JP2010255374A - 超高層建物の解体方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】超高層建物の解体を最上階と最下階から同時に進めることができ、工期の短縮と、それによるコストダウンを図り得る経済的な解体方法を実現する。
【解決手段】超高層建物1を解体するにあたり、中間階の梁を補強する仮設梁3と外周部の柱を補強する仮設柱5とを備えた仮設構造部材6を構築して中間階を補強し、補強された中間階に低層部解体用のセンターホールジャッキ7aやウインチ7bを設置する一方、超高層建物に添ったタワークレーン8を設置し、補強された中間階より上方の高層部1Aについては、タワークレーン8を用いて上階から下階へと解体して行き、補強された中間階より下方の低層部1Bについては、センターホールジャッキ7aやウインチ7bを用いて下階から上階へと解体して行く。
【選択図】図1
【解決手段】超高層建物1を解体するにあたり、中間階の梁を補強する仮設梁3と外周部の柱を補強する仮設柱5とを備えた仮設構造部材6を構築して中間階を補強し、補強された中間階に低層部解体用のセンターホールジャッキ7aやウインチ7bを設置する一方、超高層建物に添ったタワークレーン8を設置し、補強された中間階より上方の高層部1Aについては、タワークレーン8を用いて上階から下階へと解体して行き、補強された中間階より下方の低層部1Bについては、センターホールジャッキ7aやウインチ7bを用いて下階から上階へと解体して行く。
【選択図】図1
Description
本発明は、超高層建物の解体方法に関し、詳しくは、超高層建物を解体するにあたり、タワークレーン等を用いて上階から下階へと順次解体して行く解体方法の改良に関する。
建物の絶対高さ制限(31m)の撤廃、耐震構造研究の進歩などを背景に、多くの超高層建物が出現し、今後も増加する傾向にある。そのため、実際の施工例は未だ無いが、さほど遠くない将来、耐用年数の経過、都市計画等の観点から、超高層建物の解体が問題になると思われる。
ところで、超高層建物の解体方法としては、解体重機を最上階に設置するか、あるいは、特許文献1に記載されているように、超高層建物に沿ったタワークレーンを設置する一方、超高層建物の周囲を上下にスライド可能な養生足場で囲繞し、柱梁や床スラブ等の構造部材をカッターやワイヤーソー等で切断して、タワークレーンやその他の垂直搬機を用いて上階から下階へと順次ブロック毎に解体して行く方法が知られている。
しかし、これらの解体方法では、超高層建物の解体が上から下への一方向のみの作業となるので、最下階を解体するまでの工期が長く、タワークレーン等の設置期間も長くなって、不経済である。
本発明は、上記の問題点を踏まえて成されたものであって、その目的とするところは、超高層建物の解体を最上階と最下階から同時に進めることができ、工期の短縮と、それによるコストダウンを図り得る経済的な解体方法を実現することにある。
上記の目的を達成するために本発明が講じた技術的手段は、次のとおりである。即ち、請求項1に記載の発明による超高層建物の解体方法は、超高層建物を解体するにあたり、中間階の梁を補強する仮設梁と外周部の柱を補強する仮設柱とを備えた仮設構造部材を構築して中間階を補強し、補強された中間階に低層部解体用の昇降駆動装置を設置する一方、超高層建物に添ったタワークレーンを設置し、補強された中間階より上方の高層部については、前記タワークレーンを用いて上階から下階へと解体して行き、補強された中間階より下方の低層部については、前記昇降駆動装置を用いて下階から上階へと解体して行くことを特徴としている。
尚、タワークレーンの設置と、仮設構造部材の構築による中間階の補強とは、何れを先行してもよく、並行作業として行ってもよい。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の超高層建物の解体方法であって、補強された中間階より下方の低層部について、外周部の柱梁を除き下階から上階へと解体して行くことを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の超高層建物の解体方法であって、補強された中間階より下方の低層部について、外周部の柱梁と、外周部からワンスパン分の柱梁及び床スラブを除き下階から上階へと解体して行くことを特徴としている。