JP5399162B2 - 位相差フィルムの製造方法及びその製造設備 - Google Patents

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Description

本発明は、位相差フィルムの製造方法及びその製造設備に関する。
ポリマーフィルム(以下、フィルムと称する)は、優れた光透過性や柔軟性および軽量薄膜化が可能であるなどの特長から光学機能性フィルムとして多岐に利用されている。フィルムの中でも、セルロースアシレート、特に57.5%〜62.5%の平均酢化度を有するセルローストリアセテート(以下、TACと称する)から形成されるTACフィルムは、市場が急激に拡大している液晶表示装置の偏光板の保護フィルム,位相差フィルムなどの光学機能性フィルムに用いられている。
フィルムの主な製造方法としては、溶融押出方法と溶液製膜方法とがある。溶融押出方法とは、ポリマーをそのまま加熱溶解させた後、押出機で押し出してフィルムを製造する方法であり、生産性が高く、設備コストも比較的低額であるなどの特徴を有する。しかし、フィルムの厚さの精度を調節することが難しく、また、フィルム上に細かいスジ(ダイライン)ができやすいため、光学機能性フィルム用の製造方法には適していない。一方、溶液製膜方法は、ポリマーと溶剤とを含むポリマー溶液(以下、ドープと称する)を支持体上に流延し、流延膜を形成し、流延膜が自己支持性を有するものとなった後、流延膜を支持体から剥がして湿潤フィルムとし、湿潤フィルムを乾燥しフィルムとして巻き取る方法である。この溶液製膜方法は、溶融押出方法と比べて、膜厚の均一性に優れるとともに、含有異物の少ないフィルムを得ることができるため、フィルム、特に光学機能性フィルムの製造方法に適している。
溶液製膜方法における流延膜に自己支持性を発現させる方法として、支持体上の流延膜を乾燥し、流延膜の残留溶剤量を所定の範囲になるまで低下させる方法(以下、乾燥方式と称する)と、流延膜を冷却して、流延膜をゲル化させる方法(以下、冷却ゲル化方式と称する)とが知られている(例えば、特許文献1)。
光学機能性フィルムの光学特性の調節方法としては、フィルムを水中に浸漬する、或いはフィルムを水蒸気に曝し、含水率が所定の範囲内となったフィルムを延伸する方法等が知られている(例えば、特許文献2、3)。
特開2002−179819号公報 特開2003−90915号公報 特開2003−62899号公報
ところで、液晶表示装置等に用いられる光学機能性フィルムは、液晶表示装置と同様に、所定の環境条件下で一定の特性、品質を確保できるか否かを調べる耐久試験が行われる。ところが、このフィルムに耐久試験を行うと、フィルムの光学特性が変動してしまうことがわかった。特に、高温高湿の条件(例えば、温度60℃以上湿度90%RH)下における耐久試験(以下、湿熱耐久試験と称する)の前後において、厚み方向のレターデーションRthが大きく変動してしまう結果、フィルムのレターデーションRthが液晶表示装置に適した範囲から大きく外れてしまう現象が多発した。
特許文献1には、溶液製膜方法により得られたフィルムに加湿処理を施して、高温高湿環境下におけるフィルムの寸法変化を抑制する方法が開示されている。これは、フィルムの含水率の増大に起因してガラス転移温度Tgが低下する現象を利用して、フィルム内の歪を除去するものである。しかしながら、特許文献1には、位相差フィルムにおいて重要な光学特性であるレターデーションRe、Rthに対する加湿処理の影響は記載されていない。当業者一般では、この加湿処理によりフィルム内の歪が除去されるものの、この歪みの除去に伴って配向が緩和する結果、各レターデーションRe、Rthが減少するものと考えられている。以上のことから、各レターデーションRe、Rthが高い位相差フィルムの製造方法に、特許文献1に記載の加湿処理を適用することは困難である。
また、特許文献2、特許文献3に記載の方法は、λ/4近傍のReで異なったNzファクターを得るフィルムの製造方法に関するものであり、各レターデーションRe、Rthが高い位相差フィルムの製造方法には適していない。
本発明は、上記課題を解決するものであり、面状に優れ、耐久試験前後におけるレターデーションRthの変動が小さい位相差フィルムを効率よく製造することのできる位相差フィルムの製造方法及びその製造設備を提供するものである。
本発明の位相差フィルムの製造方法は、ポリマーフィルムの光学特性を調整するためにリマーフィルムを延伸する延伸工程と、延伸工程を経たポリマーフィルムに、低露点乾燥気体を接触させて、ポリマーフィルムの温度を100℃以上130℃以下にする結露防止工程と、結露防止工程を経たリマーフィルムに水蒸気を接触させ、リマーフィルムの温度Tf1を100℃以上150℃以下の範囲内で維持する水蒸気接触工程と、蒸気接触工程を経たリマーフィルムに乾燥気体を接触させ、リマーフィルムの温度を120℃以上130℃以下の範囲内で維持する熱処理工程とを有し、低露点乾燥気体の露点が温度Tf1よりも低いものである。
熱処理工程を1分以上4分以下行うことが好ましい。また、水蒸気接触工程を5秒以上60分以下行うことが好ましい。また、水蒸気接触工程では、延伸工程を経たポリマーフィルムに水蒸気を含む気体を接触させ、気体の相対湿度が20%RH以上であることが好ましい。また、位相差フィルムの面内レターデーションReが30nm以上100nm以下であり、位相差フィルムの厚み方向レターデーションRthが70nm以上300nm以下であることが好ましい。
巻き芯に巻かれたポリマーフィルムを巻き芯から取り出す取出工程を延伸工程前に行うことが好ましい。あるいは、ポリマーと溶剤とを含むドープを走行する支持体に吐出して、支持体に流延膜を形成する膜形成工程と、冷却により自己支持性を有するものとなった流延膜を湿潤フィルムとして支持体から剥ぎ取る剥取工程と、湿潤フィルムを乾燥してポリマーフィルムとする乾燥工程とを有し、乾燥工程と延伸工程とは連続して行われることが好ましい。あるいは、ポリマーと溶剤とを含むドープを走行する支持体に吐出して、支持体に流延膜を形成する膜形成工程と、流延膜からの溶剤の蒸発により、自己支持性を有するものとなった流延膜を湿潤フィルムとして支持体から剥ぎ取る剥取工程と、湿潤フィルムを乾燥してポリマーフィルムとする乾燥工程とを有し、乾燥工程と延伸工程とは連続して行われることが好ましい。
蒸気接触工程におけるリマーフィルムの残留溶剤量が5重量%以下であることが好ましい。また、リマーフィルムが、セルロースアシレートフィルムであることが好ましい。
本発明の位相差フィルムの製造設備は、ポリマーフィルムの光学特性を調整するためにリマーフィルムを延伸する延伸装置と、延伸されたポリマーフィルムに低露点乾燥気体を接触させ、ポリマーフィルムの温度を100℃以上130℃以下の範囲内で維持する結露防止装置と、低露点乾燥気体を接触させたポリマーフィルムに水蒸気を接触させ、リマーフィルムの温度Tf1を100℃以上150℃以下の範囲内で維持する水蒸気接触装置と、水蒸気を接触させたポリマーフィルムと乾燥気体とを接触させ、リマーフィルムの温度を120℃以上130℃以下の範囲内で維持する熱処理装置とを備え、低露点乾燥気体の露点が温度Tf1よりも低いものである。
蒸気接触装置は、蒸気が充填された水蒸気ケーシングと、蒸気ケーシング内に導入されたリマーフィルムの温度Tf1を調整する温度調整機とを有し、露防止装置は、露点乾燥気体が充填された乾燥ケーシングと、燥ケーシング内に導入されたリマーフィルムの温度を調整する温度調整機とを有し、蒸気ケーシングが燥ケーシング内に設けられていることが好ましい。また、蒸気接触装置は蒸気を含む気体をリマーフィルムに接触させ、体の相対湿度を20%RH以上に維持することが好ましい。
本発明によれば、延伸されたポリマーフィルムに水蒸気を接触させる水蒸気接触工程を行った後、このポリマーフィルムに所定の熱処理を行うため、耐久試験等の前後における光学特性や寸法の変動が小さいフィルムを製造することが可能になる。したがって、本発明によれば、使用環境の温度や湿度の大きな変化に左右されず、安定した光学特性を発揮することのできる位相差フィルムを提供することができる。更に、所定の結露防止工程を水蒸気接触工程の前に行うため、水蒸気接触工程におけるポリマーフィルムの表面上での結露を防ぐことができる。
(オフライン延伸設備)
図1に示すように、オフライン延伸設備2は、TACフィルム3を延伸するものであり、供給部4と、テンタ部5と、湿潤気体接触ケーシング6と、冷却部7と、巻取部8とを備える。供給部4にはフィルムロール9が収納されている。フィルムロール9は、帯状のTACフィルム3が巻き芯4aに巻き取られたものである。また、帯状のTACフィルム3は、後述するフィルム製造設備で製造されたものである。供給ローラ4bは、フィルムロール9から帯状のTACフィルム3を取り出して、テンタ部5に供給する。
(テンタ部)
