JP2009156022A - 多層建築物の解体工法及び解体用荷重伝達構造 - Google Patents

多層建築物の解体工法及び解体用荷重伝達構造 Download PDF

Info

Publication number
JP2009156022A
JP2009156022A JP2008309617A JP2008309617A JP2009156022A JP 2009156022 A JP2009156022 A JP 2009156022A JP 2008309617 A JP2008309617 A JP 2008309617A JP 2008309617 A JP2008309617 A JP 2008309617A JP 2009156022 A JP2009156022 A JP 2009156022A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
floor
load transmission
jack
dismantling
building
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008309617A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5177883B2 (ja
Inventor
Minoru Kobayashi
小林  実
Kazuo Kojima
一雄 児嶋
Yoichi Morishima
洋一 森島
Yukimasa Ogiwara
行正 荻原
Shigemitsu Otsuka
繁充 大塚
Yasunobu Miyazaki
康信 宮崎
Hitoshi Ito
仁 伊藤
Toshio Kawakami
敏男 川上
Shigeru Asaoka
茂 淺岡
Yuki Kawai
裕基 川井
Akira Mizutani
亮 水谷
Taiichiro Yoshikawa
泰一朗 吉川
Kunihiko Machisuji
邦彦 町筋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kajima Corp
Original Assignee
Kajima Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kajima Corp filed Critical Kajima Corp
Priority to JP2008309617A priority Critical patent/JP5177883B2/ja
Publication of JP2009156022A publication Critical patent/JP2009156022A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5177883B2 publication Critical patent/JP5177883B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Working Measures On Existing Buildindgs (AREA)

Abstract

【課題】地震時・風負荷時にも解体中の建築物を構造的に安定な状態に維持する。
【解決手段】解体する建築物1の特定下層階Fvの全柱P1〜Pmにジャッキ10を介装し、柱Pで囲まれた区画T内に基礎部Bからジャッキ介装階Fvを貫く高さの荷重伝達構造体40を設け、ジャッキ介装階Fvの直上階F(v+1)の区画Tの周囲柱Pに荷重伝達構造体40の外面に沿って荷重伝達梁45を取り外し可能に架け渡す。全柱P1〜Pmのジャッキ10を同時に縮める収縮ステップと順次にジャッキ直上部を吊るし切りして伸ばす伸長ステップとを繰り返してジャッキ10上方の各階Fj(j>v)を荷重伝達梁45と共に荷重伝達構造体40の外面に沿って降下させ、降下した各階Fjの柱P以外の躯体をジャッキ介装階Fvで順次解体すると共に、荷重伝達梁45をその階Fjから取り外してその直上階F(j+1)の区画Tの周囲柱Pに順次付け替える。
【選択図】 図1

