JP2009178828A - 線条体案内機構を備えた産業用ロボット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】中間部材33内の空間において線条体13を保持する線条体クランプ26を備え、線条体クランプ26が、第1のフランジ17と第2のフランジ18とに対して一定の隙間を有しつつ回転可能に第1又は第2のフランジ17、18に支持されるよう構成した。
【選択図】図1
Description
そのため、従来から産業用ロボットは配置密度を高めるためにエンドエフェクタ用の配線や配管等の線条体と周辺機器の干渉が少なくなるような構造をとっている。この構造にはロボットの基端側からアーム先端のエンドエフェクタまで配線や配管等の線条体をロボットアームに沿わせるように配設し、その線条体をロボットの手首軸の位置まで到達させているものが多い。特にスポット溶接用として使用される産業用ロボットはアーム先端にスポット溶接用のガンが装着され、これに接続される給電ケーブルに線径の大きなものが必要となる一方、ロボット動作時の線条体の動きを考慮しなければならないため、線条体の各所には弛みを持たせたり、場合により張らせたりする構造となっている(例えば特許文献1の図4参照)。
特許文献1に記載されている従来の産業用ロボットの構成と線条体の配設について説明する。図7は特許文献1の図4に記載されているスポット溶接ロボットの側面図と同等の図である。図において、51は6軸の垂直多関節ロボットであり、52は垂直多関節ロボット51のアーム先端に取り付けられたスポット溶接ガンであり、53はスポット溶接ガンに溶接電流を供給するケーブルである。垂直多関節ロボット51は、固定部54と、固定部54に軸支されて垂直軸回りに旋回する旋回部55と、旋回部55に軸支されて前後方向に揺動する下部アーム56と、下部アーム56に軸支されて上下方向に揺動する上部アーム57と、上部アーム57の先端に取り付けられた手首部58とからなる。手首部58は直交する3軸回りの回転自由度を有し、その先端にスポット溶接ガン52が固定される。ケーブル53は、図示しない溶接タイマーから固定部54まで配線され、固定部54にクランプされ、固定部54のレベルで、前記垂直軸回りに(上から見て反時計回りに)巻き回され、旋回部55のレベルに立ち上がる。さらにケーブル53は、旋回部55のレベルで前記垂直軸回りに(上から見て時計回りに)巻き回されて旋回部55にクランプされる。さらにケーブル53は下部アーム56に沿って上に立ち上がり、上部アーム57上に固定されたケーブルスタンド59に吊り下げられ、スポット溶接ガン52まで延びている。 ロボットは以上のように構成されているため、特に上部アームの先端においては、手首部58の3自由度の動きに伴って線条体が複雑に動く。従って、上部アームの先端において線条体が他の機器と干渉したりロボットのアームと擦れあったりすることを特に防ぐ必要がある。そこで、従来の産業用ロボットの上部アームの先端における線条体の案内機構として2つの装置が提案されている(特許文献1の図1、特許文献2の図1)。
線条体114は上部アーム108の基端側から配設され、手首基部110の側面に設けられたクランプ115でクランプされる。さらに、クランプ116で手首揺動体112(図示省略)に固定された線条体114は、中間部材101の下から、手首第3軸113の中心を通りさらに、接続部材106、107の間を通って中間部材101の上に抜けて、クランプ117でスポット溶接ガン102に固定される。
線条体114はこのように配設されているので、手首揺動体112が手首第2軸111回りに揺動するとき、線条体114はクランプ115とクランプ116の間の曲がりによって、手首揺動体112の動きに追随する。また、手首フランジ103が手首第3軸113回りに回転するとき、線条体114は中間部材101の内部で曲がることによって、手首フランジ103の手首第3軸113回りの回転に追随する。
なお、接続部材106、107を手首第3軸113に対してオフセットして配置して中間部材101をクランクシャフト状にしたのは、接続部材106、107と線条体114の干渉を避けて、手首フランジ103の手首第3軸113回りの動作範囲を確保するためである(特許文献1参照)。
