JP2009155622A - ポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体およびそれを用いた化粧料 - Google Patents

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Abstract

【課題】種々の用途で添加剤として有用であるポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体において、金属酸化物の含有割合が20質量%以上であっても、分散安定性を長期間にわたって維持することができる、すなわち貯蔵安定性が向上したポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体およびそれを用いた化粧料を提供すること。
【解決手段】本発明のポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体は、親水基としてリン酸基を有する界面活性剤と、金属酸化物微粒子の表面をポリマーで被覆してなるポリマー被覆金属酸化物微粒子とを含有する。本発明の化粧料は、かかるポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体を化粧料用紫外線カット剤として含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体およびそれを用いた化粧料に関するものである。
金属酸化物微粒子は、例えば、塗料、顔料、接着剤、トナー、化粧料などの用途に用いられている。近年、これら金属酸化物微粒子の一次粒子径を微小化することにより、従来現れなかった機能を発現させる試みが盛んに行われており、一次粒子径が小さい金属酸化物微粒子は、電子材料、光学材料などに用いられている。
しかし、金属酸化物微粒子は、一次粒子径が小さくなるほど、表面積が増大するので、凝集しやすくなり、金属酸化物微粒子の表面活性が失われることがある。また、金属酸化物微粒子は、一般的に屈折率が高いので、凝集することにより、透明性が低下するという問題があった。
そこで、金属酸化物微粒子の表面活性を制御する技術が種々開発されている。このような技術のうち、特に、金属酸化物微粒子の存在下で、単量体成分を乳化重合することにより、金属酸化物微粒子の表面をポリマーで被覆する方法は、ナノサイズである金属酸化物微粒子の分散安定性や貯蔵安定性を向上させるのに非常に効果的である(例えば、特許文献1および2を参照)。
特許第3818689号公報 特許第3960078号公報
本発明者らは、金属酸化物微粒子の存在下で、モノマー成分を乳化重合することにより得られたポリマー被覆金属酸化物微粒子分散体は、金属酸化物の濃度が低い場合には、分散安定性が良好であるのに対し、金属酸化物の濃度が20質量%以上である場合には、ポリマー被覆金属酸化物微粒子が接近して、凝集が起こり、透明性が低下するなど、分散安定性を長期間にわたって維持することが困難であることを見出した。
上述した状況の下、本発明が解決すべき課題は、種々の用途で添加剤として有用であるポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体において、金属酸化物の含有割合が20質量%以上であっても、分散安定性を長期間にわたって維持することができる、すなわち貯蔵安定性が向上したポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体およびそれを用いた化粧料を提供することにある。
本発明者らは、種々検討の結果、親水基としてリン酸基を有する界面活性剤を配合することにより、金属酸化物の含有割合が20質量%以上であっても、ポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体の貯蔵安定性が向上することを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、親水基としてリン酸基を有する界面活性剤と、金属酸化物微粒子の表面をポリマーで被覆してなるポリマー被覆金属酸化物微粒子とを含有することを特徴とするポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体を提供する。
本発明のポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体において、前記界面活性剤は、好ましくは、下記式:
[式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基を表し、XおよびXは、互いに独立して、陽イオンを表す]
で示される界面活性剤である。また、前記金属酸化物微粒子は、好ましくは、Si、Ti、Zn、Zr、Ce、Fe、Al、CaおよびMgよりなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有する。
本発明のポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体において、前記金属酸化物微粒子の表面を被覆するポリマーは、好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニルおよび塩化ビニリデンよりなる群から選択される少なくとも1種の重合性モノマーを含むモノマー成分を重合してなるポリマーである。前記金属酸化物微粒子の表面を被覆するポリマーは、より好ましくは、金属酸化物微粒子の存在下で、前記モノマー成分を乳化重合することにより形成される。
本発明のポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体は、好ましくは、化粧料用紫外線カット剤に用いられる。
また、本発明は、上記のようなポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体を用いていることを特徴とする化粧料を提供する。
本発明によれば、ポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体において、金属酸化物濃度が20質量%以上である場合であっても、微粒子の凝集を抑制することができるので、微粒子の粗大化に伴う透明性の低下などを招くことがなく、長期間にわたって物性を維持することができる。特に、ポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体を化粧料用紫外線カット剤として用いた場合には、肌に対する感触が良好であり、微粒子の凝集による白浮きの抑制に効果的である。
≪ポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体≫
本発明のポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体(以下「本発明の水分散体」ということがある。)は、親水基としてリン酸基を有する界面活性剤と、金属酸化物微粒子の表面をポリマーで被覆してなるポリマー被覆金属酸化物微粒子とを含有することを特徴とする。
<親水基としてリン酸基を有する界面活性剤>
本発明のポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体において、親水基としてリン酸基を有する界面活性剤は、好ましくは、下記式:
[式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基を表し、XおよびXは、互いに独立して、陽イオンを表す]
で示される。
上記式において、Rで表される炭化水素基の炭素数は、通常1〜20程度であり、好ましくは5〜18程度、さらに好ましくは8〜16程度である。
炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基などの脂肪族炭化水素基;アリール基(例えば、フェニル基など)、アラルキル基などの芳香族炭化水素基;などが挙げられる。なお、脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれであってもよい。また、芳香族炭化水素基には、複素環式基が含まれる。さらに、炭化水素基(例えば、芳香族炭化水素基、特にアリール基)は、炭素および水素以外の元素を含む基、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基で置換されていてもよい。
好ましい炭化水素基には、例えば、好ましくはC〜C20アルキル基、より好ましくはC〜C18アルキル基、さらに好ましくはC〜C16アルキル基などが含まれる。
上記式において、XまたはXで表される陽イオンは、同一であっても相異なっていてもよい。陽イオンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、H、Na、K、Mg2+、Zn2+、Ca2+、NH 、N(CHCHなどが挙げられる。これらの陽イオンのうち、特に、H、Na、K、NH 、N(CHCHなどの1価の陽イオンが好適である。
親水基としてリン酸基を有する界面活性剤としては、例えば、ラウリルリン酸、セチルリン酸などのアルキルリン酸およびその中和塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸などのポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸およびその中和塩;ジポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸、ジポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸などのジポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸およびその中和塩;トリポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸、トリポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸などのトリポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸およびその中和塩;トリオレイルリン酸などのトリアルキルリン酸およびその中和塩;などが挙げられる。これらの界面活性剤のうち、ラウリルリン酸などのアルキルリン酸およびその中和塩が特に好適である。
本発明の水分散体において、親水基としてリン酸基を有する界面活性剤の含有量は、水分散体の全質量に対して、例えば、好ましくは0.01質量%以上、5質量%以下、より好ましくは0.05質量%以上、3質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以上、2質量%以下である。親水基としてリン酸基を有する界面活性剤の含有量が少なすぎると、ポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体の貯蔵安定性が低下することがある。逆に、親水基としてリン酸基を有する界面活性剤の含有量が多すぎると、必要以上に界面活性剤を用いることになり、製造コストが上昇したり、また、例えば、化粧料などに配合した場合に、肌に対して悪影響を与えたりすることがある。
<ポリマー被覆金属酸化物微粒子>
本発明の水分散対において、ポリマー被覆金属酸化物微粒子は、金属酸化物微粒子の表面がポリマーで被覆されている。なお、金属酸化物微粒子は、好ましくは、Si、Ti、Zn、Zr、Ce、Fe、Al、CaおよびMgよりなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有する。これらの元素を含む金属酸化物微粒子は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、2層以上の多層構造としてもよい。
金属酸化物微粒子の具体例としては、例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化セリウム、酸化チタン(ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型など)、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、シリカなどの金属酸化物;酸化亜鉛/酸化チタン複合酸化物、酸化アルミニウム/酸化マグネシウム複合酸化物、酸化カルシウム/酸化ジルコニウム複合酸化物などの複合金属酸化物;シリカ被覆酸化亜鉛、シリカ被覆酸化チタンなどのシリカ被覆金属酸化物;アルミナ被覆酸化亜鉛、アルミナ被覆酸化チタンなどのアルミナ被覆金属酸化物;ジルコニア被覆酸化亜鉛、ジルコニア被覆酸化チタンなどのジルコニア被覆金属酸化物;などの微粒子が挙げられる。なお、本発明では、金属とはケイ素を含む概念であり、シリカは金属酸化物の範疇に含める。これらの金属酸化物微粒子は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの金属酸化物微粒子のうち、酸化亜鉛系微粒子、酸化チタン(ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型)微粒子、シリカ微粒子、シリカ被覆酸化亜鉛系微粒子、および、シリカ被覆酸化チタン微粒子が好適である。
