JP5498321B2 - 荷重伝達構造、解体方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多層構造物の解体に用いる荷重伝達構造および多層構造物の解体方法に関する。
従来、ビル等の多層構造物を解体する際に、構造物の下層の各柱にジャッキを介装し、ジャッキの伸縮と、周囲の柱で上部架構を支えつつ所定の柱の切断を行う、いわゆる吊るし切りを繰り返すことにより、上部架構を徐々に降下させ、下層から順次躯体を解体する方法が用いられてきた。
構造物の下層の各柱に油圧ジャッキ等のジャッキを介装するためには、下層の柱を全て切断する必要がある。そのため、解体作業中の地震対策として、建物内部に建物基礎部分と一体となった鉄筋コンクリート造の荷重伝達構造体(壁体構造)が構築され、上部架構の柱に荷重伝達梁が取り付けられてきた。これにより、解体作業中の極めて不安定な状態において地震が発生しても、上部架構に生じる水平力を荷重伝達梁を介して荷重伝達構造体で受け止めて基礎部に伝達させ、建物全体の倒壊を防止することが可能であった(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
特開2009−156022号公報 特開2009−138378号公報 特開2009−138377号公報
しかしながら、従来の方法では、地震により上部架構に発生した水平力の全てを荷重伝達構造体(壁体構造)で伝達する必要があり、壁体構造が過大となり、設置数も増える傾向にあるという問題点があった。
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とすることは、荷重伝達構造体の規模を縮小し、設置数を減らすことができる荷重伝達構造等を提供することである。
前述した目的を達成するための第1の発明は、多層構造物の解体時に用いられる荷重伝達構造であって、前記多層構造物の柱にジャッキを介装したジャッキ設置階以下から前記ジャッキ設置階より上方に位置する荷重伝達階を貫くように前記多層構造物の構造躯体に囲まれた区間内に配置され、前記荷重伝達階より下方に制震装置が組み込まれた荷重伝達構造体と、前記多層構造物の荷重伝達階に着脱可能に接続されて前記荷重伝達構造体に沿って配置され、前記多層構造物の解体に伴って前記荷重伝達構造体に沿って下方に移動する荷重伝達部材と、を含むことを特徴とする荷重伝達構造である。
例えば、前記荷重伝達部材は、平面が略ロ字状であり、前記荷重伝達構造体を囲むように配置され、前記平面の辺の中間部で、前記荷重伝達階の梁部と着脱可能に接続される。
また、前記荷重伝達部材と前記荷重伝達構造体との接触面に、摺動材が設けられることも望ましい。
前述した目的を達成するための第2の発明は、多層構造物のジャッキ設置階の柱にジャッキを介装し、前記多層構造物の構造躯体に囲まれた区間内に、前記ジャッキ設置階より上方に位置する荷重伝達階より下方に制震装置が組み込まれた荷重伝達構造体を、前記ジャッキ設置階以下から前記荷重伝達階を貫くように設置し、前記荷重伝達構造体に沿って、下方に移動可能な荷重伝達部材を配置し、前記荷重伝達部材を前記荷重伝達階に接続し、前記ジャッキの伸縮と前記柱の切断により、前記荷重伝達階を下降させる工程(a)と、前記荷重伝達部材を前記荷重伝達階から取り外し、前記荷重伝達階より上方の、新たに荷重伝達階となった階に荷重伝達部材を接続する工程(b)と、を繰り返して前記多層構造物の躯体を下層階から順次解体する多層構造物の解体方法である。
例えば、前記荷重伝達部材は、平面が略ロ字状であり、前記荷重伝達構造体を囲むように配置され、前記平面の辺の中間部で、前記荷重伝達階の梁部と着脱可能に接続される。
また、前記荷重伝達部材と前記荷重伝達構造体との接触面に、摺動材が設けられることも望ましい。
