JP2009150017A - 製糸性向上ポリエステル繊維 - Google Patents

製糸性向上ポリエステル繊維 Download PDF

Info

Publication number
JP2009150017A
JP2009150017A JP2007330147A JP2007330147A JP2009150017A JP 2009150017 A JP2009150017 A JP 2009150017A JP 2007330147 A JP2007330147 A JP 2007330147A JP 2007330147 A JP2007330147 A JP 2007330147A JP 2009150017 A JP2009150017 A JP 2009150017A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
concentration
ester
poly
polyester
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007330147A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5384822B2 (ja
Inventor
Tomonori Miyamoto
智則 宮本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Frontier Co Ltd
Original Assignee
Teijin Fibers Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Fibers Ltd filed Critical Teijin Fibers Ltd
Priority to JP2007330147A priority Critical patent/JP5384822B2/ja
Publication of JP2009150017A publication Critical patent/JP2009150017A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5384822B2 publication Critical patent/JP5384822B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】本発明の目的は、ポリエステル繊維を製造する際に、製糸工程、特にワンステップの製糸工程において連続製糸性が改善された、優れた製糸性を有するポリエステル繊維の製造方法を提供することである。
【解決手段】ポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂中に含まれる全炭素原子中、1950年時点の循環炭素中の14C濃度を基準(100%)とした14C濃度の比率が11%以上のポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂を使用し紡糸速度3000m/分以上の溶融紡糸で得られるポリエステル繊維の製造方法によって達成される。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル繊維の製造方法に関する。さらに詳しくは、製糸工程、特にワンステップの製糸工程において連続製糸性が改善された、優れた製糸性を有するポリエステル繊維の製造方法に関する。
ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート及びポリテトラメチレンテレフタレートは、その機械的、物理的及び化学的性能が優れているため、繊維、フィルム又はその他の成形物に広く利用されている。その中でも特にポリエチレンテレフタレートは、機械的特性、化学的特性、成形性等に優れており、古くからポリエステル繊維用途に利用されている。近年ではこのポリエステル繊維製造工程において、その生産性を向上させる為に、紡糸速度や延伸、加工速度などを上げたり、紡糸−延伸工程を一段階で行うようなことが一般的に行われてきている。
一方で、ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルは酸成分であるテレフタル酸やテレフタル酸ジメチル等のジカルボン酸とジオール成分であるエチレングリコールとをエステル化反応あるいはエステル交換反応させた後、三酸化アンチモン等の重合触媒の存在下、重合反応工程を行い製造されることが一般的である。しかしながら、アンチモン化合物を重合触媒として使用したポリエステルを例えば長時間にわたって連続的に溶融紡糸し繊維化しようとした場合、口金孔周辺に異物(以下、単に口金異物と称することがある。)が付着堆積し、溶融ポリエステル流れの曲がり現象(ベンディング)が発生することがある。するとこれが原因となって紡糸、延伸工程において毛羽や断糸などを発生するという成形性の問題がある。
そこで、このような問題を解決する為に、ポリエステルの重合触媒としてチタン化合物を用いることが提案されている。また三酸化アンチモン等の重金属は環境負荷が大きく、環境負荷低減という観点からも重合触媒としてチタン化合物の使用は望ましい。
重合触媒としてチタン化合物を用いて製造されたポリエチレンテレフタレートは確かに口金孔周辺の堆積物が大幅に減少し、繊維製造工程を安定化させることが可能である。しかしながら、このようにチタン触媒を用いて製造されたポリエステルは特に繊維製造工程の紡糸速度を高めることにより、繊維の結晶化が促進され、その結果品質が安定しにくい欠点を有している。繊維製造工程の安定化の為には、配向結晶性を促進させると共に高分子結晶性を抑制することが必要であり、それは複屈折率(Δn)の増加と共に沸水収縮率の増加が起因している。
上記のような紡糸工程での繊維の結晶化を抑制する手段としては、例えばジフェニル化合物とアルカリ金属塩化合物を添加する方法が提案されている。しかしながら近年になり環境問題が深刻化している為、バイオマス由来の資源を利用した生成物が求められており、上述のような金属塩化合物添加ではなく、バイオマス資源を有効利用した改善が求められている(例えば特許文献1参照。)。
特開2006−321995号公報
本発明の目的は、ポリエステル繊維を製造する際に、製糸工程、特にワンステップの製糸工程において連続製糸性が改善された、優れた製糸性を有するポリエステル繊維の製造方法を提供することである。
本発明者は上記従来技術に鑑み鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、ポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂中に含まれる全炭素原子中、1950年時点の循環炭素中の14C濃度を基準(100%)とした14C濃度の比率(以下バイオ化率と称することがある。)が11%以上のポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂を使用し紡糸速度3000m/分以上の溶融紡糸で得られるポリエステル繊維の製造方法であり、これによって上記の課題が解決できる。
本発明によれば繊維製造工程において、ポリエステル繊維としての高い品質を維持しながら、断糸回数を減らせる事ができるなど、繊維生産工程の能力を高めることが可能となる。
本発明において、バイオ化率が11%以上とは後述するように、構成全炭素量に対する放射性炭素である14Cの濃度を測定し、その基準となる物質の濃度107.44pMCの場合をバイオ化率100%として、その基準に対する比率が11%で以上であることを表す。またバイオマスエチレングリコールとはバイオマス資源から製造したエチレングリコールであり、同様にして測定して得られたバイオ化率の値が80%以上のエチレングリコールのことを指す。
本発明において用いるバイオマスエチレングリコールとは、バイオマス資源から生成したエチレングリコールである。その製造方法は特に限定されないが、菌類や細菌など、微生物などの働きを利用した生物学的処理方法、酸、アルカリ、触媒、熱エネルギー、光エネルギーなどを利用した化学的処理方法、微細化、圧縮、マイクロ波処理、電磁波処理など物理的処理方法など既知の方法を行い、さらに触媒を用いて水素加熱分解反応を行い精製する方法、また、サトウキビ、バガス、炭水化物系作物などから生物学処理方法によりエタノールを製造し、更に、エチレンオキサイドを経て、精製する方法等により精製されたエチレングリコールである。
