JP2009161496A - 化粧料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】側鎖にカルボキシ基を有する増粘性ポリマーを用いた化粧料において、高い透明性、分散性、良好な感触を維持しながら、金属酸化物微粒子の配合量を増加させることを可能にする化粧料の製造方法を提供すること。
【解決手段】一次粒子径が1nm以上、100nm以下である酸化亜鉛微粒子、酸化チタン微粒子、酸化セリウム微粒子、酸化ジルコニウム微粒子および酸化鉄微粒子よりなる群から選択される少なくとも1種の金属酸化物微粒子の表面をシリカで被覆し、かつその外側を疎水化処理してなる金属酸化物微粒子の水分散体に、側鎖にカルボキシ基を有する増粘性ポリマーを中和せずに添加した後、中和して増粘させることにより、化粧料を製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、化粧料の製造方法に関するものである。
酸化亜鉛や酸化チタンは、紫外線遮断能に優れていることから、化粧料の紫外線カット剤として用いることが期待される。これらの金属酸化物は、屈折率が高くて隠蔽力が大きいので、肌上で不自然に白化しやすく、化粧料に適した透明性を確保しようとすると、粒子径が100nm以下の微粒子で分散していることが必要となる。しかし、粒子径が小さくなると、表面積が増大するので、分散状態を維持することが困難になる。また、酸化亜鉛は両性酸化物であるので、酸性やアルカリ性の条件下では、水分に溶出し、例えば、肌にアレルギー症状を引き起こすことがある。酸化チタンは強力な光触媒であるので、他の配合成分を劣化させることがある。さらに、一般に、金属酸化物は、有機化合物に比べて、肌に対する感触が劣るので、化粧料に配合することが好まれない傾向にある。
そこで、例えば、特許文献1〜3には、酸化亜鉛微粒子の表面をシリカなどで被覆することにより、紫外線遮断能を維持しながら、表面活性を抑制して、上記した問題点を解決しようとする試みがなされている。ところが、酸化亜鉛微粒子の表面を無機化合物で表面処理しただけでは、化粧料に配合した場合に、特に分散性や肌に対する感触の点で依然として満足できるものではない。
また、一般に、水性化粧料として、その剤型の安定性を高めるために、増粘剤として、側鎖にカルボキシ基を有する増粘性ポリマーが用いられている。側鎖にカルボキシ基を有する増粘性ポリマーとしては、例えば、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリアルギン酸塩などが挙げられる。これらの増粘性ポリマーのうち、カルボキシビニルポリマーがよく用いられている。カルボキシビニルポリマーは、その特徴や利点として、低濃度で高い増粘安定性が得られること、天然高分子では得られない再現性が得られること、温度安定性が良好なこと、耐細菌性が良好なこと、広範囲のpHおよび粘度領域で使用可能なこと、肌に塗布した時の使用感が良好なことなどがあることから、化粧料に広く用いられている。
しかし、カルボキシビニルポリマーを用いた化粧料に、酸化亜鉛微粒子や酸化チタン微粒子を配合する際には、増粘性の低下や微粒子の凝集が起こるという問題がある。この問題を解決するために、特許文献4には、微粒子表面をシリカやアルミナで処理する方法が提案されているが、得られたシリカ被覆微粒子やアルミナ被覆微粒子の性能は、依然として、充分ではない。
特開平3−183620号公報 特開平11−302015号公報 特開2001−58821号公報 国際公開第01/093812号パンフレット
本発明者らは、上記従来の課題を解決するために、シリカで被覆した金属酸化物微粒子の表面をさらにポリマーで被覆してなるポリマー被覆金属酸化物微粒子を化粧料に用いることにより、高い透明性と優れた紫外線遮断能を維持しながら、分散性および貯蔵安定性に優れると共に、化粧料に配合した場合に、肌に対する感触が著しく向上した化粧料が得られることを見出し、特許出願を行った(特願2006−251783)。この出願に係る発明では、多量の精製水にカルボキシビニルポリマーおよび中和剤を添加して増粘させた後、ポリマー被覆金属酸化物微粒子の水分散体を添加することにより、化粧料を製造している。しかし、この方法では、多量の精製水を含有する増粘配合物に、さらにポリマー被覆金属酸化物微粒子の水分散体に含まれる精製水が混入することになる。それゆえ、最終的に得られた化粧料中における精製水の比率が必然的に高くなるので、ポリマー被覆金属酸化物微粒子の配合量を低く抑制する必要があった。
上述した状況の下、本発明が解決すべき課題は、側鎖にカルボキシ基を有する増粘性ポリマーを用いた化粧料において、高い透明性、分散性、良好な感触を維持しながら、金属酸化物微粒子の配合量を増加させることを可能にする化粧料の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、種々検討の結果、多量の精製水に増粘性ポリマーおよび中和剤を添加して増粘させた後、金属酸化物微粒子の水分散体を添加するのではなく、金属酸化物微粒子の水分散体に増粘性ポリマーを中和せずに添加した後、中和して増粘させることにより、側鎖にカルボキシ基を有する増粘性ポリマーを用いた化粧水において、高い透明性、分散性、良好な感触を維持しながら、金属酸化物微粒子の配合量を増加させることができることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、一次粒子径が1nm以上、100nm以下である酸化亜鉛微粒子、酸化チタン微粒子、酸化セリウム微粒子、酸化ジルコニウム微粒子および酸化鉄微粒子よりなる群から選択される少なくとも1種の金属酸化物微粒子の表面をシリカで被覆し、かつその外側を疎水化処理してなる被覆金属酸化物微粒子の水分散体に、側鎖にカルボキシ基を有する増粘性ポリマーを中和せずに添加した後、中和して増粘させることを特徴とする化粧料の製造方法を提供する。
本発明による化粧料の製造方法において、疎水化処理は、好ましくは、疎水性ポリマーによる表面被覆処理である。また、側鎖にカルボキシ基を有する増粘性ポリマーは、好ましくは、カルボキシビニルポリマーおよび/またはアクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合体である。
本発明によれば、金属酸化物微粒子が凝集することなく、高い透明性、分散性、良好な感触を維持しながら、金属酸化物微粒子の配合量を増加させた化粧料を製造することが可能になる。
≪化粧料の製造方法≫
本発明による化粧料の製造方法(以下「本発明の製造方法」ということがある。)は、一次粒子径が1nm以上、100nm以下である酸化亜鉛微粒子、酸化チタン微粒子、酸化セリウム微粒子、酸化ジルコニウム微粒子および酸化鉄微粒子よりなる群から選択される少なくとも1種の金属酸化物微粒子の表面をシリカで被覆し、かつその外側を疎水化処理してなる金属酸化物微粒子の水分散体に、側鎖にカルボキシ基を有する増粘性ポリマーを中和せずに添加した後、中和して増粘させることを特徴とする。
<側鎖にカルボキシ基を有する増粘性ポリマー>
本発明の製造方法に用いられる側鎖にカルボキシ基を有する増粘性ポリマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合体、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリアルギン酸塩などが挙げられる。これらの増粘性ポリマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの増粘性ポリマーのうち、カルボキシビニルポリマーおよびアクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合体が好適である。
カルボキシビニルポリマーは、水溶性のポリマーであり、主としてアクリル酸を溶液重合した後、乾燥して得られる白色の微粉末である。重合溶媒としては、ベンゼンや酢酸エチル、あるいは酢酸エチルとシクロヘキサンとの混合溶媒などが用いられるが、溶媒の残留による安全性の懸念により、酢酸エチルとシクロヘキサンとの混合溶媒が製品品質の観点で好ましく用いられる。カルボキシビニルポリマーの特徴は、重合体中のカルボキシ基に由来する。粉末状態では、溶媒和していないので、硬いコイル状になっている。水に分散すると、分子が水和されて、コイル状態がある程度緩むことにより、粘度が増大する。
さらにアルカリで中和することにより、カルボキシ基がイオン化し、ポリマー骨格に沿ってマイナス荷電が発生し、その反発力により膨潤し、急速に増粘する。この増粘効果のため、カルボキシビニルポリマーは、化粧料、特にクリーム、ローションなどのO/W型エマルションや、ゲル状化粧料の剤型安定化を目的として多く用いられている。カルボキシビニルポリマーの利点としては、低濃度で高い増粘安定性が得られること、天然高分子では得られない再現性が得られること、温度安定性が良好なこと、耐細菌性が良好なこと、広範囲のpHおよび粘度領域で使用可能なこと、肌塗布時の使用性が良好なことなどが挙げられ、他の増粘剤に比較して、広く化粧料に用いられている。
カルボキシビニルポリマーの粘度挙動は、分子量や、架橋度、分子構造などによって異なり、化粧料剤型への適合性も異なるが、本発明の化粧料に使用可能な物性としては、化粧品原料基準に適合するものであれば、特に限定されるものではない。本発明による化粧料の製造方法に使用可能なカルボキシビニルポリマーとしては、例えば、Noveon,Inc.製の商品名「CARBOPOL(登録商標)」が挙げられる。
本発明の製造方法は、疎水化処理したシリカ被覆金属酸化物微粒子の水分散体と側鎖にカルボキシ基を有する増粘性ポリマーとを含有する化粧料を与えるが、これらは配合可能な通常の原料を使用し、通常の製法により製造することができる。
