JP2006118245A - 重量機器を搭載した移動ステージによる大型高層塔体構造物の建設方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 大型高層塔体構造物の建設位置の地上に移動型枠1を組み立て設置すると共に、移動型枠1の周辺部に複数の支柱2を建て、支柱2に支持されたクライミングステージ3を架設し、クライミングステージ3上に大型高層塔体構造物の建設に必要とされる重量機器類を搭載し、クライミングステージ3に移動型枠1を吊り下げる。支柱2を継ぎ足して建て、クライミングステージ3を自己上昇させると共に該クライミングステージ3に吊られて上昇する移動型枠1を利用して鉄骨・鉄筋コンクリート造大型高層塔体10の構築を進める。大型高層塔体10の構築を完成し、コンクリートが必要強度を発現した後に、重量機器類を下ろして大型高層塔体10への据付けを行い、大型高層塔体構造物の組み立てを完成する。
【選択図】 図1
Description
前記したような風力発電への期待が高まるにつれて、1機当たり出力を増大する大型化を図り、発電単価を低下させることも必要となった。因みに、出力を2倍にすると、発電単価は0.7倍に低下すると試算されている。
風力発電所の大型大出力化は、結局は塔体の背を高くして、ロータ直径を大きくすることに尽きる。既存する600KWクラスの塔体の地上高さは約40mであるが、建設中の1.5〜2MWクラスの塔体の高さは65mに及ぶ。将来建設が検討されている5MWクラスのロータ直径は110m超で、塔体の高さは120m超に及ぶし、10MWクラスの塔体の高さは170mに及ぶことが試算されている。
いずれにしても、大型風力発電所の建設に関しては、全材料費に占める塔体の割合が20〜35%に及ぶと言われ、塔体の建設工期が全体工期に大きく影響することが知られており、風力発電所の建設工事の合理化は、要するに塔体構築のコストダウンと建設工期の短縮化にかかっていることは明らかである。
特許文献4には、小さいトラッククレーンを使用して、ブロック分けした塔体構造物および発電機、羽根を持ち上げて組み立てることに至便のクライミング装置と、これを利用した構築方法が開示されている。
特許文献5には、プレキャストコンクリート型枠を使用してRC造構造物を構築する既成型枠工法(PCF工法)の一例が開示されている。
また、図6(I)〜(VI)には、移動型枠装置SによりRC造塔体Tを一連に建設し、この塔体Tに並立させた超大型クレーンPにより発電器機(ナセル)Qを吊り上げて塔体Tへ据え付け、更にロータRを取り付けて建設する工法の枢要な手順を概念的に示している。
上記のように、既往技術による大型風力発電所の建設には超大型クレーンPの使用が不可欠であった。しかし、既往の適用可能な超大型クレーンPの背の高さは70m程度が限度といわれている。
将来建設が予定されている5MWクラスの風力発電所に必要なクレーンの高さは120m超に及ぶが、現状、そのような超大型クレーンは我が国には存在しない。もし仮にそのような超大型クレーンを製作できたとしても、汎用性が少ないこともあって大変高価なものになるし、また、道路輸送の規制を受ける関係もあって大きな困難が予想され実現性が低い。
大型高層塔体構造物の建設位置の地上にスリップフォーム工法又はジャンプフォーム工法の移動型枠1を組み立て設置すると共に、前記移動型枠1の周辺部に複数の支柱2…を建て、前記支柱2に支持されたクライミングステージ3を架設し、前記クライミングステージ3上に当該大型高層塔体構造物の建設に必要とされる重量機器類を搭載し、前記クライミングステージ3に前記移動型枠1を吊り下げる段階と、
前記支柱2を継ぎ足して建て、クライミングステージ3を自己上昇させると共に該クライミングステージ3に吊られて上昇する移動型枠1を利用して鉄骨・鉄筋コンクリート造大型高層塔体10の構築を進める段階と、
