JP5607485B2 - 被覆無機粉体、水系組成物及び化粧料 - Google Patents

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Description

本発明は、被覆無機粉体、並びに、それを用いた水系組成物及び化粧料に関する。
無機粉体は、化粧料や塗料組成物、樹脂組成物といった様々な分野で、それぞれの特性を活かし、幅広く使用されている。一例を挙げれば、粒子径がナノサイズである酸化チタンは、紫外線カットフィラーとして日焼け止めなどの化粧料や建築塗料に用いられ、一方それよりも大きいサブミクロンサイズの酸化チタンは、白色粉体として多用されており、炭酸カルシウムや硫酸バリウム、シリカなどは体質顔料として用いられている。
これらの無機粉体においては、表面処理を行うことが広く行われている。これは、無機粉体からイオン性の溶出物が生じることがあるためこれによる悪影響を防止したり、無機粉体の表面が有する化学的活性による悪影響を抑制したりするためのものである。
例えば、化粧料の分野においては、増粘剤として汎用されるカルボキシビニルポリマーと無機粉体との併用は困難とされている。カルボキシビニルポリマーは、コラーゲンやゼラチンなどの天然高分子や多糖類の増粘剤と比較すると、耐微生物性に優れるという特徴を持っており、更に使用感の観点からも優位性を持っている。上記カルボキシビニルポリマーの増粘系は、以下の通りである。ポリアクリル酸の一種であるカルボキシビニルポリマーを水に湿潤し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリで中和すると、ポリアクリル酸の分子鎖中のCOOH基がCOO解離し、分子鎖中のCOO電荷が互いに反発することにより、分子鎖がよく拡がる結果、急速に増粘するものである。
このようなカルボキシビニルポリマーのカルボン酸部と多価金属イオンとが反応すると、カルボキシビニルポリマーのゲル構造が破壊され、粘性を保つことができなくなる。このために、化粧料分野において無機粉体とカルボキシビニルポリマーとを併用することは困難であった。酸化チタン等のように表面活性が高い粒子は、カルボキシビニルポリマーの分子鎖を断ち切ってしまい、そのためにゲル構造の破壊とそれに伴う粘性の変化が起きてしまう。更に、水酸化アルミニウム等のカルボン酸と反応し易い材料でもゲル構造を破壊することは同様である。
また、微細な粒子径の無機粉体を水性組成物に添加すると、組成物の粘性が上昇するため、化粧料の分野において求められるような良好なゲル状態を得ることができなくなってしまう。これは、微細粒子の吸水率が高くなることによるものであり、このような粘度上昇を抑制することも求められている。
特許文献1〜4には、カルボキシビニルポリマーの安定性保持を目的として、微粒子表面をシリカで処理する方法が提案されている。しかし、微粒子をシリカで完全に覆うことは難しく、被膜形成が不完全な部分が露出するため、カルボシビニルポリマーのゲル構造を維持することが難しいという問題があった。
仮に無機粒子の表面を完全に覆えたとしても、シリカ処理層は固いため、凝集粒子を分散させる際の分散力によりシリカ層が容易に破損してしまう。また、シリカ処理層は細孔構造を持ちやすい為に溶媒を通じてイオン溶出が起き、そのために粘性を保てない場合もあった。更に、化粧料分野においては、シリカで粒子表面を覆うために粉体感触が悪くなる欠点もあった。
特許文献5では、微粒子表面を第1層としてシリカで被覆し、かつその外側を第2層としてポリマーで被覆する方法が提案されている。特許文献5に記載された方法は、シリカ被覆金属酸化物微粒子存在下で乳化重合を行うことによる方法であることから、製造工程が長いためにコストが高くなるといった問題がある。さらに、カルボキシビニルポリマーと併用した実施例も記載されているが、粘性をどの程度維持できるのかどうかは記載されていない。
特開平11−302015号公報 WO01/093812号公報 特開2004−339326号公報 特開2005−1999号公報 特開2008−266283号公報
本発明は上記に鑑み、溶出物の抑制、化学的活性の抑制がなされているため、カルボキシビニルポリマー等の他の物質の性質を劣化させることがなく、更に水性組成物に添加した場合に過度の粘度上昇を生じることがない被覆無機粉体を提供することを目的とするものである。
本発明は、架橋させたものであるカルボキシビニルポリマーと2価又は3価の金属イオンとを反応させて得られた沈降性物質からなる被覆層を有することを特徴とする被覆無機粉体(但し、被覆酸化亜鉛粒子を除く)に関する。
上記金属イオンは、Mg、Ca、Sr、Ba、Fe、Zn、Al及びGaからなる群より選択される少なくとも一種の金属イオンであることが好ましい。
上記無機粉体は、Mg、Al、Si、Ti、Fe、Zn、Zr、Ag、Pt及びAuからなる群より選択される少なくとも一種を主成分とする金属、酸化物又は水酸化物であってもよい。
上記無機粉体は、Mg、Ca、Sr、Ba、Zr、Zn及びAlからなる群より選択される少なくとも一種の炭酸塩又は硫酸塩であってもよい。