本発明の製造方法は、側鎖にカルボキシ基を有する増粘性ポリマーを中和せずに添加した後、中和して増粘させることを特徴としているが、増粘させるのに用いる中和剤としては、化粧料として使用可能な塩基であれば、特に限定されるものではなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、アンモニアなどが挙げられる。
まず、金属酸化物微粒子の表面をシリカで被覆し、かつその外側を疎水化処理してなる金属酸化物微粒子(以下「疎水化処理した金属酸化物微粒子」という。)の水分散体に、側鎖にカルボキシ基を有する増粘性ポリマーを中和せずに添加する方法としては、特に限定されるものではなく、粉体状の増粘性ポリマーをそのまま添加しても、精製水などの分散媒に増粘性ポリマーを混合して添加してもよいが、疎水化処理した金属酸化物微粒子をより多く配合するには、粉末状の増粘性ポリマーをそのまま添加する方が好ましい。
<疎水化処理した金属酸化物微粒子>
本発明の製造方法に用いられる疎水化処理した金属酸化物微粒子は、一次粒子径が1nm以上、100nm以下である酸化亜鉛微粒子、酸化チタン微粒子、酸化セリウム微粒子、酸化ジルコニウム微粒子および酸化鉄微粒子よりなる群から選択される少なくとも1種の金属酸化物微粒子の表面をシリカで被覆し、かつその外側を疎水化処理してなる金属酸化物微粒子である。ここで、「一次粒子径」とは、金属酸化物微粒子を構成する最小の粒子である一次粒子の粒子径を意味し、本発明では、下記の実施例に記載した画像解析法により求めた数平均粒子径である。
なお、疎水化処理は、好ましくは、疎水性ポリマーによる表面被覆処理であり、この場合、疎水化処理した金属酸化物微粒子とは、一次粒子径が1nm以上、100nm以下である酸化亜鉛微粒子、酸化チタン微粒子、酸化セリウム微粒子、酸化ジルコニウム微粒子および酸化鉄微粒子よりなる群から選択される少なくとも1種の金属酸化物微粒子の表面をシリカで被覆し、かつその外側を疎水性ポリマーで被覆してなるポリマー被覆金属酸化物微粒子である。
疎水化処理した金属酸化物微粒子において、金属酸化物微粒子の一次粒子径は、1nm以上、100nm以下、好ましくは3nm以上、80nm以下、より好ましくは5nm以上、50nm以下である。金属酸化物微粒子の一次粒子径が小さすぎると、凝集しやすく、取り扱いが困難になることがある。逆に、金属酸化物微粒子の一次粒子径が大きすぎると、表面をシリカで被覆する際や、その外側を疎水化処理する際に、均一に被覆または処理できないことがある。
疎水化処理した金属酸化物微粒子において、シリカ層の厚さは、好ましくは1nm以上、100nm以下、より好ましくは2nm以上、60nm以下、さらに好ましくは3nm以上、40nm以下である。シリカ層の厚さが薄すぎると、金属酸化物微粒子がシリカで充分に被覆されないことがある。逆に、シリカ層の厚さが厚すぎると、化粧料を肌に塗布した際の透明感が低下することがある。なお、シリカ層の厚さとは、金属酸化物微粒子の表面に形成されたシリカ層の最も厚い部分の厚さを意味し、電子顕微鏡を用いた画像解析法で求めた値である。
疎水化処理した金属酸化物微粒子において、疎水化処理とは、例えば、疎水性ポリマー;ロウ、高級脂肪酸トリグリセライド、高級脂肪酸、高級脂肪酸多価金属塩、高級脂肪族硫酸化物の多価金属塩などの高級脂肪酸、高級アルコールまたはそれらの誘導体;全フッ素化または部分フッ素化した高級脂肪酸および高級アルコールなどの有機フッ素化合物;シリコーン油、シランカップリング剤、アルコキシシラン類、有機クロロシラン類、シラザン類などの有機ケイ素化合物;などによる表面被覆処理が挙げられる。これらの表面被覆処理のうち、疎水性ポリマー、高級脂肪酸多価金属塩、シリコーン油、シランカップリング剤、アルコキシシラン類による表面被覆処理が好適であり、実用的な観点から、疎水性ポリマー、シランカップリング剤、アルコキシシラン類による表面被覆処理が特に好適であり、さらに透明性や分散安定性の観点から、疎水性ポリマーによる表面被覆処理が最も好適である。
疎水化処理が疎水性ポリマーによる表面被覆処理である場合、ポリマー被覆金属酸化物微粒子におけるポリマー層の厚さは、好ましくは1nm以上、100nm以下、より好ましくは2nm以上、80nm以下、さらに好ましくは3nm以上、60nm以下である。ポリマー層の厚さが薄すぎると、ポリマー被覆金属酸化物微粒子の分散性および貯蔵安定性が向上しないことがある。逆に、ポリマー層の厚さが厚すぎると、ポリマー被覆金属酸化物微粒子の紫外線遮断能が不充分となり、紫外線を有効に遮断できないことや、化粧料を肌に塗布した際の透明感が低下することがある。なお、ポリマー層の厚さとは、シリカ被覆金属酸化物微粒子の外側に形成されたポリマー層の最も厚い部分の厚さを意味し、電子顕微鏡を用いた画像解析法で求めた値である。
疎水化処理した金属酸化物微粒子の数平均粒子径は、好ましくは5nm以上、500nm以下、より好ましくは10nm以上、300nm以下、さらに好ましくは20nm以上、200nm以下である。疎水化処理した金属酸化物微粒子の数平均粒子径が小さすぎると、凝集しやすく、取り扱いが困難になることがある。逆に、疎水化処理した金属酸化物微粒子の数平均粒子径が大きすぎると、化粧料を肌に塗布した際の透明感が低下することがある。
疎水化処理が疎水性ポリマーによる表面被覆処理である場合、ポリマー被覆金属酸化物微粒子の数平均粒子径は、好ましくは5nm以上、500nm以下、より好ましくは10nm以上、300nm以下、さらに好ましくは20nm以上、200nm以下である。ポリマー被覆金属酸化物微粒子の数平均粒子径が小さすぎると、凝集しやすく、取り扱いが困難になることがある。逆に、ポリマー被覆金属酸化物微粒子の数平均粒子径が大きすぎると、化粧料を肌に塗布した際の透明感が低下することがある。
なお、本発明において、疎水化処理がポリマーによる表面被覆処理である場合、ポリマー被覆金属酸化物微粒子の数平均粒子径は、下記の実施例に記載する方法で測定した値であるが、「一次粒子径」とは、特に断らない限り、金属酸化物微粒子の場合と同様に定義される意味を有する。ただし、ポリマー被覆金属酸化物微粒子には、シリカ被覆金属酸化物微粒子の一次粒子(すなわち、単一粒子)がポリマーで被覆されている場合と、シリカ被覆金属酸化物微粒子の二次粒子(すなわち、2個以上の単一粒子が凝集した集団)がポリマーで被覆されている場合とがあるが、いずれのポリマー被覆金属酸化物微粒子も一次粒子である。また、シリカ被覆金属酸化物微粒子には、金属酸化物微粒子の一次粒子(すなわち、単一粒子)がシリカで被覆されている場合と、金属酸化物微粒子の二次粒子(すなわち、2個以上の単一粒子が凝集した集団)がシリカで被覆されている場合とがあるが、いずれのシリカ被覆金属酸化物微粒子も一次粒子である。
本発明の製造方法に用いる疎水化処理した金属酸化物微粒子の水分散体における疎水化処理した金属酸化物微粒子の含有量は、分散体の全質量に対して、好ましくは1質量%以上、80質量%以下、より好ましくは5質量%以上、70質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上、60質量%以下である。疎水化処理した金属酸化物微粒子の含有量が少なすぎると、必要以上に分散媒を用いることになり、製造コストが上昇することがある。逆に、疎水化処理した金属酸化物微粒子の含有量が多すぎると、疎水化処理した金属酸化物微粒子が凝集して高次構造を形成するので、分散性および貯蔵安定性が低下することがある。
本発明の製造方法で得られる化粧料は、疎水化処理した金属酸化物微粒子を含有するが、疎水化処理した金属酸化物微粒子の配合量は、固形分として、化粧料の全質量に対して、好ましくは1質量%以上、50質量%以下、より好ましくは3質量%以上、45質量%以下、さらに好ましくは5質量%以上、40質量%以下である。疎水化処理した金属酸化物微粒子の配合量が少なすぎると、紫外線遮断能が不充分となり、紫外線を有効に遮断できないことがある。逆に、疎水化処理した金属酸化物微粒子の配合量が多すぎると、疎水化処理した金属酸化物微粒子が凝集して高次構造を形成するので、分散性および貯蔵安定性が低下することがある。
本発明の製造方法で得られる化粧料には、疎水化された金属酸化物微粒子以外にも、通常の化粧料に用いられる様々な化粧基剤を、紫外線遮断能などの機能を損なわない範囲で配合することができる。このような化粧基剤としては、例えば、増粘剤、乳化安定剤、界面活性剤、pH調節剤、防腐剤、酸化防止剤、有機系紫外線吸収剤などが挙げられる。
本発明の製造方法で得られる化粧料の形態は、配合する化粧料の種類に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、水分散体、水中油型(O/W型)分散体、油中水型(W/O型)分散体、多相型(W/O/W型またはO/W/O型)分散体などが挙げられる。
一般に、水分散体、水中油型(O/W型)や多相型(W/O/W型)の分散体の場合、例えば、シリカ被覆酸化チタン微粒子やシリカ被覆酸化亜鉛微粒子は、表面がシリカで被覆されているので、アルカリ性領域で分散させているが、側鎖にカルボキシ基を有する増粘性ポリマーを未中和で添加すると、増粘性ポリマーの局所的な増粘が起こり、シリカ被覆酸化チタン微粒子やシリカ被覆酸化亜鉛微粒子が凝集し、透明性や感触が悪化することがある。
さらに、側鎖にカルボキシ基を有する増粘性ポリマーを中和した後にシリカ被覆金属酸化物微粒子水分散体と配合すると、未中和で配合する場合に比べて凝集度合いは改善するものの、やはりシリカ被覆金属酸化物微粒子との相性が悪く、化粧料に配合して肌に塗布した場合の感触が劣ることがある。しかし、これらのシリカ被覆金属酸化物微粒子の外側を疎水化処理した金属酸化物微粒子を用いれば、側鎖にカルボキシ基を有する増粘性ポリマーとの相性が良くなり、側鎖にカルボキシ基を有する増粘性ポリマーを未中和で添加しても透明性を維持しながら、感触が悪化することもない。
