JP2009174894A - 電力機器の部分放電検出装置 - Google Patents

電力機器の部分放電検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】S/N良く部分放電を検出することができる電力機器の部分放電検出装置を得る。
【解決手段】タンク11の開口部を塞ぐように開口部の縁に気密に固定されたフランジ21と、貫通孔を持ち貫通孔の一方を塞ぐようにフランジ21のタンク側に気密に固定された絶縁体22と、貫通孔の他方を塞ぐように絶縁体22に気密に固定され、高電圧導体12及び接地電位であるタンク11の間で発生した部分放電に伴う電磁波を検出するセンサ電極23と、フランジ21、絶縁体22及びセンサ電極23により囲まれた空間部を通ってセンサ電極23に接続されタンク11の外部に部分放電検出信号を取り出す信号線25と、センサ電極23及びタンク11の間、又はセンサ電極23及びフランジ21の間の静電容量を、タンク11の外部から上記空間部において可変する可動電極24及び感度調整ネジ26とを設けた。
【選択図】図1

Description

この発明は、ガス絶縁電気装置などの電力機器で絶縁異常が起こった際に発生する部分放電を検出する電力機器の部分放電検出装置に関するものである。
ガス絶縁電気装置などの電力機器は、一般的に高電圧部位を接地金属容器内に収納し、外部からのアクセスに対して安全性を確保した構成を取られる。このような電力機器では、高電圧部位と接地部位との間は固体絶縁物や絶縁ガスにより絶縁されるが、金属容器内に何らかの原因で金属異物が混入したり、高電圧ストレスにより固体絶縁物が劣化したりした場合は、絶縁性能が低下し絶縁破壊事故に至る恐れがある。このため、電力機器の絶縁破壊を未然に防ぎ信頼性を確保するために、絶縁性能低下の予兆である部分放電を検出することが重要である。
このような電力機器の部分放電を検出するため、金属容器内にアンテナを設置して部分放電の電磁波を検出することが一般的に行われる。このとき、放送波、無線通信波や他の機器が動作することにより発生する電磁波などの外来ノイズに対して、検出すべき部分放電電磁波のS/Nを十分確保することが必要である。簡易的には、部分放電検出装置の回路上にノイズの周波数帯域に遮蔽特性を有するバンドストップフィルタを追加してノイズを減衰させる方法がある。しかしながら、適切にフィルタを追加していくという作業そのものが繁雑である上、万一アンテナ感度の良い周波数帯域とノイズの周波数帯域が重なった場合、フィルタを追加すると部分放電検出感度もまた低下することになり、良好なS/N比が得られない恐れが生じる。そのため、ノイズの周波数帯域を避けつつ部分放電を感度良く検出できるように、電力機器の置かれたノイズ環境に合わせてアンテナの感度の良い周波数帯域そのものを調整する必要がある。
このような問題に対して、従来の部分放電検出装置では、ガス絶縁電気機器の金属容器の開口部を塞ぐ絶縁物の遮蔽板の中央部分に、部分放電検出器の電極が気密性を有しかつ電極先端部が金属容器内に突出するようにそのロッド部で支持されている(例えば、特許文献1参照)。この電極は外部からの操作により金属容器内に進出、後退できるようになっており、部分放電検出感度を調整している。
また、別の従来の部分放電検出装置では、ガス絶縁機器のタンクに導波管が取り付けられ、その終端部に電磁波センサが取り付けられている(例えば、特許文献2参照)。その導波管の途中には分岐管が取り付けられ、分岐管に収納された終端板の位置を外部から駆動ロッドで移動させることにより電磁波センサに到達する電磁波の周波数を変化させている。
特開2003−23710号公報(第4頁段落0027、図4) 特開平7−231558号公報(第5頁段落0025〜0029、図5)
上述したような従来の部分放電検出装置では、電極を後退させて高圧導体との距離が離れると感度が低下するという問題点があった。また、電極を進出、後退させる際にロッド部が絶縁ガスと大気とを区分する遮蔽板を貫通して動くため、可動部分のガスシールが必要であり、長期的にみて信頼性が低下する恐れがあるという問題点があった。