Description

本発明は多層建築物の解体工法及び解体用荷重伝達構造に関し、とくにビル等の多層建築物を下層部分から取り壊す工法及びその工法で用いる解体用荷重伝達構造に関する。
従来から、鉄骨構造(S造)、鉄筋コンクリート構造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート構造(SRC造)等の多層建築物を解体する工法として、油圧クラッシャー等を用いる圧砕機工法、ダイヤモンドブレード等を用いるカッター(ウォールソー)工法、ワイヤーソーイング工法、アブレイシブウォータージェット工法等が知られている(非特許文献1参照)。これらの工法は何れも、基本的には建設時と逆の順序で鉄骨、鉄筋、コンクリート等の部材(柱材や床梁等)を破砕又は切断して地表まで下ろす作業を、上層階から下層階へ順次繰り返して建築物を解体する方法である。
しかし、従来の上層階から解体する工法は、解体装置(小型の重機等)を先ず最上階に設置したうえで解体に応じて順次下層階へ移動させる作業が必要があり、上層階から周囲への振動・騒音・飛石・粉塵等の拡散・飛散を防止するために解体工事に先行して建築物の全体を覆うような養生仮設を設ける作業も必要である。このような作業は工期、コストを増加させる要因となっており、従来の解体工法は比較的長い工期が必要とされ、それに応じてコストも嵩むという問題点がある。火薬を用いた逐次爆破によって建築物を崩壊させて解体する工法(ミニブラスティング工法)も開発されているが、この工法は爆破に伴って飛石・粉塵等が周囲に飛散するので、オフィスビルやマンション等が密集する地域での建築物の解体、とくに飛散が広範囲に及ぶような中高層建築物の解体に適用することは困難である。周囲に与える影響を小さく抑えつつ中高層建築物を短い工期で解体できる工法の開発が望まれている。
これに対し、例えば特許文献1のように、多層建築物の周囲にジャッキ装置を介して立設した仮設トラスを建築物と複数箇所で固定したのち、建築物の下端部分を解体する毎に仮設トラスをジャッキダウンすると共にトラスの最下層部分を取り外してジャッキアップするサイクルを反復し、建築物を徐々に降下させながら下層階から解体する工法(以下、ジャッキダウン式解体工法という)が提案されている。また特許文献2のように、鉄骨建屋の鉄骨支柱に組み込まれた最下段の鉄骨梁の下面にジャッキ装置(吊治具)をセットしたのち、鉄骨梁をジャッキで支持しながら鉄骨支柱を所定長さ切断してジャッキダウンすると共に下段から外したジャッキをジャッキアップして上段の鉄骨梁の下面にセットするサイクルを繰り返すことにより、鉄骨建屋を下層階から解体するジャッキダウン式解体工法も提案されている。
ジャッキダウン式解体工法の他の例として、特許文献3は、多層建築物(ビル)の下部の複数解体箇所(A点)にそれぞれ装着したジャッキで建築物を支持しつつジャッキで支持しない部分を解体してジャッキダウンするサイクルと、建築物の下部の異なる複数解体箇所(B点)にそれぞれジャッキを付け替えて建築物を支持しつつジャッキで支持しない部分を解体してジャッキダウンするサイクルとを交互に繰り返す工法を開示している。また特許文献4は、所定数の主要支持体を残して建築物の下部を解体すると共に各主要支持体を1つずつ切断して油圧シリンダーをセットしたのち、全ての油圧シリンダーを連動させて建築物をジャッキダウンする工程と、主要支持体を残して建築物の下部を解体すると共に各主要支持体を1つずつ切断して油圧シリンダーを伸長する工程とを交互に繰り返すジャッキダウン式解体工法を開示している。
社団法人東京建物解体協会「解体工法」2007年10月、インターネット<http://www.kaitai−kyokai.com/kouhou.html> 特開平2−024455号公報 特開平8−270232号公報 特公平7−030637号公報 特開2003−049548公報
特許文献1〜4のようなジャッキダウン式解体工法によれば、多層建築物を地上(1階)の解体装置で順次解体することができ、解体装置を最上階等へ移動させる手間を省くことができる。また、特許文献1の工法では多層建築物と同程度の高さの仮設トラスを構築する必要があるものの、特許文献2〜4の工法では解体作業をジャッキで支持した低層階のみに限定することができ、低層階のみを覆う養生仮設によって飛石・粉塵等の周囲への飛散を有効に防止することができる。従ってジャッキダウン式解体工法によれば、上層階から解体する従来の解体工法に比して、周囲に与える影響を小さく抑えつつ中高層建築物を短い工期で解体することが期待できる。
しかし、特許文献3及び4のように多層建築物それ自体をジャッキで支持する解体工法は、建築物の上部荷重を複数のジャッキのみで支持する構造となるため、解体中の建築物が構造的に不安定な状態となりやすい問題点がある。このため、例えば特許文献4の工法では、解体中の建築物の最上層部に全方位傾き検出装置を設け、その検出装置の信号により複数の油圧シリンダー(ジャッキ)の動作を連動制御することにより建築物を平衡維持しつつ降下させている。ただし、このようなジャッキの連動制御では解体中の建築物のジャッキに加わる水平荷重(せん断力)を抑制することができず、その水平荷重によってジャッキ上部が座屈し又はジャッキ自体が破損するおそれがある。特許文献4は建築物の傾き傾向を修正するように複数のジャッキの作動を連動制御すると記載しているが、例えば地震時・風負荷時等に建築物1に加わる水平荷重をジャッキの連動制御によって修正することは困難である。建築物の上部荷重をジャッキのみで支持する構造は水平力(せん断力)に対する強度が小さいので、そのような解体中の建築物を地震時・風負荷時にも安定な状態に維持するためには、ジャッキに加わる水平力を小さく抑える必要である。
そこで本発明の目的は、地震時・風負荷時にも解体中の建築物を構造的に安定な状態に維持できる多層建築物のジャッキダウン式解体工法及び解体用荷重伝達構造を提供することにある。
本発明者は、解体する多層建築物の下層階Fvの全ての柱にそれぞれジャッキ10を介装すると共に、そのジャッキ10が介装された階層(以下、ジャッキ介装階Fvということがある)の上方に加わる水平荷重(せん断力)を、ジャッキ介装階Fvを迂回して下方(例えば基礎部B)へ逃がすことに着目した。例えば図5(A)に示すように、建築物1のジャッキ介装階Fv(図示例では1階F1)の全ての柱P1〜P4にそれぞれ介装したジャッキ10により上部荷重を支持し、ジャッキ10の上方各階Fjを徐々に降下させてジャッキ介装階Fvで解体作業を行なう場合は、降下した直上階F(v+1)(例えば2階F2)の床梁又は床板の解体時にジャッキ介装階Fvの各柱P1〜P4が解体前より長くなるので変形しやすく(揺動しやすく)なり、ジャッキ介装階Fvに加わる水平荷重によってジャッキ介装階Fvの柱P1〜P4が座屈し又はその柱P1〜P4に介装したジャッキ10が破損するおそれがある。上述したように、水平力に抵抗できないジャッキ10(ジャッキ介装階Fv)に加わるせん断力はできる限り小さく抑えることが望ましい。
図5(B)に示すように、建築物の柱P2、P3で囲まれた区画T内にジャッキ介装階Fvの下方(例えば基礎部B)からジャッキ介装階Fvを貫く高さの荷重伝達構造体40を設け、ジャッキ介装階Fvの直上階F(v+1)(例えば2階F2)の区画Tの周囲柱P2、P3に荷重伝達構造体40の外面に沿って荷重伝達梁45を架け渡し、ジャッキ10の上方各階Fj(j>v)を荷重伝達梁45と共に荷重伝達構造体40の外面に沿って徐々に降下させれば、ジャッキ介装階Fvの上方各階Fjに加わる水平荷重を、荷重伝達梁45及び荷重伝達構造体40を介してジャッキ介装階Fvの直上階F(v+1)から基礎部Bへ伝達して逃がすことができる。すなわち、ジャッキ介装階Fvに加わる水平荷重(せん断力)を小さく抑えることにより、ジャッキ介装階Fvの柱P1〜P4の長柱化の影響を避け、解体作業時の建築物1の構造力学的な安定性を高めることができる。本発明は、この着想に基づく研究開発の結果、完成に至ったものである。
図1の実施例及び図10の流れ図を参照するに、本発明による多層建築物の解体工法は、解体する多層建築物1の特定下層階Fv(例えば1階1F)の全柱P1〜Pmにそれぞれジャッキ10(図8参照)を介装すると共に柱P(例えば図7のP52、P42、P43、P53)で囲まれた区画T内にジャッキ介装階Fvの下層階F(v−1)又は基礎部Bからジャッキ介装階Fvを貫く高さの荷重伝達構造体40を設け、ジャッキ介装階Fvの直上階F(v+1)(例えば2階F2)の区画Tの周囲柱P(例えばP52、P42、P43、P53)に荷重伝達構造体40の外面に沿って荷重伝達梁45を取り外し可能に架け渡し、全柱P1〜Pmのジャッキ10を同時に縮める収縮ステップ(図10のステップS006参照)と順次にジャッキ直上部を吊るし切りして伸ばす伸長ステップ(図10のステップS012〜S013参照)とを繰り返すことによりジャッキ10上方の柱P1〜Pmに結合した各階Fj(j>v)を荷重伝達梁45と共に荷重伝達構造体40の外面に沿って徐々に降下させ、降下した各階Fj(j>v)の柱P以外の躯体(床3や壁4)をジャッキ介装階Fvで順次解体すると共に荷重伝達梁45をその階Fjから取り外してその直上階F(j+1)の区画Tの周囲柱P(例えばP52、P42、P43、P53)に順次付け替えてなるものである。
また、図1の実施例を参照するに、本発明による多層建築物の解体用荷重伝達構造は、解体する多層建築物1の特定下層(例えば1階F1)の全柱P1〜Pmにそれぞれジャッキ10(図8参照)を介装して設けたジャッキ介装階Fv、建築物1の柱P(例えば図7のP52、P42、P43、P53)で囲まれた区画T内のジャッキ介装階Fvの下層階F(v−1)又は基礎部Bに設けたジャッキ介装階Fvを貫く高さの荷重伝達構造体40、及びジャッキ介装階Fvの直上階F(v+1)(例えば2階F2)の区画Tの周囲柱P(例えばP52、P42、P43、P53)に荷重伝達構造体40の外面に沿って取り外し可能に架け渡した荷重伝達梁45を備え、ジャッキ介装階Fvで全柱P1〜Pmのジャッキ収縮(図10のステップS006参照)とジャッキ直上部の吊るし切り及びジャッキ伸長(図10のステップS012〜S013参照)とを繰り返すときにジャッキ10上方の柱P1〜Pmに結合した各階Fj(j>v)を荷重伝達梁45と共に荷重伝達構造体40の外面に沿って徐々に降下させ、降下した各階Fj(j>v)の柱P以外の躯体(床3や壁4)をジャッキ介装階Fvで順次解体するときに荷重伝達梁45をその階Fjから取り外してその直上階F(j+1)の区画Tの周囲柱P(例えばP52、P42、P43、P53)に順次付け替えてなるものである。
好ましくは、図3に示すように、荷重伝達構造体40の外面に鉛直方向の溝43を設けると共に、荷重伝達梁45にその溝43内へ間隙s(図3(A)参照)を介して嵌合する突出部46を設ける。それに加えて又は代えて、荷重伝達構造体40と荷重伝達梁45との間にダンパー50を介在させてもよい。
望ましくは、図2の実施例及び図10の流れ図に示すように、ジャッキ介装階Fvの直上階F(v+1)に床梁又は床板3が建築物1の全柱P1〜Pmと切り離された解体作業階Fdを設け、荷重伝達構造体40をジャッキ介装階Fvの下層階F(v−1)又は基礎部Bから解体作業階Fdを貫く高さとし、且つ、荷重伝達梁45を解体作業階Fdの直上階F(d+1)の区画Tの周囲柱P(例えばP52、P42、P43、P53)に架け渡し、解体作業階Fd上方の各階Fj(j>d)を荷重伝達梁45と共に荷重伝達構造体40の外面に沿って徐々に降下させ、降下した各階Fjをジャッキ介装階Fvに代えて解体作業階Fdで順次解体する。更に望ましくは、図3(D)又は図8に示すように、解体作業階Fdの床梁又は床板3と全柱P1〜Pmとの隙間dにそれぞれ、解除可能に床梁又は床板3と柱P1〜Pmとを連結する拘束器34を設ける。
更に好ましくは、図11に示すように、建築物1の全柱P1〜Pmを柱切断時に床梁又は床板3経由で荷重伝達される隣接柱群Q(図11(B)及び(C)参照)が相互に重ならない柱Pを集めた複数の切断グループR1〜Rn(図11(D)及び(E)参照)に分け、上述した伸長ステップ(図10のステップS012〜S013参照)において、切断グループR1〜Rn毎にグループRi内の各柱Pのジャッキ直上部をそれぞれ同時に所定高さL1だけ吊るし切りしてジャッキ10を伸ばすサイクルを反復することにより、全柱P1〜Pmのジャッキ10を順次に伸ばす(図9(M)参照)。また、建築物1の全柱P1〜Pmを複数の切断グループR1〜Rnに分ければ、ジャッキ介装階Fvにジャッキ10を介装するステップ(図10のステップS004〜S005)においても、R1〜Rn毎にグループRi内の各柱Pをそれぞれ同時に初期高さL0だけ切断してジャッキ10を介装するサイクルを反復することにより、全柱P1〜Pmをそれぞれジャッキ10上に支持することができる(図8(A)及び(B)参照)。
