒子を得るために、分散媒中高速撹拌下にて該無機化合物を生成させることもできる。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高速撹拌下の水中にリン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を投入混合することで懸濁重合方法に好適な分散剤を得ることができる。
【0042】
懸濁重合のように水性分散媒を用いる重合法の場合には、該重合性単量体組成物に極性樹脂を添加することにより、離型剤の内包化の促進を図ることができる。水性媒体に懸濁した重合性単量体組成物中に極性樹脂が存在した場合、水に対する親和性の違いから極性樹脂が水性媒体と重合性単量体組成物の界面付近に移行しやすいため、トナー表面に極性樹脂が偏在することになる。その結果トナー粒子はコア−シェル構造を有し、多量の離型剤を含有する場合でも離型剤の内包性が良好になる。
【0043】
該極性樹脂としては、トナー表面に偏在しシェルを形成した際に、極性樹脂自身のもつ流動性が期待できることから、特に飽和または不飽和のポリエステル系樹脂が好ましい。
【0044】
ポリエステル系樹脂としては、下記に挙げる酸成分単量体とアルコール成分単量体を縮合重合したものを用いることができる。酸成分単量体としてはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、しょうのう酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリット酸等を挙げることができる。アルコール成分単量体としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、等のアルキレングリコール類及びポリアルキレングリコール類、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等を挙げることができる。
【0045】
本発明により製造されるトナーを使用するにあたっては、各種特性付与を目的として外添剤を使用することができる。外添剤は、トナーに添加した時の耐久性の点から、トナー粒子の平均粒径の1/10以下の粒径であることが好ましい。この添加剤の粒径とは、電子顕微鏡による観察から求めたその平均粒径を意味する。外添剤としては、たとえば金属酸化物(酸化アルミニウム,酸化チタン,チタン酸ストロンチウム,酸化セリウム,酸化マグネシウム,酸化クロム,酸化錫,酸化亜鉛など)、窒化物(窒化ケイ素など)・炭化物(炭化ケイ素など)、無機金属塩(硫酸カルシウム,硫酸バリウム,炭酸カルシウムなど)、脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛,ステアリン酸カルシウムなど)、カーボンブラック、シリカなどが用いられる。
【0046】
これら外添剤は、トナー粒子100質量部に対し、0.01〜10質量部が用いられ、好ましくは0.05〜5質量部が用いられる。外添剤は単独で用いても、また複数併用しても良いがそれぞれ疎水化処理を行ったものがより好ましい。
【0047】
さらに本発明により製造されるトナーは、磁性材料を含有させ磁性トナーとしても使用しうる。この場合、磁性材料は着色剤の役割をかねることもできる。本発明において、磁性トナー中に含まれる磁性材料としてはマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄、鉄、コバルト、ニッケルのような金属或はこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金及びその混合物等が挙げられる。
【0048】
これらの強磁性体は平均粒径が2μm以下、好ましくは0.1〜0.5μm程度のものが好ましい。トナー中に含有させる量としては重合性単量体100質量部に対し約20〜200質量部、特に好ましくは重合性単量体100質量部に対し40〜150質量部が良い。
【0049】
また、800kA/m印加での磁気特性が保磁力(Hc)1.6〜24kA/m、飽和磁化(σs)50〜200Am/kg、残留磁化(σr)2〜20Am/kgのものが好ましい。
【0050】
