JP2020045579A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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直昭 宮部
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敬倫 砂川
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Koji Azuma
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Abstract

【課題】カーカス材に主たる原料として非化石原料を用いた環境負荷低減型ポリエチレンテレフタレートを用いて製造された空気入りタイヤを提供すること。【解決手段】非化石原料由来であるポリエチレンテレフタレートを含むカーカス材を用いて製造された空気入りタイヤ。好ましい態様において、該ポリエチレンテレフタレートの直鎖部分もしくは環状部分が非化石原料由来の原料を用いて製造されたポリエチレンテレフタレートをカーカス材に用いて製造された空気入りタイヤ。【選択図】なし

Description

本発明は、非化石原料由来で構成された、カーカス材に環境負荷低減型ポリエチレンテレフタレートを用いて製造された空気入りタイヤに関するものである。
カーカス材に用いられるポリエチレンテレフタレートは、そのほとんどが石油由来の原料より製造されている。石油由来のポリエチレンテレフタレートの多くは軽くて強靭であり耐久性に優れ、容易かつ任意に成形することが可能であり、量産されてカーカス材が優れた性能を発揮することを支えてきた。しかし、これらのポリエチレンテレフタレートは、環境中に廃棄された場合、容易に分解されずに蓄積する。また、焼却の際には大量の二酸化炭素を放出し、地球温暖化に拍車を掛けている。近年、化石燃料の減少、大気中の二酸化炭素増加という深刻な環境問題に対する対策が必要となっており、カーカス材に用いるポリエチレンテレフタレートの分野では、原料として非化石原料から誘導された原料を用いた環境負荷の軽減されたポリエチレンテレフタレートが求められている。
植物はその成長時に空気中の二酸化炭素を吸収し、光合成により炭素を自らに固定化する。したがってその植物を原料として製造したポリエチレンテレフタレートを使用し、使用後に燃焼された際に発生する二酸化炭素は、その植物がもともと吸収した二酸化炭素と同量である、いわゆるカーボンニュートラルとなり、たとえ燃焼させても地球上の二酸化炭素を増加させることはない。
このような観点から、特許文献1には、非化石原料を主たる原料として用いた、優れた耐熱性を有する環境負荷低減型のポリエチレンテレフタレートが記載されている。しかしながら、引用文献1には、この環境負荷低減型のポリエチレンテレフタレートをカーカス材に利用することは記載されていない。
また、特許文献2には、ポリエチレンテレフタレートをタイヤのカーカス材として使用することが記載されている。しかしながら、特許文献2には、ポリエチレンテレフタレートの構成炭素の由来については記載されていないことから、化石原料由来のポリエチレンテレフタレートが使用されていると推測される。
さらに、特許文献3には、ポリエチレンテレフタレートをタイヤのベルト補強材として使用することが記載されている。しかしながら、特許文献3にも、かかるポリエチレンテレフタレートの構成炭素の由来については記載されていないことから、化石原料由来のポリエチレンテレフタレートが使用されていると推測される。
特開2010−280750号公報 特開2008−290503号公報 特開平5−338403号公報
本発明の目的は、カーカス材に主たる原料として非化石原料を用いた環境負荷低減型ポリエチレンテレフタレートを用いて製造された空気入りタイヤを提供することにある。
ここで「環境負荷低減型」とは、具体的にはその対象となるポリエチレンテレフタレートを燃焼させた場合に発生する二酸化炭素の実質的な発生量が少ないことなどを表す。
上記課題の下に本発明者らが鋭意検討した結果、非化石原料由来ポリエチレンテレフタレートを用いることにより、従来の化石原料由来のポリエチレンテレフタレートから製造したカーカス材と比較しても性能が損なわれることがないことを見出し、本発明を完成するにいたった。