図2は従来の産業用ロボットの手首部の動作を示す図であって、図5及び図6を図中X方向から見た図に相当する。手首第2軸111及び手首第3軸113に対してこれらが最大の動作角度で動作した時には、図のように線条体114が中間部材101の接続部材106、107と接触しながらこれを巻き込むように案内される。図2(a)は、手首第1軸109については手首第2軸111が水平な状態となるような位置であり、手首第2軸111については手首第3軸113と手首第1軸109とが同軸となるような状態であり、手首第3軸113については中間部材101の接続部材106、107が水平な状態となるような位置である。この(a)状態から手首第2軸111を上方に90度回転させ、さらに手首第3軸113を180度回転させた状態が同図(b)である。また、(a)状態から手首第2軸111を下方に90度回転させ、さらに手首第3軸113を180度回転させた状態が同図(c)である。そして、これら(a)(b)(c)の状態を図中a、b、cの矢印方向、すなわち図示しないエンドエフェクタ側から見た図が図4である。図2(a)に対応する図が図4(a)、図2(b)に対応する図が図4(b)、図2(c)に対応する図が図4(c)である。図4の(b)、(c)が示すように、線条体114は中間部材101の接続部材106、107に接触し、この接触部分を支点にして小さな半径で屈曲される。このように、手首第1軸及び第2軸が回転動作をする場合、線条体114は中間部材101において屈曲動作を伴うが、周辺機器との干渉を少なくする為にロボットの上部アームに極力沿わせるように線条体114を配置した結果、線条体114の屈曲半径が小さくなる場合があり、そのために中間部材101近辺において線条体114の断線が起こる問題があった。
また、従来の中間部材における構造では、線条体114が中間部材101の第1のフランジ104や第2のフランジ105と接触しながら案内されている。図9は従来の産業用ロボットの中間部材と線条体とを示す側面図である。図9のように従来は、中間部材101を挿通する線条体114またはこれを覆うカバーやシースが、中間部材101の第1のフランジ104や第2のフランジ105と接触し、これらが互いに磨耗するという問題があった。 本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、エンドエフェクタ用の線条体の屈曲半径が極端に小さくなることを無くすことによりエンドエフェクタ用の線条体の寿命を延ばし、また、中間部材と線条体または線条体を覆う部材との損耗を無くすことができる産業用ロボットを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、アームの先端に支持され、前記アームの延在方向に沿った手首第1軸で回転可能な手首基部と、前記手首基部に支持され、前記手首第1軸に直交する手首第2軸で回転可能な手首揺動体と、前記手首揺動体に支持され、前記手首第2軸に直交する手首第3軸で回転可能な手首フランジと、から構成される手首部と、前記手首フランジの先端側に固定される第1のフランジと、前記第1のフランジに平行であって所定の間隔を空けて配置され、エンドエフェクタを固定する第2のフランジと、前記所定の間隔において前記第1のフランジと前記第2のフランジとを連結するように配置され、前記手首第3軸に対して左右に離間して配置される第1および第2の接続部材と、から構成される中間部材と、前記エンドエフェクタに動力または信号または材料を供給する線条体と、を備え、前記線条体が、前記第1の接続部材と前記第2の接続部材と前記第1のフランジと前記第2のフランジとで囲まれた空間を通過して前記エンドエフェクタに接続される産業用ロボットにおいて、前記囲まれた空間において前記線条体を保持する線条体クランプを備え、前記線条体クランプが、前記第1のフランジと前記第2のフランジとに対して一定の隙間を有しつつ回転可能に前記第1又は第2のフランジに支持されたことを特徴とする産業用ロボットとするものである。
また、請求項2に記載の発明は、前記線条体は、蛇腹状に形成された円筒の線条体保持器に対して摺動可能に挿通され、前記線条体保持器を介して前記線条体クランプに保持されることを特徴とする請求項1記載の産業用ロボットとするものである。
また、請求項3に記載の発明は、前記線条体クランプは、一端が前記第1又は第2のフランジにおいて前記手首第3軸と同軸に回転可能に支持された回転体の他端に支持され、前記線条体クランプが前記回転体とともに回転したとき、前記回転体が前記線条体クランプよりも先に前記第1および第2の接続部材に当接するよう構成されたことを特徴とする請求項1記載の産業用ロボットとするものである。
また、請求項4に記載の発明は、前記第1および第2の接続部材のそれぞれの一端が、凹形状に形成され、前記線条体クランプが前記回転体とともに回転したとき、前記凹形状の端部と前記回転体とが当接するよう構成されたことを特徴とする請求項3記載の産業用ロボットとするものである。
また、請求項5に記載の発明は、前記凹形状は、曲線状の凹形状であることを特徴とする請求項4記載の産業用ロボットとするものである。
また、請求項6に記載の発明は、前記第1のフランジ又は前記第2のフランジに固定され、前記第1および第2の接続部材のそれぞれに対して平行に案内するよう前記線条体をクランプする第1のクランプをさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の産業用ロボットとするものである。
また、請求項7に記載の発明は、前記手首基部に固定され、前記手首第2軸よりも前記アームの基端側で前記線条体を固定する第2のクランプと、前記手首基部に固定され、前記手首第2軸と前記第2のクランプとの間であって、前記手首第2軸と平行な回転中心にて回転可能であって、前記線条体を摺動可能に保持する支持金具と、さらに備えたことを特徴とする請求項1記載の産業用ロボットとするものである。
また、請求項8に記載の発明は、前記アームを上下に揺動可能に支持する下部アームと、前記下部アームを前後に揺動可能に支持するとともに固定部に対して垂直軸回りに回転可能な旋回部と、を備え、合計6軸から構成されたことを特徴とする請求項1記載の産業用ロボットとするものである。
また、請求項9に記載の発明は、前記下部アームが、上側下部アームと下側下部アームとからなり、前記上側下部アームと前記下側下部アームとが互いに回転可能に支持され、合計7軸から構成されたことを特徴とする請求項7記載の産業用ロボットとするものである。
図1において、ロボットの手首部は従来とほぼ同様に構成されている。すなわち、手首基部27は上部アームの基端側の機構によって手首第1軸24で回転する。手首第1軸24に垂直な手首第2軸21によって手首揺動体23が回転する。手首揺動体23の先端には手首第2軸21に垂直な手首第3軸12によって回転する手首フランジ22が設けられている。28はスポット溶接ガンであり、中間部材33を介して手首フランジ22に固定されたエンドエフェクタである。中間部材33は手首フランジ22に直接固定される第1のフランジ17と、第1のフランジ17に平行であって、手首第3軸12の方向に所定の間隔を空けて配置されて、スポット溶接ガン28を直接固定する第2のフランジ18と、第1のフランジ17と第2のフランジ18とを連結する接続部材19a、19bからなる。接続部材19a、19bは互いに平行にかつ手首第3軸12に対して左右対称に配置され(従来技術の図8と同等)、また、図1のように手首第3軸12に対して一方にオフセットされている。このように構成されているので、中間部材33は図1のようにコの字形状を成している。
手首第1軸24に対して垂直かつ手首第2軸21に対して平行に、固定部材29が配置されている。固定部材29の一端は手首基部27に固定されている。固定部材29の先端には線条体13を固定する為のクランプ10が固定されている。クランプ10は、線条体13の軸心32が手首第1軸24と平行かつ手首第2軸21に交わるように線条体13を固定する。
さらに固定部材29の一端には、支持金具11を支持する為の固定部材30が固定される。固定部材30にはクランプ10が固定する線条体13の軸心32と同軸方向で、クランプ10と手首第2軸21との間に、手首第1軸24に垂直かつ手首第2軸21に平行な回転中心31を持つ支持金具11が配置される。支持金具11は回転中心31を中心に自在に回転するとともに、線条体13を手首第2軸21と手首第1軸24に垂直な方向に垂れ下がるのを支持するが、線条体13の軸方向には線条体13を固定しない構造である。すなわち支持金具11は線条体13を線条体の軸心方向に摺動可能に支持する部材である。線条体13を支える支持金具11を固定する為の固定部材30は、固定部材29によって手首揺動体23と干渉しない程度の適切な距離を持つ位置に固定される。
なお、第2のフランジ18に備えられている軸受け16および回転体15は、第1のフランジ17側にあってもよい。
手首第2軸21、手首第3軸12が回転すると、図3(b)、(c)に示すように回転体15は軸受け16によって回転し、接続部材19aあるいは19bの凹形状20の端部20aと当接する。このとき、線条体13は線条体クランプ26を支点にして、張力や自らの重さによって極小の半径で曲がろうとするが、線条体保持器14の蛇腹の作用によって一定の半径以下には曲がらず、かつ緩やかに線条体13を案内するので、線条体13の曲げが極小になることを防ぐ。また、このとき、線条体13及び線条体保持器14は線条体クランプ26及び回転体15の作用により、第1のフランジ17、第2のフランジ18と接触することがない。
11:支持金具
12:手首第3軸
13:線条体