ここでバイオマス資源とは太陽エネルギーを使い、水と二酸化炭素から生成される再生可能な生物由来のカーボンニュートラルな有機性資源を指し、化石資源を除く。
本発明にバイオマス資源はその発生形態から廃棄物系、未利用系、資源作物系の3種に分類される。バイオマス資源は具体的には、セルロース系作物(パルプ、ケナフ、麦わら、稲わら、古紙、製紙残渣など)、リグニン、木炭、堆肥、天然ゴム、綿花、サトウキビ、油脂(菜種油、綿実油、大豆油、ココナッツ油など)、グリセロール、炭水化物系作物(トウモロコシ、イモ類、小麦、米、キャッサバなど)、バガス、テルペン系化合物、パルプ黒液、生ごみ、排水汚泥などが挙げられる。また、バイオマス資源からグリコール化合物を製造する方法は、特に限定はされないが、菌類や細菌などの微生物などの働きを利用した生物学的処理方法、酸、アルカリ、触媒、熱エネルギー若しくは光エネルギーなどを利用した化学的処理方法、又は微細化、圧縮、マイクロ波処理若しくは電磁波処理など物理的処理方法など既知の方法が挙げられる。
バイオマス資源からエチレングリコールに変換する方法としては、種々の方法をあげることができる。その製造方法は特に限定されないが、バイオマス資源から菌類や細菌などの微生物などの働きを利用した生物学的処理方法、酸、アルカリ、触媒、熱エネルギー若しくは光エネルギーなどを利用した化学的処理方法、微細化、圧縮、マイクロ波処理若しくは電磁波処理など物理的処理方法など既知の方法を行い、さらに触媒を用いて水素加熱分解反応を行い精製する方法、また、サトウキビ、バガス、炭水化物系作物などから生物学処理方法によりエタノールを製造し、更に、エチレンオキサイドを経て、精製する方法が挙げられる。このような手法により製造され、更に蒸留操作等により精製する方法も採用する事ができる。
或いは別の方法としてバイオマス資源から、グリセロール、ソルビトール、キシリトール、グルコール、フルクトース又はセルロースなどに変換し、さらに触媒を用いて水素化熱分解反応により、エチレングリコールと1,2−プロパンジオールの混合物を生成する。又はサトウキビ、バガス、炭水化物系作物などから生物学処理方法によりエタノールを製造し、更に、エチレンオキサイドを経て、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールの混合物を生成する方法などが挙げられる。
本発明においてバイオ化率とはエチレングリコール、ポリエステル構成全炭素原子中、1950年時点の循環炭素中の放射性炭素である14C濃度を基準(この値を100%と設定する)とした場合の14C濃度の比率を表す。その放射性炭素である14Cの濃度は以下の測定方法(放射性炭素濃度測定)により測定する事ができる。
14Cの濃度測定は、タンデム加速器と質量分析計を組み合わせた加速器質量分析法(AMS:Accelerator Mass Spectrometry)によって、分析する試料に含まれる炭素の同位体(具体的には12C、13C、14Cが挙げられる。)を加速器により原子の重量差を利用して物理的に分離し、同位体の原子一つ一つの存在量を計測する方法である。
炭素原子1モル(6.02×1023個)中には、通常の炭素原子の約一兆分の一である約6.02×1011個の14Cが存在する。14Cは放射性同位体と呼ばれ、その半減期は5730年で規則的に減少している。これらが全て崩壊するには22.6万年を要する。従って大気中の二酸化炭素等が植物等に取り込まれて固定化された後、22.6万年以上が経過したと考えられる石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料においては、固定化当初はこれらの中にも含まれていた14C元素は全てが崩壊しており、21世紀である現在は全く含まれていない。故にこれらの化石燃料を原料として生産された化学物質にも14C元素は全く含まれていない。一方、14Cは宇宙線が大気中で原子核反応を行い、絶え間なく生成され、放射壊変による減少とがバランスし、地球の大気環境中では、14Cの量は一定量となっている。
一方、大気中の二酸化炭素が植物やそれを食する動物などに取り込まれて固定化された場合には、その取り込まれた状態では、14Cは新たに補充されることなく、14Cの半減期に従って、時間の経過とともに14C濃度は一定の割合で低下する。このため、グリコール化合物中の14C濃度を分析することにより、化石資源を原料としたものか、或いはバイオマス資源を原料にしたグリコール化合物か簡易に判別することが可能となる。またこの14C濃度は1950年時点の自然界における循環炭素中の14C濃度をmodern standard referenceとし、この14C濃度を100%とする基準を用いる事が通常行われる。現在のこのようにして測定される14C濃度は約110pMC(percent Modern Carbon)前後の値であり、仮に試料として用いられているプラスチック等が100%天然系(生物系)由来の物質で製造されたものであれば、110pMC程度の値を示すことが知られている。この値が上述で言うバイオ化率100%に相当する。一方石油系(化石系)由来の物質を用いてこの14C濃度を測定した場合、ほぼ0pMCを示す。この値が上述で言うバイオ化率0%に相当する。これらの値を利用して天然由来系−化石由来系の混合比を算出する事が出来る様になる。更にこの14C濃度の基準となるmodern standard referenceとしてはNIST(National Institute of Standards and Technology:米国国立標準・技術研究所)が発行した蓚酸標準体を用いる事が好ましく採用する事が出来る。この蓚酸中の炭素の比放射能(炭素1g当たりの14Cの放射能強度)を炭素同位体毎に分別し、13Cについて一定値に補正して、西暦1950年から測定日までの減衰補正を施した値を標準の14C濃度濃度の値として用いている。
グリコール化合物中の14C濃度の分析方法は、まずグリコール化合物の前処理が必要となる。具体的にはグリコール化合物に含まれる炭素を酸化処理し、すべて二酸化炭素へと変換する。更に、得られた二酸化炭素を水や窒素と分離し、二酸化炭素を還元処理し、固形炭素であるグラファイトへと変換する。この得られたグラファイトにCsなどの陽イオンを照射して炭素の負イオンを生成させ、タンデム加速器を用いて炭素イオンを加速し、負イオンから陽イオンへ荷電変換させ、質量分析電磁石により123+133+143+の進行する軌道を分離し、143+は静電分析器により測定を行う。
本発明において、ポリエステル繊維を紡糸・製造する際に用いるポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂[以下単にポリエステルと呼称することがある。]は芳香族ジカルボン酸の炭素数1〜6個のジアルキルエステルを主たる酸成分原料とし、ジオール成分としてバイオ化率80%以上のエチレングリコールを利用して重合されたポリエステルであることが好ましい。ここで、「主たる」とは、本発明の効果が実質的に損なわれない範囲内、具体的にはポリエステルを構成している酸成分のうちの20モル%以下を芳香族ジカルボン酸の炭素数1〜6個のジアルキルエステル以外の酸成分を重合してもよいことを意味する。
その芳香族ジカルボン酸の炭素数1〜6個のジアルキルエステルとは、具体的には、芳香族ジカルボン酸部分としてはフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸の中でも好ましくは2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸を上げることができ、炭素数1〜6個のジアルキルエステルとしては、ジメチルエステル、ジエチルエステル、ジノルマルプロピルエステル、ジイソプロピルエステル、ジノルマルブチルエステル、ジ−sec−ブチルエステル、ジ−t−ブチルエステル、ジペンチルエステル、ジヘキシルエステルを挙げることができる。より具体的な化合物としては、イソフタル酸ジメチルエステル、イソフタル酸ジエチルエステル、イソフタル酸ジノルマルプロピルエステル、イソフタル酸ジイソプロピルエステル、イソフタル酸ジノルマルブチルエステル、テレフタル酸ジメチルエステル、テレフタル酸ジエチルエステル、テレフタル酸ジノルマルプロピルエステル、テレフタル酸ジイソプロピルエステル、テレフタル酸ジノルマルブチルエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジエチルエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジノルマルプロピルエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジイソプロピルエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジノルマルブチルエステル、2,7−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル、2,7−ナフタレンジカルボン酸ジエチルエステル、2,7−ナフタレンジカルボン酸ジノルマルプロピルエステル、2,7−ナフタレンジカルボン酸ジイソプロピルエステル、2,7−ナフタレンジカルボン酸ジノルマルブチルエステルを挙げる事ができる。これらの化合物の中でテレフタル酸ジメチルが製造・入手が容易な点、エステル交換反応を行う際に副生するアルコールを反応槽から除去しやすい点で好ましい。