また、上述した別の従来の部分放電検出装置では、電磁波センサの感度特性そのものを変化させるものではないため、ノイズの周波数帯域がセンサの感度の良い周波数帯域と重なった場合は、S/Nの改善効果が得られないという問題点があった。さらに、終端板の位置を移動させるための可動部である駆動ロッドとタンクとの間にガスシールが必要であり、長期的にみて信頼性が低下する恐れがあるという問題点があった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、センサ電極を絶縁設計上許される範囲で高電圧導体に近接して固定することにより高感度の特性を確保しつつ、センサ電極の周波数特性を可変することができるため、外来ノイズの周波数帯域を避けた感度設定が可能となり、S/N良く部分放電を検出することができる電力機器の部分放電検出装置を得るものである。
この発明に係る電力機器の部分放電検出装置は、絶縁媒体が封じ込められた金属容器内に高電圧導体を配置した電力機器の部分放電を検出する部分放電検出装置であって、前記金属容器の開口部を塞ぐように前記開口部の縁に気密に固定されたフランジと、貫通孔を持ち前記貫通孔の一方を塞ぐように前記フランジの前記金属容器側に気密に固定された絶縁体と、前記貫通孔の他方を塞ぐように前記絶縁体に気密に固定され、前記高電圧導体及び接地電位である前記金属容器の間で発生した部分放電に伴う電磁波を検出するセンサ電極と、前記フランジ、前記絶縁体及び前記センサ電極により囲まれた空間部を通って前記センサ電極に接続され前記金属容器の外部に部分放電検出信号を取り出す信号線と、前記センサ電極及び前記金属容器の間、あるいは前記センサ電極及び前記フランジの間の静電容量を、前記金属容器の外部から前記空間部において可変する静電容量可変機構とを設けたものである。
この発明に係る電力機器の部分放電検出装置は、センサ電極を絶縁設計上許される範囲で高電圧導体に近接して固定することにより高感度の特性を確保しつつ、センサ電極の周波数特性を可変にすることができるため、外来ノイズの周波数帯域を避けた感度設定が可能となり、従来よりも良好なS/N比で部分放電を検出することができるという効果を奏する。
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係る電力機器の部分放電検出装置について図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係る電力機器の部分放電検出装置の構成を示す断面図である。なお、以降では、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
図1において、ガス絶縁電気装置(電力機器)10は、SF6ガスなどの絶縁媒体が封じ込められたタンク(金属容器)11と、タンク11内に図示しない固体絶縁物で絶縁支持された高電圧導体12とが設けられている。また、タンク11の底には、後述する部分放電検出装置20が取り付けられる。なお、この部分放電検出装置20は、タンク11の側面や上部など、タンク11のいたるところに取り付けが可能である。
また、図1において、この発明の実施の形態1に係る電力機器の部分放電検出装置20は、図示しないボルトでタンク11に気密に固定され、リング、ドーナツのような円環形状の容器を持つ円形のフランジ(導電性金属)21と、接着などによりフランジ21に気密に固定された円環形状(貫通孔を持つ)の絶縁体22と、アンテナの機能を持ち、絶縁体22に気密に固定された円盤形状のセンサ電極23と、フランジ21、絶縁体22及びセンサ電極23で囲まれた中空の空間部に配置され、センサ電極23との距離を可変できる円盤形状の可動電極24と、センサ電極23と電気的に接続された信号線25と、可動電極24と螺合し、回すことにより可動電極24の位置を変えることができる感度調整ネジ(導電性金属)26と、感度調整ネジ26と共に可動電極24の位置決めを行うためのガイドピン(導電性金属)27と、信号線25に接続された信号ケーブル28と、フランジ21の外部で信号ケーブル28に接続された部分放電検出器29とが設けられている。
部分放電検出装置20の全体的な形状は、円筒状のものを例示しているが、圧力に強い形状ならばこれに限られず、例えば半球状や多角形柱状のものでも良い。
つぎに、この実施の形態1に係る電力機器の部分放電検出装置の動作について図面を参照しながら説明する。
