JP2009226824A - 溶液製膜方法及び溶液製膜設備 - Google Patents

溶液製膜方法及び溶液製膜設備 Download PDF

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Abstract

【課題】搬送方向への伸びを抑制し、異方性の少ないポリマーフィルムを迅速に製造する。
【解決手段】ポリマーと溶媒とが含まれるドープを流延ダイから、走行する支持体の表面に流延して帯状の流延膜を形成する。その後に、支持体の表面から剥ぎ取りローラにより流延膜を剥ぎ取り、剥ぎ取った後の流延膜を、ゲル状の湿潤フィルム31として複数のガイドローラ36で搬送してテンターに案内する。ガイドローラ36の周面は、湿潤フィルム31の耳部31eと接触する耳部接触領域68e、及び湿潤フィルム31の製品部31cと接触する製品部接触領域68cを有する。耳部接触領域68eには、断面半円形状の谷部及び山部がX方向に交互に並んでいる。
【選択図】図3

Description

本発明は、ポリマーフィルムを製造する溶液製膜方法及び溶液製膜設備に関する。
ポリマーフィルム(以下、フィルムと称する)は、優れた光透過性や柔軟性および軽量薄膜化が可能であるなどの特長から光学機能性フィルムとして多岐に利用されている。中でも、セルロースアシレートなどを用いたセルロースエステル系フィルムは、光学的に透明性が高いことと、光学的に等方性が高いことから、液晶表示装置のように偏光を取り扱う装置用の光学材料として優れており、これまで偏光膜の保護フィルムや、斜め方向からの見た表示を良化(視野角補償)できる光学補償フィルムの支持体として用いられている。
液晶表示装置用の部材のひとつである偏光板は、偏光膜と、偏光膜に貼り付けられた保護フィルムとからなる。一般的な偏光膜は、延伸されたポリビニルアルコール(PVA)系フィルムをヨウ素または二色性色素で染色することにより得られる。多くの場合、偏光膜の保護フィルムとしては、偏光膜に直接貼り合わせることができるセルロースアシレートフィルムが用いられている。そして、偏光板の特性は、保護フィルムの光学特性に大きく左右されるため、偏光膜の保護フィルム等には、高い光学的等方性等の光学特性が求められる。
最近の液晶表示装置においては、視野角特性等の改善がより強く要求されるようになっており、偏光膜の保護フィルムや光学補償フィルムの支持体などに用いられるフィルムには、より高い光学的等方性が求められている。
フィルムの主な製造方法としては、溶融押出方法と溶液製膜方法とがある。溶融押出方法とは、ポリマーをそのまま加熱溶解させた後、押出機で押し出してフィルムを製造する方法であり、生産性が高く、設備コストも比較的低額であるなどの特徴を有する。しかし、膜厚精度を調整することが難しく、また、フィルム上に細かいスジ(ダイライン)ができるために、光学機能性フィルムへ使用することができるような高品質のフィルムを製造することが困難である。一方、溶液製膜方法は、溶融押出方法と比べて、光学等方性や厚み均一性に優れるとともに、含有異物の少ないフィルムを得ることができるため、表示装置などに用いられる光学フィルムは、主に溶液製膜方法で製造されている。
この溶液製膜方法の概要について説明する。まず、セルローストリアセテートなどのポリマーをメチレンクロライドや酢酸メチル等の溶媒に溶解し、ドープを調製する。次に、このドープに所定の添加剤を混合し、流延ドープを調製する。第3に、流延ドープを流延ダイの流出口から走行する支持体(キャスティングドラムやエンドレスバンドなど)上に流延する(以下、流延工程と称する)。このとき、流延ダイの流出口と支持体との間の流延ドープは、流延ビードを形成する。こうして、流延工程において、支持体上に流延膜が形成される。第4に、この支持体が所定の走行速度で流延膜を搬送する。第5に、流延膜に自己支持性を発現させた後、支持体から流延膜を湿潤フィルムとして剥ぎ取る。第6に、この湿潤フィルムを、支持体から乾燥手段まで搬送し、乾燥手段内にて、この湿潤フィルムに残留する溶媒を蒸発させる乾燥工程を行う。最後に、乾燥工程を経た湿潤フィルムを、フィルムとして巻き取る。
上記の溶液製膜方法において、複数のガイドローラを用いて湿潤フィルムを搬送する場合には、搬送時の湿潤フィルムのタルミやツレを防止するために、上流側に配される第1ドライブローラと、第1ドライブローラよりも下流側に設けられ、第1ドライブローラよりも周速度が早い第2ドライブローラとからなるドライブローラ対を用いて、湿潤フィルムの搬送方向のテンションを湿潤フィルムに付与しながら搬送する方法が知られている(例えば、特許文献1)。
特開2000−176950号公報
しかしながら、残留溶媒量が高い、すなわちゲル状の湿潤フィルムに所定の張力を付与すると、湿潤フィルム中のポリマー分子が張力の方向に配向しやすい。したがって、ドライブローラ対を用いて湿潤フィルムを搬送すると、湿潤フィルム中のポリマー分子が搬送方向に配向してしまい、最終的に得られるフィルムにおいて、光学特性に異方性を生じてしまう。
また、近年の光学フィルムの需要の著しい増大に応えるため、生産効率の高い溶液製膜方法の確立が求められている。しかしながら、溶液製膜方法における製膜速度が増大するに伴い、湿潤フィルムの搬送速度、すなわち、搬送ローラの周速度が増大する。そして、湿潤フィルムの搬送速度やガイドローラの周速度の増大により、ガイドローラと湿潤フィルムとの間に、空気が入り込みやすくなってしまう。このように、ガイドローラと湿潤フィルムとの間において、空気の入り込みが発生すると、ガイドローラとの間で湿潤フィルムがスリップしてしまうおそれがある。
本発明は、上記課題を解決するものであり、光学的等方性に優れたポリマーフィルムを効率よく製造する溶液製膜方法及び溶液製膜設備を提供することを目的とする。
第1の発明は、ポリマーと溶媒とを含むドープを走行する支持体に流延して長尺状の流延膜を形成し、前記流延膜が前記支持体上で自己支持性を有した後に前記支持体から湿潤フィルムとして剥ぎ取り、この剥ぎ取った前記湿潤フィルムをガイドローラで支持して乾燥装置に送り、前記乾燥装置で前記湿潤フィルムを乾燥させる溶液製膜設備において、前記ガイドローラを、円柱状のローラ本体と、前記ローラ本体の周面で、前記流延膜の幅方向両端の耳部が接触する耳部接触領域に設けられ、前記ローラ本体の周方向に沿い、前記ローラ本体の回転軸方向に離間して形成される複数の突条とから構成し、前記突条は、前記ローラ本体の前記回転軸を含む断面において、曲率半径が0.1mm以上0.5mm以下である略円弧状の頂部を有し、複数の突条の前記回転軸方向におけるピッチが0.01mm以上2mm以下であり、前記各突条の間を谷とし、この谷の底部と前記頂部との高さが0.01mm以上1mm以下であることを特徴とする。
第2の発明は、ポリマーと溶媒とを含むドープを走行する支持体に流延して長尺状の流延膜を形成し、前記流延膜が前記支持体上で自己支持性を有した後に前記支持体から湿潤フィルムとして剥ぎ取り、この剥ぎ取った前記湿潤フィルムをガイドローラで支持して乾燥装置に送り、前記乾燥装置で前記湿潤フィルムを乾燥させる溶液製膜設備において、前記ガイドローラを、円柱状のローラ本体と、前記ローラ本体の周面で、前記流延膜の幅方向両端の耳部が接触する耳部接触領域に設けられ、前記ローラ本体の周方向に沿い、前記ローラ本体の回転軸方向に離間して形成される複数の突条とから構成し、前記突条は、前記ローラ本体の前記回転軸を含む断面において、前記回転軸方向に平行で前記回転軸方向の長さが0.05mm以上0.5mm以下の平坦状の頂部を有し、複数の突条の前記回転軸方向におけるピッチが0.01mm以上2mm以下であり、前記各突条の間を谷とし、この谷の底部と前記頂部との高さが0.01mm以上1mm以下であることを特徴とする。
