JP6576711B2 - 排水管継手 - Google Patents

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Description

本発明は、排水管継手に関する。より詳しくは、建物の床スラブを貫通して配管される排水管継手に関する。
例えば高層住宅等の複数の階層を有する建物の排水設備においては、多くの場合、各階の横枝管排水を立て管に流入させる排水管継手が、上階と下階とを仕切る床スラブを貫通して配管されている。この場合、床スラブの貫通孔に排水管継手が通された状態で貫通孔がモルタル等で埋め戻されており、排水管継手には、床スラブの上側で上階の立て管及び横枝管が接続されるとともに、床スラブの下側で下階の立て管が接続されている。このような排水設備では、排水管継手の内部を流下する排水の音が、床スラブを伝って居住空間へ漏れるおそれがある。
このような排水による騒音を防止するために、従来、外周に吸音層や遮音層が設けられた排水管継手があった。例えば、特許文献1では、一実施形態の排水管継手において、継手本体の外面全体に、内側から順に吸音層と遮音層とが巻き付けられており、熱収縮性フィルムで包んで該熱収縮性フィルムを加熱収縮させることで継手本体に一体化されている。吸音層は、グラスウールやロックウール、軟質ウレタンフォーム、或いはセラミックファイバーやセルロースファイバー、ニードルパンチマットなどからなる。遮音層は、アスファルトシートやオレフィンシート、或いは鉄系軟質シートなどからなる。また、特許文献1には、別の実施形態として、排水管継手の床スラブに埋め戻される部分では、ロックウール等の多孔質吸音材料で継手本体を被覆し、遮音層を設けることなくガラスクロスやアルミ系金属等からなる表皮材で被覆することが提案されている。
ところで、建物の排水設備において、立て管系統は、床スラブを貫通して配管されるため、火災時には、その排水経路を通じて上下の階に延焼したり、煙が拡がったりするおそれがある。そこで、特許文献2には、熱可塑性樹脂からなる排水管継手の床スラブを貫通する部分に、シート状の熱膨張性耐火材を巻き付けることが提案されている。これにより、火災時には、熱膨張性耐火材が膨張して排水管継手を押しつぶしながら排水経路を閉塞し、上下の階への延焼や煙の流入を防止することができる。
特開2008−64153号公報 特開2007−56537号公報
排水管継手の内部を流下する排水の音が床スラブを伝って居住空間へ漏れるのを防止するためには、上記特許文献1の一実施形態のように、排水管継手の周囲に吸音層と遮音層を設け、吸音層で吸収しきれない音を遮音層で閉じ込めることで、防音効果は得られる。しかし、遮音層はアスファルトシート等の密度の高い材料からなるため、遮音層を設けることで排水管継手の重量が増加する問題があった。一方、上記特許文献1の別の実施形態のように、排水管継手をロックウール等の多孔質吸音材料で被覆する場合、重量の増加は小さいが、多孔質吸音材料からなる一層の吸音層のみでは、排水の音が床スラブを伝って居住空間へ漏れるのを防止する効果が小さい。
一方、上記特許文献2に記載されるように、熱可塑性樹脂製の排水管継手の床スラブに貫通する部分を熱膨張性耐火材で被覆すれば、火災時に、上下の階への延焼や煙が拡がるのを防止することはできるが、この被覆材は延焼等の防止機能に特化しており、防音効果を奏するものではなかった。このように、従来は、排水管継手における防音と、火災時に排水管継手を通じて上下の階へ延焼したり煙が拡がったりするのを防止することとは、それぞれ個別に対処されていた。
そこで、本発明の課題は、建物の床スラブを貫通して配管される排水管継手に対して、重量の増加を抑制しながら床スラブを伝う排水の音を低減することと、火災時に排水管継手を通じて上下の階へ延焼したり煙が拡がったりするのを防止することとを両立させることを、より容易に可能とすることにある。
本発明の排水管継手は、建物の床スラブを貫通して配管される排水管継手であって、排水管が接続される継手本体と、前記継手本体の前記床スラブに貫通する部分の外面を被覆する第1の被覆材と、を備え、前記継手本体は、熱可塑性樹脂からなり、前記第1の被覆材は、内側からこの順で配置された、スポンジ材からなる第1の吸音層、無機繊維の集合体からなる第2の吸音層及び防水性と遮音性の表皮層と、前記第1の吸音層と前記第2の吸音層との間に挟まれて、前記継手本体の回りに少なくとも一条環状に設けられた熱膨張材と、を一体で備える。
本発明の排水管継手によれば、床スラブに貫通する部分に設けられた第1の被覆材が、スポンジ材からなる第1の吸音層と、無機繊維の集合体からなる第2の吸音層との二層の吸音層により継手本体の内部を流下する排水の音を吸音するとともに、防水性と遮音性の表皮層で音漏れを低減することで、重量の増加を抑制しながらも、床スラブを伝う排水の音を的確に低減することができる。また、この排水管継手によれば、火災時には、床スラブ内で外方への膨張が規制された熱膨張材が、熱により軟化した熱可塑性樹脂からなる継手本体を締め付けるように管内方へ膨張して管を閉塞し、火災時に排水管継手を通じて上下の階へ延焼したり煙が拡がったりするのを防止することができる。また、この排水管継手では、第1の被覆材が第1の吸音層、第2の吸音層及び表皮層と、熱膨張材とを一体で備えており、この第1の被覆材で継手本体を被覆することにより、防音機能と火災時の延焼等の防止機能との双方が容易に付与される。
上記排水管継手において、前記第1の吸音層は、ウレタンフォーム又はウレタンチップスポンジからなるのが好ましい。この場合、床スラブを伝う排水の音をより的確に低減することができる。
また、上記排水管継手において、前記第2の吸音層を構成する無機繊維は、グラスウール、ロックウール又はセラミックファイバーであるのが好ましい。この場合、床スラブを伝う排水の音をより的確に低減することができる。
また、上記排水管継手において、前記表皮材は、アルミガラスクロスからなるのが好ましい。この場合、表皮材が破れにくく防水性と遮音性をより的確に発揮することができる。
