JP2016043948A - 電子レンジ加熱用包装体 - Google Patents

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Sachiko Sugaya
幸子 菅谷
依久乃 井口
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依久乃 井口
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Abstract

【課題】包装袋中に内容物を密封して、内容物を取り出すことなく電子レンジ中で加熱する包装体であって、誤って天地を逆に載置して加熱した場合であっても、水蒸気を放出することができて、その破袋を防止することができる包装体を提供すること。【解決手段】包装体として、包装袋の一部に、外側にひだ状に突出する折込部13aを有し、かつ、この折込部が壁面11に倒されているものを使用し、折込部を構成する2枚のフィルムのうち,倒された方向に位置するフィルムを谷折側フィルム131、他方のフィルムを山折り側フィルム132とするとき、この谷折側フィルム131又はこの谷折側フィルムが倒された方向の壁面111に、加熱により発生した水蒸気を外部に放出する蒸気抜き用脆弱加工部131xを設ける。加熱水蒸気により折込部が膨らんで立ち上がり、脆弱加工部が破壊されて水蒸気を放出する。【選択図】図2

Description

本発明は、包装袋中に内容物を密封して、内容物を取り出すことなく電子レンジ中で加熱する包装体に関する。
従来、調理済み又は半調理済みの食品を常温、低温、あるいは冷凍保存可能に包装袋に収容密封し、開封せずに電子レンジで加熱して、食べられる状態にする包装体が知られている。
包装体を開封せずに電子レンジで加熱すると、包装体内の水分が水蒸気になり、体積が増加する。したがって、水蒸気が逃げられる隙間がないと破袋のおそれがある。一方、内容物が半調理状態等の場合には、単に加熱するだけでなく、発生した水蒸気による蒸らし等が必要となる場合がある。この場合、蒸気が逃げる孔が過度に大きいと、蒸らしが十分行われず、風味が落ちる等の問題がある。
この用途に対応した包装体はいくつか知られている。いずれも積層フィルムから構成された包装袋を用いるのが一般的であり、内圧が高まると、積層フィルムの一部に裂け目ができて、この裂け目を蒸気抜き孔として水蒸気を逃がすことにより破袋を防止する。
電子レンジによる加熱時に蒸らしも可能な包装体としては、例えば、特許文献1〜2に記載のものが知られている。特許文献1に記載の包装体は、外層フィルムの内側にシーラント層を積層した積層フィルムから包装袋を構成して、その積層フィルムの一部に、外層フィルム及びシーラント層を貫通するスリットを形成し、その後シーラント層を加熱して溶融させ、シーラント層のみスリットを閉じている。この包装体を電子レンジで加熱すると、シーラント層が裂けて小さな貫通孔が形成される。したがって、過度に水蒸気が逃げず、破袋を防ぎつつ蒸らしを行うことができる。また、特許文献2に記載の包装体は、その包装袋に、外層フィルムの内部に達し、かつ、シーラント層を貫通しない深さの線状蒸気抜き用脆弱加工部を形成している。この包装体においても、電子レンジで加熱すると、前記脆弱加工部が裂けて小さな貫通孔が形成され、この結果、過度に水蒸気が逃げず、破袋を防ぎつつ蒸らしを行うことが可能となる。
国際公開第2012/086295号 国際公開第2014/061651号
ところで、これら包装体は、いずれも、前記スリットが上を向くように電子レンジ中に載置する必要がある。仮に誤って貫通孔が下を向くように載置すると、これらスリットが電子レンジの載置台の床面に塞がれて水蒸気が逃げず、破袋して内容物が飛び散ることがある。
そこで、本発明は、誤って天地を逆に載置して電子レンジ加熱した場合であっても、発生した水蒸気を放出することができて、その破袋を防止することができる包装体を提供することを目的とする。