前記ローラ本体の周面において、前記耳部を除く前記流延膜からなる製品部が接触する製品部接触領域に対し、前記突条の頂部が突出していることが好ましい。また、前記ローラ本体の一端部に形成される第1耳部接触領域と、前記ローラ本体の他端部に形成される第2耳部接触領域とに形成される前記突条を互いに巻き方向が異なる螺旋状に形成し、前記流延膜の走行時に、前記流延膜の走行方向に向かうに従い、前記1対の螺旋状突条が次第に離れるように前記ローラ本体の向きを規定することが好ましい。更に、前記乾燥装置は前記耳部を保持して前記湿潤フィルムを乾燥するピンテンタであることが好ましい。加えて、前記支持体の温度が−15℃以上0℃以下であることが好ましい。
第3の発明は、ポリマーと溶媒とを含むドープを走行する支持体上に流延し、長尺状の流延膜を形成する流延膜形成工程、前記流延膜が前記支持体上で自己支持性を有した後に前記支持体から湿潤フィルムとして剥ぎ取る剥取工程、この剥ぎ取った前記湿潤フィルムを乾燥装置に送る渡り工程、渡り工程を経た前記湿潤フィルムを前記乾燥装置により乾燥させる乾燥工程とを備える溶液製膜方法において、前記湿潤フィルムを支持する前記ガイドローラを用いて前記渡り工程を行い、前記ガイドローラを、円柱状のローラ本体と、前記ローラ本体の周面で、前記流延膜の幅方向両端の耳部が接触する耳部接触領域に設けられ、前記ローラ本体の周方向に沿い、前記ローラ本体の回転軸方向に離間して形成される複数の突条とから構成し、前記突条は、前記ローラ本体の前記回転軸を含む断面において、曲率半径が0.1mm以上0.5mm以下である略円弧状の頂部を有し、複数の突条の前記回転軸方向におけるピッチが0.01mm以上2mm以下であり、前記各突条の間を谷とし、この谷の底部と前記頂部との高さが0.01mm以上1mm以下であることを特徴とする。
第4の発明は、ポリマーと溶媒とを含むドープを走行する支持体上に流延し、長尺状の流延膜を形成する流延膜形成工程、前記流延膜が前記支持体上で自己支持性を有した後に前記支持体から湿潤フィルムとして剥ぎ取る剥取工程、この剥ぎ取った前記湿潤フィルムを乾燥装置に送る渡り工程、渡り工程を経た前記湿潤フィルムを前記乾燥装置により乾燥させる乾燥工程とを備える溶液製膜方法において、前記湿潤フィルムを支持する前記ガイドローラを用いて前記渡り工程を行い、前記ガイドローラを、円柱状のローラ本体と、前記ローラ本体の周面で、前記流延膜の幅方向両端の耳部が接触する耳部接触領域に設けられ、前記ローラ本体の周方向に沿い、前記ローラ本体の回転軸方向に離間して形成される複数の突条とから構成し、前記突条は、前記ローラ本体の前記回転軸を含む断面において、前記回転軸方向に平行で前記回転軸方向の長さが0.05mm以上0.5mm以下の平坦状の頂部を有し、複数の突条の前記回転軸方向におけるピッチが0.01mm以上2mm以下であり、前記各突条の間を谷とし、この谷の底部と前記頂部との高さが0.01mm以上1mm以下であることを特徴とする。
本発明によれば、湿潤フィルムを支持搬送するガイドローラの周面のうち、湿潤フィルムの耳部と接触する耳部接触領域に、周方向に伸び、回転軸方向に離間して形成される突条を有するため、突条の頂部で湿潤フィルムを支持しつつ、湿潤フィルムと突条の間に形成された谷部との隙間からエアを逃がすことが可能となる。したがって、湿潤フィルムの搬送速度が高速になった場合でも、前記隙間からエアを確実に逃がすことができるので、湿潤フィルムを高速で確実に搬送することができる。更に、前記波状部を有するガイドローラにより湿潤フィルムの幅方向両側縁部を支持するため、搬送のためのグリップ力を保持しつつ、搬送によるポリマー分子の配向を抑えることができる。したがって、本発明によれば、光学的等方性に優れたポリマーフィルムを容易に効率よく製造することができる。また、突状や谷の寸法、形状は、ウェブとローラ本体の周面とが接触する接触面積、及びローラ本体の軸を含む断面における当該谷の断面積がそれぞれ一定以上となるように、適宜調節すればよい。これにより、ウェブに対する保持力を一定以上に保持すること、及び、ウェブとローラ本体の周面と間に流入したエアを谷に逃がし、スリップの発生を抑えることを同時に実現することができる。
以下に、本発明のガイドローラの実施形態について詳細に説明する。なお、本発明はここに挙げる実施形態に限定されるものではない。
ポリマーフィルム製造設備10は、図1に示すように、配管を介して接続されたドープ製造設備11より供給されるドープ12を、走行(回転)する流延ドラム(キャスティングドラム)13の表面に流延して流延膜14を形成し、この流延膜14を流延ドラム24から剥ぎ取って湿潤フィルムとし、湿潤フィルムを乾燥させることによりポリマーフィルム(以下、「フィルム」と称す)15を得る。
ポリマーフィルム製造設備10は、大別して、流延装置16、渡り部17、テンター装置18、乾燥室21、冷却室22、及び、巻取室23等で構成されている。
流延装置16には、ケーシングの内部に、流延ドラム24、流延ダイ(エクスクルージョンダイ)25、減圧チャンバ26、剥取ローラ27、温調装置28、伝熱媒体循環装置29、及び、凝縮器30等が配されている。
剥取ローラ27は、流延ドラム24の周面24aから流延膜14を剥ぎ取り、剥ぎ取った流延膜14を湿潤フィルム31としてケーシングに設けた出口から渡り部17に向けて帯状に案内する。温調装置28は、ケーシング内の温度を調節する。凝縮器30は、コンデンサ32と、回収装置33とからなる。コンデンサ32は、流延室の内部に浮遊する蒸発した溶媒を凝縮液化させる。回収装置33は、凝縮液化した溶媒を回収する。
流延ダイ25は、先端にドープ12を吐出する横長スリット状の吐出口が設けられており、流延ドラム24は、吐出口の下方に配されている。ドープ12は、吐出口から吐出されることで、流延ドラム24の周面24aに薄厚シート状に流延される。流延ダイ25は、電解質水溶液やメチレンクロライドやメタノールなどの混合液に対する高い耐腐食性や低い熱膨張率などを有する素材(例えばSUS316などの鋼材)等の材料で形成される。
流延ドラム24は、円柱形状になっており、図示しない駆動装置により回転軸24bを中心に図1において反時計方向に向けて一定の速度で回転する。この回転により、周面24aは、10〜300m/分の速度で走行する。流延ドラム24の周面24aは、クロムメッキ処理が施され、十分な耐腐食性と強度を有している。なお、流延ドラム24の寸法や材質等は特に限定されるものではないが、ドープ12の流延幅に対して1.1〜2.0倍程度の幅を有するものが好ましく、さらに、耐腐食性や高強度性を有する材質が好ましい。なお、周面24aの走行速度は、50m/分以上200m/分以下であることが好ましい。
伝熱媒体循環装置29は、流延ドラム24に接続されており、伝熱媒体を循環させて流延ドラム24の周面24aを所望の温度に保持する。これにより、流延ドラム24の周面24aの温度は、例えば−15℃以上0℃以下の所定の温度に保たれる。なお、平面性に優れる流延膜14を形成するために、周面24aには、研磨処理が施されていることが好ましい。
流延ダイ25から周面24aに吐出されたドープ12は、流延膜14になる。そして、流延膜14は、流延ドラム24の周面24a上で冷却され、ゲル状になる。この流延膜14は、流延ドラム24の回転により回転方向に沿って帯状に延びていく。
ここで、ゲル状とは、コロイド溶液がジェリー状に固化した状態の他、溶液の流動性が失われた状態を含む。なお、「溶液の流動性が失われた」とは、溶質が高分子の場合は、溶媒が溶質の分子鎖の中で保持された状態で流動性を失い、結果的に溶液の流動性が失われた状態を意味し、一方、溶質が低分子の場合は、溶媒の分子と溶質の分子との相互作用により、結果的に溶液の流動性が失われた状態を含む。
減圧チャンバ26は、吐出口に対して流延ドラム24の回転方向に沿う上流側に配されており、吐出口から流延ドラム24に達するまでのドープ12の流れを規定する流延ビードの後方を減圧する。これにより、流延ビードの背面側が負圧になり、流延ドラム24の周面への流延ビードの着地位置がふらつくことなく一定にすることができる。減圧チャンバ26は、本実施形態では−2000Pa〜−50Paの範囲で減圧する。