上述したその酸成分として好ましく用いられるテレフタル酸ジメチルとして、リサイクルされたテレフタル酸ジメチルエステルの使用が望ましい。近年の環境問題、化石燃料枯渇問題の対策として、リサイクルされたテレフタル酸ジメチルエステルとバイオマスエチレングリコールによる環境負荷の軽減されたポリエステルの提供が可能となる。リサイクルされたテレフタル酸ジメチルエステルとは、ポリエステル廃棄物をエチレングリコールで解重合を行い、生成したビスヒドロキシエチルテレフタレートにメタノール添加し生成したテレフタル酸ジメチルエステルを精製することで得られた高純度のテレフタル酸ジメチルエステルのことである。
本発明におけるポリエステルの重合反応では、エステル交換反応触媒、重合反応触媒が使用され、エステル交換反応触媒としてカルシウム化合物、マンガン化合物、亜鉛化合物又はチタン化合物等が好ましく例示されるが、これらの中でもチタン化合物が特に好ましい。重合反応触媒としてゲルマニウム化合物、チタン化合物、アルミニウム化合物が好ましく例示されるが、これらの中でもチタン化合物が特に好ましい。
更に重合反応触媒として用いるチタン化合物については、通常市販されている酢酸チタン又はチタンテトラブトキシド若しくはチタンテトライソプロポキシド等のテトラアルコキシチタンを用いる事ができる。また下記一般式(I)で表されるチタン化合物と下記一般式(II)で表されるリン化合物とをチタン元素のモル数に対するリン元素のモル数(P/Ti)が1.0〜4.0となる範囲の組成で反応させたチタン化合物とリン化合物の反応生成物を重合反応触媒として用いることもできる。
Figure 2009150017
[上記式中、R、R、R及びRはそれぞれ同一若しくは異なって、アルキル基又はフェニル基を表す。mは1〜4の整数を表し、且つmが2〜4のとき、それぞれ2〜4個あるR及びRはそれぞれ同一の基又は異なる基を表す。]
Figure 2009150017
[上記式中、Rは炭素数2〜18個のアルキル基又は炭素数6〜20個のアリール基を表す。]
ここでチタン元素のモル数に対するリン元素のモル数(P/Ti)が1.0より小さい場合、得られるポリエステルの色調が、不良になり、かつその耐熱性が低下することがあり好ましくなく、4.0より大きい場合、ポリエステル生成反応に対する触媒活性が不十分になり好ましくない。チタン元素のモル数に対するリン元素のモル数(P/Ti)は1.2〜3.5の範囲が好ましく、1.5〜3.0の範囲が更に好ましい。
また、チタン化合物(I)とリン化合物(II)との触媒調製は、エチレングリコール中で加熱反応されている必要があるが、反応方法としては例えばリン化合物(II)からなる成分とエチレングリコールとを混合して、リン化合物の一部又は全部を溶媒中に溶解し、この混合液にチタン化合物(I)(エチレングリコール等を溶媒とする溶液であっても良い)を滴下し、反応系を0℃〜200℃の温度に30分間以上、好ましくは60〜150℃の温度に40〜90分間、加熱することによって行われる。この反応において、反応圧力については格別の制限はなく、通常常圧下で行われる。
ここで上記式(I)で表されるチタン化合物としては例えば、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラ−n−プロポキシド、チタンテトラエトキシドなどのチタンテトラアルコキシドや、オクタアルキルトリチタネート、ヘキサアルキルジチタネート、アルキルチタネートを挙げることができる、又上記式(I)で表されるチタン化合物以外のチタン化合物として、酢酸チタン、プロピオン酸チタン、安息香酸チタン等を挙げることができる。
また、上記式(II)で表されるリン化合物としては例えば、モノメチルホスフェート、モノエチルホスフェート、モノ−n−プロピルホスフェート、モノイソプロプルホスフェート、モノ−n−ブチルホスフェート、モノ−sec−ブチルホスフェート、モノ−t−ブチルホスフェート、モノペンチルホスフェート、モノヘキシルホスフェート、モノヘプチルホスフェート、モノオクチルホスフェート、モノノニルホスフェート、モノデシルホスフェート、モノドデシルホスフェート、モノフェニルホスフェート、モノベンジルホスフェート、モノ(4−メチルフェニル)ホスフェート、モノ(4−エチルフェニル)ホスフェート、モノ(4−プロピルフェニル)ホスフェート、モノ(4−ブチルフェニル)ホスフェート、モノ(4−ヘキシルフェニル)ホスフェート、モノ(4−ドデシルフェニル)ホスフェート、モノトリルホスフェート、モノキシリルホスフェート、モノビフェニルホスフェート、モノナフチルホスフェート、モノアントリルホスフェート等が挙げられる。
上記式(I)で表されるチタン化合物は予め下記式(III)の多価カルボン酸及び/又はその無水物と反応させて使用する方法も好ましく用いられる。その場合チタン化合物と、多価カルボン酸及び/又はその無水物の反応モル比は(2:1)〜(2:5)の範囲が好ましく、特に好ましい範囲は(1:1)〜(1:2)である。
Figure 2009150017
[上記式中、nは2〜4の整数を表す。]
本発明のポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂中に含まれる、ポリエステル可溶性のチタン元素量は全ジカルボン酸成分を基準として5〜70ppmの範囲にあるようにすることが好ましい。ここでポリエステル可溶性のチタン元素とは二酸化チタンのような無機粒子としてポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂中に配合され、ポリエステルと分子レベルで混和することなくポリエステル中に存在するTi元素は該当しないことを意味する。より具体的には有機系のTi系触媒等に含まれているチタン元素がポリエステル可溶性のチタン元素に該当する。上述の一般式(I)で表されるチタン化合物、酢酸チタンのチタン元素はポリエステル可溶性のチタン元素に該当する。該ポリエステル可溶性のチタン元素量が5ppm未満の場合は重合反応が遅くなり、70ppmを超える場合は得られるポリエステルの色調が、不良になり、かつその耐熱性が低下することがあり好ましくない。チタン元素量は7〜60ppmの範囲が好ましく、10〜50ppmの範囲が更に好ましい。
更に別途上記一般式(I)で表されるチタン化合物、及び下記一般式(I)で表されるチタン化合物と上記一般式(III)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた反応生成物からなる群から選ばれた少なくとも一種を含むチタン化合物成分を重合反応触媒として用いても良い。更にこれらのチタン化合物成分と、下記一般式(IV)により表されるリン化合物との未反応混合物から実質的になる触媒系を下記数式(1)及び(2)を同時に満足するようにして調製して、重合反応触媒として用いても良い。
Figure 2009150017
[上記式中、R及びRは同一又は異なっている、炭素原子数1〜4個のアルキル基を表し、Xは−CH−又は−CHPh−を表す。]
0.65 ≦ P/Ti ≦ 5.0 (1)
10 ≦ P+Ti ≦ 200 (2)
[上記数式中、Tiはポリエステル中に含有されるポリエステル可溶性のチタン金属元素の濃度(重量ppm)を、Pはポリエステル中に含有されるリン化合物のリン元素の濃度(重量ppm)を表す。]