これらの金属酸化物微粒子は、従来公知の方法により、自ら調製してもよいし、市販品を利用してもよい。自ら調製する場合、酸化亜鉛系微粒子は、後述する方法で調製することができる。シリカ被覆酸化亜鉛系微粒子およびシリカ被覆酸化チタンは、下記の実施例に記載する方法、あるいは、例えば、特開平11−302015号公報や特開2003−252916号公報に記載された方法を用いて調製することができる。他方、市販品を利用する場合、酸化亜鉛系微粒子としては、例えば、堺化学工業(株)製の「FINEX−25」、「FINEX−50」、「FINEX−75」、本荘ケミカル(株)製の「ナノジンク60」、ハクスイテック(株)製の「ZINCOX SUPER F2」などが挙げられる。また、酸化チタン微粒子としては、例えば、昭和電工(株)製の「NTBナノチタニア」、石原産業(株)製の「超微粒子酸化チタンTTO−Vシリーズ」、堺化学工業(株)製の「STR−100C」などが挙げられる。シリカ被覆酸化亜鉛系微粒子としては、例えば、堺化学工業(株)製の「NANOFINE(登録商標)50A」、昭和電工(株)製の「マックスライト(登録商標)ZS−032」、住友大阪セメント(株)製の「SIH−20 ZnO−350」などが挙げられる。シリカ被覆酸化チタン微粒子としては、例えば、昭和電工(株)製の「マックスライト(登録商標)TS−01」、「マックスライト(登録商標)TS−04」、「マックスライト(登録商標)TS−043」、「マックスライト(登録商標)F−TS20」などが挙げられる。
金属酸化物微粒子の形状としては、特に限定されるものではないが、例えば、球状、楕円体状、多角体状などの粒状;鱗片状、(六角)板状などの薄片状;針状、柱状、棒状、筒状;などが挙げられる。これらの形状は、単独で存在していても2種以上が混在していてもよい。これらの形状のうち、球状、楕円体状、多角体状などの粒状が好適である。
金属酸化物微粒子の数平均粒子径は、通常1nm以上、200nm以下、好ましくは5nm以上、150nm以下、より好ましくは8nm以上、100nm以下、さらに好ましくは10nm以上、80nm以下である。金属酸化物微粒子の数平均粒子径が小さすぎると、金属酸化物微粒子が凝集して高次構造を形成するので、所定の数平均粒子径を有するポリマー被覆金属酸化物微粒子を得るのが困難になることがある。逆に、金属酸化物微粒子の数平均粒子径が大きすぎると、ポリマー被覆金属酸化物微粒子の数平均粒子径が大きくなりすぎるので、透明性が低下したり、ポリマー被覆金属酸化物微粒子を化粧料に配合した場合に、化粧料を肌に塗布した際の透明感や感触が悪化したりすることがある。
なお、本発明において、金属酸化物微粒子の数平均粒子径は、下記の実施例に記載する方法で測定した値であるが、「一次粒子径」とは、特に断らない限り、一次粒子の最短部の粒子径を意味し、「最短部の粒子径」とは、一次粒子の中心を通る最短の長さを意味する。例えば、金属酸化物微粒子の形状が球状であれば、球の直径を意味し、形状が楕円体状であれば、短径および長径のうち、短径を意味し、形状が多角体状であれば、一次粒子の中心を通る最短の長さを意味し、形状が鱗片状、(六角)板状などの薄片状であれば、板面方向に垂直な方向(すなわち、厚さ方向)において、一次粒子の中心を通る最短の長さ(=厚さ)を意味し、形状が針状、柱状、棒状、筒状などであれば、長さ方向に対して垂直方向に測定される一次粒子の中心を通る最短の長さを意味する。
本発明の水分散体において、ポリマー被覆金属酸化物微粒子は、金属酸化物微粒子の表面がポリマーで被覆されている。ここで、「ポリマーで被覆されている」とは、金属酸化物微粒子の表面全体がポリマーで切れ目なく覆われていることを意味する。なお、以下、金属酸化物微粒子の表面を被覆するポリマーを「被覆ポリマー」ということがある。被覆ポリマーとしては、好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニルおよび塩化ビニリデンよりなる群から選択される少なくとも1種の重合性モノマーを含むモノマー成分を重合してなるポリマーである。かかる被覆ポリマーは、より好ましくは、下記の製造方法に関する説明で述べるように、水性媒体中、金属酸化物微粒子、好ましくはカップリング剤で処理した金属酸化物微粒子の存在下で、重合性モノマーを含むモノマー成分を乳化重合することにより形成される。被覆ポリマーの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル系ポリマー、スチレン系ポリマー、酢酸ビニル系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、これらの共重合体などが挙げられる。これらの被覆ポリマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの被覆ポリマーのうち、上記のような重合反応が容易に行えることから、(メタ)アクリル系ポリマー、スチレン系ポリマー、これらの共重合体が好適である。
ポリマー被覆金属酸化物微粒子は、単一のポリマーで被覆されていても2種以上のポリマーで被覆されていてもよく、また、被覆ポリマーが同じ1種類の微粒子から構成されていても被覆ポリマーが異なる2種類以上の微粒子から構成されていてもよい。
乳化重合に先立ってカップリング剤で処理した金属酸化物微粒子を用いる場合には、得られたポリマー被覆金属酸化物微粒子において、被覆ポリマーは、カップリング剤を介して、金属酸化物微粒子の表面に化学結合している。ここで、「化学結合」とは、主として共有結合を意味するが、例えば、異なる原子間の共有結合は多少ともイオン結合の性格を帯びることがあるので、本発明でいう「化学結合」は、共有結合とイオン結合とが共鳴している場合を包含する。しかし、本発明でいう「化学結合」は、例えば、静電引力、分散力、水素結合、電荷移動力などの分子間に働く弱い結合は包含しない。また、「カップリング剤を介して・・・化学結合している」とは、金属酸化物微粒子の表面に在在する水酸基とカップリング剤とが化学結合し、前記カップリング剤と被覆ポリマーとが化学結合していることを意味する。
乳化重合に先立ってカップリング剤で処理した金属酸化物微粒子を用いる場合には、ポリマー被覆金属酸化物微粒子は、被覆ポリマーがカップリング剤を介して金属酸化物微粒子の表面に化学結合しているので、金属酸化物微粒子と被覆ポリマーとが強固に接合されており、金属酸化物微粒子の表面から被覆ポリマーが外れることはない。
本発明の水分散体において、ポリマー被覆金属酸化物微粒子の数平均粒子径は、好ましくは10nm以上、300nm以下、より好ましくは15nm以上、200nm以下、さらに好ましくは20nm以上、150nm以下である。ポリマー被覆金属酸化物微粒子の数平均粒子径が小さすぎると、ポリマー被覆金属酸化物微粒子が凝集して高次構造を形成するので、所定の数平均粒子径を有するポリマー被覆金属酸化物微粒子を得るのが困難になることがある。逆に、ポリマー被覆金属酸化物微粒子の数平均粒子径が大きすぎると、微粒子が水分散体中で沈降したり、透明性が損なわれたりすることがある。
なお、本発明において、ポリマー被覆金属酸化物微粒子の数平均粒子径は、下記の実施例に記載する方法で測定した値であるが、「一次粒子径」とは、特に断らない限り、金属酸化物微粒子の場合と同様に定義される意味を有する。ただし、本発明のポリマー被覆金属酸化物微粒子には、金属酸化物微粒子の一次粒子(すなわち、単一の微粒子)がポリマーで被覆されている場合と、金属酸化物微粒子の二次粒子(すなわち、2個以上の微粒子が凝集した微粒子集団)がポリマーで被覆されている場合とがあるが、いずれのポリマー被覆金属酸化物微粒子も一次粒子である。
本発明の水分散体において、ポリマー被覆金属酸化物微粒子の含有量は、水分散体の全質量に対して、例えば、好ましくは20質量%以上、80質量%以下、より好ましくは22質量%以上、70質量%以下、さらに好ましくは25質量%以上、60質量%以下である。ポリマー被覆金属酸化物微粒子の含有量が少なすぎると、製品に添加して使用する際に有効成分として働く金属酸化物の含有量が小さくなりすぎることがある。逆に、ポリマー被覆金属酸化物微粒子の含有量が多すぎると、ポリマー被覆金属酸化物微粒子が凝集して高次構造を形成するので、分散性や透明性が低下することがある。
本発明の水分散体において、金属酸化物の含有割合は、水分散体の全質量に対して、例えば、好ましくは20質量%以上、50質量%以下、より好ましくは20質量%以上、40質量%以下、さらに好ましくは20質量%以上、35質量%以下である。金属酸化物の含有割合が少なすぎると、製品に添加して使用する際に有効成分として働く効果が小さくなることがある。逆に、金属酸化物の含有割合が多すぎると、ポリマー被覆金属酸化物微粒子の含有量が多くなり、ポリマー被覆金属酸化物微粒子が凝集して高次構造を形成するので、分散性や透明性が低下することがある。
≪ポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体の製造方法≫
本発明のポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体は、水性媒体中、金属酸化物微粒子、好ましくはカップリング剤で処理した金属酸化物微粒子の存在下で、重合性モノマーを含むモノマー成分を乳化重合することにより、製造することができる(以下「本発明の製造方法」ということがある。)。ただし、いずれかの段階で、親水基としてリン酸基を有する界面活性剤を添加する必要がある。
親水基としてリン酸基を有する界面活性剤は、いずれの段階で添加してもよく、特に限定されるものではなく、例えば、乳化重合前に添加してもよいし、乳化重合後に添加してもよい。添加の方法としては、親水基としてリン酸基を有する界面活性剤が均一に溶解するように、加温しながら攪拌することが好ましい。
本発明の製造方法に用いる金属酸化物微粒子は、上記したように、従来公知の方法により、自ら調製してもよいし、市販品を利用してもよい。ここでは、酸化亜鉛系微粒子の調製法、および、シリカ被覆金属酸化物微粒子の調製法について、以下に詳しく説明する。
<酸化亜鉛系微粒子の調製方法>
酸化亜鉛系微粒子は、亜鉛成分とモノカルボン酸とを少なくともアルコールを含有する媒体中に溶解または分散した混合物を100℃以上、300℃以下の温度で保持することにより、結晶性共沈物として調製することができる。なお、長周期型周期表の13族金属元素および14族金属元素よりなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を添加する場合には、前記混合物を100℃以上、300℃以下の温度で保持する際に、前記金属元素を含む金属成分、例えば、金属単体、合金、金属化合物など(以下、これらを一括して「金属化合物」ということがある。)を共存させればよい。亜鉛成分は、モノカルボン酸とアルコールとを含む前記混合物を加熱することにより、結晶性酸化亜鉛の微粒子に変換されるが、このとき、前記混合物中に金属化合物を共存させれば、前記金属元素を含有するが、X線結晶学的に見て酸化亜鉛の結晶構造を有する微粒子が得られる。
亜鉛成分としては、例えば、亜鉛末などの金属亜鉛;亜鉛華などの酸化亜鉛;水酸化亜鉛、塩基性炭酸亜鉛などの無機;酢酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、乳酸亜鉛、酒石酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛などのモノ−またはジ−カルボン酸塩;などが挙げられる。これらの亜鉛成分は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの亜鉛成分のうち、安価で取り扱いが容易であることから、亜鉛末などの金属亜鉛、亜鉛華などの酸化亜鉛、水酸化亜鉛、塩基性炭酸亜鉛、酢酸亜鉛が好適であり、結晶性共沈物の生成反応を阻害するような不純物を実質的に含有せず、しかも酸化亜鉛系微粒子の大きさと形状とを制御しやすいことから、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、酢酸亜鉛が特に好適である。
亜鉛成分の使用量は、亜鉛成分、モノカルボン酸、および少なくともアルコールを含む媒体の合計量に対して、酸化亜鉛に換算して、好ましくは0.1質量%以上、95質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上、50質量%以下、さらに好ましくは1質量%以上、30質量%以下である。亜鉛成分の使用量が少なすぎると、生産性が低下することがある。逆に、亜鉛成分の使用量が多すぎると、微粒子の凝集が起こりやすく、分散性が良好で粒度分布が狭い微粒子が得られないことがある。
モノカルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などの飽和脂肪酸(飽和モノカルボン酸);アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、オレイン酸、リルン酸などの不飽和脂肪酸(不飽和モノカルボン酸);シクロヘキサンカルボン酸などの環式飽和モノカルボン酸;安息香酸、フェニル酢酸、トルイル酸などの芳香族モノカルボン酸;無水酢酸などの前記モノカルボン酸無水物;トリフルオロ酢酸、モノクロロ酢酸、O−クロロ安息香酸などのハロゲン含有モノカルボン酸;乳酸などの水酸基含有モノカルボン酸;などである。これらのモノカルボン酸は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのモノカルボン酸のうち、酸化亜鉛系微粒子の析出反応を厳密に制御し易いことから、1気圧で200℃以下の沸点を有する飽和脂肪酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸が好適である。
媒体に用いられるアルコールは、脂肪族1価アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブチルアルコール、ステアリルアルコール)、脂肪族不飽和1価アルコール(例えば、アリルアルコール、クロチルアルコール、プロパギルアルコール)、脂環式1価アルコール(例えば、シクロペンタノール、シクロヘキサノール)、芳香族1価アルコール(例えば、ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、メチルフェニルカルビノール)、複素環式1価アルコール(例えば、フルフリルアルコール)などの1価アルコール類;アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、ブロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、ピナコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール)、芳香環を有する脂肪族グリコール類(例えば、ヒドロベンゾイン、ベンズピナコール、フタリルアルコール)、脂環式グリコール類(例えば、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール)、ポリオキシアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール)などのグリコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノアセテートなどの前記グリコール類のモノエーテルおよびモノエステル;ヒドロキノン、レゾルシン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどの芳香族ジオールならびにこれらのモノエーテルおよびモノエステル;グリセリンなどの3価アルコールならびにこれらのモノエーテル、モノエステル、ジエーテルおよびジエステル;などが挙げられる。これらのアルコールは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
媒体におけるアルコールの使用量は、特に限定されるものではないが、酸化亜鉛系微粒子の生成反応を短時間で行わせるためには、亜鉛成分に由来する亜鉛原子に対するアルコールのモル比で、好ましくは1以上、100以下、より好ましくは5以上、80以下、さらに好ましくは10以上、50以下である。アルコールの使用量が少なすぎると、結晶性が良好な酸化亜鉛系微粒子が得られず、形状および粒子径の均一性、分散性に優れる微粒子が得られないことがある。逆に、アルコールの使用量が多すぎると、必要以上にアルコールを用いることになり、製造コストが上昇することがある。
少なくともアルコールを含む媒体としては、アルコールのみからなる媒体;アルコールと水との混合溶媒;アルコールと、ケトン類、エステル類、芳香族炭化水素類、エーテル類などの、アルコール以外の有機溶剤との混合溶媒などが挙げられる。アルコールの含有量は、媒体の全質量に対して、好ましくは5質量%以上、100質量%以下、より好ましくは30質量%以上、100質量%以下、さらに好ましくは60質量%以上、100質量%以下である。アルコールの含有量が少なすぎると、結晶性、形状および粒子径の均一性、分散性に優れる微粒子が得られないことがある。
添加される金属元素を含む金属化合物としては、例えば、金属単体、合金などの金属;酸化物;水酸化物;(塩基性)炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物(例えば、フッ化物、塩化物)などの無機塩類;酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、ラウリン酸塩などのカルボン酸塩;金属アルコキシド類;β−ジケトン、ヒドロキシカルボン酸、ケトエステル、ケトアルコール、アミノアルコール、グリコール、キノリンなどを配位子とする金属キレート化合物;などの3価または4価の金属元素を含む化合物が挙げられる。なお、インジウム、タリウムなどのように、複数の原子価を取りうる金属元素の場合には、酸化亜鉛系微粒子が生成する過程で、最終的に3価または4価に変化し得る低原子価の金属を含む金属化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の金属化合物が用いられる。
長周期型周期表の13族金属元素として、ホウ素を用いる場合には、ホウ素を含む金属化合物として、例えば、ボロントリオキシド、ホウ酸、シュウ化ホウ素、ボロントリフルオライドジエチルエーテル錯体、ボロントリフルオライドモノエチルアミン錯体、トリメチルボレート、トリエチルボレート、トリエトキシボラン、トリ−n−ブチルボラートなどが挙げられる。これらの化合物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
長周期型周期表の13族金属元素として、アルミニウムを用いる場合には、アルミニウムを含む金属化合物として、例えば、アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、フッ化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリ−n−ブトキシド、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムラウレート、アルミニウムステアレート、ジイソプロポキシアルミニウムステアレート、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートなどが挙げられる。これらの化合物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
長周期型周期表の13族金属元素として、ガリウムを用いる場合には、ガリウムを含む金属化合物として、例えば、ガリウム、水酸化ガリウム(III)、酸化ガリウム(III)、塩化ガリウム(III)、臭化ガリウム(III)、硝酸ガリウム(III)、硫酸ガリウム(III)、硫酸ガリウムアンモニウム、トリエトキシガリウム、トリ−n−ブトキシガリウムなどが挙げられる。これらの化合物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
長周期型周期表の13族金属元素として、インジウムを用いる場合には、インジウムを含む金属化合物として、例えば、インジウム、酸化インジウム(III)、水酸化インジウム(III)、硫酸インジウム(III)、塩化インジウム(III)、フッ化インジウム(III)、ヨウ化インジウム(III)、インジウムイソプロポキシド、酢酸インジウム(III)、トリエトキシインジウム、トリ−n−ブトキシインジウムなどが挙げられる。これらの化合物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
長周期型周期表の13族金属元素として、タリウムを用いる場合には、タリウムを含む金属化合物として、例えば、タリウム、酸化タリウム(I)、酸化タリウム(III)、塩基性水酸化タリウム(I)、塩化タリウム(I)、ヨウ化タリウム(I)、硝酸タリウム(I)、硫酸タリウム(I)、硫酸水素タリウム(I)、塩基性硫酸タリウム(I)、酢酸タリウム(I)、ギ酸タリウム(I)、マロン酸タリウム(I)、塩化タリウム(III)、硝酸タリウム(III)、炭酸タリウム(III)、硫酸タリウム(III)、硫酸水素タリウム(III)などが挙げられる。これらの化合物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
長周期型周期表の14族金属元素として、ケイ素を用いる場合には、ケイ素を含む金属化合物として、例えば、ケイ素;二酸化ケイ素;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジエトキシジメチルシラン、トリメチルエトキシシラン、ヒドロキシエチルトリエトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ステアリルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン類;テトラクロロシラン、トリクロロシラン、メチルトリクロロシランなどのクロロシラン類;トリアセトキシシランなどのアセトキシシラン類;などが挙げられる。これらの化合物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
長周期型周期表の14族金属元素として、ゲルマニウムを用いる場合には、ゲルマニウムを含む金属化合物として、例えば、ゲルマニウム、酸化ゲルマニウム(IV)、塩化ゲルマニウム(IV)、ヨウ化ゲルマニウム(IV)、酢酸ゲルマニウム(IV)、塩化ゲルマニウム(IV)ビビリジル錯体、β−カルボキシエチルゲルマニウムセスキオキシド、ゲルマニウム(IV)エトキシドなどが挙げられる。これらの化合物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
長周期型周期表の14族金属元素として、スズを用いる場合には、スズを含む金属化合物として、例えば、スズ、酸化スズ(IV)、塩化スズ(IV)、酢酸スズ(IV)、ジ−n−ブチルスズジクロライド、ジ−n−ブチルスズジラウレート、ジ−n−ブチルスズマレート(重合体)、ジ−n−ブチルスズオキシド、ジ−n−メチルスズジクロライド、ジ−n−オクチルスズマレート(重合体)、ジ−n−オクチルスズオキシド、ジフェニルスズジクロライド、モノ−n−ブチルスズオキシド、テトラ−n−ブチルスズ、シュウ酸スズ(II)、トリ−n−ブチルスズアセテート、トリ−n−ブチルスズエトキシド、トリメチルスズクロライド、トリフェニルスズアセテート、トリフェニルスズヒドロキシド、テトラエトキシスズ、テトラ−n−ブトキシスズなどが挙げられる。これらの化合物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
長周期型周期表の14族金属元素として、鉛を用いる場合には、鉛を含む金属化合物として、例えば、鉛、酢酸鉛(IV)、塩化鉛(IV)、フッ化鉛(IV)、酸化鉛(IV)、酸化鉛(II+IV)、シュウ酸鉛(II)などが挙げられる。これらの化合物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
なお、添加される金属元素の酸化物や水酸化物としては、粉末状でもよいが、アルミナゾル、シリカゾルなどのコロイダル状の金属酸化物や金属水酸化物の水性ゾルやアルコールゾルなどを用いることもできる。
酸化亜鉛系微粒子の調製は、具体的には、(1)亜鉛成分とモノカルボン酸とを含有する混合物を調製する工程、(2)得られた混合物を少なくともアルコールを含有する媒体と混合することにより、亜鉛成分とモノカルボン酸とが少なくともアルコールを含有する媒体中に溶解または分散している混合物を調製する工程、(3)得られた混合物を100℃以上、300℃以下の温度に保持することにより、酸化亜鉛の結晶性共沈物からなる酸化亜鉛系微粒子を得る工程を包含する。長周期型周期表の13族金属元素および14族金属元素よりなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を添加する場合には、上記の工程(1)、工程(2)および工程(3)のうちのいずれか1つまたは2つ以上の工程において、前記金属元素を含む金属化合物を前記混合物に添加すればよい。