本発明の製造方法から得られる化粧料は、高い透明性、分散性、貯蔵安定性、感触を維持しながら、紫外線遮断機能を有する金属酸化物の配合量を増やすことを可能とする。
<ポリマー被覆金属酸化物微粒子>
ポリマー被覆金属酸化物微粒子は、酸化亜鉛微粒子、酸化チタン微粒子、酸化セリウム微粒子、酸化ジルコニウム微粒子および酸化鉄微粒子よりなる群から選択される少なくとも1種の金属酸化物微粒子の表面を第1層としてシリカで被覆し、かつその外側を第2層として疎水性ポリマーで被覆してなるものである。このようなポリマー被覆金属酸化物微粒子は、水性媒体中、シリカ被覆金属酸化物微粒子、好ましくはカップリング剤で処理したシリカ被覆金属酸化物微粒子の存在下で、重合性モノマーを乳化重合することにより、水分散体の形態で製造することができる。
上記のようなシリカ被覆金属酸化物微粒子は、市販品を利用することができる。また、シリカ被覆金属酸化物微粒子は、従来公知の方法により、自ら調製してもよいし、市販品を利用してもよい。シリカ被覆金属酸化物微粒子は、例えば、特開平11−302015号公報に記載された方法を用いて調製することも可能であるが、最も好ましい調製法を以下に示す。
本発明の化粧料の製造方法で用いられるシリカ被覆金属酸化物微粒子は、酸化チタン微粒子、酸化亜鉛微粒子、酸化鉄微粒子、酸化セリウム微粒子、酸化ジルコニウム微粒子のいずれか1つもしくは2つ以上の複合物からなる基材の表面に、第1の層として、上記基材に対してSiO換算で0.5〜10質量%の含水シリカ層を形成し、乾燥工程を経ずに、第2の層として、上記基材に対してSiO換算で5〜39.5質量%の含水シリカ層を形成する工程を経由して、基材の表面を該基材に対して15〜40質量%のシリカで被覆することによって製造されるが、これを詳細に説明すると、以下のステップ1〜ステップ7に示す通りである。
なお、下記の説明はシリカ被覆酸化チタン微粒子について行うが、シリカ被覆酸化亜鉛微粒子、シリカ被覆酸化鉄微粒子、シリカ被覆酸化セリウム微粒子、シリカ被覆酸化ジルコニウム微粒子も一部を除きシリカ被覆酸化チタン微粒子とほぼ同様に製造することができる。また、このステップ1〜ステップ7で説明する使用薬剤や製造条件は、単なる一例を示すものであり、本発明はそれらに限定されるものではなく、後記に上位概念で示す薬剤を用い得るし、また、範囲で示す条件を採用し得る。
さらに、シリカ被覆酸化チタン微粒子の製造にあたって説明した好ましい条件なども、ほぼ、そのまま、シリカ被覆酸化亜鉛微粒子、シリカ被覆酸化鉄微粒子、シリカ被覆酸化セリウム微粒子、シリカ被覆酸化ジルコニウム微粒子を製造するにあたって、好ましい条件などとして採用することができる。
ステップ1
酸化チタン微粒子の強塩酸系チタニアゾルを準備する。この時の酸化チタン微粒子の濃度は100g/Lであり、この強塩酸系チタニアゾル中の酸化チタン微粒子は、すでに10〜15nmの平均一次粒子径を有し、高度な分散系になっている。
ステップ2
上記ステップ1の酸化チタン微粒子の強酸系チタニアゾルにケイ酸ソーダ水溶液(SiOとして200g/L)を添加(この際、添加時間は特に限定されず、早くても遅くてもよい)して、酸化チタン微粒子の表面に含水シリカ層を形成する。この際、温度やpHのコントロールは特に必要とせず、自然にまかせた温度、pHで実施できる。この含水シリカ層の量は基材(コア)の酸化チタン微粒子に対してSiO換算で3質量%である(すなわち、酸化チタン微粒子100質量部に対してSiO換算で3質量部である)。この際、形成される含水シリカ層の量が基材の酸化チタン微粒子に対して10質量%を超えると、後の工程での濾過時に濾過漏れ、あるいは濾過速度の低下といったトラブルを引き起こす。このステップ2での含水シリカ層形成の目的は、次のテトラメトキシシランのオリゴマーによる酸化チタン微粒子の粒子表面への含水シリカ層の形成を効率よく行わせるための、いわば「よび水」の役割を果たすものである。また、pHをアルカリ側にしてしまうと、粒子表面が強くマイナスに帯電して、非常に強い分散系になってしまって、上記と同様に、後の工程での濾過時に濾過漏れ、あるいは濾過速度の低下が生じる。
ステップ3
上記ステップ2での含水シリカ層の形成後、濾過、水洗する。この濾過によって得られた含水シリカ被覆酸化チタン微粒子の濾過ケーキは約40〜60質量%の固形分となっている。この濾過ケーキは乾燥せず、そのまま次の工程に回す。このように乾燥を行わないのは、乾燥すると、微粒子の凝集が進むからである。本発明においては、この工程に限らず、終始、酸化チタン微粒子の凝集体の生成をできるかぎり避けつつ、シリカによる被覆を行うことを基本理念としている。
ステップ4
上記濾過ケーキとイソプロピルアルコールとを高速分散機(ディスパー)により混合攪拌する。さらに水とアンモニア水(濃度25質量%)とを添加し、さらに攪拌する。この混合スラリーをダイノーミルにて強分散する。
ステップ5
上記スラリーをディスパーで攪拌しながら、これに平均重合度が4〜8のテトラメトキシシランのオリゴマーとイソプロピルアルコールとの混合液を、徐々に添加する。添加時間は6時間以上に設定する。
ステップ6
添加終了後、スラリーをニーダータンクに移し、加熱、減圧により、水とイソプロピルアルコールとを留去する。さらに、150℃まで温度を上げて、キュアリング(熟成)を行う。これらの操作を経ることにより、酸化チタン微粒子の表面に形成されていた含水シリカ層はシリカ層に変わる。
ステップ7
上記キュアリングを経て得られた粉体をジェットオーマイザーにより粉砕して、シリカ被覆酸化チタン微粒子を粉末状で得る。
本発明のシリカ被覆金属酸化物微粒子は、上記ステップ1〜ステップ7で例示した工程を経由して製造される。得られた粉末350gと脱イオン水650gの割合で配合し、容器に入れ、高速分散機を用い、3,000rpmで5分間分散した水分散液は、液温25℃、B型粘度計を用いて回転速度6rpmで粘度を測定した際に、粘度が200mPa・s以下という特性を有するようになる。
前記ステップ1では、100g/Lを例示したが、本発明においては、それに限定されることなく、50〜300g/Lの範囲で好適に実施できる。また、ステップ1において用いた酸化チタン微粒子の強塩酸系チタニアゾルの代わりに、酸化亜鉛微粒子、酸化鉄微粒子、酸化セリウム微粒子、酸化ジルコニウム微粒子のいずれかを水に分散させたスラリーを用いることで、所望のシリカ被覆金属酸化物微粒子を得ることができる。また、シリカ被覆酸化亜鉛微粒子を得るためには、ステップ2のケイ酸ソーダ水溶液を添加する際に、温度、添加速度は自然に任せる形でよいが、pHは中性領域(pH7〜8)に保ち、酸化亜鉛自体が溶解するのを防ぐ必要がある。その後は前記シリカ被覆酸化チタン微粒子の製造について説明したステップ3以降と同様の工程を経由することにより、シリカ被覆酸化亜鉛微粒子を得ることができる。
このように、シリカ被覆酸化亜鉛微粒子は、その出発物質として酸化亜鉛微粒子を用いることやケイ酸アルカリ塩水溶液添加時のpHを中性領域に保つ必要があることなど、シリカ被覆酸化チタン微粒子の製造時とは異なる条件を採用するが、それ以外はシリカ被覆酸化チタン微粒子の製造時の条件とほぼ同様の条件を採用することができる。
また、基材となる金属酸化物微粒子の表面に第1の層として形成する含水シリカ層は、SiO換算で金属酸化物微粒子に対して0.5〜10質量%にすることが必要であり、3〜7質量%が好ましい。これは、含水シリカ層の量が基材の金属酸化物微粒子に対して0.5質量%より少ない場合は、次のテトラメトキシシランのオリゴマーによる粒子表面への含水シリカ層の形成を効率よく行わせるための「よび水」としての効果が小さいからであり、また、10質量%より多い場合は、前記のように、後の工程での濾過時に濾過漏れや濾過速度の低下が生じるからである。
上記ケイ酸層の形成にあたっては、水系で行い、ケイ酸アルカリ金属塩を用いるが、これは、金属酸化物微粒子が比較的水に分散させやすいこと、ケイ酸アルカリ金属塩の水溶液が入手しやすいという理由によるものであって、このケイ酸アルカリ金属塩としては、例えば、ケイ酸ソーダ(ケイ酸ナトリウム)、ケイ酸カリウムなどが好適に用いられる。
上記ケイ酸アルカリ金属塩は、金属酸化物微粒子への添加にあたって、水溶液の形態で用いられるが、その際の濃度としては、SiO換算で100g/L〜300g/Lが好ましい。なお、「L」は「リットル」を示し、以下においても、「リットル」を「L」で表す。
このケイ酸アルカリ金属塩水溶液の金属酸化物微粒子への添加にあたって、その添加時間、添加時の金属酸化物微粒子の温度、pHなどは、特に限定されるものではないが、通常、添加時間は5分〜10分が好ましく、温度は30℃〜60℃が好ましく、pHは0.5〜4が好ましい。
次に、金属酸化物微粒子の表面に、第2の層として、含水シリカ層を形成するが、この第2の層の形成にあたっては、上記ステップ4に例示するように、ステップ3で得られたケーキにIPAなどの低級アルコールと水を加える。このように第2の層の形成を低級アルコールと水が存在する系で行うのは、次のステップ5で投入されるテトラアルコキシシランのオリゴマーが充分に混合されるためには親和性の高いIPAなどの低級アルコールが必要であり、また、水はテトラアルコキシシランの加水分解を効率的に行うのに必要であるという理由によるものである。上記低級アルコールとしては、ステップ4で例示したイソプロピルアルコール以外にも、メタノール(メチルアルコール)、エタノール(エチルアルコール)、ブタノール(ブチルアルコール)、ベンジルアルコールなどが好適に用いられ、この低級アルコールと水(ただし、酸化チタン微粒子のケーキに含まれている水も含む)との割合としては、3:2〜7:2(質量比)が好ましい。そして、ステップ3で添加したアンモニア水は、テトラアルコキシシランの加水分解を促進するためのものであるが、これは必ずしも必要としない。
この第2の層の形成にあたっては、ステップ5で示した平均重合度4〜8のテトラメトキシシランのオリゴマーが用いられるが、これは、水分散性の優れたシリカ被覆金属酸化物微粒子を得るために上記テトラメトキシシランのオリゴマーが必要であるという理由によるものであり、上記テトラメトキシシランのオリゴマーの平均重合度が4より小さい場合も、また、平均重合度が8より大きい場合も、いずれも水分散性の優れたシリカ被覆金属酸化物微粒子が得られない。そして、このテトラメトキシシランのオリゴマーの平均重合度は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)測定により得られた重量平均分子量を基に、単量体(本件の場合はテトラメトキシシラン)の分子量の何倍となっているかを、オリゴマーが直鎖体であると仮定して求めた計算値によるものである。
上記テトラメトキシシランのオリゴマーは、反応系への添加にあたって、ステップ5で例示したように、イソプロピルアルコールなどの低級アルコールとの混合液にされるが、この低級アルコールとしては、例示したイソプロピルアルコール以外にも、メタノール、エタノール、ブタノール、ベンジルアルコールなどが好適に用いられ、この低級アルコールとの混合液中において、上記テトラメトキシシランのオリゴマーは、300g/L〜700g/L程度の濃度にしておくことが好ましい。
このテトラメトキシシランのオリゴマーによる含水シリカ層の形成は、テトラメトキシシランのオリゴマーを緩やかな条件下で反応させることによって行うことが好ましく、具体的には、テトラメトキシシランのオリゴマーと低級アルコールとの混合液を反応;系に添加しつつ反応させていくことが好ましく、そのような観点から、テトラメトキシシランのオリゴマーと低級アルコールとの混合液の反応系への添加時間は、特に限定されるものではないが、通常、4時間〜8時間程度が好ましい。このテトラメトキシシランのオリゴマーと低級アルコールとの混合液の添加に基づき、第2の層としての含水シリカ層が形成され、その後の加熱、減圧、キュアリングにより、第2の層としての含水シリカ層や第1の層として形成されていた含水シリカ層がシリカ層に変化する。この第2の層として形成される含水シリカ層は、SiO換算で基材の金属酸化物微粒子に対して5〜39.5質量%(すなわち、金属酸化物微粒子100質量部に対してSiO換算で5〜39.5質量部)であることが必要である。これは、この第2の含水シリカ層が基材の金属酸化物微粒子に対して5質量%未満であると、金属酸化物微粒子の表面を被覆するシリカ量が少なくなって、水分散性をはじめとする諸特性が悪くなり、ポリマー被覆時の重合安定性を低下させてしまうという理由によるものである。また、39.5質量%を超えると、そのような含水シリカ量の増加に伴う効果の増加が見られず、不経済である上に、濾過性を低下させるという理由によるものである。
ステップ6で示すようなキュアリングは、減圧、加熱のみでは留去しきれなかった水やイソプロピルアルコールなどの低級アルコールを完全に取り除くために行うものである。この際の温度は、例示した150℃に限定されることはない。また、得られた粉体は、通常、粉砕して、シリカ被覆酸化チタン微粒子を粉末状にする。
このように得られたシリカ被覆金属酸化物微粒子はいずれも、シリカ被覆酸化チタン微粒子の場合と同様に、前記特定の粘度表示で200mPa・s以下の水分散性を有しており、この後のポリマー被覆工程で好適に用いることができる。
金属酸化物微粒子の形状としては、特に限定されるものではないが、例えば、球状、楕円体状、多角体状などの粒状;鱗片状、(六角)板状などの薄片状;針状、柱状、棒状、筒状;などが挙げられる。これらの形状は、単独で存在していても2種以上が混在していてもよい。これらの形状のうち、球状、楕円体状、多角体状などの粒状が好適である。
金属酸化物微粒子の数平均粒子径は、通常1nm以上、100nm以下、好ましくは5nm以上、80nm以下、より好ましくは8nm以上、60nm以下、さらに好ましくは10nm以上、50nm以下である。金属酸化物微粒子の数平均粒子径が小さすぎると、金属酸化物微粒子が凝集して高次構造を形成するので、所定の数平均粒子径を有するポリマー被覆金属酸化物微粒子を得るのが困難になることがある。逆に、金属酸化物微粒子の数平均粒子径が大きすぎると、ポリマー被覆金属酸化物微粒子の数平均粒子径が大きくなり、化粧料を肌に塗布した際の透明感が低下することがある。
なお、本発明において、金属酸化物微粒子の数平均粒子径は、下記の実施例に記載する方法で測定した値であるが、「一次粒子径」とは、特に断らない限り、一次粒子の最短部の粒子径を意味し、「最短部の粒子径」とは、一次粒子の中心を通る最短の長さを意味する。例えば、金属酸化物微粒子の形状が球状であれば、球の直径を意味し、形状が楕円体状であれば、短径および長径のうち、短径を意味し、形状が多角体状であれば、一次粒子の中心を通る最短の長さを意味し、形状が鱗片状、(六角)板状などの薄片状であれば、板面方向に垂直な方向(すなわち、厚さ方向)において、一次粒子の中心を通る最短の長さ(=厚さ)を意味し、形状が針状、柱状、棒状、筒状などであれば、長さ方向に対して垂直方向に測定される一次粒子の中心を通る最短の長さを意味する。
ポリマー被覆金属酸化物微粒子は、金属酸化物微粒子の表面が第1層としてシリカで被覆され、かつその外側が第2層として疎水性ポリマーで被覆されている。ここで、「疎水性ポリマーで被覆されている」とは、シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面全体が疎水性ポリマーで切れ目なく覆われていることを意味する。なお、以下、シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面を被覆する疎水性ポリマーを「被覆ポリマー」ということがある。被覆ポリマーとしては、下記の製造方法に関する説明で述べるように、水性媒体中、シリカ被覆金属酸化物微粒子、好ましくは、カップリング剤で処理したシリカ被覆金属酸化物微粒子の存在下で、重合性モノマーを乳化重合することにより、シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面を疎水性ポリマーで被覆することができるものである限り、特に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリル系ポリマー、スチレン系ポリマー、酢酸ビニル系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、これらの共重合体などが挙げられる。これらの疎水性ポリマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの疎水性ポリマーのうち、上記のような重合反応が容易に行えることから、(メタ)アクリル系ポリマー、スチレン系ポリマー、これらの共重合体が好適である。
ポリマー被覆金属酸化物微粒子は、単一の疎水性ポリマーで被覆されていても、2種以上の疎水性ポリマーで被覆されていてもよく、また、被覆ポリマーが同じ1種類の微粒子から構成されていても、被覆ポリマーが異なる2種類以上の微粒子から構成されていてもよい。
乳化重合に先立ってカップリング剤で処理したシリカ被覆金属酸化物微粒子を用いる場合には、得られたポリマー被覆金属酸化物微粒子において、被覆ポリマーは、カップリング剤を介して、シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面に化学結合している。ここで、「化学結合」とは、主として共有結合を意味するが、例えば、異なる原子間の共有結合は多少ともイオン結合の性格を帯びることがあるので、本発明でいう「化学結合」は、共有結合とイオン結合とが共鳴している場合を包含する。しかし、本発明でいう「化学結合」は、例えば、静電引力、分散力、水素結合、電荷移動力などの分子間に働く弱い結合は包含しない。また、「カップリング剤を介して・・・化学結合している」とは、シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面に存在する水酸基とカップリング剤とが化学結合し、前記カップリング剤と被覆ポリマーとが化学結合していることを意味する。
乳化重合に先立ってカップリング剤で処理したシリカ被覆金属酸化物微粒子を用いる場合には、ポリマー被覆金属酸化物微粒子は、被覆ポリマーがカップリング剤を介してシリカ被覆金属酸化物微粒子の表面に化学結合しているので、シリカ被覆金属酸化物微粒子と被覆ポリマーとが強固に接合されており、シリカ被覆金属酸化物微粒子と被覆ポリマーとの間に水分などが侵入することがなく、優れた耐水性を発揮する。それゆえ、例えば、シリカ被覆酸化亜鉛微粒子を用いた場合には、酸化亜鉛の溶出が起こりにくい。
ポリマー被覆金属酸化物微粒子の製造に用いるシリカ被覆金属酸化物微粒子は、上記したように、従来公知の方法により、自ら調製してもよいし、市販品を利用してもよい。
<ポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体の製造>
ポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体は、シリカ被覆金属酸化物微粒子の存在下で、重合性モノマーおよびラジカル開始剤を用いた乳化重合を行うことにより、製造することができる。
なお、前記シリカ被覆金属酸化物微粒子は、好ましくは、乳化重合に先立ってカップリング剤で処理されている。シリカ被覆金属酸化物微粒子をカップリング剤で処理することにより、シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面に存在する水酸基とカップリング剤とを反応させて、前記シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面に化学結合を介して官能基を導入することができる。シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面に官能基を導入した後、前記官能基と反応しうる反応性基を有する重合性モノマーを反応させて、シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面において前記重合性モノマーからポリマーを合成することにより、前記シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面を前記ポリマーで切れ目なく被覆することができる。
カップリング剤としては、シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面に存在する水酸基と反応する反応性部位と、反応性基を有する重合性モノマーの前記反応性基と反応する官能基とを有する化合物である限り、特に限定されるものではないが、例えば、様々な官能基を有するシランカップリング剤やチタネート系カップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤を用いた場合には、シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面に存在する水酸基と反応して、−O−Si−結合を介して、前記シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面に様々な官能基が導入される。また、チタネート系カップリング剤を用いた場合には、−O−Ti−結合を介して、前記シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面に様々な官能基が導入される。カップリング剤としては、様々な官能基を有するものが市販されており、入手し易いことから、シランカップリング剤が好適である。カップリング剤が有する官能基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、メルカプト基などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、メルカプト基などを含有するシランカップリング剤であれば、特に限定されるものではないが、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルジメチルクロロシランなどのビニル基含有シランカップリング剤;γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどの(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリイソプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどのエポキシ基含有シランカップリング剤;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ基含有シランカップリング剤;γ−イソシアノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアノプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアノプロピルメチルジエトキシシランなどのイソシアネート基含有シランカッブリング剤;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト基含有シランカップリング剤が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのシランカップリング剤のうち、シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面からポリマー合成を効率よく行えることから、ビニル基含有シランカップリング剤、(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤が好適である。
シリカ被覆金属酸化物微粒子をカップリング剤で処理するには、例えば、水性媒体中で、シリカ被覆金属酸化物微粒子とカップリング剤とを混合して攪拌すればよい。その際、シリカ被覆金属酸化物微粒子とカップリング剤との反応を促進させるために、必要に応じて、好ましくは30℃以上、100℃以下、より好ましくは40℃以上、80℃以下の温度に加温または加熱することができる。カップリング剤の使用量は、シリカ被覆金属酸化物微粒子に対して、好ましくは0.05質量%以上、20質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上、15質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以上、10質量%以下である。カップリング剤の使用量が少なすぎると、シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面を疎水性ポリマーで充分に被覆できないことがある。逆に、カップリング剤の使用量が多すぎると、反応液の粘度が上昇したり、反応液がゲル化を起こしたりすることがある。
シリカ被覆金属酸化物微粒子をカップリング剤で処理する際に用いる水性媒体は、下記で説明する重合反応に用いる水性媒体と同様であるが、重合反応に用いる水性媒体と同一であっても異なっていてもよい。
シリカ被覆金属酸化物微粒子をカップリング剤で処理する際には、水性媒体中にシリカ被覆金属酸化物微粒子を分散させることが好ましいので、必要に応じて、分散安定剤を用いることができる。分散安定剤としては、例えば、従来公知の界面活性剤や、ポバールなどの高分子分散安定剤などが挙げられる。これらの分散安定剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。分散安定剤の使用量は、水性媒体に対して、好ましくは0質量%以上、5質量%以下、より好ましくは0質量%以上、4質量%以下、さらに好ましくは0質量%以上、3質量%以下である。分散安定剤の使用量が多すぎると、シリカ被覆金属酸化物微粒子をカップリング剤で効率よく処理できないことがある。
重合性反応基を有するカップリング剤の場合、シリカ被覆金属酸化物微粒子をカップリング剤で処理した後、未反応のカップリング剤が存在すると、重合工程での重合安定性が低下し、シリカ被覆金属酸化物微粒子が凝集することがある。それゆえ、シリカ被覆金属酸化物微粒子をカップリング剤で処理した後、未反応のカップリング剤を除去するために、カップリング剤で処理したシリカ被覆金属酸化物微粒子を洗浄することができる。カップリング剤で処理されたシリカ被覆金属酸化物微粒子を洗浄するには、例えば、適当な溶媒に再分散させ、遠心分離し、上澄み液は捨てて沈降物のみを回収すればよい。この再分散、遠心分離および沈降物のみの回収という操作は、経済的観点からは必ずしも行う必要はないが、この操作を行う場合には、1回だけ行っても複数回行ってもよいが、3回またはそれ以上繰り返すことが好適である。
重合反応は、水性媒体中、シリカ被覆金属酸化物微粒子、好ましくはカップリング剤で処理したシリカ被覆金属酸化物微粒子の存在下で行われる。重合反応をカップリング剤で処理したシリカ被覆金属酸化物微粒子の存在下で行う場合には、重合反応には、シリカ被覆金属酸化物微粒子をカップリング剤で処理して得られた分散体をそのまま用いてもよいし、カップリング剤で処理した後で洗浄したシリカ被覆金属酸化物微粒子を水性媒体に再分散させて得られた分散体を用いてもよい。
重合反応に用いる重合性モノマーは、シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面に導入された官能基と反応しうる反応性基を有する重合性モノマーから前記官能基に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、メルカプト基などの官能基と反応しうる反応性基を含有する重合性モノマー、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシ基、水酸基などを含有する重合性モノマーが挙げられる。これらの重合性モノマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ビニル基を含有する重合性モノマーとしては、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニルなどのビニルエステル類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレンなどのスチレン誘導体;などが挙げられる。これらの重合性モノマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの重合体モノマーのうち、スチレンなどのスチレン誘導体が好適である。
(メタ)アクリロイル基を含有する重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル類などが挙げられる。これらの重合性モノマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの重合性モノマーのうち、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル類が好適である。
アミノ基を含有する重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミンなどのビニルアミン類;アリルアミン、α−メチルアリルアミン、N,N−ジメチルアリルアミンなどのアリルアミン類;(メタ)アクリルアミド,N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類;p−アミノスチレンなどのアミノスチレン類;などが挙げられる。これらの重合性モノマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの重合性モノマーのうち、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類が好適である。
エポキシ基を含有する重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルなどの不飽和カルボン酸エステル類;ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどの不飽和グリシジルエーテル類;などが挙げられる。これらの重合性モノマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの重合性モノマーのうち、(メタ)アクリル酸グリシジルなどの不飽和カルボン酸エステル類が好適である。
カルボキシ基を含有する重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸などの不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸などの不飽和ジカルボン酸;これらの不飽和ジカルボン酸のモノエステル化物;これらの不飽和ジカルボン酸の無水物;などが挙げられる。これらの重合性モノマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの重合性モノマーのうち、(メタ)アクリル酸などの不飽和モノカルボン酸が好適である。
水酸基を含有する重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;ポリカプロラクトン変性の(メタ)アクリル酸エステル類;ポリオキシエチレン変性やポリオキシプロピレン変性の(メタ)アクリル酸エステル類;などが挙げられる。これらの重合性モノマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの重合性モノマーのうち、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸エステル類が好適である。
重合性モノマーの使用量は、シリカ被覆金属酸化物微粒子の使用量に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、シリカ被覆金属酸化物微粒子100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、200質量部以下、より好ましくは2質量部以上、100質量部以下、さらに好ましくは5質量部以上、50質量部以下である。重合性モノマーの使用量が少なすぎると、重合反応が速やかに進行せず、シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面をポリマーで効率的に被覆できないことがある。逆に、重合性モノマーの使用量が多すぎると、シリカ被覆金属酸化物微粒子を含まないポリマー粒子が多く生成することがある。
重合開始剤としては、水溶性のラジカル重合開始剤である限り、特に限定されるものではないが、例えば、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過リン酸カリウムなどの過酸化物;これらの過酸化物に、アスコルビン酸およびその塩、エリソルビン酸およびその塩、酒石酸およびその塩、クエン酸およびその塩、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ロンガリットC(NaHSO・CHO・HO)、ロンガリットZ(ZnSO・CHO・HO)、デクロリン(Zn(HSO・CHO))などの還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤;t−ブチルヒドロペルオキシド、t−アミルヒドロペルオキシド、t−ヘキシルヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類;ジ−t−ブチルペルオキシド、ジ−t−アミルペルオキシドなどのジアルキルペルオキシド類;ジベンゾイルペルオキシド、ジオクタノイルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジドデカノイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類;t−ブチルペルオキシピバレート、t−アミルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシベンゾエートなどのペルオキシエステル類;2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]n水和物、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチルコプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−エチルプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)などのアゾ系化合物;などが挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の使用量は、重合性モノマーの使用量に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、重合性モノマーに対して、好ましくは0.001質量%以上、3質量%以下、より好ましくは0.005質量%以上、2質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以上、1質量%以下である。
モノマー成分の重合反応は、水性媒体中で行われる。ここで、「水性媒体」とは、水、または、水と水混和性の有機溶媒との混合溶媒を意味する。水性媒体として、水と水混和性の有機溶媒との混合溶媒を用いると、界面活性剤などの分散安定剤を使用しなくても、原料のシリカ被覆金属酸化物微粒子や生成するポリマー被覆金属酸化物微粒子の単分散状態を充分良好に保持することができる。しかし、有機溶媒がポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体や化粧用紫外線カット剤に混入することが望ましくない場合は、分散安定剤を用いることにより、原料のシリカ被覆金属酸化物微粒子や生成するポリマー被覆金属酸化物微粒子の単分散状態を充分良好に保持することができる。
水性媒体として、水と水混和性の有機溶媒との混合溶媒を用いる場合、水に対する水混和性の有機溶媒の割合は、好ましくは0質量%以上、40質量%以下、より好ましくは0質量%以上、20質量%以下である。
水と併用しうる水混和性の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、アリルアルコールなどのアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、ジプロピレングリコールなどのグリコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトンなどのケトン類;ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、アセト酢酸メチルなどのエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;などが挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの有機溶媒のうち、モノマー成分から合成されるポリマーに対して貧溶媒となる有機溶媒、すなわちモノマー成分は溶解するが、モノマー成分から合成されるポリマーは溶解しない有機溶媒が好適である。
重合反応を行う際の反応温度は、特に限定されるものではないが、例えば、好ましくは40℃以上、90℃以下、より好ましくは50℃以上、80℃以下である。また、反応時間も、シリカ被覆金属酸化物微粒子や重合性モノマーの使用量に応じて適宜調節すればよく、特に限定されることはないが、例えば、好ましくは1時間以上、24時間以下、より好ましくは3時間以上、12時間以下である。
重合反応後、シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面がポリマーで被覆されてなるポリマー被覆金属酸化物微粒子の水分散体が得られる。得られた水分散体は、そのまま用いてもよいし、例えば、重合反応液を遠心分離にかけて上澄み液と沈降物に分離し、この沈降物を回収して乾燥させることにより、ポリマー被覆金属酸化物微粒子を得て、粉体を水に再分散させた水分散体を用いても良い。なお、ポリマー被覆金属酸化物微粒子を乾燥させる方法としては、従来公知の乾燥方法から適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、噴霧乾燥などが挙げられる。ポリマー被覆金属酸化物微粒子を分散媒に再分散させる方法としては、従来公知の分散方法から適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、攪拌機、ボールミル、サンドミル、超音波ホモジナイザーなどを用いた方法が挙げられる。
≪化粧料≫
本発明の製造方法で得られる化粧料は、上記のようにして得られる疎水化処理した金属酸化物微粒子(化粧料用紫外線カット剤)を配合することにより得られる。化粧料用紫外線カット剤は、配合する化粧料の剤型に応じて適宜選択された形態で配合されるが、例えば、化粧料がパウダーファンデーションのような粉体剤型の場合は、粉体の形態で配合され、化粧料が口紅、油性ファンデーションのような油性剤型の場合は、粉体、および/または、水以外の分散媒を用いた分散体の形態で配合され、化粧料が乳化ファンデーション、クリーム、ジェルのような乳化型の場合には、粉体、および/または、水を分散媒に用いた水分散体、および/または、水以外の分散媒を用いた分散体の形態で配合される。
化粧料用紫外線カット剤の配合量は、化粧料の全質量に対して、通常1〜80質量%であり、化粧料の剤型に応じて適宜選択できる。すなわち、パウダーファンデーションのような粉体型では、通常40〜80質量%、口紅、油性ファンデーションのような油性剤型では、通常1〜20質量%、乳化ファンデーション、クリーム、ジェルのような乳化型では、通常1〜40質量%程度が好ましい。これらの化粧料は、常法により製造され、各々の目的のために提供される。
なお、化粧料用紫外線カット剤の形態にかかわらず、化粧料における固形分としてのポリマー被覆金属酸化物微粒子の配合量は、化粧料の全質量に対して、好ましくは1質量%以上、40質量%以下、より好ましくは1.5質量%以上、35質量%以下、さらに好ましくは2質量%以上、30質量%以下である。ポリマー被覆金属酸化物微粒子の配合量が少なすぎると、紫外線遮断能が不充分となり、紫外線を有効に遮断できないことがある。逆に、ポリマー被覆金属酸化物微粒子の配合量が多すぎると、ポリマー被覆金属酸化物微粒子が凝集して高次構造を形成するので、分散性や貯蔵安定性が低下することがある。
本発明の化粧料、例えば、乳化ファンデーション、クリーム、ジェルのような乳化型の化粧料には、好ましくは、親水性増粘剤または乳化安定剤としてカルボキシビニルポリマーが配合されている。カルボキシビニルポリマーを配合する場合、その配合量は、化粧料の全質量に対して、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%である。カルボキシビニルポリマーの配合量が少なすぎると、化粧料が充分なゲル状態にならないことがある。逆に、カルボキシビニルポリマーの配合量が多すぎると、化粧料の粘度が必要以上に上昇することがある。
また、本発明の化粧料は、本発明の効果を損なわない範囲で、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの界面活性剤、スクワラン、流動パラフィン、パラフィンワックスなどの炭化水素類、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチルなどの脂肪酸エステル、ジメチコン、シクロメチコンなどのシリコーン油、ミツロウ、オリーブ油、サフラワー油などの油剤、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどの多価アルコール、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウムなどの安定剤、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンEなどのビタミン類、アミノ酸類、グリチルリチン酸塩、グリチルレチン酸塩などの抗炎症剤、パラジメチルアミノ安息香酸などのPABA系、メトキシ桂皮酸オクチルなどの桂皮酸系、オキシベンゾンなどのベンゾフェノン系、その他サリチル酸系などの有機系紫外線吸収剤、香料、色素、顔料、防腐剤、酸化防止剤、収斂剤、細胞賦活剤、美白剤、保湿剤、肌荒れ改善剤、美容成分などの公知成分を適宜配合して、例えば、ファンデーション、口紅、リップクリーム、油性ファンデーション、乳液、クリーム、ジェルなどの化粧料、特に日焼け止めを目的とした化粧料とすることができる。
本発明の製造方法で得られる化粧料は、上記したような紫外線遮断機能を有する金属酸化物微粒子の配合量が多いので、優れた紫外線遮断能を有すると共に、高い透明性と肌に対する感触にも優れている。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
下記の製造例で得られたポリマー被覆金属酸化物微粒子の分散体または粉体について、含有される微粒子の形状や数平均粒子径は、以下の方法により判定または測定した。判定および測定に先立って粉末化する必要がある場合には、特に断りがない限り、以下に記載の方法に従って、粉末化した後、得られた粉末を測定試料とした。
<形状>
ポリマー被覆金属酸化物微粒子の形状は、微粒子を走査型または透過型電子顕微鏡(倍率:1万倍)で観察することにより判定した。
<一次粒子径および数平均粒子径>
金属酸化物微粒子またはポリマー被覆金属酸化物微粒子を走査型または透過型電子顕微鏡(倍率:1万倍)で観察して得られた撮影像に含まれる任意の微粒子100個の一次粒子径を測定して、下記の数式により算出した。なお、走査型電子顕微鏡で観察する場合、観察に先立って微粒子に貴金属合金の蒸着処理を行うので、蒸着層の厚さの分だけ補正して、数平均粒子径を求めた。
Figure 2009161496
[式中、dは数平均粒子径、Dはi番目の微粒子の一次粒子径、nは微粒子数を表す]
まず、金属酸化物微粒子の表面をシリカで被覆してなるシリカ被覆金属酸化物微粒子、特にシリカ被覆酸化チタン微粒子の製造例について説明する。なお、その他のシリカ被覆金属酸化物微粒子も同様の方法を用いて製造することができる。
≪シリカ被覆酸化チタン微粒子の製造例≫
従来公知の方法、すなわち、硫酸チタニアの加水分解によって得られた含水酸化チタンを苛性アルカリで処理し、塩酸中で加熱熟成することによって得られた、平均粒子径15nmのルチル形の結晶構造を有する酸化チタン微粒子を含む強塩酸系チタニアゾル(TiO濃度140g/L)を100g/Lに濃度調整し、この強塩酸系チアニアゾルを10L(TiO換算で1,000g)測り取った。この強塩酸系チタニアゾルを室温下で攪拌しながら、これにケイ酸ソーダ水溶液(SiOとして200g/Lの濃度に調整済み)を150mL(基材の酸化チタン微粒子に対してSiO換算で3質量%)添加し、15分間熟成した。熟成後のスラリーを濾過、水洗し、基材の酸化チタン微粒子の表面に、第1の層として、該基材に対してSiO換算で3質量%の含水シリカ層が形成された酸化チタン微粒子を50質量%含有する濾過ケーキを得た。この濾過ケーキを乾燥することなく、次の工程に供した。
得られた濾過ケーキ2,060gにイソプロピルアルコールを5,000g加えた後、ディスパーで混合攪拌し、スラリー化した。さらに、このスラリーに脱イオン水1,000gとアンモニア水50gとを加え、さらに混合攪拌した(このとき、混合液のpHは10〜11とした;アンモニアの量はpHを調整するために加減した)。
得られたスラリーを、横型ビーズミル(ウィリー・エ・バッコーフェン社製、DYNO−MILL ECO−5)に150mL/分で送液し、このスラリーを横型ビーズミル内で攪拌しながら、これに平均重合度が約5のテトラメトキシシランのオリゴマー(三菱化学(株)製、MKCシリケートMS51;分子量;500〜700、SiO:含有量52質量%)423gとイソプロピルアルコール212gとを混合した液(この混合液中のテトラメトキシシランのオリゴマーの濃度は346g/Lである)を、6時間かけて徐々に添加して、前記第1の層としての含水シリカ層上に、第2の層として、基材の酸化チタン微粒子に対してSiO換算で22質量%の含水シリカ層を形成した。このときの添加速度は1.76g/minであった。このようなテトラメトキシシランのオリゴマーの添加を行った後のスラリーは、著しい増粘や白濁化が認められなかった。
次いで、得られたスラリーを真空加熱式ニーダーに移し、加熱、減圧して、水とイソプロピルアルコールとを留去した。その後、さらに150℃まで加熱し、その温度を2時間保持してキュアリングを行った。このようなキュアリングを経て得られた粉体をJOミル((株)セイシン企業製、SKジェット・オー・ミル)で粉砕してシリカ被覆酸化チタン微粒子を得た。このシリカ被覆酸化チタン微粒子のシリカ被覆量は、基材の酸化チタン微粒子に対して、SiO換算で25質量%であった。得られたシリカ被覆酸化チタン微粒子350g、脱イオン水650gを容器に入れ、高速分散機を用い、3,000rpmで5分間分散して、シリカ被覆酸化チタン微粒子水分散体を得た。このシリカ被覆酸化チタン微粒子水分散体は、B型粘度計で測定したところ、粘度が10mPa・s(6rpm、液温25℃)であった。最後に、脱イオン水750gを添加し、シリカ被覆酸化チタン微粒子水分散体(TS−1)を得た。このシリカ被覆酸化チタン微粒子水分散体(TS−1)は、不揮発分20%、酸化チタン微粒子の一次粒子径15nm、シリカ層の厚さ20nmであった。
次に、金属酸化物微粒子の表面をシリカで被覆し、かつその外側を疎水性ポリマーで被覆してなるポリマー被覆金属酸化物微粒子、特に酸化チタン微粒子の表面をシリカで被覆し、かつその外側を疎水性ポリマーで被覆してなるポリマー被覆酸化チタン微粒子の製造例について説明する。なお、その他のポリマー被覆金属酸化物微粒子も同様の方法を用いて製造することができる。
≪ポリマー被覆酸化チタン微粒子の製造例≫