図2に示すように、テンタ部5は、帯状のTACフィルム3をフィルム長手方向(以下、X方向と称する)に搬送し、フィルム幅方向(以下、Y方向と称する)に延伸する延伸処理を行うものであり、第1レール11と、第2レール12と、これらレール11,12に案内される1対のエンドレスチェーン(以下、第1、第2チェーンと称する)13,14とを備えている。第1レール11及び第2レール12の間には、TACフィルム3の搬送路が形成される。図示しない空調機により、テンタ部5の内部の雰囲気の条件を所定範囲内で一定となるように保持する。また、必要に応じて、TACフィルム3の搬送路を、X方向で複数のゾーンを分けて、ゾーン毎に、フィルム加熱条件を変えるようにしてもよい。例えば、X方向に順に、TACフィルム3を予熱するための予熱ゾーン、延伸可能な程度までTACフィルム3を加熱するための加熱ゾーン、及びTACフィルム3を延伸する延伸ゾーンを設けてもよいし、これらの各ゾーンに加えて、TACフィルム3の延伸を停止し、TACフィルム3に残留する歪が緩和するようにTACフィルム3を加熱する熱緩和ゾーンを、延伸ゾーンよりもX方向下流側に設けてもよい。
TACフィルム3の搬送路の上流側にはフィルム把持位置PAが設けられ、TACフィルム3の搬送路の下流側には把持解除位置PBが設けられる。レール11,12は、把持解除位置PBにおけるTACフィルム3の幅Wbが、フィルム把持位置PAにおけるTACフィルム3の幅Waよりも大きくなるように配される。第1、第2チェーン13,14は、レール11,12に沿ってエンドレスに走行する。第1、第2チェーン13,14には、クリップ15が一定の間隔で多数取り付けられている。こうして、クリップ15は、TACフィルム3のY方向の側縁部を把持しながら、各レール11,12に沿って移動することで、TACフィルム3をY方向に延伸する。
第1,第2チェーン13,14は、原動スプロケット21,22及び従動スプロケット23,24に掛け渡されており、これらスプロケット21〜24の間では、第1チェーン13は第1レール11によって、第2チェーン14は第2レール12によって案内される。原動スプロケット21,22はテンタ出口27側に設けられており、これらは図示しない駆動機構により回転駆動され、従動スプロケット23,24はテンタ入口26側に設けられている。
図1に示すように、テンタ部5と湿潤気体接触ケーシング6との間には、耳切装置30が設けられる。耳切装置30は、TACフィルム3のY方向(図2参照)の側縁部をスリット状の耳屑として切り離す。耳切装置30に接続するカットブロア31は、この耳屑を細かくカットする。図示しない風送装置は、カットされた耳屑をクラッシャ32に送り、クラッシャ32は耳屑を破砕して、チップとする。このチップはドープ調製用に再利用されるので、この方法はコストの点において有効である。
巻取部8には、巻き芯36とプレスローラ37とが設けられている。巻取部8に送られたTACフィルム3は、プレスローラ37によって押圧されながら、巻き芯36に巻き取られる。
(湿潤気体接触室)
湿潤気体接触ケーシング6は、湿潤気体接触室6aと、湿潤気体接触室6aに開口する入口6b及び出口6cとを有する。湿潤気体接触室6aには、複数のローラ41が千鳥状に配される。ローラ41は、耳切装置30から送られたTACフィルム3を冷却部7へ案内する。湿潤気体接触ケーシング6と湿潤気体供給設備45との間に設けられる送りダクト42及び戻りダクト43により、湿潤気体接触ケーシング6と湿潤気体供給設備45とが接続する。湿潤気体供給設備45は、戻りダクト43を介して、湿潤気体接触室6aの内部の気体を回収気体300として回収し、所定の条件に調節された湿潤気体400をつくり、送りダクト42を介して、湿潤気体400を湿潤気体接触室6aに供給する。
(湿潤気体供給設備)
図3に示すように、湿潤気体供給設備45は、軟水410を加熱して水蒸気411をつくるボイラ51と、空気420を送風するブロア52と、ブロア52によって送られた空気420を加熱する熱交換器53と、熱交換器53を経た空気420及び水蒸気411を混合して湿潤気体400をつくる混合装置54と、湿潤気体400を加熱して湿潤気体接触室6aへ送る加熱装置55と、湿潤気体接触室6aから回収した回収気体300を凝縮し、加熱気体310及び凝縮液320をつくる凝縮装置61とを有する。
また、ボイラ51と混合装置54とを接続する配管には、水蒸気411の圧力を所定の値まで減圧する減圧弁65及び水蒸気411の流量の調節を行う流量調節弁66が設けられる。また、制御装置70は、流量調節弁66と加熱装置55と接続する。制御装置70は、湿潤気体400の流量及び温度の調節を行う。
凝縮装置61には、冷却装置71が接続する。冷却装置71は、凝縮装置61に冷水330を送る。凝縮装置61に送られた冷水330は、回収気体300の凝縮に用いられる。回収気体300の凝縮により、冷水330は温水331となる。冷却装置71は、回収した温水331に冷却処理を施して、再び、冷水330として凝縮装置61に送る。
凝縮装置61によって得られる加熱気体310の一部は、ブロア76により熱交換器53に送られ、熱の再利用が行われる。また、余剰の加熱気体310は廃棄される。
凝縮された水、溶剤、またはこれらの混合物である凝縮液320は、貯水タンク73へ送られる。貯水タンク73には、溶剤の濃度を検出する濃度センサが設けられる。凝縮液320は、所定の処理を経て廃棄される。
次に、オフライン延伸設備2における本発明の作用について説明する。図1に示すように、供給ローラ4bは、供給部4からTACフィルム3をテンタ部5に供給する。
図2に示すように、図示しない空調機は、テンタ部5内の雰囲気の温度、湿度、溶剤露点等を調節する。溶剤露点とは、ガス状の溶剤を含む雰囲気の温度を下げていったときに、溶剤が飽和状態に達して、溶剤が液化し始める温度をいう。これにより、テンタ部5を通過するTACフィルム3の温度を所望の範囲内に調節することができる。図示しない駆動機構は、スプロケット21〜24を回転駆動し、第1、第2チェーン13、14は、第1、第2レール11、12に沿って無端走行する。第1、第2チェーン13、14に取り付けられるクリップ15は、フィルム把持位置PAにて、TACフィルム3の方向Yの両側縁部を把持し、把持解除位置PBにて両側縁部の把持を解除する。こうして、テンタ部5では、フィルム把持位置PAから把持解除位置PBまでの間で、方向Yへの延伸処理がTACフィルム3に施される。テンタ部5におけるTACフィルム3の延伸率Wb/Waは、100.5%以上300%以下であることが好ましく、110%以上180%以下であることがより好ましい。テンタ部5から送られたTACフィルム3は、耳切装置30により、両側縁部が切り離され、湿潤気体接触室6aへ送られる。
図1に示すように、湿潤気体供給設備45は、湿潤気体400の温度Ta、湿度Hu1、溶剤露点TR等を調節し、湿潤気体400を湿潤気体接触室6aへ送る。これにより、所定の条件に調節された湿潤気体400が湿潤気体接触室6aに充満する。複数のローラ41は、耳切装置30から送り出されたTACフィルム3を、巻きかけながら搬送し、冷却部7に案内する。こうして、湿潤気体接触室6aでは、所望の条件の湿潤気体400をTACフィルム3に接触させる水蒸気接触処理が行われる。
水蒸気接触処理が施されたTACフィルム3は、冷却部7に送られる。TACフィルム3は、冷却室6で略室温まで冷却される。冷却されたTACフィルムは巻取部8に送られ、プレスローラ37によって押圧されながら、巻き芯36に巻き取られる。
本発明は、溶剤がほとんど含まれないTACフィルム3に湿潤気体400を接触させて水蒸気接触処理を行う。TACフィルム3に湿潤気体400が接触すると、TACフィルム3は水分子を吸収するとともに加熱される結果、TACフィルム3に含まれるポリマーのガラス転移温度Tgが低下するとともに、TACフィルム3における水分子の拡散が促進される。TACフィルム3における水分子の拡散の促進により、ポリマー分子の高次構造がより安定な構造に遷移しやすくなる結果、単なる熱処理に比べ、ポリマー分子の構造の安定化を短時間で行うことができる。
したがって、本発明によれば、湿熱耐久試験の前後における厚み方向レターデーションRthの変動量ΔRthWETが小さいTACフィルム3を製造することができる。
水蒸気接触処理におけるTACフィルム3の温度Tf1の下限は、100℃以上であることが好ましく、105℃以上であることがより好ましい。温度Tf1の上限は、150℃以下であることが好ましく、140℃以下であることがより好ましく、130℃以下であることが特に好ましい。温度Tf1が100℃未満となると、結露が生じるため好ましくない。温度Tf1が150℃を超えると、TACフィルム3のカールが顕著となるため好ましくない。したがって、水蒸気接触処理における湿潤気体400の温度Taは、温度Tf1が上記の範囲となるように適宜調節すればよい。例えば、湿潤気体400の温度Taは、70℃以上200℃以下であることが好ましく、90℃以上160℃以下であることがより好ましく、95℃以上140℃以下であることが最も好ましい。また、水蒸気接触処理におけるTACフィルム3の温度Tf1は一定に維持されることが好ましい。
ΔRthWETの抑制効果を大きくするためには、湿潤気体400の湿度Hu1は高いほうがよい。湿潤気体400の湿度Hu1は、20%RH以上100%RH以下であることが好ましく、40%RH以上100%RH以下であることがより好ましく、70%RH以上100%RH以下であることが特に好ましい。湿度Hu1が70%RH以上である場合には、ΔRthWETを確実に抑制することができる。
