JP2009160803A - 溶液製膜方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フィルムの擦り傷や引きつれしわ、面写りを防止する。
【解決手段】溶液製膜設備10は、複数の案内ローラ48を搬送路に備える。案内ローラ48は、バンド32から剥ぎ取られた湿潤フィルム12を搬送する。案内ローラ48は、周方向に沿って形成された、断面略半円形状の谷部60および山部61を有する。谷部60および山部61は、軸方向に交互に並んでおり、そのピッチPv、Pmは0.01mm以上2mm以下、谷部60の底点60aから山部61の頂点61aまでの高さHv−mは0.01mm以上1mm以下となっている。谷部60および山部61の曲率半径Rv、Rmは、0.1mm以上0.5mm以下となっている。
【選択図】図3

Description

本発明は、ポリマーが溶剤に溶解したドープからフィルムをつくる溶液製膜方法に関する。
溶液製膜方法では、ポリマーを溶剤に溶解してつくったドープを、流延支持体に流延して流延膜を形成し、この流延膜を流延支持体から剥がして乾燥することによりポリマーフィルムをつくる。流延支持体から剥がされた流延膜、すなわち湿潤フィルムは、搬送されながら乾燥される。湿潤フィルムの搬送路には、駆動ローラと湿潤フィルムを支持する非駆動のいわゆるフリーローラとが配され、駆動ローラその他の搬送手段により湿潤フィルムは搬送される。
ポリマーフィルムが用いられる液晶ディスプレイ等の各種光学装置は、薄型化や多機能化が進められており、ポリマーフィルムに対してもこれまで以上に薄膜化や平滑化が望まれている。このため、搬送される湿潤フィルムに対して駆動ローラやフリーローラがスリップしてしまい、湿潤フィルムに擦り傷や引きつれしわが発生することがあった。特に、支持体から剥がされてからテンタへ入るまでの湿潤フィルムは、溶媒含有率が100%を超えるような非常に高い値である場合が多く、特にスリップしやすいという問題がある。また、湿潤フィルムにローラ跡が残るいわゆる面写りが発生することがあり、製品歩留りが悪くなるという問題があった。
搬送を安定に実施するためや、擦り傷発生の防止を目的として、これまで様々な提案がなされている。例えば、支持体から流延膜を剥ぎ取る際の剥離ローラの直後からテンタの位置口までの間に、湿潤フィルムを無接触で搬送する方法(例えば、特許文献1参照)が提案されている。この方法では、流延膜のときに露出していた面に対しては無接触である搬送手段としてローラ等を用いている。また、支持体からの剥離時における溶媒含有率を20〜150%とし、剥離ローラと、剥離ローラと乾燥装置までの搬送路に配される移送ローラとの、ビッカース硬度を500〜800とする方法(例えば、特許文献2)が提案されている。さらに、移送ローラに接触する際の湿潤フィルムの溶媒含有率を12〜80%とし、剥離ローラや移送ローラに湿潤フィルムが接触したときにこれらローラから受ける圧力を500〜3000Paとし、湿潤フィルムがローラ1本当たりに接触する時間を0.01〜0.72秒とする方法(例えば、特許文献3参照)が提案されている。
特開2001−277267号公報 特開2002−292658号公報 特開2006−256184号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、搬送すべきフィルムの溶媒含有率が高いほどフィルムにしわが発生しやすいという問題が残り、特許文献2に記載の方法では、移送ローラの保持力が足りず、フィルムが移送ローラ上でスリップし、フィルムに擦り傷が発生するという問題が残る。また、特許文献3に記載の方法では、フィルムと移送ローラとの接触時間が短すぎて保持力が十分ではなく、そのために搬送方向でフィルムが伸びてしまい、長尺方向(搬送方向)に長く延びたしわ、いわゆる縦じわが発生するという問題がある。
テンタで幅方向に張力を加えるためには、テンタ導入時までに大量の溶媒を蒸発させておく必要がある。そこで、バンドから流延膜を剥がす剥離位置からテンタまでの間では、大量の溶媒を蒸発させるが、溶媒の大量の蒸発に伴い、添加剤も気化してしまうことが多い。気化した添加剤は、駆動ローラやフリーローラの周面に付着して固化すると、湿潤フィルムのスリップ現象をより促進してしまうという問題もある。
上記特許文献1や2では、添加剤のロールへの付着を防止する、あるいは付着しても搬送性や湿潤フィルムの平面性に悪影響を及ぼさない一定の効果はあるものの、ローラの案内により湿潤フィルムに擦り傷やしわが発生してしまうという問題は解決されていない。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、剥離からテンタへ入るまでの湿潤フィルムの、添加剤がローラに付着してもこのローラでのスリップすることを防止し、ローラによる案内で発生する擦り傷やしわ、面写りを防止して、20〜80μmの厚みのポリマーフィルムを製造する溶液製膜方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、ポリマーと溶媒とが含まれるドープを、走行するバンド上に流延して流延膜を形成する流延工程と、この流延膜を前記溶媒が含まれる状態で剥がして湿潤フィルムとする剥離工程と、乾燥手段と湿潤フィルムの両側部を保持する保持手段とを備えるテンタにより湿潤フィルムを幅方向に延伸しながら乾燥してポリマーフィルムとするテンタ乾燥工程と、前記テンタに入る前の湿潤フィルムを乾燥する前乾燥工程とを有する溶液製膜方法において、前記ポリマーフィルムの厚みが20〜80μmとなるように前記ドープを流延し、前記前乾燥工程では、周方向に沿って周面に交互に形成された断面略半円形状の谷部及び山部を有し、前記谷部及び前記山部のピッチが0.01mm以上2mm以下、前記谷部の底点から前記山部の頂点までの高さが0.01mm以上1mm以下であるローラで、溶媒含有率が30%になるまでの前記湿潤フィルムを支持することを特徴として構成されている。