本発明による多層建築物の解体工法は、解体する多層建築物1の特定下層のジャッキ介装階Fvの全柱P1〜Pmにそれぞれジャッキ10を介装し、建築物1の柱Pで囲まれた区画T内にジャッキ介装階Fvの下層階F(v−1)又は基礎部Bからジャッキ介装階Fvを貫く高さの荷重伝達構造体40を設け、ジャッキ介装階Fvの直上階F(v+1)の区画Tの周囲柱Pに荷重伝達構造体40の外面に沿って荷重伝達梁45を取り外し可能に架け渡し、ジャッキ介装階Fvで全柱P1〜Pmのジャッキ収縮とジャッキ直上部の吊るし切り及びジャッキ伸長とを繰り返すことによりジャッキ10上方の柱P1〜Pmに結合した各階Fj(j>v)を荷重伝達梁45と共に荷重伝達構造体40の外面に沿って徐々に降下させ、降下した各階Fj(j>v)の柱P以外の躯体をジャッキ介装階Fvで順次解体すると共に荷重伝達梁45をその階Fjから取り外してその直上階F(j+1)の区画Tの周囲柱Pに順次付け替えるので、次の顕著な効果を奏する。
(イ)地震時・風負荷時等にジャッキ介装階Fvの上方各階Fjに加わる水平荷重(せん断力)を、荷重伝達梁45及び荷重伝達構造体40を介してジャッキ下層階F(v−1)又は基礎部Bへ伝達して逃がし、ジャッキ介装階Fvに加わるせん断力を小さく抑え、解体時の建築物1の構造的な安定性を高めることができる。
(ロ)また、ジャッキ介装階Fvで上方各階Fj(j>v)を解体する際に柱P1〜Pmが長柱化しても、ジャッキ介装階Fvに加わる水平力を小さく抑えることにより柱P1〜Pmの座屈及びその柱P1〜Pmに介装したジャッキ10の破損を防止することができ、解体中の建築物1に十分な耐震・耐風性能を保持させることができる。
(ハ)荷重伝達構造体40と荷重伝達梁45との間にダンパー50を介在させれば、地震時・風負荷時等に荷重伝達梁45及び荷重伝達構造体40に加わる水平荷重をダンパー50で吸収・減衰することができ、解体中の建築物1の耐震・耐風性能を更に高めることができる。
(ニ)建築物1のジャッキ介装階Fvの直上階F(v+1)に床梁又は床板3が全柱P1〜Pmと切り離された解体作業階Fdを設け、降下した各階Fjをジャッキ介装階Fvに代えて解体作業階Fdで順次解体する工法とすれば、解体作業階Fdの床梁又は床板3によってジャッキ介装階Fvの柱P1〜Pmを拘束して揺動等を抑えることができ、ジャッキ介装階Fvの柱P1〜Pmの長柱化の影響を避けることができる。
(ホ)また、解体作業階Fdをジャッキ介装階Fvと別階層とすることにより、ジャッキ介装階Fvの作業環境の改善を図ることができる。
図1は、例えば図6及び図7に示すような多層建築物の解体に本発明の解体工法を適用した一実施例を示す。図6及び図7に示す建築物1は、例えば地上S造20階(1階部分はSRC造)、地下RC造3階、最上部のPH(エレベータ機械室等のペントハウス)2階の高層建築物であり、図7に示すように6行4列の24本の柱P11〜P64を有している。図1の実施例は、建築物1の1階F1をジャッキ介装階Fvとし、そのジャッキ介装階Fvの上部荷重を負担する全ての柱P11〜P64にそれぞれジャッキ10(図8参照)を介装している。ただし、本発明におけるジャッキ介装階Fvは1階F1に限るものではなく、建築物1の下部に位置する特定階であれば足りる。例えば、ジャッキ介装階Fvを2階F2、3階F3、又は地下階B1〜B3とし、その上部荷重を支える全柱P11〜P64にそれぞれジャッキ10を介装してもよい。
図10は、本発明による解体工法の流れ図の一例を示す。図1に示す解体工法では、先ず図10のステップS001に示すように、建築物1の柱P(例えば図7のP53、P43、P42、P52)で囲まれた区画T(以下、中央区画Tということがある)内に、ジャッキ介装階Fvの下層階F(v−1)又は基礎部Bからジャッキ介装階Fvを貫く高さの荷重伝達構造体40を構築する。また、ジャッキ介装階Fvの直上階F(v+1)の中央区画Tの周囲柱P(例えばP53、P43、P42、P52)に、荷重伝達構造体40の外面に沿って荷重伝達梁45を架け渡す。図示例では、ジャッキ介装階Fvが1階F1であることから荷重伝達構造体40を建築物1の基礎部B上に立ち上げているが、ジャッキ介装階Fvを2階F2、3階F3等とした場合は、荷重伝達構造体40を基礎部Bに代えてジャッキ介装階Fvの下層階F(v−1)(例えばF1又はF2等)上から立ち上げてもよい。
図1(A)は、荷重伝達構造体40を含むジャッキ介装階Fvの垂直断面図を示す。図示例では、建築物1の2つの中央区画T(図7参照)内にそれぞれ荷重伝達構造体40を設け、その一対の荷重伝達構造体40の外面に沿ってそれぞれ荷重伝達梁45を架け渡すことにより、建築物1の各柱Pの水平力(せん断力)が荷重伝達梁45を介して何れかの荷重伝達構造体40へ伝達されるように構成している。ただし、十分大きな水平荷重を負担できる荷重伝達構造体40であれば、建築物1に対して単独の荷重伝達構造体40を設ければ足りる。
図示例の荷重伝達構造体40は、建築物1の中央区画T内のジャッキ介装階Fvの下層階F(v−1)又は基礎部Bに固定して立ち上げた、ジャッキ介装階Fvの直上階F(v+1)(図示例では2階F2)の床3を貫く高さのS造又はRC造の耐力壁41に囲まれたコア壁であり、地震時・風負荷時等に建築物1に加わる水平荷重を十分に負担できる強度、耐力、靭性を有している。荷重伝達構造体40を構築する際に、ジャッキ介装階Fvの直上階F(v+1)の中央区画T内の小梁や床7等は解体撤去する。このような荷重伝達構造体40は、例えば従来の高層建築物におけるコア壁構築技術を用いて構築することができる。ただし、従来のコア壁は各階で外周部の床梁又は床板3と結合されているのに対し、図示例の荷重伝達構造体40はジャッキ介装階Fvの直上階F(v+1)の床梁又は床板3と離隔して構築されており、その直上階F(v+1)の中央区画Tの周囲柱Pに環状に架け渡した荷重伝達梁45を荷重伝達構造体40の外面と間隙S(図3(A)参照)を介して対向させている。
図3(A)は、図1(A)のIIIA−IIIAから見た荷重伝達構造体40及び荷重伝達梁45の頂面図を示す。図示例の荷重伝達梁45は、同図(B)及び(C)に示すように、両端に取付板49を有する4本の鉄骨部材を、間隙Sを介して荷重伝達構造体40の外周面を環状に取り囲むように、中央区画Tの周囲柱P(図示例ではP53、P43、P42、P52)に現場溶接したブラケット48へ取付ボルト49a等により取り外し可能に固定したものである。地震時・風負荷時等に荷重伝達構造体40の周囲柱P(P53、P43、P42、P52)が水平方向に変位・変形すると、何れかの荷重伝達梁45が荷重伝達構造体40と衝突し、荷重伝達梁45を介して周囲柱Pから荷重伝達構造体40へ水平力を伝達してジャッキ介装階Fvの下層階F(v−1)又は基礎部Bへ逃がすことができる。
ただし、本発明で用いる荷重伝達構造体40は図示例のような耐震壁41に囲まれたコア壁に限定されるものではなく、建築物1に加わる水平荷重を十分に負担できる強度、耐力、靭性を有するS造又はRC造等の構造体であれば足りる。また、荷重伝達梁45も荷重伝達構造体40の外周面を環状に取り囲むものに限定されず、地震時・風負荷等に加わる水平荷重の方向を考慮して、その方向の水平荷重を伝達すべき荷重伝達構造体40の特定の外面に沿って配置したものであれば足りる。
荷重伝達梁45と荷重伝達構造体40の外面との間隙Sは、地震時・風負荷時等に周囲柱Pから荷重伝達梁45を介して荷重伝達構造体40に水平力が直ちに伝達される大きさとすることが望ましい。荷重伝達梁45と荷重伝達構造体40の外面との間隙Sの調整が難しい場合は、図示例のように荷重伝達構造体40の外面に鉛直方向の溝43を設けると共に、その荷重伝達構造体40の外面の溝43内に間隙sを介して嵌合する突出部46を荷重伝達梁45に設け、その溝43と突出部46との間隙sを地震時・風負荷時等の水平力が直ちに伝達されるように調整してもよい。
図3(A)に示すように、荷重伝達梁45と荷重伝達構造体40の外面との間に間隙S(又は間隙s)を設けることにより、常時は水平力が伝達可能であるが、後述するジャッキ介装階Fvのジャッキ10の収縮ステップ時(図10のステップS006)に、荷重伝達梁45をジャッキ介装階Fvの上方の各階Fj(j>v)と共に荷重伝達構造体40の外面に沿って徐々に降下させることができる。ジャッキ10の収縮ステップ時以外は荷重伝達梁45と荷重伝達構造体40とを結合しておいてもよく、例えばジャッキ10の収縮時に解除可能な楔(図示せず)を荷重伝達梁45と荷重伝達構造体40との間に打ち込んで両者を結合してもよい。或いは、荷重伝達梁45と荷重伝達構造体40の外面との間に、地震時・風負荷時等に生じる水平方向の相対的変形を抑制する(変位に応じて振動エネルギーを吸収する)ダンパー50を介在させてもよい。
荷重伝達梁45と荷重伝達構造体40との間に介在させるダンパー50は、従来技術に属する軟鋼を利用した鋼材ダンパー、オイルダンパー、粘性体ダンパー等の弾性変形、塑性変形、又は弾塑性変形可能な任意のダンパーとすることができる。図4(A)は、一対の帽子(ハット)形に加工されたフランジ51a付きプレート51、51を互いに向き合わせて両フランジ51aをボルト52aで接合することにより断面多角形(図示例では六角形状)の中空筒状とした弾塑性変形可能なダンパー50の一例を示す。図示例のダンパー50は、同図(B)に示すように、荷重伝達梁45と荷重伝達構造体40との間に筒状中空部が鉛直向きとなるように配置され、ダンパー50の一方のプレート51の帽子頂面を荷重伝達梁45にボルト52bで固定すると共に、他方のプレート51の帽子頂面を荷重伝達構造体40にボルト52bで固定する。
荷重伝達梁45に水平力が作用して荷重伝達構造体40との間に相対変位が生じるとダンパー50にも水平力が作用し、弾性域内において断面多角形の中空筒が弾性変形し、相対変位のエネルギーを吸収して復元する。また、弾性域を超えて塑性域に至ったときは、ダンパー50が塑性変形してエネルギーを吸収することで振動を減衰させる。ダンパー50が塑性変形することで、荷重伝達梁45と荷重伝達構造体40との間に生じる反力も低減できる。ジャッキ介装階Fvのジャッキ10の収縮ステップ時(図10のステップS006)には、例えばダンパー50のボルト52bを解除することで荷重伝達梁45及び荷重伝達構造体40の一方又は両方からダンパー50を取り外し、荷重伝達梁45を荷重伝達構造体40の外面に沿って移動可能とする。なお、図示例のダンパー50の構成及び作用は、本出願人による特願2006−175330号の明細書に詳述されている。
図1の実施例では、後述する全柱P1〜Pmのジャッキ10の収縮ステップ(図10のステップS006参照)と全柱P1〜Pmの吊るし切り及びジャッキ10の伸長ステップ(ステップS012〜S013)とを交互に繰り返すことにより、同図(B)に示すようにジャッキ10上方の柱P1〜Pmに結合した各階Fj(j>v)を荷重伝達梁45と共に荷重伝達構造体40の外面に沿って徐々に降下させ、同図(C)に示すように降下した各階Fjの柱P以外の躯体(床3や壁4)をジャッキ介装階Fvで順次解体する(ステップS008)。そして、降下した各階Fjをジャッキ介装階Fvで解体する際に、同図(C)に示すように荷重伝達梁45をその降下階Fjから取り外し、その取り外した荷重伝達梁45を降下階Fjの直上階F(j+1)の中央区画Tの周囲柱Pに荷重伝達構造体40の外面に沿って付け替える。なお、降下の障害となり得るジャッキ介装階Fvの壁4等は、同図(A)に示すように、例えばステップS001において予め解体撤去しておくことができる。
降下した各階Fjの解体の際に荷重伝達梁45をその直上階F(j+1)へ順次付け替えることにより、解体作業の全工期にわたってジャッキ介装階Fvの柱P1〜Pmに加わる水平荷重(せん断力)を抑制し、ジャッキ介装階Fvの柱P1〜Pmの座屈又は柱P1〜Pmに介装したジャッキ10の破損を防止することができる。すなわち、降下した各階Fjの床梁又は床板3の解体時にジャッキ介装階Fvの柱P1〜Pmが解体前より長柱化しても、その上方の各階F(j+1)の水平力はジャッキ介装階Fvを迂回してジャッキ介装階Fvの下層階F(v−1)又は建築物1の基礎部Bへ伝達して逃がすことができ、解体作業中の建築物1に十分な耐震・耐風性能を保持させることができる。なお、次回のジャッキ10の収縮ステップの際に障害となり得る中央区画T内の直上階F(j+1)の小梁や床7等は、降下階Fjを解体する際に併せて解体撤去することができる。
