JP4507818B2 - タイヤ成形用金型及びタイヤ成形用金型のベントホールに使用するプラグ - Google Patents

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Description

この発明は、タイヤ成形用金型及びタイヤ成形用金型のベントホールに使用するプラグにかかわり、更に詳しくはタイヤ加硫成形時のタイヤ加硫成形時の排気効率を高めると共に耐久性を向上させることが出来るタイヤ成形用金型及びタイヤ成形用金型のベントホールに使用するプラグに関するものである。
従来、タイヤ加硫工程で使用されるタイヤ成形用金型には、タイヤ加硫成形時に金型内面と未加硫タイヤとの間に残留したエアーや加硫時に発生するガスを金型外部に排気させるために、ベントホールと呼称される多数の細い排気穴が形成されている。
この多数のベントホールは、一般的に金型のエアーが残り易い箇所に加工され、例えば、ビードリング、リムクション、サイド部等に対応する金型の同一周上の8ヶ所以上に加工されており、周列数はタイヤ形状によって異なっている。また、タイヤトレッド部の溝に囲まれた金型のデザインブロック内のベントホールは、1ヶ所以上加工されている。
然しながら、多数のベントホールを備えた金型によりタイヤを加硫成形すると、多数のベントホールに加硫ゴムが流れ込み、製品タイヤの表面には多数の髭状の突起(スピュー)が発生する。このため、タイヤ成形後のタイヤ仕上げ工程では、上記のスピューを切除する作業が不可欠となり、作業性及び生産性を阻害させるばかりか、切除したスピューの屑が多数散らばって作業環境を悪化させ、更に製品タイヤの外観を向上させることが難しいと言う問題があった。
そこで、近年ではスピュー屑の廃止(環境改善)や、タイヤの外観向上への要望から、加硫直後のタイヤ表面に前記スピューを発生させないようにしたベント装置や、エアー抜き穴に弁を設けた加硫金型が提案されている(例えば、特許文献1,特許文献2参照)。
然しながら、このようなベント装置等は、残留したエアーや加硫時に発生するガスを排気する際、ベントホールに装着する円筒状のシリンダーと、このシリンダーの排気穴に嵌合するバルブとの間隙にタイヤ加硫時に発生する不純物が残留し易く、排気効率が極めて悪い上に、耐久性の面で問題があった。
特開平9−314567号公報 特開2001−232642公報
この発明はかかる従来の問題点に着目し、タイヤ加硫成形時の排気効率を高めることが出来ると共に、耐久性を向上させることが出来るタイヤ成形用金型及びタイヤ成形用金型のベントホールに使用するプラグを提供することを目的とするものである。
この発明は上記目的を達成するため、この発明のタイヤ成形用金型は、各ベントホールに、上部に径大頭部を備え、かつ中央に排気穴を形成した円筒状の円筒部を備えたシリンダーと、このシリンダーの排気穴内に所定の間隙を隔てて挿入されたバルブとで構成したプラグ本体を着脱可能に装着し、前記シリンダーの側面に、前記間隙と前記ベントホールの内壁面と前記円筒状の円筒部の外壁面に形成される排気用間隙とに連通する貫通穴を形成し、前記各ベントホールに装着されたシリンダーの金型外部側に位置する部分に、排気穴とベントホールとを接続するスリワリ部を形成したことを要旨とするものである。
ここで、前記シリンダーとバルブとの間隙の寸法をt、シリンダーの径大頭部の外径寸法をL1、シリンダーの円筒部の外径寸法をL2とした場合、(L1−L2)/2>tに設定するものである。また、前記各ベントホールに、シリンダーの固定用座面を形成し、前記シリンダーの側面に、排気穴内に連通する複数の貫通穴を形成する
また、この発明のタイヤ成形用金型のベントホールに使用するプラグのプラグ本体は、ベントホールに嵌合する上部に径大頭部を備えた円筒状のシリンダーと、このシリンダーの中央に形成された排気穴に所定の間隙を隔てて摺動可能に嵌合するバルブとで構成し、前記シリンダーの筒状部の側面に、前記間隙と前記ベントホールの内壁面と前記円筒状の円筒部の外壁面に形成される排気用間隙とに連通する少なくとも一つ以上の貫通穴を形成し、前記シリンダーの筒状部の金型外部側に、排気穴及び前記シリンダーとバルブとの間隙に連通するスリワリ部を少なくとも一箇所以上に形成したことを要旨とするものである。
ここで、前記シリンダーとバルブとの間隙の寸法をt、シリンダーの径大頭部の外径寸法をL1、シリンダーの円筒部の外径寸法をL2とした場合、(L1−L2)/2>tに設定するものである。また、前記シリンダーに形成した貫通穴の下方に、バルブが当接する座面を設けものである。また、前記シリンダーの排気穴の下部を閉鎖することも可能である。
また、この発明のタイヤ成形用金型を用いて成形したタイヤは、金型に形成した多数のベントホールに、上記のプラグを装着して成形することが可能となる。
このように構成することで、タイヤ加硫成形時の排気効率を高めることが出来ると共に、耐久性を向上させることが出来るものである。
この発明は、上記のように構成したので、タイヤ加硫成形時の排気効率を高めることが出来ると共に、耐久性を向上させることが出来、更にタイヤ加硫成形時に、タイヤ表面にスピューを発生させることなく外観の良好なタイヤを成形できる効果がある。
以下、添付図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。
図1は、この発明を実施したタイヤ成形用金型の一部拡大断面図を示し、金型1には、タイヤ加硫成形時に、金型1とタイヤWとの間に溜まった空気やガスQを排気するための多数のベントホール2が形成されている。
前記各ベントホール2は、この実施形態では金型1の内面1aから金型外部1bに向かって貫通し、この各ベントホール2内にはプラグ本体3が着脱可能に装着されている。前記プラグ本体3は、上部に径大頭部4aを備え、かつ中央に排気穴4bを形成した円筒状の円筒部4cを備えたシリンダー4と、このシリンダー4の排気穴4b内に所定寸法tの間隙7(例えば、ゴムが流れ込まない0.1mm未満、好ましくは0.05〜0.03mm)を隔てて挿入されたバルブ5とで構成され、前記シリンダー4の側面に、前記間隙7と、前記ベントホール2内壁面と前記円筒状の円筒部4cの外壁面との間に形成される排気用間隙7aとに連通する貫通穴6が形成されている。
前記シリンダー4は、スチール等の金属材料(または耐熱性樹脂材料)により一体的に形成され、またバルブ5は、耐熱性樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン)または金属材料(例えば、スチール,ステンレス)により一体的に形成される。
前記シリンダー4とバルブ5との間隙7の寸法をt、シリンダー4の径大頭部の外径寸法をL1、シリンダー4の円筒部の外径寸法をL2とした場合(図1及び図10参照)、(L1−L2)/2>tに設定することが好ましく、このように構成することで、エアーQの流通が良くなり、耐久性の向上を図ることが出来る。また、上記の貫通穴6を一箇所以上に設けることで、エアー排気のバイパスとして使用することが出来、シリンダー4とバルブ5とにより形成される間隙7内を通るエアーQの排気距離を短くすることが出来るものである。
なお、バルブ5の軸部5aの形状は、図2に示すように円形状の他、図3に示すように多角形(六角形)状でも良く、シリンダー4の内周面との間に所定寸法tの間隙7を形成出来るものであれば特に形状については限定しない。また、前記ベントホール2内に、図7に示すようなシリンダー4の固定用座面2aを形成することも可能である。
図4及び図5は、シリンダー4の他の実施形態を示し、この実施形態では、前記各ベントホールに装着されたシリンダー4の金型外部1b側に位置する部分に、排気穴4bとベントホール2とを接続するスリワリ部8が形成してある。なお、この実施形態では、前記排気穴4bに連続するスリワリ部8が180°対称位置に二本形成してあるが、二本に限定されず、二本以上のスリワリ部8を形成することも可能である。
前記シリンダー4の形態としては、図10〜図21に示すように、種々のものが考えられ、図10は上述したように、排気穴4bを形成した円筒状の円筒部を備えたシリンダー4の上部に径大頭部4aを形成し、径大頭部4aの近傍の円筒部4cに、排気穴4bに連通する貫通穴6を形成したものである。
図11は、シリンダー4の径大頭部4aからシリンダー4の先端側に向かって円筒部4cをテーパ状に形成し、径大頭部4aの近傍の円筒部4cに、排気穴4bに連通する貫通穴6を形成したものである。
図12は、径大頭部4aを備えたシリンダー4の排気穴4bに、バルブ5が当接する座面4xを設け、この座面4xの下部には小径の排気穴4yを形成すると共に、座面4xの位置には排気穴4bに連通する貫通穴6を形成したものである。
また、図13は、図12の変形例でシリンダー4の排気穴4bの途中を閉鎖し、この閉鎖部分に排気穴4bに連通する貫通穴6を形成したものである。
図14は、前記図12のシリンダー4の排気穴4bにバルブ5を嵌合させた断面図で、この実施形態では、図12のシリンダー4の座面4xの位置に排気穴4bを形成し、更に小径の排気穴4yを形成した円筒部4cに排気穴4yに連通する貫通穴6bを形成したものである。
また、図15は図13の実施形態の変形例を示し、この実施形態はシリンダー4の排気穴4bの途中を閉鎖した排気穴4bにバルブ5を嵌合させ、またシリンダー4の円筒部4cの下部に凹部4eを形成すると共に、この凹部4eの側面に貫通穴6cを形成したものである。
図16のシリンダー4は、図10のシリンダー4の変形例であり、円筒部4cにスリワリ部8を形成したものであり、また図17のシリンダー4は、図11のシリンダー4の変形例であり、テーパ状に形成した円筒部4cにスリワリ部8を形成したものである。
更に、図18及び図19は、図12の変形例を示し、図12に示すシリンダー4の貫通穴6から小径の排気穴4y部分をスリワリ部8を形成したものであり、また図20及び図21は、図13の変形例を示し、排気穴4bの途中の閉鎖部分にスリワリ部8を形成したものである。
なお、スリワリ部8はシリンダー4の円筒部4cの180度対称位置に2ヵ所形成してあるが、この実施形態に限定されず、2ヵ所以上に形成することも可能である。
次に、図6〜図9は、上記のような種々の形態のシリンダー4を金型1のベントホール2に装着した各実施形態を示し、図6の実施形態では、上述した図13に示すシリンダー4を金型1のベントホール2に装着した断面図であり、シリンダー4とバルブ5との間隙7の上部から流入したエアーQは、貫通穴6を通ってベントホール2に流出し、このベントホール2から金型1の外部に排気される。
また、図7の実施形態では、上述した図14に示すシリンダー4を金型1のシリンダー4の固定用座面2aを備えたベントホール2に装着した断面図であり、シリンダー4とバルブ5との間隙7の上部から流入したエアーQは、先ず貫通穴6を通ってベントホール2に流出し、更に貫通穴6の下部に形成された円筒部4cの貫通穴6bを通って小径の排気穴4yに流入し、ここから小径のベントホール2xに流出して金型1の外部に排気するようにしたものである。
また、図8の実施形態では、上述した図16に示す円筒部4cにスリワリ部8を形成したシリンダー4を金型1のベントホール2に装着した断面図であり、この実施形態ではシリンダー4とバルブ5との間隙7の上部から流入したエアーQは、スリワリ部8を通ってベントホール2に流出し、金型1の外部に排気するようにしたものである。
更に、図9の実施形態では、上述した図18及び図19に示すスリワリ部8を形成したシリンダー4を金型1のベントホール2に装着した断面図であり、この実施形態ではシリンダー4とバルブ5との間隙7の上部から流入したエアーQは、スリワリ部8を通ってベントホール2に流出し、更に小径のベントホール2xを通って金型1の外部に排気するようにしたものである。
以上のように構成することで、エアーQの排気距離は従来のものに比べて短縮化することが出来るので装置の耐久性を向上させることが出来、またプラグ本体3を確実に保持させて装着出来るのでプラグ本体3の埋設の安定化を図ることが出来る。
また上記のような、多数のベントホール2にプラグ本体3をそれぞれ装着した金型1によりタイヤWを成形すると、上述したように、金型1内へのタイヤ挿入前はベントホール2を開放しているため、金型1とタイヤWとの間の空気やガスQは、シリンダー4の排気穴4b及び排気穴4bに連続するスリワリ部8から金型1の外部に排気される。
またタイヤ挿入後は、上述したようにこのシリンダー4の排気穴4b内に排気はするがゴムが流れ込まない0.1mm未満の間隙7が形成してあるので、タイヤ加硫時における溶融状態の加硫ゴムは、ベントホール2内に流れ込むことはなく、従ってスピューの発生はなく、図22に示すような微細な痕跡Sのみであって外観の良好なタイヤWを製造することが出来るものである。
なお、金型1に形成する多数のベントホール2は、サイプとサイプの間に位置させたり、ブロックの中心に形成しても良く、いずれにしても従来のようなスピューを発生させることなく、外観の良好なタイヤを製造することが出来るものである。