また、水蒸気接触処理の処理時間P1の範囲は、特に限定されないが、本発明の効果が発揮される範囲内であれば、生産効率の点から出来るだけ短いほうが好ましい。処理時間P1の上限として、例えば、60分以下であることが好ましく、10分以下であることがより好ましい。一方、処理時間P1の下限として、例えば、5秒以上であることが好ましく、10秒以上であることがより好ましく、30秒以上であることが特に好ましい。
図3に示すように、水蒸気411をつくるための水として、軟水410の他、硬水、軟水や純水などを用いることができる。ボイラ51の保護の観点から軟水を用いることが好ましい。TACフィルム3への異物の混入は、製品としてのTACフィルム3の光学特性や機械特性の劣化の原因となるため、できるだけ異物の少ない水を用いることが好ましい。したがって、TACフィルム3への異物の混入を防ぐためには、軟水や純水を用いることが好ましく、純水を用いることがより好ましい。
なお、本発明に明細書における純水とは、電気抵抗率が少なくとも1MΩ以上であり、特にナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどの金属イオンの含有濃度は1ppm未満、塩素、硝酸などのアニオンは0.1ppm未満の含有濃度を指す。純水は、逆浸透膜、イオン交換樹脂、蒸留などの単体、あるいは組み合わせによって、容易に得ることができる。
水蒸気411をつくるための軟水410に代えて、有機化合物を用いてもよいし、水と有機化合物との混合物を用いてもよい。有機化合物としては、メタノール、アセトンやメチルエチルケトンなどが挙げられる。
上記実施形態では、湿潤気体400が充満する湿潤気体接触室6aにTACフィルム3を通過させたが、本発明はこれに限られず、湿潤気体接触室6aにて湿潤気体400をTACフィルム3にあててもよい。
上記実施形態では、湿潤気体接触室6aにおいて、水蒸気接触処理を行うとしたが、本発明はこれに限られず、テンタ部5から巻取部8までの間のTACフィルム3に水蒸気接触処理を行っても良い。テンタ部5で水蒸気接触処理を行う場合には、延伸処理と同時に、或いは延伸処理の後の熱緩和処理として、水蒸気接触処理を行ってもよい。
上記実施形態の水蒸気接触処理では、搬送されるTACフィルム3に水蒸気を接触させたが、本発明はこれに限られず、図4に示すように、1対の枠77に固定されたTACフィルム3に水蒸気を接触させてもよい。1対の枠77は、TACフィルム3を両側から挟んだ状態で、図示しない固定具により固定される。なお、図中では、TACフィルム3のY方向と平行に設けられる第1枠部77a及びX方向と平行に設けられる第2枠部77bを有する1対の枠77を用いて、TACフィルム3の固定を行ったが、本発明はこれに限られず、TACフィルム3のY方向または、X方向と交差するように設けられる枠部を有する1対の枠を用いて、TACフィルム3の固定を行ってもよい。また、第1枠部77aまたは第2枠部77bのいずれか一方のみを有する1対の枠を用いてTACフィルム3の固定を行ってもよい。
水蒸気接触処理が施されるTACフィルム3は、十分乾燥された、すなわち溶剤がほとんど残っておらず、ポリマー分子の流動性がほとんど消失しているものを用いることが好ましい。例えば、乾量基準の残留溶剤量が5重量%以下であることが好ましく、2重量%以下であることがより好ましく、0.3重量%以下であることが特に好ましい。ここで、乾量基準の残留溶剤量とは、湿潤フィルムやTACフィルム3に残留する溶剤量を示したものを指す。残留溶剤量は、対象となるフィルムからサンプルフィルムを採取し、採取時のサンプルフィルムの重量をx、サンプルフィルムを乾燥した後の重量をyとするとき、{(x−y)/y}×100で表される。
TACフィルム3の幅は600mm以上であることが好ましく、1400mm以上2500mm以下であることがより好ましく、2500mmより大きい場合にも本発明の効果が発現する。また、TACフィルム3の厚みが20μm以上200μm以下であることが好ましく、40μm以上100μm以下であることがより好ましい。
TACフィルム3は、溶液製膜方法によって製造されたものを用いることが好ましく、特に、冷却ゲル化方式により製造されたものを用いることが好ましい。以下、冷却ゲル化方式の概要について説明する。なお、上記実施形態と同一の部材などには同一の符号を付しその詳細の説明は省略する。
図5に示すように、フィルム製造設備80は、冷却ゲル化方式の溶液製膜方法を行う。ポリマーと溶剤とを含む流延ドープ81の温度は、30℃以上40℃以下の範囲内でほぼ一定となるように維持されている。図示しない制御部の制御の下、流延ドラム82は軸82aを中心に回転する。この回転により、周面82bは、所定の速度(50m/分以上200m/分以下)で走行方向Z1へ走行する。また、伝熱媒体循環装置83により、周面82bの温度は、−10℃以上10℃以下の範囲内で略一定に保持される。
流延ダイ84は、流延ドープ81を周面82bへ連続して吐出する。吐出した流延ドープ81は、周面82b上にて流れ延ばされる結果、周面82b上に流延膜86を形成する。また、吐出した流延ドープ81は、流延ダイ84及び周面82bの間においてビードを形成する。減圧チャンバ85は、ビードの方向Z1下流側を減圧し、ビードの安定化を図る。流延膜86は、周面82b上での冷却によりゲル化が進行する。ゲル化の結果、流延膜86には自己支持性が発現する。本明細書において、ゲル化とは、流延ドープ81に含まれる溶剤がポリマーの分子鎖の中で保持された状態で流動性を失い、結果的に流延ドープ81の流動性が失われた状態にあることを意味する。流延膜86は、自己支持性を有するものとなった後に、湿潤フィルム88として剥取ローラ89で支持されながら周面82bから剥ぎ取られる。剥ぎ取り時の流延膜86の残留溶剤量は、250重量%以上280重量%以下であることが好ましい。
ゲル化状態が維持された湿潤フィルム88は、渡り部90、ピンテンタ91、テンタ部5に順次送られる。渡り部90、ピンテンタ91、テンタ部5では、湿潤フィルム88に所定の乾燥空気をあてて、湿潤フィルム88に含まれる溶剤を蒸発させる。渡り部90には、複数の搬送ローラ90aがX方向に並べられる。渡り部90におけるドローテンション(=V2/V1)は、1.00以上1.05以下とすることが好ましい。ここで、V1は、第1の搬送ローラ90aの周速度であり、V2は、第1の搬送ローラ90aの下流側に設けられた第2の搬送ローラ90aの周速度である。
また、ピンテンタ91やテンタ部5では、溶剤の蒸発を行いつつ、湿潤フィルム88を所定の方向に延伸する延伸処理を行う。なお、ピンテンタ91では、湿潤フィルム88の延伸を行わずに、湿潤フィルム88から溶剤の蒸発のみを行ってもよい。ピンテンタ91に導入される湿潤フィルム88の残留溶剤量は、200重量%以上250重量%以下であることが好ましい。テンタ部5に導入される湿潤フィルム88の残留溶剤量は、30重量%以上200重量%以下であることが好ましい。
乾燥室97では、湿潤フィルム88に所定の乾燥空気をあてて、湿潤フィルム88に含まれる溶剤を蒸発させる。乾燥室97における湿潤フィルム88の温度は140℃以上180℃以下であることが好ましい。
乾燥室97にて十分に乾燥した湿潤フィルム88は、TACフィルム3となり、冷却部7では所定の温度になるまで冷却処理が施される。また、強制除電装置98は、TACフィルム3の帯電圧が所定の範囲(例えば、−3kV〜+3kV)となるように除電する。ナーリング付与ローラ99は、TACフィルム3の両縁にエンボス加工でナーリングを付与する。その後、TACフィルム3は、巻取部8に送られ、プレスローラ37によって押圧されながら、巻き芯36に巻き取られる。
溶液製膜方法を行うためのフィルム製造設備は、上記のフィルム製造設備80に限られず、図6に示すようなフィルム製造設備100でもよい。フィルム製造設備100では、フィルム製造設備80と同様に、流延ドープ81から湿潤フィルム88が形成され、この湿潤フィルム88は渡り部90、ピンテンタ91、乾燥室97と順次案内されながら、乾燥処理により乾燥し、TACフィルム3となる。そして、TACフィルム3はテンタ部5、冷却部7と順次案内された後、巻取部8にて巻き取られる。
上記実施形態では、オフライン延伸設備2(図1参照)において、溶液製膜方法によって製造されたTACフィルム3に延伸処理を施し、その後に水蒸気接触処理を行ったが、本発明はこれに限られない。巻き芯に巻き取られたTACフィルム3が既に延伸処理を施されたものである場合には、巻き芯から取り出したTACフィルム3に延伸処理を施さずに、そのまま水蒸気接触処理を行ってもよい。この場合には、オフライン延伸設備2におけるテンタ部5を省略してもよい。
上記実施形態では、フィルム製造設備80、100(図5,6参照)で製造したTACフィルム3を巻き取った後、オフライン延伸設備2(図1参照)においてTACフィルム3に水蒸気接触処理を行ったが、本発明はこれに限られず、オフライン延伸設備2にて水蒸気接触処理を行う代わりに、フィルム製造設備80、100(図5,6参照)にて水蒸気接触処理を行ってもよい。フィルム製造設備80、100(図5,6参照)にて水蒸気接触処理を行う場合には、テンタ部5から巻取部8までの間のTACフィルム3に水蒸気接触処理を行っても良い。テンタ部5で水蒸気接触処理を行う場合には、延伸処理と同時に又は延伸処理の開始後に水蒸気接触処理を行ってもよいし、延伸処理の後に行われる熱緩和処理と同時に又は熱緩和処理の開始後に水蒸気接触処理を行ってもよい。