本発明では、多層構造物の柱・梁・壁等の構造躯体に囲まれた区間内に、荷重伝達階より下方に制震装置が組み込まれた荷重伝達構造体を設置する。これにより、地震による上部架構の揺れを減衰させ、揺れの成長を抑制して、地震発生時に解体途中の構造物に生じる地震力を低減し、耐震性能を向上させることができる。また、制震装置により、上部架構から基礎部に伝達する力を減少させることができるので、荷重伝達構造体の規模を縮小したり強度を低下させたり、設置数を減らすことができ、コストの削減につながる。
荷重伝達部材と荷重伝達構造体との接触面に摺動材を設けることにより、荷重伝達部材が荷重伝達構造体に沿って上下方向に移動する際の滑りが良くなる。摺動材は、荷重伝達部材側と荷重伝達構造体側のいずれか一方に設けても良いし、両方に設けてもよい。
荷重伝達部材や荷重伝達構造の構成は様々に定めることができ、支持するべき水平力や、施工の容易さなどにより適宜定めることができる。例えば、荷重伝達部材の平面を略ロ字状とし、荷重伝達構造体を囲むように配置し、平面の辺の中間部で、荷重伝達階の梁部と着脱可能に接続する場合、荷重伝達部材の各辺が固定端とならないので、荷重伝達部材がその下降時に荷重伝達構造体と接触した場合のねじれが低減される。
本発明によれば、荷重伝達構造体の規模を縮小し、設置数を減らすことができる荷重伝達構造等を提供できる。
解体予定の多層構造物1の立面図 解体予定の多層構造物1の平面図 荷重伝達構造体5、荷重伝達梁23、仮フレーム49の垂直方向の断面図 荷重伝達構造体5、梁29に接続された荷重伝達梁23の水平方向の断面図 荷重伝達構造体5および梁29に接続された仮フレーム49の水平方向の断面図 荷重伝達梁23(仮フレーム49)と梁29との接続部付近の詳細図 多層構造物1の解体方法における各工程を示す図 荷重伝達構造体5b、荷重伝達部材23bの例を示す図 荷重伝達構造体5c、荷重伝達梁23cの例を示す図
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は、解体予定の多層構造物1の立面図、図2は、解体予定の多層構造物1の平面図である。図2は、図1に示す矢印A−Aによる断面図である。
図1、図2に示すように、多層構造物1は、ジャッキ設置階2の上層が解体作業階4である。解体作業階4の床部と柱27との間は切断する。解体作業階4を下方から支えるための支持体を別に設けてもよい。また、解体作業階4の上層2層が荷重伝達階6(荷重伝達階上階6a、荷重伝達階下階6b)である。さらに、荷重伝達階6の上層が荷重伝達一時仮受階10である。多層構造物1は、ジャッキ設置階2の全ての柱27にジャッキ3が介装される。ジャッキ3は、例えば油圧ジャッキである。多層構造物1は、柱27、梁、壁等の構造躯体に囲まれた区間内に、ジャッキ設置階2以下から荷重伝達一時仮受階10に達するように、荷重伝達構造体5が設置される。ジャッキ3の上部は凹面座金や球面座金によるすべり支承、またはピンが設けられており、さらに柱27のずれ止めが施工されている。また、ジャッキ設置面には、ジャッキ設置に先行して設置面の不陸調整などの処理が行われ、ジャッキ3は床部にアンカーボルトなどで固定される。
荷重伝達構造体5は、解体作業階4と荷重伝達階6との間に位置する切り替え部8より下方がRC造(鉄筋コンクリート造)部分7であり、切り替え部8より上方がS造(鉄骨造)部分11である壁体構造を有する。切り替え部8のS造部分11には、制震装置9が組み込まれる。制震装置9は、例えばアンボンドブレースであるが、これに限らず、オイルダンパやハニカムダンパ等を用いてもよい。
図3は、荷重伝達構造体5、荷重伝達梁23、仮フレーム49の垂直方向の断面図を示す。図4は、荷重伝達構造体5、梁29に接続された荷重伝達梁23の水平方向の断面図を示す。図4は、図1に示す矢印B−Bによる断面図である。
図3、図4に示すように、荷重伝達構造体5のS造部分11は、平面がロの字状に組まれた複数段の水平部材15を、垂直部材13で連結した形状である。垂直部材13は、ロの字状の水平部材15の平面の四隅に設けられる。垂直部材13と水平部材15とで形成されたフレーム部分には、斜材17が設けられる。水平部材15の上面には、必要に応じて作業床19が設けられる。荷重伝達構造体5のS造部分11は、アンカ部材21により、RC造部分7の上面に固定される。