すなわち、請求項1に記載の発明は包装袋中に内容物を密封して成り、内容物を取り出すことなく電子レンジ中で加熱する包装体において、
包装袋を構成する壁面の一部に、外側にひだ状に突出する折込部を有しており、かつ、この折込部が前記壁面に倒されており、
前記折込部を構成する2枚のフィルムのうち,倒された方向に位置するフィルムを谷折側フィルム、他方のフィルムを山折り側フィルムとするとき、この谷折側フィルム又はこの谷折側フィルムが倒された方向の壁面に、加熱により発生した水蒸気を外部に放出する蒸気抜き用脆弱加工部が設けられていることを特徴とする電子レンジ加熱用包装体である。
次に、請求項2に記載の発明は、前記包装袋が外層フィルムの内側にシーラント層を積層して構成されており、前記蒸気抜き用脆弱加工部が、少なくとも外層フィルムの内部に達し、かつ、シーラント層を貫通しない深さの脆弱加工部から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ加熱用包装体である。
また、請求項3に記載の発明は、外層フィルムシーラント層との間に、部分的に中間層を有することを特徴とする請求項2に記載の電子レンジ加熱用包装体である。
また、請求項4に記載の発明は脆弱加工部のヤング率が2.0ギガパスカル(GPa)以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子レンジ加熱用包装体である。
また、請求項5に記載の発明は前記包装袋が外層フィルムの内側に直鎖状低密度ポリエチレンから成るシーラント層を積層して構成されており、前記蒸気抜き用脆弱加工部が、少なくとも外層フィルムの内部に達し、かつ、シーラント層を貫通しない深さの脆弱加工部から構成されており、脆弱加工部のヤング率が2.8ギガパスカル(GPa)以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子レンジ加熱用包装体である。
本発明の包装体では、包装袋の壁面の一部に外側に突出する折込部が設けられている。このため、この包装体を電子レンジ中に載置して加熱した場合には、水蒸気の発生に伴って折込部の内部に水蒸気が流れ込み、この折込部が膨張して、谷折側フィルムと壁面との間に隙間ができる。この原理はこの包装体の向きに依存しない。
すなわち、この包装体を、折込部が設けられた壁面(天面部)が上を向くように電子レンジ中に載置(正常配置)して加熱した場合には、水蒸気の発生に伴って折込部の内部に水蒸気が流れ込み、折込部が膨らんで天面部から立ち上がり、谷折側フィルムと天面部との間に隙間ができる。一方、この包装体を、天面部が下を向くように電子レンジ中に載置(逆置配置)して加熱した場合には、水蒸気の発生に伴って折込部の内部に水蒸気が流れ込み、この膨らんだ折込部が支えとなって包装体自体が立ち上がることにより、谷折側フィルムと天面部との間に隙間ができる。
ところで、本発明の包装体では、脆弱加工部が谷折側フィルムに設けられている場合には、この脆弱加工部を包装袋の壁面(天面部)が塞いでいる。また、谷折側フィルムが倒された方向の天面部であっても、谷折側フィルムに対面する位置の天面部に脆弱加工部が設けられている場合には、脆弱加工部を谷折側フィルムが塞いでいるが、加熱に伴って両者の間に隙間ができて塞ぐものがなくなるため、水蒸気の発生に伴って前記脆弱加工部が破れて蒸気抜き孔が開き、水蒸気を逃がすことが可能となる。そして、このため、その破袋を防止することが可能なのである。
なお、この説明から分かるように、谷折側フィルムが倒された方向の壁面(天面部)であって、脆弱加工部に対面しない位置に脆弱加工部を設けた場合には、包装体を逆置配置したとき天面部の脆弱加工部は電子レンジの載置台の床面に密着することになるが、この場合でも、電子レンジ加熱による水蒸気の発生に伴って膨張した折込部が支えとなって包装体自体が立ち上がり、前記床面と天面部との間に隙間ができる。そして、このため、脆弱加工部が前記床面に塞がれた状態が解消される結果、脆弱加工部が破れて蒸気抜き孔が開き、水蒸気を逃がすことが可能となる。