大型高層塔体10の構築を完成し、コンクリートが必要強度を発現した後に、移動型枠1を解体し、クライミングステージ3上の重量機器類を下ろして大型高層塔体10への据付けを行い、大型高層塔体構造物の組み立てを完成する段階と、
その後、支柱2を解体し撤去しつつ、クライミングステージ3を地上まで下ろし、解体し撤去する段階と、
から成ることを特徴とする。
大型高層塔体構造物の建設位置の周辺部に複数の支柱2…を建て、前記支柱2に支持されたクライミングステージ3を上位に架設し、その下側には既成型枠作業ステージ21を架設し、前記クライミングステージ3上に当該大型高層塔体構造物の建設に必要とされる重量機器類を搭載し、前記の既成型枠作業ステージ21に初期の塔体建設用既成型枠22を設置し、これを利用して鉄骨・鉄筋コンクリート造大型高層塔体10の構築を開始する段階と、
前記支柱2を継ぎ足して建て、前記クライミングステージ3を先行して自己上昇させ、つづいて既成型枠作業ステージ21を自己上昇させて次なる塔体建設用既成型枠22M、22Nを設置し、鉄骨・鉄筋コンクリート造大型高層塔体10を構築する工程を以下繰り返し進める段階と、
大型高層塔体10の構築を完成し、コンクリートが必要強度を発現した後に、前記既成型枠作業ステージ21を解体し、クライミングステージ3上の重量機器類を下ろして大型高層塔体10への据付けを行い、大型高層塔体構造物の組み立てを完成する段階と、
その後、支柱2を解体し撤去しつつ、クライミングステージ3を地上まで下ろし、解体し撤去する段階と、
から成ることを特徴とする。因みに前記既成型枠22は、通例プレキャストコンクリート型枠である。
クライミングステージ3上の重量機器類には小型クレーン5、ホイスト8等の揚重機を含み、この揚重機を使用して支柱2…を継ぎ足す建て方と、および重量機類をクライミングステージ3から下ろして大型高層塔体10へ据付ける作業を行うことを特徴とする。
クライミングステージ3上には制振装置15を設置し、また、クライミングステージ3から移動型枠1を吊り下げる手段12に移動型枠1の姿勢制御装置13を設置することを特徴とする。
前記支柱2を継ぎ足して建て、クライミングステージ3を自己上昇させると共に該クライミングステージ3に吊られた移動型枠1を利用して、又は既成型枠作業ステージ21に設置した塔体建設用既成型枠22によりSRC造又はRC造大型高層塔体10の構築を進める。
大型高層塔体10の構築を完成し、打設コンクリートが必要な強度を発現した後に、前記の移動型枠1または既成型枠作業ステージ21を解体し撤去する。そして、クライミングステージ3上の重量機器類を下ろして大型高層塔体10への据付けを行い、大型高層塔体構造物の組み立てを完成する。
前記の重量機器類には小型クレーン5、ホイスト8等の揚重機を含み、この揚重機を使用して支柱2を継ぎ足して伸長させる建て方と、重量機器類をクライミングステージ3から下ろして大型高層塔体10へ据付ける作業を行う。
その後、支柱2を解体し撤去しつつ、クライミングステージ3を地上まで下ろし、解体し撤去する。
クライミングステージ3上に制振装置15を設置し、クライミングステージ3から移動型枠1を吊り下げる手段12に移動型枠1の姿勢制御装置13を設置して実施する。
この建設方法は、いわゆる移動型枠工法による方法であって、図1(I)は大型高層塔体構造物の建設位置に予め構築したコンクリート基礎14の上に、スリップフォーム工法又はジャンプフォーム工法用の移動型枠1を組み立て設置すると共に、前記移動型枠1を中心とする周辺部位に複数の支柱2…を建て、前記支柱2…に支持されたクライミングステージ3(移動ステージ)を組み立てて架設する。そして、前記クライミングステージ3上に当該大型高層塔体構造物の建設に必要とされる、例えば風力発電機器(ナセル)4や小型クレーン5などの重量機器類を搭載し、前記クライミングステージ3に前記移動型枠1を吊り下げた段階を示している。