また、これらの磁性体のトナー粒子中での分散性を向上させるために表面を疎水化処理することも好ましい。疎水化処理にはシランカップリング剤やチタンカップリング剤などのカップリング剤類が用いられるが、中でもシランカップリング剤が好ましく用いられる。シランカップリング剤としてはビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0051】
本発明のトナーは一成分及び二成分系現像剤として、いずれの現像方式にも使用できる。たとえば一成分系現像剤として磁性体をトナー中に含有せしめた磁性トナーの場合には、現像スリーブ中に内蔵せしめたマグネットを利用し磁性トナーを搬送及び帯電せしめる方法がある。また、磁性体を含有しない非磁性トナーを用いる場合には、ブレード及びファーブラシを用い現像スリーブにて強制的に摩擦帯電しスリーブ上にトナーを付着させることで搬送せしめる方法がある。
【0052】
一方、一般的に利用されている二成分系現像剤として用いる場合には、本発明により得られるトナーと共に、キャリアを用い現像剤として使用する。本発明に使用されるキャリアとしては特に限定されるものではないが、主として鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム元素からなる単独及び複合フェライト状態で構成される。飽和磁化、電気抵抗を広範囲にコントロールできる点からキャリア形状も重要であり、たとえば球状、扁平、不定形などを選択し、更にキャリア表面状態の微細構造たとえば表面凸凹性をもコントロールすることが好ましい。一般的には上記無機酸化物を焼成、造粒することにより、あらかじめキャリアコア粒子を生成した後、樹脂をコーティングする方法が用いられているが、キャリアのトナーへの負荷を軽減する意味合いから、無機酸化物と樹脂を混練後、粉砕、分級して低密度分散キャリアを得る方法や、さらには直接無機酸化物とモノマーとの混練物を水性媒体中にて懸濁重合せしめ真球状分散キャリアを得る重合キャリアを得る方法なども利用することが可能である。
【0053】
上記キャリアの表面を樹脂等で被覆する系は特に好ましい。その方法としては樹脂等の被覆材を溶剤中に溶解もしくは懸濁せしめて塗布しキャリアに付着せしめる方法、単に粉体で混合する方法等、従来公知の方法がいずれも適用できる。キャリア表面への固着物質としてはトナー材料により異なるが、例えばポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ジ−tert−ブチルサリチル酸の金属化合物、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアシド、ポリビニルブチラール、ニグロシン、アミノアクリレート樹脂、塩基性染料及びそのレーキ、シリカ微粉末、アルミナ微粉末などを単独或は複数で用いるのが適当であるが必ずしもこれに制約されない。
【0054】
上記化合物の処理量は一般には総量でキャリア100質量部に対し0.1〜30質量部、好ましくは0.5〜20質量部である。
【0055】
これらキャリアの平均粒径は10〜100μm、より好ましくは20〜50μmであることが望ましい。
【0056】
該キャリアの特に好ましい態様としては、Cu−Zn−Feの3元系のフェライトであり、その表面をフッ素系樹脂とスチレン系樹脂の如き樹脂の組み合せ、例えばポリフッ化ビニリデンとスチレン−メチルメタクリレート樹脂、ポリテトラフルオロエチレンとスチレン−メチルメタクリレート樹脂、フッ素系共重合体とスチレン系共重合体などを90:10〜20:80、好ましくは70:30〜30:70の比率の混合物としたもので0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜1質量%コーティングし、250メッシュパス、400メッシュオンのキャリア粒子が70質量%以上ある上記平均粒径を有するコートフェライトキャリアであるものが挙げられる。該フッ素系共重合体としてはフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(10:90〜90:10)が例示され、スチレン系共重合体としてはスチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル(20:80〜80:20)、スチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸メチル(20〜60:5〜30:10〜50)が例示される。