図1(a)は谷折側フィルムに脆弱加工部を設けた包装体の断面説明図であり、図1(b)は正常配置して加熱したときの断面説明図である。 図2(a)は谷折側フィルムに脆弱加工部を設けた包装体を逆置配置したときの断面説明図であり、図2(b)は加熱したときの断面説明図である。 図3(a)は谷折側フィルムに対面する壁面(天面部)に脆弱加工部を設けた包装体の断面説明図であり、図3(b)は谷折側フィルムが倒された方向の壁面(天面部)であって、谷折側フィルムに対面しない壁面(天面部)に脆弱加工部を設けた包装体の断面説明図である。 図4(a)は本発明の実施形態に係る積層フィルムの要部断面図、図4(b)は脆弱加工部の周囲を示す平面説明図、図4(c)は別の実施形態に係る積層フィルムの要部断面図である。 比較例に係る包装体の断面説明図である。 比較例に係る包装体の断面説明図である。 比較例に係る包装体の断面説明図である。
本発明に係る包装体は、内容物とこれを密封する包装袋とを必須の構成要素とするものである。包装袋は三方シール袋、四方シール袋、ピロー袋、あるいはガゼット袋や自立性包装袋のいずれであってもよいが、これら包装袋を構成する壁面の一部に、外側にひだ状に突出する折込部を有しており、かつ、この折込部が天面部の一方に倒されている必要がある。そして、本発明は、折込部を構成する2枚のフィルムのうち、倒された方向に位置するフィルムを谷折側フィルム、他方のフィルムを山折り側フィルムとするとき、この谷折側フィルム又はこの谷折側フィルムが倒された方向の壁面に、加熱により発生した水蒸気を外部に放出する蒸気抜き用脆弱加工部が設けられていることを特徴的構成とするものである。
図面の図1(a)は本発明の実施例に係る包装体に例を示す断面説明図で、脆弱加工部を谷折側フィルムに設けた例である。包装袋1は、天面部11と底面部12とを壁面として、これら天面部11と底面部12との間の折り曲げ線を除く周囲三方をヒートシールして密封した三方シール袋であり、天面部11の略中央には、外側にひだ状に突出する折込部13が設けられている。この折込部13は、稜線13aを介して設けられた谷折側フィルム131と山折り側フィルム132とで構成されている。なお、説明の便宜のため、折込部13は天面部11から起立するように図示されているが、本発明に係る包装体では、折込部13は天面部11の一方(図示左側)に倒されており、谷折側フィルム131と天面部11とが密着している。谷折側フィルム131と天面部11とは、剥離容易に接着していてもよいが、接着していなくてもよい。両者が接着している場合であっても、後述するように、電子レンジ中で加熱したとき、水蒸気が流れ込んで膨張した折込部13が天面部11から剥離して両者の間に隙間を作る程度に剥離容易である必要がある。
そして、この包装袋1の谷折側フィルム131には、加熱により発生した水蒸気を外部
に放出する蒸気抜き用脆弱加工部131xが設けられている。前述のように、谷折側フィルム131と天面部11とは密着しているから、この脆弱加工部131xも天面部11に密着している。
この包装体は、天面部11が上を向くように電子レンジ中に載置(正常配置)して、電子レンジ加熱するものである。こうして加熱したときには、内容物から高温の水蒸気が発生し、その内圧が上昇する。そして、このように発生した高温水蒸気によって、まず、内容物を蒸らすことができる。次に、その内圧の上昇に伴って、折込部13の内部に水蒸気が流れ込んで折込部13が膨らみ、この膨張に同期して折込部13が立ち上がる(図1(b)参照)。そして、折込部13が立ち上がることに伴い、谷折側フィルム131の脆弱加工部131xと天面部11との間に隙間が生じ、包装体内部の水蒸気の熱と圧力によって脆弱加工部131xが破壊されて蒸気抜き孔が開き、過剰の水蒸気を外部に放出することができる。