可動電極24は、感度調整ネジ26やガイドピン27を通じてタンク11と同じ接地電位になっている。
ガス絶縁電気装置10の高電圧導体12と接地電位であるタンク11の間の絶縁部分で何らかの異常が起こった場合、部分放電が発生してこれに伴う電磁波が放射され、電磁波はタンク11の内部を伝搬する。
部分放電検出装置20は、このような電磁波を検出するものであり、センサ電極23は、絶縁上許される範囲で高電圧導体12と近接させるなどして、より高い感度が得られるような位置に固定される。
このような部分放電検出装置20は、センサ電極23の径や、センサ電極23と高電圧導体12の位置関係や、センサ電極23とタンク11、フランジ21の位置関係、幾何学的構造、絶縁体22の誘電率、信号線25の径、長さなど、様々な条件で決まる複数の共振点からなる周波数応答特性を有しており、特に共振周波数では高感度に電磁波を検出する。
ここで、部分放電検出装置20の共振周波数を決定する要因の一つであるセンサ電極23とフランジ21またはタンク11の間の静電容量は、可動電極24をセンサ電極23に近づけると大きくなり、遠ざけると小さくなるので、これに応じて共振周波数が可変される。
このような操作は外部から感度調整ネジ26を回すだけで簡単にでき、且つ感度調整ネジ26の可動部分や信号線25のフランジ21における貫通部分は、センサ電極23、絶縁体22及びフランジ21により囲まれた中空の空間部に配置されている。その中空の空間部は、SF6ガスなどの絶縁媒体とは隔離されているため、絶縁媒体が短期的、長期的に外部に漏れることを抑制でき、信頼性の高い部分放電検出装置20が実現できる。
このように、ガス絶縁電気装置10が設置された際に外来ノイズが部分放電検出のS/Nを低下させるような周波数帯域にあった場合、仮にガス絶縁電気装置10の運用が開始された後でも外部から安全に部分放電検出装置20の周波数特性を変化させ、部分放電検出装置20の感度の良い周波数帯域を外来ノイズの周波数帯域から外すことによって、S/Nの良い部分放電の検出が可能となる。
上述した構成により、センサ電極23を絶縁設計上許される範囲で高電圧導体12に近接して固定しつつセンサ電極23とタンク11との間の静電容量を可変できるため、センサ電極23を高感度の位置に固定しつつ、センサ電極23の周波数特性をガス絶縁電気装置10が据え付けられた後でも可変して外来ノイズの周波数帯域を避けた感度設定が可能となり、S/N良く部分放電を検出することができる。
また、図2は、この発明の実施の形態1に係る電力機器の部分放電検出装置の別の構成を示す断面図である。
図2は、図1の変形例であり、円環形状の絶縁体22の代わりに、信号線25用の貫通孔を持つ円盤形状の絶縁体22Aが設置される。
この構成でも、感度調整ネジ26の可動部分や信号線25のフランジ21における貫通部分は、センサ電極23、絶縁体22A及びフランジ21により囲まれた中空の空間部に配置されている。その中空の空間部は、SF6ガスなどの絶縁媒体とは隔離されているため、絶縁媒体が短期的、長期的に外部に漏れることを抑制でき、信頼性の高い部分放電検出装置20が実現できる。
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係る電力機器の部分放電検出装置について図3を参照しながら説明する。図3は、この発明の実施の形態2に係る電力機器の部分放電検出装置の構成を示す断面図である。
図3において、この発明の実施の形態2に係る電力機器の部分放電検出装置20は、図示しないボルトでタンク11に気密に固定された円形のフランジ21と、後述するセンサ電極固定ボルトでフランジ21に固定された円環形状の絶縁体22と、円盤形状のセンサ電極23と、フランジ21、絶縁体22及びセンサ電極23により囲まれた中空の空間部に配置され、センサ電極23との距離を可変できる円盤形状の可動電極24と、センサ電極23と電気的に接続された信号線25と、回すことにより可動電極24の位置を変えるための感度調整ネジ26と、感度調整ネジ26と共に可動電極24の位置決めを行うためのガイドピン27と、信号線25に接続された信号ケーブル28と、信号ケーブル28に接続された部分放電検出器29と、センサ電極23を絶縁体22及びフランジ21に固定するためのセンサ電極固定ボルト31a、31bと、センサ電極23と絶縁体22の接触部分、絶縁体22とフランジ21の接触部分で、センサ電極固定ボルト31a、31bよりも内側部分に設置されたリング状のガスシール32a、32bとが設けられている。
