JP4454171B2 - 硫酸バリウム系粉体およびこれを含有する化粧料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、化粧料に配合し得る無機粉体に関する発明である。
【0002】
【従来の技術】
化粧料において、硫酸バリウム等の粉体は、隠蔽、質感の付与等の目的で使用されており、中でも、メーキャップ化粧料においては、その目的を達成するための必須の成分として用いられている。
【0003】
化粧料において、粉体にどのような性質が認められるかは、その粉体粒子を構成する成分は勿論のこと、例えば、粉体粒子の粒径や形状等の成分以外の要素も大きく影響する。例えば、一般に、粉体粒子を球状とすることにより、板状粒子である場合よりも、これを配合した化粧料の伸びが良好になる傾向が認められ、粉体粒子を微粉体とすることにより、これを配合した化粧料のきめを細かくすることができる。
【0004】
今日、化粧料においては、様々な機能を付加する機能化が求められており、この要請に応えるべく、多様な性質を有する粉体粒子を得ることを目的とした様々な試み、例えば、粉体の製造方法・条件の物理的または化学的な検討が行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、硫酸バリウムは、白色体質顔料として主にメーキャップ化粧料に配合されている。しかしながら、この使用用途は、単なる白色顔料用途で、何ら、特別な機能を化粧料において付加し得るものではない。
【0006】
本発明が解決すべき課題は、上述した化粧料の機能化の要請に応えることが可能な、粉体を機能化し得る手段を、硫酸バリウムにおいて見出すことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、この課題の解決に向けて、鋭意検討を行った。その結果、様々な金属イオンの存在下で、硫酸イオンとバリウムイオンを接触させることにより、様々な性質を有する硫酸バリウム系粉体が得られることを見出して、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、(A)バリウムイオン、並びに(B)硫酸ナトリウムに由来する硫酸イオンとナトリウムイオンを、(C)リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオンおよびアルミニウムイオン(以下、特定金属イオンともいう)からなる群から選ばれる1種または2種以上の金属イオンの存在下で接触させて硫酸バリウム系粉体(以下、本硫酸バリウム系粉体ともいう)を製造することを特徴とする、硫酸バリウム系粉体の製造方法(以下、本製造方法ともいう)を提供する発明である。
【0009】
また、本発明は、本硫酸バリウム系粉体を含有することを特徴とする化粧料(以下、本化粧料ともいう)をも提供する発明である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
1.本製造方法および本硫酸バリウム系粉体
通常、本製造方法における、バリウムイオンおよび硫酸イオンの、特定金属イオンとの接触は、これらのイオンを解離し得る溶質を溶解した溶媒中において行われる。ここで用いられる溶媒は、用いる溶質を溶解して、所望のイオンを解離状態とし得るものであれば、特に限定されず、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等を挙げることができる。
【0011】
バリウムイオン〔本発明の(A)要素〕を溶媒中で解離し得る溶質としては、例えば、水酸化バリウム、塩化バリウム、硫化バリウム、硝酸バリウム、酢酸バリウム等のバリウム化合物が挙げられる(バリウム化合物を溶解させた溶媒を、バリウム溶液ともいう)。これらのうち、塩化バリウムおよび水酸化バリウムは、反応に際して生ずる副生成物の処理が容易であり、好適である。
【0012】
硫酸イオン〔本発明の(B)要素〕を溶媒中で解離し得る溶質としては、硫酸ナトリウムが挙げられる(硫酸化合物を溶解させた溶媒を、硫酸溶液ともいう)。硫酸ナトリウムは、反応に際して生ずる副生成物の処理が容易である。
【0013】