この発明を実施したタイヤ成形用金型の一部拡大断面図である。 図1のシリンダーのA−A矢視底面図である。 シリンダーの他の実施形態の底面図である。 スリワリ部を設けたシリンダーとバルブとをベントホールに装着したタイヤ成形用金型の一部拡大断面図である。 図4のシリンダーのB−B矢視底面図である。 タイヤ成形用金型のベントホールにプラグ本体を取付けた状態のエアーの排気状態を示す断面図である。 タイヤ成形用金型のベントホールに他の実施形態におけるプラグ本体を取付けた状態のエアーの排気状態を示す断面図である。 タイヤ成形用金型のベントホールに他の実施形態におけるプラグ本体を取付けた状態のエアーの排気状態を示す断面図である。 タイヤ成形用金型のベントホールに他の実施形態におけるプラグ本体を取付けた状態のエアーの排気状態を示す断面図である。 プラグ本体を構成するシリンダーの断面図である。 プラグ本体を構成する他の形態のシリンダーの断面図である。 プラグ本体を構成する他の形態のシリンダーの断面図である。 プラグ本体を構成する他の形態のシリンダーの断面図である。 プラグ本体を構成する他の形態のシリンダーの断面図である。 プラグ本体を構成する他の形態のシリンダーの断面図である。 スリワリ部を設けたシリンダーの断面図である。 スリワリ部を設けた他のシリンダーの断面図である。 スリワリ部を設けた他のシリンダーの断面図である。 図18のシリンダーのC−C矢視底面図である。 スリワリ部を設けた他のシリンダーの断面図である。 図20のシリンダーのD−D矢視底面図である。 この発明にかかるプラグ本体を装着したタイヤ成形用金型で製造したタイヤの一部斜視図の説明図である。
1 金型
1a 金型の内面
2 ベントホール
2a 固定用座面
2b 凹部
2c 段部
2x 小径のベントホール
3 プラグ本体
4 シリンダー
4a 径大頭部
4b 排気穴
4c 円筒部
4d 開口部
5 バルブ
5a 軸部
6 貫通穴
7 間隙
8 スリワリ部
4x 座面
4y 排気穴
t 間隙の寸法
L1 径大頭部の外径寸法
L2 円筒部の外径寸法
Q エアー
W タイヤ

Claims (8)

  1. タイヤ加硫成形時に、金型とタイヤとの間に溜まった空気またはガスを排気するための多数のベントホールを設けて成るタイヤ成形用金型において、
    前記各ベントホールに、上部に径大頭部を備え、かつ中央に排気穴を形成した円筒状の円筒部を備えたシリンダーと、このシリンダーの排気穴内に所定の間隙を隔てて挿入されたバルブとで構成したプラグ本体を着脱可能に装着し、前記シリンダーの側面に、前記間隙と前記ベントホールの内壁面と前記円筒状の円筒部の外壁面に形成される排気用間隙とに連通する貫通穴を形成し、前記各ベントホールに装着されたシリンダーの金型外部側に位置する部分に、排気穴とベントホールとを接続するスリワリ部を形成して成るタイヤ成形用金型。
  2. 前記シリンダーとバルブとの間隙の寸法をt、シリンダーの径大頭部の外径寸法をL1、シリンダーの円筒部の外径寸法をL2とした場合、(L1−L2)/2>tに設定した請求項1に記載のタイヤ成形用金型。
  3. 前記各ベントホールに、シリンダーの固定用座面を形成した請求項1または2に記載のタイヤ成形用金型。
  4. 前記シリンダーの側面に、排気穴内に連通する複数の貫通穴を形成した請求項1,2または3に記載のタイヤ成形用金型。
  5. 成形用金型に形成されたベントホールに着脱可能に装着するタイヤ成形用金型のベントホールに使用するプラグであって、
    このプラグ本体は、ベントホールに嵌合する上部に径大頭部を備えた円筒状のシリンダーと、このシリンダーの中央に形成された排気穴に所定の間隙を隔てて摺動可能に嵌合するバルブとで構成し、前記シリンダーの筒状部の側面に、前記間隙と前記ベントホールの内壁面と前記円筒状の円筒部の外壁面に形成される排気用間隙とに連通する少なくとも一つ以上の貫通穴を形成し、前記シリンダーの筒状部の金型外部側に、排気穴及び前記シリンダーとバルブとの間隙に連通するスリワリ部を少なくとも一箇所以上に形成して成るタイヤ成形用金型のベントホールに使用するプラグ。
  6. 前記シリンダーとバルブとの間隙の寸法をt、シリンダーの径大頭部の外径寸法をL1、シリンダーの円筒部の外径寸法をL2とした場合、(L1−L2)/2>tに設定した請求項に記載のタイヤ成形用金型のベントホールに使用するプラグ。
  7. 前記シリンダーに形成した貫通穴の下方に、バルブが当接する座面を設けた請求項またはに記載のタイヤ成形用金型のベントホールに使用するプラグ。
  8. 前記シリンダーの排気穴の下部が閉鎖された請求項またはに記載のタイヤ成形用金型のベントホールに使用するプラグ。
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