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の超高層建物の解体方法であって、高層部の解体後、低層部の残存させた部分及び仮設構造部材を、前記タワークレーンを用いて解体することを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、仮設構造部材を構築して中間階を補強し、補強された中間階に低層部解体用の昇降駆動装置を設置し、補強された中間階より上方の高層部については、タワークレーンを用いて上階から下階へと解体して行く一方、補強された中間階より下方の低層部については、中間階に設置された昇降駆動装置を用いて下階から上階へと解体して行くので、超高層建物の解体を最上階と最下階から同時に進めることが可能である。
従って、並行作業(上階から下階に向かう解体作業と、下階から上階に向かう解体作業の同時進行)による工期の短縮、タワークレーンの設置期間の短縮が可能であり、これらによるコストダウンを図り得るのである。
尚、補強された中間階より下方の低層部について、中間階に設置された昇降駆動装置を用いて下階から上階へと解体して行くにあたっては、請求項2に記載の発明のように、外周部の柱梁を除き下階から上階へと解体して行く場合と、請求項3に記載の発明のように、外周部の柱梁と、外周部からワンスパン分の柱梁及び床スラブを除き下階から上階へと解体して行く場合とがある。
前者によれば、低層部に残存させる部分が少ないので、高層部解体後における低層部の残存させた部分及び仮設構造部材の解体撤去を迅速に行える効果がある。後者によれば、低層部に外周部の柱梁と、外周部からワンスパン分の柱梁及び床スラブを残存させた状態で、低層部の解体を行うので、ワンスパン分の柱梁及び床スラブが水平力に対抗する部材となり、風圧や地震等に対する水平抵抗力を保持しつつ解体を進めることができる。
低層部の残存させた部分及び仮設構造部材の解体は、ラフター等のクレーン車を用いて行ってもよいが、請求項4に記載の発明のように、高層部の解体に用いたタワークレーンを用いて解体することが、タワークレーンの利用効率を高める上で望ましい。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図3は、本発明に係る超高層建物1の解体方法の一例を示す。この解体方法は、超高層建物1を解体するにあたり、中間階の梁2a、2bを補強する仮設梁3と外周部の柱4aを補強する仮設柱5とを備えた仮設構造部材6を構築して中間階を補強し、補強された中間階に低層部解体用の昇降駆
動装置7を設置する一方、超高層建物1に添ったタワークレーン8を設置し、補強された
中間階より上方の高層部1Aについては、前記タワークレーン8を用いて上階から下階へと解体して行き、補強された中間階より下方の低層部1Bについては、前記昇降駆動装置7を用いて下階から上階へと解体して行く点に特徴がある。
動装置7を設置する一方、超高層建物1に添ったタワークレーン8を設置し、補強された
中間階より上方の高層部1Aについては、前記タワークレーン8を用いて上階から下階へと解体して行き、補強された中間階より下方の低層部1Bについては、前記昇降駆動装置7を用いて下階から上階へと解体して行く点に特徴がある。
具体的に説明すると、図1の(A)示すように、超高層建物1に添って揚程の大きなタワークレーン8を設置し、超高層建物1の最上階を含む複数層(2〜4層程度)の周囲を超高層建物1で支持される既知構造のスライド式の養生足場9で囲繞する一方、仮設構造部材6を構築して超高層建物1の中間階を補強し、補強された中間階には、低層部解体用の昇降駆動装置7としてのセンターホールジャッキ7aを必要台数設置する。養生足場9
や仮設構造部材6のための揚重作業はタワークレーン8を用いて行われるが、仮設構造部材6については、地上高が半分程度であるため、タワークレーン8に比して揚程の小さいラフター等のクレーン車を用いて行ってもよい。
や仮設構造部材6のための揚重作業はタワークレーン8を用いて行われるが、仮設構造部材6については、地上高が半分程度であるため、タワークレーン8に比して揚程の小さいラフター等のクレーン車を用いて行ってもよい。