剥取ローラ27は、流延ドラム24の回転方向に沿う下流側に配されており、流延膜14を流延ドラム24から剥ぎ取って、帯状の湿潤フィルム31としてケーシングの出口からY方向に向けて搬送し、渡り部17に向けて案内する。
なお、剥ぎ取り後の湿潤フィルム31、つまり、ゲル状のウェブの残留溶媒量は、乾量基準で100重量%以上250重量%以下である。ここで、本文中での残留溶媒量は、乾量基準による残留溶媒量であり、サンプリング時におけるフィルム重量を「x」、そのサンプリングフィルムを乾燥した後の重量を「y」とするとき{(x−y)/y}×100の式から算出される値である。
図1及び図2のように、渡り部17には、ガイドローラ36、及び、ダクト37、38が配されている。ガイドローラ36は、駆動ローラ36a、36bとフリーローラ36cとで構成されており、これら駆動ローラ36aとフリーローラ36bで湿潤フィルム31をテンター装置18に向けて搬送する。
駆動ローラ36a、36bは、Y方向の上流側から下流側に向かって順次設けられ、モータの駆動を利用して駆動する。
ダクト37、38には、冷風を吹き出す開口部37a、38aが設けられる。開口部37a、38aの形状は、矩形状、スリット状、円形状や楕円形状など、いずれの形状でもよい。ダクト37は、開口部37aが湿潤フィルム31の上面31aと対向するように配され、ダクト38は、開口部38aが湿潤フィルム31の下面31bと対向するように配される。ダクト37、38は、図示しない制御部の制御の下、温度、湿度、溶媒の凝縮点などが所定の範囲内で略一定になるように調節された冷風を、開口部37a、38aを介して、湿潤フィルム31の両面31a、31bへあてる。この冷風の吹きつけにより、渡り部17において、湿潤フィルム31のゲル化を進行させることができる。なお、冷風の温度は、湿潤フィルム31のゲル状を維持するために、−20〜50℃の範囲で略一定で保持することが好ましい。
なお、湿潤フィルム31の両面31a、31b側にダクト37、38を設けたが、いずれか一方の面側のみに、ダクトを設けても良い。また、冷風を吹き付ける範囲は、湿潤フィルム31の幅方向の全域、中央部のみ、両端部のみ、または片端部のみでもよい。特に、湿潤フィルム31に冷風を吹き付ける方向は、湿潤フィルム31の表面に対して略垂直の方向、Y方向、または、湿潤フィルム31の両サイドから、冷風を吹き付けてもよい。更に、湿潤フィルム31の上面31aを流延ドラム24の周面24aと接触していた支持面とし、下面31bをその反対側のエア面としても良いし、その逆でも良い。
なお、図示しない制御部の制御の下、湿潤フィルム31のゲル状を維持するために、湿潤フィルム31と接触するガイドローラ36a〜36cの周面の温度を、−20〜50℃の範囲で略一定で保持してもよい。
(テンター装置)
テンター装置18は、把持開始部18aと、把持解除部と、チェーン18bと、プーリ18cと、噛み込みブラシ18dとを有する。無数のピンが設けられたチェーン18bは、把持開始部18a及び把持解除部に設けられるプーリ18cに掛け渡される。噛み込みブラシ18dは、把持開始部18aの上流側、湿潤フィルム31の搬送路の幅方向両端部近傍に設けられる。図示しない制御部の制御の下、プーリ18cは、軸を中心に回転する。プーリ18cの回転により、チェーン18bは、把持開始部18a及び把持解除部をエンドレスで順次巡回する。そして、把持開始部18aに送られた湿潤フィルム31は、噛み込みブラシ18dにより、チェーン18bに設けられたピンに押し付けられ、ピンが湿潤フィルム31を貫通する。こうして、把持開始部18aでは、チェーン18bに設けられたピンによる湿潤フィルム31の両側端部の把持が開始される。また、把持解除部では、このピンによる湿潤フィルム31の両側端部の把持が解除される。こうして、流延装置16から送られた湿潤フィルム31は、把持開始部18a及び把持解除部を順次通過した後、フィルム20となって耳切装置40へ送られる。
テンター装置18には、図示しないダクトが設けられる。所定の条件に調節された乾燥風は、このダクトから湿潤フィルム31に向けて、送り出される。乾燥風が湿潤フィルム31にあたることにより、湿潤フィルム31に含まれる溶媒が蒸発し、湿潤フィルム31が乾燥する。湿潤フィルム31から溶媒を効率よく蒸発させるためには、温度が130℃以上190℃以下の乾燥風を湿潤フィルム31にあてることが好ましい。
なお、テンター装置18と耳切装置40との間に、延伸装置を設けてもよい。延伸装置としては、把持手段を入口から出口まで拡幅するように設けられた一対のレールとによる拡幅延伸を行うもの、又は収縮機で幅方向を延伸させるものでも良い。また、把持手段としてピンを有するピン型のテンター装置18として説明しているが、特に限定されるものではなく、例えば、把持手段として湿潤フィルム31の両側端部を把持するクリップを複数備えたクリップ型のテンター装置を用いても良い。また、ピン型とクリップ型との2つのテンター装置を設けてもよい。
図1のように、耳切装置40は、湿潤フィルム31のうちの、ガイドローラ36に接触して付く接触キズや、テンター装置18のピンによる突き刺しキズが付く両側端部(耳部)を切除する。耳部を切り取った湿潤フィルム31は、乾燥室21に送られる。なお、切り取られた耳切り屑(耳屑フィルム)は、クラッシャ41により細かく切断処理されて再生チップとなる。この再生チップは、ドープ12の原料として再利用される。
乾燥室21には、多数のパスローラ44が設けられている。これらパスローラ44は、湿潤フィルム31を掛け渡し、その湿潤フィルム31の両面をまんべんなく乾燥させる。なお、乾燥中に湿潤フィルム31から溶媒が蒸発する。この気化した溶媒は、乾燥室21の外側に設けられた吸着回収装置45により吸着回収される。乾燥した湿潤フィルム31は、ポリマーフィルム15となって、冷却室22へと案内されて、略室温まで冷却される。
冷却室22に対してポリマーフィルム15のY方向に沿う下流側には、強制除電装置47が配置されている。強制除電装置47は、ポリマーフィルム15に帯電した静電気を除電する。また、冷却室22の隣には、ナーリング付与ローラ48が配置されている。ナーリング付与ローラ48は、除電後のポリマーフィルム15の両縁にエンボス加工のナーリングを付与する。
ナーリング付与ローラ48に対してポリマーフィルム15のY方向に沿う下流側には、巻取室23が配置されている。巻取室23には、巻取ローラ50やプレスローラ51が配されている。巻取ローラ50は、ナーリング付与ローラ48から搬送されるポリマーフィルム15を巻き取る。プレスローラ51は、フィルム巻き取り時にポリマーフィルム15を巻取ローラ50に向けて押さえ付ける。
図3において、ガイドローラ36は、ローラ本体68aと、ローラ本体68aの両端部に嵌着された軸部68bとからなる。略円柱状に形成されたローラ本体68aは、湿潤フィルム31をその周面で支持しながら、Y方向へ搬送する。なお、ローラ本体68a、軸部68bの材質としては、耐蝕性に優れたもの、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などが材料として用いられる。
ローラ本体68aの周面には、耳部接触領域68eと製品部接触領域68cとが設けられる。耳部接触領域68eとは、湿潤フィルム31のX方向の両側端部(以下、耳部と称する)31eを支持する周面の部分である。製品部接触領域68cとは、1対の耳部31eの間に挟まれた製品部31cを支持する周面の部分である。耳部31eの幅は、200mm以下であることが好ましい。
図3及び図4のように、耳部接触領域68eには、断面略円弧状の谷部70および山部71が、ローラ本体68aの周方向に沿って形成されている。谷部70および山部71は、X方向に関して交互に配置されている。谷部70および山部71は、例えば、バイトを用いた精密旋盤で精度良く加工成形される。
