JP2009156278A - 内管の滑落を防止した耐火複合管 - Google Patents

内管の滑落を防止した耐火複合管 Download PDF

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Abstract

【課題】難燃性もしくは不燃性の外層管の内部に合成樹脂製の内管を挿入し組み合わせた耐火複合管等において、内管が容易に離脱せず、加工に際しては内管の移動が容易で、持ち運びや取り扱い性に優れ、しかも優れた防音性能を有する耐火複合管およびその製造方法の提供。
【解決手段】難燃性または不燃性の外管の内部に熱可塑性合成樹脂内管を備えた耐火複合管において、内管と外管の間に、弾力性のあるパッキング層を充?し、外管の剛性を利用してパッキング層により内管に圧力を加えて振動を低下させた耐火複合管及び該耐火複合管を、一端部に外管の内径より小なる径のトーピードを有し、他端部にパッキング層を覆うことが可能なカバーを有する挿入用器具に、外管内径よりわずかに大きい外径のパッキング層を設けた内管の外側を前記カバーで覆い、次いでトーピード側から外管内に挿入することからなる製造方法を開発した。
【選択図】図1

Description

本発明は、集合住宅、ホテルなどにおいて配水管等として使用される、難燃性もしくは不燃性の外層管の内部に合成樹脂製の内管を挿入し組み合わせた耐火複合管等において、内管と外管とが容易に離脱しない、耐火複合管の内管と外管との離脱を防止する為の固定方法された耐火複合管であり、軽量であり、持ち運びや取り扱い性に優れ、しかも優れた防音性能を有し、排水騒音を大幅に低減させた耐火複合管およびその製造方法に関するものである。
耐火複合管は、都市の建築物として、アパート、マンション、オフィスビルなどの集合住宅に大きな需要がある。
集合住宅は、通常水平方向の隣接した区画同士に、延焼防止に有効な空間を有さず、壁または床(天井)で仕切られるだけで建てられている。このため一旦火災が発生したときは、隣接区画に延焼し災害が大きくなり易いが、生命、財産等の保全の観点からも延焼を防止するため、隣接及び上下の区画の間には耐火壁、耐火性床(天井)(本発明ではこれらを一括して「耐火壁」と呼ぶ。)などの延焼防止策を施すことが行われている。特に集合住宅においては、隣接する区画同士は、区画壁(耐火壁)で仕切られているだけであり、そのため一戸建て住宅の外壁の場合よりも集合住宅耐火壁自体に火災の延焼防止の機能が強く求められ、このため耐火壁を貫通して敷設される配水・排水管等においては耐火複合管が広く使用されている。
通常この耐火複合管は、一定の長さでもって内管の両端部を外管の端部から一定寸法づつ露出させておいて市販され、この露出部分が接続する継手の受け口への挿入代となる。現場において敷設に際しては、その長さに合わせ挿入代を確保しつつ当該耐火複合管(内管及び外管)を一定寸法に切断することが必要となる。かかる場合は内管の一端を、外管の一端に合わせ、他端は外管より前記挿入代の2倍の長さだけ片側に突出させ、端部を合わせた方の外管を、必要とする長さとなるように外管と内管を同時に管軸に対して垂直な面で切断し、そののち内管を外管の両側にそれぞれの挿入代だけ内管が突出するようにスライドすることによって行われる為、これらの作業にあたって、内管と外管との位置あわせのために両者の間に隙間が形成されていることが必要とされている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
内管を形成する材料については特に何ら制限されるものではないが、通常は建築設備の排水管として使用されている内管の材料であれば使用できる。一般には、軽量で施工性に優れ、さびなどの怖れがないとして塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレートなどに代表される熱可塑性樹脂が多く使用されている。外管を形成する材料についても特に制限はないが、内管が熱可塑性樹脂であるため、耐火材料を使用することによって、前記の建築条件を満たすことができる排水用防音管材となるものである。
