以下に、本発明の実施様態について詳細に説明する。ただし、本発明はここに挙げる実施様態に限定されるものではない。
セルロースアシレートの中でも、セルロースの水酸基をカルボン酸でエステル化している割合、つまりアシル基の置換度(以下、アシル基置換度と称する)が下記式(I)〜(III)の全ての条件を満足するものがより好ましい。なお、(I)〜(III)において、A及びBはともにアシル基置換度であり、Aにおけるアシル基はアセチル基であり、Bにおけるアシル基は炭素原子数が3〜22のものである。
2.5≦A+B≦3.0・・・(I)
0≦A≦3.0・・・(II)
0≦B≦2.9・・・(III)
セルロースを構成しβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部がエステル化されて、水酸基の水素が炭素数2以上のアシル基に置換された重合体(ポリマー)である。なお、グルコース単位中のひとつの水酸基のエステル化が100%されていると置換度は1であるので、セルロースアシレートの場合には、2位、3位および6位の水酸基がそれぞれ100%エステル化されていると置換度は3となる。
ここで、グルコース単位の2位のアシル基置換度をDS2、3位のアシル基置換度をDS3、6位のアシル基置換度をDS6とする。DS2+DS3+DS6で求められる全アシル基置換度は2.00〜3.00であることが好ましく、2.22〜2.90であることがより好ましく、2.40〜2.88であることがさらに好ましい。また、DS6/(DS2+DS3+DS6)は0.32以上であることが好ましく、0.322以上であることがより好ましく、0.324〜0.340であることがさらに好ましい。
アシル基は1種類だけでもよいし、あるいは2種類以上であってもよい。アシル基が2種類以上であるときには、そのひとつがアセチル基であることが好ましい。2位、3位及び6位の水酸基の水素のアセチル基による置換度の総和をDSAとし、2位、3位及び6位におけるアセチル基以外のアシル基による置換度の総和をDSBとすると、DSA+DSBの値は2.2〜2.86であることが好ましく、2.40〜2.80であることが特に好ましい。DSBは1.50以上であることが好ましく、1.7以上であることが特に好ましい。そして、DSBはその28%以上が6位水酸基の置換基であることが好ましいが、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは31%以上、特に好ましくは32%以上が6位水酸基の置換基であることが好ましい。また、セルロースアシレートの6位のDSA+DSBの値が0.75以上であることが好ましく、0.80以上であることがより好ましく、0.85以上であることが特に好ましい。以上のようなセルロースアシレートを用いることにより、溶解性が好ましいドープや、粘度が低く、ろ過性がよいドープを製造することができる。特に非塩素系有機溶媒を用いる場合には、上記のようなセルロースアシレートが好ましい。
炭素数が2以上であるアシル基としては、脂肪族基でもアリール基でもよく、特に限定されない。例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどがあり、これらは、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、iso−ブタノイル基、t−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などを挙げることが出来る。これらの中でも、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、t−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などがより好ましく、プロピオニル基、ブタノイル基が特に好ましい。
ドープの原料とするセルロースアシレートは、その90重量%以上が粒径0.1mm〜4mmの粒子であることが好ましい。
なお、セルロースアシレートの詳細については、特開2005−104148号公報の[0140]段落から[0195]段落に記載されており、これらの記載は本発明にも適用することができる。
また、溶媒及び可塑剤,劣化防止剤,紫外線吸収剤,光学異方性コントロール剤,染料,マット剤,剥離剤等の添加剤についても、同じく同じく特開2005−104148号公報の[0196]段落から[0516]段落に詳細に記載されており、これらの記載も本発明に適用することができる。可塑剤としては、周知のトリフェニルフォスフェート(TPP)や、ビフェニルジフェニルフォスフェート(BDT)等を特に好ましく用いることができる。