好ましくは、図2の実施例に示すように、ジャッキ介装階Fvの直上階F(v+1)(図示例では2階F2)に床梁又は床板3が建築物1の全柱P1〜Pmと切り離された解体作業階Fdを設け、ジャッキ介装階Fvの全柱P1〜Pmのジャッキ10の収縮ステップ(図10のステップS006)と吊るし切り及び伸長ステップ(ステップS012〜S013)との繰り返しにより、解体作業階Fd上方の柱P1〜Pmに結合した各階Fj(j>d)を荷重伝達梁45と共に荷重伝達構造体40の外面に沿って徐々に降下させ、降下した各階Fjをジャッキ介装階Fvに代えて解体作業階Fdで順次解体する。この場合は、同図に示すように、荷重伝達構造体40をジャッキ介装階Fvの下層階F(v−1)又は基礎部Bから解体作業階Fdを貫く高さとし、荷重伝達梁45を解体作業階Fdの直上階F(d+1)の中央区画Tの周囲柱P(例えばP52、P42、P43、P53)に荷重伝達構造体40の外面に沿って架け渡す。
図10は、ジャッキ介装階Fvの直上階F(v+1)を解体作業階Fdとした場合の流れ図を示しており、そのステップS002は、図3(D)に示すような柱刳り貫き装置31によりジャッキ介装階Fvの直上階F(v+1)の床梁又は床板3と建築物1の全柱P1〜Pmと切り離すことにより、ジャッキ介装階Fvの直上階F(v+1)を解体作業階Fdとする処理を示す。またステップS002では、図6及び図7に示すように、建築物1の周囲又はその一部分に解体作業階Fdの床梁又は床板3と同じ高さで建築物1に外接する作業架台5を構築している。その作業架台5上に可動ベースマシーン(例えばバックホー)等の解体装置9を配置し、図6及び図7の矢印に示すように、降下した各階Fjの解体作業時(ステップS008)に作業架台5から建築物1の解体作業階Fdへ解体装置9を進入させて降下した各階Fjを解体することができる。ただし、作業架台5は本発明に必須のものではなく、解体装置9は従来技術に属する適当な方法、例えばジャッキ介装階Fvから解体作業階Fdに至る上昇通路又は吊り上げクレーン等により解体作業階Fdへ搬入してもよい。
建築物1のジャッキ介装階Fvではなくその直上階F(v+1)を解体作業階Fdとすることの利点を、図5(C)を参照して説明する。図5(B)のように荷重伝達梁45及び荷重伝達構造体40を設ければ、上述したように地震時・風負荷時等にジャッキ介装階Fvに加わる水平力を小さく抑えて解体作業時の建築物1の構造的な安定性を高めることができる。ただし、図1(C)に示すように降下した各階Fjをジャッキ介装階Fvで解体する際にジャッキ介装階Fvの柱Pに大きな水平荷重(せん断力)が加わる可能性があり、解体時に長柱化するジャッキ介装階Fvの柱Pが座屈し又は柱Pに介装したジャッキ10が破損するおそれがある。
図5(C)のように、建築物1のジャッキ介装階Fvの床梁又は床板3を全柱P1〜Pmと切り離し、その直上階F(v+1)を解体作業階Fdとすれば、解体作業階Fdの床梁又は床板3によってジャッキ介装階Fvの柱P1〜P4を拘束し、ジャッキ介装階Fvの柱P1〜P4の長柱化の影響を避けることができる。また、地震時・風負荷時又は解体作業時等に解体作業階Fdに加わる水平力(せん断力)を、解体作業階Fdの床梁又は床板3からジャッキ介装階Fvの壁4(又は後述の壁柱32)を介してジャッキ下方(基礎部B等)へ伝達して逃がすことができ、ジャッキ介装階Fv(ジャッキ10と柱Pとの接合部)に加わる水平力を小さく抑えて解体作業時の建築物1の構造力学的な安定性を高めることができる。更に、解体作業階Fdをジャッキ介装階Fvと別階層とすることで、ジャッキ介装階Fvの作業環境の改善を図ることができる。
図10のステップS002において、解体作業階Fd(図示例ではF2)の床梁又は床板3と建築物1の全柱P1〜Pmとは、例えばダイヤモンドブレード又はワイヤーソー(ダイヤモンド切刃をワイヤーに巻きつけたもの)等の柱刳り貫き装置31によって切り離すことができる(図3(D)の楕円E部分参照)。解体作業階Fdの床梁又は床板3は、全柱P1〜Pmと切り離した場合でもジャッキ介装階Fvの既存の壁4等によって落下しないように支持することができる。ただし、図示例のように大重量の解体装置9を解体作業階Fdへ乗り入れる場合は、必要に応じて、図2に示すようにジャッキ介装階Fvに直上の解体作業階Fdの床梁又は床板3及び/又は解体装置9を支持する強度・耐力の壁柱32を設けてもよい。好ましくは、図3(D)の楕円F部分又は図8に示すように、建築物1の柱Pと解体作業階Fdの床梁又は床板3とを切り離した隙間dに、柱Pと床梁又は床板3とを解除可能に連結する拘束器34を設ける。
図3(D)の実施例では、解体作業階Fdの床梁又は床板3上の各柱Pの周囲に押しボルト34a付きの柱ガイド33を固定し、その押しボルト式拘束器34aにより床梁又は床板3と各柱Pとを拘束し、後述するジャッキ10の収縮ステップ時には押しボルト34aを各柱Pから離して各柱Pを床梁又は床板3に対して移動可能としている。また図8(D)に示すように、床梁又は床板3上の各柱Pの4方向周囲にそれぞれ柱ガイド33を固定すると共に、各柱Pと柱ガイド33との間にそれぞれ楔式拘束器34bを打ち込むことで、床梁又は床板3と各柱Pとを拘束してもよい。ジャッキ10の収縮ステップ時には、楔式拘束器34bを抜き取ることで各柱Pを床梁又は床板3に対して移動可能とする(図8(C)参照)。ただし、拘束器34は図示例に限定されるものではなく、解体作業階Fdの床梁又は床板3と柱Pとの隙間dが柱Pを十分拘束できる程度の幅であれば拘束器34を省略してもよい。
なお、図10のステップS002では、ジャッキ介装階Fvの直上階F(v+1)を解体作業階Fdとすると共に、解体作業階Fd及びその直上階F(d+1)(図示例では3階F3)の内装、設備、アスベスト等を解体撤去又は除去している。解体作業階Fdの直上階F(d+1)より更に上方の各階Fj(j>d+1)の内装、設備、アスベスト等については、建築物1の解体に応じて各階Fj毎に解体撤去又は除去することができる(後述するステップS008)。そのように各階Fj毎に内装、設備、アスベスト等を解体撤去又は除去することで建築物1の全体の解体に要する工期の短縮を図ることができるが、ステップS002において建築物1の全ての階の内装、設備、アスベスト等を予め解体撤去又は除去してもよい。
図10のステップS003〜S005は、図8(A)に示すように建築物1のジャッキ介装階Fvの上部鉛直荷重を負担する全ての柱P1〜Pmをそれぞれ初期長さL0だけ切断し、同図(B)に示すように各柱P1〜Pmにそれぞれジャッキ10を介装するステップを示す。建築物1には上部荷重を負担しない二次部材の柱も存在しているが、そのような二次的な柱は本発明において柱以外の躯体と考えることができ、ステップS001又はステップS002において予め解体撤去しておくことができる。ジャッキ介装ステップでは、例えばジャッキ介装階Fvの全柱P1〜Pmを1本ずつ切断してジャッキ10を介装する。柱Pを1本ずつ切断すれば、切断する柱Pの支持荷重を他の柱Pで負担して支持することができ、解体中の建築物1を構造的に安定な状態に維持できる。ただし、同時に切断可能な複数本の柱Pを纏めて切断し、それらの柱Pにジャッキ10を同時に介装してもよい。図10の流れ図では、ステップS003においてジャッキ介装階Fvの全柱P1〜Pmを同時に切断可能な複数本の柱Pを集めた切断グループR1〜Rnに分け、ステップS004〜S005において切断グループR1〜Rn毎にジャッキ介装階Fvの柱Pを切断してジャッキ10を介装している。切断グループR1〜Rn毎にグループ内の柱Pを同時に切断してジャッキ10を介装することにより、ジャッキ介装ステップを迅速に進めて解体作業工期の短縮を図ることができる。ジャッキ介装階Fvの全柱P1〜Pmを切断グループR1〜Rnに分ける方法の詳細については後述する(実施例1参照)。
図8(B)に示すジャッキ10は、ジャッキ介装階Fvの床梁又は床板3又は建築物1の基礎部Bにアンカーボルト11aで固定されたアンカープレート11上に設置され、ラム(又はピストン)12と上昇距離センサ14と圧力変換器18とを有している。その圧力変換器18は、油圧供給ケーブル29b及び油圧中継装置27を介して油圧ポンプユニット26に接続されると共に、油圧制御ケーブル28cと制御中継装置25と光ファイバーケーブル28aとを介してジャッキ制御装置20に接続されている。図8(E)に示すジャッキ制御装置20は、光ファイバーケーブル28aを介して直列に接続された複数の制御中継装置25を有しており、その制御中継装置25の各々をジャッキ介装階Fvの各柱P1〜Pmに介装したジャッキ10と接続することにより、ジャッキ介装階Fvの全柱P1〜Pmのジャッキ10の伸縮を同時に制御することができる。
図示例のジャッキ10は、油圧ポンプユニット26から圧力変換器18へ供給される油圧をジャッキ制御装置20で制御することにより、ラム(又はピストン)12を伸長又は収縮させることができる。ラム(又はピストン)12の上昇距離をセンサ14で計測し、その計測値をセンサケーブル28b経由で制御中継装置25へ入力することにより伸長又は収縮の制御に利用する。ただし、本発明で利用可能なジャッキ10は油圧ジャッキ装置に限定されず、建築物1の各柱Pを支持できる十分な揚力及び耐荷重性能を有する適当なジャッキ装置を利用することができる。
また図示例のジャッキ10は、ラム(又はピストン)12上に凹面座金15及び球面座金16を載置し、その球面座金16上に調整部材(シュー)17を介して切断した柱10の切断面を支持している。建築物1の全柱P1〜Pmの切断面を、それぞれ球面座金16を介してジャッキ10上に滑り支承させることにより、各柱Pの切断面の水平施工誤差を吸収すると共に、地震時・風負荷時等の水平力による柱Pの挙動を吸収することができる。球面座金16の中心は、例えばジャッキ介装階Fvの直上階F(v+1)上に固定した柱ガイド33と同じ高さとすることができる。また、球面座金16と柱Pの切断面との間に調整部材17を設けることにより、柱Pの切断面の凹凸等により生じる不均等な荷重を改善することができる。調整部材17の一例は、砂やライナー等の詰め物、又は木質板等である。このようにジャッキ10上に柱P1〜Pmの切断面を滑り支承させる場合は、本発明による解体時の荷重伝達構造がとくに有効である。
図10のステップS006は、図8(C)及び図9(B)に示すように、ジャッキ介装階Fvの全柱P1〜Pmのジャッキ10を、ジャッキ制御装置20により平衡に維持しながら同時に縮める収縮ステップを示す。ステップS002においてジャッキ介装階Fvの直上階F(v+1)を解体作業階Fdとした図10の流れ図では、図2(B)に示すように、ステップS006において建築物1の解体作業階Fd上方の各階Fj(j>d)が荷重伝達梁45と共に荷重伝達構造体40の外面に沿って同時に降下する。降下の障害となり得る解体作業階Fdの壁4等は、同図(A)に示すように、例えばステップS001又はステップS002において予め解体撤去しておくことができる。
収縮ステップS006における1回当たりの収縮高さ(ジャッキ10のストローク)は、建築物1の階層高さL(図8(B)参照)以下の範囲内で任意に選択可能であるが、ストロークが大きくなるとジャッキ10自体も大きくする必要があるので、例えば建築物1の階層高さLの1/4〜1/6程度(例えば600〜900mm程度)とすることが好ましい。ステップS007において、解体作業階Fdの上方各階Fj(j>d)(図1(C)ではジャッキ介装階Fvの上方各階Fj(j>v))が解体に適する高さまで降下したか否かを判断し、降下していない場合はステップS008〜011をスキップしてステップS012へ進む。