次に、誤って仮に天地を逆にして載置した場合(図2(a)参照)には、水蒸気の発生に伴って折込部の内部に水蒸気が流れ込み、この膨らんだ折込部が支えとなって包装体自体が立ち上がることにより、谷折側フィルム131と天面部11との間に隙間ができる(図2(b)参照)。そして、脆弱加工部131xが破壊されて蒸気抜き孔が開き、過剰の水蒸気を外部に放出することができる。
次に、図3(a)は脆弱加工部111xを谷折側フィルム131に対面する位置の天面部111に設けた例である。この例でも、折込部13は天面部11の一方(図示左側)に倒されており、谷折側フィルム131と天面部111と対面して密着している。
そして、この包装体を電子レンジ中で加熱した場合でも、水蒸気が流れ込んだ折込部が膨らみ、正常配置の場合には膨らんだ折込部13が立ち上がり、逆置配置の場合には膨らんだ折込部13を支えとして包装体自体が立ち上がり、いずれの場合でも、谷折側フィルム131と天面部111との間に隙間ができる。そして、脆弱加工部111xが破壊されて蒸気抜き孔が開き、過剰の水蒸気を外部に放出することができる。
また、図3(b)は、谷折側フィルム131が倒された方向(図示左側)に位置する天面部111であるが、谷折側フィルム131に対面しない位置の天面部111に脆弱加工部111xを設けた例である。この例でも、折込部13は天面部11の一方(図示左側)に倒されているが、図から分かるように、倒された折込部13は脆弱加工部111xに重ならず、密着していない。
そして、この包装体を電子レンジ中に逆置配置した場合、天面部111の脆弱加工部111xは電子レンジの載置台の床面に密着するが、加熱した場合には、水蒸気が流れ込んだ折込部が膨らみ、膨らんだ折込部13を支えとして包装体自体が立ち上がるため、電子レンジの載置台の床面と天面部111との間に隙間ができる。そして、脆弱加工部111xが破壊されて蒸気抜き孔が開き、過剰の水蒸気を外部に放出することができる。
なお、谷折側フィルム131の脆弱加工部131xは複数個設けてもよい。同様に、天面部111の脆弱加工部111xを複数個設けることも可能である。また、これら両者を設けることもできる。
次に、本発明に係る脆弱加工部111x,131xは次のように構成することができる。すなわち、本発明に係る包装袋を外層フィルム1aの内側にシーラント層1bを積層した積層フィルムで構成し、少なくとも外層フィルム1aの内部に達し、かつ、シーラント層1bを貫通しない深さの脆弱加工部111x,131xを形成することができる(図4参照)。好ましくは、この脆弱加工部111x,131xのヤング率は2.8ギガパスカル(GPa)以下である。そして、この脆弱加工部111x,131xは、例えばレーザー光線を照射して外層フィルム1aの全部又は大部分を除去することによって可能である。また、レーザー光線によって脆弱加工部111x,131xを線状に形成した場合には、レーザー光線の出力の周期的変動により、脆弱加工部111x,131xを形成する際にできる溝に深い部分と浅い部分とが繰り返し形成され、このため、電子レンジ加熱した際に、溝の深い部分、すなわち、脆弱加工部111x,131xの薄い部分が早く裂けて、比較的短い間隔で多数の蒸気抜き孔が開くことになる。
外層フィルム1aは単層構造又は多層構造の樹脂フィルムで構成することができる。単層構造の樹脂フィルムとしては、ポリエステルフィルムやポリアミドフィルムが例示できる。また、多層構造の樹脂フィルムとしては、これらポリエステルフィルムやポリアミドフィルムに他の樹脂層を積層して多層構造としたものを使用することもできる。また、金属箔や真空蒸着層を一部に含む多層構造のフィルムを外層フィルム1aとしてもよい。真空蒸着層としては、金属の真空蒸着層のほか、無機酸化物の真空蒸着層が例示できる。例えば、酸化ケイ素又は酸化アルミニウムの真空蒸着層である。このほか、外層フィルム1aには印刷が施されていてもよい。