荷重伝達梁23は、平面がロの字状の荷重伝達部材であり、荷重伝達構造体5の周囲に配置される。荷重伝達梁23は、例えば鉄骨造とする。荷重伝達梁23は、荷重伝達構造体5に沿って上下方向に移動可能である。荷重伝達梁23の移動を滑らかにするため、荷重伝達梁23と荷重伝達構造体5の隅部付近の接触面には、摺動材25が設けられる。摺動材25は、荷重伝達梁23の内側面、荷重伝達構造体5の外側面のいずれか一方に設けてもよいし、両方に設けてもよい。摺動材25は、テフロン(登録商標)やシュー等である。
荷重伝達梁23は、4辺の中間部で、それぞれ梁側ブラケット33を有する。梁側ブラケット33は、溶接等により荷重伝達梁23に固定される。多層構造物1は、各階のスラブ床の梁29の中間部に、それぞれ構造物側ブラケット35が設けられる。構造物側ブラケット35は、溶接等により梁29に固定される。図4に示すように、荷重伝達梁23は、必要に応じて、荷重伝達階上階6a(図1)の梁29に接続される。
図5は、荷重伝達構造体5および梁29に接続された仮フレーム49の水平方向の断面図を示す。図5は、図1に示す矢印G−Gによる断面図である。仮フレーム49は、荷重伝達梁23と同様の構成を有し、荷重伝達構造体5に接続される。仮フレーム49の平面は荷重伝達梁23と同様のロの字状の水平部材であり、荷重伝達構造体5の上端付近の周囲で荷重伝達構造体5に接続される。仮フレーム49は、例えば鉄骨造とする。なお、仮フレーム49は、荷重伝達構造体5の上部からワイヤで吊るなどして、上下方向の移動をある程度許容するような機構により荷重伝達構造体5と接続されていてもよい。
仮フレーム49は、荷重伝達梁23と同様に、4辺の中間部で、それぞれフレーム側ブラケット45を有する。フレーム側ブラケット45は、溶接等により仮フレーム49に固定される。仮フレーム49は、必要に応じて、荷重伝達一時仮受階10(図1)の梁29に接続される。
図6は、荷重伝達梁23(仮フレーム49)と梁29との接続部付近の詳細図である。図6の(a)図は、図4に示す範囲C付近、図5に示す範囲H付近の拡大図である。図6の(b)図は、図6の(a)図に示す矢印D−Dによる断面図である。
図6に示すように、荷重伝達梁23に固定された梁側ブラケット33と、梁29に固定された構造物側ブラケット35とは、梁取付治具である梁接続プレート37、ボルトおよびナット39を用いて接続される。
梁側ブラケット33と構造物側ブラケット35とを接続する際には、梁側ブラケット33と構造物側ブラケット35とが突き合わされる。そして、突き合わせ部分の上下面に、梁接続プレート37が設置される。梁接続プレート37は、梁側ブラケット33のボルト穴43と梁接続プレート37のボルト穴41、構造物側ブラケット35のボルト穴43と梁接続プレート37のボルト穴41がそれぞれ重なるように設置される。梁側ブラケット33と梁接続プレート37、構造物側ブラケット35と梁接続プレート37は、ボルト穴41、ボルト穴43を用いてボルトおよびナット39で締め込まれる。
梁接続プレート37のボルト穴41、梁側ブラケット33のボルト穴43、構造物側ブラケット35のボルト穴43は、必要に応じて、平面方向に延びた長穴とできる。長軸方向の異なる長穴を組み合わせて用いてもよい。長穴を用いることにより、荷重伝達梁23の水平方向の移動、調整をある程度許容し多層構造物1の平面の誤差を吸収しつつ、荷重伝達梁23と荷重伝達階上階6aの梁29とを接続できる。
同様に、仮フレーム49に固定されたフレーム側ブラケット45と、梁29に固定された構造物側ブラケット35とが、フレーム取付治具であるフレーム接続プレート47、ボルトおよびナット39を用いて接続される。