図10のステップS012〜S013は、ジャッキ介装階Fvの全柱P1〜Pmのジャッキ10のジャッキ直上部を順次に所定高さL1だけ吊るし切りし、ジャッキ制御装置20によりジャッキ10を順次伸ばす伸長ステップを示す。ジャッキ制御装置20により、ジャッキ介装階Fvの全柱P1〜Pmのジャッキ10を、順次にジャッキ直上部を所定高さL1だけ吊るし切りして伸ばす伸長ステップを示す。伸長ステップでは、図9(A)に示すように、例えばジャッキ介装階Fvの全柱P1〜Pmを1本ずつ、例えばジャッキ10を若干(例えば50mm程度)下降させたうえで各柱Pのジャッキ直上部を吊るし切りし、その後に各柱Pのジャッキ10を伸ばすサイクルを順次反復することができる。或いは、同時に切断可能な複数本の柱Pのジャッキ直上部を纏めて同時に吊るし切りし、それらの柱Pのジャッキ10を同時に伸ばすサイクルを順次反復してもよい。図10の流れ図では、ステップS003で分類した切断グループR1〜Rnに基づき、ステップS012〜S013において切断グループR1〜Rn毎に複数本の柱Pのジャッキ直上部をそれぞれ同時に所定高さL1だけ吊るし切りし、それらの柱Pのジャッキ10を同時に伸長させている。このように切断グループR1〜Rn毎に柱P1〜Pmを順次吊るし切りしてジャッキ10を伸ばすことにより伸長ステップの時間を短縮できるが、その詳細については後述する(実施例1参照)。
ステップS012〜S013において全柱P1〜Pmを順次吊るし切りしてジャッキ10を伸ばしたのちステップS006へ戻り、上述した収縮ステップS006と伸長ステップS012〜S013とを繰り返すことにより、図2(C)に示すように解体作業階Fd上方の各階Fj(j>d)(図1(C)ではジャッキ介装階Fv上方の各階Fj(j>v))を解体に適する高さ(例えば1階層高さL)だけ降下させる。図9(A)〜(L)は、建築物1の階層高さが3375mmである場合に、伸長ステップS012における柱Pの吊るし切りの所定高さL1を675mm(=3375mm×1/5)とし、収縮ステップ及び伸長ステップの5回の繰り返しにより階層高さLだけ降下させる解体工法を示す。ステップS007において、解体作業階Fdの例えば1ストローク(675mm)上方にその直上階Fj(この場合はF(d+1))が降下するまで収縮ステップ及び伸長ステップが繰り返されたことを判断して解体ステップS008へ進む(図9(A)〜(H)参照)。
ジャッキ介装階Fvの直上階F(v+1)を解体作業階Fdとした図10の流れ図では、ステップS008において降下した階Fj(j>d)の柱P以外の躯体を解体作業階Fdで順次解体する(図9(I)参照)。例えば図7及び図2(C)に示すように、建築物1の周囲の作業架台5から解体装置9を建築物1の解体作業階Fd(図示例では2F)に進入させ、降下階Fjの床梁又は床板3や壁4を解体する。また図2(C)に示すように、降下した階Fjを解体作業階Fdで解体する際に、荷重伝達梁45をその降下階Fjから取り外し、その取り外した荷重伝達梁45を降下階Fjの直上階F(j+1)の中央区画Tの周囲柱Pに荷重伝達構造体40の外面に沿って付け替える。荷重伝達梁45を直上階F(j+1)に付け替えることにより、その後に降下階Fjの床梁又は床板3を解体して解体作業階Fdの柱P1〜Pmが解体前より長柱化しても、ジャッキ介装階Fv及び解体作業階Fdの柱P1〜Pmに加わる水平荷重(せん断力)を抑制できる。なお、次回のジャッキ10の収縮ステップの際に障害となり得る降下階Fjの直上階F(j+1)の中央区画T内における小梁や床7等は、降下階Fjを解体する際に併せて解体撤去することができる。また、その直上階F(j+1)の内装、設備、アスベスト等が解体撤去又は除去されていない場合は、降下階Fjの解体作業と並行して、ステップS008においてその直上階F(j+1)の内装、設備、アスベスト等を解体撤去又は除去することができる。
ステップS008で降下階Fjの解体が終了したのちステップS009へ進み、建築物1の最上階まで解体が終了したか否かを判断する。終了していない場合は、ステップS010〜S011を介してステップS012へ戻り、再び上述した伸長ステップS012〜S013と収縮ステップS006とを繰り返し(図9(J)〜(L)参照)、解体作業階Fdの更に上方の各階F(j+1)を降下させて順次解体する。図9(L)は同図(A)と同じ状態に復帰することを示しており、同図(J)〜(L)及び同図(A)〜(H)のように収縮ステップ及び伸長ステップを5回繰り返す毎に、解体作業階Fdより上方の各階Fjを階層高さLだけ降下させることができる。図9の流れ図では、収縮ステップ及び伸長ステップを5回繰り返す毎に、収縮ステップと伸長ステップとの間に解体ステップS008を設けて、同図(I)のように上方の各階Fjを解体作業階Fdで階層毎に順次解体する。
なお、解体した降下階Fjの直上階F(j+1)において柱P1〜Pmの一部分が間引きされている場合は、間引きされた柱Pのジャッキ10を撤去したうえで、残された柱Pのジャッキ10のみを利用して伸長ステップS012〜S013と収縮ステップS006を繰り返することにより、その直上階F(j+1)の解体工事を進めることができる。また図10のステップS010〜S011は、建築物1の全柱P1〜Pmを切断グループR1〜Rnに分けている場合に、その直上階F(j+1)を解体する前に、必要に応じて、その直上階F(j+1)の残された柱Pについて切断グループRを更新する処理を示す。ステップS010〜S011の切断グループRの更新処理の詳細については後述する(実施例1参照)。
図10のステップS009において、建築物1の最上階まで解体が終了した場合はステップS014へ進み、建築物1の残部であるジャッキ介装階Fv(図示例ではF1)、解体作業階Fd(図示例ではF2)、及び基礎部Bを解体する。またステップS009において、建築物1の残部と共に荷重伝達構造体40を解体することができる。なお、建築物1のジャッキ介装階Fvを解体作業階とした図1の実施例の場合は、上述したステップS003〜S013の繰り返しによりジャッキ介装階Fvの直上階F(v+1)から建築物1の最上階までを解体できるので、ステップS014においてジャッキ介装階Fv(1F)及び基礎部Bと荷重伝達構造体40とを解体すれば足りる。また、ジャッキ介装階Fvを建築物1の2階F2以上とした場合は、ステップS014において、基礎部Bと共にジャッキ介装階Fvより下層の各階Fj(j<v)を解体すればよい。
こうして本発明の目的である「地震時・風負荷時にも解体中の建築物を構造的に安定な状態に維持できる多層建築物のジャッキダウン式解体工法及び解体用荷重伝達構造」の提供を達成できる。
図10の流れ図のステップS003は、建築物1の上部荷重を負担する全ての柱P1〜Pmを、柱切断時に床梁又は床板3を介して荷重伝達される隣接柱群Qが相互に重ならない柱Pを集めた複数の切断グループR1〜Rnに分ける処理を示す。建築物の全柱P1〜Pm、例えば図11(A)に示す柱P1〜P4は各階Fの床梁又は床板3で相互に結合されており、その何れかの柱Px(例えばP2)の切断時に、その柱Pxの支持荷重が隣接する柱P(x−1)及びP(x+1)(例えばP1及びP3)に荷重増加として伝達される。荷重を受ける柱P(例えばP3)は、許容応力や限界耐力を考慮して隣接する1本の柱P(例えばP2)から伝達される程度の荷重増加を負担する強度は有しているが、隣接する2本以上の柱P(例えばP2及びP4)の荷重増加を同時に負担させることは安全上避けることが望ましい。
例えば図11(B)のように建築物1の全柱P1〜Pmがそれぞれ格子面上の交差する二方向軸(x軸、y軸)の各交点に配置されている場合は、特定の柱P(x、y)(例えばP32)の切断時に、その柱Pが切断前に支持していた上部荷重は主に床梁又は床板3経由で隣接する4本の隣接柱P(x−1、y)、P(x、y−1)、P(x、y+1)、P(x+1、y)(例えばP22、P31、P33、P42)に荷重増加として伝達される。従って、各交点の柱P(x、y)毎に床梁又は床板3経由で荷重伝達される格子軸方向の4本の隣接柱群Q(P(x−1、y)、P(x、y−1)、P(x、y+1)、P(x+1、y))を想定し、その隣接柱群Qが相互に重ならない柱P(例えば同図の斜線付きの柱P32、P11、P24)をグループとすれば、そのグループ内の複数の柱Pを同時に切断しても他の何れかの柱P(そのグループ以外の柱)に複数の柱Pから同時に荷重が伝達されることはなく、そのグループ以外の柱Pで多層建築物の上部荷重を支持して構造的に不安定な状態となることを避けることができる。
図11(B)において、柱P32の隣接柱群Q32にはP22、P31、P33、P42の4本の柱が含まれ、柱P23の隣接柱群Q23にはP13、P22、P24、P33の4本の柱が含まれる。ただし、各柱Pxyの隣接4交点には柱の存在しない交点も含まれ、建築物1の外周部の柱Pの隣接柱群Qは3本又は2本の柱のみで構成される。例えば柱P12の隣接柱群Q12にはP11、P22、P13の3本の柱だけが含まれ、柱P11の隣接柱群Q11にはP21、P12の2本の柱だけが含まれる。
図11(B)から分かるように、隣接柱群Q32と隣接柱群Q23とは一部の柱P(P22及びP33)が重なることから、柱P32と柱P23とを同じ切断グループRとすることはできない。これに対して、隣接柱群Q32と隣接柱群Q11との間に相互に重なる柱Pが存在せず、隣接柱群Q32と隣接柱群Q24の相互間にも重なる柱Pが存在せず、隣接柱群Q11と隣接柱群Q24の相互間にも重なる柱Pが存在しないことから、これらの柱P32、P11、P24は同じ切断グループRとすることができる。ただし、同図に示す全柱P1〜Pmを切断グループRに分類する方法は一通りではなく、同様に隣接柱群Qxyの相互に重なる柱Pが存在しない柱Pxyを検討することにより、例えば図11(C)に示すように、柱P32、P13、P44を同じ切断グループRに分類することも可能である。
図10のステップS003では、上述した隣接柱群Qxyの相互の重なりを各交点(x、y)の柱Pxy毎に順次検討することにより、建築物1の全柱P1〜Pmを複数の切断グループR1〜Rnに分類することができる。同じ切断グループRiの各柱Pは、同時に切断しても、そのグループR内の各柱Pに作用する荷重は上部の床梁又は床板3を介して隣接する他のグループRの柱Pに再配分されるので、解体中の建築物1を構造的に安定な状態に保つことができる。切断グループRには1本の柱Pのみからなるグループも合まれる。ただし、解体工期を短縮するためには、各切断グループRiに隣接柱群Qxyが相互に重ならない複数の柱Pを含め、切断グループRiの数をできるだけ少なくすることが有効である。
図11(D)及び図12の流れ図は、建築物1の全柱P1〜Pmを5つの切断グループR1〜R5に分類する方法の一例を示す。図12のステップS101では、図11(D)に示すように、先ず建築物1の全柱P1〜Pmが配置された格子面上の全交点(x、y)を、桂馬飛びの位置関係の交点(例えばP11、P32、P24、P53、P61)毎に二軸方向の隣接4交点(x−1、y)、(x、y−1)、(x、y+1)、(x+1、y)を割り付けることにより、5交点単位で区分けする。各5交点単位は、一軸方向の隣接3交点(例えばP52、P53、P54)と、その中心交点(P53)に隣接する他軸方向の2交点(例えばP43、P63)とからなる。次に、ステップS102〜S105において、区分けした各5交点単位からそれぞれ対応する位置の交点の柱(例えばP11、P32、P24、P53、P61)を集めて同じ切断グループR1とする。更に、グループ番号iを1つずつ繰り上げながらステップS102〜S105を繰り返し、各5交点単位から前回と異なる対応位置の交点の柱を集めることにより、図11(D)に示すように建築物1の全柱P1〜Pmを5つの切断グループR1〜R5に分類することができる。なお、図示例では6行4列の24本の柱P11〜64の分類を示しているが、図12の流れ図は任意の行列数の柱Pに適用可能である。
図11(D)の分類では複数の切断グループR1〜Rnに属する柱Pの数がグループ毎で相異しているが、切断グループR1〜Rn毎の柱切断効率を向上するためには、何れの切断グループR1〜Rnも同数の切断装置30(図8(A)参照)でグループ内の柱Pが切断できるように、各切断グループR1〜Rnにそれぞれ同数の柱Pを含めることが望ましい。図11(E)及び図13の流れ図は、建築物1の全柱P1〜Pmをそれぞれ4本の柱Pが含まれる切断グループR1〜R6に分類する方法の一例を示す。図13のステップS201では、図11(E)に示すように、先ず建築物1の全柱P1〜Pmが配置された格子面の全交点(x、y)からk行4列を取り出す。なお、図11(E)は6行4列の24本の柱P11〜64の分類を示しているが、図13の流れ図は任意の行数kの配置に適用可能であり、列数が8行、12行等の配置にも適用可能である。