通常、本硫酸バリウム系粉体の製造工程において用いる、バリウム溶液におけるバリウム化合物の濃度および硫酸溶液における硫酸化合物の濃度は、共に、0.01mmol/L〜1mol/L 、好ましくは1〜100mmol/Lの範囲で調製される。かかる濃度が0.01mmol/L未満であると、本硫酸バリウム系粉体の工業的な生産効率が低下する傾向が認められる。また、同1mol/L を超えると、溶解物の過飽和度が大きくなり、粒子核が数多く発生し、その結果、硫酸バリウムの微小粒子が多数発生して凝集等が起こり、最終的に得られる本硫酸バリウム系粉体の化粧品用途としての適性が低下してしまう傾向が認められる。
【0014】
特定金属イオン〔本発明の(C)要素〕、すなわち、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオンおよびアルミニウムイオンを解離し得る溶質としては、これらの特定金属イオンの塩、具体的には、例えば、水酸化リチウム、塩化リチウム、硝酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸リチウム等のリチウム塩;水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等のナトリウム塩;水酸化カリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、炭酸カリウム、酢酸カリウム等のカリウム塩;水酸化マグネシウム、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酢酸マグネシウム等のマグネシウム塩;水酸化カルシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、炭酸カルシウム、酢酸カルシウム等のカルシウム塩;水酸化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、炭酸亜鉛、酢酸亜鉛等の亜鉛塩;水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、酢酸アルミニウム等のアルミニウム塩等を挙げることができる(特定金属イオンの塩を溶解させた溶液を、特定金属イオン溶液ともいう)。
【0015】
なお、本発明において、特定金属イオン以外に、有機陰イオンを用いることによっても、所望する硫酸バリウム系粉体を得ることができる。かかる有機陰イオンは、バリウムイオンと錯形成が可能な有機陰イオンが好適である。例えば、酢酸、EDTA、NTA等を、かかる有機陰イオンを供給するために用いることができる。
【0016】
なお、本製造方法において用いる特定金属イオンは、1種類であってもよいが、2種類以上を組み合わせることも可能である。よって、上記の特定金属イオンの塩は、必要に応じて1種または2種以上を、本硫酸バリウム系粉体の製造において用いることができる。
【0017】
本製造方法の製造工程において、特定金属イオンは、バリウムイオンに対して0.001〜10当量の範囲で、バリウムイオンおよび硫酸イオンと共存させて、本製造方法を行うことが好適である。この特定金属イオン量が、バリウムイオンに対して0.001当量未満であると、バリウムイオンを、特定金属イオンと共存させることにより得られるはずの効果を十分に発揮させることが困難となる傾向が認められる。また、同10当量を超えると、生成する硫酸バリウム系粉体が凝集を起こしてしまい、これを配合した場合の、化粧料の使用感等を低下させてしまう傾向が認められる。よって、特定金属イオン溶液は、上記の特定金属イオンの濃度範囲内になるように調製して用いることが好適である。
【0018】
本製造方法の具体的な態様としては、第1に、(A)バリウムイオンおよび(C)特定金属イオンを接触させた後で、さらに(B)硫酸ナトリウムに由来する硫酸イオンとナトリウムイオンを接触させて、本硫酸バリウム系粉体を得る方法を挙げることができる。
【0019】
すなわち、バリウム溶液および特定金属イオン溶液を混合した後、これに硫酸溶液を添加することにより、この第1の製造方法を行うことができる。
第2の製造方法としては、(A)バリウムイオン、(B)硫酸ナトリウムに由来する硫酸イオンとナトリウムイオン、および、(C)特定金属イオン、の3要素を、実質的に同時に接触させて、硫酸バリウム系粉体を得る方法を挙げることができる。
【0020】
すなわち、バリウム溶液、硫酸溶液および特定金属イオンを実質的に同時に接触させることにより(通常は、特定金属イオン溶液に、バリウム溶液と硫酸溶液を添加することにより行われる)、この第2の製造方法を行うことができる。
【0021】
第1の製造方法および第2の製造方法共、反応温度としては、50〜100℃が好ましく、70〜100℃が特に好ましい。また、両製造方法共、バリウムイオンに対する硫酸イオンのモル比は1:2〜2:1の範囲に設定することが好適である。