【0057】
上記コートフェライトキャリアは粒径分布がシャープであり、本発明のトナーに対し好ましい摩擦帯電性が得られ、さらに電子写真特性を向上させる効果がある。
【0058】
本発明におけるトナーと混合して二成分現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として2質量%〜15質量%、好ましくは4質量%〜13質量%にすると通常良好な結果が得られる。トナー濃度が2質量%未満では画像濃度が低く実用不可となり、15質量%を超えるとカブリや機内飛散を増加せしめ現像剤の耐用寿命を短める。
【0059】
さらに、該キャリアの磁性特性は以下のものが良い。磁気的に飽和させた後の80kA/mにおける磁化の強さは30〜300Am/kgであることが必要である。さらに高画質化を達成するために好ましくは35〜250Am/kgであることがよい。300Am/kgより大きい場合には高画質なトナー画像が得られにくくなる。30Am/kg未満であると磁気的な拘束力が減少するためにキャリア付着を生じやすい。
【0060】
本発明に用いられる造粒装置の一様態を図1を用いて説明する。図1は造粒装置の断面を表わし、図中符号1は円筒形の処理容器、符号2は処理容器と同軸の円筒形状を有し回転軸と連結された攪拌部材、符号3は攪拌部材の回転軸、符号4は攪拌モーター、符号5は処理容器の内周に沿って配置された堰板状の処理液膜厚規制部材、符号6は処理液の流入口、符号7は処理液の流出口、符号8は攪拌部材の回転により処理液内壁に圧着された処理液膜を示す。また符合aは該処理液膜厚規制部材の処理容器内壁面からの高さ、符号bは処理容器の断面半径と該攪拌部材の回転半径との差をそれぞれ示す。
【0061】
ここに処理液膜厚規制部材の処理容器内壁面からの高さaおよび処理容器の断面半径と攪拌部材の回転半径との差bの関係は0.2≦b/a≦1.2である。b/a<0.2の場合には攪拌部材の外端の処理液膜への侵入が大きくなるために処理液への剪断力の付与が部分により異なる履歴を持つこととなり、結果として得られる重合性単量体組成物懸濁液滴の粒径分布が広くなるため好ましくない。また1.2<b/aの場合には攪拌部材から処理液へのエネルギーの伝達が効率よく行われないためやはり好ましくない。
【0062】
処理液膜厚規制部材の処理容器内壁面からの高さaは1mm≦a≦50mmとすることが好ましい。aが1mmより小さいと形成される処理液膜の膜厚が薄くなりすぎ、処理容器の容積に対し実際に処理できる量が小さくなり生産効率が著しく減少する。また、必然的に処理容器内壁と攪拌部材外端の間の距離が近くなりすぎるため装置の製作上高い精度が必要となってしまうため好ましくない。aが50mmより大きい場合には均一な処理液膜を形成するために攪拌部材外端により大きな周速を与える必要が生じるためやはり好ましくない。
【0063】
処理液としての重合性単量体組成物および水性分散媒はポンプなどの手段を用いて所定の比率で前記処理容器の流入口を通じて造粒装置内に導入される。このとき処理液は各々独立の経路から流入口へと導入されてもよいし、予め重合性単量体組成物が水性分散媒中に分散された状態であってもよい。このとき処理液の造粒装置への流入速度は処理容器内での平均滞留時間が0.2分以上かつ5分以下となるように設定されることが望ましい。平均滞留時間が0.2分より小さくなるような速度で処理液を流入させた場合、処理液には部分的に十分な剪断力を受けないまま装置外へ流出してしまういわゆるショートパスが発生し、結果として粒度分布が広くなってしまい好ましくない。また、平均滞留時間が5分より大きい場合には、処理液が過分な剪断力を受けるため微粉量の割合が大きくなりすぎてしまう。また、必然的に時間あたりの処理量が減ることになるためやはり好ましくない。流入口から導入された処理液は処理容器内壁に圧着されたまま上昇し処理液膜厚規制部材を越えて流出口から造粒装置外へ排出される。
【0064】