谷部および前記山部の曲率半径が0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましく、山部の頂点部分に、軸方向に平行な平坦面を形成することが好ましい。この平坦面の軸方向における幅が0.05mm以上0.5mm以下であることがより好ましい。
前乾燥工程では、溶媒含有率が70〜150%の範囲の前記湿潤フィルムを、10℃以上100℃未満の温度範囲にして10〜30%の範囲の溶媒含有率となるまで乾燥することが好ましく、前乾燥工程では、幅1mあたり10N〜300Nの張力を前記湿潤フィルムの搬送方向にかけることが好ましい。
本発明によれば、ローラによる搬送で発生する擦り傷やしわ、面写りを防止して、20〜80μmの厚みのポリマーフィルムを製造する溶液製膜方法を提供することができる。
[原料]
ドープの原料としては、溶液製膜でフィルムを製造することができる公知のポリマー及び溶剤を用いることができる。ポリマーの中でも、セルロースアシレート、環状ポリオレフィンを好ましく用いることができる。これらのいずれのポリマーであっても、製造設備の構成と製造方法の流れとは基本的に同じであるので、以下、セルロースアシレートフィルムをポリマー成分として用いる場合を例に挙げて説明する。
セルロースアシレートの中でも、セルロースの水酸基をカルボン酸でエステル化している割合、つまりアシル基の置換度(以下、アシル基置換度と称する)が下記式(I)〜(III)の全ての条件を満足するものがより好ましい。なお、(I)〜(III)において、A及びBはともにアシル基置換度であり、Aにおけるアシル基はアセチル基であり、Bにおけるアシル基は炭素原子数が3〜22のものである。これらの中でも、アシル基がアセチル基であるセルローストリアセテートが特に好ましい。
2.5≦A+B≦3.0・・・(I)
0≦A≦3.0・・・(II)
0≦B≦2.9・・・(III)
セルロースを構成しβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部がエステル化されて、水酸基の水素が炭素数2以上のアシル基に置換された重合体(ポリマー)である。なお、グルコース単位中のひとつの水酸基のエステル化が100%されていると置換度は1であるので、セルロースアシレートの場合には、2位、3位および6位の水酸基がそれぞれ100%エステル化されていると置換度は3となる。
ここで、グルコース単位の2位のアシル基置換度をDS2、3位のアシル基置換度をDS3、6位のアシル基置換度をDS6とする。DS2+DS3+DS6で求められる全アシル基置換度は2.00〜3.00であることが好ましく、2.22〜2.90であることがより好ましく、2.40〜2.88であることがさらに好ましい。また、DS6/(DS2+DS3+DS6)は0.28以上であることが好ましく、0.30以上であることがより好ましく、0.31〜0.34であることがさらに好ましい。
アシル基は1種類だけでもよいし、あるいは2種類以上であってもよい。アシル基が2種類以上であるときには、そのひとつがアセチル基であることが好ましい。2位、3位及び6位の水酸基の水素のアセチル基による置換度の総和をDSAとし、2位、3位及び6位におけるアセチル基以外のアシル基による置換度の総和をDSBとすると、DSA+DSBの値は2.22〜2.90であることが好ましく、2.40〜2.88であることが特に好ましい。DSBは0.30以上であることが好ましく、0.70以上であることが特に好ましい。そして、DSBはその20%以上が6位水酸基の置換基であることが好ましいが、より好ましくは25%以上、さらに好ましくは30%以上、特に好ましくは33%以上が6位水酸基の置換基であることが好ましい。また、セルロースアシレートの6位のDSA+DSBの値が0.75以上であることが好ましく、0.80以上であることがより好ましく、0.85以上であることが特に好ましい。以上のようなセルロースアシレートを用いることにより、溶解性が好ましいドープや、粘度が低く、ろ過性がよいドープを製造することができる。特に非塩素系有機溶剤を用いる場合には、上記のようなセルロースアシレートが好ましい。
炭素数が2以上であるアシル基としては、脂肪族基でもアリール基でもよく、特に限定されない。例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどがあり、これらは、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、iso−ブタノイル基、t−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などを挙げることが出来る。これらの中でも、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、t−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などがより好ましく、プロピオニル基、ブタノイル基が特に好ましい。
なお、セルロースアシレートの詳細については、特開2005−104148号公報の[0140]段落から[0195]段落に記載されており、これらの記載は本発明にも適用することができる。