ここで上記耐火材料としては、モルタル、セメント、繊維強化モルタル等の無機質材料が例示できる。これらは別々に製造され、内管を外管に挿入して製品となる。
内管と外管の隙間は一般に0.5〜1mmと狭い。一方外管はモルタル、セメント、繊維強化モルタル等の無機質材料から製造されるため、外管の製作精度は乾燥収縮などを考慮するとさほど精密でないこと、熱膨張係数は小さく、気温の変化に対しての径方向に対する膨張・収縮は小さい。これに対し、内管は熱可塑性樹脂で製造されているときは温度変化に対する熱膨張性が大きいこと、また内管を立てかけたり、床面に枕をかって横にしておいたりしただけでも歪みがおきて、挿入・スライドが困難になったりすることが避けられなかった。
ところで、内管と外管との間に間隙を有する耐火複合管は、保管或いは使用時の運搬および施工時等に内管が抜け落ちる事故が発生するので、内管と外管とを容易に離脱しないように固定しておく必要があり、さらにこれらの固定手段は施工時に現場で容易に固定を解除できることが必要となる。そこで、このような内管の離脱防止方法として、内管と外管との間の長手方向に沿って発泡ポリスチレン等の紐状体を介在させる方法、外管端部より露出している内管の外管端部寄りにゴムバンドやパッキングを嵌める方法、外管端部より露出している内管と外管の一部を含めて熱収縮フィルムで包装し、加熱することでフィルムを収縮させて締め付ける方法、外管端部より露出している内管の外管端部寄りに紐状体を巻回して接着テープで止める方法、内管と外管との間隙に外管端部から楔状の止め具を打ち込む方法、外管端部より露出している内管と外管の一部を含めて自己伸張貼着フィルムを伸張して包囲する方法(特許文献4)等多くの提案がある。
しかし、これらの内管固定方法は、内管と外管のスライド性が損なわれて配管の長さ調整が面倒になったり、製造コストがかさむことは好ましくなく、簡単に分解できて分別廃棄できるものであることが望ましい。
クレーンなどで高所の荷揚げなどするまでは滑落防止用紐などの何らかの滑落を防止手段を施した状態での移動・輸送が行われるが、高所の建設現場に到着した後は、一般には固定手段を取り外したり、長さに合わせて切断したりしたときなど、この滑落防止手段を取り外した後は殆どの場合再度滑落防止手段を取り付けることなく、移動、施工を行うのが普通であり、内管の滑落は高所作業であるときはきわめて大きい危険を伴っている。
特開平11−230428号公報 特開2000−179790号公報 特開2001−074191号公報 特開平08−300504号公報
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、その課題は、通常の取り扱いにおいて、耐火複合管を斜めや垂直に立てたときにおいても内管が外力を加えることにより容易にスライドはするが、そのままではスライドは殆どしない。このため内管の切断の為のスライドも容易であって、配管施工が容易であり、製造原価が安く、且つ施工が簡単で安全且つ迅速な工事ができる耐火複合管であり、よって排水騒音の対策に要する工数、人手、時間、費用を大幅に低減できる。さらに排水時の管振動防止機能を有し、騒音を低下できる快適な生活環境を実現するかつ取り扱い性に優れしかも優れた耐火複合管を提供することにある。
本発明は、
[1] 難燃性または不燃性の外管の内部に熱可塑性合成樹脂内管を備えた耐火複合管において、内管と外管の間に、弾力性のあるパッキング層を充?し、外管の剛性を利用してパッキング層により内管に圧力を加えて振動を低下させたことを特徴とする内管の滑落を防止した耐火複合管、
[2] 弾力性のあるパッキング層が、天然または合成の繊維からなる織布・不織布層または熱可塑性合成樹脂もしくは熱硬化性合成樹脂のフォーム層である上記[1]に記載の内管の滑落を防止した耐火複合管、
