JP4525321B2 - タイヤ成形金型及びタイヤ成形金型用のプラグ - Google Patents

タイヤ成形金型及びタイヤ成形金型用のプラグ Download PDF

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Description

この発明は、タイヤ成形金型及びタイヤ成形金型用のプラグにかかわり、更に詳しくはタイヤ加硫成形時に、タイヤ表面にスピューを発生させることなく成形でき、タイヤ仕上げ工程作業の改善と、製品タイヤの外観を向上させることが出来るタイヤ成形金型及びタイヤ成形金型のベントホールに使用するプラグに関するものである。
従来、タイヤ加硫工程で使用されるタイヤ成形金型には、タイヤ加硫成形時に金型内面と未加硫タイヤとの間に溜まったエアーを金型外部に排気させるために、ベントホールと呼称される多数の細い排気穴が形成されている。
この多数のベントホールは、一般的に金型のエアーが残り易い箇所に加工され、例えば、ビードリング、リムクション、サイド部等に対応する金型の同一周上の8ヶ所以上に加工されており、周列数はタイヤ形状によって異なっている。
また、タイヤトレッド部の溝に囲まれた金型のデザインブロック内のベントホールは、1ヶ所以上加工されている(例えば、特許文献1参照)。
然しながら、多数のベントホールを備えた金型によりタイヤを加硫成形すると、多数のベントホールに加硫ゴムが流れ込み、製品タイヤの表面には多数の髭状の突起(スピュー)が発生する。このため、タイヤ成形後のタイヤ仕上げ工程では、上記のスピューを切除する作業が不可欠となり、作業性及び生産性を阻害させるばかりか、切除したスピューの屑が多数散らばって作業環境を悪化させ、更に製品タイヤの外観を向上させることが難しいと言う問題があった。
また、各ベントホールに、タイヤ加硫時には、ベントホールを閉鎖し、タイヤ離型時にはベントホールの開口部を開放するように構成した弁を設けたタイヤ加硫金型も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
然しながら、このようなタイヤ加硫金型のベントホールに使用する弁は、モールドの清掃時には、研磨材が弁内に流れ込み弁が作動しなく成ると言う問題があり、このためクリーニングに多くの手間と時間がかかり、コストアップとなる問題があった。
実開平7−33615号のマイクロフィルム 特開平9−141660号
この発明は、かかる従来の問題点に着目して案出されたもので、タイヤ加硫成形時に、タイヤ表面にスピューを発生させることなく成形でき、タイヤ仕上げ工程作業のスピュー除去作業を省略でき、作業環境を改善することが出来ると共に、製品タイヤの外観を向上させることが出来、更にモールドの清掃等を容易に行うことが出来るタイヤ成形金型及びタイヤ成形金型用のプラグを提供することを目的とするものである。
記目的を達成するため、この発明のタイヤ成形金型は、複数の貫通穴(2a)からなるベントホール(2)にプラグ(3)を装着したタイヤ成形金型(1)において、前記プラグ(3)を、中央を貫通する排気筒部(4a)の上部開口内壁面に段差(4b)を備えた嵌合凹部(6)を有すると共に、前記排気筒部(4a)の下部側内壁面に内側に突出した環状の突起(4c)を形成した前記貫通穴(2a)に嵌合する金属製のホルダ(4)内に、前記排気筒部(4a)に嵌合する棒状の軸部(5b)の側面に、断面積が一端部へ向けて徐々に大きくなる少なくとも1本の排気溝(7)を長手方向に沿って形成し、かつ該軸部(5b)の他端部に前記嵌合凹部(6)の内壁面に間隙(h)を隔てて嵌合する円盤状のヘッド部(5a)を設けてなる栓部材(5)を、前記軸部(5b)の一端部が前記突起(4c)に係止するようにして挿入し、前記ヘッド部(5a)に圧力が加わると、該ヘッド部(5a)の弾性変形により該ヘッド部(5a)の底面が前記嵌合凹部(6)の底面(6a)に密着するように構成すると共に、該プラグ(3)を前記ベントホール(2)に前記ヘッド部(5a)が内側を向くように装着したことを特徴とするものである。
