JP2009182011A - 積層セラミックコンデンサ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】セラミック誘電体層と内部電極層とを交互に積層したチップ状積層体の表面に、前記内部電極と電気的に接続されたNi外部電極を備えた積層セラミックコンデンサにおいて、前記積層体と前記Ni外部電極の境界面に(Ni、Mg)化合物の酸化層を有することを特徴とする。また、前記積層体と前記Ni外部電極を同時焼成する積層セラミックコンデンサの製造方法において、誘電体セラミック粉末に対してMg化合物粉末を添加し、酸素分圧2.2*10−4Pa≦PO2≦6.2*10−4Paの雰囲気下で焼成を行ない、前記積層体と前記Ni外部電極の境界面に(Ni、Mg)化合物の酸化層を形成する。
【選択図】図1
Description
(1)セラミック誘電体層と内部電極層とを交互に積層したチップ状積層体の端面に、前記内部電極と電気的に接続されたNi外部電極を備えた積層セラミックコンデンサにおいて、前記積層体と前記Ni外部電極の境界面に(Ni、Mg)化合物の酸化層を有することを特徴とする積層セラミックコンデンサである。
(2)前記誘電体セラミックが、BaTiO3であることを特徴とする前記(1)の積層セラミックコンデンサである。
(3)前記積層体と前記Ni外部電極が同時焼成されたものであることを特徴とする前記(1)又は(2)の積層セラミックコンデンサである。
(4)誘電体セラミック粉末を少なくとも含有するセラミックスラリーを基板に塗布し未焼成セラミック誘電体層を形成し、得られた未焼成セラミック誘電体層の表面に、金属粉末を少なくとも含有する導電ペーストを印刷し未焼成内部電極層を形成し、前記セラミック誘電体層と前記内部電極層とを交互に積層、圧着後、切断することによりチップ状積層体を作製し、作製した前記積層体に、Ni粉末を少なくとも含有する導電ペーストを塗布してNi外部電極を形成し、前記積層体と前記Ni外部電極を同時焼成することにより積層セラミックコンデンサを製造する積層セラミックコンデンサの製造方法において、前記誘電体セラミック粉末にMg化合物粉末を添加し、酸素分圧2.2*10−4Pa≦PO2≦6.2*10−4Paの雰囲気下で焼成を行ない、前記積層体と前記Ni外部電極の境界面に(Ni、Mg)化合物の酸化層を形成することを特徴とする積層セラミックコンデンサの製造方法である。
(5)前記誘電体セラミック粉末が、BaTiO3粉末であることを特徴とする前記(4)の積層セラミックコンデンサの製造方法である。
誘電体セラミックとしては、一般式 ABO3で表され、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、及びこれら(CaTiO3、SrTiO3)とBaTiO3の合成物等を用いることができ、また、Tiの一部がZrに置換されていてもよいが、BaTiO3が好ましい。
前記ABO3で表される主成分に、副成分を添加してセラミック誘電体とする。
Mg化合物としては、MgOが好ましいが、MgCO3等の酸化されてMgOとなる化合物を用いることもできる。
また、セラミック誘電体層中には、Ho2O3(希土類酸化物)、MnO、SiO2等の周知の添加物が含まれていても良い。
素体中に含まれているMg化合物の一部が外部電極と素体の接触部分、特にカバー部との接触部分に移動し、Niと化合物化する。化合物化した(Ni、Mg)化合物はNiより酸化O2分圧が低いため、素体との境界面では酸化物(Ni、Mg)Oとなることにより、素体との接着強度が非常に強くなる。その雰囲気下では外部電極表面は金属Niを保つことができる。
BaTiO3粉末等の誘電体セラミック粉末の主成分(ABO3)100molに対して、Mg化合物粉末を0.6〜1.4mol、必要に応じてその他の添加物粉末を適宜の量加えると共に、ブチラール系若しくはアクリル系の有機バインダー及びトルエン等の有機溶剤を加え、これを数時間ボールミル等で撹拌・混合することにより適度な粘度をもったセラミックスラリーを作製する。
次に、ドクターブレード法等により、セラミックスラリーからグリーンシートを作製する。このドクターブレード法では、PET等のベースフィルム上にスラリーを流し、その厚みをドクターブレードとの隙間で調整する。この後、これを乾燥させて所定の厚みのグリーンシートを得る。
予め用意された導体ペーストをスクリーン印刷法等により、グリーンシートの表面に所定パターン、所定厚で印刷して内部電極層を形成する。内部電極としてはNi、Ni合金等の卑金属が好ましい。
印刷後のグリーンシートを所定の単位寸法でカットしてベースフィルムから取り出し、取り出されたグリーンシートを必要枚数積み重ねる。積み重ねられたグリーンシートを静水圧プレス機等により圧着成型して積層体を作製する。
本圧着後の積層体を回転ブレードや昇降ブレード等のブレードによって切断し、個々のチップ状積層体とする。このチップ状積層体の相対する面(長さ方向の端面)には内部電極層の端縁が交互に露出している。
予め用意されたNi粉末を少なくとも含有する導体ペーストをローラ塗布法やディップ法等の塗布法により、チップ状積層体の長さ方向の端面それぞれ所定厚で塗布して、外部電極層を形成する。
外部電極の形成されたチップ状積層体を脱バインダー炉に投入して、所定の温度及び時間等の条件下でチップ状積層体本体(未焼成セラミック誘電体)に含まれているバインダーを除去する。雰囲気としては、N2雰囲気が好ましい。
(h)焼成工程