上記実施形態では、フィルム製造設備80、100における支持体として流延ドラム82を用いたが、本発明はこれに限られず、走行するエンドレスバンドを用いても良い。また、流延膜86に乾燥空気を接触させて、流延膜86から溶剤を蒸発させることにより、流延膜86に自己支持性を発現させてもよい。
(熱処理)
上記実施形態の水蒸気接触処理を経たTACフィルム3に、乾燥気体402(図7参照)をあて、TACフィルム3の温度を所定の範囲内にする熱処理工程を行うことが好ましい。水蒸気接触処理と熱処理とを順次連続して行うことが好ましい。この熱処理により、湿熱耐久試験の前後のみならず、乾熱耐久試験の前後における各レターデーションの変動量、X方向の寸法変化量、Y方向の寸法変化量の小さいTACフィルム3を製造することができる。ここで、乾熱耐久試験とは、高温低湿度の条件(例えば、温度80℃以上湿度10%RH以下)下で行われる耐久試験を指す。
熱処理におけるTACフィルム3の温度Tf2の下限は、110℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましい。また、温度Tf2の上限は130℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましい。したがって、乾燥気体402の温度は、温度Tf2と同等の範囲とすることが好ましい。温度Tf2が110℃未満となる、或いは、温度Tf2が130℃を超えると、湿熱耐久試験及び乾熱耐久試験の前後における各レターデーションの変動量、X方向の寸法変化量、Y方向の寸法変化量を抑えることができないため好ましくない。熱処理におけるTACフィルム3の温度Tf2は一定に維持されることが好ましい。なお、熱処理を施す対象を、TACフィルム3とせずに、湿潤フィルム88としてもよい。
また、熱処理の処理時間P2の上限として、5分以下であることが好ましく、4分以下であることがより好ましい。一方、処理時間P2の下限として、1分以上であることが好ましい。処理時間P2が5分を超える、或いは、1分未満であると、湿熱耐久試験及び乾熱耐久試験の前後における各レターデーションの変動量、X方向の寸法変化量、Y方向の寸法変化量を抑えることができないため好ましくない。
図7に示すように、熱処理は、熱処理ケーシング110に設けられる熱処理室110aで行われる。熱処理室110aには複数のローラ41が千鳥状に配される。ダクト112及び113により、熱処理ケーシング110と乾燥気体供給設備111とが接続する。乾燥気体供給設備111は、湿潤気体供給設備45と同様の構成を有し、ダクト113を介して熱処理室110aにある乾燥気体402の一部を回収し、所定の温度の新たな乾燥気体402をつくり、ダクト112を介して熱処理室110aへ新たな乾燥気体402を供給する。これにより、熱処理室110a内には乾燥気体402が充填される。なお、渡り部90(図5参照)と同様に、ローラ41をX方向に並べ、TACフィルム3を支持しながら搬送してもよい。熱処理ケーシング110は、湿潤気体接触ケーシング6の下流側に設けることが好ましく、熱処理室110aは湿潤気体接触室6aに隣接することが好ましい。
(結露防止処理)
水蒸気接触処理のTACフィルム3において結露を抑えるために、水蒸気接触処理が施される前のTACフィルム3に低露点乾燥気体404をあて、上記実施形態のTACフィルム3の温度を所定の範囲内にする結露防止処理を行うことが好ましい。結露防止処理と水蒸気接触処理とを順次連続して行うことが好ましい。
低露点乾燥気体404の温度は、湿潤気体400の温度Taよりも低いことが好ましい。また、低露点乾燥気体404の露点は、水蒸気接触処理におけるTACフィルム3の温度Tf1よりも低いことが好ましい。低露点乾燥気体404の露点が温度Tf1以上であると、水蒸気接触処理において、TACフィルム3に結露が生じてしまうためである。また、結露防止処理の完了時におけるTACフィルム3のTf0の範囲は、湿潤気体400の露点よりもΔT0だけ高い温度にすることが好ましい。ΔT0は0℃よりも大きいことが好ましく、3℃以上であることがより好ましい。ΔT0が0℃以下となると、TACフィルム3の表面に結露が生じる結果、フィルムの面状故障となるため好ましくない。また、温度Tf0は、温度Tf1よりも低いことが好ましく、より具体的には、Tf0は100℃以上130℃以下であることが好ましく、100℃以上120℃以下であることがより好ましい。結露防止処理におけるTACフィルム3のTf0は一定に維持されることが好ましい。なお、結露防止処理を施す対象を、TACフィルム3とせずに、湿潤フィルム88としてもよい。
図7に示すように、結露防止処理は、結露防止処理ケーシング120に設けられる結露防止処理室120aで行われる。結露防止処理室120aには複数のローラ41が千鳥状に配される。ダクト122及び123により、結露防止処理ケーシング120と低露点乾燥気体供給設備121とが接続する。低露点乾燥気体供給設備121は、湿潤気体供給設備45と同様の構成を有し、ダクト123を介して結露防止処理室120aにある低露点乾燥気体404の一部を回収し、所定の温度の新たな低露点乾燥気体404をつくり、ダクト122を介して結露防止処理室120aへ新たな低露点乾燥気体404を供給する。これにより、結露防止処理室120a内には低露点乾燥気体404が充填される。なお、渡り部90(図5参照)と同様に、ローラ41をX方向に並べ、TACフィルム3を支持しながら搬送してもよい。結露防止処理ケーシング120は、湿潤気体接触ケーシング6の上流側に設けることが好ましく、結露防止処理室120aは湿潤気体接触室6aに隣接することが好ましい。
また、図8に示すように、結露防止処理室140aを有する結露防止処理ケーシング140及び湿潤気体接触室141aを有する湿潤気体接触ケーシング141を用いてもよい。結露防止処理ケーシング140には、結露防止処理室140aに開口する入口140b及び出口140cが設けられる。湿潤気体接触ケーシング141には、湿潤気体接触室141aに開口する入口141b及び出口141cが設けられる。湿潤気体接触室141a内には湿潤気体400が充填され、結露防止処理室140aには低露点乾燥気体404が充填される。更に、湿潤気体接触ケーシング141は結露防止処理室140a内に設けられる。TACフィルム3は、入口140bを介して結露防止処理室140aへ導入された後、入口141bを介して湿潤気体接触室141aへ導入される。湿潤気体接触室141aへ導入されたTACフィルム3は、出口141cを介して、再び結露防止処理室140aへ導入された後、出口140cから外部へ送りだされる。こうして、結露防止処理室140aでは結露防止処理が、湿潤気体接触室141aでは湿潤気体接触処理がそれぞれTACフィルム3に施される。湿潤気体接触ケーシング141が結露防止処理室140a内に設けられるため、湿潤気体接触ケーシング141の外壁面での結露を防止し、外壁面での結露により生じた水滴がフィルムに滴下することを防ぐことができる。
本発明は、ドープを流延する際に、2種類以上のドープを同時に共流延させて積層させる同時積層共流延、または、複数のドープを逐次に共流延して積層させる逐次積層共流延を行うことができる。なお、両共流延を組み合わせてもよい。同時積層共流延を行う場合には、フィードブロックを取り付けた流延ダイを用いてもよいし、マルチポケット型の流延ダイを用いてもよい。ただし、共流延により多層からなるフィルムは、空気面側の層の厚さと支持体側の層の厚さとの少なくともいずれか一方が、フィルム全体の厚みの0.5〜30%であることが好ましい。また、同時積層共流延を行う場合には、ダイスリットから支持体にドープを流延する際に、高粘度ドープが低粘度ドープにより包み込まれることが好ましく、ダイスリットから支持体にかけて形成される流延ビードのうち、外界と接するドープが内部のドープよりもアルコールの組成比が大きいことが好ましい。
上記実施形態では、湿潤気体400の成分として空気420を用いて水蒸気接触処理を行ったが、本発明はこれに限られず、空気420の代わりに、窒素及び希ガスのうちいずれか1つを用いてもよいし、空気、窒素及び希ガス等のうち少なくとも1つを含む混合ガスを用いてもよい。同様にして、乾燥空気や低露点乾燥空気として、空気の代わりに、窒素及び希ガスのうちいずれか1つを用いてもよいし、空気、窒素及び希ガス等のうち少なくとも1つを含む混合ガスを用いてもよい。また、湿潤気体400に代わりに、所定の温度に調節された水蒸気411を用いて水蒸気接触処理を行ってもよい。
上記実施形態では、TACフィルムを用いたが、本発明はTACフィルムに限られず、セルロースアシレートや環状ポリオレフィン等、他のポリマーから、溶液製膜方法によって得られるポリマーフィルムや、溶融製膜方法によって製造されたポリマーフィルムにも用いることができる。
(セルロースアシレート)