ドープを製造するための溶剤としては、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン,トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン,クロロホルム,クロロベンゼンなど)、アルコール(例えば、メタノール,エタノール,n−プロパノール,n−ブタノール,ジエチレングリコールなど)、ケトン(例えば、アセトン,メチルエチルケトンなど)、エステル(例えば、酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸プロピルなど)及びエーテル(例えば、テトラヒドロフラン,メチルセロソルブなど)などが例示される。なお、ここで、ドープとはポリマーを溶剤に溶解して得られるポリマー溶液である。
溶剤としては、上記化合物の中でも炭素原子数1〜7のハロゲン化炭化水素が好ましく、ジクロロメタンが最も好ましい。そして、セルロースアシレートの溶解性、流延膜の支持体からの剥ぎ取り性、フィルムの機械的強度、フィルムの光学特性等の特性の観点から、炭素原子数1〜5のアルコールを一種ないし数種類を、ジクロロメタンに混合して用いることが好ましい。このとき、アルコールの含有量は、溶剤全体に対し2重量%〜25重量%であることが好ましく、5重量%〜20重量%であることがより好ましい。アルコールの好ましい具体例としては、メタノール,エタノール,n−プロパノール,イソプロパノール,n−ブタノール等が挙げられるが、中でも、メタノール,エタノール,n−ブタノール、あるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
環境に対する影響を最小限に抑えることを目的にした場合には、ジクロロメタンを用いずにドープを製造してもよい。この場合の溶剤としては、炭素原子数が4〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルが好ましく、これらを適宜混合して用いることがある。これらのエーテル、ケトン及びエステルは、環状構造を有するものであってもよい。また、エーテル、ケトン及びエステルの官能基(すなわち、−O−,−CO−及び−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、溶剤として用いることができる。また、溶剤は、例えばアルコール性水酸基のような他の官能基を化学構造中に有するものであってもよい。
ドープには、目的に応じて可塑剤、紫外線吸収剤(UV剤)、劣化防止剤、滑り剤、剥離促進剤等の公知である各種添加剤を添加させても良い。例えば、可塑剤としては、トリフェニルフィスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェート等のリン酸エステル系可塑剤や、ジエチルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤、及びポリエステルポリウレタンエラストマー等の公知の各種可塑剤を用いることができる。
なお、溶剤及び可塑剤,劣化防止剤,紫外線吸収剤,光学異方性コントロール剤,染料,マット剤,剥離剤等の添加剤についても、同じく同じく特開2005−104148号公報の[0196]段落から[0516]段落に詳細に記載されており、これらの記載も本発明に適用することができる。
以上の原料を用いて、セルロースアシレート濃度が5重量%〜40重量%であるドープを製造する。セルロースアシレート濃度は15重量%以上30重量%以下の範囲とすることがより好ましく、17重量%以上25重量%以下の範囲とすることがさらに好ましい。また、添加剤の濃度は、固形分全体に対して1重量%以上20重量%以下の範囲とすることが好ましい。
なお、ドープの製造に関して、原料の溶解方法、ろ過方法、脱泡、添加方法については、特開2005−104148号公報の[0517]段落から[0616]段落に詳しく記載されており、これらの記載の内容も本発明に適用することができる。
[フィルム製造方法]
図1は溶液製膜設備10を示す概略図である。ただし、本発明は、この溶液製膜設備10に限定されるものではない。溶液製膜設備10には、セルロースアシレートが溶剤に溶けているドープ11を流延して溶剤を含んだセルロースアシレートフィルムである湿潤フィルム12とする流延室13と、湿潤フィルム12を搬送しながら乾燥する第1乾燥室16と、第1乾燥室16を出た湿潤フィルム12の両側端部を保持して湿潤フィルム12を搬送しながら乾燥するテンタ17と、湿潤フィルム12の両側端部を切り離す耳切装置18と、湿潤フィルム12を搬送しながら乾燥して溶剤がほとんど含まれないセルロースアシレートフィルム(以降、単にフィルムと称する)19とする第2乾燥室21と、フィルム19を冷却するための冷却室22と、フィルム19の帯電量を減らすための除電装置23と、側端部にエンボス加工を施すナーリング付与ローラ対26と、フィルム19を巻き取る巻き取り部27とが備えられる。
流延室13には、ドープ11を流出する流延ダイ31と、流延支持体としてのバンド32とを備える。流延ダイ31はコートハンガー型のダイが好ましい。ドープ11の温度が所定温度に保持されるように、流延ダイ31の温度を制御する温度コントローラ(図示なし)が流延ダイ31に取り付けられてある。
流延ダイ31の幅は特に限定されず、本実施形態では、最終製品となるフィルム19の幅の1.1倍〜2.0倍程度である。さらに、流延ダイ31には、流出するときのビードの厚みを調整するために、流延ダイ31のスリットの隙間を調整する厚み調整ボルト(ヒートボルト)が幅方向に所定の間隔で複数備えられることが好ましい。流延ダイ31のスリットの隙間の大きさとドープの流出量との調節により、乾燥した後のフィルム19の厚みが20〜80μmとなるようにする。