図13のステップS202〜S205において、i行1列の柱P(例えばP11)と、その柱Pに対して桂馬飛びの位置関係にある(i−2)行2列及び(i+1)行3列の2本の柱P(例えばP52、P23)と、その2本の柱Pに対して桂馬飛びの位置関係にある(i−1)行4列の1本の柱P(例えばP64)との4本の柱を集めて同じ切断グループRiとする。或いは、i行1列の柱P(例えばP11)に対して、桂馬飛びの位置関係にある(i+2)行2列及び(i−1)行3列の2本の柱P(例えばP32、P63)と、その2本の柱Pに対して桂馬飛びの位置関係にある(i+1)行4列の1本の柱P(例えばP24)との4本の柱を集めて同じ切断グループRiとしてもよい。この場合に、桂馬飛びの位置関係にある交点(x、y)の行座標xがkより大きい(x>k)場合はその行xからkを差し引いた交点(x−k、y)の柱Pを集め、交点(x、y)の行座標xが0より小さい(x<0)場合はその行xにkを加えた交点(x+k、y)の柱Pを集めるものとする。更に、グループ番号iを1つずつ繰り上げながらステップS202〜S205を繰り返すことにより、図11(E)に示すように、建築物1の全柱P1〜Pmをそれぞれ4本の柱Pが含まれる複数の切断グループR1〜R6に分類することができる。
ステップS003において建築物1の全柱P1〜Pmを複数の切断グループR1〜Rnに分類しておけば、図10のジャッキ介装ステップS004〜S005において、切断グループR1〜Rn毎にグループ内の柱Pを同時に切断してジャッキ10を介装することにより、介装ステップを迅速に進めて解体工期の短縮を図ることができる。例えばステップS004において、特定の切断グループRi以外の柱Pで建築物1の上部荷重を支持しつつ、図8(A)に示すようにその特定の切断グループRi内の各柱Pの下端部をそれぞれ同時に初期高さL0だけ切断し、同図(B)に示すように各柱Pの下端部の切断した部分にそれぞれジャッキ10を介装する。ステップS005において、切断グループRiを切り替えながらステップS004をグループ数だけ繰り返すことにより、建築物1の全柱P1〜Pmを介装したジャッキ10上に支持する。
また、建築物1の全柱P1〜Pmを複数の切断グループR1〜Rnに分類しておけば、図10の伸長ステップS012〜S013の迅速化を図ることもできる。上述した図8(E)に示すジャッキ制御装置20は、建築物1の全柱P1〜Pmについてそれぞれ何れの切断グループR1〜Rnに属するかを記憶する記憶手段21と、その切断グループR1〜Rn毎にグループ内の各柱Pのジャッキ10を同時に伸ばすサイクルを反復して全柱P1〜Pmのジャッキ10を伸長する伸長ステップ手段23と、全柱P1〜Pmのジャッキ10を同時に縮める収縮ステップ手段24とを有している。また図示例のジャッキ制御装置20は、例えば上述した図12又は図13の流れ図に従って建築物1の全柱P1〜Pmを複数の切断グループR1〜Rnに分類する柱グループ化手段22を有し、例えばステップS003において柱グループ化手段22で求めた各切断グループR1〜Rnに属する柱Pを記憶手段21に記憶している。
例えば図10のステップS012において、ジャッキ制御装置20の伸長ステップ手段23により、特定の切断グループRi以外の柱Pのジャッキ10で建築物1の上部荷重を支持しながら、図9(A)に示すようにその切断グループRi内の各ジャッキ10を若干(例えば50mm程度)下降させたうえで各柱Pのジャッキ直上部をそれぞれ同時に所定高さL1だけ吊るし切りし、同図(B)に示すように各柱Pのジャッキ10を所定高さL1だけ伸ばす。ステップS013において、図9(M)に示すように、切断グループRiを順次切り替えながらステップS012をグループ数(図示例では6グループ)だけ繰り返すことにより、ジャッキ介装階Fvの全柱P1〜Pmのジャッキ10をそれぞれ所定高さL1だけ伸長させる。
本発明者の試算によれば、例えば図11(E)のように建築物1の6行4列の柱P24本を6つの切断グループR1〜R6に分けた場合に、図9(M)のように各切断グループRの柱Pの切断及びジャッキ10の伸長を10分程度で行ない、伸長ステップの6回の繰り返しと収縮ステップとを約70分で完了することができる。また、建築物1の解体作業階Fdの上方各階Fj(j>d)(図1ではジャッキ介装階Fvの上方各階Fj(j>v))を、収縮ステップ及び伸長ステップの5回の繰り返しにより、約350分(=70分×5回≒1日の作業時間)で解体作業階Fd(図1ではジャッキ介装階Fv)まで降下させることができる。従って、降下した各階Fjの解体作業(図10の解体ステップS008)に4日程度を要するとしても、5日程度(≒1週間)で建築物1の降下した各階Fjを解体することが可能である。すなわち、ステップS003において建築物1の全柱P1〜Pmを複数の切断グループR1〜Rnに分類しておけば、例えば地上20階の建築物1(図6参照)を20週程度で解体することが期待できる。
なお、図10のステップS010〜S011は、解体ステップS008で解体した降下階Fjの直上階F(j+1)の柱P1〜Pmの一部分が間引きされている場合に、その直上階F(j+1)を解体する前に、必要に応じて、その直上階F(j+1)の残された柱Pについて切断グループRを更新する処理を示す。ステップS010において、直上階F(j+1)の残された柱Pの切断グループRを変更する必要があるか否かを判断し、変更する必要があると判断した場合は、ステップS011においてジャッキ制御装置20の柱グループ化手段22により、直上階F(j+1)の残された全ての柱Pを新たな切断グループR1〜Rn´に分け直す。新たな切断グループR1〜Rn´に更新したうえでステップS012へ進み、その直上階F(j+1)を伸長ステップS012〜S013と収縮ステップS006との繰り返しにより降下させて解体する。図10の流れ図によれば、解体する建築物1の各階Fj毎に、ジャッキ制御装置20の柱グループ化手段22により切断グループRを更新することも可能である。
図1を参照して上述したように本発明では、荷重伝達構造体40及び荷重伝達梁45を介してジャッキ介装階Fvの上方に加わる水平荷重(せん断力)をジャッキ介装階Fvの下方へ逃がし、ジャッキ介装階Fvの柱に加わる水平荷重を抑制して解体作業中の建築物1の構造的な安定性を高めることができる。しかし、解体対象の建築物1が高層である(アスペクト比が大きい)場合は、地震・強風時等に水平力だけでなく柱を浮上がらせる力(引抜き力)が建築物1に発生することがある。図1のように建築物1の1階層に架け渡した荷重伝達梁45のみでは、建築物1に加わる水平荷重を逃がすことはできても引抜き力に十分抵抗することができず、建築物1が引抜き力により転倒する可能性がある。
すなわち、図15(A)に示すようにジャッキ10のみで支持された構造物1に荷重伝達構造体40及び荷重伝達梁45を設けた場合に、荷重伝達構造体40と荷重伝達梁45との荷重伝達部位が1階層のみであると、荷重伝達構造体40と荷重伝達梁45との結合が解除されているときに引抜き力に十分に抵抗することができず、柱Pが浮上がって解体作業中の建築物1が傾斜して転倒するおそれがある。これに対して同図(B)に示すように、解体作業中の建築物1の複数階層にそれぞれ荷重伝達梁45を設け、荷重伝達構造体40に異なる高さ部位で荷重伝達可能な構造としておけば、一部の柱Pに引抜き力が加わって建築物1が浮上がりかけたたときに、複数階層の荷重伝達によって建築物1の傾斜を抑えて転倒を防止することができる。
図14は、建築物1の中央区画T内に構築する荷重伝達構造体40をジャッキ介装階Fvの直上階F(v+1)を貫く高さとし、その直上階F(v+1)及びその上層階F(v+2)(図示例では2階F2及び3階F3)の区画周囲柱Pにそれぞれ荷重伝達梁45を架け渡し、複数階層(図示例では2階層)の荷重伝達梁45によって解体作業中の建築物1に引抜き力に対する抵抗性(安定性)を付与した実施例を示す。この実施例では、同図(B)に示すようにジャッキ10上方の柱P1〜Pmに結合した各階Fj(j>v)を複数階層の荷重伝達梁45と共に荷重伝達構造体40の外面に沿って徐々に降下させ、同図(C)に示すように降下した各階Fjの柱P以外の躯体(床3や壁4)を解体する際にその階Fjの荷重伝達梁45を取り外し、取り外した荷重伝達梁45を、その直上階F(j+1)に設けた他方の荷重伝達梁45の更に上層階F(j+2)(図示例では4階F4)の区画周囲柱Pに順次付け替える。
また、図2に示すようにジャッキ階層階Fvの直上階F(v+1)に解体作業階Fdを設けた場合も、同図のように解体作業階Fdの直上階F(d+1)の1階層にのみに荷重伝達梁45を架け渡すだけでは、建築物1に加わる引抜き力に十分抵抗することができず、建築物1が転倒する可能性がある。図15(C)に示すように、荷重伝達構造体40を解体作業階Fdの直上階F(d+1)を貫く高さとし、解体作業階Fdの直上階F(d+1)及びその上層階F(d+2)(図2の図示例では3階F3及び4階F4)の区画周囲柱Pに荷重伝達梁45をそれぞれ架け渡しておけば、解体作業中の建築物1に引抜き力に対する抵抗性(安定性)を付与することができる。この場合は、解体作業階Fdの上方各階Fjを複数階層の荷重伝達梁45と共に荷重伝達構造体40の外面に沿って徐々に降下させ、降下した各階Fjの解体時にその階Fjの荷重伝達梁45を取り外し、その直上階F(j+1)に設けた他方の荷重伝達梁45の更に上層階F(j+2)(例えば5階F5)の区画周囲柱Pに順次付け替える。
図14に示すように、解体作業中の建築物1の中央区画T内に荷重伝達構造体40を構築すると共に、その荷重伝達構造体40に水平荷重伝達可能な荷重伝達梁45を建築物1の複数階層に設けることにより、地震時・風負荷時等に建築物1に加わる水平荷重及び引抜き荷重に対する十分な抵抗力を付与することができ、解体作業中の建築物1を地震時・風負荷時にも十分に安定した状態に維持することができる。また、そのように建築物1の複数階層に荷重伝達梁45を設けた場合でも、解体作業及び荷重伝達梁45の付け替え作業の手間は1階層に荷重伝達梁45を設けた場合と同程度であり、実施例1において上述したジャッキ10の収縮ステップ及び伸縮ステップを繰り返すことにより、高層建築物1を短期間で解体することが可能である。
本発明による解体工法の一実施例の説明図である。 本発明による解体工法の他の実施例の説明図である。 本発明の解体工法で用いる荷重伝達構造体及び荷重伝達梁の説明図である。 図3の荷重伝達構造体と荷重伝達梁と間に配置するダンパーの一例の説明図である。 本発明の解体工法における水平力伝達作用を示す説明図である。 本発明の解体工法を多層建築物に適用した実施例の垂直断面図である。 図6の多層建築物の解体作業階における水平断面図である。 本発明の解体工法で用いるジャッキ及びその制御装置の説明図である。 本発明の解体工法におけるジャッキの伸長ステップ及び収縮ステップの繰り返しの説明図である。 本発明による解体工法の流れ図の一例である。 本発明の解体方法における柱の切断グループの説明図である。 本発明の解体工法における柱の切断グループ化方法の流れ図の一例である。 本発明の解体工法における柱の切断グループ化方法の流れ図の他の一例である。 本発明による解体工法の更に他の実施例の説明図である。 図14の解体工法における引抜き力抵抗作用を示す説明図である。
符号の説明
1…多層建築物 2…連絡通路
3…床梁又は床板 4…壁
5…作業架台 6…工事用エレベータ
7…小梁又は床 8…搬送装置
9…解体装置 10…ジャッキ
11…アンカープレート 11a…アンカーボルト
12…ラム(又はピストン)
14…上昇距離センサ 15…凹面座金
16…球面座金 17…調整部材(シュー)
18…圧力変換器
20…ジャッキ制御装置 21…記憶手段
22…柱グループ化手段 23…伸張ステップ手段
24…収縮ステップ手段 25…制御中継装置
26…油圧ポンプユニット 27…油圧中継装置
28…制御ケーブル 28a…光ファイバーケーブル
28b…センサケーブル 28c…油圧制御ケーブル
29a…油圧伝送ケーブル 29b…油圧供給ケーブル
30…柱切断装置 31…柱刳り貫き装置
32…壁柱 33…柱ガイド
34…拘束器 34a…押しボルト式拘束器
35b…楔式拘束器
40…荷重伝達構造体(コア壁) 41…耐力壁
42…中空部 43…鉛直溝
45…荷重伝達梁 46…突出部
47…結合器 48…ブラケット
49…取付板 49a…取付ボルト
50…ダンパー
B…基礎部 d…刳り貫き隙間
F…階 Fv…ジャッキ介装階(特定下層階)
Fd…解体作業階 G…地面
L…切断高さ P…柱
Q…隣接柱群 R…切断グループ
S…間隙 s…間隙
T…区画