次に、シーラント層1bとしては、ポリオレフィン又は変性ポリオレフィンを使用することができる。単層構造又はこれらポリオレフィン類を積層した多層構造であってよい。ポリオレフィン又は変性ポリオレフィンとしては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、未延伸ポリプロピレン(CPP)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、アイオノマー等である。
(実施例1)
この実施例は、谷折側フィルム131に対面する壁面(天面部111)に脆弱加工部111xを設けた包装体の例である(図3参照)。
外層フィルム1aとしては厚さ16μmのポリエステルフィルムを使用した。シーラント層1bは厚さ40μmのLLDPEフィルムである。そして、この両者をドライラミネートして積層フィルムを製造した。次に、この積層フィルムの外層フィルム1a側から炭酸ガスレーザーを照射して、長さ4cmの直線状脆弱加工部111xを形成した。この脆弱加工部111xは、外層フィルム1aを除去し、シーラント層1bを貫通しない深さである。これら脆弱加工部111xのヤング率は1.6GPaであった。
そして、図3に示すように、この積層フィルムを使用して三方シール袋を製袋し、内容物として具入りシチュー150gを収容密封して包装体を製造し、冷凍した。
(実施例2)
この実施例は、谷折側フィルム131に脆弱加工部131xを設けた以外は、実施例1と同様である(図1参照)。この脆弱加工部131xを形成する方法も実施例1と同様であり、そのヤング率は1.6GPaである。
(実施例3)
この例は、積層フィルムの材質が異なる以外は、実施例1と同様である(図3参照)。
まず厚さ12μmのポリエステルフィルムを2枚使用し、これら2枚のポリエステルフ
ィルムをドライラミネートした後、その一方の面に印刷を施して外層フィルム1aとした。シーラント層1bは厚さ50μmのLLDPEフィルムである。そして、この両者をドライラミネートして積層フィルムを製造した。なお、脆弱加工部111xを形成する方法も実施例1と同様であるが、脆弱加工部111xのヤング率は2.5GPaであった。
(実施例4)
この例も、積層フィルムの材質が異なる以外は、実施例1と同様である(図3参照)。
すなわち、厚さ12μmのポリエステルフィルムに酸化珪素を真空蒸着したフィルムを外層フィルム1aとした。シーラント層1bは厚さ40μmのCPPフィルムである。そして、外層フィルム1aの蒸着面にヒートシールニスを塗布した後、このニス面にシーラント層1bをドライラミネートして積層フィルムを製造した。なお、脆弱加工部111xを形成する方法も実施例1と同様であるが、脆弱加工部111xのヤング率は2.0GPaであった。
(実施例5)
この例も、積層フィルムの材質が異なる以外は、実施例1と同様である(図3参照)。
すなわち、厚さ12μmのポリエステルフィルムを外層フィルム1aとし、厚さ30μmのLLDPEフィルムとして、外層フィルム1aにアンカーコート剤を塗布した後、溶融押し出ししたポリエチレン樹脂(厚さ20μm)を介して両者を接着することにより、積層フィルムを製造した。脆弱加工部111xを形成する方法も実施例1と同様であるが、脆弱加工部111xのヤング率は1.5GPaであった。
(比較例1)
この例は、山折り側フィルム132に脆弱加工部132xを設けた以外は、実施例1と同様である (図5参照)。この脆弱加工部132xを形成する方法も実施例1と同様であり、そのヤング率は1.6GPaである。
(比較例2)
この例は、山折り側フィルム132の方向に位置する天面部112に脆弱加工部112xを設けた以外は、実施例1と同様である (図5参照)。この脆弱加工部112xを形成する方法も実施例1と同様であり、そのヤング率は1.6GPaである。
(比較例3)