つぎに、この実施の形態2に係る電力機器の部分放電検出装置の動作について図面を参照しながら説明する。
可動電極24は、感度調整ネジ26やガイドピン27を通じてタンク11と同じ接地電位になっている。
センサ電極23は、センサ電極固定ボルト31a、31bによりフランジ21と接続されているため、商用周波数〜数MHzの比較的低い周波数では、ほぼ接地された状態である。
これに対して数百MHz以上の比較的高い周波数になると、センサ電極固定ボルト31a、31bが自ら持つインダクタンスの為に、センサ電極23は電気的に浮いた状態になる。
これにより、高電圧導体12に印加される商用周波電圧や雷サージ電圧に対して、センサ電極23は、常に接地電位を保つ一方、部分放電による電磁波のうち数百MHz以上の周波数領域ではこれを検出することができる。
このような部分放電検出装置20の感度特性は、形状や寸法や配置で決定される複数の共振点からなる周波数応答特性を有しており、特に共振周波数では高感度に電磁波を検出する。
ここで、部分放電検出装置20の共振周波数を決定する要因の一つであるセンサ電極23とフランジ21またはタンク11の間の静電容量は、可動電極24をセンサ電極23に近づけると大きくなり、遠ざけると小さくなるので、これに応じて共振周波数が可変される。
このような操作は外部から感度調整ネジ26を回すだけで簡単にでき、且つ感度調整ネジ26の可動部分や信号線25のフランジ21における貫通部分は、ガスシール32a、32bによる気密構造により、ガス絶縁電気装置10内部の絶縁媒体から完全に切り離された部位であるため、絶縁媒体が短期的、長期的に外部に漏れることを抑制でき、信頼性の高い部分放電検出装置20が実現できる。
なお、本実施の形態2では、センサ電極固定ボルト31を2本配置した例を図示したが、必ずしもこれらの本数や配置に限定される必要はない。
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係る電力機器の部分放電検出装置について図4を参照しながら説明する。図4は、この発明の実施の形態3に係る電力機器の部分放電検出装置の構成を示す断面図である。
図4において、この発明の実施の形態3に係る電力機器の部分放電検出装置20は、図示しないボルトでタンク11に気密に固定された円形のフランジ21と、接着などによりフランジ21に気密に固定された円環形状の絶縁体22と、気密に固定された円盤形状のセンサ電極23と、センサ電極23と電気的に接続された信号線25と、フランジ21の外部から絶縁体22を介してセンサ電極23に対して挿抜できる2本(複数)の感度調整ボルト26Aa、26Abと、信号線25に接続された信号ケーブル28と、信号ケーブル28に接続された部分放電検出器29とが設けられている。
つぎに、この実施の形態3に係る電力機器の部分放電検出装置の動作について図面を参照しながら説明する。
部分放電検出装置20の感度特性は、形状や寸法や配置で決定される複数の共振点からなる周波数応答特性を有しており、特に共振周波数では高感度に電磁波を検出する。
いま、感度調整ボルト26Aが1本もセンサ電極23に接続されていない状態から感度調整ボルト26Aaの1本を接続すると、センサ電極23は感度調整ボルト26Aaを通じてフランジ21と電気的に接続される。このとき、商用周波数〜数MHzの比較的低い周波数ではセンサ電極23はフランジ21と直結されほぼ接地状態と見なせるが、数百MHz以上の比較的高い周波数になると感度調整ボルト26Aaのインダクタンスを介してフランジ21と接続されることになる。これにより、センサ電極23とフランジ21もしくはタンク11との間のインダクタンス、つまり対地インダクタンスが変化し、これに応じて共振周波数が変化する。
さらに、2本目の感度調整ボルト26Abもセンサ電極23に接続すると、センサ電極23の対地インダクタンスはさらに変化し、共振周波数もさらに変化する。これによると、センサ電極23に接続する感度調整ボルト26Aの本数や接続する位置によって、部分放電検出装置20の感度特性としていろいろなパターンを得ることができる。