14:線条体保持器
15:回転体
16:軸受け
17:第1フランジ
18:第2フランジ
19a、19b:連結部材
20:凹形状
20a:凹形状端部
21:手首第2軸
22:手首フランジ
23:手首揺動体
24:手首第1軸
25:固定部材
26:線条体クランプ
27:手首基部
28:スポット溶接ガン(エンドエフェクタ)
29:固定部材
30:固定部材
31:回転中心
32:線条体軸心
33:中間部材(17、18、19a、19b)
34:クランプ
101:中間部材
102:エンドエフェクタ
103:手首フランジ
104:第1のフランジ
105:第2のフランジ
106、107:接続部材、
108:上部アーム
109:手首第1軸
110:手首基部
111:手首第2軸
112:手首揺動体
113:手首第3軸
114:線条体
115:クランプ
201:アダプタ
202:第3手首要素
203:第1板状部材
204:第2板状部材
205:連結部材
206:線条体
207:第1開口部
208:エンドエフェクタ
209:手首第3軸
210:第2開口部
Claims (9)
- アームの先端に支持され、前記アームの延在方向に沿った手首第1軸で回転可能な手首基部と、前記手首基部に支持され、前記手首第1軸に直交する手首第2軸で回転可能な手首揺動体と、前記手首揺動体に支持され、前記手首第2軸に直交する手首第3軸で回転可能な手首フランジと、から構成される手首部と、
前記手首フランジの先端側に固定される第1のフランジと、前記第1のフランジに平行であって所定の間隔を空けて配置され、エンドエフェクタを固定する第2のフランジと、前記所定の間隔において前記第1のフランジと前記第2のフランジとを連結するように配置され、前記手首第3軸に対して左右に離間して配置される第1および第2の接続部材と、から構成される中間部材と、
前記エンドエフェクタに動力または信号または材料を供給する線条体と、を備え、
前記線条体が、前記第1の接続部材と前記第2の接続部材と前記第1のフランジと前記第2のフランジとで囲まれた空間を通過して前記エンドエフェクタに接続される産業用ロボットにおいて、
前記囲まれた空間において前記線条体を保持する線条体クランプを備え、
前記線条体クランプが、前記第1のフランジと前記第2のフランジとに対して一定の隙間を有しつつ回転可能に前記第1又は第2のフランジに支持されたことを特徴とする産業用ロボット。 - 前記線条体は、蛇腹状に形成された円筒の線条体保持器に対して摺動可能に挿通され、前記線条体保持器を介して前記線条体クランプに保持されることを特徴とする請求項1記載の産業用ロボット。
- 前記線条体クランプは、一端が前記第1又は第2のフランジにおいて前記手首第3軸と同軸に回転可能に支持された回転体の他端に支持され、前記線条体クランプが前記回転体とともに回転したとき、前記回転体が前記線条体クランプよりも先に前記第1および第2の接続部材に当接するよう構成されたことを特徴とする請求項1記載の産業用ロボット。
- 前記第1および第2の接続部材のそれぞれの一端が、凹形状に形成され、前記線条体クランプが前記回転体とともに回転したとき、前記凹形状の端部と前記回転体とが当接するよう構成されたことを特徴とする請求項3記載の産業用ロボット。
- 前記凹形状は、曲線状の凹形状であることを特徴とする請求項4記載の産業用ロボット。
- 前記第1のフランジ又は前記第2のフランジに固定され、前記第1および第2の接続部材のそれぞれに対して平行に案内するよう前記線条体をクランプする第1のクランプをさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の産業用ロボット。
- 前記手首基部に固定され、前記手首第2軸よりも前記アームの基端側で前記線条体を固定する第2のクランプと、
前記手首基部に固定され、前記手首第2軸と前記第2のクランプとの間であって、前記手首第2軸と平行な回転中心にて回転可能であって、前記線条体を摺動可能に保持する支持金具と、さらに備えたことを特徴とする請求項1記載の産業用ロボット。 - 前記アームを上下に揺動可能に支持する下部アームと、前記下部アームを前後に揺動可能に支持するとともに固定部に対して垂直軸回りに回転可能な旋回部と、を備え、合計6軸から構成されたことを特徴とする請求項1記載の産業用ロボット。
- 前記下部アームが、上側下部アームと下側下部アームとからなり、前記上側下部アームと前記下側下部アームとが互いに回転可能に支持され、合計7軸から構成されたことを特徴とする請求項7記載の産業用ロボット。
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