すなわち、本発明は、カーカス材に非化石原料由来ポリエチレンテレフタレートを用いて製造された空気入りタイヤを提供する。
本発明のカーカス材のポリエチレンテレフタレートは非化石原料で構成されており、かつ固有粘度が0.50〜1.00dL/g、融点が230℃以上であるポリエチレンテレフタレートであり、これによって上記の課題が解決できる。
以下、ある有機化合物中の全炭素原子中、1950年時点の循環炭素中の14C濃度を基準(100%)としたときに、現時点でのその有機化合物に含まれる14C濃度比率をその有機化合物の「バイオ化率」と称する。この濃度比率の測定原理・測定手法については後述する。
本発明によれば、非化石原料由来環境負荷低減型ポリエチレンテレフタレートを使用した環境負荷低減型のカーカス材を提供することができる。
すなわち、化石原料を使用して製造される同じ化学構造を有するポリエチレンテレフタレートから構成されるカーカス材と比べて、本発明のカーカス材を構成するポリエチレンテレフタレートを燃焼させたときに発生する二酸化炭素の実質的な排出量が少なくともポリエチレンテレフタレート1kgあたり400g以上削減されるカーカス材であるという効果を有する。よって、環境負荷を低減させながら、従来と同じ性能を発揮できるカーカス材を提供することができる。
本発明の非化石原料由来ポリエチレンテレフタレートは、例えば、空気入りタイヤを構成するカーカス材として用いることができる。非化石原料由来ポリエチレンテレフタレートは、非化石原料由来原料を用いる以外は、従来のポリエチレンテレフタレートと同様の方法で製造され、カーカス材の製造に用いられる。
本発明において、また非化石原料由来原料とは、非化石バイオマス資源から製造した原料を指す。ここで非化石バイオマス資源とは、太陽エネルギーを使い、水と二酸化炭素から生成される再生可能な生物由来のカーボンニュートラルな有機性資源を指し、石油、石炭、天然ガスなどより得られる化石資源を除く資源のことを指す。すなわち、このような非化石バイオマス資源より製造された原料となる有機化合物などを上述した非化石原料と称する。
本発明におけるバイオマス資源は、その発生形態から廃棄物系、未利用系、資源作物系の3種に分類される。バイオマス資源としては、例えばセルロース系作物(パルプ、ケナフ、麦わら、稲わら、古紙、製紙残渣など)、リグニン、木炭、堆肥、天然ゴム、綿花、サトウキビ、油脂(菜種油、綿実油、大豆油、ココナッツ油など)、グリセロール、炭水化物系作物(トウモロコシ、イモ類、小麦、米、キャッサバなど)、バガス、テルペン系化合物、パルプ黒液、生ごみ、排水汚泥などが挙げられる。また、バイオマス資源からグリコール化合物を製造する方法としては、特に限定はされないが、菌類や細菌などの微生物などの働きを利用した生物学的処理方法;酸、アルカリ、触媒、熱エネルギーもしくは光エネルギーなどを利用した化学的処理方法;または微細化、圧縮、マイクロ波処理もしくは電磁波処理など物理的処理方法など既知の方法が挙げられる。
バイオマス資源からポリエチレンテレフタレートを製造する方法としては、種々の製造方法を挙げることができる。その製造方法は特に限定されないが、まずバイオマス資源から菌類や細菌などの微生物などの働きを利用した生物学的処理方法;酸、アルカリ、触媒、熱エネルギーもしくは光エネルギーなどを利用した化学的処理方法;または微細化、圧縮、マイクロ波処理もしくは電磁波処理など物理的処理方法など既知の方法を行う。次にこれらの製造方法により得られた生成物に対して、さらに触媒を用いて水素加熱分解反応を行い精製する方法が挙げられる。また別の1つの製造方法として、サトウキビ、バガス、炭水化物系作物などから生物学処理方法によりエタノールを製造し、さらに、エチレンオキサイドを経て生成する方法などが挙げられる。このような手法により製造され、さらに蒸留操作等により精製する方法なども採用することができる。
あるいは別の方法としてバイオマス資源から、グリセロール、ソルビトール、キシリトール、グルコール、フルクトースまたはセルロースなどに変換し、さらに触媒を用いて水素化熱分解反応により、エチレングリコールと1,2−プロパンジオールの混合物を生成する。またはサトウキビ、バガス、炭水化物系作物などから生物学処理方法によりエタノールを製造し、さらに、エチレンオキサイドを経て、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールの混合物を生成する方法などが挙げられる。