ドープを製造するための溶媒としては、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン,トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン,クロロベンゼンなど)、アルコール(例えば、メタノール,エタノール,n−プロパノール,n−ブタノール,ジエチレングリコールなど)、ケトン(例えば、アセトン,メチルエチルケトンなど)、エステル(例えば、酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸プロピルなど)及びエーテル(例えば、テトラヒドロフラン,メチルセロソルブなど)などが例示される。なお、ここで、ドープとはポリマーを溶媒に溶解または分散媒に分散して得られるポリマー溶液または分散液である。
TACの溶媒としては、これらの溶媒の中でも炭素原子数1〜7のハロゲン化炭化水素が好ましく、ジクロロメタンが最も好ましい。そして、TACの溶解性、流延膜の支持体からの剥ぎ取り性、フィルムの機械的強度、フィルムの光学特性等の特性の観点から、炭素原子数1〜5のアルコールを一種ないし数種類を、ジクロロメタンに混合して用いることが好ましい。このとき、アルコールの含有量は、溶媒全体に対し2重量%〜25重量%であることが好ましく、5重量%〜20重量%であることがより好ましい。アルコールの好ましい具体例としては、メタノール,エタノール,n−プロパノール,イソプロパノール,n−ブタノール等が挙げられるが、中でも、メタノール,エタノール,n−ブタノール、あるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
環境に対する影響を最小限に抑えることを目的にした場合には、ジクロロメタンを用いずにドープを製造してもよい。この場合の溶媒としては、炭素原子数が4〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルが好ましく、これらを適宜混合して用いることがある。これらのエーテル、ケトン及びエステルは、環状構造を有するものであってもよい。また、エーテル、ケトン及びエステルの官能基(すなわち、−O−,−CO−及び−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、溶媒として用いることができる。また、溶媒は、例えばアルコール性水酸基のような他の官能基を化学構造中に有するものであってもよい。
[ドープ製造方法]
図1にドープ製造設備を示す。ただし、本発明はここに示すドープ製造装置及び方法に限定されない。ドープ製造設備10は、溶媒を貯留するための溶媒タンク11と、セルロースアシレートを供給するためのホッパ12と、添加剤を貯留するための添加剤タンク15と、溶媒とセルロースアシレートと添加剤とを混合して混合液16とする混合タンク17と、混合液16を加熱するための加熱装置18と、加熱された混合液16の温度を調整するための温度調整器21と、温度調整器21からの混合液16をろ過するろ過装置22と、ろ過装置22からのドープ24の濃度を調整するためのフラッシュ装置26と、濃度調整されたドープ24をろ過するためのろ過装置27とを備える。そしてドープ製造設備10には、さらに、溶媒を回収するための回収装置28と、回収された溶媒を再生するための再生装置29とが備えられてある。そして、このドープ製造設備10は、ストックタンク32を介して溶液製膜設備40に接続される。なお、送液量を調節するためのバルブ36〜38と、送液用のポンプ41,42とがドープ製造設備10には設けられるが、これらが配される位置及びポンプ数の増減については適宜変更される。
ドープ製造設備10によりドープ24は以下の方法で製造される。バルブ37を開とすることにより、溶媒は溶媒タンク11から混合タンク17に送られる。次に、セルロースアシレートがホッパ12から混合タンク17に送り込まれる。このとき、セルロースアシレートは、計量と送出とを連続的に行う送出手段により混合タンク17に連続的に送りこまれてもよいし、計量して所定量を送出するような送出手段により混合タンク17に断続的に送り込まれてもよい。また、添加剤溶液は、バルブ36の開閉操作により必要量が添加剤タンク15から混合タンク17に送り込まれる。
添加剤は、溶液として送り込む方法の他に、例えば添加剤が常温で液体である場合には、その液体状態のままで混合タンク17に送り込むことができる。また、添加剤が固体の場合には、ホッパ等を用いて混合タンク17に送り込む方法も可能である。添加剤を複数種類添加する場合には、添加剤タンク15の中に複数種類の添加剤を溶解させた溶液を入れておくこともできる。または、複数の添加剤タンクを用いて、それぞれに添加剤が溶解している溶液を入れ、それぞれ独立した配管により混合タンク17に送り込むこともできる。
前述した説明においては、混合タンク17に入れる順番が、溶媒、セルロースアシレート、添加剤であったが、この順番に限定されない。また、添加剤は必ずしも混合タンク17でセルロースアシレート及び溶媒と混合することに限定されず、後の工程でセルロースアシレートと溶媒との混合物にインライン混合方式等で混合されてもよい。