ここで、前記排気溝(7)を前記軸部(5b)の中心に対して対称となる位置に2ヵ所形成し、また前記間隙(h)が、前記嵌合凹部(6)の底面(6a)に対して鉛直方向又は外側方向に延びるようにするものである。
また、この発明のタイヤ成形金型用のプラグは、タイヤ成形金型(1)に形成された複数の貫通穴(2a)からなるベントホール(2)に装着するタイヤ成形金型用のプラグ(3)であって、中央を貫通する排気筒部(4a)の上部開口内壁面に段差(4b)を備えた嵌合凹部(6)を有すると共に、前記排気筒部(4a)の下部側内壁面に内側に突出した環状の突起(4c)を形成した前記貫通穴(2a)に嵌合する金属製のホルダ(4)内に、前記排気筒部(4a)に嵌合する棒状の軸部(5b)の側面に、断面積が一端部へ向けて徐々に大きくなる少なくとも1本の排気溝(7)を長手方向に沿って形成し、かつ該軸部(5b)の他端部に前記嵌合凹部(6)の内壁面に間隙(h)を隔てて嵌合する円盤状のヘッド部(5a)を設けてなる栓部材(5)を、前記軸部(5b)の一端部が前記突起(4c)に係止するようにして挿入し、前記ヘッド部(5a)に圧力が加わると、該ヘッド部(5a)の弾性変形により該ヘッド部(5a)の底面が前記嵌合凹部(6)の底面(6a)に密着するように構成したことを特徴とするものである。
ここで、前記排気溝(7)を前記軸部(5b)の中心に対して対称となる位置に2ヵ所形成し、また前記間隙(h)が、前記嵌合凹部(6)の底面(6a)に対して鉛直方向又は外側方向に延びるようにするものである。
このように、金型に形成した各ベントホールに、中央部に形成した排気筒部の上部内壁面に段差を有する嵌合凹部を備えた金属製のホルダと、このホルダの排気筒部に嵌合する樹脂製の栓部材とから成るプラグを装着し、前記栓部材は、前記嵌合凹部の内壁面と所定の間隙を隔て着脱可能に嵌合するヘッド部と、このヘッド部と一体的に形成した軸部とで構成し、前記軸部の外側面に、長手方向に沿って少なくとも一本以上の排気溝を形成し、前記金型内へのタイヤ挿入前は、ホルダとヘッド部との間の間隙から排気溝を介して排気筒部の排気穴に排気し、タイヤ挿入後は、嵌合凹部の底面とヘッド部とが当接して排気溝を閉鎖するように構成したので、タイヤ加硫成形時に、タイヤ表面にスピューを発生させることなく成形でき、タイヤ仕上げ工程作業のスピュー除去作業を省略でき、作業環境を改善することが出来ると共に、製品タイヤの外観を向上させることが出来る。
この発明は上記のように構成したので、以下のような優れた効果を奏するものである。(a).タイヤ加硫成形時に、タイヤ表面にスピューを発生させることなく成形できる。
(b).タイヤ仕上げ工程作業のスピュー除去作業を省略できる。
(c).スピューの屑発生することが少ないので作業環境を改善することが出来る。
(d).材料のコストダウンを図ることが可能である。
(e).製品タイヤの外観を向上させることが出来る。
(f).金型清掃時に、ホルダと栓部材とから成るプラグの底面が開口しているので、プラグ内に研磨剤が堆積することがない。
(g). 金型のクリーニングを短時間に効率良く行うことが出来、コストダウンを図ることが出来る。
以下、添付図面に基づきこの発明の実施の形態を説明する。
図1は、この発明の参考例である金型に形成したベントホールにプラグを装着したタイヤ成形金型の一部拡大断面図を示し、1はタイヤ成形用の金型、2はタイヤ加硫成形時に金型1とタイヤWとの間に溜まった空気を排気するための金型1に形成されたベントホール、3はベントホール2に装着された金属製のホルダ4と樹脂製の栓部材5とから成るプラグを示している。