上記被覆層は、被覆無機粉体100質量部に対して1〜40質量部であることが好ましい。
上記被覆層に含まれる金属イオンは、被覆無機粉体100質量部に対して0.005〜20質量部であることが好ましい。
上記被覆無機粉体は、さらに、アルキルシラン又はシリコーンオイルで処理したものであってもよい。
上記アルキルシラン又はシリコーンオイルの処理量は、被覆無機粉体100質量部に対して0.1〜3質量部であることが好ましい。
本発明は、上記被覆無機粉体を含むことを特徴とする水系組成物でもある。
上記水系組成物は、更に、カルボキシビニルポリマーを含むものであってもよい。
本発明は、上記被覆無機粉体を含むことを特徴とする化粧料でもある。
上記化粧料は、さらに、カルボキシビニルポリマーを含むものであってもよい。
上記化粧料は、水中油型エマルションであってもよい。
本発明の被覆無機粉体は、無機粉体の表面を充分に被覆し、表面活性や金属溶出等が充分に抑制されたものであるため、カルボキシビニルポリマーのゲル構造を壊す等の問題を抑制することができる。また、粉体表面を親水性ポリマーからなる被覆層で被覆したものであるため、水系組成物に好適に配合することもできる。更に、水性組成物に添加したときに、過度の粘度上昇を生じることがなく、化粧料等の分野において望まれる適度な粘性を得ることができるという効果も有する。また、水分散性が向上し、光学特性や感触が向上することも期待される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の被覆無機粉体は、カルボキシビニルポリマーと2価又は3価の金属イオンとを反応させて得られた沈降性物質からなる被覆層を有する。上記沈降性物質は、カルボキシビニルポリマーと金属との反応物からなる。上記沈降性物質は、従来のシリカ処理層と比較して柔軟な被覆層を形成することができるため、粉体分散時の分散力を加えても被覆層が剥がれにくいものである。更に、細孔構造を生じにくいため、イオン溶出も生じにくい。更に、粒子の吸水能が低下することによって、水性組成物が過度に増粘することを抑制することができる。
上記被覆層は、カルボキシビニルポリマーと2価又は3価の金属イオンとの反応によって得られた沈降性物質からなるものである。上記被覆層は、被覆無機粉体100質量部に対して1〜40質量部であることが好ましく、2〜20質量部であることがより好ましい。1質量部未満であると、被覆が不充分であるおそれがある。40質量部を超えると、それ以上の効果が期待できず不経済である。
上記カルボキシビニルポリマーは、アクリル酸に基づく構造単位を主鎖に有する樹脂を、例えば、アリルショ糖、ペンタエリスリトール、ペンタエリスチルアリルエーテル、スクロースアリルエーテル、プロピレンアリルエーテル、ポリアルケニルポリエーテルなどの物質で架橋させたアクリル系ポリマーである。上記カルボキシビニルポリマーの主鎖としては、上記アクリル酸以外の不飽和カルボン酸をモノマーとして用いたり、付加重合させたものであっても良い。更に、例えばメタクリル酸アルキル共重合体など、その他の不飽和モノマーとの共重合体であってもよい。
上記カルボキシビニルポリマーに含まれるカルボン酸量(すなわち樹脂中のカルボン酸基含有モノマーに由来する構成単位の樹脂中の含有量)は特に規定しないが、化粧品に使用する場合は、カルボキシビニルポリマー全量に対して56〜68質量%であることが好ましい。日本の医薬部外品原料規格に適合したものを使用することが、コストや安全性、販売面で有利であるからである。上記カルボキシビニルポリマーは、カルボン酸部がナトリウムやカリウムといったアルカリ金属塩やアンモニウム塩、アミン塩などの水溶性塩の形になったものを原料として使用して沈降性物質を得るものであってもよい。
上記カルボキシビニルポリマーとしては市販のものを使用することもできる。市販のカルボキシビニルポリマーとしては特に限定されず、例えば、カーボポール940、カーボポール941、カーボポール980、カーボポール934、(いずれもLUBRIZOL ADVANCED MATERIALS社製)、ハイビスワコー103、ハイビスワコー104、ハイビスワコー105(いずれも和光純薬工業株式会社製)等、市販のアクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合体としては例えばPemulen TR−1、Pemulen TR−2、カーボポールETD2020(いずれもLUBRIZOL ADVANCED MATERIALS社製)等の市販の製品を使用することができる。
上記2価又は3価の金属イオンとしては特に限定されず、亜鉛イオン、アルミニウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、バリウムイオン、鉄イオン、ストロンチウムイオン、ガリウムイオン等を挙げることができる。上記金属イオンとしては、これらのうち、一種あるいは複数を使用することができる。金属イオンの供給源としては、例えば、酢酸塩、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩などの水溶性塩が挙げられ、これらを水に溶かして使用することができる。また、被処理無機粉体が、水酸化アルミニウムなどのカルボキシビニルポリマーと反応して沈降性物質を生成し得る多価金属イオンを溶出する物質である場合、被処理無機粉体そのものから溶出する金属イオンを利用することもできる。