本発明のポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂の製造において、重合反応に触媒として用いられるチタン化合物成分は、触媒に起因する異物を低減する観点から、ポリエステル可溶性のチタン元素を含むチタン化合物を使用することもできる。該ポリエステル可溶性のチタン元素を含むチタン化合物成分としては、下記一般式(I)で表される化合物、又は一般式(I)で表される化合物と下記一般式(III)で表される芳香族多価カルボン酸若しくはその無水物とを反応させた反応生成物をあげることができる。
Figure 2009150017
[上記式中、R、R、R及びRはそれぞれ同一若しくは異なって、アルキル基又はフェニル基を表す。mは1〜4の整数を表し、且つmが2〜4のとき、それぞれ2〜4個あるR及びRはそれぞれ同一の基又は異なる基を表す。]
Figure 2009150017
[上記式中、nは2〜4の整数を表す。]
ここで、一般式(I)で表されるチタン化合物としては、上述の式(I)について詳述したチタン化合物などが好ましく用いられる。
また、本発明のポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂の製造において、該上記式(I)で表されるチタン化合物と反応させる一般式(III)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物としては、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物が好ましく用いられる。
上記チタン化合物と芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させる場合には、溶媒に芳香族多価カルボン酸又はその無水物の一部又は全部を溶解し、この混合液にチタン化合物を滴下し、0〜200℃の温度で少なくとも30分間、好ましくは30〜150℃の温度で40〜90分間加熱することによって行われる。この際の反応圧力については特に制限はなく、常圧で十分である。なお、芳香族多価カルボン酸又はその無水物を溶解させる溶媒としては、エタノール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ベンゼン及びキシレン等から所望に応じていずれを用いることもできる。
ここで、チタン化合物と芳香族多価カルボン酸又はその無水物との反応モル比には特に限定はないが、チタン化合物の割合が高すぎると、得られるポリエステルの色調が悪化したり、軟化点が低下したりすることがあり、逆にチタン化合物の割合が低すぎると重合反応が進みにくくなることがある。このため、チタン化合物と芳香族多価カルボン酸又はその無水物との反応モル比は、2/1〜2/5の範囲内とすることが好ましい。
本発明のポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂の製造に重合反応触媒として用いる触媒系は、上記のチタン化合物成分は、下記一般式(IV)により表されるリン化合物との未反応混合物から実質的になるものである。
Figure 2009150017
[上記式中、R及びRは同一又は異なっている、炭素原子数1〜4個のアルキル基を表し、Xは−CH−又は−CHPh−を表す。]
上記一般式(IV)のリン化合物(ホスホネート化合物)としては、カルボメトキシメタンホスホン酸、カルボエトキシメタンホスホン酸、カルボプロポキシメタンホスホン酸、カルボプトキシメタンホスホン酸、カルボメトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボエトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボプロトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸及びカルボブトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸のジメチルエステル類、ジエチルエステル類、ジプロピルエステル類及びジブチルエステル類から選ばれることが好ましい。これらの化合物の中でより好ましいのは、カルボメトキシメタンホスホン酸、カルボメトキシメタンホスホン酸ジメチルエステル、カルボメトキシメタンホスホン酸ジエチルエステル、カルボエトキシメタンホスホン酸、カルボエトキシメタンホスホン酸ジメチルエステル又はカルボエトキシメタンホスホン酸ジエチルエステルである。
上記のホスホネート化合物は、通常安定剤として使用されるリン化合物に比較して、チタン化合物との反応が比較的緩やかに進行するので、反応中における、チタン化合物の触媒活性持続時間が長く、結果として該チタン化合物のポリエステルへの添加量を少なくすることができる。また、一般式(IV)のリン化合物を含む触媒系に多量に安定剤を添加しても、得られるポリエステルの熱安定性を低下させることがなく、その色調を不良化することが無い。
また、上記の触媒系は下記数式(1)及び(2)を同時に満足するものであることが好ましい。
0.65 ≦ P/Ti ≦ 5.0 (1)
10 ≦ P+Ti ≦ 200 (2)
[上記数式中、Tiはポリエステル中に含有されるポリエステル可溶性のチタン金属元素の濃度(重量ppm)を、Pはポリエステル中に含有されるリン化合物のリン元素の濃度(重量ppm)を表す。]
ここで、(P/Ti)が0.65未満の場合、ポリエステルの色相が黄味を帯びたものであり、好ましくない。また、(P/Ti)が5.0を越えるとポリエステルの重合反応性が大幅に低下し、目的とするポリエステルを得ることが困難となる。この(P/Ti)の適正範囲は通常の金属触媒系よりも狭いことが特徴的であるが、適正範囲にある場合、本発明のような従来にない効果を得ることができる。
一方、(Ti+P)が10に満たない場合は、製糸プロセスにおける生産性が大きく低下し、満足な性能が得られなくなる。また、(Ti+P)が200を越える場合には、触媒に起因する異物が少量ではあるが発生し好ましくない。
上記式(1)、(2)の範囲は好ましくは(1)式中の(P/Ti)は1.0〜4.5の範囲、(2)式中の(Ti+P)は12〜150の範囲であり、更に好ましくは、(1)式中の(P/Ti)は2.0〜4.0の範囲、(2)式中の(Ti+P)は15〜100の範囲である。
本発明の製造方法において、前記触媒系を用いて行われる重合反応は、230〜320℃の温度において、常圧下、又は減圧下、好ましくは0.05Pa〜0.2MPaにおいて、これらの条件を組み合わせて、15〜300分間重合反応させることが好ましい。
本発明のポリエステルに含まれるポリエステル可溶性のチタン元素量は全ジカルボン酸成分に対し5〜70ppmの範囲にあるようにする事も好ましい。ここで、「ポリエステル可溶性のチタン元素」については上述のとおりである。該ポリエステル可溶性のチタン元素量が5ppm未満の場合は重合反応が遅くなり、70ppmを超える場合は得られるポリエステルの色調が、不良になり、かつその耐熱性が低下することがあり好ましくない。ポリエステル可溶性のチタン元素量は7〜60ppmの範囲が好ましく、10〜50ppmの範囲が更に好ましい。
上記のポリエステルはバイオマスエチレングリコールを用いることを除いては、ポリエステル製造方法として知られている任意の方法によって製造することができる。具体的には、テレフタル酸とバイオマスエチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメチルのようなテレフタル酸の低級アルキルエステルとバイオマスエチレングリコールとをエステル交換反応させるか等の手法により、テレフタル酸のグリコールエステル及び/又はその低重合体を生成させる第一段階の反応と、第一段階の反応生成物を重合反応触媒の存在下で減圧加熱して所望の重合度になるまで重縮合反応させる第二段階の反応によって製造することができる。
なお、本発明のポリエステルには、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、蛍光増白剤、艶消剤、着色剤、消泡剤その他の添加剤等を配合してもよい。
生成したポリエステルの固有粘度は、0.50〜1.00dL/gの範囲内にあることが必要である。該固有粘度が0.50dL/g未満であると、得られるポリエステル繊維の機械的特性が不十分となり、一方1.00dL/gを越えると、溶融成形性が低下する為好ましくない。該固有粘度は0.60〜0.70dL/gの範囲にあることが好ましい。