フレーム側ブラケット45と構造物側ブラケット35とを接続する際も、フレーム側ブラケット45と構造物側ブラケット35とが突き合わされる。そして、突き合わせ部分の上下面に、フレーム接続プレート47が設置される。フレーム接続プレート47は、フレーム側ブラケット45のボルト穴43とフレーム接続プレート47のボルト穴41、構造物側ブラケット35のボルト穴43とフレーム接続プレート47のボルト穴41がそれぞれ重なるように設置される。フレーム側ブラケット45とフレーム接続プレート47、構造物側ブラケット35とフレーム接続プレート47は、ボルト穴41、ボルト穴43を用いてボルトおよびナット39で締め込まれる。
フレーム接続プレート47のボルト穴41、フレーム側ブラケット45のボルト穴43も、必要に応じて、平面方向に延びる長穴とでき、仮フレーム49の水平方向の移動、調整をある程度許容し多層構造物1の平面の誤差を吸収しつつ、仮フレーム49と荷重伝達一時仮受階10の梁29とを接続できる。
次に、図1に示す多層構造物1の解体方法について説明する。図7は、多層構造物1の解体方法における各工程を示す図である。図7の(a)図は、柱27をジャッキダウンする工程を示す図である。
図7の(a)図に示す工程では、荷重伝達梁23を荷重伝達階上階6aに接続し、図1等に示す柱27を順次切断してジャッキダウンする。
ジャッキダウンは、例えば、収縮した状態のジャッキ3により支持されている所定の柱27を、周囲の柱27により上部架構が支持されている状態で、所定長(ジャッキ3の伸長/収縮量等に応じて定められる)吊し切りにより切断し除去した後、当該所定長だけジャッキ3を伸長させて当該所定の柱27をジャッキ3で再度支持する。これを各柱について行い、全ての柱27が伸長したジャッキにより支持された状態となった後、図7(b)に示すように、各柱27のジャッキ3を同時に収縮させて、多層構造物1を下降させる。ジャッキ3の伸縮はジャッキ制御装置(不図示)等により制御される。なお、上記の吊るし切り時には、切断する所定の柱27の周囲の柱27は伸長もしくは収縮したジャッキ3により支持されている状態となっている。この条件を満たす限りにおいて、柱27の吊るし切りは複数本をまとめて行ってもよい。
このように、ジャッキ3の伸縮と柱27の吊るし切りを繰り返して、解体作業階4より上方の上部架構を矢印Eに示す方向に徐々に下降させる。解体作業階4に近づいた階の床等は適宜解体を行う。解体作業に用いる解体装置等は、解体作業階4と同じ高さに設置した架台(不図示)等を通じて搬入させることができる。また、解体作業階4あるいはその上層階では、適宜アスベスト、内装等の撤去が行われる。
図7の(c)図は、仮フレーム49を新たな荷重伝達一時仮受階10に接続し、荷重伝達梁23を荷重伝達階下階6bから取り外す工程を示す図である。上記の手順により、多層構造物1が1階層分下降し、もと荷重伝達階上階6aの位置にあった梁29−(n+3)が荷重伝達階下階6bの位置に、もと荷重伝達一時仮受階10の位置にあった梁29−(n+4)が荷重伝達階上階6aの位置に、荷重伝達一時仮受階10の上階の位置にあった梁29−(n+5)が荷重伝達一時仮受階10の位置に到達する。
この時点で、仮フレーム49のフレーム側ブラケット45と梁29−(n+5)の構造物側ブラケット35とを接続することにより、仮フレーム49を新たな荷重伝達一時仮受階10に接続する。また、荷重伝達梁23の梁側ブラケット33と梁29−(n+3)の構造物側ブラケット35との接続を解除することにより、荷重伝達梁23を、荷重伝達階下階6bから取り外す。
図7の(d)図は、荷重伝達梁23を上方に移動させる工程を示す図である。図7の(d)図に示す工程では、例えば仮フレーム49に取り付けたチェーンブロック等の引き上げ部材(不図示)で仮フレーム49から荷重伝達梁23を荷重伝達構造体5に沿って矢印Fに示す方向に引き上げ、新たな荷重伝達階上階6aまで徐々に移動させる。
そして、荷重伝達梁23を、新たな荷重伝達階上階6aに再接続して荷重伝達梁23の盛替えを行い、仮フレーム49を新たな荷重伝達一時仮受階10から取り外す。その後、図7に示した工程を繰り返しつつ、躯体を下層階から順次解体することにより、多層構造物1を解体する。解体作業等、多層構造物1の下降時以外は、柱27と床部との隙間には拘束器(不図示)など設置し、これを一体化するようにしておく。また、荷重伝達構造体5と荷重伝達梁23の隙間に楔を打ち込むなどしてこれらを一体化してもよい。
本実施形態では、制震装置9が組み込まれた荷重伝達構造体5を用いることにより、地震による上部架構の揺れを減衰させ、揺れの成長を抑制して、地震発生時に解体途中の多層構造物1に生じる地震力を低減し、耐震性能を向上させることができる。また、制震装置9により、上部架構から基礎部に伝達する力を減少させることができるので、従来の方法と比較して、荷重伝達構造体5の規模を縮小したり、強度を低下させたり、設置数を減らすことができ、コストの削減につながる。
また、従来は、柱間に荷重伝達梁を両端固定していたため、下降中に荷重伝達構造体5と接触した荷重伝達梁23が柱を結ぶ軸を中心としてねじれ、反る可能性があったが、本実施形態では、ロの字状の荷重伝達梁23の辺の中央付近を梁29に固定するため、荷重伝達梁23の両端が自由となり、ねじれを低減することができる。
また、本実施形態では、荷重伝達構造体5の上端付近に連結した仮フレーム49を荷重伝達一時仮受階10に接続して仮固定した状態で、荷重伝達梁23を荷重伝達構造体5に沿って上方に移動させ、新たに荷重伝達階上階6aとなった層に再接続する。仮フレーム49で荷重伝達構造体5の多層構造物1に対する所定の位置精度を維持することができ、荷重伝達梁23を解体・組立することなく、一体型の荷重伝達梁23を引き上げて繰り返し使用するので、仮フレーム49や荷重伝達梁23、荷重伝達構造体5を多層構造物1に対し一度精度よく組んでしまえばこれを最後まで維持でき、荷重伝達梁23の盛替えも精度よく簡単にできる。また、荷重伝達梁23の盛替え時にも、上部架構に生じた水平力を仮フレーム49を介して常に荷重伝達構造体5に伝達できる。
なお、本実施形態では、荷重伝達構造体5の上端に仮フレーム49を設けたが、荷重伝達構造体5の上端に仮フレーム49を設けない場合もある。仮フレーム49を設けない場合、荷重伝達構造体5の上端は荷重伝達一時仮受階10の床に達する必要はなく、荷重伝達階上階6aの床より上の位置であればよい。
仮フレーム49を設けない場合、多層構造物1を解体するには、例えば、図7の(a)図に示す工程で、荷重伝達梁23の梁側ブラケット33と荷重伝達階上階6aの梁29−(n+3)の構造物側ブラケット35とを接続する。そして、荷重伝達梁23を荷重伝達階上階6aに接続した状態で、上記と同様にジャッキ3を伸縮しつつ柱27を順次切断し、解体作業階4より上方の上部架構を矢印Eに示す方向に徐々に下降させる。
そして、図7の(c)図に示す工程で、梁29−(n+3)が荷重伝達階下階6bの位置に、梁29−(n+4)が荷重伝達階上階6aの位置に到達すると、荷重伝達梁23の梁側ブラケット33と梁29−(n+3)の構造物側ブラケット35との接続を解除して荷重伝達梁23を解体し、荷重伝達梁23を梁29−(n+4)に付け替え、荷重伝達梁23の盛替えを行う。
仮フレーム49を設けない場合、上述した各工程を繰り返し、躯体を下層階から順次解体することにより、多層構造物1を解体することになる。
本実施形態では、荷重伝達構造体5の下端の位置を多層構造物1の1階床部分としたが、荷重伝達構造体5の下端の位置は、ジャッキ設置階2以下であればよく、多層構造物1の地中階部分や基礎部分とする場合もある。また、ジャッキ設置階2を多層構造物1の2階部分としたが、これに限ることもない。
なお、解体作業を行う解体作業階4をジャッキ設置階2とすることもできる。但し、この場合同階層で行う作業が増加し、作業が煩雑になるなどの欠点がある。
また、荷重伝達構造体5は上記説明した荷重伝達構造体5の壁体構造を単独で用いるものに限らず、これを2つ組み合わせて用いるものであってもよい。例えば当該壁体構造を2つ並べて設置し、2つの壁体構造の周囲あるいは2つの壁体構造の間に荷重伝達梁5を配置し、上記と同様の手順で解体を行い、同様の効果を奏することができる。
また、荷重伝達構造体1の材質、構造等も制震装置9を荷重伝達階6の下方に設置する限りにおいて上記したものに限ることはなく、水平力負担等の目的に応じて定めることができる。但し、上記のように解体作業階4と荷重伝達階6の間に制震装置9を設けることは効率的な水平力軽減の目的から好ましい。
また、荷重伝達構造体や荷重伝達梁の平面構成もこれに限ることはない。荷重伝達構造体および荷重伝達梁の別の例を示すものが図8、図9である。
図8は、荷重伝達構造体および荷重伝達梁の別の例である荷重伝達構造体5b、荷重伝達部材23bを示す図である。
荷重伝達部材23bは、ロの字状の平面を有する荷重伝達構造体5bの四隅と対応するように、多層構造物1の各階の四隅に配置され、多層構造物1の解体とともに荷重伝達構造体5bに沿って下降する。荷重伝達部材23bは、各階の四隅に溶接等で取り付けられたブラケット35bに、例えば図6と同様のボルトおよびナット、ボルト穴(不図示)の構成を用いてボルト接続される。前述したものと同様、この際ボルト穴を平面方向に長い長穴とし、多層構造物1の平面方向の誤差を吸収させることもできる。そして、荷重伝達構造体5bの四隅は、図8に示すように、荷重伝達部材23bの荷重伝達構造体5bに向かう面と平行な面33bを有している。
かかる構成により、多層構造物1の水平荷重を荷重伝達構造体5bに、荷重伝達部材23bを介して負担させることもできる。上記の解体方法において、荷重伝達部材23bの盛り替え時には、荷重伝達構造体5bの仮フレーム(例えば図5に示すものと同様の構成とすることができる)で多層構造物1と荷重伝達構造体5bを接続しつつ、一旦荷重伝達部材23bをブラケット35bから取り外して解体し、荷重伝達階上階の床梁に再度取り付けることができる。あるいはブラケット35bから取り外し、仮フレームから引き上げるようにしてもよい。なお、荷重伝達部材23bと荷重伝達構造体5bの隅部で対向する面には、テフロン(登録商標)、シュー等の摺動材を設けてもよい。摺動材は、荷重伝達部材側、荷重伝達構造体側のいずれか一方に設けてもよいし、両方に設けてもよい。なお、仮フレームについても、荷重伝達構造体5bの四隅で多層構造物1と着脱可能に接続するものであってもよい。
図9は、荷重伝達構造体および荷重伝達梁の別の例である荷重伝達構造体5c、荷重伝達梁23cの例を示す図である。
荷重伝達梁23cは、平面が十字状の部材である。荷重伝達構造体5cは、荷重伝達構造体5とほぼ同様の構成であるが、S造部分のロの字状平面の各辺の中央付近に、所定の位置、長さの鉛直方向のスリット51が設けられる。荷重伝達梁23cは、荷重伝達構造体5cのスリット51を通り荷重伝達構造体5cを平面方向に貫通するようにして配置される。荷重伝達梁23cは、荷重伝達構造体5cのスリット51に沿って、多層構造物1の解体とともに下降する。荷重伝達梁23cの移動を滑らかにするため、荷重伝達梁23cと荷重伝達構造体5cの接触面には、摺動材25cが設けられる。摺動材25cは、荷重伝達梁23cの側面、荷重伝達構造体5cのスリット51の内側面のいずれか一方に設けてもよいし、両方に設けてもよい。摺動材25cは、例えばテフロン(登録商標)やシュー等である。
荷重伝達梁23cは、十字状に交差する水平部材の両端にそれぞれ梁側ブラケット33cを有する。梁側ブラケット33cは、溶接等により荷重伝達梁23cに固定される。多層構造物の各階の梁29は、梁側ブラケット33cに対応する位置に、それぞれ構造物側ブラケット35cを有する。構造物側ブラケット35cは、溶接等により梁29に固定される。荷重伝達梁23cと荷重伝達階上階の梁29とを接続するには、荷重伝達梁23cに固定された梁側ブラケット33cと、梁29に固定された構造物側ブラケット35cとを、例えば、梁取付治具である梁接続プレート37cのボルト穴、ボルトおよびナット(不図示)による図6で説明したものと同様の構成を用いて接続することができる。