[3] パッキング層の天然または合成の繊維からなる織布・不織布層が、前記繊維のフェルト層である上記[1]または[2]に記載の内管の滑落を防止した耐火複合管、
[4] パッキング層の熱可塑性合成樹脂または熱硬化性合成樹脂のフォーム層が、連続気泡のフォーム層である上記[1]または[2]に記載の内管の滑落を防止した耐火複合管、
[5] 外管と内管の間のクリアランスが、2〜10mmである上記[1]〜[3]のいずれかに記載の内管の滑落を防止した耐火複合管、
[6] 耐火複合管の熱可塑性合成樹脂製内管が、硬質のポリ塩化ビニルまたはポリエチレンテレフタレート製であり、難燃性または不燃性の外管が、繊維混入モルタル製である上記[1]〜[5]のいずれかに記載の内管の滑落を防止した耐火複合管、
[7] 一端部に外管の内径より小なる径のトーピードを有し、他端部にパッキング層を覆うことが可能なカバーを有する挿入用器具に、外管内径よりわずかに大きい外径のパッキング層を設けた内管の外側を前記カバーで覆い、次いでトーピード側から外管内に挿入することからなる内管の滑落を防止した耐火複合管の製造方法、及び
[8] 外管内側に、内管外径より小なる径の内径を有する弾力性のあるパッキング層を固定し、該パッキング層の内側に内管をスライドさせて挿入することからなる内管の滑落を防止した耐火複合管の製造方法、
を開発することにより上記の課題を解決した。
本発明は基本的に、難燃性または不燃性の外管の内部に熱可塑性合成樹脂内管を備えた耐火複合管において、内管と外管の間に、弾力性のあるパッキング層を充?し、外管の剛性を利用してパッキング層により内管に圧力を加えて振動を低下させた構造の耐火複合管の構成からなる。従って材質的は安価であって製造原価が安く、構成は簡単でかつ製作が容易で、施工も迅速に容易にできる。
そして本発明による耐火複合管は、外管と弾力性のあるパッキング層の内部に内管を挿入することは容易であるが、耐火複合管を斜めにしても弾力性のあるパッキング層により内管が確保され滑落が防止することができる。必要であれば弾力性のあるパッキング層の硬度を高くすることにより垂直にしても内管の滑落を防止することができるので、垂直部分の耐火複合管を敷設することが容易に行える利点がある。
このパッキン層は、さらに排水時の管振動防止機能を有し、内管内を排水が流れる際、内管は一般に軽量な合成樹脂材料で構成されているため、細かい振動が発生するがこの振動を吸収・吸音し、効果的に防音、遮音することができる効果も有する。
以下、本発明を図に基づいて説明する。図1には本発明が適用された耐火複合管1の一部を開いた概略構成が示されており、図2及び図3にはその横断面が示されている。内管4の内部を排水が流れ、外管2は耐火材料で形成され、外管2と内管4の間に弾力性のあるパッキング材3が緊密に充?され、内管4に対して圧力を加えるように内管4を被覆している。
本発明において、内管4を形成する材料については特に何ら制限されるものではなく、通常一般には建築設備の排水管等として使用されている材料であれば使用できる。一般には、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレートに代表される熱可塑性樹脂が多く使用されている。これらの材料は加工性、施工性に優れ、さびないし、水の流れもスムーズに流れる利点を有するが、耐熱性を有していない。
本発明の外管2を形成する材料については、従来の市販品と同様のものであって十分であり、耐火複合管に使用されている公知の耐火材料を用いることができる。ここで使用する耐火材料としては、通常モルタル、セメント等の無機質材料を主成分とするものが該当する。繊維混入モルタルからなるものが最も好ましい。
一例を挙げれば、セメント50〜60重量%、無機繊維(ガラス繊維、珪酸質繊維)10〜15重量%、混和材(炭カル、スクラップ等)20〜30重量%、軽量材(パーライト、ひる石等) 5〜10重量%及びその他の配合でよい。このように、繊維混入セメント管とすることで、外管の耐火性能、防露性能をより高めることができる。なお、外管の遮音性を向上させるためにさらに高比重のセラミック粉、鉄粉、重質炭カル粉等を配合することも有効である。その材質、製造方法などから見て外管の内側の面の精度は比較的粗である。