バンド32は、周方向に回転するバックアップローラ33に巻き掛けられており、バックアップローラ33の回転により連続走行する。バックアップローラ33には、駆動手段(図示せず)が設けられ、この駆動手段により回転する。バンド32の幅は特に限定されず、本実施形態ではドープ11の流延幅の1.1倍〜2.0倍の範囲とされる。バンド32は、周面の平均粗さが0.01μm以下とされており、クロムメッキ処理等を施されてある。
バックアップローラ33は、伝熱媒体が通る流路(図示せず)が内部に形成されている。そして、バックアップローラ33には、伝熱媒体循環装置(図示せず)が接続しており、この伝熱媒体循環装置は、伝熱媒体の温度を制御し、前記流路に伝熱媒体を循環供給する。これによりバックアップローラ33の周面温度が制御され、バックアップローラ33に接するバンド32の温度を所定値となるようにする。なお、バンド32の温度は、溶剤の種類、固形成分の種類、ドープ11の濃度等に応じて適宜設定する。
流延ダイ31からバンド32にかけては流延ビードが形成され、バンド32の上には流延膜38が形成される。流延ビードの上流側には減圧チャンバ36が備えられる。減圧チャンバ36は、流延ビードの上流側の空気を吸引することにより、流延ビートに関し上流側のエリアを減圧して、流延ビードの様態を安定させる。
ビードに関して上流側のエリアの圧力は、下流側のエリアよりも2000Pa〜10Pa低くすることが好ましい。また、流延ビードを所望の形状に保つために、流延ダイ31のエッジ部に吸引装置(図示せず)を取り付けてビードの両側を吸引することが好ましい。この吸引風量は、1L/min.〜100L/min.の範囲であることが好ましい。
流延室13には、その内部温度を所定の値に保つための温調装置37と、ドープ11及び流延膜38から蒸発した溶剤を凝縮して回収するための凝縮器(図示せず)とが設けられる。そして、凝縮液化した溶剤を回収するための回収装置(図示せず)が流延室13の外部には設けられてある。回収装置により回収された溶剤は、再生してドープ製造用の溶剤として再利用する。
また、流延室13の内部には、不活性ガスを送り出すガス送出部(図示せず)と、流延室13の内部の空気を外部に排出するための排気ダクト(図示無し)とが備えられる。不活性ガスにより内部空気を置換することにより、流延室13の内部における溶媒ガス濃度を20%以下、より好ましくは1〜20%にする。
そして、この流延室13には、流延膜38をバンド32から剥ぎ取るために湿潤フィルム12を支持する剥ぎ取りローラ45が備えられる。流延膜38は、自己支持性をもつようになるまで乾燥されてから、バンド32から剥ぎ取られる。自己支持性をもつとは、第1乾燥室16における支持及び搬送が可能な程度に湿潤フィルムが乾燥した状態を意味する。
流延膜38は、溶媒の含有率(以降、溶媒含有率と称する)が70%にまでに達すると、湿潤フィルム12として支持及び搬送が可能となっているが、70%より多くても支持及び搬送が可能である場合もある。この場合には、70%よりも多い溶媒含有率でも湿潤フィルム12を第1乾燥室16に導入してよい。流延膜38は、溶媒含有率が徐々に減り、150%以下になってからであって70%未満になる前、すなわち70%以上150%以下の範囲であるときに剥ぎ取ることがより好ましい。これにより、バンド32に流延膜38が剥ぎ残ることがなく、また、第1乾燥室16では湿潤フィルム12に擦り傷やしわを発生させずにより良好に搬送することができる。
上記溶媒含有率は、乾量基準の値であり、具体的には、サンプリングしたサンプルの重量をx、サンプルを完全に乾燥した後の重量をyとするとき100×{(x−y)/y}算出される値である。
なお、バンド32とバックアップローラ33とに代えて、周方向に回転するドラムを流延支持体として用いることもできる。この場合には、流延膜38を冷却することによりゲル化して自己支持性をもたせる。冷却とともに乾燥を実施することにより、流延膜38の剥ぎ取りのタイミングをバンド32とバックアップローラ33とを用いた場合よりも早めることができる。また、ドラムを使用する場合には、流延膜を冷却するとともに乾燥をもすることにより、剥ぎ取りのタイミングをさらに早め、生産効率をさらに向上させることができる。ドラムを流延支持体として用いる場合には、剥ぎ取りのタイミングは、流延膜の溶媒含有率が100〜250%の範囲であるときが好ましい。
第1乾燥室16には、乾燥空気を吹き出す送風ダクト46と、湿潤フィルム12をテンタ17へ案内するための案内ローラ48とが備えられる。案内ローラ48の詳細については別の図面を参照しながら後述する。この第1乾燥室16で湿潤フィルム12は、テンタ17における後述の把持が可能な程度にまで乾燥される。把持が可能な程度とは、通常は湿潤フィルム12の溶媒含有率が30%以下である。流延室13と第1乾燥室16とは図1に示すように搬送方向に連続して設けられ、流延膜38は剥ぎ取られるとすぐに湿潤フィルム12として第1乾燥室16に導入されて乾燥されることが好ましい。この場合には、剥ぎ取り時の溶媒含有率と第1乾燥室16の導入時における溶媒含有率とは同じ値とみなすことができる。