攪拌機、滴下口、窒素導入管、温度計、還流冷却管を備えた容量2Lのガラス製反応器中に、シリカ被覆酸化チタン微粒子水分散体(TS−1)1,000部、ミリスチル硫酸ナトリウム(商品名「NIKKOL(登録商標)SMS−F」、日光ケミカルズ(株)製)6部、10%水酸化ナトリウム水溶液5部を添加混合した。次いで、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(商品名「KBE−503」、信越シリコーン(株)製)12部を30分間かけて滴下した後、50℃で20時間保持した。その後、窒素を吹き込みながら、80℃まで加熱攪拌した。
別の容器に、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩(商品名「エマール(登録商標)20CM」、(株)花王製)の20%水溶液3部、脱イオン水17部、メタクリル酸メチル10部、アクリル酸ブチル10部を乳化させ、プレエマルション組成物を得た。反応器に、5%過硫酸カリウム水溶液2部を添加した後、プレエマルション組成物を1時間かけて滴下し、その後5時間保持し、シリカ被覆酸化チタン微粒子の外側を疎水性ポリマーで被覆してなるポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PC−1)を得た。
得られたポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PC−1)は、総回収量が1,050g、不揮発分が20.4%、pHが8.5であった。得られたポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PC−1)をコロジオン膜メッシュ上で乾燥させ、粒子径を測定したところ、数平均粒子径が100nmであり、100℃から500℃までの昇温条件で熱質量減少を測定したところ、14%の質量減少が観察された。
次に、上記で得られたポリマー被覆酸化チタン微粒子の水分散体(化粧料用紫外線カット剤)を用いた化粧料(ジェル化粧料)の製造例および評価について説明する。
≪実施例1≫
まず、スクワラン4部、ポリグリセリル−6−イソステアレート:0.4部を50℃で加熱溶解を行い、化粧料油層Aを得た。また、精製水15部、ブチレングリコール5部、メチルパラベン0.2部、ポリソルベート0.6部を50℃で加熱溶解させた。固形物が存在しないことを確認後、化粧料油層Aを添加し、さらにディスパーで10分間攪拌し、化粧料乳化物Bを得た。
別の容器で、ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PC−1)64.5部をディスパーで攪拌しながら、カルボキシビニルポリマー(商品名「CARBOPOL(登録商標)980」、Noveon,Inc.製)の粉末0.3部を添加した。さらに、キサンタンガム0.1部、グリセリン10部を添加した後、化粧料乳化物Bを添加し、10分間攪拌した。その後、10%水酸化ナトリウムを添加して、pHを6.5に調整した後、ディスパーで15分間攪拌した。得られた配合物を遠心脱泡装置で脱泡することにより、ジェル化粧料(PCC−1)を得た。
≪実施例2≫
実施例1において、カルボキシビニルポリマー(商品名「CARBOPOL(登録商標)980」、Noveon,Inc.製)に代えて、カルボキシビニルポリマー(商品名「CARBOPOL(登録商標)934」、Noveon,Inc.製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ジェル化粧料(PCC−2)を得た。
≪実施例3≫
実施例1において、カルボキシビニルポリマー(商品名「CARBOPOL(登録商標)980」、Noveon,Inc.製)に代えて、アクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合体(商品名「PEMULEN(登録商標)TR−1」、Noveon,Inc.製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ジェル化粧料(PCC−3)を得た。
≪実施例4≫
実施例1において、カルボキシビニルポリマー(商品名「CARBOPOL(登録商標)980」、Noveon,Inc.製)に代えて、アクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合体(商品名「PEMULEN(登録商標)TR−2」、Noveon,Inc.製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ジェル化粧料(PCC−4)を得た。
≪比較例1≫
実施例1において、ポリマー被覆酸化チタン微粒子分散体(PC−1)に代えて、シリカ被覆酸化チタン微粒子分散体(TC−1)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較ジェル化粧料(NCC−1)を得た。
≪比較例2≫
実施例3において、ポリマー被覆酸化チタン微粒子分散体(PC−1)に代えて、シリカ被覆酸化チタン微粒子分散体(TC−1)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、比較ジェル化粧料(NCC−2)を得た。
≪比較例3≫
まず、スクワラン4部、ポリグリセリル−6−イソステアレート0.4部を50℃で加熱溶解を行い、化粧料油層Aを得た。また、精製水15部、ブチレングリコール5部、メチルパラベン0.2部、ポリソルベート0.6部を50℃で加熱溶解させた。固形物が存在しないことを確認後、化粧料油層Aを添加し、さらにディスパーで10分間攪拌し、化粧料乳化物Bを得た。
別の容器に、精製水40部をディスパーで攪拌しながら、カルボキシビニルポリマー(商品名「CARBOPOL(登録商標)980」、Noveon,Inc.製)の粉末0.3部を添加した。さらに、キサンタンガム0.05部、グリセリン10部を添加した後、化粧料乳化物Bを添加し、10分間攪拌した。その後、10%水酸化ナトリウムを添加して、pHを6.5に調整した後、ポリマー被覆酸化チタン微粒子分散体(PC−1)24.5部を添加し、ディスパーで15分間攪拌した。得られた配合物を遠心脱泡装置で脱泡することにより、比較ジェル化粧料(NCC−3)を得た。
得られたジェル化粧料(PCC−1)〜(PCC−4)および比較ジェル化粧料(NCC−1)〜(NCC−3)を、以下のような特性について試験し、その性能を評価した。配合組成および性能評価の結果を表1に示す。
<透明性>
ジェル化粧料を、透明なPETフィルムに、アプリケーターを用いて、ウェット膜厚が10μmになるように塗工し、透明性を下記の基準で視覚的に評価した。
○:透明感がある;
△:やや透明感がある;
×:全く透明感がない。
<紫外線遮断能>
紫外線遮断能を下記の基準で評価した。
○:優れた紫外線遮断能を有する;
×:紫外線遮断能が低い。
Figure 2009161496
表1から明らかなように、金属酸化物微粒子の表面をシリカで被覆し、かつその外側を疎水化処理してなる金属酸化物微粒子の水分散体に、側鎖にカルボキシ基を有する増粘性ポリマーを中和せずに添加した後、中和して増粘させることにより得られる実施例1〜4のジェル化粧料は、高い透明性を維持しながら、優れた紫外線遮断能を有する。
これに対し、金属酸化物微粒子の表面をシリカで被覆したが、その外側を疎水化処理していない金属酸化物微粒子の水分散体に、側鎖にカルボキシ基を有する増粘性ポリマーを中和せずに添加した後、中和して増粘させることにより得られる比較例1および2のジェル化粧料は、優れた紫外線遮断能を有するが、全く透明性を有しない。また、金属酸化物微粒子の表面をシリカで被覆したが、その外側を疎水化処理してなる金属酸化物微粒子の水分散体を、側鎖にカルボキシ基を有する増粘性ポリマーを増粘させた後に添加して得られた比較例3のジェル化粧料は、高い透明性を有するが、紫外線遮断能が低い。
かくして、金属酸化物微粒子の表面をシリカで被覆し、かつその外側を疎水化処理してなる金属酸化物微粒子の水分散体に、側鎖にカルボキシ基を有する増粘性ポリマーを中和せずに添加した後、中和して増粘させることにより、高い透明性を維持しながら、優れた紫外線遮断能を有する化粧料が得られることがわかる。また、金属酸化物微粒子の表面をシリカで被覆し、かつその外側を疎水化処理してなる金属酸化物微粒子の水分散体を、側鎖にカルボキシ基を有する増粘性ポリマーを増粘させた後に添加するよりも、側鎖にカルボキシ基を有する増粘性ポリマーを増粘させる前に添加した方が、金属酸化物微粒子の配合量を増加させ得ることがわかる。
本発明による化粧料の製造方法は、高い透明性を維持しながら、優れた紫外線遮断能を有する化粧料を与えることができるので、化粧料の分野において多大な貢献をなすものである。

Claims (3)

  1. 一次粒子径が1nm以上、100nm以下である酸化亜鉛微粒子、酸化チタン微粒子、酸化セリウム微粒子、酸化ジルコニウム微粒子および酸化鉄微粒子よりなる群から選択される少なくとも1種の金属酸化物微粒子の表面をシリカで被覆し、かつその外側を疎水化処理してなる金属酸化物微粒子の水分散体に、側鎖にカルボキシ基を有する増粘性ポリマーを中和せずに添加した後、中和して増粘させることを特徴とする化粧料の製造方法。
  2. 前記疎水化処理が疎水性ポリマーによる表面被覆処理である請求項1記載の製造方法。
  3. 前記側鎖にカルボキシ基を有する増粘性ポリマーがカルボキシビニルポリマーおよび/またはアクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合体である請求項1または2記載の製造方法。
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