ポリエステルで、酸成分としてテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸等を利用して得られた、ポリエチレンテレフタレートを構成する全炭素は、テレフタル酸ジメチル由来の炭素が80%、エチレングリコール由来の炭素が20%で構成されている。ジオール成分としてバイオ化率80%以上のエチレングリコールを用いるということは、ポリエチレンテレフタレートを構成する全炭素のうち、エチレングリコール由来の全炭素(ポリエチレンテレフタレートを構成する全炭素のうち20%)の80%以上がバイオマス由来の14Cであり、理論計算上、ポリエチレンテレフタレートのバイオ化率は16%以上となる。
ポリエステルで、酸性分として2,6−ナフタレンジカルボン酸等を利用して得られた、ポリエチレンナフタレートを構成する全炭素は、2,6−ナフタレンジカルボン酸由来の炭素が86%、エチレングリコール由来の炭素が14%で構成されている。ジオール成分としてバイオ化率80%以上のエチレングリコールを用いるということは、ポリエチレンナフタレートを構成する全炭素のうち、エチレングリコール由来の全炭素(ポリエチレンナフタレートを構成する全炭素のうち14%)の80%以上がバイオマス由来の14Cであり、理論計算上、ポリエチレンテレフタレートのバイオ化率は11%以上となる。
本発明のポリエステル繊維を溶融紡糸により製造する時の製造方法としては特に限定はなく、従来公知の溶融紡糸方法が用いられる。例えば乾燥したポリエステル組成物を270℃〜300℃の範囲で溶融紡糸して製造することが好ましく、溶融紡糸の速度は400〜9000m/分で紡糸することができ、必要によって延伸工程などを経て繊維の強度を十分なものに高めることが可能である。しかしながら、本発明の効果をより高く発現させる為には紡糸速度は3000〜5000m/分、更に好ましくは3500〜4500m/分の範囲で溶融紡糸することが好ましく選択される。
また紡糸時に使用する口金の形状についても特に制限は無く、円形、異形、中実又は中空などのいずれも採用することが出来る。更に本発明のポリエステル繊維は風合を高める為に、アルカリ減量処理も好ましく実施される。
本発明のポリエステル繊維において、溶融温度290℃、紡糸速度3000m/分以上で溶融紡糸した際に得られる繊維の引張強度が2.5cN/dtex以上、沸水収縮率が20%以上であることが好ましい。ここで、引張強度が2.5cN/dtex未満の場合、繊維中の分子鎖が十分に配向結晶化していない為、強力が不十分となり、沸水収縮率が20%未満の場合、繊維の高分子結晶化が進みすぎていることから、その後の加工性に劣る為好ましくない。
優れた製糸性を有し、高品質の繊維を安定して生産する為には配向結晶性を促進させると共に高分子結晶性を抑制することが必要であり、それは複屈折率(Δn)の増加と共に沸水収縮率の増加が起因している。複屈折率が低いほど強度が不十分となり、沸水収縮率が低ければ高分子結晶化が進みすぎている為、その後の加工性に劣る。
以下実施例で本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」及び「%」は、特別な記載がない限り重量部及び重量%を表し、また各測定値は下記の方法にしたがった。
実施例1、2では、ジオール成分としてバイオマスエチレングリコールを使用し、比較例1、2では、ジオール成分として化石資源由来のエチレングリコールを使用した。バイオ化率の測定結果、バイオマスエチレングリコールのバイオ化率は90%であった。一方、化石資源由来のエチレングリコールのバイオ化率は<0.06%であった。
(1)固有粘度(IV)
ポリエステルの固有粘度は、35℃のオルソクロロフェノール溶液でウベローデ型粘度計を用いて測定した。
(2)ジエチレングリコール(DEG)含有量
得られたポリエステルを粉砕、ヒドラジン分解し、得られた上澄み液をガスクロマトグラフで分析し定量した。
(3)バイオ化率評価(14C濃度測定)
14Cの濃度測定は、タンデム加速器と質量分析計を組合せた加速器質量分析法によって、構成全炭素量に対する放射性炭素である14Cの濃度比を測定しバイオ化率を求めた。
(4)繊維の繊度、引張強度(破断強度)、引張伸度(破断伸度)、沸水収縮率
JIS L1013:1999 8.3、8.5、8.18.1記載の方法に準拠して測定を行った。
(5)複屈折率(Δn)
紡糸して得たポリエステル繊維を40〜50°の斜め方向に切断し、スライドガラス上に置き偏光顕微鏡を用いて測定を行った。
(6)紡糸断糸回数評価
実施例での紡糸条件にて紡出量が1トンになるまで紡糸を行い、その間の断糸回数を数え、製糸性の評価として用いた。断糸回数が少ないほど製糸性が良好であると評価した。
[参考例1]
・トリメリット酸チタン(TMT)の合成
エチレングリコール2.5重量部に無水トリメリット酸0.8重量部を溶解し、この溶液にチタンテトラブトキシド0.7重量部(後記ポリエステルの製造に用いられる無水トリメリット酸のモル量を基準として0.5モル%)を滴下し、この反応系を空気中、常圧下、80℃に60分間保持してチタンテトラブトキシドと無水トリメリット酸とを反応させ、反応生成物を熟成させた。その後反応系を常温に冷却し、これにアセトン15重量部を加え、析出物をNo.5のろ紙で濾過し、採取し、これを100℃の温度で2時間乾燥した。得られた反応生成物のチタン含有量は11.2重量%であった。この反応生成物を以下の実施例等で触媒として用いた。
[実施例1]
・ポリエステルチップの製造
ポリエチレンテレフタレートをエチレングリコールを用いて解重合を行い、次いでメタノールと反応させる事によって得たテレフタル酸ジメチルを100部、バイオマスエチレングリコール60部、トリメリット酸チタン0.0012部をエステル交換缶に仕込み、0.08MPaで加圧し、窒素ガス雰囲気下、約3時間かけて140℃から240℃まで昇温して生成するメタノールを系外に留出しながらエステル交換反応した。
エステル交換を終了させた後、安定剤としてトリエチルホスホノアセテートを0.012部添加し、ただちに285℃まで昇温し、減圧下、重縮合反応を行い、ポリエステルを得た。得られたポリエステルのIV、DEG含有量、バイオ化率の評価結果は表1に示した。
・ポリエステル繊維の製造
チップを140℃、10時間乾燥後、紡糸温度290℃、巻取速度3750m/分の場合及び4000m/分の場合にてそれぞれフィラメント数36本であるマルチフィラメンのポリエステル繊維を得た。得られたポリエステル繊維について繊度、引張強度、引張伸度、沸水収縮率、複屈折率を測定し結果を表2に示した。製糸性評価としてポリエステルの総量が1トンになるまで紡糸を行い、その間の断糸回数を表2に示した。
[比較例1]
実施例1において使用したバイオマスエチレングリコールに換えて従来より製造されている化石資源から得て精製されたエチレングリコールを使用してポリエステルを得た。評価結果は表1に示した。更に実施例1と同様の手法にてポリエステル繊維を紡糸し、得られたポリエステル繊維の評価結果を表2に示した。
[実施例2]
従来より製造されている化石資源から得て精製されたテレフタル酸ジメチル100部、バイオマスエチレングリコール60部、トリメリット酸チタン0.0012部をエステル交換缶に仕込み、0.08MPaで加圧し、窒素ガス雰囲気下、約3時間かけて140℃から240℃まで昇温して生成するメタノールを系外に留出しながらエステル交換反応した。
エステル交換を終了させた後、安定剤としてトリエチルホスホノアセテート0.012部添加し、ただちに285℃まで昇温し、減圧下、重縮合反応を行い、ポリエステルを得た。得られたポリエステルのIV、DEG含有量、バイオ化率の評価結果は表1に示した。実施例1と同様の手法にてフィラメント数36本であるポリエステル繊維を紡糸し、得られた繊維の結果を表2に示した。
[比較例2]
実施例2において使用したバイオマスエチレングリコールに換えて従来の化石資源により精製されたエチレングリコールを使用してポリエステルを得た。評価結果は表1に示した。実施例1と同様の手法にてポリエステル繊維を紡糸し、得られた繊維の結果を表2に示した。
Figure 2009150017
Figure 2009150017
本発明によれば、ポリエステル繊維製造工程において、ポリエステル繊維としての高い品質を維持しながら、断糸回数を減らせる事ができるなど、繊維生産工程の能力を高めることが可能となる。また上述のように環境問題が深刻化している近年において、バイオマス由来の資源を利用した生成物が求められており、そのバイオマス資源を有効利用したポリエステルを提供する事が可能となりえる。