得られた酸化亜鉛系微粒子は、少なくともアルコールを含有する媒体中に分散してなる分散体の形態であるが、必要に応じて、媒体から分離し、溶媒で洗浄した後、乾燥することにより、粉体の形態に変換してもよい。酸化亜鉛系微粒子を分離する方法としては、従来公知の分離方法から適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、濾過、傾瀉、遠心分離などが挙げられる。酸化亜鉛系微粒子を洗浄する溶媒としては、洗浄後の乾燥時に容易に除去することが可能な溶媒である限り、特に限定されるものではないが、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類;ジエチルエーテルなどのエーテル類;酢酸エチルなどのエステル類;アセトンなどのケトン類;ベンゼン、ヘキサンなどの炭化水素類;などが挙げられる。酸化亜鉛系微粒子を乾燥させる方法としては、従来公知の乾燥方法から適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、噴霧乾燥などが挙げられる。
かくして得られた酸化亜鉛系微粒子は、本発明のポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体の製造に用いることができる。
<シリカ被覆金属酸化物微粒子の調製法>
本発明に用いられるシリカ被覆金属酸化物微粒子は、市販品を利用することができる。また、シリカ被覆金属酸化物微粒子は、従来公知の方法により、自ら調製してもよいし、市販品を利用してもよい。シリカ被覆金属酸化物微粒子は、例えば、特開平11−302015号公報に記載された方法を用いて調製することも可能であるが、最も好ましい調製法を以下に示す。
本発明で用いられるシリカ被覆金属酸化物微粒子は、酸化チタン微粒子、酸化亜鉛系微粒子、酸化鉄微粒子、酸化セリウム微粒子、酸化ジルコニウム微粒子のいずれか1つもしくは2つ以上の複合物からなる基材の表面に、第1の層として、上記基材に対して、SiO換算で0.5〜10質量%の含水シリカ層を形成し、乾燥工程を経ずに、第2の層として、上記基材に対して、SiO換算で5〜39.5質量%の含水シリカ層を形成する工程を経由して、基材の表面を、該基材に対して、15〜40質量%のシリカで被覆することによって製造されるが、これを詳細に説明すると、以下のステップ1〜ステップ7に示す通りである。
なお、下記の説明はシリカ被覆酸化チタン微粒子について行うが、シリカ被覆酸化亜鉛系微粒子、シリカ被覆酸化鉄微粒子、シリカ被覆酸化セリウム微粒子、シリカ被覆酸化ジルコニウム微粒子も一部を除きシリカ被覆酸化チタン微粒子とほぼ同様に製造することができる。また、このステップ1〜ステップ7で説明する使用薬剤や製造条件は、単なる一例を示すものであり、本発明はそれらに限定されるものではなく、後記に上位概念で示す薬剤を用い得るし、また、範囲で示す条件を採用し得る。
さらに、シリカ被覆酸化チタン微粒子の製造にあたって説明した好ましい条件なども、ほぼ、そのまま、シリカ被覆酸化亜鉛系微粒子、シリカ被覆酸化鉄微粒子、シリカ被覆酸化セリウム微粒子、シリカ被覆酸化ジルコニウム微粒子を製造するにあたって、好ましい条件などとして採用することができる。
ステップ1
酸化チタン微粒子の強塩酸系チタニアゾルを準備する。この時の酸化チタン微粒子の濃度は100g/Lであり、この強塩酸系チタニアゾル中の酸化チタン微粒子は、すでに10〜15nmの平均一次粒子径を有し、高度な分散系になっている。
ステップ2
上記ステップ1の酸化チタン微粒子の強酸系チタニアゾルにケイ酸ソーダ水溶液(SiOとして200g/L)を添加(この際、添加時間は特に限定されず、早くても遅くてもよい)して、酸化チタン微粒子の表面に含水シリカ層を形成する。この際、温度やpHのコントロールは特に必要とせず、自然にまかせた温度、pHで実施できる。この含水シリカ層の量は基材(コア)の酸化チタン微粒子に対してSiO換算で3質量%である(すなわち、酸化チタン微粒子100質量部に対してSiO換算で3質量部である)。この際、形成される含水シリカ層の量が基材の酸化チタン微粒子に対して10質量%を超えると、後の工程での濾過時に濾過漏れ、あるいは濾過速度の低下といったトラブルを引き起こす。このステップ2での含水シリカ層形成の目的は、次のテトラメトキシシランのオリゴマーによる酸化チタン微粒子の粒子表面への含水シリカ層の形成を効率よく行わせるための、いわば「よび水」の役割を果たすものである。また、pHをアルカリ側にしてしまうと、粒子表面が強くマイナスに帯電して、非常に強い分散系になってしまって、上記と同様に、後の工程での濾過時に濾過漏れ、あるいは濾過速度の低下が生じる。
ステップ3
上記ステップ2での含水シリカ層の形成後、濾過、水洗する。この濾過によって得られた含水シリカ被覆酸化チタン微粒子の濾過ケーキは約40〜60質量%の固形分となっている。この濾過ケーキは乾燥せず、そのまま次の工程に回す。このように乾燥を行わないのは、乾燥すると、微粒子の凝集が進むからである。本発明においては、この工程に限らず、終始、酸化チタン微粒子の凝集体の生成をできるかぎり避けつつ、シリカによる被覆を行うことを基本理念としている。
ステップ4
上記濾過ケーキとイソプロピルアルコールとを高速分散機(ディスパー)により混合攪拌する。さらに水とアンモニア水(濃度25質量%)とを添加し、さらに攪拌する。この混合スラリーをダイノーミルにて強分散する。
ステップ5
上記スラリーをディスパーで攪拌しながら、これに平均重合度が4〜8のテトラメトキシシランのオリゴマーとイソプロピルアルコールとの混合液を、徐々に添加する。添加時間は6時間以上に設定する。
ステップ6
添加終了後、スラリーをニーダータンクに移し、加熱、減圧により、水とイソプロピルアルコールとを留去する。さらに、150℃まで温度を上げて、キュアリング(熟成)を行う。これらの操作を経ることにより、酸化チタン微粒子の表面に形成されていた含水シリカ層はシリカ層に変わる。
ステップ7
上記キュアリングを経て得られた粉体をジェットオーマイザーにより粉砕して、シリカ被覆酸化チタン微粒子を粉末状で得る。
本発明のシリカ被覆金属酸化物微粒子は、上記ステップ1〜ステップ7で例示した工程を経由して製造される。得られた粉末350gと脱イオン水650gの割合で配合し、容器に入れ、高速分散機を用い、3,000rpmで5分間分散した水分散液は、液温25℃、B型粘度計を用いて回転速度6rpmで粘度を測定した際に、粘度が200mPa・s以下という特性を有するようになる。
前記ステップ1では、100g/Lを例示したが、本発明においては、それに限定されることなく、50〜300g/Lの範囲で好適に実施できる。また、ステップ1において用いた酸化チタン微粒子の強塩酸系チタニアゾルの代わりに、酸化亜鉛系微粒子、酸化鉄微粒子、酸化セリウム微粒子、酸化ジルコニウム微粒子のいずれかを水に分散させたスラリーを用いることで、所望のシリカ被覆金属酸化物微粒子を得ることができる。また、シリカ被覆酸化亜鉛系微粒子を得るためには、ステップ2のケイ酸ソーダ水溶液を添加する際に、温度、添加速度は自然に任せる形でよいが、pHは中性領域(pH7〜8)に保ち、酸化亜鉛自体が溶解するのを防ぐ必要がある。その後は前記シリカ被覆酸化チタン微粒子の製造について説明したステップ3以降と同様の工程を経由することにより、シリカ被覆酸化亜鉛系微粒子を得ることができる。
このように、シリカ被覆酸化亜鉛系微粒子は、その出発物質として酸化亜鉛系微粒子を用いることやケイ酸アルカリ塩水溶液添加時のpHを中性領域に保つ必要があることなど、シリカ被覆酸化チタン微粒子の製造時とは異なる条件を採用するが、それ以外はシリカ被覆酸化チタン微粒子の製造時の条件とほぼ同様の条件を採用することができる。
また、基材となる金属酸化物微粒子の表面に第1の層として形成する含水シリカ層は、SiO換算で金属酸化物微粒子に対して0.5〜10質量%にすることが必要であり、3〜7質量%が好ましい。これは、含水シリカ層の量が基材の金属酸化物微粒子に対して0.5質量%より少ない場合は、次のテトラメトキシシランのオリゴマーによる粒子表面への含水シリカ層の形成を効率よく行わせるための「よび水」としての効果が小さいからであり、また、10質量%より多い場合は、前記のように、後の工程での濾過時に濾過漏れや濾過速度の低下が生じるからである。
上記ケイ酸層の形成にあたっては、水系で行い、ケイ酸アルカリ金属塩を用いるが、これは、金属酸化物微粒子が比較的水に分散させやすいこと、ケイ酸アルカリ金属塩の水溶液が入手しやすいという理由によるものであって、このケイ酸アルカリ金属塩としては、例えば、ケイ酸ソーダ(ケイ酸ナトリウム)、ケイ酸カリウムなどが好適に用いられる。
上記ケイ酸アルカリ金属塩は、金属酸化物微粒子への添加にあたって、水溶液の形態で用いられるが、その際の濃度としては、SiO換算で100g/L〜300g/Lが好ましい。なお、「L」は「リットル」を示し、以下においても、「リットル」を「L」で表す。
このケイ酸アルカリ金属塩水溶液の金属酸化物微粒子への添加にあたって、その添加時間、添加時の金属酸化物微粒子の温度、pHなどは、特に限定されるものではないが、通常、添加時間は5分〜10分が好ましく、温度は30℃〜60℃が好ましく、pHは0.5〜4が好ましい。
次に、金属酸化物微粒子の表面に、第2の層として、含水シリカ層を形成するが、この第2の層の形成にあたっては、上記ステップ4に例示するように、ステップ3で得られたケーキにIPAなどの低級アルコールと水を加える。このように第2の層の形成を低級アルコールと水が存在する系で行うのは、次のステップ5で投入されるテトラアルコキシシランのオリゴマーが充分に混合されるためには親和性の高いIPAなどの低級アルコールが必要であり、また、水はテトラアルコキシシランの加水分解を効率的に行うのに必要であるという理由によるものである。上記低級アルコールとしては、ステップ4で例示したイソプロピルアルコール以外にも、メタノール(メチルアルコール)、エタノール(エチルアルコール)、ブタノール(ブチルアルコール)、ベンジルアルコールなどが好適に用いられ、この低級アルコールと水(ただし、酸化チタン微粒子のケーキに含まれている水も含む)との割合としては、3:2〜7:2(質量比)が好ましい。そして、ステップ3で添加したアンモニア水は、テトラアルコキシシランの加水分解を促進するためのものであるが、これは必ずしも必要としない。
この第2の層の形成にあたっては、ステップ5で示した平均重合度4〜8のテトラメトキシシランのオリゴマーが用いられるが、これは、水分散性の優れたシリカ被覆金属酸化物微粒子を得るために上記テトラメトキシシランのオリゴマーが必要であるという理由によるものであり、上記テトラメトキシシランのオリゴマーの平均重合度が4より小さい場合も、また、平均重合度が8より大きい場合も、いずれも水分散性の優れたシリカ被覆金属酸化物微粒子が得られない。そして、このテトラメトキシシランのオリゴマーの平均重合度は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)測定により得られた重量平均分子量を基に、単量体(本件の場合はテトラメトキシシラン)の分子量の何倍となっているかを、オリゴマーが直鎖体であると仮定して求めた計算値によるものである。
上記テトラメトキシシランのオリゴマーは、反応系への添加にあたって、ステップ5で例示したように、イソプロピルアルコールなどの低級アルコールとの混合液にされるが、この低級アルコールとしては、例示したイソプロピルアルコール以外にも、メタノール、エタノール、ブタノール、ベンジルアルコールなどが好適に用いられ、この低級アルコールとの混合液中において、上記テトラメトキシシランのオリゴマーは、300g/L〜700g/L程度の濃度にしておくことが好ましい。
このテトラメトキシシランのオリゴマーによる含水シリカ層の形成は、テトラメトキシシランのオリゴマーを緩やかな条件下で反応させることによって行うことが好ましく、具体的には、テトラメトキシシランのオリゴマーと低級アルコールとの混合液を反応系に添加しつつ反応させていくことが好ましく、そのような観点から、テトラメトキシシランのオリゴマーと低級アルコールとの混合液の反応系への添加時間は、特に限定されるものではないが、通常、4時間〜8時間程度が好ましい。このテトラメトキシシランのオリゴマーと低級アルコールとの混合液の添加に基づき、第2の層としての含水シリカ層が形成され、その後の加熱、減圧、キュアリングにより、第2の層としての含水シリカ層や第1の層として形成されていた含水シリカ層がシリカ層に変化する。この第2の層として形成される含水シリカ層は、SiO換算で基材の金属酸化物微粒子に対して5〜39.5質量%(すなわち、金属酸化物微粒子100質量部に対してSiO換算で5〜39.5質量部)であることが必要である。これは、この第2の含水シリカ層が基材の金属酸化物微粒子に対して5質量%未満であると、金属酸化物微粒子の表面を被覆するシリカ量が少なくなって、水分散性をはじめとする諸特性が悪くなり、ポリマー被覆時の重合安定性を低下させてしまうという理由によるものである。また、39.5質量%を超えると、そのような含水シリカ量の増加に伴う効果の増加が見られず、不経済である上に、濾過性を低下させるという理由によるものである。
ステップ6で示すようなキュアリングは、減圧、加熱のみでは留去しきれなかった水やイソプロピルアルコールなどの低級アルコールを完全に取り除くために行うものである。この際の温度は、例示した150℃に限定されることはない。また、得られた粉体は、通常、粉砕して、シリカ被覆酸化チタン微粒子を粉末状にする。