このような操作は外部から感度調整ボルト26Aを挿抜するだけで簡単にでき、且つ感度調整ボルト26Aの可動部分や信号線25のフランジ21における貫通部分は、気密構造により、ガス絶縁電気装置10内部の絶縁媒体からは完全に切り離された部位であるため、絶縁媒体が短期的、長期的に外部に漏れることを抑制でき、信頼性の高い部分放電検出装置20が実現できる。
上述した構成により、センサ電極23を絶縁設計上許される範囲で高電圧導体12に近接して固定しつつセンサ電極23とタンク11の間のインダクタンスを可変できるため、センサ電極23を高感度の位置に固定しつつ、センサ電極23の周波数特性をガス絶縁電気装置10が据え付けられた後でも可変して外来ノイズの周波数帯域を避けた感度設定が可能となり、S/N良く部分放電を検出することができる。
なお、本実施の形態3では、感度調整ボルト26Aを2本配置した例を図示したが、必ずしもこの本数や配置に限定される必要はない。
実施の形態4.
この発明の実施の形態4に係る電力機器の部分放電検出装置について図5及び図6を参照しながら説明する。図5は、この発明の実施の形態4に係る電力機器の部分放電検出装置の構成を示す断面図である。また、図6は、この発明の実施の形態4に係る電力機器の部分放電検出装置を上からみた図である。
図5及び図6において、この発明の実施の形態4に係る電力機器の部分放電検出装置20は、図示しないボルトでタンク11に気密に固定された円形のフランジ21と、後述する3本のセンサ電極固定ボルトでフランジ21に固定された円環形状の絶縁体22と、同じく後述するセンサ電極固定ボルトでフランジ21に固定された円盤形状のセンサ電極23と、センサ電極23と電気的に接続された信号線25と、フランジ21の外部からセンサ電極23に対して挿抜できる3本の感度調整ボルト26Aa、26Ab、26Acと、信号線25に接続された信号ケーブル28と、信号ケーブル28に接続された部分放電検出器29と、センサ電極23を絶縁体22及びフランジ21に固定するための3本のセンサ電極固定ボルト31a、31b、31cと、センサ電極23、絶縁体22及びフランジ21のそれぞれの接触部分で、センサ電極固定ボルト31a〜31cよりも内側部分の位置、且つ感度調整ボルト26Aa〜26Acよりも外側部分の位置に設置されたリング状のガスシール32a、32bとが設けられている。
つぎに、この実施の形態4に係る電力機器の部分放電検出装置の動作について図面を参照しながら説明する。
部分放電検出装置20の感度特性は、形状や寸法や配置で決定される複数の共振点からなる周波数応答特性を有しており、特に共振周波数では高感度に電磁波を検出する。
感度調整ボルト26Aが1本もセンサ電極23に接続されていない状態では、センサ電極23はセンサ電極固定ボルト31a、31b、31cによりフランジ21と接続される。このとき、部分放電検出装置20の感度特性は、センサ電極固定ボルト31a、31b、31cがもつインダクタンスを含めて決定される。
いま、感度調整ボルト26Aaをセンサ電極23に接続すると、センサ電極23とフランジ21もしくはタンク11との間のインダクタンス、つまり対地インダクタンスが変化し、これに応じて共振周波数が変化する。
さらに、2本目の感度調整ボルト26Abもセンサ電極23に接続すると、センサ電極23の対地インダクタンスはさらに変化し、共振周波数もさらに変化する。
これによると、センサ電極23に接続する感度調整ボルト26Aの本数や接続する位置によって、部分放電検出装置20の感度特性としていろいろなパターンを得ることができる。
このような操作は外部から感度調整ボルト26Aを挿抜するだけで簡単にでき、且つ感度調整ボルト26Aの可動部分や信号線25のフランジ21における貫通部分は、気密構造によりガス絶縁電気装置10内部の絶縁媒体からは完全に切り離された部位であるため、絶縁媒体が短期的、長期的に外部に漏れることを抑制でき、信頼性の高い部分放電検出装置が実現できる。
なお、本実施の形態4では、感度調整ボルト26A、センサ電極固定ボルト31をそれぞれ3本ずつ配置した例を図示したが、必ずしもこれらの本数や配置に限定される必要はない。
実施の形態5.