この例は折込部を持たない包装体の例である。脆弱加工部11xはその天面11に設けてある(図7参照)。その他は実施例1と同様である。
(評価)
これら実施例1〜5、比較例1〜3の包装体を、それぞれ、底面部が上を向いて、天面部11の脆弱加工部が電子レンジの載置台に密着するように載置し(逆置配置)、同様に600ワットで2分間加熱して、破袋の有無を観察した。この結果を表1に示す。
Figure 2016043948
以上のように、天面部11に脆弱加工部を設けた場合(比較例2,3)には、逆置配置して電子レンジ加熱すると、破袋して内容物が飛び出ることが観察された。また、折込部13に脆弱加工部を設けた場合であっても、山折り側フィルム132に脆弱加工部を設けた場合(比較例1)にも、包装体が破袋して内容物が飛び出ることが観察された。一方、谷折側フィルム131又はこの谷折側フィルム131に対面する天面部11に脆弱加工部を設けた場合(実施例1〜5)には、脆弱加工部に複数の小孔が発生して、この小孔から
水蒸気が放出され、包装体の破袋が生じないことが観察できた。
このような相違は、実施例1〜5の包装体の挙動と、比較例1〜3の包装体の挙動とを比較することによって説明できる。すなわち、比較例1〜3の包装体では、加熱したときにも、天面部11又は山折り側フィルム132に設けられた脆弱加工部が電子レンジの掲置台の床面に密着して塞がれているのに対して、実施例1〜5の包装体では加熱に伴って折込部13が膨張し、脆弱加工部と天面部11との間に隙間ができる。このため、脆弱加工部に複数の小孔が発生して、この小孔から過剰の水蒸気が十分に放出されると考えられるのである。
1:包装袋 1a:外層フィルム 1b:シーラント層
11:天面部 111:谷折側フィルムが倒された方向の天面部 112:山折側フィルム側の天面部
12:底面部
13:折込部 131:谷折側フィルム 132:山折側フィルム
111x,112x,131x,132x:脆弱加工部
2:内容物

Claims (5)

  1. 包装袋中に内容物を密封して成り、内容物を取り出すことなく電子レンジ中で加熱する包装体において、
    包装袋を構成する壁面の一部に、外側にひだ状に突出する折込部を有しており、かつ、この折込部が前記壁面に倒されており、
    前記折込部を構成する2枚のフィルムのうち,倒された方向に位置するフィルムを谷折側フィルム、他方のフィルムを山折り側フィルムとするとき、この谷折側フィルム又はこの谷折側フィルムが倒された方向の壁面に、加熱により発生した水蒸気を外部に放出する蒸気抜き用脆弱加工部が設けられていることを特徴とする電子レンジ加熱用包装体。
  2. 前記包装袋が外層フィルムの内側にシーラント層を積層して構成されており、前記蒸気抜き用脆弱加工部が、少なくとも外層フィルムの内部に達し、かつ、シーラント層を貫通しない深さの脆弱加工部から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ加熱用包装体。
  3. 外層フィルムシーラント層との間に、部分的に中間層を有することを特徴とする請求項2に記載の電子レンジ加熱用包装体。
  4. 脆弱加工部のヤング率が2.0ギガパスカル(GPa)以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子レンジ加熱用包装体。
  5. 前記包装袋が外層フィルムの内側に直鎖状低密度ポリエチレンから成るシーラント層を積層して構成されており、前記蒸気抜き用脆弱加工部が、少なくとも外層フィルムの内部に達し、かつ、シーラント層を貫通しない深さの脆弱加工部から構成されており、脆弱加工部のヤング率が2.8ギガパスカル(GPa)以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子レンジ加熱用包装体。
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