また、上記排水管継手において、前記第1の被覆材は、予め前記継手本体の外面形状を模った筒状に形成され、前記継手本体を通すことで前記継手本体に装着されているのが好ましい。この場合、継手本体に第1の被覆材を被覆する作業がより容易である。
また、上記排水管継手において、前記第1の被覆材は、前記第1の吸音層と前記第2の吸音層の上端面を覆う防水材を備えるのが好ましい。この場合、建物の建設中に第1の吸音層と第2の吸音層とが雨水に晒されるのを防ぐことができ、第1の吸音層と第2の吸音層に雨水が浸透するのを防ぐことができる。
また、上記排水管継手は、更に、前記継手本体の前記床スラブの上面から突出する部分の外面を被覆する第2の被覆材と、を備え、前記第2の被覆材は、内側から順に、吸音材からなる上部吸音層と遮音材からなる上部遮音層とを備えるのが好ましい。この場合、排水の音が空気を伝い居住空間に漏れるのも低減され、居住空間に漏れる排水の音を一層低減することができる。
また、前記第2の被覆材は、前記吸音材はスポンジ材であり、前記遮音材はゴムである。この場合、排水の音が居住空間に漏れるのを効率よく低減することができる。
本発明によれば、建物の床スラブを貫通して配管される排水管継手に対して、重量の増加を抑制しながら床スラブを伝う排水の音を低減することと、火災時に排水管継手を通じて上下の階へ延焼したり煙が拡がったりするのを防止することとを両立させることを、より容易に可能とすることができる。
本発明の実施形態1に係る排水管継手の一配管例に係る排水設備を示す図であり、排水設備の一部を示す側面図である。 図1に示される排水管継手の縦断面図である。 図1に示される継手本体の平面図である。 図2に示される排水管継手のIV部分を拡大して示す図である。 図2に示される排水管継手のV部分を拡大して示す図である。 本発明の実施形態2に係る排水管継手の一配管例に係る排水設備を示す図であり、排水設備の一部を示す側面図である。 図6に示される排水管継手の縦断面図である。 図7に示される排水管継手のVIII部分を拡大して示す図である。 図6に示される排水管継手が作製される過程を示す図である。 排水音の評価方法を説明する図であり、立て管系統の概略を示す図である。 排水音の評価方法を説明する図であり、試験室の斜視図である。 排水音の評価結果を示すグラフである。
〈実施形態1〉
図1〜図5を参照しながら、実施形態1の排水管継手11について説明する。排水管継手11は、一配管例において、複数層を有する建物の排水設備H1を構成する。この排水設備H1では、排水管継手11は、上階Aと下階Bとを仕切る床スラブCSを貫通して各階に配置される。排水管継手11は、上階Aにて排水立て管81及び排水横枝管(図示省略)が接続されるとともに下階Bにて排水立て管85が接続され、上階Aの排水立て管81及び排水横枝管(図示省略)により導かれた排水を合流させて下階Bの排水立て管85に流入させる。排水管継手11は、排水立て管81、85及び排水横枝管(図示省略)が接続される継手本体21と、継手本体21の外面を被覆する第1の被覆材51と第2の被覆材71とを備える。
図1に示されるように、継手本体21は、略円筒状の胴部23を備える。また、排水管継手11は、上端部に上階Aの排水立て管81の下端部を接続するための上部接続部25を備え、下端部に下階Bの排水立て管85の上端部を接続するための下部接続部27を備え、胴部23の外周に排水横枝管(図示省略)を接続するための横枝管受け口29a、29b、29cを備える。
継手本体21の上部接続部25は、胴部23から上方へ延設されており、上方から排水立て管81が差し込まれて接続される。図2に示されるように、上部接続部25は、円筒状であり、その奥部に、排水立て管81(図1)の通過は許容しないが排水立て管81を流下する排水には干渉しないように径方向内方へ張り出す上部挿入規制部25a(図2)を有する。上部接続部25の内部には、弾性体からなるパッキン26が装着されている。パッキン26は、上部接続部25の内周面に沿う円筒状の本体部26aを備える。また、パッキン26は、本体部26aの下端から上部接続部25の上部挿入規制部25aに沿って径方向内方へ張り出す緩衝部26bを備える。また、パッキン26は、本体部26aの上部から径方向内方及び下方に張り出す襞状のシール部26cを備える。排水立て管81は、その外周面で襞状のシール部26cを押し広げながら上部接続部25に挿入され、下端面がパッキン26の緩衝部26bを介して上部挿入規制部25aに支持される。これにより、パッキン26のシール部26cが排水立て管81の外周面に密着し、排水立て管81と継手本体21とが水密に接続される。
図3に示されるように、継手本体21の横枝管受け口29a、29b、29cは、90°間隔で設けられている。図1に示されるように、横枝管受け口29a、29b、29cが設けられている胴部23の上部の部位を上胴部31と称する。図2に示されるように、横枝管受け口29aは、胴部23の外面から径方向外方へ延設されており、胴部23の径方向外方から排水横枝管(図示省略)が差し込まれて接続される。横枝管受け口29aは、円筒状であり、その奥部には、排水横枝管の通過は許容しないが排水横枝管に導かれる排水の流れを妨げないように該横枝管受け口29aの径方向内方に張り出す横枝管挿入規制部29xが設けられている。他の横枝管受け口29b(図1)、29c(図2)も同様に、奥部に横枝管挿入規制部29y(図1)、29z(図2)を備えた円筒状である。
図1に示されるように、継手本体21の胴部23は、横枝管受け口29a、29b、29cが設けられた上胴部31と、その下方に連続して上から順に配置された大径直管部33と、テーパ部35と、小径直管部37とからなる。大径直管部33と小径直管部37とはそれぞれ直管状であり、大径直管部33は小径直管部37に比べて内径が大きく、下方に向かって内径が小さくなるテーパ状のテーパ部35を介して大径直管部33と小径直管部37とが連続している。