セルロースアシレートとしては、トリアセチルセルロース(TAC)が特に好ましい。そして、セルロースアシレートの中でも、セルロースの水酸基をカルボン酸でエステル化している割合、すなわち、アシル基の置換度が下記式(I)〜(III)の全てを満足するものがより好ましい。なお、以下の式(I)〜(III)において、A及びBは、アシル基の置換度を表わし、Aはアセチル基の置換度、またBは炭素原子数3〜22のアシル基の置換度である。なお、TACの90重量%以上が0.1mm〜4mmの粒子であることが好ましい。
(I) 2.5≦A+B≦3.0
(II) 0≦A≦3.0
(III) 0≦B≦2.9
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位,3位及び6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部を炭素数2以上のアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位,3位及び6位それぞれについて、セルロースの水酸基がエステル化している割合(100%のエステル化は置換度1である)を意味する。
全アシル化置換度、即ち、DS2+DS3+DS6は2.00〜3.00が好ましく、より好ましくは2.22〜2.90であり、特に好ましくは2.40〜2.88である。また、DS6/(DS2+DS3+DS6)は0.28以上が好ましく、より好ましくは0.30以上、特に好ましくは0.31〜0.34である。ここで、DS2はグルコース単位の2位の水酸基のアシル基による置換度(以下、「2位のアシル置換度」とも言う)であり、DS3は3位の水酸基のアシル基による置換度(以下、「3位のアシル置換度」とも言う)であり、DS6は6位の水酸基のアシル基による置換度(以下、「6位のアシル置換度」とも言う)である。
本発明のセルロースアシレートに用いられるアシル基は1種類だけでも良いし、あるいは2種類以上のアシル基が使用されていても良い。2種類以上のアシル基を用いるときは、その1つがアセチル基であることが好ましい。2位,3位及び6位の水酸基による置換度の総和をDSAとし、2位,3位及び6位の水酸基のアセチル基以外のアシル基による置換度の総和をDSBとすると、DSA+DSBの値は、より好ましくは2.22〜2.90であり、特に好ましくは2.40〜2.88である。また、DSBは0.30以上であり、特に好ましくは0.7以上である。さらにDSBはその20%以上が6位水酸基の置換基であるが、より好ましくは25%以上が6位水酸基の置換基であり、30%以上がさらに好ましく、特には33%以上が6位水酸基の置換基であることが好ましい。また更に、セルロースアシレートの6位の置換度が0.75以上であり、さらには0.80以上であり特には0.85以上であるセルロースアシレートも挙げることができる。これらのセルロースアシレートにより溶解性の好ましい溶液(ドープ)が作製できる。特に非塩素系有機溶剤において、良好な溶液の作製が可能となる。さらに粘度が低く、濾過性の良い溶液の作製が可能となる。
セルロースアシレートの原料であるセルロースは、リンター,パルプのどちらから得られたものでも良い。
本発明のセルロースアシレートの炭素数2以上のアシル基としては、脂肪族基でもアリール基でも良く特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していても良い。これらの好ましい例としては、プロピオニル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、iso−ブタノイル、t−ブタノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイル基などを挙げることができる。これらの中でも、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、t−ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどがより好ましく、特に好ましくはプロピオニル、ブタノイルである。
(溶剤)
ドープを調製する溶剤としては、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン,トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン,クロロベンゼンなど)、アルコール(例えば、メタノール,エタノール,n−プロパノール,n−ブタノール,ジエチレングリコールなど)、ケトン(例えば、アセトン,メチルエチルケトンなど)、エステル(例えば、酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸プロピルなど)及びエーテル(例えば、テトラヒドロフラン,メチルセロソルブなど)などが挙げられる。なお、本発明において、ドープとはポリマーを溶剤に溶解または分散して得られるポリマー溶液,分散液を意味している。
これらの中でも炭素原子数1〜7のハロゲン化炭化水素が好ましく用いられ、ジクロロメタンが最も好ましく用いられる。TACの溶解性、流延膜の支持体からの剥ぎ取り性、フィルムの機械的強度など及びフィルムの光学特性などの物性の観点から、ジクロロメタンの他に炭素原子数1〜5のアルコールを1種ないし数種類混合することが好ましい。アルコールの含有量は、溶剤全体に対し2重量%〜25重量%が好ましく、5重量%〜20重量%がより好ましい。アルコールの具体例としては、メタノール,エタノール,n−プロパノール,イソプロパノール,n−ブタノールなどが挙げられるが、メタノール,エタノール,n−ブタノールあるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
ところで、最近、環境に対する影響を最小限に抑えることを目的に、ジクロロメタンを使用しない場合の溶剤組成についても検討が進み、この目的に対しては、炭素原子数が4〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステル、炭素数1〜12のアルコールが好ましく用いられる。これらを適宜混合して用いることがある。例えば、酢酸メチル,アセトン,エタノール,n−ブタノールの混合溶剤が挙げられる。これらのエーテル、ケトン,エステル及びアルコールは、環状構造を有するものであってもよい。また、エーテル、ケトン,エステル及びアルコールの官能基(すなわち、−O−,−CO−,−COO−及び−OH)のいずれかを2つ以上有する化合物も、溶剤として用いることができる。
なお、セルロースアシレートの詳細については、特開2005−104148号の[0140]段落から[0195]段落に記載されている。これらの記載も本発明にも適用できる。また、溶剤及び可塑剤,劣化防止剤,紫外線吸収剤(UV剤),光学異方性コントロール剤,レターデーション制御剤,染料,マット剤,剥離剤,剥離促進剤などの添加剤についても、同じく特開2005−104148号の[0196]段落から[0516]段落に詳細に記載されている。
(用途)
本発明のポリマーフィルムは、偏光板保護フィルムや位相差フィルムとして有用である。このポリマーフィルムに光学的異方性層、反射防止層、防眩機能層等を付与して、高機能フィルムとしてもよい。
位相差フィルムとして用いる場合、ポリマーフィルムの面内レターデーションReは30nm以上100nm以下であることが好ましく、位相差フィルムの厚み方向レターデーションRthは70nm以上300nm以下であることが好ましい。
(溶融製膜設備)
次に、溶融製膜方法によりポリマーフィルムを製造する溶融製膜設備210について説明する。溶融製膜設備210は、図9に示すように、液晶表示装置等に使用できる熱可塑性フィルムFを製造する装置である。熱可塑性フィルムFの原材料であるペレット状の熱可塑性樹脂を乾燥機212に導入して乾燥させた後、このペレットを押出機214によって押し出し、ギアポンプ216によりフィルタ218に供給する。次いで、フィルタ218により異物がろ過され、ダイ220から溶融樹脂(溶融した熱可塑性樹脂)が押し出される。溶融樹脂は、第1キャスティングロール228とタッチロール424で挟まれて押圧成形された後、第1キャスティングロール228にて冷却固化されて所定の表面粗さのフィルム状とされ、さらに、第2キャスティングロール226、第3キャスティングロール227によって搬送されることで未延伸フィルムFaが得られる。この未延伸フィルムFaは、この段階で巻き取られてもよいし、連続的に長スパン延伸を行う横延伸部242に供給されてもよい。また、一度巻き取られた未延伸フィルムFaを再度横延伸部242に供給しても、連続的に長スパン延伸を行う横延伸部242に供給した場合と同様の効果が得られる。
横延伸部242では、未延伸フィルムFaが搬送方向(以下、A方向と称する)と直交する幅方向(以下、B方向と称する)に延伸され、横延伸フィルムFbとされる。横延伸部242の上流側に予熱部236を設けてもよいし、横延伸部242の下流側に熱固定部244を設けてもよい。これにより、延伸中のボーイング(光学軸のズレ)を小さくできる。予熱温度は横延伸温度より高いこと、熱固定温度は横延伸温度より低いことが好ましい。すなわち、通常、ボーイングはB方向中央部がA方向に向かって凹となるが、予熱温度>横延伸温度、横延伸温度>熱固定温度とすることによりボーイングを低減できる。予熱処理、熱固定処理はどちらか一方でもよく、両方行ってもよい。