沈降性物質の原料となるカルボキシビニルポリマーと金属イオンの組み合わせは、得られる沈降性物質の難水溶性が高いこと、カルボキシビニルポリマーと金属イオンとが早く強く結び付くことを重視して選択することが好ましい。特に、亜鉛イオン、アルミニウムイオンを用いることが好ましく、塩化亜鉛、塩化アルミニウムを供給源として使用することができる。上記被覆層は、物性を損なわない範囲で上記沈降性物質以外の物質を含むものであってもよい。
上記被処理無機粉体としては特に限定されず、イオン性物質、金属水酸化物、金属酸化物、金属単体等を挙げることができ、例えば、Mg、Al、Si、Ti、Fe、Zn、Zr、Ag、Pt及びAuからなる群より選択される少なくとも一種を主成分とする金属、酸化物又は水酸化物であってもよく、また、Mg、Ca、Sr、Ba、Zr、Zn及びAlからなる群より選択される少なくとも一種の炭酸塩又は硫酸塩であってもよい。具体的には、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、水酸化/酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化鉄、亜鉛、銀、金、白金、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、タルク、マイカ、セリサイト、人工雲母、粘土鉱物などが挙げられる。特に、炭酸カルシウム、酸化チタン等に対して好適に適用することができる。
上記被処理無機粉体の粒子サイズや粒子形状には制約がなく、それぞれの粉体の用途に適したもので良い。しかしながら、20m/g以上の比表面積を持つ粉体は、同じ量でも活性サイトが多くなるため、表面活性が高く、溶出するイオン量が多くなるため、本発明の有用性が高くなる。また、これらの被処理無機粉体は、表面がシリカやアルミナ、酸化鉄、酸化チタン、硫酸バリウム、シリコーン、アルキルシラン、金属石鹸などで処理されたものに更に、上述した処理を施すものであってもよい。特に、シリカによる表面処理を施した無機粉体に対して本発明の特定の被覆層を形成した場合は、上述した金属イオンの溶出や化学的活性の抑制をより高い水準で行うことができる点で、特に好ましい。例えば、シリカ被覆を行った酸化チタンに対して、上記沈降性物質による被覆を施した場合は、シリカ被覆層と沈降性物質による被覆層との相乗効果によって、顕著に効果が向上する。
本発明の被覆無機粉体は、カルボキシビニルポリマーと多価金属イオンとからなる沈降性物質によって無機粉体を被覆したものである。このような表面処理方法としては特に限定されず、湿式であっても、乾式であってもよいが、湿式が好ましい。また、表面処理を行う前に、被処理粉体を水中で分散処理することがより好ましい。上記分散処理の方法としては、例えば、pH調整による電荷反発法、物理的な力を加える方法等を挙げることができ、凝集粒子をほぐす、又は、粒子自体を粉砕できる方法であればよい。
湿式での表面処理方法について具体的に説明する。湿式での表面処理方法としては、例えば、無機粉体が分散した液中でカルボキシビニルポリマーと2価又は3価の金属イオンとを反応させて沈降性物質を合成する方法、沈降性物質を別の容器で作ってから無機粉体が分散した液に沈降性物質を添加し、ビーズミルで均一に処理する方法等を挙げることができる。前者の方法が効率的であるため好ましい。このような表面処理の方法としては、例えば、無機粉体が分散した溶液にカルボキシビニルポリマーを溶解させた液と多価金属イオンを含む水とを同時に添加する方法、各々の液を順に添加する方法のいずれであってもよい。多価金属イオンとして亜鉛イオンを使用するときは、亜鉛イオンが残存しないように、添加終了後に水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性水溶液でpH10以上に調整して、水酸化亜鉛/酸化亜鉛にすることが好ましい。また、その他の金属イオンを用いる際にも酸側、アルカリ側を問わず必要なpH調整を行ってもよい。
上記被処理無機粉体を分散させた液中でカルボキシビニルポリマーと多価金属イオンとを反応させる場合、上記カルボキシビニルポリマーの添加量は、被処理無機粉体100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましく、1〜20質量部がより好ましい。添加量が1質量部未満であると、無機粉体表面をすべて被覆することが困難であるため充分な効果が得られないおそれがある。また、添加量が30質量部を超えると、コストが上昇するだけでなく、効果も頭打ちとなる場合がある。
上記多価金属イオンの添加量は、被処理無機粉体100質量部に対してイオン質量として0.05〜20質量部であることが好ましく、更にこの範囲で添加したカルボキシビニルポリマー100質量部に対して0.1〜300質量部であることが好ましい。添加量が少なければ得られる沈降性物質が少なくなるため効果が少ない場合がある。また、添加量が多ければ、金属イオンが被覆無機粉体に吸着して残存してしまい、カルボキシビニルポリマーと併用した場合に粘度低下を引き起こすおそれがある。
上記表面処理における反応温度、反応圧力等は特に限定されず、反応系の溶媒である水が液体として存在できる条件範囲であればよい。
また、乾式での表面処理方法としては、沈降性物質を乾燥させてからミキサーなどで無機粉体と混合してもよいが、乾燥前の沈降性物質を添加してもよい。
上記表面処理は、表面処理を行った後でさらに適当な方法で濾過・水洗を行ない、余分な塩類の除去を行ってもよい。濾過・水洗後に得られたケーキはそのまま、もしくは希釈して水分散体としても使用することができるし、また乾燥させ粉体として使用することもできる。水分散体、粉体どちらの状態であっても粉砕処理を行ない、凝集をある程度ほぐして微粒子化させることが好ましい。
上述のようにして得られた本発明の被覆無機粉体は、更に適当な既知の方法で任意の他の有機物や無機物で表面処理を施すこともできる。なかでも、化粧品に配合して使用した際の好感触を得ることができることから、アルキルシラン又はシリコーンオイルで処理することが好ましい。但し、水系に分散して使用する場合は水になじまなければ不適なため、撥水性が発現することは好ましくない。本発明の被覆無機粉体にアルキルシランまたはシリコーンオイルで処理すると、未被覆の無機粉体では撥水性が付与されるアルキルシランまたはシリコーンオイル処理量であっても、撥水性が発現せずに感触のみ改善されることが見出されている。よって、上記アルキルシラン又はシリコーンオイルによる処理は、撥水性を発現しない程度とすることが好ましい。なお、撥水性が発現しないとは、実施例における親水性評価で○となることをいう。
上記アルキルシラン又はシリコーンオイルとしては特に限定されず、例えば、トリエトキシカプリリルシラン(例えば信越化学工業(株)製AES−3083)メチルハイドロジェンポリシロキサン(例えば信越化学工業(株)製KF−99P、東レダウコーニング社(株)製SH1107C)、ジメチルポリシロキサン・メチルハイドロジェンポリシロキサン共重合体(例えば信越化学工業(株)製KF−9901)、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン(例えば信越化学工業(株)製KF−9908)、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン(例えば信越化学工業(株)製KF−9909)、アクリルシリコーン樹脂(例えば信越化学工業(株)製KP−574)等を挙げることができる。なかでも、トリエトキシカプリリルシラン、ジメチルポリシロキサン・メチルハイドロジェンポリシロキサン共重合体、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコンのうち少なくとも一種を使用することが好ましい。
上記アルキルシラン又はシリコーンオイルによる処理方法としては特に限定されず、例えば、被覆無機粉体粒子をイソプロピルアルコール等の溶媒に分散させた後、上記アルキルシラン又はシリコーンオイルを添加する方法や、乾式でミキサーで混合する方法などを挙げることができる。
上記アルキルシラン又はシリコーンオイルによる処理において、処理量は被覆無機粉体100質量部に対して0.1〜3質量部であることが好ましい。さらに、得られた被覆無機粉体を水系で用いる場合、0.2〜2質量部であることが特に好ましい。0.1質量部未満であると、感触向上の効果が少ないため好ましくない。また、3質量部を超えると、撥水性が発現してしまう。
本発明は、上記被覆無機粉体を含む水系組成物でもある。本発明の被覆無機粉体は、充分にその表面が被覆され、表面活性を抑制し、イオン溶出も抑えられたものである。したがって、水系媒体にも安定に分散し、組成物とすることができる。上記水系媒体としては特に限定されず、例えば、水、アルコール等の親水性有機溶剤を含む水系媒体を挙げることができる。
上記水系組成物において、上記被覆無機粉体は、配合量が水系組成物全体に対して5〜40質量部であることが好ましく、10〜25質量部であることがより好ましい。配合量が5質量部未満であると、濃度が薄いため使用しにくく、処方が限定されてしまうため好ましくない。また、40質量部を超えると、ケーキ状になり使用が困難になるおそれがある。
上記水系組成物は、さらに、カルボキシビニルポリマーを併用したものであってもよい。上記被覆無機粉体は、上述のように、表面活性、イオン溶出が抑えられ、分散力を加えても剥がれにくい被覆層を有するものであるため、カルボキシビニルポリマーと併用しても粘度低下を引き起こすことはない。上記水系組成物において、上記カルボキシビニルポリマーの含有量は、下限0.01質量%、上限10質量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が0.01質量%未満であると、増粘効果が得られないおそれがある。上記含有量が10質量%を超えると、使用性の観点から好ましくない。上記下限は、0.03質量%がより好ましく、上記上限は、3質量%がより好ましい。
上記水系組成物は、用途に応じて任意の成分を添加してもよい。
本発明の水系組成物のpHは、カルボキシビニルポリマーを併用する場合、下限5、上限10の範囲内であることが好ましい。上記pHが5未満であると、カルボキシビニルポリマーの安定性の面で好ましくない。一方、上記pHが10を超えると安全性の面で悪影響を与えるおそれがある。
本発明の水系組成物は、促進条件(60℃)で保管したカルボキシビニルポリマー・無機粉体含有水系組成物の、7日目の粘度を0日目の粘度で割った比率が80〜120%であることが好ましい。本発明の水系組成物は、上述したように、カルボキシビニルポリマーと無機粉体を併用したものでありながら、安定した組成物を得ることができるものである。具体的には上述した範囲内のような粘度保持率を有するものであることが特に好ましい。上記値における粘度は、本明細書の実施例における測定方法によって測定された値である。
上記被覆無機粉体を含む化粧料も本発明の一つである。本発明の化粧料としては特に限定されず、例えば、化粧水、乳液、クリーム等の基礎化粧品、ファンデーション、化粧下地等のメイク用品、日焼け止め化粧料、ヘアケア用品等を挙げることができる。
上記化粧料の剤形としては特に限定されず、均一相からなる水性液体組成物であっても、水中油型(O/W型)エマルションであってもよい。一般的な水中油型エマルションは、カルボキシビニルポリマーを増粘剤として使用したものであり、外相が水であるためべたつきの少ない軽い使用感を得ることができる。従来の無機粉体は、カルボキシビニルポリマーの粘度低下を引き起こすため、水中油型エマルションに配合することは困難であった。しかしながら、本発明の被覆無機粉体は、カルボキシビニルポリマーと併用することができるため、水中油型エマルションに配合することもできる。これによって、従来にない、使用感に優れた粉末含有水中油型エマルションを得ることができる。
本発明の化粧料において、上記被覆無機粉体は、配合量が化粧料全体に対して1〜50質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることがより好ましい。配合量が1質量部未満であると、効果が弱くなるため好ましくない。また、50質量部を超えると、粉っぽくなり感触が悪くなるおそれがある。
本発明の化粧料は、化粧品分野において使用することができる任意の水性成分、油性成分を併用するものであってもよい。上記水性成分及び油性成分としては特に限定されず、例えば、油分、界面活性剤、保湿剤、高級アルコール、金属イオン封鎖剤、天然及び合成高分子、水溶性及び油溶性高分子、紫外線吸収剤、各種抽出液、有機染料等の色剤、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、pH調整剤、香料、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤等の成分を含有するものであってもよい。
上記被覆無機粉体は、例えば、樹脂組成物において好適に使用することができる。この場合、使用する樹脂は、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよく、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂、ポリメタクリル酸メチル、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、液晶樹脂(LCP)、シリコーン樹脂、アクリル樹脂等の樹脂を挙げることができる。
上記被覆無機粉体を樹脂溶液又は分散液中に分散させた塗料組成物として使用することもできる。この場合、使用する樹脂は硬化性を有するものであっても、硬化性を有さないものであってもよい。上記樹脂として具体的には、上述した樹脂組成物において使用することができる樹脂として例示した樹脂を挙げることができる。塗料は、有機溶剤を含有する溶剤系のものであっても、水中に樹脂が溶解又は分散した水系のものであってもよい。
上記塗料組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、ディスパーやビーズミル等を使用し、必要とする原料及び溶剤を混合・分散することによって製造することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。また実施例中、「部」は特に断りのない限り「質量部」を、「%」は特に断りのない限り「質量%」を意味する。
[実施例1]
比表面積が100m/gの酸化チタンにシリカで表面処理を施したもの(堺化学工業(株)製STR−100W)70gを水700gにリパルプしてビーズミルで湿式粉砕した。この酸化チタンスラリー550gを攪拌下、塩化亜鉛水溶液(塩化亜鉛9g〔亜鉛イオンとして4.3g、シリカ被覆酸化チタンに対して8.6部、表面処理に用いたカルボキシビニルポリマーに対して144部〕、水100g)を添加した後、カルボキシビニルポリマー(LUBRIZOL ADVANCED MATERIALS社製 Carbopol 934)水溶液(カルボキシビニルポリマー3g〔シリカ被覆酸化チタンに対して6部〕、水600g)を8ml/min.で添加した。次いで、水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム8g、水100g)を4.5ml/min.で添加し、pH=12とした。20min.攪拌後、濾過、水洗を行うことで、酸化チタン1の含水ケーキを得た。
これを200mlマヨネーズ瓶に入れ、粉体濃度10質量%となるよう水を添加した。これにφ0.5ジルコニアビーズを100g入れ、ペイントシェーカーで60分間分散した。ビーズを分離後、カルボキシビニルポリマー(LUBRIZOL ADVANCED MATERIALS社製 Carbopol 940)を0.25質量部となるよう添加し、ホモディスパーで攪拌することで、酸化チタン分散体1を得た。
[実施例2]
酸化チタン微粒子(堺化学工業(株)製STR−100N)70gを水700gにリパルプしてビーズミルで湿式粉砕した。この酸化チタンスラリー550gを攪拌下、塩化亜鉛水溶液(塩化亜鉛9g〔亜鉛イオンとして4.3g、酸化チタンに対して8.6部、表面処理に用いたカルボキシビニルポリマーに対して144部〕、水100g)を添加した後、カルボキシビニルポリマー(LUBRIZOL ADVANCED MATERIALS社製 Carbopol 934)水溶液(カルボキシビニルポリマー3g〔酸化チタンに対して6部〕、水600g)を8ml/min.で添加した。次いで、水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム8g、水100g)を4.5ml/min.で添加し、pH=12とした。20min.攪拌後、濾過、水洗を行うことで、酸化チタン2の含水ケーキを得た。
これを200mlマヨネーズ瓶に入れ、粉体濃度10質量%となるよう水を添加した。これにφ0.5ジルコニアビーズを100g入れ、ペイントシェーカーで60分間分散した。ビーズを分離後、カルボキシビニルポリマー(LUBRIZOL ADVANCED MATERIALS社製 Carbopol 940)を0.25質量部となるよう添加し、ホモディスパーで攪拌することで、酸化チタン分散体2を得た。
[実施例3]
シリカ被覆酸化チタン微粒子(堺化学工業(株)製STR−100W)70gを水700gにリパルプしてビーズミルで湿式粉砕した。この酸化チタンスラリー550gを攪拌下、塩化亜鉛水溶液(塩化亜鉛4.5g〔亜鉛イオンとして2.2g、シリカ被覆酸化チタンに対して4.3部、表面処理に用いたカルボキシビニルポリマーに対して72部〕、水50g)を添加した後、カルボキシビニルポリマー(LUBRIZOL ADVANCED MATERIALS社製 Carbopol 934)水溶液(カルボキシビニルポリマー1g〔シリカ被覆酸化チタンに対して2部〕、水200g)を8ml/min.で添加した。次いで、水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム6.89g、水86g)を4.5ml/min.で添加し、pH=12とした。20min.攪拌後、濾過、水洗を行うことで、酸化チタン3の含水ケーキを得た。
これを200mlマヨネーズ瓶に入れ、粉体濃度10質量%となるよう水を添加した。これにφ0.5ジルコニアビーズを100g入れ、ペイントシェーカーで60分間分散した。ビーズを分離後、カルボキシビニルポリマー(LUBRIZOL ADVANCED MATERIALS社製 Carbopol 940)を0.25質量部となるよう添加し、ホモディスパーで攪拌することで、酸化チタン分散体3を得た。
[実施例4]
シリカ被覆酸化チタン微粒子(堺化学工業(株)製STR−100W)70gを水700gにリパルプしてビーズミルで湿式粉砕した。この酸化チタンスラリー550gを攪拌下、塩化亜鉛水溶液(塩化亜鉛9g〔亜鉛イオンとして4.3g、シリカ被覆酸化チタンに対して8.6部、表面処理に用いたカルボキシビニルポリマーに対して144部〕、水100g)を添加した後、カルボキシビニルポリマー(和光純薬(株)製 ハイビスワコー105)水溶液(カルボキシビニルポリマー3g〔シリカ被覆酸化チタンに対して6部〕、水600g)を8ml/min.で添加した。次いで、水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム8g、水100g)を4.5ml/min.で添加し、pH=12とした。20min.攪拌後、濾過、水洗を行うことで、酸化チタン4の含水ケーキを得た。
これを200mlマヨネーズ瓶に入れ、粉体濃度10質量%となるよう水を添加した。これにφ0.5ジルコニアビーズを100g入れ、ペイントシェーカーで60分間分散した。ビーズを分離後、カルボキシビニルポリマー(LUBRIZOL ADVANCED MATERIALS社製 Carbopol 940)を0.25質量部となるよう添加し、ホモディスパーで攪拌することで、酸化チタン分散体4を得た。
[実施例5]
シリカ被覆酸化チタン微粒子(堺化学工業(株)製STR−100W)70gを水700gにリパルプしてビーズミルで湿式粉砕した。この酸化チタンスラリー550gを攪拌下、塩化亜鉛水溶液(塩化亜鉛9g〔亜鉛イオンとして4.3g、シリカ被覆酸化チタンに対して8.6部、表面処理に用いたカルボキシビルポリマーに対して144部〕、水100g)を添加した後、カルボキシビニルポリマー(LUBRIZOL ADVANCED MATERIALS社製 Carbopol 934)水溶液(カルボキシビニルポリマー3g〔シリカ被覆酸化チタンに対して6部〕、水600g)を8ml/min.で添加した。次いで、水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム8g、水100g)を4.5ml/min.で添加し、pH=12とした。20min.攪拌後、濾過、水洗し、120℃で乾燥させることで、被覆酸化チタン微粒子を得た。
上記で得た被覆酸化チタン微粒子100gにトリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン(信越化学工業(株)製KF−9909)を1g添加し、これにイソプロピルアルコールを100g添加して混合した。これを風乾後、熱風乾燥機で熱処理(120℃)することで、酸化チタン5を得た。
これを200mlマヨネーズ瓶に入れ、粉体濃度10質量%となるよう水を添加した。これにφ0.5ジルコニアビーズを100g入れ、ペイントシェーカーで60分間分散した。ビーズを分離後、カルボキシビニルポリマー(LUBRIZOL ADVANCED MATERIALS社製 Carbopol 940)を0.25質量部となるよう添加し、ホモディスパーで攪拌することで、酸化チタン分散体5を得た。
[実施例6]
未処理硫酸バリウム(堺化学工業(株)製板状硫酸バリウムH)50gを水250gにリパルプし攪拌下、塩化亜鉛水溶液(塩化亜鉛9g〔亜鉛イオンとして4.3g、硫酸バリウムに対して8.6部、表面処理に用いたカルボキシビニルポリマーに対して144部〕、水100g)を添加した後、カルボキシビニルポリマー(LUBRIZOL ADVANCED MATERIALS社製 Carbopol 934)水溶液(カルボキシビニルポリマー2g〔硫酸バリウムに対して4部〕、水250g)を8ml/min.で添加した。次いで、水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム8g、水100g)を4.5ml/min.で添加し、pH=12とした。20min.攪拌後、濾過、水洗を行うことで、硫酸バリウム1の含水ケーキを得た。
これを200mlマヨネーズ瓶に入れ、粉体濃度10質量%となるよう水を添加した。これにφ0.5ジルコニアビーズを100g入れ、ペイントシェーカーで60分間分散した。ビーズを分離後、カルボキシビニルポリマー(LUBRIZOL ADVANCED MATERIALS社製 Carbopol 940)を0.25質量部となるよう添加し、ホモディスパーで攪拌することで、硫酸バリウム分散体1を得た。
[比較例1]
200mlマヨネーズ瓶に、シリカ被覆酸化チタン微粒子(堺化学工業(株)製STR−100W:酸化チタン6)を10g入れ、水を90g添加した。これにφ0.5ジルコニアビーズを100g入れ、ペイントシェーカーで60分間分散した。ビーズを分離後、カルボキシビニルポリマー(LUBRIZOL ADVANCED MATERIALS社製 Carbopol 940)を0.25質量部となるよう添加し、ホモディスパーで攪拌することで、酸化チタン分散体6を得た。
[比較例2]
200mlマヨネーズ瓶に、未処理硫酸バリウム(堺化学工業(株)製板状硫酸バリウムH:硫酸バリウム2)を10g入れ、水を90g添加した。これにφ0.5ジルコニアビーズを100g入れ、ペイントシェーカーで60分間分散した。ビーズを分離後、カルボキシビニルポリマー(LUBRIZOL ADVANCED MATERIALS社製 Carbopol 940)を0.25質量部となるよう添加し、ホモディスパーで攪拌することで、硫酸バリウム分散体2を得た
[比較例3]
シリカ被覆酸化チタン微粒子(堺化学工業(株)製STR−100W)100gにトリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン(信越化学工業(株)製KF−9909)を1g添加し、これにイソプロピルアルコールを100g添加して混合した。これを風乾後、熱風乾燥機で熱処理(120℃)することで、酸化チタン7を得た。
[参考例1]
実施例5において、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン(信越化学工業(株)製KF−9909)の添加量を2gとしたこと以外は、実施例5と同様にして、酸化チタン8を得た。
<親水性評価>
ビーカーに水100mLを取り、そこに無機粉体1gを添加し攪拌後、粉の状態を観察し、全ての粉が水になじんで分散した状態を○、粉が撥水して水面に浮かんだ状態を×とした。結果を表1に示す。実施例6の酸化チタン6は親水性の良いことが示された。一方酸化チタン粒子にシリコーンオイルで1%処理した比較例3や被覆酸化チタン微粒子にシリコーンオイルを2%処理した参考例1の粉体は水に浮き、撥水性を示した。

<吸油量評価>
JIS K5101 に準拠した以下の方法で、ミリスチン酸イソプロピルを用い吸油量を測定した。試料約0.5gを薬包紙に精秤し、ガラス板の中央、10cmのスリガラス部分に試料を乗せる。ミクロビュレットにミリスチン酸イソプロピル(以下、IPMとする)を入れ、0.2mLを試料に滴加し、金ベラで練る。その後、IPMを1〜2滴ずつ加え、滴加の都度、全体を金ベラで練る。全体が初めて硬いパテ状の塊になったときを終点とする。吸油量は次式によって算出した。データを表2に示す。
吸油量(ml/100g)= {V(mL)÷ 試料重量(g)}× 100
V:滴加したIPMの量(mL)
また、5名のパネラーに粉体を肌に塗布して感触評価をしてもらい、その結果を表2に示した。結果より、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコンで処理した実施例5の酸化チタン5は、感触が良いことが示された。
感触評価:○:良い、△:普通、×:悪い
[ブランク]
200mlマヨネーズ瓶に水100gを入れ、カルボキシビニルポリマー(LUBRIZOL ADVANCED MATERIALS社製 Carbopol 940)を0.25質量部となるよう添加し、ホモディスパーで分散後、水酸化ナトリウムを用いて中和することでブランクを得た。
〈粘度経時変化〉
50mlスクリュー瓶に各分散体を入れ、B型粘度計で粘度を測定した。サンプルの保管は60℃の乾燥機中で行い、促進条件での分散体の粘度の経時変化を測定した。促進条件では1日がおよそ常温での1週間に相当することを確認した。測定サンプルを測定した日を0日、その翌日を1日として、データ(ロータNo.4、12rpmで測定)を表1に示す。また、測定サンプルの7日目の粘度を0日目の粘度で割った比率と、粘度(7日)における測定サンプルの粘度を粘度(7日)におけるブランクの粘度で割った比率も併記した。なお、粘度の単位は、mPa・sとする。結果より、本発明の被覆無機粉体は、カルボキシビニルポリマーと併用しても粘度変化が少ないことが示された。また、酸化チタン分散体6(比較例1)は、カルボキシビニルポリマー添加直後に分散体がゲル化した。

本発明の被覆無機粉体は、表面活性、イオン溶出を充分に抑制したものであり、カルボキシビニルポリマーを併用した水性組成物においても安定に配合することができる。よって、化粧料、樹脂組成物、塗料組成物に対して安定的に配合することができる。

Claims (13)

  1. 架橋させたものであるカルボキシビニルポリマーと2価又は3価の金属イオンとを反応させて得られた沈降性物質からなる被覆層を有することを特徴とする被覆無機粉体(但し、被覆酸化亜鉛粒子を除く)。
  2. 2価又は3価の金属イオンは、Mg、Ca、Sr、Ba、Fe、Zn、Al及びGaからなる群より選択される少なくとも一種の金属イオンである請求項1記載の被覆無機粉体。
  3. 無機粉体は、Mg、Al、Si、Ti、Fe、Zn、Zr、Ag、Pt及びAuからなる群より選択される少なくとも一種を主成分とする金属、酸化物又は水酸化物である請求項1又は2記載の被覆無機粉体。
  4. 無機粉体は、Mg、Ca、Sr、Ba、Zr、Zn及びAlからなる群より選択される少なくとも一種の炭酸塩又は硫酸塩である請求項1又は2記載の被覆無機粉体。
  5. 被覆層は、無機粉体100質量部に対して1〜40質量部である請求項1、2、3又は4記載の被覆無機粉体。
  6. 被覆層に含まれる金属イオンは、無機粉体100質量部に対して0.005〜20質量部である請求項1、2、3、4又は5記載の被覆無機粉体。
  7. さらに、アルキルシラン又はシリコーンオイルで処理したものである請求項1、2、3,4、5又は6記載の被覆無機粉体。
  8. アルキルシラン又はシリコーンオイルの処理量は、被覆無機粉体100質量部に対して0.1〜3質量部である請求項7記載の被覆無機粉体。
  9. 請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の被覆無機粉体を含むことを特徴とする水系組成物。
  10. 更に、カルボキシビニルポリマーを含む請求項9記載の水系組成物。
  11. 請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の被覆無機粉体を含むことを特徴とする化粧料。
  12. さらに、カルボキシビニルポリマーを含む請求項11記載の化粧料。
  13. 水中油型エマルションである請求項11又は12記載の化粧料。
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