混合タンク17には、その外表を覆い、混合タンク17との間に伝熱媒体が供給されるジャケット46と、モータ47により回転する第1攪拌機48と、モータ51により回転する第2攪拌機52が取り付けられていることが好ましい。混合タンク17は、ジャケット46の内側に流れ込む伝熱媒体により温度調整され、その好ましい温度範囲は−10℃〜55℃の範囲である。第1攪拌機48,第2攪拌機52のタイプを適宜選択して使用することにより、セルロースアシレートが溶媒により膨潤した混合液16を得る。第1攪拌機48は、アンカー翼を有するものであることが好ましく、第2攪拌機52は、ディゾルバータイプの偏芯型攪拌機であることが好ましい。
次に、混合液16は、ポンプ41により加熱装置18に送られる。加熱装置18は、管本体(図示せず)とこの管本体との間に伝熱媒体を通すためのジャケットとを有するジャケット付き管であることが好ましく、さらに、混合液16を加圧する加圧部(図示せず)を有することが好ましい。このような加熱装置18を用いることにより、加熱条件下または加圧加熱条件下で混合液16中の固形分を効果的かつ効率的に溶解させることができる。以下、このように加熱により固形成分を溶媒に溶解する方法を加熱溶解法と称する。加熱溶解法においては、混合液16を0℃〜97℃となるように加熱することが好ましい。
なお、加熱溶解法に代えて冷却溶解法により固形成分を溶媒に溶解させてもよい。冷却溶解法とは、混合液16を温度保持した状態またはさらに低温となるように冷却しながら溶解を進める方法である。冷却溶解法では、混合液16を−100℃〜−10℃の温度に冷却することが好ましい。以上のような加熱溶解法または冷却溶解法によりセルロースアシレートを溶媒に十分溶解させることが可能となる。
混合液16を温度調整器21により略室温とした後に、ろ過装置22によりろ過して不純物や凝集物等の異物を取り除きドープ24とする。ろ過装置22に使用されるフィルタは、その平均孔径が100μm以下であることが好ましい。ろ過流量は、50リットル/hr.以上であることが好ましい。
ろ過後のドープ24は、バルブ38によりストックタンク32に送られて一旦貯留された後、フィルムの製造に用いられる。
ところで、上記のように、固形成分を一旦膨潤させてから、溶解して溶液とする方法は、セルロースアシレートの溶液における濃度を上昇させる場合ほど、ドープ製造に要する時間が長くなり、製造効率の点で問題となる場合がある。そのような場合には、目的とする濃度よりも低濃度のドープを一旦つくり、その後に目的の濃度とする濃縮工程を実施することが好ましい。例えば、バルブ38により、ろ過装置22でろ過されたドープ24をフラッシュ装置26に送り、このフラッシュ装置26でドープ24の溶媒の一部を蒸発させることによりドープ24を濃縮することができる。濃縮されたドープ24はポンプ42によりフラッシュ装置26から抜き出されてろ過装置27へ送られる。ろ過の際のドープ24の温度は、0℃〜200℃であることが好ましい。ろ過装置27で異物を除去されたドープ24は、ストックタンク32へ送られ一旦貯留されてからフィルム製造に用いられる。なお、濃縮されたドープ24には気泡が含まれていることがあるので、ろ過装置27に送る前に予め泡抜き処理を実施することが好ましい。泡抜き方法としては、例えばドープ24に超音波を照射する超音波照射法等の、公知の種々の方法が適用される。
また、フラッシュ装置26でのフラッシュ蒸発により発生した溶媒ガスは、凝縮器(図示せず)を備える回収装置28により凝縮されて液体となり回収される。回収された溶媒は、再生装置29によりドープ製造用の溶媒として再生されて再利用される。このような回収及び再生利用により、製造コストの点での利点があるとともに、閉鎖系で実施されるために人体及び環境への悪影響を防ぐ効果がある。
以上の製造方法により、セルロースアシレート濃度が5重量%〜40重量%であるドープ24を製造することができる。セルロースアシレート濃度は15重量%以上30重量%以下の範囲とすることがより好ましく、17重量%以上25重量%以下の範囲とすることがさらに好ましい。また、添加剤の濃度は、固形分全体に対して1重量%以上20重量%以下の範囲とすることが好ましい。
なお、TACフィルムを得る溶液製膜法における素材、原料、添加剤の溶解方法、ろ過方法、脱泡、添加方法については、特開2005−104148号公報の[0517]段落から[0616]段落が詳しく、これらの記載も本発明に適用することができる。
[フィルム製造設備及び方法]