【0022】
なお、これらの製造方法を行った後の、本硫酸バリウム系粉体を得るための、副生成物の除去工程や粉砕工程等は、常法によって行うことができる。
このようにして、本硫酸バリウム系粉体を製造することができる。
【0023】
本硫酸バリウム系粉体は、その製造工程において、バリウムイオンおよび硫酸イオンと接触させる特定金属イオンの種類、反応条件等を調整することにより、粉体粒子の形状や大きさ、さらには色彩等を設定して自己組織化することが可能であり、その結果、付着力、光沢、光散乱性、みかけ比重(ソフト感等の有無)等が様々な、機能化された硫酸バリウム系粉体であり、特に、化粧料に含有させて用いることが好適である。
【0024】
また、本硫酸バリウム系粉体に、さらに、公知の撥水処理等を行うことも可能である。撥水処理剤としては、例えば、シリコーン油、脂肪酸金属塩、アルキルリン酸、アルキルリン酸のアルカリ金属塩またはアミン塩、N−モノ長鎖脂肪族アシル塩基性アミノ酸等が挙げられる。
【0025】
2.本化粧料
本化粧料における、本硫酸バリウム系粉体の配合量は、本製造方法において用いた特定金属イオンの種類等によって調整され得る具体的な本硫酸バリウム系粉体の性質、化粧料の剤型、配合の目的等に応じて自由に選択が可能であり、特に限定されるものではない。通常は、化粧料全体の1〜60質量%、特に一般的には、同5〜35質量%程度配合される。
【0026】
本硫酸バリウム系粉体は、従来と同様に、白色体質顔料として配合され得るが、具体的な粉体の性質に応じて、他の目的からも配合可能である。
本化粧料は、本硫酸バリウム系粉体を配合しているために、使用性、隠蔽性、審美性等において、特色を付与することが可能である。
【0027】
本化粧料には、必須成分である本硫酸バリウム系粉体の他に、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、通常の化粧料に配合され得る成分、例えば、油分、界面活性剤、本硫酸バリウム系粉体以外の粉体成分、水溶性高分子、防腐剤、各種薬効成分、色素、香料、保湿剤、紫外線吸収剤、無機塩または有機塩、キレート剤、pH調整剤、水、低級アルコール等を配合可能である。
【0028】
本化粧料が、採り得る剤型・製品形態は限定されないが、特に、メークアップ化粧料とすることが、本硫酸バリウム系粉体の元来の性質を考慮すると一般的である。具体的には、リキッドファンデーション、クリーム状ファンデーション、油性固形化粧料、口紅、パウダリーファンデーション、粉白粉、固形白粉、アイシャドウ、フェイスパウダー、頬紅、アイライナー、アイブロウペンシル等が、メークアップ化粧料として挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、この他、各種の基礎化粧品にも、必要に応じて、本発明を適用することが可能である。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明は、これにより何ら限定されるものではない。
〔製造例〕
容量3000mLの丸底セパラブルフラスコに、60mmol/L−塩化バリウム水溶液500mLと、塩化亜鉛60mmol/L水溶液500mLとイオン交換水1000mLとを攪拌混合した。液温を100℃とした後、攪拌しながら、60mmol/L−硫酸ナトリウム水溶液500mLを滴下した。滴下と同時に、白色の硫酸バリウムが生成・析出して、反応溶液が懸濁状態となった。硫酸ナトリウム水溶液の添加後、1時間反応を行った。反応終了後、反応溶液を、室温まで冷却し、得られた固形生成物は、沈降させ、濾過水洗をして塩を除去した後、120℃で12時間乾燥をした。次いで、固形生成物に粉砕処理(小型粉砕機を用いて、5分間粉砕処理を行った)を施し、白色粉体(製造例1)を得た。
【0030】
次いで、塩化バリウム水溶液の濃度、硫酸ナトリウム水溶液の濃度、共存塩種および共存塩水溶液濃度を下記第1表に示すように設定した以外は、上記製造例と同様にして本硫酸バリウム系粉体を得た。
【0031】
また、比較例として、共存塩水溶液を添加せずに、イオン交換水を1500mLとした以外は、上記製造例1と同様にして得た白色粒子(比較製造例)を製造した。
【0032】
【表1】
次に、上記の各製造例および比較製造例の硫酸バリウム系粉体について、▲1▼粉体粒子の構造および粒径の観察・確認、▲3▼光学性能の評価、▲2▼化粧品に用いた場合の実使用試験による評価を行った。