隣り合う山部71の頂部71a同士の距離、すなわち、山部71のピッチPmは、0.01mm以上2mm以下となっている。ピッチPmが0.01mm未満であると、旋盤加工が困難となり、この旋盤加工を行った場合には製造コストが掛かって非常に高価になってしまう。また、ピッチPmが2mmよりも大きいと、スリップや面写りが発生する。なお、ピッチPvを、0.01mm以上2mm以下とすることが好ましい。更に、谷部70及び山部71のピッチPvおよびPmは、0.3mm以上0.5mm以下であることがより好ましい。
底部70aから頂部71aまでの高さHv−mは、0.01mm以上1mm以下となっている。高さHv−mが0.01mm未満であると、湿潤フィルム31を支持した状態で、湿潤フィルム31との間のエアを逃がす効果がなくなり、スリップしやすくなってしまう。高さHv−mが1mmよりも大きいと、旋盤加工が困難となり、この旋盤加工を行った場合には製造コストが掛かって非常に高価になってしまう。このエアとは、湿潤フィルム31の走行または、ローラ本体68aの回転によって、ローラ本体68aの周面と湿潤フィルム31との間に入り込むエアを指す。なお、高さHv−mは、0.02mm以上0.1mm以下であることがより好ましい。
山部71の断面を形成する円の中心Omから頂部71aまでの距離、すなわち、山部71の曲率半径Rmは、0.1mm以上0.5mm以下となっている。曲率半径Rmが0.1mm未満であると、湿潤フィルム31との接触面積が小さくなり、スリップが発生する。なお、谷部70の断面を形成する円の中心Ovから底部70aまでの距離、すなわち山部71の曲率半径Rvは、0.1mm以上0.5mm以下とすることが好ましい。更に、谷部70及び山部71の曲率半径RvおよびRmは、0.2mm以上0.4mm以下であることがより好ましい。
次に本発明の作用について説明する。図1のように、軸13bを中心とする流延ドラム24の回転により周面13aが走行する。流延ダイ25からドープ12が流延ドラム24の周面13aに流出する。周面13aの走行によりドープ12が周面13aで流れ延ばされ流延膜14となる。流延膜14は、周面13aとの接触により、冷却され自己支持性を有する。図1及び図2のように、自己持性を有するものとなった流延膜14は、剥取ローラ27によって剥ぎ取られ湿潤フィルム31となり、渡り部17へ送られる。渡り部17に送られた湿潤フィルム31は、ガイドローラ36a〜36cの周面により支持され、Y方向へ搬送され、テンター装置18へ送られる。
図3及び図5のように、渡り部17では、ガイドローラ36が、ローラ本体68aの周面により湿潤フィルム31を支持し、搬送させる。この搬送の際、ローラ本体68aの周面と湿潤フィルム31との間にはエアが入りこむ。湿潤フィルム31は、いわゆる軟膜であるため、山部71の表面に沿って谷部70の一部に入り込む。山部71は、所定の形状、寸法に設けられているため、面写りの発生を抑えつつ、湿潤フィルム31に対して、大きな摩擦力を生じさせる。一方、谷部70は、山部71から所定の高さHv−mだけ窪むように設けられているため、ガイドローラ36と湿潤フィルム31との間に入り込んだエアを逃がすことができる。したがって、本発明のガイドローラ36によれば、エアの入り込みに起因するスリップや面写りの発生を抑えることができるため、結果として、擦り傷や引きつれしわの発生を防止しながら、湿潤フィルム31を支持して、走行させることができる。
このような山部71を耳部接触領域68e及び製品部接触領域68cの全域、すなわち、ローラ本体68aの周面全域に設けることにより、スリップや面写りの発生の防止効果を発揮させることができるが、この山部71の形成の際、要求される加工精度が高いため、製造コストが高くなってしまう。本発明によれば、耳部接触領域68eにのみに山部71を設けるため、スリップ、面写りの発生の防止効果を発揮し得るガイドローラを安価に製造することができる。
ガイドローラ36による湿潤フィルム31の搬送速度、すなわちローラ本体68aの周速度が、50m/分以上となるときには、エアの入り込みに起因するスリップが発生しやすくなるが、本発明によれば、高速の搬送速度で搬送しても、スリップや面写りの発生を防止しながら、湿潤フィルム31を支持して、搬送させることができる。
また、湿潤フィルム31の材料、性質によっては、ガイドローラ36の周面との接触により、湿潤フィルム31にY方向のテンションが付与され、または、このテンションに起因する伸びによって、最終的に得られるポリマーフィルム15の特性、品質が所望のものにならない場合がある。本発明のガイドローラ36は、耳部接触領域68eに所定の山部71を有するため、湿潤フィルム31のうち、耳部31eは、耳部接触領域68eにより強く支持される一方、製品部31cは、エアの入り込みにより、製品部接触領域68cと接触しない、或いは、弱い接触にとどまる。したがって、ガイドローラ36の周面との接触によって湿潤フィルム31の特性、品質が低下してしまう場合であっても、その弊害は、耳部31e内にとどまり、製品部31cの特性、品質が低下を抑えることが可能となる。たとえば、ポリマーフィルム15が、偏光版保護フィルムや光学補償フィルムなどの光学フィルムである場合、最終的なポリマーフィルム15のレターデーションが等方的に優れている、或いは所望の範囲内であること等が求められるが、このレターデーションは、製造工程において湿潤フィルム31に付与されたテンション等により変動してしまう。したがって、本発明によれば、搬送の際の湿潤フィルム31等に付与されるテンションや、湿潤フィルム31に生じる伸びは、耳部31eで生じても、製品部31cではほとんど生じないため、結果として、所望のレターデーションのポリマーフィルム15を製造することができる。
上記実施形態では、図4及び図5のように、製品部接触領域68cと底部70aとにおける径方向の高さを略等しくし、頂部71aが製品部接触領域68cよりも突出するように山部71を設けたが、本発明はこれに限られず、図6及び図7に示す、ガイドローラ80、85であってもよい。以下、ガイドローラ80、85の詳細について説明するが、上記実施形態と同一の部品、部材については同一の符号を付し、その詳細の説明は省略する。
ガイドローラ80は、図6のように、ローラ本体68aと同様のローラ本体80aを有する。ローラ本体80aは、耳部接触領域80eと製品部接触領域80cを有し、耳部接触領域80eには、谷部70や山部71が設けられる。また、この谷部70は、底部70aが製品部接触領域80cよりも突出するように設けられる。このガイドローラ80によれば、頂部71aが製品部接触領域80cよりも突出しているため、ウェブに対してより大きな摩擦力を生じさせることができる。このようなローラ本体80aの加工方法として、ローラ本体80aの耳部接触領域80eを加工して、所定の谷部70や山部71を設けた後、底部70aにおける径方向の高さよりも低くなるように、製品部接触領域80cを研磨加工などで削っても良い。径方向において、底部70aよりも高さHv−mの略半分だけ高い位置にある中腹部81と製品部接触領域80cとにおける高さの差Hは、ローラ本体80aの半径の0.01%以上2%以下にすることが好ましい。
ガイドローラ85は、図7のように、ローラ本体68aと同様のローラ本体85aを有する。ローラ本体85aは、耳部接触領域85eと製品部接触領域85cを有し、耳部接触領域85eには、谷部70や山部71が設けられる。また、この山部71は、頂部71aの径方向における高さが製品部接触領域80cと略同じ高さになるように設けられる。
なお、上記に示したガイドローラ80,85において、底部70aや頂部71aが耳部接触領域と製品部接触領域との境界に位置するように、谷部70や山部71を設けたが、本発明はこれに限られず、底部、頂部との間の中腹にある部分が耳部接触領域と製品部接触領域の境界に位置するように、谷部70や山部71を設けてもよい。
上記実施形態では、谷部70や山部71を耳部接触領域68eの全域に設けたが、本発明はこれに限られず、谷部70や山部71を、耳部接触領域68eの一部に設けても良い。また、面写りなどの弊害が起こらない場合には、谷部70や山部71を、製品部接触領域68cの全域または一部に設けても良い。