図2は溶液製膜設備40を示す概略図である。ただし、本発明は、この溶液製膜設備40に限定されるものではない。溶液製膜設備40には、ストックタンク32から送られてくるドープ24から異物を除去するろ過装置61と、このろ過装置61でろ過されたドープ24を流延してセルロースアシレートフィルム(以下、単にフィルムと称する)62とする流延室63と、フィルム62の両側端部を複数のピンで保持してフィルム62を搬送しながら乾燥するピンテンタ64と、フィルム62の両側端部を把持手段としてのクリップで把持してフィルム62を搬送しながら加熱するクリップテンタ65と、フィルム62の両側端部を切り離す耳切装置67と、フィルム62を複数のローラ68に掛け渡して搬送しながら乾燥する乾燥室69と、フィルム62を冷却するための冷却室71と、フィルム62の帯電量を減らすための除電装置72と、側端部にエンボス加工を施すナーリング付与ローラ対73と、フィルム62を巻き取る巻取室76とが備えられる。
ストックタンク32には、モータ77で回転する攪拌機78が取り付けられており、攪拌機78の回転によりドープ24が撹拌される。そしてポンプ80によりストックタンク32中のドープ24はろ過装置61に送られる。
流延室63には、ドープ24を流出する流延ダイ81と、周面にドープ24が流延される支持体としての流延ドラム82とを備える。
流延ダイ81の幅は特に限定されるものではないが、最終製品となるフィルム62の幅の1.1倍〜2.0倍程度であることが好ましい。また、製膜の際のドープ24の温度が所定温度に保持されるように、流延ダイ81の温度を制御する温度コントローラ(図示なし)が流延ダイ81に取り付けられることが好ましい。さらに、流延ダイ81には、流出するときのビードの厚みを調整するために、流延ダイ81のスリットの隙間を調整する厚み調整ボルト(ヒートボルト)が幅方向に所定の間隔で複数備えられることが好ましく、ヒートボルトが自動厚み調整機構により制御されることが好ましい。ヒートボルトは予め設定されるプログラムによりポンプ(高精度ギアポンプが好ましい)81の送液量に応じて制御され、スリットの隙間のプロファイルが設定される。ドープ24の送り量を精緻に制御するために、ポンプ80は高精度ギアポンプであることが好ましい。また、溶液製膜設備40には、例えば赤外線厚み計のような厚み測定機を設け、フィルム62の厚みプロファイルに基づく調整プログラムと厚み測定機による検知結果とにより、自動厚み調整機構へのフィードバック制御を行ってもよい。製品としてのフィルム62の両側端を除く任意の2つの位置での厚み差が1μm以内となるように、先端リップのスリット間隔を±50μm以下に調整できる流延ダイ81を用いることが好ましい。
ドープ24が流延ダイ81のリップ先端で局所的に乾燥固化することを防止するために、リップ先端に液体を供給するための液体供給装置(図示しない)をリップ先端近傍に取り付けることが好ましい。液体が供給される位置は、流延ビードの両側端部とリップ先端の両側端部と外気とにより形成される三相接触線の周辺部が好ましい。供給される液体の流量は、片側それぞれに対し0.1mL/分〜1.0mL/分とすることが好ましい。この場合の液体は、ドープ24と溶け合う液体または固化したドープ24を溶かす液体であり、ドープ24の溶媒と同じ処方であってもよい。これにより、異物、例えばドープ24から析出した固形成分や外部から流延ビードに混入したものが流延膜24a中に混合してしまうことを防止することができる。なお、溶媒を供給するポンプとしては、脈動率が5%以下のものを用いることが好ましい。
流延ダイ81の下方のドラム82は、駆動手段(図示せず)により回転する。ドラム82の周面の幅は特に限定されるものではないが、ドープ24の流延幅の1.1倍〜2.0倍の範囲であることが好ましい。
ドラム82には、伝熱媒体をドラム82の内部に供給してドラムの表面温度を制御する伝熱媒体循環装置87が備えられる。ドラム82の内部には、伝熱媒体の流路(図示せず)が形成されており、その流路中を、所定の温度に保持されている伝熱媒体が通過することにより、ドラム82の周面の温度が所定の値に保持されるものとなっている。ドラム82の表面温度は、溶媒の種類、固形成分の種類、ドープ24の濃度等に応じて適宜設定する。
ドラム82に代えて、回転ローラ(図示せず)とこの回転ローラに支持されて搬送されるバンド(図示せず)とを用い、このバンドを流延用の支持体として用いることもできる。ドラム82は、回転速度むらが所定の回転速度の0.2%以内となるように高精度で回転できるものであることが好ましい。回転ドラムは、表面の平均粗さが0.01μm以下であることが好ましく、表面がクロムメッキ処理等を施されているものが好ましい。これにより、十分な硬度と耐久性とを向上させることができる。なお、ドラム82は、表面欠陥が最小限に抑制されていることが好ましい。具体的には、30μm以上のピンホールが無く、10μm以上30μm未満のピンホールは1個/m2 以下であり、10μm未満のピンホールは2個/m2 以下であることが好ましい。
流延ダイ81の近傍には、減圧チャンバ90が備えられる。減圧チャンバ90は、流延ダイ81からドラム82にかけて形成される流延ビードの、ドラム82回転方向における上流側のエリアの空気を吸って減圧する。