【0033】
▲1▼構造および粒径の観察・確認
電子顕微鏡(S4500:日立製作所製)を用いて、倍率1000〜25000倍で、上記の各硫酸バリウム系粉体を観察し、粉体粒子の構造を特定し、任意に選んだ平均的粒径の粉末粒子について、長径を測定した。製造例の一部の種類の硫酸バリウム系粉末の電子顕微鏡写真を図面として示す(第1図〜第8図)。
【0034】
▲2▼光学性能の評価
黒色紙に、両面テープ(住友スリーエム社製)を貼り付け、化粧用刷毛を用いて、硫酸バリウム系粉末を、上面の粘着面に均一になるように塗して、試料片を作製した(この状態では、粉末は配向せずに、ランダムに粘着層に付着している)。次に、試料に、一方向から白色光を照射して、目視により観察を行い、以下の基準で硫酸バリウム系粉体の光学性能を評価した。
【0035】
<評価基準>
i)粉体の表面光沢が認められるものを「つや」(つや有りの意味)として評価した。
ii) 試料片を光源に対して傾けたときの光沢感の変化が少ないものを、拡散性有りとして、「高拡散」または「拡散」として評価した。
iii)粉体粒子が均一に粘着層に付着して、粒子感が認められないものを、「マット」(マット感有りの意味)として評価した。
【0036】
▲3▼化粧品に用いた場合の実使用試験による評価
下記の処方の、硫酸バリウム系粉末を配合したメーキャップ化粧料を、常法により調製して、使用感触の実使用試験を行った。
【0037】
(処方)
〔実施例1〕 パウダリーファンデーション
配合成分 配合量(質量%)
セリパール 17
合成マイカ 10
タルク 残 量
製造例1の硫酸バリウム系粉末 18
ベンガラ 0.8
黄酸化鉄 2
黒酸化鉄 0.1
シリコーン弾性粉末 1
球状ポリエチレン 4
ジメチルポリシロキサン 3
流動パラフィン 5
ワセリン 5
ソルビタンセスキイソステアレート 1
パラベン 適 量
酸化防止剤 適 量
香料 適 量
【0038】
〔比較例1〕
実施例1における、製造例1の硫酸バリウム系粉末の代わりに、バタフライ状硫酸バリウム粉末(特開平7−291623号記載の実施例1の硫酸バリウム粉末)を、18質量%配合したパウダリーファンデーションである。
【0039】
〔比較例2〕
実施例1における、製造例1の硫酸バリウム系粉末の代わりに、板状硫酸バリウム粉末(板状硫酸バリウムH:堺化学製)を、18質量%配合したパウダリーファンデーションである。
【0040】
〔比較例3〕
実施例1における、製造例1の硫酸バリウム系粉末の代わりに、板状硫酸バリウム粉末(板状硫酸バリウムHL:堺化学製)を、18質量%配合したパウダリーファンデーションである。
【0041】
〔実施例2〕 夏用パウダリーファンデーション(水使用も可能な夏用粉末固型ファンデーション)
配合成分 配合量(質量%)
シリコーン処理セリサイト 18
シリコーン処理マイカ 残 量
シリコーン処理タルク 15
製造例1の硫酸バリウム系粉体(シリコーン処理) 12
ステアリン酸アルミ処理微粒子酸化チタン 6
シリコーン処理ベンガラ 1.2
シリコーン処理黄酸化鉄 2.5
シリコーン処理黒酸化鉄 0.9
ポリウレタン粉末 6
パラベン 適 量
ジメチルポリシロキサン 4
メチルフェニルポリシロキサン 3
オクチルメトキシシンナメート 3
ポリエーテルシリコーン 2
酸化防止剤 適 量
香料 適 量
【0042】
〔実施例3〕 夏用パウダリーファンデーション
実施例2における、製造例1の硫酸バリウム系粉末の代わりに、製造例11の硫酸バリウム系粉末(シリコーン処理)を、12質量%配合した夏用パウダリーファンデーションである。
【0043】
〔実施例4〕 夏用パウダリーファンデーション
実施例2における、製造例1の硫酸バリウム系粉末の代わりに、製造例9の硫酸バリウム系粉末(シリコーン処理)を、12質量%配合した夏用パウダリーファンデーションである。
【0044】
〔比較例4〕
実施例2における、製造例1の硫酸バリウム系粉末の代わりに、硫酸バリウムBF−1(堺化学製)を、12質量%配合した夏用パウダリーファンデーションである。
【0045】
〔実施例5〕フェースパウダー
配合成分 配合量(質量%)
タルク 残 量
マイカ 25
製造例1の硫酸バリウム系粉体 35
微粒子酸化チタン 3
球状シリコーン粉末 8
ワセリン 1
スクワラン 3
エステル油 1
パラベン 適 量
酸化防止剤 適 量
香料 適 量
【0046】
〔比較例5〕