Claims (7)

  1. ポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂中に含まれる全炭素原子中、1950年時点の循環炭素中の14C濃度を基準(100%)とした14C濃度の比率が11%以上のポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂を使用し紡糸速度3000m/分以上の溶融紡糸で得られるポリエステル繊維の製造方法。
  2. ポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂が、ポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂中に含まれる全炭素原子中1950年時点の循環炭素中の14C濃度を基準(100%)とした14C濃度の比率が16%以上のポリエチレンテレフタレート、又はポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂中に含まれる全炭素原子中1950年時点の循環炭素中の14C濃度を基準(100%)とした14C濃度の比率が11%以上のポリエチレンナフタレートである請求項1記載のポリエステル繊維の製造方法。
  3. ポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂中に含まれる全炭素原子中、1950年時点の循環炭素中の14C濃度を基準(100%)とした14C濃度の比率が11%以上のポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂が芳香族ジカルボン酸の炭素数1〜6個のジアルキルエステルを主たる酸成分原料として、ポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂中に含まれる全炭素原子中、1950年時点の循環炭素中の14C濃度を基準(100%)とした14C濃度の比率が80%以上のエチレングリコールをジオール成分原料として用いて製造されたことを特徴とする請求項1又は2記載のポリエステル繊維の製造方法。
  4. ポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂が重合触媒にチタン化合物を用いて製造されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のポリエステル繊維の製造方法。
  5. 芳香族ジカルボン酸の炭素数1〜6個のジアルキルエステルがテレフタル酸ジメチルエステル又はナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルである請求項3又は4記載のポリエステル繊維の製造方法。
  6. テレフタル酸ジメチルエステルが、ポリエチレンテレフタレートを解重合して得られたテレフタル酸ジメチルである請求項5記載の製糸性に優れたポリエステル繊維の製造方法。
  7. 引張強度が2.5cN/dtex以上、沸水収縮率が20%以上である請求項1〜6のいずれか1項記載の製糸性に優れたポリエステル繊維の製造方法。
JP2007330147A 2007-12-21 2007-12-21 製糸性向上ポリエステル繊維の製造方法 Expired - Fee Related JP5384822B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007330147A JP5384822B2 (ja) 2007-12-21 2007-12-21 製糸性向上ポリエステル繊維の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007330147A JP5384822B2 (ja) 2007-12-21 2007-12-21 製糸性向上ポリエステル繊維の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009150017A true JP2009150017A (ja) 2009-07-09
JP5384822B2 JP5384822B2 (ja) 2014-01-08