この発明の実施の形態5に係る電力機器の部分放電検出装置について図7を参照しながら説明する。図7は、この発明の実施の形態5に係る電力機器の部分放電検出装置の構成を示す断面図である。
図7において、この発明の実施の形態5に係る電力機器の部分放電検出装置20は、図示しないボルトでタンク11に気密に固定された円形のフランジ21と、後述する絶縁体固定ボルトでフランジ21に固定された円環形状の絶縁体22と、後述するセンサ電極固定ボルトで絶縁体22に固定された円盤形状のセンサ電極23と、センサ電極23と電気的に接続された信号線25と、フランジ21の外部から後述するセンサ電極固定ボルトを通じてセンサ電極23に対して接続できる複数の感度調整ボルト(導電性金属)26Aa、26Abと、信号線25に接続された信号ケーブル28と、信号ケーブル28に接続された部分放電検出器29と、センサ電極23を絶縁体22に固定するためのセンサ電極固定ボルト(導電性金属)31a、31bと、センサ電極23と絶縁体22とフランジ21のそれぞれの接触部分で、後述する絶縁体固定ボルトよりも内側部分の位置、且つセンサ電極固定ボルト31a、31bよりも外側部分の位置に設置されたリング状のガスシール32a、32bと、絶縁体22をフランジ21に固定するための絶縁体固定ボルト(導電性金属)33a、33bとが設けられている。
つぎに、この実施の形態5に係る電力機器の部分放電検出装置の動作について図面を参照しながら説明する。
部分放電検出装置20の感度特性は、形状や寸法や配置で決定される複数の共振点からなる周波数応答特性を有しており、特に共振周波数では高感度に電磁波を検出する。
いま、感度調整ボルト26Aが1本もセンサ電極固定ボルト31を通じてセンサ電極23に接続されていない状態から感度調整ボルト26Aaの1本を接続すると、センサ電極23は感度調整ボルト26Aaを通じてフランジ21と電気的に接続される。このとき、商用周波数〜数MHzの比較的低い周波数ではセンサ電極23はほぼ接地された状態と見なせるが、数百MHz以上の比較的高い周波数になると感度調整ボルト26Aaのインダクタンスを介してフランジ21と接続されることになる。これにより、センサ電極23とフランジ21もしくはタンク11との間のインダクタンス、つまり対地インダクタンスが変化し、これに応じて共振周波数が変化する。
さらに、2本目の感度調整ボルト26Abもセンサ電極固定ボルト31bを通じてセンサ電極23に接続すると、センサ電極23の対地インダクタンスはさらに変化し、共振周波数もさらに変化する。図示していないが、さらに、複数(3本以上)の感度調整ボルト26Aをセンサ電極23に接続して共振周波数を変化させることも可能である。これによると、センサ電極23に接続する感度調整ボルト26Aの本数や接続する位置によって、部分放電検出装置20の感度特性としていろいろなパターンを得ることができる。
このような操作は外部から感度調整ボルト26Aを挿抜するだけで簡単にでき、且つ感度調整ボルト26Aの可動部分や信号線25のフランジ21における貫通部分は、気密構造により、ガス絶縁電気装置10内部の絶縁媒体からは完全に切り離された部位であるため、絶縁媒体が短期的、長期的に外部に漏れることを抑制でき、信頼性の高い部分放電検出装置20が実現できる。
上述した構成により、ガス絶縁電気装置10を据え付けた後でもセンサ電極23とタンク11の間のインダクタンスを変化して周波数特性を可変することができるため、外来ノイズの周波数帯域を避けた感度設定が可能となり、S/N良く部分放電を検出することができる。また、可動部分である感度調整ボルト26Aを高電圧導体12の周囲媒体である絶縁媒体から隔離することができるため、可動部分を通じてその媒体が漏れることを防止して信頼性の高い部分放電検出装置20が実現できる。