実施例5における、製造例1の硫酸バリウム系粉末の代わりに、板状硫酸バリウムH(堺化学製)を、35質量%配合したフェースパウダーである。
【0047】
〔比較例6〕
実施例5における、製造例1の硫酸バリウム系粉末の代わりに、板状硫酸バリウムHM(堺化学製)を、35質量%配合したフェースパウダーである。
【0048】
〔実施例6〕 W/O型乳化クリームファンデーション
配合成分 配合量(質量%)
タルク 8
セリサイト 7
製造例1の硫酸バリウム系粉末 15
ベンガラ 0.3
黄酸化鉄 1.2
黒酸化鉄 0.6
球状ポリエチレン粉末 6
スクワラン 10
オリーブ油 10
ステアリン酸 2
グリセリルモノステアレート 2
POE(40)モノステアリン酸ソルビタン 2
グリセリン 5
トリエタノールアミン 0.8
pH調整剤 適 量
防腐剤 適 量
イオン交換水 残 量
【0049】
〔実施例7〕 W/O型乳化クリームファンデーション
実施例6における、製造例1の硫酸バリウム系粉末の代わりに、製造例11の硫酸バリウム系粉末を、15質量%配合したW/O型乳化クリームファンデーションである。
【0050】
試験方法
20名の女性パネラーの顔面に、上記の試験品を塗布し、肌のくすみやしみ・そばかす等の色むらを隠蔽する効果と、仕上がりにおける適度のつや、自然さおよび透明感について、それぞれの項目について、下記の基準に従って評価した。
【0051】
<評価基準>
17名以上が良いと回答 :◎
12〜16名が良いと回答 :○
9〜11名が良いと回答 :△
5〜8名が良いと回答 :×
4名以下が良いと回答 :××
(1)これらの検討のうち、▲1▼▲2▼の試験に関する結果を第2表に示す。
【0052】
【表2】
第 2 表
────────────────────────────────────
製造例 構造 粒径(μm ) 光学性能
────────────────────────────────────
製造例1 針状大枝(第1図) 20〜30 拡散
製造例8 板状(第2図) 5〜20 拡散
製造例9 核型板状積層構造(第3図)30〜50 拡散
製造例10 針状枝(第4図) 20〜30 高拡散
製造例11 平坦板状(第5図) <5 マット
製造例12 針状小枝(第6図) 20〜30 拡散
製造例13 平板板状(第7図) 5〜10 マット
比較製造例1 板状(第8図) 10〜20 つや
────────────────────────────────────
第2表により、硫酸バリウム系粉体の製造工程において、各種の特定金属イオンを共存させることにより、多様な構造・光学性能の硫酸バリウム系粉体を得ることが可能であることが明らかとなった。
(2)▲3▼の実使用試験に関する結果を第3表〜第6表に示す。
【0053】
【表3】
第 3 表
────────────────────────────────────
ex.No. 隠蔽効果 つや 自然さ 透明感
────────────────────────────────────
実施例1 ◎ ○ ◎ ◎
比較例1 △ × △ ○
比較例2 ○ △ ○ ○
比較例3 △ × △ ○
────────────────────────────────────
この結果により、製造例1の本硫酸バリウム系粉体を配合することにより、使用性の良好なメーキャップ化粧料が得られることが明らかとなった。
【0054】
【表4】
第 4 表
────────────────────────────────────
ex.No. 隠蔽効果 つや 自然さ 透明感
────────────────────────────────────
実施例2 ◎ ◎ ○ ○
実施例3 ◎ ◎ ◎ ○
実施例4 ○ ◎ ◎ ○
比較例4 △ × × △
────────────────────────────────────
この結果により、製造例1・9・11の本硫酸バリウム系粉体(シリコーン処理)を配合することにより、使用性の良好なメーキャップ化粧料が得られることが明らかとなった。
【0055】
【表5】
第 5 表
────────────────────────────────────
ex.No. 隠蔽効果 つや 自然さ 透明感
────────────────────────────────────
実施例5 ◎ ◎ ◎ ○
比較例5 △ △ ○ △
比較例6 △ ○ ○ △
────────────────────────────────────