流延室63には、その内部温度を所定の値に保つための温調装置97と、ドープ24及び流延膜24aから蒸発した溶媒を凝縮回収するための凝縮器(コンデンサ)98とが設けられる。そして、凝縮液化した溶媒を回収するための回収装置99が流延室63の外部には設けられてある。
流延室63からピンテンタ64に至る渡り部101には、送風機(図示せず)が備えられてもよい。ピンテンタ64とクリップテンタ65との間には、耳切装置(図示せず)が備えられることが好ましい。この耳切装置は、ピンテンタ64においてピンで保持されたフィルム62の両側端部を切断除去するものである。これにより、クリップテンタ65のクリップによる把持を、より確実に行うことができる。クリップテンタ65の下流側の耳切装置67には、切り取られたフィルム62の側端部屑を細かく切断処理するためのクラッシャ103が備えられる。
乾燥室69には、フィルム62から蒸発して発生した溶媒ガスを吸着回収するための吸着回収装置106が取り付けられてある。乾燥室69の下流には冷却室71が設けられており、乾燥室69と冷却室71との間にフィルム62の含水量を調整するための調湿室(図示しない)がさらに設けられてもよい。除電装置72は、除電バー等のいわゆる強制除電装置であり、フィルム62の帯電圧を所定の範囲となるように調整する。除電装置72の位置は、冷却室71の下流側に限定されない。ナーリング付与ローラ対73は、フィルム62の両側端部にエンボス加工でナーリングを付与する。巻取室76の内部には、フィルム62を巻き取るための巻取ロール107と、その巻き取り時のテンションを制御するためのプレスローラ108とが備えられている。
次に、溶液製膜設備40によりフィルム62を製造する方法の一例を以下に説明する。ドープ24は、ストックタンク32に送られ、この中で攪拌機78の回転により常に均一にされる。これにより、流延に供されるまで、固形分の析出や凝集が抑制される。ドープ24には、この攪拌の際にも各種添加剤を適宜混合させることができる。そして、ろ過装置61でのろ過により、所定粒径以上のサイズの異物やゲル状の異物を取り除く。
ろ過された後のドープ24は、流延ダイ81からドラム82に流延される。流延時におけるドープ24の温度は30〜35℃の範囲で一定、ドラム82の表面温度は−10〜10℃の範囲で一定とされることが好ましい。流延室63の温度は、温調装置97により10℃〜30℃とされることが好ましい。なお、流延室63の内部で蒸発した溶媒は回収装置99により回収された後、再生させてドープ製造用の溶媒として再利用される。
流延ダイ81からドラム82にかけては流延ビードが形成され、ドラム82上には流延膜24aが形成される。流延ビードの様態を安定させるために、このビードに関し上流側のエリアは、所定の圧力値となるように減圧チャンバ90で制御される。ビードに関して上流側のエリアの圧力は、下流側のエリアよりも2000Pa〜10Pa低くすることが好ましい。なお、減圧チャンバ90にジャケット(図示しない)を取り付けて、内部温度が所定の温度を保つようにすることが好ましい。この温度は、ドープの溶媒の凝縮点以上であることが好ましい。また、流延ビードを所望の形状に保つために、流延ダイ81のエッジ部に吸引装置(図示せず)を取り付けてビードの両側を吸引することが好ましい。この吸引風量は、1L/min.〜100L/min.の範囲であることが好ましい。
剥ぎ取りは、流延膜24aの溶媒残留率の高低に関わらず、流延膜24aが搬送に十分な硬さとなっていれば行うことができる。しかし、溶媒残留率ができるだけ高いうちに、具体的には150重量%以上320重量%以下の範囲のときに流延膜24aをドラム82から剥ぎ取ることが好ましい。320重量%よりも高いときには、剥ぎ取りが事実上困難であるからである。一方、150重量%よりも小さくなってから剥ぎ取るとすると、流延膜24aを乾燥空気の吹きつけ等で乾燥させねばならない時間が長くなり、そのため、流延膜24aの表面が粗くなってしまうことがある。このように溶媒残留率が高いうちに流延膜24aを剥ぎ取ることにより、後工程、具体的にはクリップテンタ65によるセルロースアシレート分子の配向制御をより効果的に行うことができる。なお、溶媒残留率は乾量基準の値であり、具体的には、溶媒の重量をx、流延膜24aの重量をyとするときに、{x/(y−x)}×100で求める値である。
溶媒残留率ができるだけ高いうちに流延膜24aを剥ぎ取るためには、流延膜24aをドラム82により冷却してゲル状にし、固化させることが好ましい。そして、流延膜24aが自己支持性をもつようになったら、剥取ローラ109で支持しながらドラム82から剥ぎ取る。生産速度を50m/分以上の高速とする場合には、溶媒残留率が250%以上でも剥ぎ取りが可能なように冷却を急速に行うことが好ましい。生産効率を考慮すると、冷却により流延膜24aの露出面が十分に固まったならば、流延膜24aの近傍に乾燥空気を流す等の手段を講じることにより、剥ぎ取り後の搬送安定性をより向上することができる。