前記金型1に形成された各ベントホール2は、この実施形態では金型1の内面1aから外部に向かって貫通する貫通穴2aが形成してあり、この各ベントホール2の貫通穴2a内には、図1及び図2に示すような、ステンレス,アルミ合金等の耐熱性の金属材料により一体的に形成した円筒状のホルダ4と、このホルダ4の排気筒部4a内に嵌合された耐熱性樹脂材料(例えば、ポリテトラ フルオロ エチレン)により一体的に形成された栓部材5とから成るプラグ3が着脱可能に装着してある。
前記金属製のホルダ4は、中央部に形成した排気筒部4aの上部開口内壁面に、段差4bを備えた嵌合凹部6を形成すると共に、排気筒部4aの下部側内壁面には、内側に突出した環状の係止用の突起4cが形成してある。
また、前記栓部材5は、前記嵌合凹部6の内壁面と所定の間隙hを隔て着脱可能に嵌合する所定厚さの円盤状(例えば、直径1.0 mm〜2.0mm)のヘッド部5aと、このヘッド部5aと一体的に形成した軸部5bとで構成し、前記軸部5bの外側面には、長手方向に沿って少なくとも一本以上の半円弧状の排気溝7が形成してある。
なお、この実施形態では、図1及び図2に示すように、排気溝7が軸部5bの相対向する面に2ヵ所形成してあるが、2ヵ所以上に形成することも可能である。また、半円弧状の排気溝7の深さLは、例えば、0.1 mm〜0.3mm の範囲に設定するのが好ましい。
また前記間隙hは、タイヤ加硫時にエアーQは流れるが、ゴムが流れ込まない程度の隙間(例えば、0.1 mm〜0.3mm )に形成され、金型1内へのタイヤWの挿入前は、金型1内のエアーQはホルダ4とヘッド部5aとの間の間隙hから排気溝7に入り、更に排気筒部4aから貫通穴2aを通って金型外部に排気される。
また、金型1内へのタイヤWの挿入後は、タイヤWの押圧力により嵌合凹部6の底面6aとヘッド部5aの底面とが当接して排気溝7を閉鎖するので、ゴム材料がホルダ4の排気筒部4aに流れ込むのを防止することが出来るものである。なお、ヘッド部5aの厚さtは、嵌合凹部6の深さH(例えば、0.3mm 〜0.5mm 、好ましくは0.4mm)と同等か、それ以下に設定することが好ましく、金型1内へのタイヤWの挿入時に、ヘッド部5aが弾性変形してヘッド部5aの底面が嵌合凹部6の底面6aに密着し、排気溝7を閉鎖するように構成することが好ましい。
また、前記金属製のホルダ4の嵌合凹部6と、栓部材5のヘッド部5aとの間隙hは、図1に示すように嵌合凹部6の底面6aに対して鉛直間隙に形成したり、また図3に示すように、嵌合凹部6の底面6aに対して所定の角度α(例えば、20°〜300 °) 外向きに傾斜するように形成しても良い。
次に、図4及び図5は、この発明のタイヤ成形金型1及びプラグ3の実施形態を示す。この実施形態は、前記軸部5bの外側面の長手方向に沿って形成する半円弧状の排気溝7aを栓部材5のヘッド部5a側から排気筒部4aの係止用の突起4c側に向かって順次溝断面積が大きくなるように形成し、排気効率を高めるように構成したものである。なお、金属製のホルダ4の嵌合凹部6と、栓部材5のヘッド部5aとの間隙hは、図4に示すように嵌合凹部6の底面6aに対して鉛直間隙に形成したり、また図6に示すように、嵌合凹部6の底面6aに対して所定の角度α(例えば、20°〜300 °) 外向きに傾斜するように形成しても良い。
なお、その他の構成及び作用は上記第1実施形態と同様なので同一符号を付して説明は省略する。
以上のように構成することで、タイヤ加硫成形時に、タイヤ表面にスピューを発生させることなく成形でき、タイヤ仕上げ工程作業のスピュー除去作業を省略でき、作業環境を改善することが出来ると共に、製品タイヤの外観を向上させることが出来るものである。
従って上記のようなタイヤ成形金型を使用してタイヤを製造することにより、スピューの発生はなく、図7に示すようにタイヤサイド部Wxに若干の凸状部Sはあるものの、表面を平滑に成形した外観の良好なタイヤを製造することが出来るのである。