横延伸の後に後熱処理を行なった後、収縮処理ゾーン246でX方向に横延伸フィルムFbを収縮させる。収縮処理ゾーン246では、図10に示すように、横延伸フィルムFbの側端部をチャックで把持しない状態で、B方向の収縮が起こらずに、A方向の収縮のみが起こるように複数のロール248a〜248dで横延伸フィルムFbを搬送する。このとき、図11に示すように、複数のロール248a〜248dは、ロールラップ長(D)とロール間長(G)の比(G/D)が0.01以上3以下となるように配置される。これにより横延伸フィルムFbと各ロール248〜248dとの摩擦によりB方向の収縮が抑制される。そして、横延伸フィルムFbは、上流側のロール248aによる周速度(Va)と下流側のロール448dによる周速度(Vd)の比(Vd/Va)が0.6以上0.999以下で搬送しながら収縮処理される。つまり、横延伸フィルムFbは収縮処理ゾーン246にてA方向に収縮する。
横延伸フィルムFbが収縮処理ゾーン246にて収縮処理されることで、配向角、レターデーションが調整された最終製品である熱可塑性フィルムFが製造される。このフィルムFは巻取部249によって巻き取られる。
B方向への延伸の前又は後にA方向の延伸を行ってもよい。A方向の延伸は、A方向に並ぶ複数のニップロール対を用いてフィルムを搬送し、上流側のニップロール対の周速度より下流側のニップロール対の周速度を速くすることで達成できる。A方向におけるニップロール間の距離(L)と上流側のニップロール対でのフィルム幅Wの比(L/W)の大きさで延伸方式が異なり、L/Wが小さいと特開2005−330411号公報、特開2006−348114号公報記載のようなA方向の延伸方式を採用できる。この方式は、Rthが大きくなり易いが装置をコンパクトにすることができる。一方、L/Wが大きい場合は特開2005−301225号公報記載のようなA方向の延伸方式を用いることができる。この方式はRthを小さくできるが、装置が長大になり易い。
溶融製膜方法に用いることのできるポリマーは、熱可塑性樹脂であれば特に限定されず、例えば、セルロースアシレート、ラクトン環含有重合体、環状ポリオレフィン、ポリカーボネイト等が挙げられる。中でも好ましいのがセルロースアシレート、環状ポリオレフィンであり、中でも好ましいのがアセテート基、プロピオネート基を含むセルロースアシレート、付加重合によって得られた環状ポリオレフィンであり、さらに好ましくは付加重合によって得られた環状ポリオレフィンである。
(環状ポリオレフィン)
環状ポリオレフィンはノルボルネン系化合物から重合されるものが好ましい。この重合は開環重合、付加重合いずれの方法でも行える。付加重合としては例えば特許3517471号公報記載のものや特許3559360号公報、特許3867178号公報、特許3871721号公報、特許3907908号公報、特許3945598号公報、特表2005−527696号公報、特開2006−28993号公報、国際公開第2006/004376号パンフレットに記載のものが挙げられる。特に好ましいのは特許3517471号公報に記載のものである。
開環重合としては国際公開第98/14499号パンフレット、特許3060532号公報、特許3220478号公報、特許3273046号公報、特許3404027号公報、特許3428176号公報、特許3687231号公報、特許3873934号公報、特許3912159号公報記載のものが挙げられる。なかでも好ましいのが国際公開第98/14499号パンフレット、特許3060532号公報記載のものである。
これらの環状ポリオレフィンの中でも付加重合のものの方がより好ましい。
(ラクトン環含有重合体)
下記(一般式1)で表されるラクトン環構造を有するものを指す。
Figure 0005399162
(一般式1)中、R1、R2、R3は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20の有機残基を表す。なお、有機残基は酸素原子を含んでいてもよい。
(一般式1)のラクトン環構造の含有割合は、好ましくは5〜90重量%、より好ましくは10〜70重量%、さらに好ましくは10〜50重量%である。
(一般式1)で表されるラクトン環構造以外に、(メタ)アクリル酸エステル、水酸基含有単量体、不飽和カルボン酸、下記(一般式2)で表される単量体から選ばれる少なくとも1種を重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)が好ましい。
Figure 0005399162
(一般式2)中、R4は水素原子又はメチル基を表し、Xは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、−OAc基、−CN基、−CO−R5基、又は−C−O−R6基を表し、Ac基はアセチル基を表し、R5及びR6は水素原子又は炭素数1〜20の有機残基を表す。
例えば、国際公開第2006/025445号パンフレット、特開2007−70607号公報、特開2007−63541号公報、特開2006−171464号公報、特開2005−162835号公報記載のものを用いることができる。
(フィルムの製造)
実施例に用いた各ポリマーフィルム(試料No.A1〜A4、B〜D)の製造方法について説明する。
(試料No.A1)
試料No.A1のポリマーフィルムの製造に用いる流延ドープを調製した。流延ドープの調製には、原料ドープ、マット剤液、及び紫外線吸収剤溶液を用いた。以下、原料ドープ、マット剤液、及び紫外線吸収剤溶液の調製方法の詳細について説明する。
[原料ドープの調製]
下記の処方から原料ドープを調製した。
セルローストリアセテート(置換度2.86) 89.3重量%
可塑剤A(トリフェニルフォスフェート) 7.1重量%
可塑剤B(ビフェニルジフェニルフォスフェート) 3.6重量%
の組成比からなる固形分(溶質)を
ジクロロメタン 80.0重量%
メタノール 13.5重量%
n−ブタノール 6.5重量%
からなる混合溶剤に適宜添加し、攪拌溶解して原料ドープを調製した。なお、原料ドープのTAC濃度は略23重量%になるように調整した。原料ドープを濾紙(東洋濾紙(株)製,#63LB)にて濾過後さらに焼結金属フィルタ(日本精線(株)製06N,公称孔径10μm)で濾過し、さらにメッシュフイルタで濾過した後にストックタンクに入れた。
[セルローストリアセテート]
なお、ここで使用したセルローストリアセテートは、残存酢酸量が0.1重量%以下であり、Ca含有率が57ppm、Mg含有率が41ppm、Fe含有率が0.4ppmであり、遊離酢酸38ppm、さらに硫酸イオンを13ppm含むものであった。また6位水酸基の水素に対するアセチル基の置換度は0.91であった。また、全アセチル基中の32.5%が6位の水酸基の水素が置換されたアセチル基であった。また、このTACをアセトンで抽出したアセトン抽出分は8重量%であり、その重量平均分子量/数平均分子量比は2.5であった。また、得られたTACのイエローインデックスは1.7であり、ヘイズは0.08、透明度は93.5%であった。このTACは、綿から採取したセルロースを原料として合成されたものである。以下の説明において、これを綿原料TACと称する。
[マット剤液の調製]
下記の処方からマット剤液を調製した。
シリカ(日本アエロジル(株)製アエロジルR972) 0.67重量%
セルローストリアセテート 2.93重量%
トリフェニルフォスフェート 0.23重量%
ビフェニルジフェニルフォスフェート 0.12重量%
ジクロロメタン 88.37重量%
メタノール 7.68重量%
上記処方からマット剤液を調製して、アトライターにて体積平均粒径0.7μmになるように分散を行った後、富士フイルム(株)製アストロポアフィルタにてろ過した。そして、マット剤液用タンクに入れた。
[紫外線吸収剤溶液の調製]
下記の処方から紫外線吸収剤溶液を調製した。
2(2´−ヒドロキシ−3´,5´−ジ−tert―ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール 5.83重量%
2(2´−ヒドロキシ3´,5´−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール 11.66重量%
セルローストリアセテート 1.48重量%
トリフェニルフォスフェート 0.12重量%
ビフェニルジフェニルフォスフェート 0.06重量%
ジクロロメタン 74.38重量%
メタノール 6.47重量%
上記処方から紫外線吸収剤溶液を調製し、富士フイルム(株)製のアストロポアフィルタにてろ過した後に紫外線吸収剤液法用タンクに入れた。
図5に示すように、フィルム製造設備80を用いて流延ドープ81からTACフィルム3を製造した。紫外線吸収剤溶液にマット剤液を混合し、インラインミキサで混合攪拌して混合添加剤を得た。添加剤供給ラインは、混合添加剤を配管内に送液した。インラインミキサは原料ドープと混合添加剤とを混合攪拌して流延ドープ81を得た。流延ドラム82は、制御部の制御の下、軸82aを中心に回転し、走行方向Z1における周面82bの速度を50m/分以上200m/分以下の範囲内でほぼ一定となるように保持した。流延ドラム82の周面82bの温度を、−10℃以上10℃以下の範囲内でほぼ一定となるように保持した。流延ダイ84は、流延ドープ81を周面82b上に流延し、周面82bに流延膜86を形成した。冷却により、流延膜86が自己支持性を有するものとなった後、剥取ローラ89を用いて、流延ドラム82から流延膜86を湿潤フィルム88として剥ぎ取った。剥取不良を抑制するために流延ドラム82の速度に対する剥取速度(剥取ローラドロー)を、100.1%〜110%の範囲で適切に調整した。湿潤フィルム88は、渡り部90、ピンテンタ91、及び乾燥室97へ順次案内された。渡り部90、ピンテンタ91、及び乾燥室97は、湿潤フィルム88に乾燥空気をあてて、所定の乾燥処理を行った。この乾燥処理によって得られるTACフィルム3を冷却部7に送った。冷却部7では、TACフィルム3を30℃以下になるまで冷却した。その後、TACフィルム3に、除電処理、ナーリング付与処理などを行った後、巻取部8に搬送した。巻取部8では、プレスローラ37で所望のテンションを付与しつつ、TACフィルム3を巻き芯36に巻き取った。フィルム製造設備80により製造されたTACフィルム3は、幅が1600m〜2500mであり、膜厚が110μmであった。
(試料No.A2〜A4)
表1に示すこと以外は試料No.A1のTACフィルムと同様にして、試料No.A2〜A4のTACフィルム3を得た。
(試料No.B)
溶液製膜方法を用いて、特開2001−188128の実施例1に記載のフイルムNo.1(セルロースアセテートプロピオネート:厚み120μm)を得た。これを試料No.Bのフィルムと称する。
(試料No.C)
国際公開第2006/025445号パンフレット記載の実施例1に従って溶融製膜方法を行い、ラクトン環含有重合体樹脂からなるポリマーフイルム(厚み100μm)を得た。これを試料No.Cのフィルムと称する。
(試料No.D)
溶融製膜方法を行い、シクロオレフィン樹脂Aからなるポリマーフイルム(厚み100μm)を得た。これを試料No.Dのフィルムと称する。
シクロオレフィン樹脂A(付加重合系):ポリプラスチックス(株)製TOPAS6013(Tg=130℃)
試料No.Dのフィルムを製造した溶融製膜方法の詳細は次の通りである。シクロオレフィン樹脂Aを110℃の真空乾燥機で乾燥し含水率を0.1%以下とした後、1軸混練押出し機を用い260℃で溶融しギアポンプから送り出した後、濾過精度5μmのリーフディスクフィルタにて濾過し、スタティックミキサーを経由してスリット間隔0.8mm、270℃のハンガーコートダイから、(Tg−5)℃、Tg℃、(Tg−10)℃に設定した3連のキャストロール上にメルト(溶融樹脂)を押出した。この時、最上流側のキャストロールに面圧0.1MPaでタッチロールを接触させ、厚み100μmの未延伸フイルムを製膜した。タッチロールは特開平11−235747号公報の実施例1に記載のもの(二重抑えロールと記載のあるもの)を用い、(Tg−5)℃に調温した(但し薄肉金属外筒厚みは2mmとした)。
この後、巻き取り直前に両端(全幅の各3%)をトリミングした後、両端に幅10mm、高さ20μmの厚みだし加工(ナーリング)をつけた。各水準とも、幅は1.5mで30m/分で3000m巻き取った。
Figure 0005399162
なお、表1に示すCAPは、セルロースアセテートプロピオネートを示し、ラクトンはラクトン環含有重合体樹脂を、シクロオレフィンはシクロオレフィン樹脂Aをそれぞれ示す。置換度Aは、アセチル基による置換度であり、置換度Bは、プロピオニル基による置換度である。表1に示す添加量は、化3に示すレターデーション添加剤の添加量である。また、表1に示す膜厚は、得られたポリマーフィルムの厚さである。
Figure 0005399162
図1に示すように、上記方法で得られた各ポリマーフィルム(試料No.A1〜A4、B〜D)を、オフライン延伸設備2の供給部4に収納した。供給ローラ4bは、供給部4からポリマーフィルムをテンタ部5に供給した。テンタ部5ではポリマーフィルムに延伸処理を施した。この延伸処理の延伸率Wb/Wa及び延伸処理におけるポリマーフィルムの温度Tfeは、表1に示すとおりであった。
(実験1〜35)
テンタ部5における延伸処理を経たTACフィルム3(試料No.A1)に、結露防止処理、水蒸気接触処理、及び熱処理を行った。その後、室温まで冷却しフィルムを巻き取った。結露防止処理では、結露防止処理室120aにおいてTACフィルム3に低露点乾燥気体404をあてて、TACフィルム3の温度Tf0を調節した。水蒸気接触処理では、湿潤気体接触室6a内の湿潤気体400の絶対湿度VM、相対湿度Hu1が表2に示す値となるように、そして、湿潤気体400の露点がTACフィルム3の温度Tf0よりも34℃以上高い温度となるように調節し、TACフィルム3の温度Tf1が表2に示す値となる状態を、表2に示す処理時間P1だけ維持しながら、TACフィルム3を搬送した。湿潤気体接触室6a内における搬送テンションFは表2に示すとおりである。熱処理では、熱処理室内の気体の相対湿度Hu2が表2に示す値になるように調節し、TACフィルム3の温度Tf2が表2に示す値となる状態を、処理時間P2だけ維持した。なお、表2に示す「−」は、該当する処理を行ったものの、該当するパラメータの値が未測定のものを表す。また、表2に示す「*」は、該当する処理が行われず、該当するパラメータの値が未測定のものを表す。
また、表3中のTH0、Re0、Rth0、Ha1、及びHa2は、表2に示す条件で結露防止処理、水蒸気接触処理及び熱処理を行った後であり、湿熱耐久試験及び乾熱耐久試験を行う前のTACフィルム3の膜厚、面内レターデーション、厚み方向レターデーション、ヘイズ、及び内部ヘイズである。なお、表3に示す「−」は、該当するパラメータの値が未測定のものを表す。
(面内レターデーションReの測定方法)
サンプルフィルムを温度25℃,湿度60%RHで2時間調湿し、自動複屈折率計(KOBRA21DH 王子計測(株))にて589.3nmにおける垂直方向から測定したレターデーション値の外挿値より次式に従い算出した。
Re=|nX−nY|×d
nXは、X方向の屈折率,nYはY方向の屈折率,dはサンプルフィルムの厚み(膜厚)を表す。
(厚み方向レターデーションRthの測定方法)
サンプルフィルムを温度25℃,湿度60%RHで2時間調湿し、自動複屈折率計(KOBRA21DH 王子計測(株))にて589.3nmにおける垂直方向から測定した値と、フィルム面を傾けながら同様に測定したレターデーション値の外挿値とから下記式に従い算出した。
Rth={(nX+nY)/2−nTH}×d
nTHは厚み方向の屈折率を表す。
(ヘイズの測定方法)
ヘイズは、各ポリマーフィルムから40mm×80mmの大きさで切り出したものをサンプルフィルムとし、このサンプルフィルムについて25℃60%RHの環境下において、ヘイズメータ(型式:HGM−2DP,スガ試験機)を用いてJIS K−6714に従って測定した。
(内部ヘイズの測定方法)
内部ヘイズは、次のようにして測定した。サンプルフィルムを25℃60%RHで2時間以上調湿した後に、2枚のスライドガラス板に流動パラフィンを介して挟み込み、ヘイズメータ(HGM−2DP、スガ試験機)にて、サンプルフィルムのヘイズを測定した。また、2枚のスライドガラス板にサンプルフィルムなしで、流動パラフィンのみを挟み込んだ状態のブランクサンプルを作成し、このブランクサンプのヘイズを測定した。そして、サンプルフィルムのヘイズの測定値から、ブランクサンプのヘイズの測定値を引いたものを、内部ヘイズとした。
Figure 0005399162
Figure 0005399162
表2に示す条件で結露防止処理、水蒸気接触処理及び熱処理を行った後のTACフィルム3について次の試験を行った。
(湿熱耐久性試験)
TACフィルム3から、X方向の長さがX0、Y方向の長さがY0のサンプルフィルムを切り出し、このサンプルフィルムについて湿熱耐久試験を行った。湿熱耐久試験では、サンプルフィルムを試験室内に21日間継続して配置した。試験室内部の環境条件は、温度60℃、湿度90%RHでほぼ一定に保った。湿熱耐久試験後のサンプルフィルムについて、面内レターデーションRe1WET、厚み方向レターデーションRth1WET、X方向の長さX1WET、Y方向の長さY1WETを測定した。
(乾熱耐久性試験)
TACフィルム3から、X方向の長さがX0、Y方向の長さがY0のサンプルフィルムを切り出し、このサンプルフィルムについて乾熱耐久試験を行った。乾熱耐久試験では、サンプルフィルムを試験室内に21日間継続して配置した。試験室内部の環境条件は、温度60℃、湿度90%RHでほぼ一定に保った。乾熱耐久試験後のサンプルフィルムについて、面内レターデーションRe1DRY、厚み方向レターデーションRth1DRY、X方向の長さX1DRY、Y方向の長さY1DRYを測定した。
表4に表されるΔXWET、ΔYWET、ΔReWET、及びΔRthWETは、湿熱耐久試験前後におけるサンプルフィルムにおける、X方向の寸法の変動量の割合(X1WET−X0)/X0、Y方向の寸法の変動量の割合(Y1WET−Y0)/Y0、面内レターデーションの変動量(Re1WET−Re0)、及び厚み方向レターデーションの変動量(Rth1WET−Rth0)を示す。また、表5に表されるΔXDRY、ΔYDRY、ΔReDRY、及びΔRthDRYは、乾熱耐久試験前後におけるサンプルフィルムにおける、X方向の寸法の変動量の割合(X1DRY−X0)/X0、Y方向の寸法の変動量の割合(Y1DRY−Y0)/Y0、面内レターデーションの変動量(Re1DRY−Re0)、及び厚み方向レターデーションの変動量(Rth1DRY−Rth0)を示す。
湿熱耐久試験を開始から1日経過時、5日経過時、そして10日経過時におけるΔReWET及びΔRthWETを測定した。表4中の@1d、@5d、@10d、@21dは、それぞれ、1日経過時、5日経過時、10日経過時そして21日経過時におけるΔReWET及びΔRthWETの測定値を示す。同様に、乾熱耐久試験を開始から1日経過時、5日経過時、そして10日経過時におけるΔReDRY及びΔRthDRYを測定した。表5中の@1d、@5d、@10d、@21dは、それぞれ、1日経過時、5日経過時、10日経過時そして21日経過時におけるΔReDRY及びΔRthDRYの測定値を示す。なお、表4、5に示す「−」は、該当する項目の測定を行わなかったことを表す。
Figure 0005399162
Figure 0005399162
(格子状ムラ評価)
実験31〜35により得られたTACフィルムの表面を目視観察し、格子状のムラの有無について調べた。実験31〜34については、TACフィルムの表面に格子状のムラを確認することができなかったが、実験35については、TACフィルムの表面に格子状のムラを確認することができた。
(実験101)
図5に示すように、ポリマーと溶剤とを含むドープを用いて、冷却ゲル化方式の溶液製膜方法により、TACフィルム3(試料No.A1)を製造した。テンタ部5における延伸処理の延伸率Wb/Waは、150%以上160%以下とした。テンタ部5から送られたTACフィルム3を、結露防止処理室120a、湿潤気体接触室6a、熱処理室110a、乾燥室97と順次送った。各処理室において、結露防止処理、湿潤気体接触、熱処理を行った。各処理における各条件を実験1と同様にして行った。
(実験102〜135)
各処理における各条件を実験2〜35と同様にしたことと以外は、実験101と同様にして行った。
実験101〜135により得られたTACフィルムについて、実験1〜35と同様の評価を行ったところ、実験1〜35と同様の傾向の結果を得ることができた。
表1に記載の試料No.A2〜A4、B〜Dのフィルムについても、実験1〜35と同様にして各処理を行ない、得られたTACフィルムについて実験1〜135と同様の評価を行ったところ、実験1〜135と同様の傾向の結果を得ることができた。
延伸処理が施されたポリマーフィルムに水蒸気接触処理を行うことにより、湿熱耐久試験前後におけるレターデーションの変動を抑えることが出来ることがわかった。また、ポリマーフィルムに水蒸気接触処理を行った後、熱処理を行うことにより、各耐久試験前後におけるレターデーションの変動及び寸法の変動を抑えることが出来ることがわかった。更に、延伸処理及び水蒸気接触処理の間においてポリマーフィルムに結露防止処理を行うことにより、ポリマーフィルムにおいて、水蒸気接触処理における結露を防止することができることがわかった。
第1のオフライン延伸設備の概要を示す説明図である。 テンタ部の概要を示す平面図である。 湿潤気体供給設備の概要を示す説明図である。 水蒸気接触処理にてTACフィルムを固定する固定部材の概要を示す斜視図である。 冷却ゲル化方式の溶液製膜方法を行う第1のフィルム製造設備の概要を示す説明図である。 冷却ゲル化方式の溶液製膜方法を行う第2のフィルム製造設備の概要を示す説明図である。 第2のオフライン延伸設備の要部の概要を示す説明図である。 第3のオフライン延伸設備の要部の概要を示す説明図である。 溶融製膜設備の概要を示す説明図である。 収縮処理ゾーンにおける複数のロールの配置状態を示す斜視図である。 収縮処理ゾーンにおける複数のロールのロールラップ長(D)及びロール間長(G)を示す説明図である。
2 オフライン延伸設備
3 TACフィルム
5 テンタ部
6a 湿潤気体接触室
45 湿潤気体供給設備
80 フィルム製造設備
300 回収気体
400 湿潤気体
410 軟水
411 水蒸気
420 空気

Claims (13)

  1. ポリマーフィルムの光学特性を調整するために前記ポリマーフィルムを延伸する延伸工程と、
    前記延伸工程を経た前記ポリマーフィルムに、低露点乾燥気体を接触させて、前記ポリマーフィルムの温度を100℃以上130℃以下にする結露防止工程と、
    前記結露防止工程を経た前記ポリマーフィルムに水蒸気を接触させ、前記ポリマーフィルムの温度Tf1を100℃以上150℃以下の範囲内で維持する水蒸気接触工程と、
    前記水蒸気接触工程を経た前記ポリマーフィルムに乾燥気体を接触させ、前記ポリマーフィルムの温度を120℃以上130℃以下の範囲内で維持する熱処理工程とを有し、
    前記低露点乾燥気体の露点が前記温度Tf1よりも低いことを特徴とする位相差フィルムの製造方法。
  2. 前記熱処理工程を1分以上4分以下行うことを特徴とする請求項1記載の位相差フィルムの製造方法。
  3. 前記水蒸気接触工程を5秒以上60分以下行うことを特徴とする請求項1または2記載の位相差フィルムの製造方法。
  4. 前記水蒸気接触工程では、前記延伸工程を経た前記ポリマーフィルムに前記水蒸気を含む気体を接触させ、
    前記気体の相対湿度が20%RH以上であることを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の位相差フィルムの製造方法。
  5. 前記位相差フィルムの面内レターデーションReが30nm以上100nm以下であり、前記位相差フィルムの厚み方向レターデーションRthが70nm以上300nm以下であることを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1記載の位相差フィルムの製造方法。
  6. 巻き芯に巻かれた前記ポリマーフィルムを前記巻き芯から取り出す取出工程を前記延伸工程前に行うことを請求項1ないし5のうちいずれか1記載の位相差フィルムの製造方法。
  7. ポリマーと溶剤とを含むドープを走行する支持体に吐出して、前記支持体に流延膜を形成する膜形成工程と、
    冷却により自己支持性を有するものとなった前記流延膜を湿潤フィルムとして前記支持体から剥ぎ取る剥取工程と、
    前記湿潤フィルムを乾燥して前記ポリマーフィルムとする乾燥工程とを有し、
    前記乾燥工程と前記延伸工程とは連続して行われることを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1項記載の位相差フィルムの製造方法。
  8. ポリマーと溶剤とを含むドープを走行する支持体に吐出して、前記支持体に流延膜を形成する膜形成工程と、
    前記流延膜からの前記溶剤の蒸発により、自己支持性を有するものとなった前記流延膜を湿潤フィルムとして前記支持体から剥ぎ取る剥取工程と、
    前記湿潤フィルムを乾燥して前記ポリマーフィルムとする乾燥工程とを有し、
    前記乾燥工程と前記延伸工程とは連続して行われることを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1項記載の位相差フィルムの製造方法。
  9. 前記水蒸気接触工程における前記ポリマーフィルムの残留溶剤量が5重量%以下であることを特徴とする請求項7または8記載の位相差フィルムの製造方法。
  10. 前記ポリマーフィルムが、セルロースアシレートフィルムであることを特徴とする請求項1ないし9のうちいずれか1記載の位相差フィルムの製造方法。
  11. ポリマーフィルムの光学特性を調整するために前記ポリマーフィルムを延伸する延伸装置と、
    延伸された前記ポリマーフィルムに低露点乾燥気体を接触させ、前記ポリマーフィルムの温度を100℃以上130℃以下の範囲内で維持する結露防止装置と、
    前記低露点乾燥気体を接触させた前記ポリマーフィルムに水蒸気を接触させ、前記ポリマーフィルムの温度Tf1を100℃以上150℃以下の範囲内で維持する水蒸気接触装置と、
    前記水蒸気を接触させた前記ポリマーフィルムと乾燥気体とを接触させ、前記ポリマーフィルムの温度を120℃以上130℃以下の範囲内で維持する熱処理装置とを備え
    前記低露点乾燥気体の露点が前記温度Tf1よりも低いことを特徴とする位相差フィルムの製造設備。
  12. 前記水蒸気接触装置は、前記水蒸気が充填された水蒸気ケーシングと、前記水蒸気ケーシング内に導入された前記ポリマーフィルムの温度Tf1を調整する温度調整機とを有し、
    前記結露防止装置は、前記低露点乾燥気体が充填された乾燥ケーシングと、前記乾燥ケーシング内に導入された前記ポリマーフィルムの温度を調整する温度調整機とを有し、
    前記水蒸気ケーシングが前記乾燥ケーシング内に設けられていることを特徴とする請求項11記載の位相差フィルムの製造設備。
  13. 前記水蒸気接触装置は前記水蒸気を含む気体を前記ポリマーフィルムに接触させ、
    前記気体の相対湿度を20%RH以上に維持することを特徴とする請求項11または12記載の位相差フィルムの製造設備。
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