かかる構成により、多層構造物1の水平荷重を荷重伝達構造体5cに、荷重伝達梁23cを介して負担させることもできる。上記の解体方法において、荷重伝達梁23cの盛り替え時には、荷重伝達構造体5cの仮フレーム(例えば図5に示すものと同様の構成とすることができる)で多層構造物1と荷重伝達構造体5cを接続しつつ、荷重伝達梁23cを梁29から取り外し、仮フレームからチェーンブロック等を用いて荷重伝達構造体5cのスリット51に沿って引き上げ、荷重伝達階上階の床梁に再度取り付けることができる。
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、プレート、ボルトおよびナット等を用いて荷重伝達部材と荷重伝達構造体とを着脱可能に接続したが、荷重伝達部材と荷重伝達構造体との接続方法はこれに限らない。荷重伝達部材と荷重伝達構造体との接続方法は、取り付けと取り外しを繰り返し行える方法であればよい。同様に、仮フレームと荷重伝達構造体との接続方法も、取り付けと取り外しを繰り返し行える方法であればよい。
1………多層構造物
2………ジャッキ設置階
3………ジャッキ
4………解体作業階
5、5b、5c………荷重伝達構造体
6………荷重伝達階
6a………荷重伝達階上階
6b………荷重伝達階下階
7………RC造部分
8………切り替え部
9………制震装置
11………S造部分
23、23c………荷重伝達梁
23b………荷重伝達部材
25、25c………摺動材
27………柱
29、29−(n+1)、29−(n+2)、29−(n+3)29−(n+4)………梁

Claims (6)

  1. 多層構造物の解体時に用いられる荷重伝達構造であって、
    前記多層構造物の柱にジャッキを介装したジャッキ設置階以下から前記ジャッキ設置階より上方に位置する荷重伝達階を貫くように前記多層構造物の構造躯体に囲まれた区間内に配置され、前記荷重伝達階より下方に制震装置が組み込まれた荷重伝達構造体と、
    前記多層構造物の荷重伝達階に着脱可能に接続されて前記荷重伝達構造体に沿って配置され、前記多層構造物の解体に伴って前記荷重伝達構造体に沿って下方に移動する荷重伝達部材と、
    を含むことを特徴とする荷重伝達構造。
  2. 前記荷重伝達部材は、平面が略ロ字状であり、前記荷重伝達構造体を囲むように配置され、前記平面の辺の中間部で、前記荷重伝達階の梁部と着脱可能に接続されることを特徴とする請求項1記載の荷重伝達構造。
  3. 前記荷重伝達部材と前記荷重伝達構造体との接触面に、摺動材が設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の荷重伝達構造。
  4. 多層構造物のジャッキ設置階の柱にジャッキを介装し、
    前記多層構造物の構造躯体に囲まれた区間内に、前記ジャッキ設置階より上方に位置する荷重伝達階より下方に制震装置が組み込まれた荷重伝達構造体を、前記ジャッキ設置階以下から前記荷重伝達階を貫くように設置し、
    前記荷重伝達構造体に沿って、下方に移動可能な荷重伝達部材を配置し、
    前記荷重伝達部材を前記荷重伝達階に接続し、前記ジャッキの伸縮と前記柱の切断により、前記荷重伝達階を下降させる工程(a)と、
    前記荷重伝達部材を前記荷重伝達階から取り外し、前記荷重伝達階より上方の、新たに荷重伝達階となった階に荷重伝達部材を接続する工程(b)と、
    を繰り返して前記多層構造物の躯体を下層階から順次解体する多層構造物の解体方法。
  5. 前記荷重伝達部材は、平面が略ロ字状であり、前記荷重伝達構造体を囲むように配置され、前記平面の辺の中間部で、前記荷重伝達階の梁部と着脱可能に接続されることを特徴とする請求項4記載の多層構造物の解体方法。
  6. 前記荷重伝達部材と前記荷重伝達構造体との接触面に、摺動材が設けられることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の多層構造物の解体方法。
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