JP2009154935A - 包装容器のシート蓋 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カップ状容器の開口周囲のフランジ部6に除去可能に接着されて、当該開口を封止するシート蓋。当該シート蓋は、カット線21が形成された基材層20の裏面に、フランジ部6に接着される熱接着層40を有している。基材層20と熱接着層40との間において、上記フランジ部6の少なくとも一部分と対向する領域に導電性発熱層30を配置している。導電性発熱層30は発熱するまでに時間を要するが、それまでに容器が破裂することがないように、カット線21の箇所に多少なりとも生じた蒸通孔から内圧を逃がすことで、その時間をかせぎ、これにより極めて良好な蒸通が達成される。
【選択図】図1
Description
茶碗蒸しの場合、食品はカップ状容器に収容されていて、その上部開口がフィルム材でシールされている。これを電子レンジに投入する前に、フィルム材の一部に爪楊枝等で孔を空けたり、フィルム材を部分的に引き剥がして、部分的に開封する。
「カット線」は、カップ状容器の内圧上昇に伴ってこれが蒸通し、内圧を外部に逃がすものである。「導電性発熱層」は電子レンジ等で加熱調理する場合にマイクロ波を吸収して発熱するもので、この発熱の影響を受けて、熱接着層が軟化して緩やかに変形し、これに対応するフランジ上の領域で、熱接着層がフランジから部分的に剥離して蒸通する。
「導電性発熱層」は発熱するまでに時間を要するが、それまでに容器が破裂することがないように、カット線の箇所に多少なりとも生じた蒸通孔から内圧を逃がすことで、その時間をかせぎ、これにより極めて良好な蒸通を達成している。
カット線21の形成位置は任意であるが、内圧上昇時に応力が良好に作用するように、カット線21はシート蓋10の中央付近に設けるのが好ましい。
なお、参照符号11は、消費者が最終的にシート蓋10を容器5から引き剥がす際に摘む摘み部を示している。
カット線21は、基材層20の全厚を貫通して形成したスリット状のものの他、部分的に切り込んだハーフカットや、ミシン目等、電子レンジで加熱した時にこれに沿って基材層20が破断するものであればよい。
このようなカット線21を設けることにより、電子レンジによる加熱調理の際に、容器内の温度上昇とともに内圧が上昇する場合に、当該カット線21の箇所が破断して蒸通し(孔が生じる)、ここから内圧が外部に逃げる。
したがって、カット線21の具体的な形状は、図示したような十字状に限らず、一文字、渦巻き状、その他適宜の形状を採用できる。また、カット線21の形成方法については、カッターあるいはレーザを利用する等、適宜の方法を採用することができる。
カット線の大きさについては、特に限定はないが、あまり広範囲にカット線を形成するとシート蓋10自体の強度が低下するため、5cm×5cm程度の領域内に収めることが好ましい。
また逆に、カット線があまりに小さいと、良好な蒸通の妨げとなるので、1cm×1cmを超える領域内にカット線を形成することが好ましい。
図示の例では、導電性発熱層30は、当該シート蓋の摘み部11に対して180°対向した位置(A)を中心とし、180°の角度範囲に渡ってシート蓋の外周に沿って略円弧状に延在している。
導電性発熱層30が存在することによって、次のような効果が得られる。すなわち、電子レンジ等で加熱調理する場合に、導電性発熱層30がマイクロ波を吸収して発熱する。この発熱の影響を受けて、熱接着層40が軟化して緩やかに変形し、これに対応するフランジ6上の領域で、熱接着層40がフランジ6から部分的に剥離して蒸通する。
したがって、導電性発熱層30は、図示したような略円弧状の形態に限られず、基材層20と熱接着層40との間において、上記フランジ部6の少なくとも一部分と対向する領域に配置されていれば足りる。例えば、延在する角度範囲が180°以上またはそれ以下の円弧状領域であってもよいし、間隔をおいて離散的に配置した複数の導電性発熱層を採用することも可能である。
導電性発熱層30の組成の一例を下の表1に示す。
本発明では、シート蓋10に「カット線21」と「導電性発熱層30」の両方を設けることで、極めて安定した蒸通を達成している。これについて説明する。
(1)
カット線21は、上述した通り、内圧上昇に伴ってこれが破断して圧力を逃がすために設けられている。しかし、カット線21が単独で存在するのみでは、蒸通が不安定であったり、開いた孔が小さすぎて、蒸気の発生量に追随できず、結局は破裂してしまうことがある。
(2)
一方、導電性発熱層30が単独で存在するのみでは、次のような不都合が生じ得る。
業務用等、高出力の電子レンジの場合には、容器内の温度上昇が急激で、内圧も急激に上昇する。ところが、導電性発熱層は暖まるまでに時間を要するので、内圧が急激に上昇する場合には、導電性発熱層の発熱がこれに追いつかず、結局は破裂してしまうことがある。
また、誘電損失係数が大きく加熱され易い食材の場合にも、食材表面が急激に温度上昇して容器内圧も急激に上昇するので、同様の問題が生じる。
(3)
そこで、カット線21と導電性発熱層30とを両方併存させることで、下に説明する通り、極めて良好な蒸通を達成できる。
容器内の圧力上昇に伴って、最初にカット線が部分的に蒸通する。これにより、高まった内圧が外部に逃げる。この後、内容物が十分に温まるまで加熱している途中、蒸気の排出が追いつかなくなったとしても、その時までには導電性発熱層が十分に発熱しているので、これに対応する熱接着層の領域が十分に軟化して、フランジ部6から剥離し、そこから蒸気が外部に逃げるので破裂しない。
基材層20は、一般のカップスープ等に使用されているシート蓋の天面を構成するもの等、適宜の材料を使用する。熱接着層40についても、シート蓋をカップ状本体のフランジ部に接着固定するために一般的に知られたものを使用する。
厚さ12μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)の裏面に、グラビア印刷法により、図1に示したような形状の導電性発熱層を約1.4g/m2の塗工量で印刷した。
その後、2液硬化型ウレタン系接着剤を用いて、厚さ15μmのONY(延伸ナイロン)、50μmのイージーピールシーラント(東セロ株式会社製、CMPS022C)をドライラミネーションにより、導電性発熱層を挟み込むように積層した。
以上のようにして作成した積層シート蓋を略円形に打ち抜いてシート状蓋材を構成し、カップ状容器の上部開口をこれで封止した。カップ状容器内には、コーンポタージュ150gを充填した。この後、蓋材の天面に炭酸ガスレーザを照射して、蓋材中央に、ほぼ3cm×3cmの十字状のハーフカットを入れた。
カップ状容器はポリプロピレン製で、寸法は次の通りである。
(1)フランジ部の内径:90mm
(2)フランジ部の外径:104mm
(3)容器の高さ :75mm
(4)容器底部の外径 :55mm
導電性発熱層を省略した以外は上記構成と同じものを作製し、これを比較サンプルAとした。
ハーフカットを省略した以外は上記構成と同じものを作製し、これを比較サンプルBとした。
6 フランジ部
10 シート蓋
11 摘み部
20 基材層
21 カット線
30 導電性発熱層
40 熱接着層
Claims (1)
- カップ状容器の開口周囲のフランジ部(6)に除去可能に接着されて、当該開口を封止するシート蓋であって、
当該シート蓋は、カット線(21)が形成された基材層(20)の裏面に、上記フランジ部(6)に接着される熱接着層(40)を有してなり、
基材層(20)と熱接着層(40)との間において、上記フランジ部(6)の少なくとも一部分と対向する領域に導電性発熱層(30)を配置したことを特徴とする、シート蓋。
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