上記実施形態では、断面略円弧状の谷部70を設けたが、本発明はこれに限られず、湿潤フィルム31を山部71で支持したときに、エアが通過できる隙間が確保できる形状、寸法であれば、V溝、U溝、角溝の他、矩形、三角形、その他の断面形状であってもよい。例えば、図8のように、山部71の頂部71aに、X方向に略平行な平坦面71fを形成してもよい。平坦面71fは、谷部70および山部71を形成した後に、例えば、研磨機で山部71の頂部の部分に研磨処理等を施すことにより加工成形される。平坦面71fにより、スジ状の面写りの発生を抑えることができる。この平坦面71fのX方向における幅Wfは、0.05mm以上0.5mm以下となっている。これにより、湿潤フィルム31に対する摩擦力を発揮しつつ、スジ状の面写りをより抑えることが可能となる。幅Wfが0.05mm未満であると、山部71の加工精度によっては研磨することができない部分が生じる。幅Wfが0.5mmよりも大きいと、上記で規定されるピッチで谷部70および山部71を形成することができない。なお、幅Wfは、0.1mm以上0.3mm以下であることがより好ましい。
上記実施形態では、山部71や谷部70を1周分ずつ分断して設けたが、螺旋状になるように設けても良い。図9のように、ガイドローラ90は、ガイドローラ90の周面のうち耳部31eと接触する耳部接触領域90eに、1対の螺旋部91を有する。螺旋部91は、螺旋状に伸びる山部と、各山部の間に設けられる谷部とからなる。この螺旋部91に設けられる谷部や山部は、上記谷部70、山部71と同様の構造を有する。更に、1対の螺旋部91に設けられる山部は、その巻き方向が互いに異なるように、設けられる。そして、ガイドローラ90は、湿潤フィルム31のY方向に向かうに従い、1対の山部が離れるように設けられる。これにより、スリップ、面写りの発生を防止しつつ、湿潤フィルム31のシワの発生を防止することができる。なお、螺旋部91には、螺旋状の山部を複数設けても良い。
上記実施形態では、湿潤フィルム31の走行をガイドするローラとして、ガイドローラ36を用いたが、本発明はこれに限られず、コンケーブローラ95やフラットローラを併用してもよい。コンケーブローラ95は、図10に示すような、X方向の中央部から両側端部にかけてなだらかに大きくなる径を有する。コンケーブローラ95を用いることによって、X方向の中央部から両端部側へ向かう力が湿潤フィルム31に加えられるので、湿潤フィルム31のしわやカールの発生を防止しつつ、Y方向に沿ったテンションに起因する複屈折率の変動を相殺することができる。一方、フラットローラは、X方向の中央部からX方向の両側端部にかけて略同一の径を有する。コンケーブローラ95、フラットローラの並べ方は、製造条件に応じて適宜決定すればよい。例えば、コンケーブローラ95やフラットローラを、連続して並べられたガイドローラ36の上流側や下流側に、又は、連続して並べられたガイドローラ36の間に、適宜並べても良い。
コンケーブローラ95のX方向の中央部の径をE2、X方向の両側端部の径をD2、X方向の長さをW2としたときに、D2−(W2×0.005)≦E2≦D2−(W2×0.0001)を満たすことが好ましい。X方向の中央部の径E2が、D2−(W2×0.005)未満の場合では、X方向の中央部から外側へ向かう力が強くなり過ぎ、湿潤フィルム31の搬送位置がX方向の中央からずれ易くなってしまう。中央部の径E2がD2−(W2×0.0001)より大きくなると、X方向の中央部から外側へ向かう力が弱くなるため、湿潤フィルム31の複屈折率の変動を抑える効果が小さくなってしまう。
以上より、平面性に優れるポリマーフィルム15を高速かつ安定して製造することができる。本発明によると、Y方向に少なくとも100m以上であり、幅方向が1400〜1800mmであるポリマーフィルム15を製造することが可能である。ただし、本発明は、1800mmより大きい場合にも効果を発揮する。ポリマーフィルム15の膜厚は、特に限定されるものではないが、20〜500μmであることが好ましい。より好ましくは30〜300μmであり、特に好ましくは35〜200μmであるが、ポリマーフィルム15の膜厚が15〜100μmのように薄い場合でも、本発明の効果を得ることができる。
なお、湿潤フィルム31の両側端部のグリップ力を増す場合には、耳部31eを含む範囲、すなわち、耳部31eよりも広い幅で谷部70及び山部71を設けてもよい。また、耳部31eと同じ範囲に設けてもよい。この場合には、例えば谷部70及び山部71により縦筋等のキズが付いても耳切装置40で除去するので、問題がない。さらに、湿潤フィルム31の両側端部のグリップ力を低下させる場合には、耳部31eよりも狭い幅で谷部70及び山部71を設けても良い。谷部70及び山部71が接触する湿潤フィルム31の両側端部は、湿潤フィルム31の幅の1%以上10%以下までの範囲にするのが好適である。なお、谷部70及び山部71は、湿潤フィルム31の幅方向で均等の幅にするのが望ましい。
上記実施形態では、支持体として流延ドラムを用いたが、本発明はこれに限られず、一対の回転体に巻き掛け、無端走行するエンドレスベルトを用いてもよい。
上記実施形態では、走行する支持体上で流延膜14を冷却し、流延膜14に自己支持性を発現させたが、本発明はこれに限られず、流延膜14の乾燥により流延膜14に自己支持性を発現させてもよい。この場合、剥ぎ取り後の湿潤フィルム31の残留溶媒量は、乾量基準で70重量%以上100重量%以下とするのが望ましい。また、流延膜14の乾燥により自己支持性を発現させた場合には、渡り部17において、温度が20℃以上250℃以下の乾燥風を湿潤フィルム31にあててもよい。乾燥風を湿潤フィルム31に当てる方法は、冷風と同様でもよい。
また、上記各実施形態では、ガイドローラ36を渡り部17に用いているが、本発明では、湿潤フィルム31を搬送する搬送路であれば、例えばテンター装置18、耳切装置40、及び、乾燥室21の内部に設けてもよく、また、これらの間を繋ぐ搬送路にも設けてもよい。さらに、ポリマーフィルム製造装置で用いることを前提に記載しているが、本発明ではこれに限らず、溶質及び溶媒を含むゲル状のウェブを搬送するガイドローラであれば、いずれにも適用することができる。溶質及び溶媒を含むゲル状のウェブとしては、製造途中の状態のウェブ以外、すなわち、製品の状態で溶質及び溶媒を含むゲル状になっているシートやフィルムなどの長尺状のものを含む。
また、上記各実施形態では、ガイドローラ36を湿潤フィルム31の搬送路に一列に並べているが、本発明はこれに限られず、千鳥状に配置させてもよい。
また、上記の各実施形態では、1種類のドープを用いて単層のフィルムを製造する形態を示したが、本発明は複層構造の流延膜を形成する場合にも効果を発揮する。なお、複層構造の流延膜は所望数のドープを同時或いは逐次に流延する等の公知の方法を用いれば良く、特に限定されない。また、流延ダイ、減圧室、支持体等の構造、共流延、剥離法、延伸、各工程の乾燥条件、ハンドリング方法、カール、平面性矯正後の巻取方法から、溶媒回収方法、フィルム回収方法まで、特開2005−104148号公報の[0617]段落から[0889]段落に詳しく記述されており、これらの記載も本発明に適用することができる。なお、完成したフィルムの性能や、カールの度合い、厚み、及びこれらの測定法は、特開2005−104148号公報の[1073]段落から[1087]段落に記載されており、これらの記載も本発明に適用することができる。
完成したフィルムの少なくとも一方の面に表面処理を施すと、偏光板等の光学部材との接着度を高めることができるので好ましい。表面処理としては、例えば、真空グロー放電処理、大気圧プラズマ放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理等が挙げられ、これらの中から少なくとも1つの処理を行うことが好ましい。