前記仮設構造部材6は、現場打ちコンクリートや高規格流動化処理土等で築造してもよいが、図示の実施形態においては、鉄骨造とされている。仮設梁3は互いに直角な二方向に必要本数ずつ配置されるもので、図2、図3に示すように、階高に相当する上下間隔で配置された上弦材及び下弦材と、斜材とで構成された大規模トラス構造とされている。そして、各仮設梁3の両端は、超高層建物1の外側に外周部の柱4aに添わせて立設した仮設柱5で支持されている。
補強された中間階より下方の低層部1Bにおける床スラブ10には、センターホールジャッキ7aの直下位置に貫通孔11を形成し、センターホールジャッキ7aによって昇降駆動される継足し式の吊下げロッド12aを挿通してある。そして、吊下げロッド12aの下端部を、図2に示すように、床スラブ10から適当な高さにおいて、内側の柱4bを貫通させたカンザシ金物13に着脱可能な状態に連結してある。
そして、高層部1Aについては、図1の(B)に示すように、養生足場9を順次下方へスライドさせて、カッターやワイヤーソー等で切断した柱梁、床スラブ等の構造部材の落下を防止しながら、タワークレーン8を用いて最上階から下階へと順次ブロック毎に解体して行くと同時に、低層部1Bについては、図2、図3に示すように、柱4bを床スラブ10より上方の適当な切断レベルLにおいて切断すると共に、梁2b、床スラブ10を切断して、センターホールジャッキ7aの吊下げロッド12aで吊り下げ、外周部の柱4a、梁2aを除き、最下階から上階へと順次ブロック毎に解体して行く。この場合、切断に先立って、図示のとおり、柱4bに挿通したカンザシ金物13に吊下げロッド12aの下端部を連結しておくことので、切断レベルLより下方の床スラブ10を切断時の作業床として利用することができる。
図1の(C)に示すように、高層部1Aの解体後、低層部1Bに残存させた外周部の柱4a、梁2a及び仮設構造部材6を解体する。この作業は、タワークレーン8を用いて行われるが、ラフター等のクレーン車を用いて行ってもよい。
上記の構成によれば、仮設構造部材6を構築して中間階を補強し、補強された中間階に低層部解体用のセンターホールジャッキ7aを設置し、補強された中間階より上方の高層部1Aについては、タワークレーン8を用いて上階から下階へと解体して行く一方、補強された中間階より下方の低層部1Bについては、中間階に設置されたセンターホールジャッキ7aを用いて下階から上階へと解体して行くので、超高層建物1の解体を最上階と最下階から同時に進めることが可能である。
従って、並行作業(上階から下階に向かう解体作業と、下階から上階に向かう解体作業
の同時進行)による工期の短縮、タワークレーン8設置期間の短縮が可能であり、これらによるコストダウンが可能である。
の同時進行)による工期の短縮、タワークレーン8設置期間の短縮が可能であり、これらによるコストダウンが可能である。
図4の(A)、(B)、(C)と、図5は本発明の他の実施形態を示す。この実施形態は、補強された中間階より下方の低層部1Bについて、外周部の柱4a、梁2aと、外周部からワンスパン分の柱4b、梁2b及び床スラブ10を除き、下階から上階へと解体して行く点に特徴がある。図5中の14は超高層建物1のコア部である。
上記の構成によれば、低層部1Bに外周部の柱梁と、外周部からワンスパン分の柱梁及び床スラブを残存させた状態で、低層部1Bの解体を行うので、ワンスパン分の柱梁及び床スラブが水平力に対抗する部材となり、風圧や地震等に対する水平抵抗力を保持しつつ解体を進めることができる。その他の構成、作用は、先の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
尚、本発明に係る解体方法の対象とする超高層建物1としては、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造の如何を問わない。また、上記の各実施形態においては、何れも、低層部解体用の昇降駆動装置7としてセンターホールジャッキ7aを用いてい
るが、図6に示すように、低層部解体用の昇降駆動装置7としてウインチ7bを用いるこ
とも可能である。図示のとおり、センターホールジャッキ7aの代わりにウインチ7bを用いることにより、正逆転切換え操作を行うだけで、吊下げワイヤー12bの繰出しと巻取りによる、解体されたブロックの吊り降ろしと、次のブロックの吊り降ろし準備が可能であり、吊下げロッド12aの継足し作業と余剰長さ分の取外し作業が不要であるため、低層部1Bの解体作業をより一層迅速に行うことができる。