脱バインダーされたチップ状積層体を焼成炉に投入して、所定の温度及び時間等の条件下で焼成する。焼成温度は、1150〜1400℃が好ましい。焼成時の雰囲気は、酸素分圧2.2*10−4Pa≦PO2≦6.2*10−4Pa(at1260℃)となるようにする。酸素分圧(O2濃度)が2.2*10−4Paよりも小さい場合には、(Ni、Mg)化合物の酸化が生じないため、酸化層が形成されない。酸素分圧(O2濃度)が6.2*10−4Paよりも大きい場合には、Ni外部電極の酸化が全体的に進んでしまい、次の工程のメッキ付き性が悪くなる。O2濃度の調整方法はH2−H2O系、CO−CO2系など所望のO2濃度が得られる方法であれば特にその調整方法は問わない。
また、焼成後、再酸化を目的とした再酸化処理を行っても良い。
外部電極上にNi、Cu等で第一のメッキ層、その上にSnまたはSn合金等で第二のメッキ層を形成し、積層セラミックコンデンサを得る。
以下、実施例により、積層セラミックコンデンサ及びその製造製造方法をさらに詳細に説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
0.1mol、SiO2 1.5molの割合にて、有機溶剤中で混合し、そのスラリーに有機バインダーを添加して作製した。有機バインダーとしては、ブチラール樹脂、溶剤としてはトルエンを使用した。上記スラリーを用い、PETフィルム上に形成された厚さ3μmグリーンシート上にNi内部電極パターンをスクリーン印刷法にて形成し、それを交互に480層積層し、静水圧プレス機により圧着成型した後、所定の形状にカットしてチップ状積層体を作製した。 なお、所定の形状とは、例えば、焼成後に2.0mm×1.2mmとなるようにするならば、焼成時での収縮量を考慮した大きさを意味する。
これにより、酸素分圧(O2濃度)が1.5*10−4[Pa]ではNiは酸化しないが、2.2*10−4[Pa]から1.1*10−3[Pa]へと高くなるに従い、Mgの境界面への偏析が大きくなり、それに伴い、チップ状積層体(素体)との境界面に位置するNiの酸化が始まり、酸化層が厚くなっていくことが確認できる。これは、(Ni、Mg)化合物がNiより酸化が始まる平衡酸素分圧が低いためである。
(測定条件)
1)静電容量は150℃/1hで熱処理後、室温に24時間放置後測定した(N=50)。
2)外電(外部電極)強度は信頼性基盤に測定物を半田付けした後、固定し、プシュブルゲージを使用して測定物を引張して測定物が外れた力を計測した(N=10)。
3)ベンディング試験はベンディング試験用基盤の測定物を半田付けし、その基盤をたわみ試験器に設置して破壊音がなるまでのたわみ量を計測した(N=10)。
4)耐湿性は信頼性基盤2枚に各200個半田付けし、湿度95%、温度60℃、電圧6.3Vで500h測定を行なった(N=400)。
Mg量1.0molのもとでは、No.1に示すようにO2濃度が1.1E−03[Pa](1.1*10−3[Pa])の場合は、Ni−NiO平衡酸素濃度とほぼ同じであるため、Ni外部電極は全体的に酸化が進んでしまい、メッキ付き性が悪く、コンデンサ特性を満たすことができていない。No.6に示すように、O2濃度が1.5E−04[Pa]の場合は、O2濃度が低すぎるため、Mgの移動による析出が生じず、酸化層が発生しないため、十分な外電強度が得られていない。No.2〜5では、Niの平衡酸素分圧より小さいため、Niの酸化は生じないが、Mgが外部電極と素体境界面への移動による析出することにより、Niより平衡酸素分圧が低い(Ni、Mg)化合物が形成されるため、酸化層が形成される。そのため、酸化層により素体との接着強度(外電強度)が強くなり、結果として耐湿性、ベンディング特性の向上が確認された。
Claims (5)
- セラミック誘電体層と内部電極層とを交互に積層したチップ状積層体の端面に、前記内部電極と電気的に接続されたNi外部電極を備えた積層セラミックコンデンサにおいて、前記積層体と前記Ni外部電極の境界面に(Ni、Mg)化合物の酸化層を有することを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
- 前記誘電体セラミックが、BaTiO3であることを特徴とする請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
- 前記積層体と前記Ni外部電極が同時焼成されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層セラミックコンデンサ。
- 誘電体セラミック粉末を少なくとも含有するセラミックスラリーを塗布し未焼成セラミック誘電体層を形成し、得られた未焼成セラミック誘電体層の表面に、金属粉末を少なくとも含有する導電ペーストを印刷し未焼成内部電極層を形成し、前記セラミック誘電体層と前記内部電極層とを交互に積層、圧着後、切断することによりチップ状積層体を作製し、作製した前記積層体に、Ni粉末を少なくとも含有する導電ペーストを塗布してNi外部電極を形成し、前記積層体と前記Ni外部電極を同時焼成することにより積層セラミックコンデンサを製造する積層セラミックコンデンサの製造方法において、前記誘電体セラミック粉末にMg化合物粉末を添加し、酸素分圧2.2*10−4Pa≦PO2≦6.2*10−4Paの雰囲気下で焼成を行ない、前記積層体と前記Ni外部電極の境界面に(Ni、Mg)化合物の酸化層を形成することを特徴とする積層セラミックコンデンサの製造方法。
- 前記誘電体セラミック粉末が、BaTiO3粉末であることを特徴とする請求項4に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
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