なお、本実施の形態5では、感度調整ボルト26A、センサ電極固定ボルト31、絶縁体固定ボルト33をそれぞれ2本ずつ配置した例を図示したが、必ずしもこれらの本数や配置に限定される必要はない。
この発明の実施の形態1に係る電力機器の部分放電検出装置の構成を示す断面図である。 この発明の実施の形態1に係る電力機器の部分放電検出装置の別の構成を示す断面図である。 この発明の実施の形態2に係る電力機器の部分放電検出装置の構成を示す断面図である。 この発明の実施の形態3に係る電力機器の部分放電検出装置の構成を示す断面図である。 この発明の実施の形態4に係る電力機器の部分放電検出装置の構成を示す断面図である。 この発明の実施の形態4に係る電力機器の部分放電検出装置を上からみた図である。 この発明の実施の形態5に係る電力機器の部分放電検出装置の構成を示す断面図である。
符号の説明
10 ガス絶縁電気装置、11 タンク、12 高電圧導体、20 部分放電検出装置、21 フランジ、22、22A 絶縁体、23 センサ電極、24 可動電極、25 信号線、26 感度調整ネジ、26A、26Aa、26Ab 感度調整ボルト、27 ガイドピン、28 信号ケーブル、29 部分放電検出器、31、31a、31b センサ電極固定ボルト、32a、32b ガスシール、33、33a、33b 絶縁体固定ボルト。

Claims (9)

  1. 絶縁媒体が封じ込められた金属容器内に高電圧導体を配置した電力機器の部分放電を検出する部分放電検出装置であって、
    前記金属容器の開口部を塞ぐように前記開口部の縁に気密に固定されたフランジと、
    貫通孔を持ち前記貫通孔の一方を塞ぐように前記フランジの前記金属容器側に気密に固定された絶縁体と、
    前記貫通孔の他方を塞ぐように前記絶縁体に気密に固定され、前記高電圧導体及び接地電位である前記金属容器の間で発生した部分放電に伴う電磁波を検出するセンサ電極と、
    前記フランジ、前記絶縁体及び前記センサ電極により囲まれた空間部を通って前記センサ電極に接続され前記金属容器の外部に部分放電検出信号を取り出す信号線と、
    前記センサ電極及び前記金属容器の間、あるいは前記センサ電極及び前記フランジの間の静電容量を、前記金属容器の外部から前記空間部において可変する静電容量可変機構と
    を備えたことを特徴とする電力機器の部分放電検出装置。
  2. 前記静電容量可変機構は、
    前記空間部内に配置され前記センサ電極との距離を可変できる可動電極と、
    前記金属容器の外部から、前記可動電極の位置を変えることができる感度調整機構とから構成される
    ことを特徴とする請求項1記載の電力機器の部分放電検出装置。
  3. 前記感度調整機構は、前記可動電極と螺合し、回すことにより前記可動電極の位置を変えることができる感度調整ネジである
    ことを特徴とする請求項2記載の電力機器の部分放電検出装置。
  4. 前記センサ電極を前記絶縁体及び前記フランジに固定するためのセンサ電極固定ボルトと、
    前記センサ電極固定ボルトよりも内側部分に設置され、前記センサ電極及び前記絶縁体を結合する第1のガスシールと、
    前記センサ電極固定ボルトよりも内側部分に設置され、前記絶縁体及び前記フランジを結合する第2のガスシールとをさらに備えた
    ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の電力機器の部分放電検出装置。
  5. 絶縁媒体が封じ込められた金属容器内に高電圧導体を配置した電力機器の部分放電を検出する部分放電検出装置であって、