外管2は通常内管3とは別に製造され、内管3の太さに合わせて組み合わせて使用される。
外管2の内径と内管4の外径の間に設けるクリアランス(直径であればその2倍)は、2〜10mmである。2mmより小さいと、パッキング材の挿入が困難となるほか内管4に対するパッキング材3の圧力が不十分となりやすい。一方10mmより大きいときは内管4の挿入は容易となり、内管4に対するパッキング材3の圧力も十分に付与することができるようになるが、複合管1の重量が増加すること、複合管1の外径が大きくなるなどの問題が発生する。好ましくは4〜7mm程度のクリアランスがバランスがとれた数値である。
内管4のすぐ外周を囲む弾力性のあるパッキング層3の部分には、天然または合成繊維からなる織布・不織布、フェルトなど、またはポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェノール等のフォーム等を使用する。
無機の繊維としては、ロックウール、ガラスウール、など、天然繊維としては、木綿、羊毛など、合成繊維としてはポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどのフェルト、織布、不織布などがが挙げられる。
この場合、織布においては内部に合成樹脂フォーム、不織布などの充?物を入れ弾力性を付与することが好ましい。
パッキング材として、好ましくは合成繊維からなる不織布、フェルトまたはポリエチレン、ポリプロピレンあるいはポリウレタン樹脂等の合成樹脂フォームをシート状として内管4の外面パッキング層3として使用する。
内管4にフェルト層3を巻き付けるのには、平滑なフェルトを巻き付けても良いし、あらかじめフェルトを溶接または縫合した筒状体(そのまままたは裏返したもの)の中に内管4を挿入する形式を取っても良い。
耐火複合管1の製造に際しては、作業性の点から好ましくは、パッキング材としてシート状の合成樹脂フォームあるいは織布・不織布はシート状に成形されており、このシートを内管4に巻き付けた後、外管2内に挿入することが好ましい。あるいは環状に成形した弾力性のあるパッキング材を外管内部に嵌合するかまたは挿入固定した後、内管4を挿入してもよい。これらのパッキング材のシートは1重であっても多重に巻き付けても良いが、接合部を重ね合わせて、内管4と外管2の間に少しきつく挿入されていることが好ましい。
すなわち外管4の剛性を利用してパッキング層3がもとの形状に戻ろうとする際に内管に圧力を加える様にすることが必要である。この圧力により内管4は押力を加えることでスライドができるが、傾斜した程度では滑落しない性能を付与できることになる。
なお、このパッキング材に使用する合成樹脂フォームが連続気泡のものあるいはフェルトなど通気性のあるパッキング材を使用したときは、パッキング材の吸音効果により消音性に優れた耐火複合管となるので一層好ましい。
このパッキング材3は、粗面の外管2の内面に接しており、その摩擦力は、平滑な表面の合成樹脂内管4に比して遙かに大であるので複合管1の長さ調節のための切断などにおいての内管をスライドさせて挿入、押し戻しなどの操作するとき、内管4はパッキング材層3に対して簡単にスライドするが、外管2とパッキング材3との間の移動は摩擦が大きく無視できる。
内管4の滑落防止のために必要とする摩擦力は、パッキング材3と内管4との摩擦力に依存する。滑落防止のための摩擦力は内管4とパッキング材3の面積に比例し、内管重量に比例することは明らかである。パッキン材3の外管内面との接触面積は、管径の2乗に比例し、重量は原則として内管径の約3乘に比例する(内管4は太くなると肉厚も同時に厚くなる。)。従って斜めにしたときに、内管4が滑落することを防ぐための場合と、垂直配管のための内管滑落防止の為のパッキング材充?度は大きく異なり、一定にならない。従って数値化することはできないが、この数値は簡単なテストで必要とする充?度を測定することができる。一般に大口径の複合管1は、パッキング材3が弾力性が高く、硬質の方が好ましい。