完成したフィルムをベースとし、その両面或いは一方の面に所望の機能性層を設けると、各種機能性フィルムとして用いることができる。機能性層としては、例えば、帯電防止層、硬化樹脂層、反射防止層、易接着層、防眩層、光学補償層等が挙げられる。例えば、反射防止層を設けると、光の反射を防止して高画質を提供することができる反射防止フィルムが得られる。なお、上記の機能性層や形成方法等に関しては、特開2005−104148号公報の[0890]段落から[1072]段落に詳細に記載されており、これらの記載も本発明に適用することができる。また、本発明のポリマーフィルムの具体的用途に関しては、例えば、特開2005−104148号公報の[1088]段落から[1265]段落に記載される、TN型、STN型、VA型、OCB型、反射型等の液晶表示装置への利用等が挙げられる。
次に、本発明に係る各種ドープ原料について、具体的に説明する。
ドープ原料としてセルロースエステルを用いると、透明度の高いフィルムを得ることができるので好ましい。セルロースエステルとしては、例えば、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアシレートブチレート等のセルロースの低級脂肪酸エステルが挙げられる。中でも、透明度の高さから、セルロースアシレートを用いることが好ましく、特に、トリアセチルセルロース(TAC)を用いることが好ましい。なお、本実施形態で用いるドープは、ポリマーとしてトリアセチルセルロース(TAC)を含むものとする。このようにTACを用いる場合には、TACの90重量%以上が0.1〜4mmの粒子であることが好ましい。
上記のセルロースアシレートとしては、より透明度の高いフィルムを得るためにも、セルロースの水酸基へのアシル基の置換度が下記式(a)〜(c)の全てを満足するものが好ましい。下記式中のA、Bは、セルロースの水酸基中の水素原子に対するアシル基の置換度を表わしており、具体的には、Aはアセチル基の置換度であり、Bは炭素数が3〜22のアシル基の置換度である。
(a) 2.5≦A+B≦3.0
(b) 0≦A≦3.0
(c) 0≦B≦2.9
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位及び6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部又は全部を炭素数が2以上のアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位及び6位それぞれについて、セルロースの水酸基がエステル化している割合を意味する。なお、100%のエステル化の場合を置換度1とする。
全アシル化置換度、すなわち、DS2+DS3+DS6の値は、2.00〜3.00が好ましく、より好ましくは2.22〜2.90であり、特に好ましくは2.40〜2.88である。また、DS6/(DS2+DS3+DS6)の値は、0.28以上が好ましく、より好ましくは0.30以上であり、特に好ましくは0.31〜0.34である。ここで、DS2は、グルコース単位における2位の水酸基の水素がアシル基によって置換されている割合であり、DS3は、グルコース単位における3位の水酸基の水素がアシル基によって置換されている割合であり、DS6は、グルコース単位において、6位の水酸基の水素がアシル基によって置換されている割合である。
セルロースアシレートに用いられるアシル基は1種類だけでも良いし、2種類以上のアシル基が用いられていても良い。なお、2種類以上のアシル基を用いるときには、その1つがアセチル基であることが好ましい。2位、3位及び6位の水酸基がアセチル基により置換されている度合いの総和をDSAとし、2位、3位及び6位の水酸基がアセチル基以外のアシル基によって置換されている度合いの総和をDSBとすると、DSA+DSBの値は、2.22〜2.90であることが好ましく、特に好ましくは2.40〜2.88である。
また、DSBは0.30以上であることが好ましく、特に好ましくは0.7以上である。更に、DSBは、その20%以上が6位水酸基の置換基であることが好ましく、より好ましくは25%以上であり、30%以上がさらに好ましく、33%以上であることが特に好ましい。更に、セルロースアシレートの6位におけるDSA+DSBの値が0.75以上であり、さらに好ましくは、0.80以上であり、特には0.85以上であるセルロースアシレートも好ましい。このようなセルロースアシレートを用いると、非常に溶解性に優れたドープを調製することができる。なお、上記のようなセルロースアシレートを用いる場合には、非塩素系溶媒を用いると、非常に優れた溶解性を有し、低粘度であり、かつ濾過性に優れるドープを調製することができる。
セルロースアシレートの炭素数が2以上のアシル基としては、脂肪族基でもアリール基でも良く、特に限定はされない。例えば、セルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステル、芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステル等が挙げられる。更に、それぞれが置換された基を有していても良い。これらの好ましい例としては、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、iso−ブタノイル基、t−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基等が挙げられる。中でも、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、t−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基等がより好ましく、特に好ましくは、プロピオニル基、ブタノイル基である。
なお、本発明で用いることができるセルロースアシレートの詳細については、特開2005−104148号公報の[0140]段落から[0195]段落に記載されており、これらの記載も本発明に適用することができる。
ドープ原料となる溶媒は、用いられるポリマーを溶解することができる有機化合物を用いることが好ましい。ただし、本発明においてドープとは、ポリマーを溶媒に溶解又は分散させることで得られる混合物を意味するため、ポリマーとの溶解性が低いような溶媒も用いることができる。好適に用いることができる溶媒としては、例えば、ベンゼンやトルエン等の芳香族炭化水素、ジクロロメタンやクロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、メタノールやエタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ジエチレングリコール等のアルコール、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン、酢酸メチルや酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル、テトラヒドロフランやメチルセロソルブ等のエーテル等が挙げられる。これらの溶媒の中から2種類以上の溶媒を選択し、混合した混合溶媒を用いても良い。中でもジクロロメタンを用いると溶解度に優れるドープを得ることが出来ると共に、短時間のうちに流延膜中の溶媒を蒸発させてフィルムとすることができるので好ましい。
上記のハロゲン化炭化水素としては、炭素原子数1〜7のものが好ましく用いられる。更に、ポリマーとの相溶性や、支持体から剥ぎ取る流延膜の剥ぎ取る易さの指標である剥ぎ取り性、フィルムの機械強度、光学特性等の観点から、ジクロロメタンに炭素数が1〜5のアルコールを1種ないしは、数種類混合させたものを用いることが好ましい。アルコールの含有量は、溶媒全体に対して2〜25重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましい。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等が挙げられ、中でも、メタノール、エタノール、n−ブタノール、或いはこれらの混合物を用いることが好ましい。