    前記金属容器の開口部を塞ぐように前記開口部の縁に気密に固定されたフランジと、
    貫通孔を持ち前記貫通孔の一方を塞ぐように前記フランジの前記金属容器側に気密に固定された絶縁体と、
    前記貫通孔の他方を塞ぐように前記絶縁体に気密に固定され、前記高電圧導体及び接地電位である前記金属容器の間で発生した部分放電に伴う電磁波を検出するセンサ電極と、
    前記フランジ、前記絶縁体及び前記センサ電極により囲まれた空間部を通って前記センサ電極に接続され前記金属容器の外部に部分放電検出信号を取り出す信号線と、
    前記センサ電極と前記フランジもしくは金属容器との間のインダクタンスを、前記金属容器の外部から前記フランジ、前記絶縁体及び前記センサ電極の内部において可変するインダクタンス可変機構と
    を備えたことを特徴とする電力機器の部分放電検出装置。
  6. 前記インダクタンス可変機構は、前記フランジの外部から前記絶縁体を介して前記センサ電極に対して挿抜できる感度調整ボルトである
    ことを特徴とする請求項5記載の電力機器の部分放電検出装置。
  7. 前記センサ電極を前記絶縁体及び前記フランジに固定するためのセンサ電極固定ボルトと、
    前記センサ電極固定ボルトよりも内側部分に設置され、かつ前記インダクタンス可変機構又は前記感度調整ボルトよりも外側部分に設置され、前記センサ電極及び前記絶縁体を結合する第1のガスシールと、
    前記センサ電極固定ボルトよりも内側部分に設置され、かつ前記インダクタンス可変機構又は前記感度調整ボルトよりも外側部分に設置され、前記絶縁体及び前記フランジを結合する第2のガスシールとをさらに備えた
    ことを特徴とする請求項5又は6記載の電力機器の部分放電検出装置。
  8. 絶縁媒体が封じ込められた金属容器内に高電圧導体を配置した電力機器の部分放電を検出する部分放電検出装置であって、
    前記金属容器の開口部を塞ぐように前記開口部の縁に気密に固定されたフランジと、
    貫通孔を持ち前記貫通孔の一方を塞ぐように前記フランジの前記金属容器側に気密に固定された絶縁体と、
    前記貫通孔の他方を塞ぐように前記絶縁体に気密に固定され、前記高電圧導体及び接地電位である前記金属容器の間で発生した部分放電に伴う電磁波を検出するセンサ電極と、
    前記フランジ、前記絶縁体及び前記センサ電極により囲まれた空間部を通って前記センサ電極に接続され前記金属容器の外部に部分放電検出信号を取り出す信号線と、
    前記センサ電極と前記フランジもしくは金属容器との間のインダクタンスを、前記金属容器の外部から前記空間部において可変するインダクタンス可変機構と
    を備えたことを特徴とする電力機器の部分放電検出装置。
  9. 前記センサ電極を前記絶縁体に固定するためのセンサ電極固定ボルトと、
    前記絶縁体を前記フランジに固定するための絶縁体固定ボルトと、
    前記絶縁体固定ボルトよりも内側部分に設置され、かつ前記センサ電極固定ボルトよりも外側部分に設置され、前記センサ電極及び前記絶縁体を結合する第1のガスシールと、
    前記絶縁体固定ボルトよりも内側部分に設置され、かつ前記センサ電極固定ボルトよりも外側部分に設置され、前記絶縁体及び前記フランジを結合する第2のガスシールとをさらに備え、
    前記インダクタンス可変機構は、前記フランジの外部から前記センサ電極固定ボルトを通じて前記センサ電極に対して挿抜して接続できる感度調整ボルトである
    ことを特徴とする請求項8記載の電力機器の部分放電検出装置。
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