このように得られたシリカ被覆金属酸化物微粒子はいずれも、シリカ被覆酸化チタン微粒子の場合と同様に、前記特定の粘度表示で200mPa・s以下の水分散性を有しており、この後のポリマー被覆工程で好適に用いることができる。
<ポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体の製造>
本発明のポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体は、水性媒体中、金属酸化物微粒子、好ましくはカップリング剤で処理した金属酸化物微粒子の存在下で、重合性モノマーを含むモノマー成分を乳化重合することにより、製造することができる。ただし、いずれかの段階で、親水基としてリン酸基を有する界面活性剤を添加する必要がある。
金属酸化物微粒子をカップリング剤で処理することにより、金属酸化物微粒子の表面に存在する水酸基とカップリング剤とを反応させて、前記金属酸化物微粒子の表面に化学結合を介して官能基を導入することができる。金属酸化物微粒子の表面に官能基を導入した後、前記官能基と反応しうる反応性基を有する重合性モノマーを反応させて、金属酸化物微粒子の表面において前記重合性モノマーからポリマーを合成することにより、前記金属酸化物微粒子の表面を前記ポリマーで切れ目なく被覆することができる。
カップリング剤としては、金属酸化物微粒子の表面に存在する水酸基と反応する反応性部位と、反応性基を有する重合性モノマーの前記反応性基と反応する官能基とを有する化合物である限り、特に限定されるものではないが、例えば、様々な官能基を有するシランカップリング剤やチタネート系カップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤を用いた場合には、金属酸化物微粒子の表面に存在する水酸基と反応して、−O−Si−結合を介して、前記金属酸化物微粒子の表面に様々な官能基が導入される。また、チタネート系カップリング剤を用いた場合には、−O−Ti−結合を介して、前記金属酸化物微粒子の表面に様々な官能基が導入される。カップリング剤としては、様々な官能基を有するものが市販されており、入手し易いことから、シランカップリング剤が好適である。カップリング剤が有する官能基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、メルカプト基などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、メルカプト基などを含有するシランカップリング剤であれば、特に限定されるものではないが、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルジメチルクロロシランなどのビニル基含有シランカップリング剤;γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどの(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリイソプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどのエポキシ基含有シランカップリング剤;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ基含有シランカップリング剤;γ−イソシアノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアノプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアノプロピルメチルジエトキシシランなどのイソシアネート基含有シランカップリング剤;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト基含有シランカヅプリング剤が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのシランカップリング剤のうち、金属酸化物微粒子の表面からポリマー合成を効率よく行えることから、ビニル基含有シランカップリング剤、(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤が好適である。
金属酸化物微粒子をカップリング剤で処理するには、例えば、水性媒体中で、金属酸化物微粒子とカップリング剤とを混合して攪拌すればよい。その際、金属酸化物微粒子とカップリング剤との反応を促進させるために、必要に応じて、好ましくは30℃以上、100℃以下、よりこのましくは40℃以上、80℃以下の温度に加温または加熱することができる。カップリング剤の使用量は、金属酸化物微粒子に対して、好ましくは0.05質量%以上、20質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上、15質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以上、10質量%以下である。カップリング剤の使用量が少なすぎると、金属酸化物微粒子の表面をポリマーで充分に被覆できないことがある。逆に、カップリング剤の使用量が多すぎると、反応液の粘度が上昇したり、反応液がゲル化を起こしたりすることがある。
金属酸化物微粒子をカップリング剤で処理する際に用いる水性媒体は、下記で説明する重合反応に用いる水性媒体と同様であるが、重合反応に用いる水性媒体と同一であっても異なっていてもよい。
金属酸化物微粒子をカップリング剤で処理する際には、水性媒体中に金属酸化物微粒子を分散させることが好ましいので、必要に応じて、分散安定剤を用いることができる。分散安定剤としては、例えば、従来公知の界面活性剤や、ポバールなどの高分子分散安定剤などが挙げられる。これらの分散安定剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。分散安定剤の使用量は、水性媒体に対して、好ましくは0質量%以上、5質量%以下、より好ましくは0質量%以上、4質量%以下、さらに好ましくは0質量%以上、3質量%以下である。分散安定剤の使用量が多すぎると、金属酸化物微粒子をカップリング剤で効率よく処理できないことがある。
重合性反応基を有するカップリング剤の場合、金属酸化物微粒子をカップリング剤で処理した後、未反応のカップリング剤が存在すると、重合工程で架橋剤として作用し、被覆ポリマーが架橋構造を有するようになり、溶媒や樹脂などに対する分散性が低下することがある。それゆえ、金属酸化物微粒子をカップリング剤で処理した後、未反応のカップリング剤を除去するために、カップリング剤で処理した金属酸化物微粒子を洗浄することができる。カップリング剤で処理された金属酸化物微粒子を洗浄するには、例えば、適当な溶媒に再分散させ、遠心分離し、上澄み液は捨てて沈降物のみを回収すればよい。この再分散、遠心分離および沈降物のみの回収という操作は、経済的観点からは必ずしも行う必要はないが、この操作を行う場合には、1回だけ行っても複数回行ってもよいが、3回またはそれ以上繰り返すことが好適である。
重合反応は、水性媒体中、金属酸化物微粒子、好ましくはカップリング剤で処理した金属酸化物微粒子の存在下で行われる。重合反応をカップリング剤で処理した金属酸化物微粒子の存在下で行う場合には、重合反応には、金属酸化物微粒子をカップリング剤で処理して得られた分散体をそのまま用いてもよいし、カップリング剤で処理した後で洗浄した金属酸化物微粒子を水性媒体に再分散させて得られた分散体を用いてもよい。
重合反応に用いる重合性モノマーは、金属酸化物微粒子の表面に導入された官能基と反応しうる反応性基を有する重合性モノマーから前記官能基に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、メルカプト基などの官能基と反応しうる反応性基を含有する重合性モノマー、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基などを含有する重合性モノマーが挙げられる。これらの重合性モノマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ビニル基を含有する重合性モノマーとしては、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニルなどのビニルステル類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルン、クロロスチレンなどのスチレン誘導体;などが挙げられる。これらの重合性モノマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの重合体モノマーのうち、スチレンなどのスチレン誘導体が好適である。
(メタ)アクリロイル基を含有する重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル類などが挙げられる。これらの重合性モノマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの重合性モノマーのうち、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル類が好適である。
アミノ基を含有する重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミンなどのビニルアミン類;アリルアミン、α−メチルアリルアミン、N,N−ジメチルアリルアミンなどのアリルアミン類;(メタ)アクリルアミド,N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類;p−アミノスチレンなどのアミノスチレン類;などが挙げられる。これらの重合性モノマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの重合性モノマーのうち、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類が好適である。
エポキシ基を含有する重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルなどの不飽和カルボン酸エステル類;ビニルグリシジルテル、アリルグリシジルエーテルなどの不飽和グリシジルエーテル類;などが挙げられる。これらの重合性モノマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの重合性モノマーのうち、(メタ)アクリル酸グリシジルなどの不飽和カルボン酸エステル類が好適である。
カルボキシル基を含有する重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸などの不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸などの不飽和ジカルボン酸;これらの不飽和ジカルボン酸のモノエステル化物;これらの不飽和ジカルボン酸の無水物;などが挙げられる。これらの重合性モノマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの重合性モノマーのうち、(メタ)アクリル酸などの不飽和モノカルボン酸が好適である。
水酸基を含有する重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;ポリカプロラクトン変性の(メタ)アクリノ戸酸エステル類;ポリオキシエチレン変性やポリオキシプロピレン変性の(メタ)アクリル酸エステル類;などが挙げられる。これらの重合性モノマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの重合性モノマーのうち、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸エステル類が好適である。
重合性モノマーの使用量は、金属酸化物微粒子の使用量に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、金属酸化物微粒子100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、200質量部以下、より好ましくは2質量部以上、100質量部以下、さらに好ましくは5質量部以上、50質量部以下である。重合性モノマーの使用量が少なすぎると、重合反応が速やかに進行せず、金属酸化物微粒子の表面をポリマーで効率的に被覆できないことがある。逆に、重合性モノマーの使用量が多すぎると、金属酸化物微粒子を含まないポリマー粒子が多く生成することがある。
本発明の製造方法では、重合性モノマーおよびラジカル開始剤を用いた乳化重合を行うにあたり、該ラジカル開始剤として、半減期が異なる2種以上のラジカル開始剤を用いるか、および/または、該ラジカル開始剤の一部を反応系に添加した後、時間を置いてから、残部のラジカル開始剤を添加することができる。このことにより、初期設階での重合度を高くすると共に、後期段階での重合度を高く維持することができ、重合性モノマーが金属酸化物微粒子の表面で効率よく重合するので、最終的に得られるポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体において、ポリマー被覆分の総量に対する残存モノマーの総量の割合を抑えることができる。なお、重合反応後に、反応液を減圧処理して残存モノマーを除去することにより、ポリマー被覆分の総量に対する残存モノマーの量を抑えたポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体を得ることができる。
ラジカル開始剤としては、水溶性のラジカル開始剤である限り、特に限定されるものではないが、例えば、過硫酸カリウム(半減期(80℃)3.59時間)、過硫酸ナトリウム(半減期(80℃)3.59時間)、過硫酸アンモニウム(半減期(80℃)1.26時間)などの過酸化物;2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(半減期(80℃)0.48時間;V−50、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシメチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水和物(半減期(80℃)、0.55時間;VA−057、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−エチルプロパン)二塩酸塩(半減期(80℃)2.10時間;VA−067、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}(半減期(80℃)、9.17時間;VA−085、和光純薬工業(株)製)などのアゾ系化合物;過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過リン酸カリウムなどの過酸化物に、アスコルビン酸およびその塩、エリソルビン酸およびその塩、酒石酸およびその塩、クエン酸およびその塩、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ロンガリットC(NaHSO・CHO・HO)、ロンガリットZ(ZnSO・CHO・HO)、デクロリン(Zn(HSO・CHO))などの還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤などが挙げられる。
これらのラジカル開始剤は、例えば、半減期が長いラジカル開始剤と半減期が短いラジカル開始剤とを組み合わせて用いるか、あるいは、最初にラジカル開始剤の一部を反応系に添加し、時間を置いてから、残部のラジカル開始剤を添加すればよい。後者の場合、残部のラジカル開始剤を添加するタイミングは、最初に添加するラジカル開始剤の半減期に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、最初に添加するラジカル開始剤の半減期に対して、好ましくは6分の1〜6分の5、より好ましくは4分の1〜4分の3、さらに好ましくは3分の1〜3分の2に相当する時間を置いてから、1回または2回以上に分けて、添加すればよい。
ラジカル開始剤の合計した使用量は、重合性モノマーの使用量に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、重合性モノマーに対して、好ましくは0.001質量%以上、3質量%以下、より好ましくは0.005質量%以上、2質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以上、1質量%以下である。
モノマー成分の重合反応は、水性媒体中で行われる。ここで、「水性媒体」とは、水、または、水と水混和性の有機溶媒との混合溶媒を意味する。水性媒体として、水と水混和性の有機溶媒との混合溶媒を用いる場合、水に対する水混和性の有機溶媒の割合は、好ましくは0質量%以上、40質量%以下、より好ましくは0質量%以上、20質量%以下である。
水と併用しうる水混和性の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、アリルアルコールなどのアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、ジプロピレングリコールなどのグリコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトンなどのケトン類;ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、アセト酢酸メチルなどのエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルテル、ジエチレングリコールジメチルテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルテルなどのエーテル類;などが挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの有機溶媒のうち、モノマー成分から合成されるポリマーに対して貧溶媒となる有機溶媒、すなわちモノマー成分は溶解するが、モノマー成分から合成されるポリマーは溶解しない有機溶媒が好適である。
重合反応を行う際の反応温度は、特に限定されるものではないが、例えば、好ましくは40℃以上、90℃以下、より好ましくは50℃以上、80℃以下である。また、反応時間も、金属酸化物微粒子や重合性モノマーの使用量に応じて適宜調節すればよく、特に限定されることはないが、例えば、好ましくは1時間以上、24時間以下、より好ましくは3時間以上、12時間以下である。
≪化粧料用紫外線カット剤≫
本発明のポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体は、好ましくは、化粧料用紫外線カット剤に用いられる。
本発明の化粧料用紫外線カット剤には、ポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体以外にも、通常の化粧料に用いられる様々な化粧基剤を、紫外線遮断能などの機能を損なわない範囲で配合することができる。このような化粧基剤としては、例えば、増粘剤、乳化安定剤、界面活性剤、pH調節剤、防腐剤、酸化防止剤、有機系紫外線吸収剤などが挙げられる。
本発明の化粧料用紫外線カット剤の形態は、配合する化粧料の種類に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、水分散体、水中油型(O/W型)分散体、油中水型(W/O型)分散体、多相型(W/O/W型またはO/W/O型)分散体などが挙げられる。
一般に、水分散体、水中油型(O/W型)や多相型(W/O/W型)の分散体の場合、例えば、シリカ被覆酸化チタン微粒子やシリカ被覆酸化亜鉛系微粒子は、表面が第1層としてシリカで被覆されているので、アルカリ性であれば、安定に分散しているが、化粧料や化粧基剤に必要とされる弱酸性になると、例えば、pH調節剤を配合すると、分散性が低下し、凝集して沈降することがある。また、シリカ被覆酸化亜鉛系微粒子は、pHが中性からアルカリ性側や酸性側に傾くと、両性金属酸化物である酸化亜鉛の溶出が起こることがある。しかし、これらのシリカ被覆金属酸化物微粒子の外側を第2層としてポリマーで被覆すれば、弱酸性でも安定に分散するようになり、酸化亜鉛の溶出も起こりにくい。
他方、油中水型(W/O型)や多相型(O/W/O型)の分散体の場合、シリカ被覆金属酸化物微粒子は、分散性が劣り、容易に凝集して沈降することがある。また、シリカ被覆酸化亜鉛系微粒子は、例えば、保湿剤を配合すると、水分を吸着するので、両性金属酸化物である酸化亜鉛の溶出が起こることがある。しかし、これらのシリカ被覆金属酸化物微粒子の外側をポリマーで被覆すれば、安定に分散するようになり、酸化亜鉛の溶出も起こりにくい。
さらに、親水性増粘剤として、カルボキシビニルポリマーを配合すると、シリカ被覆金属酸化物微粒子との相性が悪く、化粧料用紫外線カット剤を化粧料に配合して肌に塗布した場合の感触に劣ることがある。しかし、これらのシリカ被覆金属酸化物微粒子の外側をポリマーで被覆すれば、このような親水性増粘剤との相性が良くなり、化粧料用紫外線カット剤を化粧料に配合して肌に塗布した場合の感触が向上する。
本発明の化粧料用紫外線カット剤は、親水基としてリン酸基を有する界面活性剤と、ポリマー被覆金属酸化物微粒子とを含有するので、高い透明性と優れた紫外線遮断能を維持しながら、分散安定性や貯蔵安定性に優れると共に、化粧料に配合した場合に、肌に対する感触が著しく向上し、白浮きを感じさせない化粧料を与える。
≪化粧料≫
本発明の化粧料は、ポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体を化粧料用紫外線カット剤として配合することにより得られる。化粧料用紫外線カット剤は、配合する化粧料の剤型に応じて適宜選択された形態で配合されるが、例えば、化粧料がパウダーファンデーションのような粉体剤型の場合は、粉体の形態で配合され、化粧料が口紅、油性ファンデーションのような油性剤型の場合は、粉体、および/または、水以外の分散媒を用いた分散体の形態で配合され、化粧料が乳化ファンデーション、クリーム、ジェルのような乳化型の場合には、粉体、および/または、水を分散媒に用いた水分散体、および/または、水以外の分散媒を用いた分散体の形態で配合される。
化粧料用紫外線カット剤の配合量は、化粧料の全質量に対して、通常1〜80質量%であり、化粧料の剤型に応じて適宜選択できる。すなわち、パウダーファンデーションのような粉体型では、通常40〜80質量%、口紅、油性ファンデーションのような油性剤型では、通常1〜20質量%、乳化ファンデーション、クリーム、ジェルのような乳化型では、通常1〜40質量%程度が好ましい。これらの化粧料は、常法により製造され、各々の目的のために提供される。
なお、化粧料用紫外線カット剤の形態にかかわらず、化粧料における固形分としてのポリマー被覆金属酸化物微粒子の配合量は、化粧料の全質量に対して、好ましくは1質量%以上、40質量%以下、より好ましくは1.5質量%以上、35質量%以下、さらに好ましくは2質量%以上、30質量%以下である。ポリマー被覆金属酸化物微粒子の配合量が少なすぎると、紫外線遮断能が不充分となり、紫外線を有効に遮断できないことがある。逆に、ポリマー被覆金属酸化物微粒子の配合量が多すぎると、ポリマー被覆金属酸化物微粒子が凝集して高次構造を形成するので、貯蔵安定性が低下することがある。
本発明の化粧料、例えば、乳化ファンデーション、クリーム、ジェルのような乳化型の化粧料には、好ましくは、親水性増粘剤または乳化安定剤としてカルボキシビニルポリマーが配合されている。カルボキシビニルポリマーを配合する場合、その配合量は、化粧料の全質量に対して、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%である。カルボキシビニルポリマーの配合量が少なすぎると、化粧料が充分なゲル状態にならないことがある。逆に、カルボキシビニルポリマーの配合量が多すぎると、化粧料の粘度が必要以上に上昇することがある。
また、本発明の化粧料は、本発明の効果を損なわない範囲で、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの界面活性剤、スクワラン、流動パラフィン、パラフィンワックスなどの炭化水素類、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチルなどの脂肪酸エステル、ジメチコン、シクロメチコンなどのシリコーン油、ミツロウ、オリーブ油、サフラワー油などの油剤、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどの多価アルコール、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウムなどの安定剤、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンEなどのビタミン類、アミノ酸類、グリチルリチン酸塩、グリチルレチン酸塩などの抗炎症剤、パラジメチルアミノ安息香酸などのPABA系、メトキシ桂皮酸オクチルなどの桂皮酸系、オキシベンゾンなどのベンゾフェノン系、その他サリチル酸系などの有機系紫外線吸収剤、香料、色素、顔料、防腐剤、酸化防止剤、収斂剤、細胞賦活剤、美白剤、保湿剤、肌荒れ改善剤、美容成分などの公知成分を適宜配合して、例えば、ファンデーション、口紅、リップクリーム、油性ファンデーション、乳液、クリーム、ジェルなどの化粧料、特に日焼け止めを目的とした化粧料とすることができる。
本発明の化粧料は、上記したような紫外線遮断機能を有するポリマー被覆金属酸化物微粒子を含有するので、優れた紫外線遮断能を有すると共に、高い透明性と肌に対する感触にも優れている。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
下記の製造例で得られた金属酸化物微粒子またはポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体について、含有される微粒子の形状や数平均粒子径、水分散体の不揮発分は、以下の方法により判定または測定した。判定および測定に先立って粉末化する必要がある場合には、特に断りがない限り、以下に記載の方法に従って、粉末化した後、得られた粉末を測定試料とした。
<形状>
ポリマー被覆金属酸化物微粒子の形状は、微粒子を走査型または透過型電子顕微鏡(倍率:1万倍)で観察することにより判定した。
<一次粒子径および数平均粒子径>
金属酸化物微粒子およびポリマー被覆金属酸化物微粒子を走査型または透過型電子顕微鏡(倍率:1万倍)で観察して得られた撮影像に含まれる任意の微粒子100個の一次粒子径を測定して、下記の数式により算出した。なお、走査型電子顕微鏡で観察する場合、観察に先立って微粒子に貴金属合金の蒸着処理を行うので、蒸着層の厚さの分だけ補正して、数平均粒子径を求めた。
[式中、dは数平均粒子径、Dはi番目の微粒子の粒子径、nは微粒子の数を表す]
<不揮発分の測定>
水分散体を約1g秤量し、熱風乾燥機を用いて、105℃で1時間乾燥し、乾燥前の質量に対する乾燥後の質量の割合を百分率で表した値(単位は質量%)を不揮発分とした。
まず、酸化亜鉛系微粒子の製造例について説明する。
≪製造例1≫
酸化亜鉛系微粒子の製造
攪拌機、滴下口、温度計、還流冷却器を備えた容量10Lのガラス製反応器中で、酢酸1.6kgとイオン交換水1.6kgとの混合溶媒に、酸化亜鉛粉末0.3kgを添加混合した後、攪拌しながら100℃まで加熱することにより、亜鉛含有溶液(A1)を均一溶液として得た。
次いで、外部から熱媒で加熱し得る、攪拌機、滴下口、温度計、留出ガス出口を備えた容量20Lのガラス製反応器に、2−ブトキシエタノール12kgを仕込み、153℃まで加熱して保持した。これに、100℃に保持した亜鉛含有溶液(A1)全量を、定量ポンプにより、30分間かけて滴下した。内容物の温度は153℃から131℃まで変化した。滴下終了後、168℃まで加熱した時点で、ラウリン酸36.9gを溶解した2−ブトキシエタノール溶液400gを1分間かけて添加し、さらに同温度で5時間保持することにより、分散体(Z−1)7.89kgを得た。分散体(Z−1)は、数平均粒子径が20nmである粒状の微粒子が分散媒中に濃度3.7質量%で分散したものであった。
分散体(Z−1)に含有される微粒子を遠心分離操作により分散媒から分離し、得られた微粒子をイソプロピルアルコールで洗浄した後、50℃で24時間真空乾燥(1.33×10Pa)することにより、酸化亜鉛系微粒子(DZ−1)を得た。得られた酸化亜鉛系微粒子(DZ−1)は、数平均粒子径が20nmであった。
次に、金属酸化物微粒子の表面をシリカで被覆してなるシリカ被覆金属酸化物微粒子、特にシリカ被覆酸化亜鉛系微粒子およびシリカ被覆酸化チタン微粒子の製造例について説明する。なお、その他のシリカ被覆金属酸化物微粒子も同様の方法を用いて製造することができる。
≪製造例2≫
シリカ被覆酸化亜鉛系微粒子の製造
攪拌機、滴下口、窒素導入管、温度計、還流冷却器を備えた容量2Lのガラス製反応器中で、酸化亜鉛系微粒子(DZ−1)180gを脱イオン水1,020gに添加混合した。次いで、テトラエトキシシラン28.6g、エタノール100gを滴下ロート(1)に入れ、また、25%アンモニア水14.5g、脱イオン水14.5gを滴下ロート(2)に入れた。反応容器を50℃に加熟後、滴下ロート(1)および(2)の内容物を1時間かけて同時に滴下した。滴下終了後、50℃で5時間保持した後、アニオン系界面活性剤(商品名「エマール(登録商標)0」(ラウリル硫酸ナトリウム)、花王(株)製)の20%水溶液10gを添加し、さらにシランカップリング剤(商品名「KBM−503」(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製)10gを10分間かけて添加した。その後、50℃で3時間熟成を行った後、室温まで冷却することにより、シリカ被覆酸化亜鉛系微粒子分散体(SZ−1)を得た。
分散体(SZ−1)に含有される微粒子を遠心分離操作により分散媒から分離し、得られた微粒子をイソプロピルアルコールで洗浄した後、50℃で24時間真空乾燥(1.33×10Pa)することにより、シリカ被覆酸化亜鉛系微粒子(DSZ−1)を得た。得られたシリカ被覆酸化亜鉛系微粒子(DSZ−1)は、数平均粒子径が60nmであった。
≪製造例3≫
シリカ被覆酸化チタン微粒子の製造
製造例2において、酸化亜鉛系微粒子(DZ−1)180gおよび脱イオン水1,020gに代えて、酸化チタン微粒子(商品名「NTBナノチタニア」、昭和電工(株)製;数平均粒子径10〜20nm)1,200gを用いたこと以外は、製造例2と同様にして、シリカ被覆酸化チタン微粒子分散体(ST−1)を得た。分散体(ST−1)に含有される微粒子を遠心分離操作により分散媒から分離し、得られた微粒子をイソプロピルアルコールで洗浄した後、50℃で24時間真空乾燥(1.33×10Pa)することにより、シリカ被覆酸化チタン微粒子(DST−1)を得た。得られたシリカ被覆酸化チタン微粒子(DST−1)は、数平均粒子径が55nmであつた。
≪製造例4≫
シリカ被覆酸化チタン微粒子の製造
従来公知の方法、すなわち、硫酸チタニアの加水分解によって得られた含水酸化チタンを苛性アルカリで処理し、塩酸中で加熱熟成することによって得られた、平均粒子径15nmのルチル形の結晶構造を有する酸化チタン微粒子を含む強塩酸系チタニアゾル(TiO濃度140g/L)を100g/Lに濃度調整し、この強塩酸系チアニアゾルを10L(TiO換算で1,000g)測り取った。この強塩酸系チタニアゾルを室温下で攪拌しながら、これにケイ酸ソーダ水溶液(SiOとして200g/Lの濃度に調整済み)を150mL(基材の酸化チタン微粒子に対してSiO換算で3質量%)添加し、15分間熟成した。熟成後のスラリーを濾過、水洗し、基材の酸化チタン微粒子の表面に、第1の層として、該基材に対してSiO換算で3質量%の含水シリカ層が形成された酸化チタン微粒子を50質量%含有する濾過ケーキを得た。この濾過ケーキを乾燥することなく、次の工程に供した。
得られた濾過ケーキ2,060gにイソプロピルアルコールを5,000g加えた後、ディスパーで混合攪拌し、スラリー化した。さらに、このスラリーに脱イオン水1,000gとアンモニア水50gとを加え、さらに混合攪拌した(このとき、混合液のpHは10〜11とした;アンモニアの量はpHを調整するために加減した)。
得られたスラリーを、横型ビーズミル(ウィリー・エ・バッコーフェン社製、DYNO−MILL ECO−5)に150mL/分で送液し、このスラリーを横型ビーズミル内で攪拌しながら、これに平均重合度が約5のテトラメトキシシランのオリゴマー(三菱化学(株)製、MKCシリケートMS51;分子量;500〜700、SiO:含有量52質量%)423gとイソプロピルアルコール212gとを混合した液(この混合液中のテトラメトキシシランのオリゴマーの濃度は346g/Lである)を、6時間かけて徐々に添加して、前記第1の層としての含水シリカ層上に、第2の層として、基材の酸化チタン微粒子に対してSiO換算で22質量%の含水シリカ層を形成した。このときの添加速度は1.76g/minであった。このようなテトラメトキシシランのオリゴマーの添加を行った後のスラリーは、著しい増粘や白濁化が認められなかった。
次いで、得られたスラリーを真空加熱式ニーダーに移し、加熱、減圧して、水とイソプロピルアルコールとを留去した。その後、さらに150℃まで加熱し、その温度を2時間保持してキュアリングを行った。このようなキュアリングを経て得られた粉体をJOミル((株)セイシン企業製、SKジェット・オー・ミル)で粉砕してシリカ被覆酸化チタン微粒子を得た。このシリカ被覆酸化チタン微粒子のシリカ被覆量は、基材の酸化チタン微粒子に対して、SiO換算で25質量%であった。得られたシリカ被覆酸化チタン微粒子350g、脱イオン水650gを容器に入れ、高速分散機を用い、3,000rpmで5分間分散して、シリカ被覆酸化チタン微粒子水分散液を得た。このシリカ被覆酸化チタン微粒子水分散液は、B型粘度計で測定したところ、粘度が10mPa・s(6rpm、液温25℃)であった。最後に、脱イオン水750gを添加し、シリカ被覆酸化チタン微粒子水分散液(DST−2)を得た。このシリカ被覆酸化チタン微粒子水分散液(DST−2)は、不揮発分20%、酸化チタン微粒子の一次粒子径15nm、シリカ層の厚さ20nmであつた。
次に、金属酸化物微粒子の表面をシリカで被覆し、かつその外側をポリマーで被覆してなるポリマー被覆金属酸化物微粒子、すなわちシリカ被覆金属酸化物ポリマー被覆微粒子の濃縮水分散体、特に酸化亜鉛系微粒子の表面をシリカで被覆し、かつその外側をポリマーで被覆してなるシリカ被覆酸化亜鉛系ポリマー被覆微粒子の濃縮水分散体、ならびに、酸化チタンの表面をシリカで被覆し、かつその外側をポリマーで被覆してなるシリカ被覆酸化チタンポリマー被覆微粒子の濃縮水分散体の製造例について説明する。なお、その他のポリマー被覆金属酸化物微粒子の濃縮水分散体も同様の方法を用いて製造することができる。
≪製造例5≫
シリカ被覆酸化亜鉛系ポリマー被覆微粒子濃縮水分散体の製造
撹絆機、滴下口、窒素導入管、温度計、還流冷却器を備えた容量2Lのガラス製反応器中に、窒素ガスを吹き込みながら、シリカ被覆酸化亜鉛系微粒子(DSZ−1)100g、脱イオン水400g、アニオン系界面活性剤(商品名「エマール(登録商標)0」(ラウリル硫酸エステルナトリウム塩)、花王(株)製)の20%水溶液5gを添加混合して分散させた。その後、80℃まで加熱し、メタクリル酸メチル10gと5%過硫酸カリウム水溶液0.5gと5%アゾ系開始剤(商品名「VA−057」(2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン四水和物]、和光純薬工業(株)製)0.5gとを添加した。攪拌しながら5時間保持し、シリカ被覆酸化亜鉛系ポリマー被覆微粒子水分散体(PC−1)を得た。
得られた水分散体(PC−1)に、消泡剤(商品名「ノプコ(登録商標)8034L」、サンノプコ製)を0.1g添加した。還流冷却器を取り外して真空ポンプに接続したトラップを接続した。その後、40℃で加温しながら、真空ポンプで徐々に減圧にして水を留去した後、300meshの金網で濾過し、シリカ被覆酸化亜鉛系ポリマー被覆微粒子濃縮水分散体(EPC−1)を得た。得られた濃縮水分散体(EPC−1)は、留去後の不揮発分が34.8%、総回収量が290gであった。この濃縮水分散体(EPC−1)を透過型電子顕微鏡で観察したところ、シリカ被覆酸化亜鉛系微粒子の表面が重合により形成されたポリメタクリル酸メチルで被覆されていることが確認された。シリカ被覆酸化亜鉛系微粒子の数平均粒子径は85nmであった。
得られた濃縮水分散体(EPC−1)を1g取り、105℃で1時間乾燥させて粉体を得た。得られた粉体を窒素雰囲気下、500℃で焼結した後、焼結後の質量を測定し、下記式により、濃縮水分散体(EPC−1)中における金属酸化物の含有割合を求めたところ、30.2%であった。
≪製造例6≫
シリカ被覆酸化チタンポリマー被覆微粒子濃縮水分散体の製造
製造例5において、シリカ被覆酸化亜鉛系微粒子(DSZ−1)に代えて、シリカ被覆酸化チタン微粒子(DST−1)を用い、メタクリル酸メチル10gに代えて、スチレン7gおよびアクリル酸ブチル3gを用いたこと以外は、製造例5と同様にして、シリカ被覆酸化チタンポリマー被覆微粒子濃縮水分散体(EPC−2)を得た。得られた濃縮水分散体(EPC−2)は、留去後の不揮発分が34.3%、総回収量が295gであった。この濃縮水分散体(EPC−2)を透過型電子顕微鏡で観察したところ、シリカ被覆酸化チタン微粒子の表面が重合により形成されたスチレン−アクリル酸ブチル共重合体で被覆されていることが確認された。シリカ被覆酸化チタンポリマー被覆微粒子の数平均粒子径は90nmであった。
得られた濃縮水分散体(EPC−2)を1g取り、105℃で1時間乾燥させて粉体を得た。得られた粉体を窒素雰囲気下、500℃で焼結した後、焼結後の質量を測定し、上記の式により、濃縮水分散体(EPC−2)中における金属酸化物の含有割合を求めたところ、29.8%であった。
≪製造例7≫
シリカ被覆酸化チタンポリマー被覆微粒子濃縮水分散体の製造
攪拌機、滴下口、窒素導入管、温度計、還流冷却器を備えた容量2Lのガラス製反応器中に、製造例4で得られたシリカ被覆酸化チタン微粒子水分散液(DST−2)1,000部、ミリスチル硫酸ナトリウム(商品名「NIKKOL(登録商標)SMS−F」、日光ケミカルズ(株)製)6部、10%水酸化ナトリウム水溶液5部を添加混合した。次いで、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(商品名「KBE−503」、信越シリコーン(株)製)12部を30分間かけて滴下した後、50℃で20時間保持した。その後、窒素を吹き込みながら、80℃まで加熱攪拌した。
別の容器に、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩(商品名「エマール(登録商標)20CM」、(株)花王製)の20%水溶液3部、脱イオン水17部、メタクリル酸メチル10部、アクリル酸ブチル10部を乳化させ、プレエマルション組成物を得た。反応器に、5%過硫酸カリウム水溶液2部を添加した後、プレエマルション組成物を1時間かけて滴下し、その後5時間保持し、シリカ被覆酸化チタン微粒子の表面をポリマーで被覆してなるポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PC−3)を得た。
得られた水分散体(PC−3)に、消泡剤(商品名「ノプコ(登録商標)8034L」、サンノプコ製)を0.1g添加した。還流冷却器を取り外して真空ポンプに接続したトラップを接続した。その後、40℃で加温しながら、真空ポンプで徐々に減圧にして水を留去した後、300meshの金網で濾過し、シリカ被覆酸化チタンポリマー被覆微粒子濃縮水分散体(EPC−3)を得た。得られた濃縮水分散体(EPC−3)は、留去後の不揮発分が35%、総回収量が620gであった。この濃縮水分散体(EPC−3)を透過型電子顕微鏡で観察したところ、シリカ被覆酸化チタン微粒子の表面が重合により形成されたポリメタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル共重合体で被覆されていることが確認された。シリカ被覆酸化チタン微粒子の数平均粒子径は100nmであった。
得られた濃縮水分散体(EPC−3)を1g取り、105℃で1時間乾燥させて粉体を得た。得られた粉体を窒素雰囲気下、500℃で焼結した後、焼結後の質量を測定し、上記の式により、濃縮水分散体(EPC−3)中における金属酸化物の含有割合を求めたところ、29.4%であった。
次に、ポリマー被覆金属酸化物微粒子を水中に分散させてなるポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体の製造例について説明する。
≪実施例1≫
撹絆機、温度計、還流冷却器を備えた容量100mLのガラス製反応器中に、シリカ被覆酸化亜鉛系ポリマー被覆微粒子濃縮水分散体(EPC−1)100gと、ラウリルリン酸(商品名「NIKKOL(登録商標)ホステンHLP」、日光ケミカルズ(株)製)の10%水溶液3.5gとを添加し、また、系中における金属酸化物の含有割合が28%になるように脱イオン水で希釈した。その後、50℃で30分間攪拌した。冷却後、300meshの金網で濾過し、ポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体Aを得た。
≪実施例2≫
実施例1において、シリカ被覆酸化亜鉛系ポリマー被覆微粒子濃縮水分散体(EPC−1)に代えて、シリカ被覆酸化チタンポリマー被覆微粒子濃縮水分散体(EPC−2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体Bを得た。
≪実施例3≫
実施例1において、シリカ被覆酸化亜鉛系ポリマー被覆微粒子濃縮水分散体(EPC−1)に代えて、シリカ被覆酸化チタンポリマー被覆微粒子濃縮水分散体(EPC−3)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体Cを得た。
≪比較例1〜3≫
実施例1において、ラウリルリン酸に代えて、表1に記載された分散剤(水溶液濃度10%)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較用ポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体D〜Fを得た。
≪比較例4〜6≫
実施例2において、ラウリルリン酸に代えて、表1に記載された分散剤(水溶液濃度10%)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、比較用ポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体G〜Iを得た。
≪比較例7〜9≫
実施例2において、ラウリルリン酸に代えて、表1に記載された分散剤(水溶液濃度10%)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、比較用ポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体J〜Lを得た。
≪ポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体の評価≫
得られた水分散体A〜Cおよび比較用水分散体D〜Lについて、下記の貯蔵安定性試験(流動性)および貯蔵安定性試験(透明性)を行った。結果を表1に示す。
1.貯蔵安定性試験(流動性)
得られた水分散体A〜Cおよび比較用水分散体D〜Lを50℃で1ヶ月間保管し、保管前後の流動性を下記の基準で評価した。
○:試験の前後で流動性に変化がない;
△:試験後に粘度が上昇している;
×:試験後に流動性がなくなっている。
2.貯蔵安定性試験(透明性)
得られた水分散体A〜Cおよび比較用水分散体D〜Lを、固形分が0.1%になるように脱イオン水で希釈し、光路長1cmの石英セルに入れて、ヘイズメーター(製品名「NDH2000」、日本電色工業(株)製)を用いて、ヘイズを測定し、貯蔵安定性試験前後の測定値から透明性を下記の基準で評価した。
○:ヘイズ値の上昇が2以下;
△:ヘイズ値の上昇が2以上、5以下;
×:ヘイズ値の上昇が5以上。
表1から明らかなように、親水基としてリン酸基を有する界面活性剤と、金属酸化物微粒子の表面をポリマーで被覆してなるポリマー被覆金属酸化物微粒子とを含有する実施例1〜3の水分散体A〜Cは、濃縮によって、金属酸化物の含有割合を28%という高濃度にした、微粒子が凝集しやすい状況下においても、優れた貯蔵安定性(流動性および透明性)を示した。
これに対し、ポリマー被覆金属酸化物微粒子に親水基としてリン酸基を有しない界面活性剤や高分子分散剤を同量添加して得られた比較例1〜9の比較用水分散体D〜Lは、劣った貯蔵安定性(流動性および透明性)を示し、実施例1〜3と同様の効果は確認されなかった。
かくして、親水基としてリン酸基を有する界面活性剤と、金属酸化物微粒子の表面をポリマーで被覆してなるポリマー被覆金属酸化物微粒子とを配合すれば、貯蔵安定性(流動性および透明性)に優れたポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体が得られることがわかる。
次に、ポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体を用いた化粧料の製造例について説明する。
≪実施例4≫
ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)0.05部、フェニルトリメチコン1.3部、イソステアリン酸PEG−15グリセリル1.1部、酢酸トコフェロール0.1部、プロピルパラベン0.05部を加温しながら攪拌溶解させ、A層を得た。次いで、1,3−ブチレングリコール6.0部、グリセリン4部、グルコース0.5部、フルクトース0.5部、PEG−75:0.5部、プルラン0.1部、ココイルアラニンTEA0.1部、メチルパラベン0.1部、エタノール3部、精製水60部を加熱攪拌し、最後に、貯蔵安定性試験後の水分散体A:22.6部を添加し、攪拌した。その後、事前に準備しておいたA層を添加し、ディスパーで5分間攪拌し、化粧料Aを得た。
≪実施例5〜6≫
実施例4において、貯蔵安定性試験後の水分散体Aに代えて、それぞれ貯蔵安定性試験後の水分散体BおよびCを用いること以外は、実施例4と同様にして、化粧料BおよびCを得た。
≪比較例10〜18≫
実施例4において、貯蔵安定性試験後の水分散体Aに代えて、それぞれ貯蔵安定性試験後の比較用水分散体D〜Lを用いること以外は、実施例4と同様にして、比較用化粧料D〜Lを得た。
≪化粧料の評価≫
得られた化粧料A〜Cおよび比較用化粧料D〜Lについて、下記の評価(感触および白浮き)を行った。結果を表2に示す。
1.化粧料評価(感触)
20〜50代の女性20人に化粧料A〜Cおよび比較用化粧料D〜Lを肌に塗布してもらい、感触が良いと答えた人数により、肌に対する感触を下記の基準で評価した。
○:16人以上;
△:12人以上、16人未満;
×:12人未満。
2.化粧料評価(白浮き)
化粧料A〜Cおよび比較用化粧料D〜Lを、黒のアクリル板に、アプリケーターを用いて、ウェット膜厚が100μmになるように塗工し、白浮きを下記の基準で視覚的に評価した。
◎:白く感じない;
○:少し白く感じる;
△:かなり白く感じる;
×:完全に白く感じる。
表2から明らかなように、親水基としてリン酸基を有する界面活性剤と、金属酸化物微粒子の表面をポリマーで被覆してなるポリマー被覆金属酸化物微粒子とを含有する水分散体を用いて得られた実施例4〜6の化粧料A〜Cは、長期間にわたって保存した後に使用しても、肌に対する感触に優れ、白浮きについても優れた結果を示した。
これに対し、ポリマー被覆金属酸化物微粒子に親水基としてリン酸基を有しない界面活性剤や高分子分散剤を同量添加して得られた比較用水分散体を用いて得られた比較例10〜18の比較用化粧料D〜Lは、長期間にわたって保存した後に使用すると、肌に対する感触に劣り、白浮きについても劣った結果を示した。
かくして、親水基としてリン酸基を有する界面活性剤と、金属酸化物微粒子の表面をポリマーで被覆してなるポリマー被覆金属酸化物微粒子とを含有するポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体は、化粧料に配合した場合に、肌に対する感触に優れ、白浮きを感じさせない化粧料を与えることがわかる。
本発明のポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体は、例えば、化粧料、塗料、顔料、接着剤、トナー、電子材料、光学材料などに関連する分野において、好適に利用することができる。特に、本発明のポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体を化粧料に用いた場合には、得られた化粧料は、肌に対する感触に優れ、白浮きを感じさせない。それゆえ、本発明のポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体は、化粧料や化粧基材の分野において多大な貢献をなすものである。

Claims (7)

  1. 親水基としてリン酸基を有する界面活性剤と、金属酸化物微粒子の表面をポリマーで被覆してなるポリマー被覆金属酸化物微粒子とを含有することを特徴とするポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体。
  2. 前記界面活性剤が、下記式:
    [式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基を表し、XおよびXは、互いに独立して、陽イオンを表す]
    で示される界面活性剤である請求項1記載のポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体。
  3. 前記金属酸化物微粒子が、Si、Ti、Zn、Zr、Ce、Fe、Al、CaおよびMgよりなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有する請求項1または2記載のポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体。
  4. 前記金属酸化物微粒子の表面を被覆するポリマーが、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニルおよび塩化ビニリデンよりなる群から選択される少なくとも1種の重合性モノマーを含むモノマー成分を重合してなるポリマーである請求項1〜3のいずれか1項記載のポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体。
  5. 前記金属酸化物微粒子の表面を被覆するポリマーが、金属酸化物微粒子の存在下で、前記モノマー成分を乳化重合することにより形成される請求項4記載のポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体。
  6. 化粧料用紫外線カット剤に用いられる請求項1〜5のいずれか1項記載のポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項記載のポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体を用いていることを特徴とする化粧料。
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