この発明の参考例である金型に形成したベントホールにプラグを装着したタイヤ成形金型の一部拡大断面図である。 図1のA−A矢視底面図である。 ホルダの嵌合凹部と、栓部材のヘッド部との他の実施形態を示す一部断面図である。 この発明の金型に形成したベントホールにプラグを装着したタイヤ成形金型の一部拡大断面図である。 図4のB−B矢視底面図である。 ホルダの嵌合凹部と、栓部材のヘッド部との他の実施形態を示す一部断面図である。 この発明のタイヤ成形金型で製造されたタイヤの一部斜視図である。
符号の説明
W タイヤ
1 金型 1a 金型の内面
2 ベントホール 2a 貫通穴
3 プラグ 4 ホルダ
4a 排気筒部 4b 段差
4c 係止用の突起
5 栓部材 5a ヘッド部
5b 軸部 6 嵌合凹部
6a 底面 7 排気溝
h 間隙 Q エアー
t ヘッド部の厚さ L 排気溝の深さ
H 嵌合凹部の深さ α 角度

Claims (6)

  1. 複数の貫通穴(2a)からなるベントホール(2)にプラグ(3)を装着したタイヤ成形金型(1)において、
    前記プラグ(3)を、
    中央を貫通する排気筒部(4a)の上部開口内壁面に段差(4b)を備えた嵌合凹部(6)を有すると共に、前記排気筒部(4a)の下部側内壁面に内側に突出した環状の突起(4c)を形成した前記貫通穴(2a)に嵌合する金属製のホルダ(4)内に、
    前記排気筒部(4a)に嵌合する棒状の軸部(5b)の側面に、断面積が一端部へ向けて徐々に大きくなる少なくとも1本の排気溝(7)を長手方向に沿って形成し、かつ該軸部(5b)の他端部に前記嵌合凹部(6)の内壁面に間隙(h)を隔てて嵌合する円盤状のヘッド部(5a)を設けてなる栓部材(5)を、前記軸部(5b)の一端部が前記突起(4c)に係止するようにして挿入し、
    前記ヘッド部(5a)に圧力が加わると、該ヘッド部(5a)の弾性変形により該ヘッド部(5a)の底面が前記嵌合凹部(6)の底面(6a)に密着するように構成すると共に、
    該プラグ(3)を前記ベントホール(2)に前記ヘッド部(5a)が内側を向くように装着したことを特徴とするタイヤ成形金型。
  2. 前記排気溝(7)を、前記軸部(5b)の中心に対して対称となる位置に2ヵ所形成した請求項1に記載のタイヤ成形金型。
  3. 前記間隙(h)が、前記嵌合凹部(6)の底面(6a)に対して鉛直方向又は外側方向に延びるようにした請求項1又は2に記載のタイヤ成形金型。
  4. タイヤ成形金型(1)に形成された複数の貫通穴(2a)からなるベントホール(2)に装着するタイヤ成形金型用のプラグ(3)であって、
    中央を貫通する排気筒部(4a)の上部開口内壁面に段差(4b)を備えた嵌合凹部(6)を有すると共に、前記排気筒部(4a)の下部側内壁面に内側に突出した環状の突起(4c)を形成した前記貫通穴(2a)に嵌合する金属製のホルダ(4)内に、
    前記排気筒部(4a)に嵌合する棒状の軸部(5b)の側面に、断面積が一端部へ向けて徐々に大きくなる少なくとも1本の排気溝(7)を長手方向に沿って形成し、かつ該軸部(5b)の他端部に前記嵌合凹部(6)の内壁面に間隙(h)を隔てて嵌合する円盤状のヘッド部(5a)を設けてなる栓部材(5)を、前記軸部(5b)の一端部が前記突起(4c)に係止するようにして挿入し、
    前記ヘッド部(5a)に圧力が加わると、該ヘッド部(5a)の弾性変形により該ヘッド部(5a)の底面が前記嵌合凹部(6)の底面(6a)に密着するように構成したことを特徴とするタイヤ成形金型用のプラグ。
  5. 前記排気溝(7)を、前記軸部(5b)の中心に対して対称となる位置に2ヵ所形成した請求項4に記載のタイヤ成形金型用のプラグ
  6. 前記間隙(h)が、前記嵌合凹部(6)の底面(6a)に対して鉛直方向又は外側方向に延びるようにした請求項4又は5に記載のタイヤ成形金型用のプラグ
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