例えば、内管径(称呼)100mmφの塩化ビニル管の斜めにした、内管が滑落することを防ぐためには、合成樹脂フォームは、硬さが50〜200N/314cm、好ましくは50〜100N/314cmの弾力性のあるパッキング層を設けることで効果がある。
パッキング層の厚さとしては、必要な圧力により変わるので指定することができないが、通常は外管2の内径と内管4の外径の間のクリアランスより若干小さいか、それより5%程度厚いフェルトあるいはシート状フォームあるいは不織布もしくはフェルトを用いることである。これらは、円筒状にしたとき、内面にシワが生じ(図3参照)クリアランスより薄いパッキング材を用いた場合においてもパッキング層3としてはクリアランスより厚くなる。
パッキング材3を内管4に巻き付けるに際しては、均一な圧力を加えるためにできれば重ね合わせることなく、巻き付けした接合面に隙間がなければ如何なる方法であってもよい。滑落防止だけであればパッキング材3の接合面に重ね合わせてもよい。接合面に隙間がないときは、隙間があるときに比べ、滑落防止効果が高いだけでなく、吸音効果が高くなるのでより好ましい。
好ましい巻き付け方法の一つとしては、内管4の外形に合わせて切断したパッキング材3の片面に接着剤を塗布し、隙間が出来ないように接着することである。また他の方法としては、あらかじめ合成樹脂フォームシートあるいはフェルト等を内管外径にあわせた筒状体を作っておき、これに内管4を挿入することなどの方法により達成することができる。合成樹脂フォームシート自身、伸縮性に富むので多少のずれは吸収できる。
内管4の外径より、パッキング層3の内径が小さく形成されていることおよび材質的に弾力性を有しているため、内管4をその全周から圧力を加えることによりその滑落を防止することになる。このため内管4をパッキング層3にスライド挿入することが必要である。内管4にパッキング材3を巻き付けたときは、一端部に外管2の内径より小なる径のトーピードを有し、他端部にパッキング層を覆うことが可能なカバーを有する挿入用器具を用い、外管内径より大きい外径のパッキング層を設けた内管4の外側を前記カバーで覆い、次いでトーピード側から外管4内に挿入することで簡単に挿入可能となる。
前記カバーとしては、柔軟な薄いフィルムまたは織布などであっても良いし、あるいはいくつかの細片からなる金属または硬質樹脂製等のカバーであっても良い。
また逆に、外管2に内管4の筒状体を固定して内管を挿入する場合では、外管2の内側に、内管4の外径より小なる径の内径を有する弾力性のあるパッキング材3の筒状体を固定し、該パッキング層の内側に内管3をスライドさせて挿入することであっても良い。この場合の挿入具(内管に着脱自在のキャップ)は内管の挿入する側の端部に内管を覆うことができるカバーを有するトーピードを嵌合してパッキング材3の筒状体を内部に挿入することにより内管の滑落を防止した耐火複合管とすることができる。
以上は、耐火複合管を斜めにしたときに、内管が滑落することを防ぐためについて述べたが、耐火複合管を垂直に設置するときは、外管を保持して組み立てることが必要になる。この場合、内管の滑落を防ぎ、下方にある継ぎ手に内管を接合することが必要となるが、外管を保持して内管をうまく継ぎ手に接合することは困難である。かかる場合に本発明の耐火複合管はパッキング材の充?度を高くし、耐火複合管を垂直に直立した場合においても内管が滑落しない程度に高密度にすればこの問題は克服できる。このような耐火複合管は色分けしておけば使用において便利である。
称呼径φ100mm硬質塩化ビニルパイプ(PVC管:重量7.08kg:外径約114mmφ)に、厚さ5mmの3種のポリエステルフェルト(約400g)を被覆長さ2650mm(両端50mm宛は被覆せず)、さらにその上を内径約125mmφの外管4で覆った状態として、PVC管のスライド開始圧力を測定した。