重合性単量体組成物懸濁液の液滴粒度分布は攪拌部材が回転する際の外端の周速によっても変化する。攪拌部材外端の好適な周速は処理液の物性、平均滞留時間および攪拌部材の形状などにより一概には言えないが、一般的には10m/秒以上かつ50m/秒以下程度であればよい。周速が10m/秒より小さいと均一な処理液膜が形成されづらく、処理液の受ける剪断力にも部分的なばらつきが生じるため結果的に粒度分布広くなり好ましくない。周速が50m/秒より大きいと処理液が過度な剪断力を受け微粉量が多くなりすぎるほか、処理容器内での発熱が大きくなるため処理液の内容によっては危険を伴うことになるためやはり好ましくない。
【0065】
(実施例)
以下、本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらによってなんら限定されるものではない。
【0066】
実施例中においては以下の各測定方法を用いた。
【0067】
(1)粒度分布および体積平均粒径の測定
1質量%塩化ナトリウム水溶液100〜150ml中に界面活性剤としてアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜5ml加え、さらに測定試料を0.5〜50mg加えた。この溶液を、超音波分散機で約1〜3分間分散処理を行ったのち、コールターマルチサイザー(コールター社製)により、100μmアパチャーを用いて2〜40μmの粒子の粒度分布を測定し体積平均分布、個数平均分布を求めこれより体積平均粒径を得た。
【0068】
(2)画質
▲1▼カラー二成分系現像剤の画質評価
得られたトナー粒子に対して、BET法で測定した比表面積が200m/gである疎水性シリカ微粉体を0.7質量%となるよう外添した。この外添されたトナーが8質量%となるように、アクリル樹脂でコートされたフェライトキャリアを混合し、カラー二成分系現像剤を得た。この現像剤を変動のない環境下において、キヤノン製フルカラー複写機CLC700の改造機を用いて連続通紙による画出し耐久試験を行い、目視にて画像濃度の変動やムラ等を評価した。
【0069】
▲2▼モノクロ一成分系現像剤の画質評価
得られたトナー粒子に対して、BET法で測定した比表面積が250m/gである疎水性シリカ微粉体を1.2質量%となるよう外添しモノクロ一成分系現像剤を得た。この現像剤を変動のない環境下において、キヤノン製レーザープリンターLBP−1760の改造機を用いて連続通紙による画出し耐久試験を行い、目視にて画像濃度の変動やムラ等を評価した。
【0070】
(3)カブリの測定
カブリの測定は、REFLECTROMETER MODEL TC−6DS(東京電色社製)を使用して測定し、下記式より算出した。数値が小さいほど、カブリが少ない。
【0071】
カブリ(反射率)(%)=標準紙の反射率(%)−サンプルの非画像部の反射率(%)
(実施例1)
下記のようにして水性分散媒及び重合性単量体組成物を各々調製した。
【0072】
(水性分散媒の調製)
内容積2リットルの容器中で下記の成分を混合した。
【0073】
水 98.4質量部
NaPO 1.0質量部
次に容器内に窒素ガスを導入し容器内気相部の酸素濃度を0.5%以下とした後、CaCl0.6質量部を添加してT.K.ホモディスパー(特殊機化工業(株)製)を用いて回転数2000回転/分で30分間撹拌を行いCa(POの微粒子の水懸濁液を得た。ついでこれを緩やかに攪拌しながら60℃まで加温して水性分散媒を得た。
【0074】
(重合性単量体組成物の調製)
スチレン単量体 61.8質量部
n−ブチルアクリレート単量体 14.8質量部
キナクリドン系顔料 7.0質量部
不飽和ポリエステル樹脂 4.4質量部
ジビニルベンゼン 0.3質量部
ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.9質量部
エステルワックス 10.8質量部
上記した成分のうちスチレン単量体の一部、キナクリドン系顔料、ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物を混合しハンディミル(三井鉱山(株)製)を用い5時間分散させた後、スチレン単量体の残部、その他の組成物を加えて60℃に加温して十分に相溶するまで混合し重合性単量体組成物とした。
【0075】
(造粒工程)
処理液膜厚規制部材の処理容器内壁面からの高さaを5mmとし、処理容器の断面半径と攪拌部材の回転半径との差bとの関係をb/a=1となるように調節したT.K.フィルミックス(特殊機化工業(株)製)に水性分散媒、重合性単量体組成物および前述の重合性単量体組成物100質量部に対して2.6質量部の2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)をその4倍量のスチレンに溶解したものを流量比が23.1:7.7:1で総流入量を造粒装置内での平均滞留時間が1分となるように設定し、攪拌部材をその外端の周速が30m/秒となるように回転させ造粒を行い重合性単量体組成物懸濁液を得た。
【0076】
(重合工程)
造粒装置から流出してくる重合性単量体組成物懸濁液を加熱攪拌可能な重合容器に連続的に導入し、液温60℃で攪拌しながら重合を行った。5時間経過後、重合温度を80℃に昇温し加熱撹拌をさらに4時間継続して重合を完了させた。懸濁液が降温した後、重合容器から排出された重合体組成物懸濁液に希塩酸を添加してトナー粒子表面を覆った分散剤を溶解し、固液分離後、水洗、ろ過、乾燥することにより重合トナー粒子を得た。
【0077】
(トナーの評価)
トナー粒子の粒度分布を測定したところ、体積平均粒径は7.5μmで、粒度分布もシャープであった。
【0078】
次に、得られたトナー粒子に疎水性シリカを外添し、アクリル樹脂で被覆したフェライトキャリアを混合して2成分系の現像剤とした。20000枚の画出し試験を行ったところカブリは0.9%で終始画像濃度に変動もムラもなく、鮮明且つ定着性の優れた画像が安定して得られた。
【0079】
(比較例1)
処理液膜厚規制部材の処理容器内壁面からの高さaと処理容器の断面半径と攪拌部材の回転半径との差bとの関係をb/a=0.1となるように調節した他は実施例1と全く同様に行いトナー粒子を得た。トナー粒子の体積平均粒径は7.8μmで、粒度分布は実施例1と比べ微粉粗粉ともにかなり多い分布であった。
次に、実施例1と同様に20000枚の画出し試験を行ったところカブリは2.3%で比較的早い時期から白い筋や濃度ムラが発生した。
【0080】
(比較例2)
処理液膜厚規制部材の処理容器内壁面からの高さaと処理容器の断面半径と攪拌部材の回転半径との差bとの関係をb/a=1.3となるように調節した他は実施例1と全く同様に行いトナー粒子を得た。トナー粒子の体積平均粒径は8.0μmで、粒度分布は実施例1と比べ微粉粗粉ともにかなり多い分布であった。
次に、実施例1と同様に20000枚の画出し試験を行ったところカブリは3.0%で比較的早い時期から白い筋や濃度ムラが発生した。
【0081】
(実施例2)
下記のようにして水系分散媒及び重合性単量体組成物を各々調製した。
【0082】
(水性分散媒の調製)
組成を下記のようにした以外は実施例1と全く同様にして水系分散媒を調製した。
【0083】
水 98.1質量部
NaPO 1.2質量部
CaCl 0.7質量部
(重合性単量体組成物の調製)
スチレン単量体 38.4質量部
n−ブチルアクリレート単量体 10.8質量部
シランカップリング処理磁性酸化鉄粒子 44.3質量部
不飽和ポリエステル樹脂 2.0質量部
飽和ポリエステル樹脂 0.5質量部
モノアゾ系染料鉄化合物 0.5質量部
エステルワックス 2.0質量部
上記の成分を加熱可能な容器に投入し、60℃に加温してT.K.ホモディスパー(特殊機化工業(株))で回転数2000rpm、30分間攪拌を行い重合性単量体組成物とした。
【0084】
(予備分散工程)
重合性単量体組成物を水性分散媒中に投入しT.K.ホモディスパーで3000rpm、5分間攪拌を行い予備分散液を得た。工程中液温は60℃に保ってあった。
【0085】
(造粒工程)
処理液膜厚規制部材の処理容器内壁面からの高さaを5mmとし、処理容器の断面半径と攪拌部材の回転半径との差bとの関係をb/a=1となるように調節したT.K.フィルミックス(特殊機化工業(株)製)に上記の予備分散液および前述の重合性単量体組成物100質量部に対して1.5質量部のベンゾイルパーオキサイドをその6倍量の水に懸濁させたものを流量比が38:1で総流入量が造粒装置内での平均滞留時間が1分となるように設定し、攪拌部材をその外端の周速が30m/秒となるように回転させ造粒を行い重合性単量体組成物懸濁液を得た。
【0086】
(重合工程)
造粒装置から流出してくる重合性単量体組成物懸濁液を加熱攪拌可能な重合容器に連続的に導入し、液温60℃で攪拌し重合を開始した。直後から1時間かけて重合温度を80℃に昇温し加熱撹拌をさらに5時間継続して重合を完了させた。降温後、重合容器から排出された重合体組成物懸濁液に希塩酸を添加してトナー粒子表面を覆った分散剤を溶解し、固液分離後、水洗、ろ過、乾燥することにより重合トナー粒子を得た。
【0087】
(トナーの評価)
トナー粒子の粒度分布を測定したところ、体積平均粒径は7.3μmで、粒度分布もシャープであった。
【0088】
次に得られたトナー粒子に疎水性シリカを外添し一成分系の現像剤とした。20000枚の画出し試験を行ったところカブリは0.8%で終始画像濃度に変動もムラもなく、鮮明且つ定着性の優れた画像が安定して得られた。
【0089】
(比較例3)
造粒工程における造粒装置への総流入量が造粒装置内での平均滞留時間が0.1分となるように設定した他は実施例2と全く同様に行いトナー粒子を得た。トナー粒子の体積平均粒径は8.5μmで、粒度分布は実施例2と比べかなり広く、特に粗粉の量が多かった。
【0090】
次に、実施例2と同様に20000枚の画出し試験を行ったところカブリは2.5%で比較的早い時期から白い筋や濃度ムラが発生した。
【0091】
(比較例4)
造粒工程における造粒装置への総流入量が造粒装置内での平均滞留時間が6分となるように設定した他は実施例2と全く同様に行いトナー粒子を得た。トナー粒子の体積平均粒径は6.4μmで、粒度分布は実施例2と比べかなり広く、特に微粉の量が多かった。
【0092】
次に、実施例2と同様に20000枚の画出し試験を行ったところカブリは2.7%で比較的早い時期から白い筋や濃度ムラが発生した。また感光体へのフィルミングも観察された。
【0093】
【発明の効果】
本発明によれば粒度分布が狭いために良好な画像が得られ、感光体などへのフィルミングも発生せず、また分級による損失がほとんどないために生産性に優れた重合法トナーの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる造粒装置を説明する図である。
【符号の説明】
1 処理容器
2 攪拌部材
3 回転軸
4 攪拌モーター
5 処理液膜厚規制部材
6 処理液流入口
7 処理液流出口
8 処理液膜
a 処理液膜厚規制部材の処理容器内壁面からの高さ
b 処理容器の断面半径と該攪拌部材の回転半径との差

Claims (6)

  1. 少なくとも重合性単量体および着色剤を含む重合性単量体組成物を水性分散媒中に分散させ重合性単量体組成物懸濁液を得る造粒工程を有し、次いで該重合性単量体組成物懸濁液を重合させることにより得られる重合法トナーを製造する方法において、該造粒工程に用いる造粒装置が回転する攪拌部材およびこれを取り囲むように設置された該攪拌部材の回転軸と同心の円形断面を有する処理容器からなり、前記攪拌部材の回転により生じる遠心力によって処理液を該処理容器の内壁へと圧着させて旋回する膜状とすることにより分散を行う装置であり、該処理容器の一端に処理液の流入口を他端に処理液の流出口を有し、該流出口の直前には前記処理容器の内周に沿って配置された堰板状の処理液膜厚規制部材を有し、該処理液膜厚規制部材の処理容器内壁面からの高さaおよび該処理容器の断面半径と該攪拌部材の回転半径との差bの関係が0.2≦b/a≦1.2であることを特徴とする重合法トナーの製造方法。
  2. 処理液膜厚規制部材の処理容器内壁面からの高さaが1mm≦a≦50mmであることを特徴とする請求項1に記載の重合法トナーの製造方法。
  3. 重合性単量体組成物および水性分散媒を所定の比率で同時に造粒装置へと流入させることを特徴とする請求項1または2に記載の重合法トナーの製造方法。
  4. 重合開始剤を有機溶媒または水性分散媒の溶媒または分散液として、重合性単量体組成物と所定の比率で同時に造粒装置へと流入させることを特徴とする請求項1〜3に記載の重合法トナーの製造方法。
  5. 重合性単量体組成物を水性分散媒中に予め分散させた後に造粒工程を行うことを特徴とする請求項1〜4に記載の重合法トナーの製造方法。
  6. 造粒装置内の処理液の平均滞留時間が0.2分以上5分以下であることを特徴とする請求項1〜5に記載の重合法トナーの製造方法。
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