図2に示されるように、小径直管部37は、下部接続部27を構成する。下部接続部27は、小径直管部37に排水立て管85の上端部が下方から差し込まれた状態で接続される。下部接続部27は、小径直管部37の奥部に、排水立て管85の通過を許容しない下部挿入規制部27sを備える。下部挿入規制部27sは、小径直管部37の径方向内方且つ下方に張り出して、テーパ部35の延長線上に形成されている。下階Bに立設された排水立て管85に対して排水管継手11を相対変位させ、排水立て管85の上端部を小径直管部37に挿入し、排水立て管85の上端面が下部挿入規制部27sに当接することで、排水立て管85に排水管継手11が積み上げられて、排水立て管85と排水管継手11とが接続される。
図2に示されるように、継手本体21の胴部23の内面には、複数の逆流防止壁39aが設けられている。逆流防止壁39aは、図3に示される各横枝管受け口29a、29b、29cの両側方に位置するように、図2には示されないものも含めて全部で4箇所設けられており、隣接する横枝管受け口29aと横枝管受け口29bの間(図示外)及び横枝管受け口29bと横枝管受け口29cの間(図示外)と、横枝管受け口29aの横枝管受け口29bとは反対側の側方(図2参照)及び横枝管受け口29cの横枝管受け口29bとは反対側の側方(図2参照)に配置されている。各逆流防止壁39aは、横枝管受け口29a、29b、29cの中心線よりも上方であり横枝管受け口29a、29b、29cの上端よりも下方位置から横枝管受け口29a、29b、29cの下端よりも下方位置まで、上下方向に延びる畝状に形成されている。逆流防止壁39aにより、横枝管受け口29a、29b、29cから流入する横枝管排水が別の横枝管受け口29a、29b、29cに接続された排水横枝管(図示省略)に流れ込むのが防止される。
また、継手本体21は、胴部23の内面に、排水の流れを制御する第1ガイド34aと第2ガイド34bとを備える。第1ガイド34aと第2ガイド34bは、横枝管受け口29a、29b、29cが形成されている位置よりも下側に配置されており、大径直管部33とテーパ部35とに跨って設けられている。第1ガイド34aと第2ガイド34bは、それぞれ扁平半円形をした羽根状であり、胴部23の相対向する内面から径方向内方に張り出して、周方向に傾斜して設けられている。この第1ガイド34aと第2ガイド34bに流下する排水が当たることにより、排水を減速させるとともに旋回させて流下させることができる。
継手本体21は、硬質塩化ビニル等の熱可塑性樹脂からなる。継手本体21は、胴部23を上下に分割する上側パーツ41及び下側パーツ43とを主体として構成されている。
下側パーツ43は、胴部23の下側の部分を構成し、大径直管部33、テーパ部35及び小径直管部37を形成し、その上端は直管状となっている。上側パーツ41は、胴部23の上側の部分を構成する上胴部形成部位41aと、下側パーツ43に上方から挿入されて下側パーツ43に内嵌される内嵌部位41bとを備える。上胴部形成部位41aは、上部接続部25及び横枝管受け口29a、29b、29cを備えた上胴部41を形成する。上胴部形成部位41aの下端は直管状(円筒状)となって内嵌部位41bが延設されている。内嵌部位41bは、上胴部形成部位41aに接続する筒状部47と、第1ガイド34aと、第2ガイド34bと、筒状部47に第1ガイド34aを支持する第1ガイド支持部47aと、筒状部47に第2ガイド34bを支持する第2ガイド支持部47bとを有する。第1ガイド支持部47aと第2ガイド支持部47bは、相対向して筒状部47から下側パーツ43の内周面に沿って下方へ延びて形成されており、その下端に、それぞれ第1ガイド34a又は第2ガイド34bが形成されている。第1ガイド34aと、第2ガイド34bのそれぞれには、下面に複数の補強リブ34pが一体形成されている。また、上側パーツ41は、外周面にストッパ部41tを備える。ストッパ部41tは、上胴部形成部位41aと内嵌部位41bとの接続位置において、上側パーツ41の径方向外方へ突起する鍔状に形成されている。上側パーツ41の内嵌部位41bを下側パーツ43の上端側から挿入すると、上側パーツ41のストッパ部41tが下側パーツ43の上端面へ当たることで、挿入が止められて上側パーツ41と下側パーツ43とが相対的に位置決めされて継手本体21が組立てられる。
図1等に示されるように、第1の被覆材51は、継手本体21の胴部23のうち、床スラブCSを貫通する部分の外面の全周を被覆している。排水設備H1では、排水管継手11は、横枝管受け口29a、29b、29cが床スラブCS上のできるだけ低い位置に配置されるように配管され、横枝管受け口29a、29b、29cが形成された位置の直下位置から下側が床スラブCSに貫通し、下部接続部27が床スラブCSの下面から突出する。すなわち、大径直管部33とテーパ部35とが床スラブCSを貫通してモルタルMで埋め戻されることとなる。この排水管継手11では、第1の被覆材51は、継手本体21の横枝管受け口29a、29b、29cが形成された位置より下側の略全体を被覆し、大径直管部33及びテーパ部35の全体と、小径直管部37の略全体を被覆する。
第1の被覆材51は、図4等に示されるように、継手本体21の外面に接する内側からこの順で配置された、第1の吸音層53と、第2の吸音層55と、表皮層57とを備える。また、第1の被覆材51は、床スラブCS(図2)に埋め戻される部位における軸方向の少なくとも一箇所において、周に沿って設けられた熱膨張材61も備える。