クライミングステージ3上には、超高層作業の安全性、安定性を確保するために必要な制振装置15を設置するほか、各クライミング装置6…や姿勢制御装置13の集中管理・制御のため、及び地上との交信等のための集中管理・制御盤16が設置される。クライミングステージ3上に載った作業員を保護するための養生手段、及び地上との交通手段については図示を省略した。
しかる後に、クライミングステージ3を上記クライミング装置6…の同期制御により自己上昇させると共に該クライミングステージ3に吊られた移動型枠1をも上昇移動させ、この移動型枠1を利用して鉄骨や鉄筋を組み立て、配筋等してコンクリートを打設する作業を進めて、上方へ行くにしたがい漸次直径が縮小する円錐台形状等の大型高層塔体10の構築を進める(図1(II))。スリップフォーム工法の場合は移動型枠1を連続的に上昇移動させ、ジャンプフォーム工法の場合は一定のストローク(又はステップ)ずつジャンプアップさせる工程の繰り返しにより構築を進めることは周知の通りである。
因みに、地上120m超の大型高層塔体10の下端部直径は約10mないし12m位、壁厚は60cm〜1m程度と試算される。
また、図1(IV)は、クライミングステージ3上のナセル4を吊り下ろして、直下の大型高層塔体10の頂部へ据付ける作業を行う段階を示している。
更に図1(V)は、クライミングステージ3上の小型クレーン5を使用して地上からロータ20を吊り上げた段階を示す。
そして、図1(VI)は、ロータ20をナセル4へ取り付けて大型大出力の風力発電所(大型高層塔体構造物)の組み立てを完成し、支柱2およびクライミングステージ3の解体、撤去までの全工程を終了した段階を示している。ちなみに、支柱2の解体、撤去は、クライミングステージ3の中央部を、先に構築した大型高層塔体10が通過する程度にまで解体した上で、同クライミングステージ3を一定ストローク下降させるたびに、小型クレーン5を使用して支柱2を解体することを繰り返す。そして、地上にまで下降したクライミングステージ3は、地上レベルにて残る外周部分を完全に解体して撤去する。
上述の通り、従来不可欠であった大型クレーンの必要性は、クライミングステージ3上の小型クレーン5で間に合わせられる限り、無いのである。よって、安価に短工期に建設を行うことができる。もし仮に、ナセル4、ロータ20が極端に大型、大重量で、前記クライミングステージ3上の小型クレーン5で間に合わないときは、そうした大重量物の揚重専用のウインチを設置したり、小型クレーン5の台数を更に増やす等々の対処が必要である。
本実施例の建設方法は、いわゆる既成型枠として通例ハーフプレキャストコンクリートを使用する既成型枠工法(PCF工法)による方法であって、図4(I)では、大型高層塔体構造物の建設位置に予め構築したコンクリート基礎14を中心とする周辺部位に複数の支柱2…を建て、前記支柱2に支持されたクライミングステージ3(移動ステージ)を上位に架設する。その下側に既成型枠作業ステージ21を、やはり支柱2へ架設して設置する。前記クライミングステージ3上に当該大型高層塔体構造物に必要とされる、例えば風力発電機器4(ナセル)や小型クレーン5の重量機器類を上記実施例1と同様に搭載し、前記既成型枠作業ステージ21には初期の塔体建設用既成型枠22を設置し、これを利用してSRC造又はRC造の大型高層塔体10の構築を開始する段階を示している。
前記クライミングステージ3の構造、およびクライミング装置の構成などは、上記実施例1に於いて説明した内容と共通するので、共通する符号を付けて、ここで再び同様な説明を繰り返すことは省く。また、前記既成型枠作業ステージ21の構造、およびクライミング装置の構成などについても、前記クライミングステージ3について上記実施例1で説明した内容と多く共通し類似する構成なので、ここで再び同様な説明を繰り返すことは省く。
更に図4(V)は、クライミングステージ3上の小型クレーン5を使用して地上からロータ20を吊り上げる作業段階を示す。