湿潤フィルム、つまり溶媒を含んだ状態のフィルム62は、ピンテンタ64に送られる。ピンテンタ64に送られたフィルム62は、その両端部がピンにより保持されて、ピンの走行により搬送される。そしてフィルム62は搬送されながらテンタ64内に設けられた送風ダクト74からの乾燥風により乾燥される。
フィルム62は、ピンテンタ64で、溶媒残留率が0.1重量%以上10重量%以下となるまで乾燥することが好ましい。溶媒残留率が150重量%以上320重量%以下の範囲のときに流延膜24aを剥ぎ取り、ピンテンタ64で溶媒残留率が上記範囲となるまで乾燥することにより、クリップテンタ65におけるセルロースアシレート分子の配向制御がさらに効果的に行われる。すなわち、クリップテンタ65での後述の工程での、遅相軸の方向制御効果と、Re,Rthを高める効果と、光学ムラの改良効果とが高まる。ただし、本発明ではピンテンタ64での乾燥は、溶媒残留率が上記の範囲となるまで実施せずともよい。つまり溶媒残留率が10重量%よりも高い状態のフィルム62をクリップテンタ65に送り込んでもよい。
クリップテンタ65では、フィルム62の側端部をクリップで把持する。そしてフィルム62は搬送されながら、クリップテンタ65の送風ダクト75から出される乾燥空気により加熱される。ピンテンタ64を用いた場合、つまりフィルム62の溶媒残留率が非常に小さくなっている場合にも、ピンテンタ64を用いない場合、つまりフィルム62の溶媒残留率が大きいままの場合にも、クリップテンタ65での工程を実施することはできる。したがって、クリップテンタ65を用いずにピンテンタ64の後に耳切装置67,乾燥室69を経て一旦巻き取ったフィルムを、このクリップテンタ65により加熱して後述の工程を行ってもよい。しかし、溶媒残留率について最も好ましいのは、クリップテンタ65における加熱の開始時に0.1重量%以上10重量%以下となっていることである。0.1重量%よりも小さいと、クリップテンタ64における延伸に必要なエネルギーが大きくなりそのためコストが大幅に増加してしまうことがあり、10重量%よりも大きいと、光学ムラの改良効果が小さくなってしまうことがあるからである。
クリップテンタ65を出たフィルム62は、その両側端部が耳切装置67により切断除去される。切り離された両側端部はカッターブロワ(図示なし)によりクラッシャ103に送られる。クラッシャ103により、細長い側端部は細かくされてチップとなる。このチップはドープ製造用に再利用されるので、原料の有効利用を図ることができる。なお、この両側端部の切断工程については省略することもできるが、前記流延工程から前記フィルムを巻き取る工程までのいずれかで行うことが好ましい。
一方、両側端部を切断除去されたフィルム62は、乾燥室69に送られて、さらに乾燥される。乾燥室69では、フィルム62はローラ68に巻き掛けられながら搬送される。乾燥室69の内部温度は、特に限定されるものではないが、50〜160℃とすることが好ましい。なお、乾燥室69は、送風温度を変えるために、フィルムの搬送方向で複数の区画に分割されていることがより好ましい。また、耳切装置67と乾燥室69との間に予備乾燥室(図示せず)を設けてフィルム62を予備乾燥すると、乾燥室69でフィルム温度が急激に上昇することが防止されるので、乾燥室69でのフィルム62の形状変化を抑制することができる。乾燥室69で蒸発して発生した溶媒ガスは、吸着回収装置106により吸着回収される。溶媒成分が除去された空気は、乾燥室69の内部に乾燥風として再度送られる。
フィルム62は、冷却室71で略室温にまで冷却される。なお、乾燥室69と冷却室71との間に調湿室を設ける場合には、調湿室では所望の湿度及び温度に調整された空気をフィルム62に吹き付けることが好ましい。これにより、フィルム62のカールの発生や巻き取る際の巻き取り不良を抑制することができる。
溶液製膜方法では、支持体から剥ぎ取られたフィルムを巻き取るまでの間に、乾燥工程や側端部の切除除去工程などの様々な工程が行われている。これらの各工程内、あるいは各工程間では、フィルムは主にローラにより支持または搬送されている。これらのローラには、駆動ローラと非駆動ローラとがあり、非駆動ローラは、主に、フィルムの搬送路を決定するとともに搬送安定性を向上させるために使用される。
除電装置72により、フィルム62が搬送されている間の帯電圧を所定の値とする。除電後の帯電圧は−3kV〜+3kVとされることが好ましい。さらに、フィルム62は、ナーリング付与ローラ対73によりナーリングが付与されることが好ましい。なお、ナーリングされた箇所の凹凸の高さが1μm〜200μmであることが好ましい。