第1乾燥室16では、溶媒含有率が10〜30%の範囲となるまで湿潤フィルム12を乾燥することがより好ましい。流延膜38は前述の通り溶媒含有率が70%〜150%の範囲のときに剥ぎ取られることが好ましいので、湿潤フィルム12は、溶媒含有率が70%から30%に下がる間は第1乾燥室16で乾燥されることが好ましい。そして、バンド32からの剥ぎ取りのタイミングが150%以下であって70%よりも高い範囲のA値であり、また、第1乾燥室16で10%以上30%未満の範囲のB値である場合には、A値からB値に達する間は第1乾燥室16で乾燥することになる。添加剤が湿潤フィルムに含まれている場合には、湿潤フィルム12の溶媒含有率がこのように大きく変化する第1乾燥室16では、溶媒とともに添加剤も気化して、案内ローラ48に付着し固化することが多いが、後述の案内ローラ48で湿潤フィルム12を支持あるいは搬送することにより、スリップすることなく良好に搬送をすることができ、スリップによって生じる擦り傷やしわを防止することができる。そして、面写りが防止されるとともに、案内ローラ48の表面に付着して固化した添加剤により湿潤フィルム12に凹凸がつくこともない。
なお、第1乾燥室16では、20%にまで溶媒含有率が下がってもさらに乾燥を進めてよく、10〜30%の範囲となるまで乾燥を進めることがより好ましい。溶媒含有率が30%よりも小さくなっても後述の案内ローラ48で湿潤フィルム12を支持あるいは搬送することにより、擦り傷やしわの発生を防止する効果がより高くなる。
送風ダクト46からは、湿潤フィルム12に直接吹き付けるように空気が出されてもよいし、湿潤フィルム12に直接吹き付けるのではなく、湿潤フィルム12の周辺の溶剤ガス濃度が飽和しないように第1乾燥室16の内部を循環させるように空気が出されてもよい。
湿潤フィルム12の温度は、主に、送風ダクト46からの空気により調節する。第1乾燥室16における湿潤フィルム12の好ましい温度範囲は10℃以上100℃未満、より好ましくは50℃以上100℃未満である。10℃よりも低いと乾燥効率が悪く、10℃以上の場合と比べて第1乾燥室16の搬送路の長さを長くする必要が生じる。また、100℃以上とすると、湿潤フィルム12が変形してしまうことがある。湿潤フィルム12の温度を10℃以上100℃未満の範囲にするために、送風ダクト46からの乾燥空気の温度は、20℃〜120℃の範囲とすることが好ましい。
湿潤フィルム12は溶媒を含んでいるために、温度が変化すると、接触するものとの摩擦力も変化しやすい。しかし、後述の案内ローラ48を用いることにより、湿潤フィルム12の10℃〜100℃未満という幅広い温度範囲で設定しても、スリップすることなく良好に搬送することができ、湿潤フィルム12に擦り傷やしわが発生することがない。したがって、第1乾燥室16の搬送路の上流側から下流側にかけて湿潤フィルム12の温度が変化するようにこれを設定しても、良好に搬送することができるという効果がある。
また、第1乾燥室16の内部には、不活性ガスを送り出すガス送出部(図示せず)が備えられる。不活性ガスにより内部空気を置換することにより、第1乾燥室16の内部における溶媒ガス濃度を20%以下、より好ましくは1〜20%にする。
第1乾燥室16で搬送される湿潤フィルム12には、ドローテンションが付与されていることが好ましい。ドローテンションとは、湿潤フィルム12の搬送方向における張力である。これにより、湿潤フィルム12のたるみを防止することができる。ドローテンションが付与されている湿潤フィルム12を支持して下流側に案内するフリーローラは、後述の案内ローラ48とすることが好ましい。これにより、湿潤フィルム12に擦り傷やしわが発生することを防止することができ、湿潤フィルム12のドローテンションが10〜300N/mであるときに、この効果は特に大きい。なお、このドローテンションの値は、湿潤フィルム12の幅方向1mあたりに付与される力を意味する。したがって、湿潤フィルム12の幅がn(0<n、単位;m)である場合には、案内ローラ48の効果が特に大きい範囲は、n×10(N)〜n×300(N)である。
第1乾燥室16の搬送路に駆動ローラを配した場合には、この駆動ローラの回転速度を調整することにより、駆動ローラよりも上流側を走行する湿潤フィルム12のドローテンションを調整することができる。そして、この駆動ローラとして後述の案内ローラ48を用いると、たるみを防止する他、擦り傷やしわが発生することなく、案内ローラ48でスリップせずにより良好に搬送することができる。そして、湿潤フィルム12の幅方向における1mあたりのドローテンションが10〜300Nの範囲となるようにすることが好ましく、このようなドローテンションの場合には、従来の例えばサクションローラに比べて、案内ローラ48は上記効果が特に高い。湿潤フィルム12の張力が10N/mよりも小さいと、湿潤フィルム12がたるんで搬送できないといういわゆる搬送不良が生じる場合があり、300N/mよりも大きいと湿潤フィルム12が搬送方向に伸びてしまい縦じわが発生する場合がありうる。
案内ローラ48は、第1乾燥室16に複数備えられてもよい。なお、第1乾燥室16の搬送路に備えられる複数のローラのすべてが案内ローラ48であってもよいし、一部のみが案内ローラ48であってもよい。複数のローラのうち駆動ローラについては案内ローラ48とすることがより好ましいが、フリー回転のローラも案内ローラ48にするとさらに好ましい。
テンタ17に送られた湿潤フィルム12は、その両端部が保持手段(図示せず)により保持され、保持手段の移動により搬送される。そして、この搬送の間に乾燥される。保持手段としては、湿潤フィルム12の側部を把持するクリップや、側部を突き刺して保持する複数のピン等がある。流延支持体としてバンド32を用い、溶剤の一部を蒸発させた後に流延膜38を剥ぎ取る場合には、テンタ17での保持手段はクリップが好ましく、一方、流延支持体としてドラムを用いて溶剤をほとんど蒸発させずに冷却した流延膜を剥ぎ取る場合には、テンタ17での保持手段はピンが好ましい。なお、テンタ17では、湿潤フィルム12は、120℃以上180℃以下の温度とされることにより乾燥を進められる。
湿潤フィルム12は、テンタ17で乾燥された後、その両側端部が耳切装置18により切断除去される。切り離された両側端部はカッターブロワ(図示なし)によりクラッシャ51に送られる。クラッシャ51により、側端部は粉砕されてチップとなる。このチップはドープ製造用に再利用される。
一方、両側端部を切断除去された湿潤フィルム12は、第2乾燥室21に送られて、搬送されながらさらに乾燥される。第2乾燥室21の内部温度は、特に限定されるものではないが、60〜140℃とすることが好ましい。第2乾燥室21の搬送路にも、第1乾燥室16と同様に、案内ローラ48が備えられることがより好ましい。これにより、湿潤フィルム12の温度が例えば100℃以上という高温であってもスリップせずに安定して搬送することができ、湿潤フィルム12に擦り傷や引きつれしわ等がつくことを防止することができる。また、案内ローラ48により異物を湿潤フィルム12に押し付けるということがなく、湿潤フィルム12に凹凸を付けることがない。案内ローラ48を使用すると、さらに、面写りがないという効果がある。
なお、第2乾燥室21の搬送路に備えられる複数のローラのすべてが案内ローラ48であってもよいし、一部のみが案内ローラ48であってもよい。複数のローラのうち駆動ローラについては案内ローラ48とすることがより好ましいが、フリー回転であるいわゆるフリーローラも案内ローラ48にするとさらに好ましい。
乾燥したフィルム19は、冷却室22で略室温にまで冷却することが好ましい。
除電装置23は、除電バー等のいわゆる強制除電装置であり、フィルム19の帯電圧を所定の範囲にする。帯電圧が−3kV〜+3kVとなるようにフィルム19を除電することが好ましい。なお、除電装置23の位置は、冷却室22の下流側に限定されない。
ナーリング付与ローラ対26は、フィルム19の両側端部にエンボス加工でナーリングを付与する。ナーリングされた箇所の凹凸の高さが1μm〜200μmとなるようにエンボス加工をすることが好ましい。
巻き取り部27の内部には、フィルム19を巻き取るための巻取装置52と、その巻き取り時のテンションを制御するためのプレスローラ53とが備えられている。
図2において、案内ローラ48は、ローラ本体48aと、ローラ本体48aの両端部に嵌着された軸部48bとからなる。ローラ本体48aは、湿潤フィルム12をその外周面で支持しながら搬送する。なお、ローラ本体48a、軸部48bの材質としては、耐蝕性に優れたもの、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などが材料として用いられる。
図3において、ローラ本体48aの周面には、断面略半円形状の谷部60および山部61が周方向に沿って形成されている。谷部60および山部61は、軸方向に関して交互に配置されている。谷部60および山部61は、例えば、バイトを用いた精密旋盤で精度良く加工成形される。
谷部60の隣り合う底点60a同士の距離、および山部61の隣り合う頂点61a同士の距離、すなわち、谷部60および山部61のピッチPvおよびPmは、0.01mm以上2mm以下となっている。ピッチPvおよびPmが0.01mm未満であると、旋盤加工が困難となり、もしできたとしても製造コストが掛かって非常に高価になってしまう。また、ピッチPvおよびPmが2mmよりも大きいと、スリップや面写りが発生する。
底点60aから頂点61aまでの高さHv−mは、0.01mm以上1mm以下となっている。高さHv−mが0.01mm未満であると、湿潤フィルム12との間の空気層を除去する効果がなくなり、スリップしやすくなってしまう。高さHv−mが1mmよりも大きいと、旋盤加工が困難となり、もしできたとしても製造コストが掛かって非常に高価になってしまう。
谷部60の断面を形成する円の中心Ovから底点60aまでの距離、および山部61の断面を形成する円の中心Omから頂点61aまでの距離、すなわち、谷部60および山部61の曲率半径RvおよびRmは、0.1mm以上0.5mm以下となっている。曲率半径RvおよびRmが0.1mm未満であると、湿潤フィルム12との接触面積が小さくなり、スリップが発生することがある。曲率半径RvおよびRmが0.5mmよりも大きいと、高さHv−mが低くなりスリップが発生することがある。
図4において、山部61の頂点61aの部分には、軸方向に平行な平坦面70が形成されている。平坦面70は、谷部60および山部61を形成した後に、例えば、研磨機で山部61の頂点61aの部分を研磨することにより加工成形される。この平坦面70の軸方向における幅Wfは、0.05mm以上0.5mm以下となっている。幅Wfが0.05mm未満であると、山部61の加工精度によっては研磨することができない部分が生じる。幅Wfが0.5mmよりも大きいと、上記で規定されるピッチで谷部60および山部61を形成することができない。
以上説明したように、周方向に沿って周面に交互に形成された、断面略半円形状の谷部60および山部61を有し、谷部60および山部61のピッチPv、Pmが0.01mm以上2mm以下、谷部60の底点60aから山部61の頂点61aまでの高さHv−mが0.01mm以上1mm以下の案内ローラ48を用いて湿潤フィルム12を搬送するので、添加剤の固化物が案内ローラ48に付着していても、湿潤フィルム12との間の空気層が効果的に除去され、湿潤フィルム12がスリップしないような摩擦力で案内ローラ48が湿潤フィルム12に接触する。したがって、擦り傷や引きつれしわの発生を防止することができる。また、谷部60および山部61による面写りも発生しない。
山部61の頂点61aの部分に平坦面70を形成し、軸方向における幅Wfを0.05mm以上0.5mm以下とするので、摩擦力をさらに高めることができ、且つ平坦面70によるスジ状の面写りが発生しない。
なお、ピッチPvおよびPmは、より好ましくは0.3mm以上0.5mm以下である。また、高さHv−mは、より好ましくは0.02mm以上0.1mm以下である。
曲率半径RvおよびRmは、より好ましくは0.2mm以上0.4mm以下である。幅Wfは、より好ましくは0.1mm以上0.3mm以下である。
また、湿潤フィルム12の幅は、より好ましくは1800mm以上2500mm以下である。湿潤フィルム12の幅が大きくなるほど、スリップによる擦り傷やしわが発生しやすくなるのが通常ではあるが、案内ローラ48の使用による効果は、1800mm以上2500mmの範囲の幅の湿潤フィルム12でも十分に確認される。
ピッチPvおよびPm、高さHv−m、曲率半径RvおよびRm、幅Wf、湿潤フィルムの幅に関する以上の好ましい各数値範囲では、特に上記の各効果が大きい。
なお、案内ローラ48は、モータ(図示無し)により回転駆動される駆動ローラに適用した場合でも駆動源が接続されていないフリーローラに適用した場合でも良好な効果をもたらす。
以上のように、本発明によると、湿潤フィルムは、溶媒を含み、かつ、乾燥促進のために加熱されているが、本発明によると、20〜80μmのフィルムをつくろうとする場合に、案内ローラ48を用いるので、スリップすることなく湿潤フィルムを案内することができ、擦り傷や引きつれしわ、面写りが湿潤フィルムに発生しない。
[実験1]〜[実験3]
以下の配合でドープ11をつくった。
セルローストリアセテート(酢化度=60.7%) 100重量部
可塑剤a(トリフェニルフォスフェート) 8重量部
可塑剤b(ビフェニルジフェニルフォスフェート) 4重量部
マット剤(二酸化ケイ素の微粒子、平均粒径15nm、モース硬度約7)
0.03重量部
溶剤成分1(ジクロロメタン) 594重量部
溶剤成分2(メタノール) 66重量部
溶液製膜設備10の第1乾燥室16における複数の案内ローラ48のうち、最も上流側のひとつと最も下流側のひとつとを駆動ローラとした。前者を第1駆動ローラと称し、後者を第2駆動ローラと称する。そして、第1駆動ローラと第2駆動ローラとの間の搬送路に配される複数の案内ローラ48はすべてフリーローラとした。第1搬送室16における案内ローラ48での湿潤フィルム12のラップ角はいずれも90°とした。そして、第1駆動ローラの回転速度よりも第2駆動ローラの回転速度を大きくし、第1駆動ローラと第2駆動ローラとの間における湿潤フィルム12の搬送方向における張力が、湿潤フィルム12の幅方向1mあたり80Nとなるようにした。湿潤フィルム12の搬送速度は10m/分とした。なお、第1乾燥室16以外の搬送路に配した駆動ローラ及びフリーローラは、すべて案内ローラ48とした。
案内ローラ48として、直径300mm、面長1000mmのステンレス製(メッキなし)のローラ本体48aに、軸間距離1500mmとなるように軸部48bを嵌着したものを用意した。ローラ本体48aには、ピッチPv、Pm0.5mm、高さHv−m0.04mm、曲率半径Rv0.4mm、Rm0.4mmとなるように谷部60および山部61を形成した。
乾燥後のフィルム19の厚みが40μmとなるように、流延ダイ36からドープ11を流出し、バンド32の上に流延膜38を形成した。バンド32から流延膜38が剥ぎ取られる位置を第1位置、第1乾燥室16の湿潤フィルム12の入口を第2位置、第1乾燥室16の湿潤フィルム12の出口を第3位置とする。そして、第1位置及び第2位置における湿潤フィルム12の溶媒含有率が100重量%となるように、ドープ11と流延室13の内部とバンド32と流延膜38の近傍に配される送風ダクト(図示無し)からの乾燥風との各温度を調節した。
そして、第3位置における溶媒含有率と、第2位置及び第3位置における湿潤フィルム12の各温度とを、表1に示す各値として、実験1〜実験3を実施した。第1乾燥室16には、空気を吹き出す送風ダクト46と、室内のガスを室外に出すための排気ダクト(図示無し)とを設けており、送風ダクト46からの空気の湿度と温度とを調節することにより、第3位置における溶媒含有率と第3位置における湿潤フィルム12の温度とを調節した。
なお、表1の「ローラ」欄における「A」は案内ローラ48であることを意味し、「溶媒含有率」欄及び「フィルムの温度」欄における「P1」は第1位置、「P2」は第2位置、「P3」は第3位置を意味する。
本実施例1の実験1〜実験3で得られたフィルム19に擦り傷や引きつれしわ、面写りが有るか否かを目視にて評価した。擦り傷、引きつれしわ、面写りが確認されなかった場合を「◎」、擦り傷、引きつれしわ、面写りが確認されたもののこれらの程度が非常に小さくて液晶ディスプレイ等へは問題がなく供することができる場合を「○」、擦り傷、引きつれしわ、面写りが確認され液晶ディスプレイ等での使用が困難であるとした場合を「×」とした。この評価結果は、表1の「評価結果」欄に示す。
[比較実験1]及び[比較実験2]
実験1における第1乾燥室16の案内ローラ48を、周面が平滑ないわゆるフラットローラに代え、これを比較実験1とした。また、第1乾燥室16の案内ローラ48を、長手方向の端部から中央に向かうに従い連続して外径が小さくなるいわゆるコンケーブローラに代え、これを比較実験2とした。なお、第1乾燥室16以外の搬送路に配した駆動ローラとフリーローラとは、実験1〜3と同様にすべて案内ローラ48とした。その他の条件と評価方法とは実験1〜実験3と同じである。なお、表1の「ローラ」欄における「B」はフラットローラ、「C」はコンケーブローラであることを意味する。
Figure 2009160803
[実験1]〜[実験3]
案内ローラ48として、直径300mm、面長1000mmのステンレス製(メッキなし)のローラ本体48aに、軸間距離1500mmとなるように軸部48bを嵌着したものを用意した。そして、ローラ本体48aには、ピッチPv、Pm1.0mm、高さHv−m0.5mm、曲率半径Rv0.4mm、Rm0.4mmとなるように谷部60および山部61を形成した。
そして、この案内ローラ48を、実施例1の実験1〜実験3の各案内ローラ48に代えて用い、これらの実験を実施例2の実験1〜3とした。その他の条件は、実施例1の実験1〜3と同じである。そして実施例1と同じように評価した。評価結果は表2に示す。
[比較実験3]
案内ローラとして、直径300mm、面長1000mmのステンレス製(メッキなし)のローラ本体48aに、軸間距離1500mmとなるように軸部48bを嵌着したものを用意した。そして、ローラ本体には、ピッチPv、Pm0.001mm、高さHv−m0.005mm、曲率半径Rv0.4mm、Rm0.4mmとなるように谷部および山部を形成した。その他の条件は実施例1の実験1と同じとした。この実験を比較実験3とし、実施例1と同様に評価した。評価結果は表2に示す。
[比較実験4]
案内ローラとして、直径300mm、面長1000mmのステンレス製(メッキなし)のローラ本体48aに、軸間距離1500mmとなるように軸部48bを嵌着したものを用意した。そして、ローラ本体には、ピッチPv、Pm3.0mm、高さHv−m2.0mm、曲率半径Rv0.4mm、Rm0.4mmとなるように谷部および山部を形成した。その他の条件は実施例1の実験1と同じとした。この実験を比較実験4とし、評価結果は表2に示す。
Figure 2009160803
実施例1の実験1〜実験3では、湿潤フィルム12及びフィルム19が案内ローラ48でスリップすることはなかった。また、谷部及び山部による面写りも発生しなかった。そして、フィルム19には擦り傷やしわがなかった。これに対して比較実験1,2では、第3位置における溶媒含有率を60%として、40%,20%の場合と比べて、第1乾燥室での溶媒の蒸発量を少なくした場合であっても、添加剤のローラへの付着からスリップが生じ、搬送は良好であるとはいえなかった。このために、比較実験1,2で得られたフィルムには擦り傷やしわがあり、また、面写りや添加剤の固化物の跡としての凹凸が確認された。また、実施例2の実験1〜3と比較実験3,比較実験4とからは、山部及び谷部のピッチや、谷部底点から山部頂点までの高さを本願発明の範囲とすることにより、より大きな効果が得られることがわかる。
以上の結果より、本発明によると、湿潤フィルムのローラでのスリップがなく、擦り傷やしわ、面写りが防止され、良好な搬送をすることができることがわかる。これにより、得られるフィルムには擦り傷やしわがなく、平滑である。
溶液製膜設備の概略図である。 ウエブ案内ローラの構成を示す斜視図である。 ウエブ案内ローラの表面形状を示す拡大部分断面図である。 ウエブ案内ローラの表面形状を更に拡大して示す拡大部分断面図である。
符号の説明
10 溶液製膜設備
11 ドープ
12 湿潤フィルム
16 第1乾燥室
17 テンタ
32 バンド
38 流延膜
48 ウエブ案内ローラ
60 谷部
60a 底点
61 山部
61a 頂点
70 平坦面

Claims (6)

  1. ポリマーと溶媒とが含まれるドープを、走行するバンド上に流延して流延膜を形成する流延工程と、この流延膜を前記溶媒が含まれる状態で剥がして湿潤フィルムとする剥離工程と、乾燥手段と前記湿潤フィルムの両側部を保持する保持手段とを備えるテンタにより前記湿潤フィルムを幅方向に延伸しながら乾燥してポリマーフィルムとするテンタ乾燥工程と、前記テンタに入る前の前記湿潤フィルムを乾燥する前乾燥工程とを有する溶液製膜方法において、
    前記ポリマーフィルムの厚みが20〜80μmとなるように前記ドープを流延し、
    前記前乾燥工程では、周方向に沿って周面に交互に形成された断面略半円形状の谷部及び山部を有し、前記谷部及び前記山部のピッチが0.01mm以上2mm以下、前記谷部の底点から前記山部の頂点までの高さが0.01mm以上1mm以下であるローラで、溶媒含有率が30%になるまでの前記湿潤フィルムを支持することを特徴とする溶液製膜方法。
  2. 前記谷部および前記山部の曲率半径が0.1mm以上0.5mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の溶液製膜方法。
  3. 前記山部の頂点部分に、軸方向に平行な平坦面を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の溶液製膜方法。
  4. 前記平坦面の軸方向における幅が0.05mm以上0.5mm以下であることを特徴とする請求項3に記載の溶液製膜方法。
  5. 前記前乾燥工程では、溶媒含有率が70〜150%の範囲の前記湿潤フィルムを、10℃以上100℃未満の温度範囲にして10〜30%の範囲の溶媒含有率となるまで乾燥することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかひとつに記載の溶液製膜方法。
  6. 前記前乾燥工程では、幅1mあたり10N〜300Nの張力を前記湿潤フィルムの搬送方向にかけることを特徴とする請求項1〜5いずれかひとつ記載の溶液製膜方法。
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