そして、図4(VI)は、ロータ20を発電機器(ナセル)4へ取り付けて大型大出力の風力発電所(大型高層塔体構造物)の組み立てを完成し、支柱2およびクライミングステージ3の解体、撤去まで終了した段階を示している。
上記実施例1に於いて説明したように、支柱2の解体、撤去は、クライミングステージ3の中央部を、先に構築した大型高層塔体10が通過する程度に解体した上で、同クライミングステージ3を一定ストローク下降させるたびに、小型クレーン5を使用して支柱2を解体する工程を繰り返す。そして、地上にまで下降したクライミングステージ3は、地上レベルにてその外周部分を完全に解体して撤去する。
こうして従来不可欠であった大型クレーンを必要とすることなく、大型高層塔体構造物の建設を安価に短工期に行うことができる。
2 支柱
3 クライミングステージ
10 大型高層塔体
21 既成型枠作業ステージ
22 既成型枠
5 小型クレーン
8 ホイスト
15 制振装置
12 吊り下げ手段
13 姿勢制御装置
Claims (4)
- 大型高層塔体構造物の建設位置の地上にスリップフォーム工法又はジャンプフォーム工法の移動型枠を組み立て設置すると共に、前記移動型枠の周辺部に複数の支柱を建て、前記支柱に支持されたクライミングステージを架設し、前記クライミングステージ上に当該大型高層塔体構造物の建設に必要とされる重量機器類を搭載し、前記クライミングステージに前記移動型枠を吊り下げる段階と、
前記支柱を継ぎ足して建て、クライミングステージを自己上昇させると共に該クライミングステージに吊られて上昇する移動型枠を利用して鉄骨・鉄筋コンクリート造大型高層塔体の構築を進める段階と、
大型高層塔体の構築を完成し、コンクリートが必要強度を発現した後に、移動型枠を解体し、クライミングステージ上の重量機器類を下ろして大型高層塔体への据付けを行い、大型高層塔体構造物の組み立てを完成する段階と、
その後、支柱を解体し撤去しつつ、クライミングステージを地上までおろし、解体し撤去する段階と、
から成ることを特徴とする、重量機器を搭載した移動ステージによる大型高層塔体構造物の建設方法。 - 大型高層塔体構造物の建設位置の周辺部に複数の支柱を建て、前記支柱に支持されたクライミングステージを上位に架設し、その下側には既成型枠作業ステージを架設し、前記クライミングステージ上に当該大型高層塔体構造物の建設に必要とされる重量機器類を搭載し、前記既成型枠作業ステージに初期の塔体建設用既成型枠を設置し、これを利用して鉄骨・鉄筋コンクリート造大型高層塔体の構築を開始する段階と、
前記支柱を継ぎ足して建て、前記クライミングステージを先行して自己上昇させ、つづいて既成型枠作業ステージを自己上昇させて次なる塔体建設用既成型枠を設置し、鉄骨・鉄筋コンクリート造大型高層塔体を構築する工程を以下繰り返し進める段階と、
大型高層塔体の構築を完成し、コンクリートが必要強度を発現した後に、前記既成型枠作業ステージを解体し、クライミングステージ上の重量機器類を下ろして大型高層塔体への据付けを行い、大型高層塔体構造物の組み立てを完成する段階と、
その後、支柱を解体し撤去しつつ、クライミングステージを地上までおろし、解体し撤去する段階と、
から成ることを特徴とする、重量機器を搭載した移動ステージによる大型高層塔体構造物の建設方法。 - クライミングステージ上の重量機器類には小型クレーン、ホイスト等の揚重機を含み、この揚重機を使用して支柱を継ぎ足す建て方と、および重量機器類をクライミングステージから下ろして大型高層塔体へ据付ける作業を行うことを特徴とする、請求項1又は2に記載した重量機器を搭載した移動ステージによる大型高層塔体構造物の建設方法。
- クライミングステージ上に制振装置を設置し、また、クライミングステージから移動型枠を吊り下げる手段に移動型枠の姿勢制御装置を設置することを特徴とする、請求項1又は2に記載した重量機器を搭載した移動ステージによる大型高層塔体構造物の建設方法。
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