第1の吸音層53は、第1の被覆材51の最も内側に配置され、継手本体21の内部を流下する排水の音を吸収する。第1の吸音層53は、スポンジ材からなる。第1の吸音層53に用いられるスポンジ材は、合成樹脂等からなり、内部に無数の気泡を有する多孔質材料である。かかるスポンジ材は粘弾性体であり、優れた内部損失を有するので音を吸収する。例えば、ウレタンフォームや、ウレタンフォームの端材や廃材を細分化して接着剤で結合して成形したウレタンチップスポンジ、あるいはポリエチレンフォームやポリエチレンフォームの端材や廃材を細分化して接着剤で結合して成形したポリエチレンチップスポンジは、吸音効果が高く、第1の吸音層53に好適である。第1の吸音層53に用いられるスポンジ材は、連続気泡体であると、より吸音効果が高く好ましい。第1の吸音層53の厚みは、3〜10mm程度であるのが望ましい。
第2の吸音層55は、第1の吸音層53の外側に積層されており、継手本体21の内部を流下する排水の音を吸収する。第2の吸音層55は、無機繊維の集合体からなる。無機繊維としては、人造鉱物繊維が挙げられ、例えば、グラスウール、ロックウール又はセラミックファイバーは、吸音効果が高く、第2の吸音層55に好適である。ここで、ロックウールとは、天然岩石又は高炉スラグなど鉄鋼スラグなどを主原料として製造されたものの総称である。第2の吸音層55の厚みは、3〜10mm程度であるのが望ましい。
表皮層57は、第2の吸音層55の外側に積層されて、第1の被覆材51の外表面を構成する。表皮層57は、防水性を備え、例えば建物の建設中に排水管継手11が雨水に晒されたときに、第1の被覆材51の外表面から第2の吸音層55や第1の吸音層53に雨水が浸透するのを防ぐ。また、表皮層57は、遮音性を備える。表皮層57の遮音性は、第1の吸音層53と第2の吸音層55よりも密度が高いことで担保される。表皮層57としては、防水性と遮音性とを備える種々のシート状の材料を用いることができる。このような表皮層57の材料としては、例えば、アルミやステンレス等の金属の薄膜(金属箔)や、金属箔の内面にガラスクロスやクラフト紙や不織布等が積層された積層体、或いはポリエステルフィルム等の合成樹脂からなるフィルムや積層体等が挙げられる。なかでも、アルミ箔の内面にガラスクロスが積層されたアルミガラスクロスが表皮層57としては最も好適である。表皮層57がアルミガラスクロスからなる場合、第1の被覆材51に傷が付きにくいだけでなく、遮音効果が比較的高い。
熱膨張材61は、火災の熱により膨張する熱膨張性材料からなり、火災時に加熱されて膨張して、熱により軟化した熱可塑性樹脂製の継手本体21を締め付けるように管内方へ膨張して管を閉塞する。熱膨張材61に適用される熱膨張性材料としては、火災時の熱(約200℃以上)で膨張する不燃性の材料が好適であり、例えば、膨張黒鉛を含む成形体や、膨張黒鉛の粉体が好ましい。この排水管継手11では、図2及び図4に示されるように、熱膨張材61は、継手本体21の大径直管部33の周りに環状に一条設けられており、第1の吸音層53と第2の吸音層55に挟まれている。
図1等に示されるように、第2の被覆材71は、継手本体21の床スラブCSの上面から突出する部分の外面の少なくとも一部を被覆している。この排水管継手11では、第2の被覆材71は、継手本体21の床スラブCSの上面から突出する部分の略全体を被覆し、上胴部31と、上部接続部25と、横枝管受け口29a、29b、29cとを被覆する。
第2の被覆材71は、図4等に示されるように、継手本体21の外面に接する内側から順に、上部吸音層73と、上部遮音層75とを備える。
上部吸音層73は、吸音材からなり、第2の被覆材71の内側において継手本体21と接するように配置され、継手本体21の内部を流下する排水の音を吸収する。上部吸音層73に用いられる吸音材は、多孔質材料や、繊維の集合体からなる材料が挙げられる。多孔質材料としては、例えば、ウレタンフォームや、ウレタンフォームの端材や廃材を細分化して接着剤で結合して成形したウレタンチップスポンジ、あるいはポリエチレンフォームやポリエチレンフォームの端材や廃材を細分化して接着剤で結合して成形したポリエチレンチップスポンジ材が挙げられる。スポンジ材は、連続気泡体であると、より吸音効果が高く好ましい。繊維の集合体からなる材料としては、フェルト、グラスウール、ロックウール又はセラミックファイバーの集合体が挙げられる。なかでも、吸音性や取り扱い易さの観点で、ウレタンフォームが最も好適であり、フェルトも好適である。上部吸音層73の厚みは、3〜7mm程度であるのが望ましい。
上部遮音層75は、遮音材からなり、第2の被覆材71の内側において継手本体21と接するように配置され、継手本体21の内部を流下する排水の音が漏れるのを防ぐ。上部遮音層75に用いられる遮音材は、上部遮音層75よりも密度が高い材料である。上部遮音層75に用いられる遮音材としては、例えば、ブチルゴム等のゴムは遮音性に高く最も好適である。上部遮音層75をゴムで構成する場合は、上部吸音層73の厚みは、1〜2mm程度であるのが望ましい。また、アルミやステンレス等の金属の薄膜(金属箔)や、金属箔の内面にガラスクロスやクラフト紙や不織布等が積層された積層体、或いはポリエステルフィルム等の合成樹脂からなるフィルムや積層体等を用いることもできる。なかでも、アルミ箔の内面にガラスクロスが積層されたアルミガラスクロスは、ある程度遮音性を発揮しながら、床スラブCSから突出した第2の被覆材を保護することもできるため、好適である。
図4等に示されるように、第1の被覆材51の上端と第2の被覆材71の下端とは、テープ69aで継ぎ合わされている。この排水管継手11では、第2の被覆材71の下端がテープ68aで継手本体21の外面に固定されている。そのうえで、第1の被覆材51の上端の一部分を第2の被覆材71の外側に重ね合わせた状態で、テープ69aにより第1の被覆材51と第2の被覆材71とが継ぎ合わされている。テープ69aは継手本体21の周囲に一周以上巻き付けられた状態で、第1の被覆材51の上端面を塞いでいる。各テープ68a、69aは、防水性のテープを用いるのが望ましい。例えば、ブチルテープは、伸縮性がよく自己融着により密閉効果が高いため好適である。
また、図5等に示されるように、第1の被覆材71の下端は、テープ69bで継手本体の外面に固定されている。テープ69bが継手本体21の周囲に一周以上巻き付けられた状態で、第1の被覆材51が継手本体21の外面に固定されるのが望ましい。