最近、環境に対する影響を最小限に抑えるため、ジクロロメタンを用いない溶媒組成も提案されている。この目的に対しては、炭素数が4〜12のエーテル、炭素数が3〜12のケトン、炭素数が3〜12のエステルが好ましく、これらを適宜混合して用いることが好ましい。これらの化合物は環状構造を有していても良いし、エーテル、ケトン及びエステルの官能基、すなわち、−O−、−CO−、及び−COO−のいずれかを2つ以上有する化合物も溶媒として用いることができる。その他にも、溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していても良い。なお、2種類以上の官能基を有する場合には、その炭素数がいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であれば良く、特に限定はされない。
ドープには、目的に応じて可塑剤、紫外線吸収剤(UV剤)、劣化防止剤、滑り剤、剥離促進剤等の公知である各種添加剤を添加させても良い。例えば、可塑剤としては、トリフェニルフィスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェート等のリン酸エステル系可塑剤や、ジエチルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤、及びポリエステルポリウレタンエラストマー等の公知の各種可塑剤を用いることができる。
なお、溶媒、可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、滑り剤、剥離促進剤、光学異方性コントロール剤、レターデーション制御剤、染料、剥離剤等の各種添加剤及び微粒子については、特開2005−104148号公報の[0196]段落から[0516]段落に詳細に記載されており、これらの記載も本発明に適用することができる。また、TACを利用したドープの製造方法であり、例えば、素材、原料、添加剤の溶解方法及び添加方法、濾過方法、脱泡等についても同様に、特開2005−104148号公報の[0517]段落から[0616]段落に詳細に記載されており、これらの記載も本発明に適用することができる。
[実験1]
本発明のガイドローラの効果をより明らかにするために、以下の条件で実験1を実施した。まず、ガイドローラ36として、直径300mm、面長1000mmのステンレス製(メッキなし)のローラ本体68aに軸部68bを嵌着したものを用意した。ローラ本体68aには、ピッチPv、Pmが1mm、高さHv−mが0.5mm、曲率半径Rv,Rmが0.3mmとなるように谷部70および山部71を形成した。
そして、図1に示すポリマーフィルム製造設備10により、ドープ12からポリマーフィルム15を製造した。流延ダイ25を用いて、ドープ12を流延支持体上に流延し、流延膜14を形成した。流延支持体として、軸を回転する流延ドラム24の周面24aを用いた。流延ドラム24の周面24aの温度を−15℃以上0℃以下の範囲内で略一定になるように調節した。この流延ドラム24の周面24aとの接触によって、流延膜14は、冷却され、ゲル化により自己支持性が発現した。自己支持性を有するものとなった流延膜14を流延ドラム24の周面24aから剥ぎ取り、湿潤フィルム31とした。剥ぎ取り直後の湿潤フィルム31の残留溶媒量は100重量%以上250重量%以下であった。ガイドローラ36を用いて、湿潤フィルム31をテンター装置18へ搬送した。湿潤フィルム31の搬送条件は、張力を50N/mとし、ガイドローラ36の周速度を20〜60m/分とした。テンター装置18では、湿潤フィルム31を乾燥した。その後、耳切装置40で湿潤フィルム31の耳部を切断した後、乾燥室21で湿潤フィルム31を乾燥し、ポリマーフィルム15とした。ポリマーフィルム15は、冷却室22などを経て、巻取室23へ送られた。ポリマーフィルム15は、幅が2000mm、厚みが80μmであった。また、得られたポリマーフィルム15の面内レターデーションReは4mmであり,厚さ方向レターデーションRthは45nmであった。
ポリマーフィルム15の面内レターデーションReの測定方法は次の通りである。ポリマーフィルム15を70mm×100mmに切断し、温度25℃,湿度60%RHで2時間調湿し、自動複屈折率計(KOBRA21DH 王子計測(株))にて632.8nmにおける垂直方向から測定したレターデーション値の外挿値より次式に従い算出した。
Re=|nMD−nTD|×d
nMDは、搬送方向の屈折率,nTDは幅方向の屈折率,dはフィルムの厚み(膜厚)を表す。
ポリマーフィルム15の厚み方向レターデーションRthの測定方法は次の通りである。ポリマーフィルム15を30mm×40mmに切断し、温度25℃,湿度60%RHで2時間調湿し、エリプソメータ(M150 日本分光(株)製)で632.8nmにより垂直方向から測定した値と、フィルム面を傾けながら同様に測定したレターデーション値の外挿値とから下記式に従い算出した。
Rth={(nMD+nTD)/2−nTH}×d
nTDは、厚み方向の屈折率を表す。
ポリマーフィルムの製造に使用したポリマー溶液(ドープ)の調製に際しての配合を下記に示す。
[ドープの調製]
ドープ12の調製に用いた化合物の処方を下記に示す。
セルローストリアセテート(置換度2.8) 89.3重量%
可塑剤A(トリフェニルフォスフェート) 7.1重量%
可塑剤B(ビフェニルジフェニルフォスフェート) 3.6重量%
の組成比からなる固形分(溶質)を
ジクロロメタン 80重量%
メタノール 13.5重量%
n−ブタノール 6.5重量%
からなる混合溶媒に適宜添加し、攪拌溶解してドープ12を調製した。なお、ドープ12のTAC濃度は略23重量%になるように調整した。ドープ12を濾紙(東洋濾紙(株)製,#63LB)にて濾過後さらに焼結金属フィルタ(日本精線(株)製06N,公称孔径10μm)で濾過し、さらにメッシュフイルタで濾過した後にストックタンクに入れた。
[セルローストリアセテート]
なお、ここで使用したセルローストリアセテートは、残存酢酸量が0.1重量%以下であり、Ca含有率が5ppm、Mg含有率が42ppm、Fe含有率が0.5ppmであり、遊離酢酸40ppm、さらに硫酸イオンを15ppm含むものであった。また6位水酸基の水素に対するアセチル基の置換度は0.91であった。また、全アセチル基中の32.5%が6位の水酸基の水素が置換されたアセチル基であった。また、このTACをアセトンで抽出したアセトン抽出分は8重量%であり、その重量平均分子量/数平均分子量比は2.5であった。また、得られたTACのイエローインデックスは1.7であり、ヘイズは0.08、透明度は93.5%であった。このTACは、パルプから採取したセルロースを原料として合成されたものである。以下の説明において、これをパルプ原料TACと称する。
[実験2]〜[実験10]
実験2〜10では、実験1で用いたガイドローラ36とPm、Hv−mが異なるガイドローラ36や、山部を有さないガイドローラを用いたこと以外は、実験1と同様にして行った。実験2〜10で用いたガイドローラの各条件(山部の有無、Pm、Hv−m)については、それぞれ表1に示す。
上記実験1〜実験10について、以下のように評価を行い、その結果を表1に示す。なお、表1に示される評価結果の番号は、以下、各評価項目に付される番号を示す。
1.スリップの有無の評価
ガイドローラ36による、湿潤フィルム31のスリップの有無について、以下基準で評価した。
◎:湿潤フィルム31のスリップの発生が無く、擦り傷や引きつれしわの発生がなかった。
○:湿潤フィルム31のスリップは少し発生したが、擦り傷や引きつれしわはほとんど確認されなかった。
×:湿潤フィルム31のスリップが発生して擦り傷や引きつれしわが発生した。
2.面写り故障の有無
ガイドローラ36による、湿潤フィルム31の面写りの有無について、以下基準で評価した。