Claims (19)

  1. 解体する多層建築物の特定下層階の全柱にそれぞれジャッキを介装すると共に柱で囲まれた区画内にジャッキ介装階の下層階又は基礎部からジャッキ介装階を貫く高さの荷重伝達構造体を設け、前記ジャッキ介装階の直上階の区画周囲柱に荷重伝達構造体の外面に沿って荷重伝達梁を取り外し可能に架け渡し、前記全柱のジャッキを同時に縮める収縮ステップと順次にジャッキ直上部を吊るし切りして伸ばす伸長ステップとを繰り返すことによりジャッキ上方の柱に結合した各階を荷重伝達梁と共に荷重伝達構造体の外面に沿って徐々に降下させ、前記降下した各階の柱以外の躯体をジャッキ介装階で順次解体すると共に荷重伝達梁をその階から取り外してその直上階の区画周囲柱に順次付け替えてなる多層建築物の解体工法。
  2. 請求項1の解体工法において、前記荷重伝達構造体の外面に鉛直方向の溝を設けると共に前記荷重伝達梁にその溝内へ間隙を介して嵌合する突出部を設けてなる多層建築物の解体工法。
  3. 請求項1又は2の解体工法において、前記荷重伝達構造体と荷重伝達梁との間にダンパーを介在させてなる多層建築物の解体工法。
  4. 請求項1から3の何れかの解体工法において、前記荷重伝達構造体をジャッキ介装階の直上階を貫く高さとし、前記荷重伝達梁をジャッキ介装階の直上階及びその上層階の区画周囲柱にそれぞれ架け渡し、前記ジャッキ上方の各階を複数階層の荷重伝達梁と共に荷重伝達構造体の外面に沿って徐々に降下させ、前記降下した各階の解体時にその階の荷重伝達梁を取り外して他方の荷重伝達梁の上層階の区画周囲柱に順次付け替えてなる多層建築物の解体工法。
  5. 請求項1から3の何れかの解体工法において、前記ジャッキ介装階の直上階に床梁又は床板が建築物の全柱と切り離された解体作業階を設け、前記荷重伝達構造体をジャッキ介装階の下層階又は基礎部から解体作業階を貫く高さとし且つ前記荷重伝達梁を解体作業階の直上階の区画周囲柱に架け渡し、前記解体作業階上方の各階を荷重伝達梁と共に荷重伝達構造体の外面に沿って徐々に降下させ、前記降下した各階をジャッキ介装階に代えて解体作業階で順次解体してなる多層建築物の解体工法。
  6. 請求項5の解体工法において、前記解体作業階の床梁又は床板と全柱との隙間にそれぞれ、解除可能に床梁又は床板と柱とを連結する拘束器を設けてなる多層建築物の解体工法。
  7. 請求項5又は6の解体工法において、前記荷重伝達構造体を解体作業階の直上階を貫く高さとし、前記荷重伝達梁を解体作業階の直上階及びその上層階の区画周囲柱にそれぞれ架け渡し、前記解体作業階上方の各階を複数階層の荷重伝達梁と共に荷重伝達構造体の外面に沿って徐々に降下させ、前記降下した各階の解体時にその階の荷重伝達梁を取り外して他方の荷重伝達梁の上層階の区画周囲柱に順次付け替えてなる多層建築物の解体工法。
  8. 請求項1から7の何れかの解体工法において、前記建築物の全柱を柱切断時に床梁又は床板経由で荷重伝達される隣接柱群が相互に重ならない柱を集めた複数の切断グループに分け、前記伸長ステップ時に、前記切断グループ毎にグループ内の各柱のジャッキ直上部をそれぞれ同時に所定高さ吊るし切りしてジャッキを伸ばすサイクルを反復してなる多層建築物の解体工法。
  9. 請求項8の解体工法において、前記ジャッキ介装時に、前記切断グループ毎にグループ内の各柱をそれぞれ同時に初期高さ切断してジャッキを介装するサイクルを反復してなる多層建築物の解体工法。
  10. 請求項8又は9の解体工法において、前記建築物の全柱をそれぞれ格子面上の交差する二方向軸の各交点に配置されたものとし、前記各交点の柱毎に二軸方向の隣接4交点の柱群を想定し且つその隣接柱群が相互に重ならない複数の柱を集めて切断グループとしてなる多層建築物の解体工法。
  11. 請求項10の解体工法において、前記格子面上の桂馬飛びの位置関係の交点毎に二軸方向の隣接4交点を割り付けることにより格子面上の全交点を5交点単位に区分けし且つ区分けした各単位からそれぞれ対応する位置の交点の柱を集めて切断グループとしてなる多層建築物の解体工法。
  12. 請求項8から11の何れかの解体工法において、前記複数の切断グループにそれぞれ同数の柱を含めてなる多層建築物の解体工法。
  13. 解体する多層建築物の特定下層の全柱にそれぞれジャッキを介装して設けたジャッキ介装階、前記建築物の柱で囲まれた区画内のジャッキ介装階の下層階又は基礎部に設けたジャッキ介装階を貫く高さの荷重伝達構造体、及び前記ジャッキ介装階の直上階の区画周囲柱に荷重伝達構造体の外面に沿って取り外し可能に架け渡した荷重伝達梁を備え、前記ジャッキ介装階で全柱のジャッキ収縮とジャッキ直上部の吊るし切り及びジャッキ伸長とを繰り返すときにジャッキ上方の柱に結合した各階を荷重伝達梁と共に荷重伝達構造体の外面に沿って徐々に降下させ、前記降下した各階の柱以外の躯体をジャッキ介装階で順次解体するときに荷重伝達梁をその階から取り外してその直上階の区画周囲柱に順次付け替えてなる多層建築物の解体用荷重伝達構造。
  14. 請求項13の解体用荷重伝達構造において、前記荷重伝達構造体の外面に鉛直方向の溝を設けると共に前記荷重伝達梁にその溝内へ間隙を介して嵌合する突出部を設けてなる多層建築物の解体用荷重伝達構造。
  15. 請求項13又は14の解体用荷重伝達構造において、前記荷重伝達構造体と荷重伝達梁との間にダンパーを介在させてなる多層建築物の解体用荷重伝達構造。
  16. 請求項13から15の何れかの解体用荷重伝達構造において、前記荷重伝達構造体をジャッキ介装階の直上階を貫く高さとし、前記荷重伝達梁をジャッキ介装階の直上階及びその上層階の区画周囲柱にそれぞれ架け渡し、前記ジャッキ上方の各階を複数階層の荷重伝達梁と共に荷重伝達構造体の外面に沿って徐々に降下させ、前記降下した各階の解体時にその階の荷重伝達梁を取り外して他方の荷重伝達梁の上層階の区画周囲柱に順次付け替えてなる多層建築物の解体用荷重伝達構造。
  17. 請求項13から15の何れかの解体用荷重伝達構造において、前記ジャッキ介装階の直上階に床梁又は床板が建築物の全柱と切り離された解体作業階を設け、前記荷重伝達構造体をジャッキ介装階の下層階又は基礎部から解体作業階を貫く高さとし且つ前記荷重伝達梁を解体作業階の直上階の区画周囲柱に架け渡し、前記解体作業階上方の各階を荷重伝達梁と共に荷重伝達構造体の外面に沿って徐々に降下させ、前記降下した各階をジャッキ介装階に代えて解体作業階で順次解体してなる多層建築物の解体用荷重伝達構造。
  18. 請求項17の解体用荷重伝達構造において、前記解体作業階の床梁又は床板と全柱との隙間にそれぞれ、解除可能に床梁又は床板と柱とを連結する拘束器を設けてなる多層建築物の解体用荷重伝達構造。
  19. 請求項17又は18の解体用荷重伝達構造において、前記荷重伝達構造体を解体作業階の直上階を貫く高さとし、前記荷重伝達梁を解体作業階の直上階及びその上層階の区画周囲柱にそれぞれ架け渡し、前記解体作業階上方の各階を複数階層の荷重伝達梁と共に荷重伝達構造体の外面に沿って徐々に降下させ、前記降下した各階の解体時にその階の荷重伝達梁を取り外して他方の荷重伝達梁の上層階の区画周囲柱に順次付け替えてなる多層建築物の解体用荷重伝達構造。
JP2008309617A 2007-12-04 2008-12-04 多層建築物の解体工法及び解体用荷重伝達構造 Active JP5177883B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008309617A JP5177883B2 (ja) 2007-12-04 2008-12-04 多層建築物の解体工法及び解体用荷重伝達構造

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007314038 2007-12-04
JP2007314038 2007-12-04
JP2008309617A JP5177883B2 (ja) 2007-12-04 2008-12-04 多層建築物の解体工法及び解体用荷重伝達構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009156022A true JP2009156022A (ja) 2009-07-16
JP5177883B2 JP5177883B2 (ja) 2013-04-10

Family

ID=40960318

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008309617A Active JP5177883B2 (ja) 2007-12-04 2008-12-04 多層建築物の解体工法及び解体用荷重伝達構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5177883B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012046966A (ja) * 2010-08-27 2012-03-08 Kajima Corp 荷重伝達構造、解体方法
CN109838114A (zh) * 2019-04-01 2019-06-04 吉林建筑大学 钢筋混凝土结构逆向拆除临时支撑转换装置及其操作方法
CN114737790A (zh) * 2022-05-07 2022-07-12 中国十九冶集团有限公司 高层框架结构逆向拆除方法
CN115182609A (zh) * 2022-06-23 2022-10-14 上海建工四建集团有限公司 剪力墙结构高层建筑逆向拆除水平传力系统及其使用方法
CN115434538A (zh) * 2022-10-20 2022-12-06 防灾科技学院 一种底商多层房屋震损复位加固方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08270232A (ja) * 1995-03-30 1996-10-15 Taihei Dengiyou Kk 鉄骨建屋の解体工法
JP2001329700A (ja) * 2000-05-23 2001-11-30 Dai Nippon Construction ジャッキシステムによる建物解体時に於ける柱仮接合方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08270232A (ja) * 1995-03-30 1996-10-15 Taihei Dengiyou Kk 鉄骨建屋の解体工法
JP2001329700A (ja) * 2000-05-23 2001-11-30 Dai Nippon Construction ジャッキシステムによる建物解体時に於ける柱仮接合方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012046966A (ja) * 2010-08-27 2012-03-08 Kajima Corp 荷重伝達構造、解体方法
CN109838114A (zh) * 2019-04-01 2019-06-04 吉林建筑大学 钢筋混凝土结构逆向拆除临时支撑转换装置及其操作方法
CN109838114B (zh) * 2019-04-01 2024-01-26 吉林建筑大学 钢筋混凝土结构逆向拆除临时支撑转换装置及其操作方法
CN114737790A (zh) * 2022-05-07 2022-07-12 中国十九冶集团有限公司 高层框架结构逆向拆除方法
CN114737790B (zh) * 2022-05-07 2023-02-28 中国十九冶集团有限公司 高层框架结构逆向拆除方法
CN115182609A (zh) * 2022-06-23 2022-10-14 上海建工四建集团有限公司 剪力墙结构高层建筑逆向拆除水平传力系统及其使用方法
CN115182609B (zh) * 2022-06-23 2023-06-23 上海建工四建集团有限公司 剪力墙结构高层建筑逆向拆除水平传力系统及其使用方法
CN115434538A (zh) * 2022-10-20 2022-12-06 防灾科技学院 一种底商多层房屋震损复位加固方法
CN115434538B (zh) * 2022-10-20 2024-04-26 防灾科技学院 一种底商多层房屋震损复位加固方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5177883B2 (ja) 2013-04-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5177883B2 (ja) 多層建築物の解体工法及び解体用荷重伝達構造
JP2007016432A (ja) 解体養生ユニットおよびそれを用いた超高層建物の解体工法
KR101922324B1 (ko) 천정 리프트 업 시공 방법
JP5627084B2 (ja) 多層建築物のブロック式解体工法
Siddiqi et al. Comparison of different bracing systems for tall buildings
JP5187822B2 (ja) 多層建築物の解体工法及びシステム
JP5382926B2 (ja) 多層建築物のジャッキダウン式解体工法及びシステム
JP2012184588A (ja) 多層建築物の昇降方法及びシステム
JP4986239B2 (ja) 多層建築物の解体工法
JP5528311B2 (ja) 多層建築物の解体工法
JP2010255374A (ja) 超高層建物の解体方法
JP5985263B2 (ja) 構造物の解体工法
JP5382925B2 (ja) 隣接多層建築物の解体工法及び解体用荷重伝達構造
JP6879613B1 (ja) 建物解体時の養生システム及び解体すべき建物の解体方法
JP2017031676A (ja) 既存建屋の耐震補強工法及び補強装置
JP2011241584A (ja) 建物の多段解体工法
JP5952098B2 (ja) 構造物の解体工法
JP2012127131A (ja) 構造物解体方法および構造物解体システム
JP6418825B2 (ja) ジャッキ反力支持部材とこの反力支持部材を用いた建物解体方法
JP5992218B2 (ja) 構造物の解体工法
JP5985264B2 (ja) 構造物の解体工法
JP5035850B2 (ja) 多層建築物の水平支持方法及び支持構造
JP6132349B2 (ja) 構造物改築方法
JP5498321B2 (ja) 荷重伝達構造、解体方法
JP5502657B2 (ja) 解体方法、荷重伝達構造

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110418

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120927

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121001

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121120

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130107

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130107

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5177883

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250