排水管継手11を配管する際は、典型的には、上階A側から、床スラブCSの貫通孔CHを通じて下階Bに配管された排水立て管85の上端に接続され、次いで、上階Aにて排水管継手11の上部接続部25に排水立て管81が接続される。床スラブCSの貫通孔CHはモルタルMで埋め戻される。ここで、排水管継手11は、床スラブCSの貫通孔CHに通されてモルタルMで埋め戻される部分全体にて継手本体21が第1の被覆材51で被覆されており、且つ第1の被覆材51に内包される熱膨張材61はモルタルMで埋め戻されている。また、排水管継手11は、床スラブCSの上面から突出する部分は、その全体が継手本体21が第2の被覆材71で被覆されている。
なお、本実施形態で例示する排水立て管81、85は、硬質塩化ビニル管であり、上下端の排水管継手11との接続部以外の部分は繊維強化モルタル(不燃材及び繊維等を混ぜたモルタル)製の外管83、87で覆われており、所謂耐火二層管を構成している。
以上の構成の排水管継手11によれば、次の作用効果を奏する。まず、継手本体21の床スラブCSに貫通する部分の外面が、第1の被覆材51で覆われることで、スポンジ材からなる第1の吸音層53と、無機繊維の集合体からなる第2の吸音層55との異なる二層の吸音層で覆われている。これにより、比較的軽量でありながらも、継手本体21の内部を流下する排水の音を的確に吸音して床スラブCSを伝う排水の音を低減することができる。さらに、表皮層57がアルミガラスクロスからなることにより、排水の音が床スラブCSに伝わるのを遮り床スラブCSを伝う排水の音が低減されるとともに、第1の吸音層53と第2の吸音層55とを保護することができる。
また、継手本体21の床スラブCSの上面から突出する部分の外面は、第2の被覆材71で覆われることで、内側から順に、吸音材(上部吸音層73)と遮音材(上部遮音層75)とで覆われている。これにより、継手本体21の内部を流下する排水の音を吸収し、また漏れるのを防ぐことで、排水の音が空気を伝って居室空間に伝わるのを低減することができる。
また、この排水管継手11は、モルタルMで床スラブCSに埋め戻される位置に対応して第1の被覆材51に熱膨張材61を内包しており、火災時には、モルタルMにより外方への膨張が規制された熱膨張材61が、熱により軟化した熱可塑性樹脂製の継手本体21を締め付けるように管内方へ膨張して管を閉塞する。そのため、火災時に排水管継手11を通じて延焼したり煙が拡がったりするのを防止することができる。
なお、この排水管継手11は、第1の被覆材51のより外側に無機繊維の集合体からなる第2の吸音層55が積層されているため、継手本体21が第1の被覆材51で被覆されている部分が床スラブCSから露出する場合には、火災時にその露出部分で第2の吸音層55が耐火性を発揮して継手本体21を保護することもできる。
また、この排水管継手11では、第1の吸音層53、第2の吸音層55及び表皮層57と、熱膨張材61とを一体で備える第1の被覆材51で継手本体21の外面を被覆することで、容易に床スラブCSを伝う排水の音に対する防音作用と、火災時の延焼等の防止作用との双方を確保することができる。さらに、第1の被覆材51が予め継手本体21の外面形状を模った筒状に形成されている場合は、第1の被覆材51に継手本体21を挿通させる容易な作業により継手本体21に第1の被覆材51を被せることができる。
〈実施形態2〉
図6〜図9を参照しながら、実施形態2の排水管継手211について説明する。排水管継手211は、一配管例において、実施形態1の排水管継手11に替えて、複数層を有する建物の排水設備H2を構成することができる。各図においては、実施形態1から変更を要しない構成については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。排水管継手211は、排水立て管81、85及び排水横枝管(図示省略)が接続される継手本体221と、継手本体221の外面を被覆する第1の被覆材251とを備える。
図6に示されるように、継手本体221は、略円筒状の胴部223を備える。また、排水管継手211は、上端部に上階Aの排水立て管81の下端部を接続するための上部接続部225を備え、下端部に下階Bの排水立て管85の上端部を接続するための下部接続部227を備え、図9に示されるように、胴部223の外周に排水横枝管(図示省略)を接続するための横枝管受け口229a、229b、229cを備える。
継手本体221の横枝管受け口229a、229b、229cは、胴部223の上部にて、周回りに90°間隔で設けられている。横枝管受け口229a、229b、229cが設けられている胴部223の上部の部位を上胴部231と称する。図7に示されるように、横枝管受け口229bは、胴部223の外面から径方向外方へ延設されており、胴部223の径方向外方から排水横枝管(図示省略)が差し込まれて接続される。横枝管受け口229bは、円筒状であり、その奥部には、排水横枝管の通過は許容しないが排水横枝管に導かれる排水の流れを妨げないように該横枝管受け口229bの径方向内方に張り出す横枝管挿入規制部229yが設けられている。他の横枝管受け口229a(図6)、229c(図7)も同様に、奥部に横枝管挿入規制部229x(図6)、229z(図7)を備えた円筒状である。
図9に示されるように、継手本体221の胴部223は、横枝管受け口229a、229b、229cが設けられた上胴部231と、その下方に連続して上から順に配置された大径直管部233と、テーパ部235と、小径直管部237とからなる。大径直管部233と小径直管部237とはそれぞれ直管状であり、大径直管部233は小径直管部237に比べて内径が大きく、下方に向かって内径が小さくなるテーパ状のテーパ部235を介して大径直管部233と小径直管部237とが連続している。
図7に示されるように、小径直管部237は、下部接続部227を構成しており、排水立て管85の上端部が下方から差し込まれた状態で接続される。下部接続部227は、実施形態1に係る継手本体221のそれと同じ形状であり、下部挿入規制部227sを備える。
図6に示されるように、継手本体221の上部接続部225は、胴部223から上方へ延設されており、上方から排水立て管81が差し込まれて接続される。図7に示されるように、上部接続部225は、円筒状であり、その奥部に、排水立て管81の通過は許容しないが排水立て管81を流下する排水には干渉しないように径方向内方へ張り出す上部挿入規制部225aを有する。上部接続部225の内部には、弾性体からなるパッキン26が装着されている。
継手本体221の胴部223の内面には、横枝管受け口229cを挟んで左右両側に逆流防止壁239aが形成されている。逆流防止壁239aは、横枝管受け口229cの上端よりも上方位置から横枝管受け口229cの下端よりも下方位置まで、上下方向に延びる畝状に形成されている。この逆流防止壁239aにより、旋回しながら流下してくる立て管排水や、他の横枝管受け口229aから流入する横枝管排水が、横枝管受け口229cに接続された排水横枝管(図示省略)に流れ込むのが防止される。継手本体221には、他の横枝管受け口229a、229bの左右両側にも同様の逆流防止壁が位置するように、図示しないものも含めて合計4本の逆流防止壁が形成されている。
継手本体221は、硬質塩化ビニル等の熱可塑性樹脂からなる。継手本体221は、胴部223を上下に分割する上側パーツ241及び下側パーツ243と、下側パーツ243の内部に嵌め込まれる内装パーツ245とを主体として構成されている。
上側パーツ241は、胴部223の上側の部分を構成し、上部接続部225及び横枝管受け口229a、229b、229cを備えた上胴部231を形成し、その下端は直管状となっている。下側パーツ243は、胴部223の下側の部分を構成し、大径直管部233、テーパ部235及び小径直管部237を形成し、その上端は直管状となっており、内装パーツ245が内嵌されるとともに上側パーツ241の下端が挿入されて接続されている。上側パーツ241の下端の外面には、上下方向に延びる突条241tが形成されており、下側パーツ243の上部の内面には、上側パーツ241の突条241tが嵌合する溝243mが形成されている。突条241tと溝243mとを嵌合させることで、下側パーツ243に対して上側パーツ241が周方向に位置決めされた状態で、上側パーツ241と下側パーツ243とが接続されている。
内装パーツ245は、下側パーツ243の上部に内嵌される筒状部247と、第1ガイド234aと、第2ガイド234bと、筒状部247に第1ガイド234aを支持する第1ガイド支持部247aと、筒状部247に第2ガイド234bを支持する第2ガイド支持部247bとを有する。第1ガイド支持部247aと第2ガイド支持部247bは、相対向して筒状部247から下側パーツ243の内周面に沿って下方へ延びて形成されており、その下端に、それぞれ第1ガイド234a又は第2ガイド234bが形成されている。第1ガイド234aと、第2ガイド234bのそれぞれには、下面に複数の補強リブ234p、234qが一体形成されている。内装パーツ245の外面には、下側パーツ243の溝243mと嵌合可能な突条245tが形成されている。突条245tと溝243mとを嵌合させることで、下側パーツ243に対して内装パーツ245を周方向に位置決めしながら、下側パーツ243に対して内装パーツ245が装着されている。そして、内装パーツ245が内嵌された下側パーツ243に上側パーツ241が接続され、内装パーツ245の筒状部247と上側パーツ241とが、隙間無く、且つ段差無く連続している。
第1の被覆材251は、継手本体221の胴部223のうち、少なくとも、床スラブCSを貫通する部分の外面の全周を被覆しており、大径直管部233及びテーパ部235の全体と、小径直管部237の略全体を被覆する。
第1の被覆材251は、図8等に示されるように、継手本体221の外面に接する内側からこの順で配置された、第1の吸音層53と、第2の吸音層55と、表皮層57とを備える。また、第1の被覆材251は、床スラブCSに埋め戻される部位における軸方向の少なくとも一箇所において、周に沿って設けられた熱膨張材61も備える。第1の被覆材251の各層の材料構成は、実施形態1と同様であるので、同じ符号を付し、説明は省略する。
本実施形態の第1の被覆材251は、上端に防水材65も備える。防水材65は、第1の吸音層53と第2の吸音層55の上端面全体を覆い、第1の吸音層53及び第2の吸音層55に水が染み透るのを防ぐものである。この第1の被覆材251において、防水材65は、吸水性ポリマーの粉体が漉き込まれたフェルト様の複合材からなる。この防水材65は、吸水性ポリマーが水を吸収して膨潤してゲル化することで、継手本体221の外面に密着しながら、防水材65を水が染み透るのを防ぐことができる。吸水性ポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウムなどのポリアクリル酸塩が挙げられる。
第1の被覆材251は、図9に示されるように、予め継手本体221の外面形状を模った筒状に形成されている。第1の被覆材251は、上から順に、継手本体221の大径直管部233に対応して直管状に形成された大径直管状部位251aと、テーパ部235に対応して下方に窄まるテーパ状に形成されたテーパ状部位251bと、小径直管部237に対応して形成された大径直管状部位251aより径の小さい小径直管状部位251cと、を備える。第1の被覆材251は、各層を形成するシート材料を、適宜の手順で、裁断、積層、筒状に成形しつつ、熱膨張材61と防水材65とを組み込むことで、予め筒状とすることができる。
図9に示されるように、第1の被覆材251の上端側から継手本体221の下端を差し込み、第1の被覆材251に継手本体221を通すことで、継手本体221が第1の被覆材251で被覆される。そして、図6及び図8等に示されるように、第1の被覆材251の上端と下端とがそれぞれテープ269a、269bで継手本体221の外面に固定される。テープ269a、269bが継手本体221の周囲に一周以上巻き付けられた状態で、第1の被覆材251が継手本体221の外面に固定されるのが望ましい。かかる防水性のテープの一例としてブチルテープが挙げられる。ブチルテープは、伸縮性がよく自己融着により密閉効果が高いため好ましい。
以上の構成の排水管継手211によれば、次の作用効果を奏する。まず、継手本体221の床スラブCSに貫通する部分の外面が、第1の被覆材251で覆われることで、スポンジ材からなる第1の吸音層53と、無機繊維の集合体からなる第2の吸音層55との異なる二層の吸音層で覆われている。これにより、比較的軽量でありながらも、継手本体221の内部を流下する排水の音を的確に吸音して床スラブCSを伝う排水の音を低減することができる。
また、この排水管継手211は、モルタルMで床スラブCSに埋め戻される位置に対応して第1の被覆材251に熱膨張材61を内包しており、火災時には、モルタルMにより外方への膨張が規制された熱膨張材61が、熱により軟化した熱可塑性樹脂製の継手本体221を締め付けるように管内方へ膨張して管を閉塞する。そのため、火災時に排水管継手211を通じて延焼したり煙が拡がったりするのを防止することができる。
また、この排水管継手211では、第1の吸音層53、第2の吸音層55及び表皮層57と、熱膨張材61とを一体で備える第1の被覆材251で継手本体221の外面を被覆することで、容易に床スラブCSを伝う排水の音に対する防音作用と、火災時の延焼等の防止作用との双方を確保することができる。しかも、第1の被覆材251が予め継手本体221の外面形状を模った筒状に形成されているため、第1の被覆材251に継手本体221を挿通させる容易な作業により継手本体221に第1の被覆材251を被せることができる。ここで、第1の被覆材251は、継手本体221のテーパ状の部位(テーパ部235)に対応して下方に窄まるテーパ状に形成されたテーパ状部位251bを備えるため、テーパ状部位251bで継手本体221の外面にフィットさせやすい。
また、第1の被覆材251は、第1の吸音層53と第2の吸音層55の上端面が防水材65で覆われている。そのため、建物の建設中に第1の吸音層53と第2の吸音層55とが雨水に晒されるのを防ぎ、第1の吸音層53と第2の吸音層55に雨水が浸透するのを防ぐことができる。防水材65は、吸水性ポリマーが水を吸収して膨潤してゲル化することで、継手本体221の外面に密着しながら確実に透水を防ぐことができる。
なお、本実施形態の第1の被覆材251の変形例として、次の構成をとることも可能である。例えば、防水材は、吸水ポリマーによるものに限定されず、例えばゴム等でもよい。また、防水材を省略することもできる。その場合、例えば、第1の被覆材の上端を継手本体の外面に固定するテープとして防水性のテープを適用し、そのテープにより第1の被覆材の上端面に水が浸透しないように上端面を塞ぎながら第1の被覆材と継手本体の外面とを固定するのが望ましい。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態も考えられる。例えば、第1の被覆材は、筒状であれば、より容易に継手本体に被せることができ望ましいが、シート状のピースとして継手本体に巻き付けて継手本体に被せてもよい。
また、熱可塑性樹脂からなる継手本体として、パーツ構成の異なる2例を示したが、パーツ構成はこれに限定されず、2例を互いに置換することができるとともに、床スラブを貫通して配管されるものであれば、他の構成の熱可塑性樹脂からなる継手本体を適用することもできる。
実施例及び比較例では、異なる積層構成の被覆材を作製して熱可塑性樹脂製の継手本体に被せて排水管継手を作製し、建物の排水設備(立て管系統)に組み込んで排水音の評価をした。
[実施例1]
第1の吸音層と、第2の吸音層と、表皮層と、の3層を、内側からこの順で備える第1の被覆材を作成し、継手本体の床スラブを貫通する部分に被せた。第1の吸音層は、厚さ5mmのウレタンフォームを用いた。第2の吸音層は、グラスウールにバインダを加えて厚さを5分の1に圧縮して、厚さ5mmのシート状としたものを用いた。表皮層は、アルミガラスクロスを用いた。また、上部吸音層と、上部遮音層と、の2層を内側からこの順で備える第2の被覆材を作製し、継手本体の床スラブから上方へ突出する部分に被せた。上部吸音層は、厚さ5mmのフェルトを用いた。上部遮音層は、厚さ1.5mmのブチルゴムを用いた。
[実施例2]
実施例1と同様の第1の被覆材を作製し、継手本体の床スラブを貫通する部分に被せた。また、上部吸音層と、上部遮音層と、の2層を内側からこの順で備える第2の被覆材を作製し、継手本体の床スラブから上方へ突出する部分に被せた。上部吸音層は、厚さ5mmのウレタンフォームを用いた。上部遮音層は、厚さ1.3mmのブチルゴムを用いた。
[比較例1]
吸音層と、表皮層と、の2層を、内側からこの順で備える被覆材を作製し、排水管継手の床スラブを貫通する部分に被せた。吸音層は、グラスウールにバインダを加えて厚さを5分の1に圧縮して、厚さ10mmのシート状としたものを用いた。表皮層は、アルミガラスクロスを用いた。また、実施例1と同様の第2の被覆材を作製し、継手本体の床スラブから上方へ突出する部分に被せた。
[排水音の評価]
排水音の評価をするにあたり、まず、図10に示されるように、実験タワーに立て管系統Tを配管した。用いた実験タワーは、各階が床スラブCSで区画された9階建ての建物である。立て管系統Tは、各階に立設された排水立て管181を、各階の床スラブCSに貫通して配設された排水管継手151で接続した構成とした。立て管系統Tの上端は、立て管系統Tへ空気を取り入れることのできるベントキャップ183で覆った。立て管系統Tの下端は、脚部継手185を介して横主管187へ接続した。この実験タワーでは、9階(9F)〜6階(6F)の各階に配設された排水管継手151には、排水管継手151へ排水を流す排水横枝管189を1本ずつ接続可能となっている。