この結果により、製造例1の本硫酸バリウム系粉体を配合することにより、使用性の良好なメーキャップ化粧料が得られることが明らかとなった。
【0056】
【表6】
第 6 表
────────────────────────────────────
ex.No. 隠蔽効果 つや 自然さ 透明感
────────────────────────────────────
実施例6 ◎ ◎ ◎ ○
実施例7 ◎ ◎ ◎ ○
────────────────────────────────────
この結果により、製造例1・11の本硫酸バリウム系粉体を配合することにより、乳化しても使用性の良好なメーキャップ化粧料が得られることが明らかとなった。
【0057】
【発明の効果】
本発明により、硫酸バリウム粉体を機能化し得る手段が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造する際に亜鉛イオンを共存させた本硫酸バリウム系粉体の電子顕微鏡写真像(3000倍)である。
【図2】製造する際にリチウムイオンを共存させた本硫酸バリウム系粉体の電子顕微鏡写真像(9000倍)である。
【図3】製造する際にナトリウムイオンを共存させた本硫酸バリウム系粉体の電子顕微鏡写真像(1800倍)である。
【図4】製造する際にカリウムイオンを共存させた本硫酸バリウム系粉体の電子顕微鏡写真像(1000倍)である。
【図5】製造する際にマグネシウムイオンを共存させた本硫酸バリウム系粉体の電子顕微鏡写真像(25000倍)である。
【図6】製造する際にカルシウムイオンを共存させた本硫酸バリウム系粉体の電子顕微鏡写真像(1500倍)である。
【図7】製造する際にアルミニウムイオンを共存させた本硫酸バリウム系粉体の電子顕微鏡写真像(6000倍)である。
【図8】金属イオンを共存させないで製造した硫酸バリウム系粉体の電子顕微鏡写真像(5000倍)である。
Claims (6)
- (A)バリウムイオン、並びに(B)硫酸ナトリウムに由来する硫酸イオンとナトリウムイオンを、(C)リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオンおよびアルミニウムイオンからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属イオンの存在下で接触させて硫酸バリウム系粉体を製造することを特徴とする、硫酸バリウム系粉体の製造方法。
- (A)バリウムイオン、並びに(C)リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオンおよびアルミニウムイオンからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属イオンを接触させた後で、さらに(B)硫酸ナトリウムに由来する硫酸イオンとナトリウムイオンを接触させて硫酸バリウム系粉体を製造することを特徴とする、請求項1記載の硫酸バリウム系粉体の製造方法。
- (A)バリウムイオン、(B)硫酸ナトリウムに由来する硫酸イオンとナトリウムイオン、並びに(C)リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオンおよびアルミニウムイオンからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属イオン、の3要素を、実質的に同時に接触させて硫酸バリウム系粉体を製造することを特徴とする、請求項1記載の硫酸バリウム系粉体の製造方法。
- 硫酸バリウム系粉体の製造工程において、(C)リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオンおよびアルミニウムイオンからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属イオンを、(A)バリウムイオンに対して0.001〜10当量の範囲で共存させることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの請求項記載の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかの請求項記載の製造方法により製造されたことを特徴とする、硫酸バリウム系粉体。
- 請求項5記載の硫酸バリウム系粉体を含有することを特徴とする化粧料。
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