◎:湿潤フィルム31において面写りが発生しなかった。
○:湿潤フィルム31において面写りが多少発生したが実用上問題ない程度であった。
×:湿潤フィルム31において面写りが著しく発生した。
Figure 2009226824
実験1〜3、6、7では、渡り部17における湿潤フィルムのスリップや面写りが発生しなかった。実験10は、山部を設けなかったため、渡り部17における湿潤フィルムのスリップや面写りが発生した。また、実験4、8、9のように、Hv−mが所定範囲よりも小さい、或いは、Pmが所定範囲から外れると、谷部の断面積が小さくなる結果、エアの除去効果が十分に発揮されずに、スリップ及び面写りが発生ししてしまった。また、実験5のように、Hv−mが所定範囲よりも大きい場合には、実験1〜3、6、7と同様に、スリップや面写りの発生は抑えられたものの、ローラ本体の加工のコスト、手間が増大した。
ポリマーフィルム製造設備の概略図である。 渡り部の概要を示す説明図である。 湿潤フィルムの片面を支持するガイドローラを、湿潤フィルムの当該片面側からみたときに平面図である。 軸を含む断面における、第1のガイドローラの拡大部分断面図である。 軸を含む断面における、湿潤フィルムを支持する第1のガイドローラの拡大部分断面図である。 軸を含む断面における、第2のガイドローラの拡大部分断面図である。 軸を含む断面における、第3のガイドローラの拡大部分断面図である。 軸を含む断面における、第4のガイドローラの拡大部分断面図である。 湿潤フィルムの片面を支持する第5のガイドローラを、湿潤フィルムの当該片面の反対側の面側からみたときの平面図である。 コンケーブローラの概要を示す平面図である。
符号の説明
12 ドープ
13 流延ドラム
14 流延膜
15 ポリマーフィルム
17 渡り部
26 減圧チャンバ
27 剥取ローラ
31 湿潤フィルム
31c 製品部
31e 耳部
36 ガイドローラ
36a 駆動ローラ
36b フリーローラ
36c 製品部接触領域
36e 耳部接触領域
70 谷部
70a 底部
71 山部
71a 頂部

Claims (8)

  1. ポリマーと溶媒とを含むドープを走行する支持体に流延して長尺状の流延膜を形成し、前記流延膜が前記支持体上で自己支持性を有した後に前記支持体から湿潤フィルムとして剥ぎ取り、この剥ぎ取った前記湿潤フィルムをガイドローラで支持して乾燥装置に送り、前記乾燥装置で前記湿潤フィルムを乾燥させる溶液製膜設備において、
    前記ガイドローラを、
    円柱状のローラ本体と、
    前記ローラ本体の周面で、前記流延膜の幅方向両端の耳部が接触する耳部接触領域に設けられ、前記ローラ本体の周方向に沿い、前記ローラ本体の回転軸方向に離間して形成される複数の突条とから構成し、
    前記突条は、前記ローラ本体の前記回転軸を含む断面において、曲率半径が0.1mm以上0.5mm以下である略円弧状の頂部を有し、
    複数の突条の前記回転軸方向におけるピッチが0.01mm以上2mm以下であり、
    前記各突条の間を谷とし、この谷の底部と前記頂部との高さが0.01mm以上1mm以下であることを特徴とする溶液製膜設備。
  2. ポリマーと溶媒とを含むドープを走行する支持体に流延して長尺状の流延膜を形成し、前記流延膜が前記支持体上で自己支持性を有した後に前記支持体から湿潤フィルムとして剥ぎ取り、この剥ぎ取った前記湿潤フィルムをガイドローラで支持して乾燥装置に送り、前記乾燥装置で前記湿潤フィルムを乾燥させる溶液製膜設備において、
    前記ガイドローラを、
    円柱状のローラ本体と、
    前記ローラ本体の周面で、前記流延膜の幅方向両端の耳部が接触する耳部接触領域に設けられ、前記ローラ本体の周方向に沿い、前記ローラ本体の回転軸方向に離間して形成される複数の突条とから構成し、
    前記突条は、前記ローラ本体の前記回転軸を含む断面において、前記回転軸方向に平行で前記回転軸方向の長さが0.05mm以上0.5mm以下の平坦状の頂部を有し、
    複数の突条の前記回転軸方向におけるピッチが0.01mm以上2mm以下であり、
    前記各突条の間を谷とし、この谷の底部と前記頂部との高さが0.01mm以上1mm以下であることを特徴とする溶液製膜設備。
  3. 前記ローラ本体の周面において、前記耳部を除く前記流延膜からなる製品部が接触する製品部接触領域に対し、前記突条の頂部が突出していることを特徴とする請求項1または2記載の溶液製膜設備。
  4. 前記ローラ本体の一端部に形成される第1耳部接触領域と、前記ローラ本体の他端部に形成される第2耳部接触領域とに形成される前記突条を互いに巻き方向が異なる螺旋状に形成し、前記流延膜の走行時に、前記流延膜の走行方向に向かうに従い、前記1対の螺旋状突条が次第に離れるように前記ローラ本体の向きを規定することを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の溶液製膜設備。
  5. 前記乾燥装置は前記耳部を保持して前記湿潤フィルムを乾燥するピンテンタであることを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1項記載の溶液製膜設備。
  6. 前記支持体の温度が−15℃以上0℃以下であることを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1項記載の溶液製膜設備。
  7. ポリマーと溶媒とを含むドープを走行する支持体上に流延し、長尺状の流延膜を形成する流延膜形成工程、前記流延膜が前記支持体上で自己支持性を有した後に前記支持体から湿潤フィルムとして剥ぎ取る剥取工程、この剥ぎ取った前記湿潤フィルムを乾燥装置に送る渡り工程、渡り工程を経た前記湿潤フィルムを前記乾燥装置により乾燥させる乾燥工程とを備える溶液製膜方法において、
    前記湿潤フィルムを支持する前記ガイドローラを用いて前記渡り工程を行い、
    前記ガイドローラを、
    円柱状のローラ本体と、
    前記ローラ本体の周面で、前記流延膜の幅方向両端の耳部が接触する耳部接触領域に設けられ、前記ローラ本体の周方向に沿い、前記ローラ本体の回転軸方向に離間して形成される複数の突条とから構成し、
    前記突条は、前記ローラ本体の前記回転軸を含む断面において、曲率半径が0.1mm以上0.5mm以下である略円弧状の頂部を有し、
    複数の突条の前記回転軸方向におけるピッチが0.01mm以上2mm以下であり、
    前記各突条の間を谷とし、この谷の底部と前記頂部との高さが0.01mm以上1mm以下であることを特徴とする溶液製膜方法。
  8. ポリマーと溶媒とを含むドープを走行する支持体上に流延し、長尺状の流延膜を形成する流延膜形成工程、前記流延膜が前記支持体上で自己支持性を有した後に前記支持体から湿潤フィルムとして剥ぎ取る剥取工程、この剥ぎ取った前記湿潤フィルムを乾燥装置に送る渡り工程、渡り工程を経た前記湿潤フィルムを前記乾燥装置により乾燥させる乾燥工程とを備える溶液製膜方法において、
    前記湿潤フィルムを支持する前記ガイドローラを用いて前記渡り工程を行い、
    前記ガイドローラを、
    円柱状のローラ本体と、
    前記ローラ本体の周面で、前記流延膜の幅方向両端の耳部が接触する耳部接触領域に設けられ、前記ローラ本体の周方向に沿い、前記ローラ本体の回転軸方向に離間して形成される複数の突条とから構成し、
    前記突条は、前記ローラ本体の前記回転軸を含む断面において、前記回転軸方向に平行で前記回転軸方向の長さが0.05mm以上0.5mm以下の平坦状の頂部を有し、
    複数の突条の前記回転軸方向におけるピッチが0.01mm以上2mm以下であり、
    前記各突条の間を谷とし、この谷の底部と前記頂部との高さが0.01mm以上1mm以下であることを特徴とする溶液製膜方法。
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