Family

ID=40919444

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007330147A Expired - Fee Related JP5384822B2 (ja) 2007-12-21 2007-12-21 製糸性向上ポリエステル繊維の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5384822B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012057105A1 (ja) * 2010-10-27 2012-05-03 帝人ファイバー株式会社 バイオマス由来ポリエステル短繊維およびそれからなる湿式不織布
JP2012097164A (ja) * 2010-10-29 2012-05-24 Dainippon Printing Co Ltd ポリエステル樹脂組成物
JP2012140728A (ja) * 2011-01-04 2012-07-26 Teijin Fibers Ltd ポリエステルおよびポリエチレンからなる芯鞘型複合繊維
EP2558582A1 (en) * 2010-04-13 2013-02-20 Genomatica, Inc. Microorganisms and methods for the production of ethylene glycol
JP2016006198A (ja) * 2015-08-18 2016-01-14 大日本印刷株式会社 ポリエステル樹脂組成物
JP2017061707A (ja) * 2017-01-12 2017-03-30 大日本印刷株式会社 ポリエステル樹脂組成物
JP2018076525A (ja) * 2017-12-20 2018-05-17 大日本印刷株式会社 ポリエステル樹脂組成物

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004183143A (ja) * 2002-12-03 2004-07-02 Teijin Ltd ポリエステル繊維及びその製造方法
JP2005139287A (ja) * 2003-11-06 2005-06-02 Mitsubishi Chemicals Corp ポリエステルの製造方法
JP2006321995A (ja) * 2005-04-22 2006-11-30 Mitsubishi Chemicals Corp ポリエステルの製造方法
JP2007238703A (ja) * 2006-03-07 2007-09-20 Teijin Fibers Ltd 製糸性に優れたポリエステル組成物およびそれよりなる繊維
CN101046007A (zh) * 2007-03-16 2007-10-03 东华大学 一种pdt共聚酯纤维的制备方法
JP2007291170A (ja) * 2006-04-21 2007-11-08 Teijin Fibers Ltd 製糸性に優れたポリエステルおよびそれよりなる繊維