フィルム62は、巻取室76の巻取ロール107で巻き取られる。プレスローラ108で所望のテンションをフィルム62に付与しつつ巻き取ることが好ましい。なお、テンションは巻取開始時から終了時まで徐々に変化させることがより好ましく、これによりフィルムロールにおける過度な巻き締めを防止することができる。巻き取られるフィルムの長さは100m以上とすることが好ましい。巻き取られるフィルム62の幅は600mm以上であることが好ましく、1400〜2500mm以下であることが好ましい。しかし、2500mmよりも幅が大きい場合でも本発明は適用される。また、本発明は、厚みが15μm以上100μm以下の薄いフィルムを製造する際にも本発明は適用される。
本発明では、ドープ24を流延する際に、2種類以上のドープを同時積層共流延又は逐次積層共流延させる方法を用いてもよい。同時積層共流延を行う際には、フィードブロックを取り付けた流延ダイを用いても良いし、マルチマニホールド型流延ダイを用いても良い。共流延により多層からなるフィルムは、表面に露出する2層のうちいずれか一方の厚さが、フィルム全体の厚みの0.5%〜30%であることが好ましい。さらに、同時積層共流延を行う場合には、ダイスリットから支持体にドープを流延する際に、高粘度ドープが低粘度ドープにより包み込まれて流延されるように各ドープの濃度を予め調整しておくことが好ましい。また、同時積層共流延を行なう場合には、ダイスリットから支持体にかけて形成されるビードのうち、外界と接する、つまり露出するドープが内部のドープよりも貧溶媒の比率が大きい処方とされることが好ましい。
流延ダイ、減圧チャンバ、支持体などの構造、共流延、剥離法、延伸、各工程の乾燥条件、ハンドリング方法、カール、平面性矯正後の巻取り方法から、溶媒回収方法、フィルム回収方法まで、特開2005−104148号公報の[0617]段落から[0889]段落に詳しく記述されている。これらの記載は本発明に適用することができる。
図3はクリップテンタ65におけるフィルム62の説明図である。矢線X1,X2はフィルム62の幅方向であり、矢線Yはフィルム62の搬送方向である。テンタ65において、クリップによるフィルム62の保持を開始する位置を第1位置P1、保持を解除する位置を第2位置P2とする。なお、テンタ64の入口は第1位置P1よりも少しだけ上流側、出口は第2位置よりも少しだけ下流側にあるが、図4においては図示を略す。
クリップテンタ65は、搬送方向Yに沿って、フィルム62を加熱する第1加熱部〜第3加熱部111〜113と、フィルム62の温度を下げる降温部115とを、この順序で有する。第1加熱部111から降温部115までのフィルム搬送路の上方には、送風ダクト75(図2参照)が備えられ、この送風ダクトには、幅方向X1,X2方向に延び、乾燥空気が出るスリットがフィルム搬送路方向に複数並んで形成されている。また、送風ダクト内はフィルムの搬送方向で複数に区画されており、送風ダクトに接続する送風機からは区画毎に温度が異なる空気が送り込まれる。これにより、区画毎に、スリットから出される空気の温度が変えられる。この空気の温度を調整することにより、フィルム62の温度を変化させるとともに、フィルム62の乾燥を進める。
第1加熱部111の上流端は第1位置P1であり、下流端を第3位置P3とする。第1加熱部111では、フィルムの温度を上げて、180℃より高く250℃以下の範囲にする。昇温させたら所定時間、一定温度を保つことが好ましい。この温度をT1とする。第1加熱部111におけるこの加熱処理により、フィルム62に高いRe,Rth、例えば35〜80nmのRe、100〜300のRthを発現させることができる。なお、第1加熱部111では、フィルムの幅を第1位置P1での幅L1のままに保持することが好ましい。
第2加熱部112の上流端は第1加熱部111の下流端P3と同じであり、第2加熱部112の下流端を第4位置P4とする。第1加熱部でT1に温度を保持されたフィルムは、第2加熱部112に送られて温度がT1よりも下がるように加熱される。そして130℃以上(T1−10)℃以下の範囲に下がったら、所定時間、その温度で一定に保つことが好ましい。この温度をT2とすると、130℃≦T2≦(T1−10)℃が成り立つ。第2加熱部112での上記加熱処理により、Re,Rthを下げることなく、遅相軸方向が、幅方向X1,X2で等しくなる。なお、第2加熱部112では、フィルム62の幅を第1位置P2での幅L1のままに保持することが好ましい。
第3加熱部113の上流端は第2加熱部112の下流端である第4位置と同じであり、第3加熱部113の下流端を第5位置P5とする。そして、第3加熱部113では、フィルム62を加熱してT2よりも高い温度にする。しかし、T1よりも低い温度とし一定時間この温度を保つことが好ましい。すなわち、第3加熱部113でのフィルム62の温度の最高値をT3とすると、T2<T3<T1の条件を満たすことが好ましい。