評価の対象となる排水管継手Aは、3階(3F)の床を形成する床スラブCSに貫通してセメントモルタルで埋め戻した。3階(3F)には、図11に示されるように、石膏ボードからなる壁と天井とで区画された箱型の試験室191を設けた。試験室191の外寸は、幅1100mm×奥行き1150mm×高さ2150mmとした。試験室191は、厚さ9.5mmの石膏ボードからなる隔壁193により幅方向を略半分に区切り、パイプシャフト195と測定室197とに分割した。試験室191のパイプシャフト195を貫通して立て管系統Tを配管し、測定室197に騒音計のマイクロホン199を設置した。マイクロホン199は、高さ1200mmの位置に、隔壁193(パイプシャフト195)に向けて設置した。
排水音の評価は、立て管系統Tに、1、3、5又は6.5L/sの定流量の水を流して行った。その際、各階の排水管継手151にそれぞれ1本ずつ接続される排水横枝管189の最大流量は、2.5L/s(SHASE−S218−2008集合住宅の排水管システムの排水能力試験法に準拠した流量)とした。立て管系統Tへの排水は、最上階である9階(9F)から始め、その階の排水流量が最大流量(2.5L/s)を超える場合は、その階の直下階から順次排水を加えて、その合計が前記定流量となるようにした。立て管系統Tに定流量の水が流れるときの音を、マイクロホン199で検知し、騒音計で63〜8000Hzの各周波数におけるオクターブバンド中心の音圧レベルを測定した。定流量が1、3、5又は6.5L/sの各々の場合における音圧レベルを測定し、平均値を算出した。その結果を図12に示されるようにNC曲線上にプロットした。なお、騒音計は、小野測器製、高性能普通騒音計LA−3260(測定モード:等価騒音レベルLeq FAST F特性)を用いた。
[評価結果]
図12より明らかなように、実施例1と比較例1とを対比すると、全ての周波数領域において比較例1よりも実施例1の方が防音効果が高く、比較例1ではNC値が35であったのに対して、実施例1ではNC値が30であった。この結果より、熱可塑性樹脂からなる継手本体の床スラブを貫通する部分を覆う第1の被覆材が、内側から順に、スポンジ材からなる第1の吸音層、無機繊維の集合体からなる第2の吸音層及び表皮層を備えることにより、高い防音性能を発揮することがわかる。また、実施例2の結果も参照すると、実施例2は、実施例1に比べて特に住環境で重視される中域の周波数領域(250〜1000Hz)において、防音効果が高く、NC値がより小さく25であった。この結果より、第1の被覆材が、内側から順に、スポンジ材からなる第1の吸音層、無機繊維の集合体からなる第2の吸音層及び表皮層を備え、且つ、継手本体の床スラブの上面から突出する部分の外面が、内側から順に、スポンジ材からなる上部吸音層とゴムからなる上部遮音層とを備える第2の被覆材で被覆されていると、一層高い防音性能を発揮することがわかる。
11 排水管継手
21 継手本体
51 第1の被覆材
53 第1の吸音層
55 第2の吸音層
57 表皮層
61 熱膨張材
65 防水材
71 第2の被覆材
73 上部吸音層
75 上部遮音層
211 排水管継手
221 継手本体
251 第1の被覆材
CS 床スラブ
CH 貫通孔
M モルタル

Claims (8)

  1. 建物の床スラブを貫通して配管される排水管継手であって、
    排水管が接続される継手本体と、
    前記継手本体の前記床スラブに貫通する部分の外面を被覆する第1の被覆材と、を備え、
    前記継手本体は、熱可塑性樹脂からなり、
    前記第1の被覆材は、内側からこの順で配置された、スポンジ材からなる第1の吸音層、無機繊維の集合体からなる第2の吸音層及び防水性と遮音性の表皮層と、前記第1の吸音層と前記第2の吸音層との間に挟まれて、前記継手本体の回りに少なくとも一条環状に設けられた熱膨張材と、を一体で備える、排水管継手。
  2. 請求項1に記載の排水管継手であって、
    前記第1の吸音層は、ウレタンフォーム又はウレタンチップスポンジからなる、排水管継手。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の排水管継手であって、
    前記第2の吸音層を構成する無機繊維は、グラスウール、ロックウール又はセラミックファイバーである、排水管継手。
  4. 請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の排水管継手であって、
    前記表皮材は、アルミガラスクロスからなる、排水管継手。
  5. 請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の排水管継手であって、
    前記第1の被覆材は、予め前記継手本体の外面形状を模った筒状に形成され、前記継手本体を通すことで前記継手本体に装着されている、排水管継手。
  6. 請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の排水管継手であって、
    前記第1の被覆材は、前記第1の吸音層と前記第2の吸音層の上端面を覆う防水材を備える、排水管継手。
  7. 請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の排水管継手であって、
    前記継手本体の前記床スラブの上面から突出する部分の外面を被覆する第2の被覆材と、を備え、
    前記第2の被覆材は、内側から順に、吸音材からなる上部吸音層と遮音材からなる上部遮音層とを備える、排水管継手。
  8. 請求項7に記載の排水管継手であって、
    前記第2の被覆材は、前記吸音材はスポンジ材であり、前記遮音材はゴムである、排水管継手。
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