使用したフェルトは、PETであってA:20デニール、B:中空6デニール、C:2から3デニールの繊維からなるもので、厚さ5mmのものを用いた。
秤に上記被覆PVC複合管を垂直に立て、塩化ビニルパイプの一端を秤に押しつけPVC管と被覆がスライドを開始する寸前の押しつけ加重の最大値を測定した。なお被覆PVC複合管全体の重量を測定した。数値はPVC複合管の重量を差し引いたものである。さらに被覆PVC複合管を水平に置いたときに、内管のみを横方向から圧力を加え、スライドさせたときに必要とする初期圧力を表1に示す。
Figure 2009156278
[参考例]
遮音性を確認するため、長さ1.4mの(a)パッキング層を設けない耐火複合管、(b)フェルトA層を設けた耐火複合管、(c)フェルトC層を設けた耐火複合管を用い、半無響室(W:2m×L:3m、H:2m)内の試験装置(リオン社製:NA−29)にセットして一定流量:4リットル/秒の水を定常的に流し、管壁面から50cm、床面から110cmの高さにセットしたマイクを用いて発生する騒音を測定した。等価騒音レベルとして10秒間測定してその平均値を騒音値とした。その結果を表2に示す。騒音測定の場合の暗騒音は38dbであった。
Figure 2009156278
難燃性または不燃性の外管の内部に熱可塑性合成樹脂内管を備えた耐火複合管において、内管と外管の間に、弾力性のあるパッキング層を充?し、外管の剛性を利用してパッキング層により内管に圧力を加えて振動を低下させた耐火複合管は、移動に際して斜めにした程度では内管が滑落せず(実際は垂直にしてもスライドの開始はしない。)、軽量で施工性に優れたものである。さらに、内管の振動を低下させているためか、配水管に使用したときに排水騒音を低下させる優れた効果がある。
本発明の耐熱複合管の展開図 耐熱複合管の断面図の1例 耐熱複合管の断面図の他の例
符号の説明
1 耐熱複合管
2 外管
3 パッキング材またはパッキング層
4 内管

Claims (8)

  1. 難燃性または不燃性の外管の内部に熱可塑性合成樹脂内管を備えた耐火複合管において、内管と外管の間に、弾力性のあるパッキング層を充?し、外管の剛性を利用してパッキング層により内管に圧力を加えて振動を低下させたことを特徴とする内管の滑落を防止した耐火複合管。
  2. 弾力性のあるパッキング層が、天然もしくは合成の繊維からなる織布もしくは不織布層または熱可塑性合成樹脂もしくは熱硬化性合成樹脂のフォーム層である請求項1に記載の内管の滑落を防止した耐火複合管。
  3. パッキング層の天然または合成の繊維からなる織布または不織布層が、前記繊維のフェルト層である請求項1または2に記載の内管の滑落を防止した耐火複合管。
  4. パッキング層の熱可塑性合成樹脂または熱硬化性合成樹脂のフォーム層が、連続気泡のフォーム層である請求項1または2に記載の内管の滑落を防止した耐火複合管。
  5. 外管と内管の間のクリアランスが、2〜10mmである請求項1〜3のいずれか1項に記載の内管の滑落を防止した耐火複合管。
  6. 耐火複合管の熱可塑性合成樹脂製内管が、硬質のポリ塩化ビニルまたはポリエチレンテレフタレート製であり、難燃性または不燃性の外管が、繊維混入モルタル製である請求項1〜5のいずれか1項に記載の内管の滑落を防止した耐火複合管。
  7. 一端部に外管の内径より小なる径のトーピードを有し、他端部にパッキング層を覆うことが可能なカバーを有する挿入用器具に、外管内径よりわずかに大きい外径のパッキング層を設けた内管の外側を前記カバーで覆い、次いでトーピード側から外管内に挿入することからなる内管の滑落を防止した耐火複合管の製造方法。
  8. 外管内側に、内管外径より小なる径の内径を有する弾力性のあるパッキング層を固定し、該パッキング層の内側に内管をスライドさせて挿入することからなる内管の滑落を防止した耐火複合管の製造方法。
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