フィルム62がクリップテンタ65に入るときの幅を第1幅L1とすると、第3工程では、T2からT3への昇温過程及びT3の温度を保持する間に、フィルム62の幅を大きくする。以降の説明において、幅を大きくすることを「拡幅」と称する。拡幅は、クリップを幅方向X1,X2方向へ移動することにより、フィルム62に張力を加えて行う。張力は、フィルム62の幅方向における中心に関して対称に、フィルム62に付与されることが好ましい。分子配向の制御を、フィルム62の幅方向で均等に行うためである。拡幅は、第1幅L1が2倍以内となるように、つまり、100%よりも大きく200%よりも小さい拡幅率となるように行うことが好ましい。ここで、拡幅後の幅を第2幅L2とするとき、拡幅率は、{(L2−L1)/L1}×100で求める値である。なお、図4において符号KLは、クリップで保持されるフィルム62の保持対象部のうち、フィルム62の幅方向における最も中央部側の位置を表し、第1幅,第2幅L1,L2はいずれも両側の保持対象ラインKL間の距離である。
本実施形態では、拡幅を開始する位置を、第3加熱部113の上流端である第4位置P4としたが、第4位置P4よりも下流側であってもよい。また、拡幅を終える位置は、第3加熱部の下流端である第5位置P5に限定されず、第5位置P5よりも上流側であってもよい。第3加熱部113における上記の加熱処理と拡幅処理とにより、Reの温度依存性を低減することができる。しかも、Re,Rthを下げることなく、そして遅相軸の幅方向X1,X2における均一性を損なうことなく、Reの温度依存性を低減することができる。
降温部115の上流端は第3加熱部113の下流端である第5位置と同じであり、下流端は第2位置P2である。降温部115では、把持を解除するときのフィルム62の温度がT3よりも10℃以上低くなるように、フィルム62の温度を下げる。送風ダクトからの空気の温度を室温程度にして積極的にフィルム62の温度を下げてもよいし、降温部115の搬送路を長くできるときには送風ダクトからの温度を室温以上であってT3より10℃以上低い温度にしてフィルム62の温度を徐々に低下させてもよい。降温部115での降温処理により、Re,Rthを下げることなく、そして遅相軸の幅方向X1,X2における均一性を損なうことなく、さらにReの温度依存性の低減を損なうことなく、Re,Rthの幅方向X1,X2方向で一定にすることができ、光学ムラが解消される。
降温部115では、第5位置P5におけるフィルム62の幅L2を保持することが好ましい。これにより、光学ムラの解消をより効果的に行うことができる。
以上のように、第1〜第3加熱部111〜113及び降温部115による、加熱と降温と拡幅との処理により、Re,RthをアップさせてReの温度依存性を下げ、遅相軸を幅方向X1,X2で同じ方向にして、光学ムラが解消される。この効果は、セルロースアシレートよりも高いRe,Rthをもつレタデーション制御剤をドープに加えて、高いRe,Rthのフィルムを製造する場合に、特に高い。また、クリップテンタ65による上記加熱と降温と拡幅との処理を、溶融製膜によりつくったフィルムに対して行うと、同様の光学特性をもつフィルムとすることができるので、セルロースアシレートフィルム以外の光学用途フィルムの光学特性制御に適用することができる。
[性能・測定法]
(カール度・厚み)
巻き取られたセルロースアシレートフィルムの性能及びそれらの測定法は、特開2005−104148号の[0112]段落から[0139]段落に記載されている。これらも本発明にも適用することができる。
(用途)
前記セルロースアシレートフィルムは、特に偏光板保護フィルムとして有用である。セルロースアシレートフィルムを偏光子に貼り合わせて偏光板とし、液晶表示装置は、通常は、液晶層が2枚の偏光板で挟まれる構造である。ただし、液晶層と偏光板との配置は限定されるものではなく、周知の各種配置とすることができる。特開2005−104148号公報には、液晶表示装置として、TN型,STN型,VA型,OCB型,反射型、その他の例が詳しく記載されており、これは、本発明にも適用することができる。また、同公報には光学的異方性層を付与したセルロースアシレートフィルムや、反射防止、防眩機能を付与したセルロースアシレートフィルム、適度な光学性能を付与した二軸性セルロースアシレートフィルムとしてこれを光学補償フィルムとして用いる記載もある。これらは、偏光板保護フィルムと兼用することもできる。これらの記載内容は、本発明にも適用することができる。特開2005−104148号の[1088]段落から[1265]段落に詳細が記載されている。
得られるフィルムは、偏光板保護フィルムとして用いることができる。さらにテレビ用途などの液晶表示装置の視野角依存性を改良するための光学補償フィルムとしても使用可能である。そのため、従来のTNモードだけでなくIPSモード、OCBモード、VAモードなどにも用いられる。また、前記偏光板保護膜用フィルムを用いて偏光板を構成しても良い。