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004183143A (ja) * 2002-12-03 2004-07-02 Teijin Ltd ポリエステル繊維及びその製造方法
JP2005139287A (ja) * 2003-11-06 2005-06-02 Mitsubishi Chemicals Corp ポリエステルの製造方法
JP2006321995A (ja) * 2005-04-22 2006-11-30 Mitsubishi Chemicals Corp ポリエステルの製造方法
JP2007238703A (ja) * 2006-03-07 2007-09-20 Teijin Fibers Ltd 製糸性に優れたポリエステル組成物およびそれよりなる繊維
JP2007291170A (ja) * 2006-04-21 2007-11-08 Teijin Fibers Ltd 製糸性に優れたポリエステルおよびそれよりなる繊維
CN101046007A (zh) * 2007-03-16 2007-10-03 东华大学 一种pdt共聚酯纤维的制备方法

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2558582A1 (en) * 2010-04-13 2013-02-20 Genomatica, Inc. Microorganisms and methods for the production of ethylene glycol
EP2558582A4 (en) * 2010-04-13 2013-12-04 Genomatica Inc MICROORGANISMS AND PROCESSES FOR THE PRODUCTION OF ETHYLENE GLYCOL
US8741103B2 (en) 2010-10-27 2014-06-03 Teijin Limited Biomass-derived polyester staple fibers and wet-laid nonwoven fabric formed from the same
CN104153028A (zh) * 2010-10-27 2014-11-19 帝人株式会社 来源于生物质的聚酯短纤维以及包含它的湿式无纺布
CN103168121A (zh) * 2010-10-27 2013-06-19 帝人株式会社 来源于生物质的聚酯短纤维以及包含它的湿式无纺布
KR101866594B1 (ko) * 2010-10-27 2018-06-11 데이진 프론티아 가부시키가이샤 바이오매스 유래 폴리에스테르 단섬유를 포함하는 습식 부직포
KR20130141541A (ko) * 2010-10-27 2013-12-26 데이진 가부시키가이샤 바이오매스 유래 폴리에스테르 단섬유 및 그것으로 이루어지는 습식 부직포
JPWO2012057105A1 (ja) * 2010-10-27 2014-05-12 帝人株式会社 バイオマス由来ポリエステル短繊維およびそれからなる湿式不織布
WO2012057105A1 (ja) * 2010-10-27 2012-05-03 帝人ファイバー株式会社 バイオマス由来ポリエステル短繊維およびそれからなる湿式不織布
EP2634297A4 (en) * 2010-10-27 2016-07-27 Teijin Ltd POLYESTER SHORT FIBERS DERIVED FROM BIOMASS AND WET LIQUID MOLDED THEREFOR
US9062399B2 (en) 2010-10-27 2015-06-23 Teijin Limited Biomass-derived polyester wet-laid nonwoven fabric
JP2012097164A (ja) * 2010-10-29 2012-05-24 Dainippon Printing Co Ltd ポリエステル樹脂組成物
JP2012140728A (ja) * 2011-01-04 2012-07-26 Teijin Fibers Ltd ポリエステルおよびポリエチレンからなる芯鞘型複合繊維
JP2016006198A (ja) * 2015-08-18 2016-01-14 大日本印刷株式会社 ポリエステル樹脂組成物
JP2017061707A (ja) * 2017-01-12 2017-03-30 大日本印刷株式会社 ポリエステル樹脂組成物
JP2018076525A (ja) * 2017-12-20 2018-05-17 大日本印刷株式会社 ポリエステル樹脂組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP5384822B2 (ja) 2014-01-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5421120B2 (ja) バイオマスエチレングリコールを用いた耐熱性向上ポリエステル
JP5384822B2 (ja) 製糸性向上ポリエステル繊維の製造方法
JP5316725B1 (ja) 耐熱性に優れたポリエステルおよびその製造方法
JP3897756B2 (ja) ポリエステル製造用触媒及びそれを用いるポリエステル製造方法
AU2002332182B2 (en) Process for producing poly(ethylene-aromatic dicarboxylate ester) resin and resin product
JP2011219736A (ja) ポリアルキレンテレフタレート樹脂組成物およびそれからなる繊維
JP2014001257A (ja) バイオマス資源由来ポリエステルの製造方法およびバイオマス資源由来ポリエステル
JP2007291170A (ja) 製糸性に優れたポリエステルおよびそれよりなる繊維
JP2010280995A (ja) 工業用ポリエステル繊維の製造方法
JP2010280750A (ja) 非化石原料を用いた環境負荷低減型耐熱性ポリエステルおよびその製造方法
JPH09227767A (ja) ポリエステル組成物
JP2003160655A (ja) ポリエステルの製造方法及びポリエステル繊維
EP1426395B1 (en) Polytrimethylene terephthalate polyester
TW201708303A (zh) 聚酯樹脂
CN108659211B (zh) 疏水性醇类金属化合物和异山梨醇改性聚酯的制备方法
WO2018135616A1 (ja) 空気入りタイヤ
JP2020045580A (ja) 空気入りタイヤ
JP2020044849A (ja) 空気入りタイヤ
JP2020044852A (ja) 空気入りタイヤ
JP2020044851A (ja) 空気入りタイヤ
JP2020045579A (ja) 空気入りタイヤ
JP2020044850A (ja) 空気入りタイヤ
JP2023115979A (ja) 熱接着性複合繊維
WO2023243609A1 (ja) 共重合ポリエステル樹脂及びその成形体、並びに共重合ポリエステル樹脂の製造方法
JPH08850B2 (ja) 改質ポリエステルの製造法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20101007

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20110707

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20110707

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110922

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110927

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120508

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120705

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130205

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20130208

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130322

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130910

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131003

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees