JP2009184194A - タイヤ加硫成形用金型の排気装置、タイヤ成形用金型、及びこのタイヤ加硫成形用金型を用いて製造したタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】シリンダーからのバルブ本体の浮き上がりや、脱落等のトラブルを減少させることが出来るタイヤ加硫成形用金型の排気装置、タイヤ成形用金型、及びこのタイヤ加硫成形用金型を用いて製造したタイヤの提供。
【解決手段】バルブ本体の嵌合領域部の外径をd、バルブ本体の嵌合領域部が嵌合するシリンダー6の排気穴下部の嵌合凹部6aの内径をDとした場合、D<dの関係係となるように構成し、また、前記バルブ本体の嵌合領域部の高さをh、バルブ本体の嵌合領域が嵌合するシリンダー6の排気穴下部の嵌合凹部6aの高さをHとした場合、h≦Hの関係となるように構成する。バルブ本体をシリンダー6に装着する際、バルブ本体の嵌合領域部は圧縮変形を受けながら、シリンダー6の排気穴下部の嵌合凹部6a内に挿入される際、シリンダー6の嵌合凹部6aより上に在る部分は径方向に膨張した状態でバルブヘッド方向に押し上げられる。
【選択図】図2
【解決手段】バルブ本体の嵌合領域部の外径をd、バルブ本体の嵌合領域部が嵌合するシリンダー6の排気穴下部の嵌合凹部6aの内径をDとした場合、D<dの関係係となるように構成し、また、前記バルブ本体の嵌合領域部の高さをh、バルブ本体の嵌合領域が嵌合するシリンダー6の排気穴下部の嵌合凹部6aの高さをHとした場合、h≦Hの関係となるように構成する。バルブ本体をシリンダー6に装着する際、バルブ本体の嵌合領域部は圧縮変形を受けながら、シリンダー6の排気穴下部の嵌合凹部6a内に挿入される際、シリンダー6の嵌合凹部6aより上に在る部分は径方向に膨張した状態でバルブヘッド方向に押し上げられる。
【選択図】図2
Description
この発明は、タイヤ加硫成形用金型の排気装置、タイヤ成形用金型、及びこのタイヤ成形用金型を用いて製造したタイヤに係わり、更に詳しくはシリンダー及びバルブの嵌合部の寸法を特定することで、シリンダーからのバルブ本体の浮き上がりや、脱落等のトラブルを減少させることが出来るタイヤ加硫成形用金型の排気装置、タイヤ成形用金型、及びこのタイヤ加硫成形用金型を用いて製造したタイヤに関するものである。
従来、タイヤ加硫工程で使用されるタイヤ成形用金型には、タイヤ加硫成形時に金型内面と未加硫タイヤとの間に残留したエアーや、加硫時に発生するガスを金型外部に排気させるために、ベントホールと呼称される多数の細い排気穴が形成されている。
この多数のベントホールは、一般的に金型のエアーが残り易い箇所に加工され、例えば、ビードヒール、リムクション、サイド部等に対応する金型の同一周上の8ヶ所以上に加工されており、周列数はタイヤ形状によって異なっている。また、タイヤトレッド部の溝に囲まれた金型のデザインブロック内のベントホールは、1ヶ所以上加工されている。
然しながら、多数のベントホールを備えた金型によりタイヤを加硫成形すると、多数のベントホールに加硫ゴムが流れ込み、製品タイヤの表面には多数の髭状の突起(スピュー)が発生する。このため、タイヤ成形後のタイヤ仕上げ工程では、上記のスピューを切除する作業が不可欠となり、作業性及び生産性を阻害させるばかりか、切除したスピューの屑が多数散らばって作業環境を悪化させ、更に製品タイヤの外観を向上させることが難しいと言う問題があった。
そこで、近年ではスピュー屑の廃止(環境改善)や、タイヤの外観向上への要望から、加硫直後のタイヤ表面に前記スピューを発生させないようにした排気装置や、エアー抜き穴に弁を設けた加硫金型が提案されている(例えば、特許文献1,特許文献2参照)。
然しながら、このような排気装置等は、シリンダーの内径とバルブ本体の外径との嵌合寸法が特定されておらず、タイヤの加硫中や加硫後にシリンダーからバルブ本体が浮き上がったり、脱落すると言うトラブルが発生し、その都度、補修したり、セットし直し等の作業を行う必要があった。
この結果、シリンダーの排気穴に嵌合する樹脂製のバルブ本体との間隙にタイヤ加硫時に発生する不純物が残留し易く、排気効率が極めて悪い上に耐久性の面で問題があった。
特開平9−314567号公報
特開2001−232642公報
この発明はかかる従来の問題点に着目し、シリンダー及びバルブの嵌合部の寸法を特定することで、シリンダーからのバルブの浮き上がりや、脱落等のトラブルを減少させることが出来、金型の補修作業やセットし直し等の作業を省略することが出来る結果、生産性の向上を図ることが出来、また排気効率を高めると共に耐久性を向上させることが出来るタイヤ加硫成形用金型の排気装置、タイヤ成形用金型、及びこのタイヤ加硫成形用金型を用いて製造したタイヤを提供することを目的とするものである。
この発明は上記目的を達成するため、この発明のタイヤ加硫成形用金型の排気装置は、タイヤ加硫成形用金型に形成された多数のベントホールに、中心部に筒状の排気穴を形成した円筒状のシリンダーと、このシリンダーの排気穴内にシリンダーの内壁面と所定の間隙を隔てて挿入した樹脂製のバルブ本体とで構成した排気プラグを着脱可能に装着し、前記円筒状のシリンダーの側面の周方向に、前記排気穴に連通する少なくとも一つ以上の貫通穴を形成し、前記樹脂製のバルブ本体の側面に、前記貫通穴と連通可能な所定幅で、かつ所定の深さの環状凹溝を形成し、この環状凹溝を境としてその下部のバルブ本体に、前記シリンダーの排気穴下部の嵌合凹部との嵌合領域部を形成して成るタイヤ加硫成形用金型の排気装置であって、前記バルブ本体の嵌合領域部の外径を(d)、バルブ本体の嵌合領域部が嵌合するシリンダーの排気穴下部の嵌合凹部の内径を(D)とした場合、((D)<(d))の関係となるように構成したことを要旨とするものである。
ここで、前記バルブ本体の嵌合領域部の高さを(h)、バルブ本体の嵌合領域が嵌合するシリンダーの排気穴下部の嵌合凹部の高さを(H)とした場合、「(h)≦(H)」の関係となるように構成するものである。
また、前記バルブ本体の嵌合領域部の環状凹溝との境界における傾斜角度(θ)を、90°以上の鈍角に形成し、前記バルブ本体の嵌合領域部の外径(d)と、バルブ本体の外径(d')及びバルブヘッド部の外径(d'') を同一径にすることも可能である。
更に前記シリンダーの排気穴の下部に、バルブストッパーを設けたり、バルブ本体の嵌合領域部の先端側を、先端に向かって順次小径となるテーパ状に形成することも可能であり、また、前記バルブ本体の嵌合領域部の先端側の形状を、円錐状または面取り加工を施すことも可能である。
また、タイヤ加硫成形用金型に形成された多数のベントホールに、上記の排気装置をそれぞれ配設してタイヤ加硫成形用金型とすることが出来、またこのタイヤ加硫成形用金型を用いて外観の良好なタイヤを製造することも可能である。
このように構成することで、シリンダーからのバルブ本体の浮き上がりや、脱落等のトラブルを減少させることが出来、金型の補修作業やセットし直し等の作業を省略することが出来る結果、生産性の向上を図ることが出来、また排気効率を高めると共に耐久性を向上させることが出来る。
この発明は上記のように構成したので、シリンダーからのバルブ本体の浮き上がりや、脱落等のトラブルを減少させることが出来、金型の補修作業やセットし直し等の作業を省略することが出来る結果、生産性の向上を図ることが出来、また排気効率を高めると共に耐久性を向上させる効果があり、またタイヤ加硫成形時に、タイヤ表面にスピューを発生させることなく外観の良好なタイヤを成形できる効果がある。
以下、添付図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。
図1はこの発明を実施したタイヤ加硫成形用金型のベントホールに装着した排気装置の一部拡大断面図を示し、前記タイヤ成形用金型の金型1には、タイヤ加硫成形時に、金型1とタイヤWとの間に溜まった空気やガスQを排気するための多数のベントホール2が形成されている。
前記各ベントホール2は、この実施形態では金型1の内面1aから金型外部1bに向かって貫通し、この各ベントホール2内には排気プラグ4が着脱可能に装着されている。前記排気プラグ4は、前記ベントホール2に着脱可能に装着される中心部に筒状の排気穴5を形成した円筒状のシリンダー6と、このシリンダー6の排気穴5内に所定の間隙tを隔てて挿入された樹脂製のバルブ本体7とで構成され、このような構成によりこの発明のタイヤ加硫成形用金型の排気装置を構成するものである。
前記円筒状のシリンダー6は、図2及び図3に示すようにシリンダー6の側面の周方向に、前記排気穴5に連通する少なくとも一つ以上の貫通穴8a,8b(この実施形態では180°対称位置に二箇所設けてあるが、数には限定されるものではない)が形成してあり、前記樹脂製のバルブ本体7の側面には、図4及び図5に示すように、前記貫通穴8a,8bと連通可能な所定幅Lで、かつ所定の深さPの環状凹溝9が形成してある。
前記バルブ本体7の環状凹溝9を境として、その下部のバルブ本体7に前記シリンダー6の排気穴下部の嵌合凹部6aとの嵌合領域部7xが形成してある。
そして、この発明の実施形態では、前記バルブ本体7の嵌合領域部7xの外径を(d)、バルブ本体7の嵌合領域部7xが嵌合するシリンダー6の排気穴下部の嵌合凹部6aの内径を(D)とした場合、((D)<(d))の関係、即ち、バルブ本体7の脱落防止のために、「シマリバメ」の関係となるように構成してある。
また、前記バルブ本体7の嵌合領域部7xの高さを(h)、バルブ本体7の嵌合領域7xが嵌合するシリンダー6の排気穴下部の嵌合凹部6aの高さを(H)とした場合、「(h)≦(H)」の関係となるように構成してある。バルブ本体7をシリンダー6に装着する際、バルブ本体7の嵌合領域部7xは圧縮変形を受けながら、シリンダー6の排気穴下部の嵌合凹部6a内に挿入されるが、この際、シリンダー6の嵌合凹部6aより上に位置する部分は径方向に膨張した状態でバルブヘッド7a方向に押し上げられる。
従って、シリンダー6の嵌合凹部6aの長さ、即ち、高さを(H)とした場合、この高さを(H)よりバルブ本体7の嵌合領域部7xの高さを(h)が長いと、バルブ本体7側の押し上げ変形を受けた部分のシリンダー6の嵌合凹部6a内への収まりが悪く、バルブ本体7とシリンダー6との嵌合状態が不安定になり、経時変化や、加硫時の加熱の影響でバルブ本体7がシリンダー6から離脱する可能性が高くなるため、上記のように(h)≦(H)の関係となるように構成することが好ましい。
また、この発明の実施形態では、前記バルブ本体7の嵌合領域部7xの環状凹溝9との境界における傾斜角度(θ)を、図4に示すように、90°以上の鈍角に形成することで、図6(a),(b)の(加熱前)、図7(a),(b)の(加熱後)及び図8(a),(b)の(加熱前),(加熱後)に示すように、バルブ本体7の挿入時のバルブ嵌合部上端(肩)付近のバルブヘッド7a方向への変形を抑制するため、バルブ嵌合部上端(肩)付近のシリンダー6の嵌合凹部6a内への収まりが良くなるものである。
更に、図2〜図5に示すように、前記バルブの嵌合領域部の外径(d)と、バルブ本体7の外径(d')及びバルブヘッド部の外径(d'') を同一径にすることで加工性が向上し、更に前記シリンダー6の排気穴5の下部に、L字状のバルブストッパー部10を設けることで、バルブ本体7の陥没を防止することが出来る。
また、バルブ本体7の嵌合領域部7aの先端側を、先端に向かって順次小径となるテーパ状に形成したり(図4の鎖線部分を参照)、先端側の形状を、円錐状または面取り加工を施すことで、バルブ本体7の嵌合領域部7xのシリンダー6の嵌合凹部6a内への挿入作業性、即ち、摩擦抵抗を小さくして挿入時の作業性を改善することが出来る。
そして、上記のように形成された各実施形態の排気装置を、タイヤ加硫成形用金型の金型1に形成された多数のベントホール2に着脱可能に装着することで、タイヤ加硫成形用金型を構成するものである。
更に、上記のような多数のベントホール2に排気装置を着脱可能に装着したタイヤ加硫成形用金型を用いて製造したタイヤWを図9に示している。このタイヤWは、タイヤ加硫時における溶融状態の加硫ゴムがベントホール2内に流れ込むことはなく、従ってスピューの発生はなく、微細な痕跡Sのみであって外観の良好なタイヤWを製造することが出来るものである。
1 タイヤ成形用金型の金型
1a 金型の内面
1b 金型外部
2 ベントホール
4 排気プラグ
5 排気穴
6 シリンダー
6a 嵌合凹部
7 バルブ本体
7x 嵌合領域部
8a,8b 貫通穴
9 環状凹溝
10 バルブストッパー部
t 間隙
W タイヤ
Q ガス
1a 金型の内面
1b 金型外部
2 ベントホール
4 排気プラグ
5 排気穴
6 シリンダー
6a 嵌合凹部
7 バルブ本体
7x 嵌合領域部
8a,8b 貫通穴
9 環状凹溝
10 バルブストッパー部
t 間隙
W タイヤ
Q ガス
Claims (9)
- タイヤ加硫成形用金型に形成された多数のベントホールに、中心部に筒状の排気穴を形成した円筒状のシリンダーと、このシリンダーの排気穴内にシリンダーの内壁面と所定の間隙を隔てて挿入した樹脂製のバルブ本体とで構成した排気プラグを着脱可能に装着し、前記円筒状のシリンダーの側面の周方向に、前記排気穴に連通する少なくとも一つ以上の貫通穴を形成し、前記樹脂製のバルブ本体の側面に、前記貫通穴と連通可能な所定幅で、かつ所定の深さの環状凹溝を形成し、この環状凹溝を境としてその下部のバルブ本体に、前記シリンダーの排気穴下部の嵌合凹部との嵌合領域部を形成して成るタイヤ加硫成形用金型の排気装置であって、
前記バルブ本体の嵌合領域部の外径を(d)、バルブの嵌合領域部が嵌合するシリンダーの排気穴下部の嵌合凹部の内径を(D)とした場合、((D)<(d))の関係となるように構成したことを特徴とするタイヤ加硫成形用金型の排気装置。 - 前記バルブ本体の嵌合領域部の高さを(h)、バルブ本体の嵌合領域が嵌合するシリンダーの排気穴下部の嵌合凹部の高さを(H)とした場合、「(h)≦(H)」の関係となるように構成した請求項1に記載のタイヤ加硫成形用金型の排気装置。
- 前記バルブ本体の嵌合領域部の環状凹溝との境界における傾斜角度(θ)を、90°以上の鈍角に形成した請求項1または2に記載のタイヤ加硫成形用金型の排気装置。
- 前記バルブ本体の嵌合領域部の外径(d)と、バルブ本体の外径(d')及びバルブヘッド部の外径(d'') を同一径にした請求項1,2または3に記載のタイヤ加硫成形用金型の排気装置。
- 前記シリンダーの排気穴の下部に、バルブストッパーを設けた請求項1,2,3または4に記載のタイヤ加硫成形用金型の排気装置。
- 前記バルブ本体の嵌合領域部の先端側を、先端に向かって順次小径となるテーパ状に形成した請求項1,2,3,4または5に記載のタイヤ加硫成形用金型の排気装置。
- 前記バルブ本体の嵌合領域部の先端側の形状を、円錐状または面取り加工を施した請求項1,2,3,4または5に記載のタイヤ加硫成形用金型の排気装置。
- タイヤ加硫成形用金型に形成された多数のベントホールに、請求項1〜7に記載の排気装置をそれぞれ配設したことを特徴とするタイヤ加硫成形用金型。
- 請求項8に記載のタイヤ加硫成形用金型を用いて製造したタイヤ。
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JP2008025347A JP2009184194A (ja) | 2008-02-05 | 2008-02-05 | タイヤ加硫成形用金型の排気装置、タイヤ成形用金型、及びこのタイヤ加硫成形用金型を用いて製造したタイヤ |
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Cited By (4)
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JP2012176517A (ja) * | 2011-02-25 | 2012-09-13 | Yokohama Rubber Co Ltd:The | タイヤ加硫用モールド |
FR2996799A1 (fr) * | 2012-10-17 | 2014-04-18 | Michelin & Cie | Piece pour un moule pour pneumatique comportant un insert |
CN113210569A (zh) * | 2020-10-19 | 2021-08-06 | 朴大根 | 铸造模具用通风器 |
-
2008
- 2008-02-05 JP JP2008025347A patent/JP2009184194A/ja active Pending
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