るが、図6に示すように、低層部解体用の昇降駆動装置7としてウインチ7bを用いるこ
とも可能である。図示のとおり、センターホールジャッキ7aの代わりにウインチ7bを用いることにより、正逆転切換え操作を行うだけで、吊下げワイヤー12bの繰出しと巻取りによる、解体されたブロックの吊り降ろしと、次のブロックの吊り降ろし準備が可能であり、吊下げロッド12aの継足し作業と余剰長さ分の取外し作業が不要であるため、低層部1Bの解体作業をより一層迅速に行うことができる。
本発明の解体方法は、超高層建物のようなアスペクト比の高い建物の他、柱と梁を備えた高層鉄塔の解体にも利用できる。
1 超高層建物
1A 高層部
1B 低層部
2a、2b 梁
3 仮設梁
4a、4b 柱
5 仮設柱
6 仮設構造部材
7 低層部解体用の昇降駆動装置
7a センターホールジャッキ
7b ウインチ
8 タワークレーン
9 養生足場
10 床スラブ
11 貫通孔
12a 継足し式の吊下げロッド
12b 吊下げワイヤー
13 カンザシ金物
14 コア部
L 切断レベル
1A 高層部
1B 低層部
2a、2b 梁
3 仮設梁
4a、4b 柱
5 仮設柱
6 仮設構造部材
7 低層部解体用の昇降駆動装置
7a センターホールジャッキ
7b ウインチ
8 タワークレーン
9 養生足場
10 床スラブ
11 貫通孔
12a 継足し式の吊下げロッド
12b 吊下げワイヤー
13 カンザシ金物
14 コア部
L 切断レベル
Claims (4)
- 超高層建物を解体するにあたり、中間階の梁を補強する仮設梁と外周部の柱を補強する仮設柱とを備えた仮設構造部材を構築して中間階を補強し、補強された中間階に低層部解体用の昇降駆動装置を設置する一方、超高層建物に添ったタワークレーンを設置し、補強された中間階より上方の高層部については、前記タワークレーンを用いて上階から下階へと解体して行き、補強された中間階より下方の低層部については、前記昇降駆動装置を用いて下階から上階へと解体して行くことを特徴とする超高層建物の解体方法。
- 補強された中間階より下方の低層部について、外周部の柱梁を除き下階から上階へと解体して行くことを特徴とする請求項1に記載の超高層建物の解体方法。
- 補強された中間階より下方の低層部について、外周部の柱梁と、外周部からワンスパン分の柱梁及び床スラブを除き下階から上階へと解体して行くことを特徴とする請求項1に記載の超高層建物の解体方法。
- 高層部の解体後、低層部の残存させた部分及び仮設構造部材を、前記タワークレーンを用いて解体することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の超高層建物の解体方法。
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---|---|---|---|
JP2009109480A JP2010255374A (ja) | 2009-04-28 | 2009-04-28 | 超高層建物の解体方法 |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012117288A (ja) * | 2010-12-01 | 2012-06-21 | Taihei Dengyo Kaisha Ltd | 多層建築物の解体工法 |
JP2012122200A (ja) * | 2010-12-06 | 2012-06-28 | Taisei Corp | 仮設屋根支持構造 |
JP2015014159A (ja) * | 2013-07-07 | 2015-01-22 | 大成建設株式会社 | 構造物改築方法 |
JP2016145448A (ja) * | 2015-02-06 | 2016-08-12 | 大成建設株式会社 | 解体システムおよび解体方法 |
JP7541495B2 (ja) | 2021-08-04 | 2024-08-28 | 大成建設株式会社 | クレーン昇降システム、構造物の構築方法、および構造物の解体方法 |
-
2009
- 2009-04-28 JP JP2009109480A patent/JP2010255374A/ja active Pending
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