本発明においてバイオ化率とは、ポリエチレンテレフタレートを構成する全炭素原子中、1950年時点の循環炭素中の放射性炭素である14C濃度を基準(この値を100%と設定する)とした場合の14C濃度の比率を表す。その放射性炭素である14Cの濃度は以下の測定方法(放射性炭素濃度測定)により測定することができる。すなわち14Cの濃度測定は、タンデム加速器と質量分析計を組み合わせた加速器質量分析法(AMS:Accelerator Mass Spectrometry)によって、分析する試料に含まれる炭素の同位体(具体的には12C、13C、14Cが挙げられる。)を加速器により原子の重量差を利用して物理的に分離し、同位体の原子一つ一つの存在量を計測する方法である。
炭素原子1モル(6.02×1023個)中には、通常の炭素原子の約一兆分の一である約6.02×1011個の14Cが存在する。14Cは放射性同位体と呼ばれ、その半減期は5730年で規則的に減少している。これらが全て崩壊するには22.6万年を要する。従って大気中の二酸化炭素などが植物などに取り込まれて固定化された後、22.6万年以上が経過したと考えられる石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料においては、固定化当初はこれらの中にも含まれていた14C元素は全てが崩壊している。ゆえに、現在に至っては石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料中に14C元素は全く含まれてない。ゆえに、これらの化石燃料を原料として生産された化学物質にも14C元素は全く含まれていない。一方、14Cは宇宙線が大気中で原子核反応を行い、絶え間なく生成され、放射壊変による減少とがバランスし、地球の大気環境中では、14Cの量は一定量となっている。
一方、大気中の二酸化炭素が植物やそれを食する動物などに取り込まれて固定化された場合には、その取り込まれた状態では、14Cは新たに補充されることなく、14Cの半減期に従って、時間の経過とともに14C濃度は一定の割合で低下する。このため、14C濃度を分析することにより、化石資源を原料としたものか、あるいはバイオマス資源を原料にした化合物かを簡易に判別することが可能となる。またこの14C濃度は1950年時点の自然界における循環炭素中の14C濃度をmodern standard referenceとし、この14C濃度を100%とする基準を用いることが通常行われる。現在のこのようにして測定される14C濃度は、約110pMC(percent Modern Carbon)前後の値であり、仮に試料として用いられているプラスチックなどが100%天然系(生物系)由来の物質で製造されたものであれば、110pMC程度の値を示すことが知られている。この値が上述したバイオ化率100%に相当する。一方石油系(化石系)由来の物質を用いてこの14C濃度を測定した場合、ほぼ0pMCを示す。この値が上述したバイオ化率0%に相当する。これらの値を利用して天然由来系−化石由来系の混合比を算出することができる。さらにこの14C濃度の基準となるmodern standard referenceとしてはNIST(National Institute of Standards and Technology:米国国立標準・技術研究所)が発行した蓚酸標準体を用いることが好ましく採用することができる。この蓚酸中の炭素の比放射能(炭素1g当たりの14Cの放射能強度)を炭素同位体毎に分別し、13Cについて一定値に補正して、西暦1950年から測定日までの減衰補正を施した値を標準の14C濃度の値として用いている。
ポリエチレンテレフタレート中の14C濃度の分析方法は、まずポリエチレンテレフタレートの前処理が必要となる。具体的には、ポリエチレンテレフタレートに含まれる炭素を酸化処理し、すべて二酸化炭素へと変換する。さらに、得られた二酸化炭素を水や窒素と分離し、二酸化炭素を還元処理し、固形炭素であるグラファイトへと変換する。この得られたグラファイトにCsなどの陽イオンを照射して炭素の負イオンを生成させる。引き続いて、タンデム加速器を用いて炭素イオンを加速し、負イオンから陽イオンへ荷電変換させ、質量分析電磁石により123+133+143+の進行する軌道を分離し、143+は静電分析器により測定を行う。
本発明において、重合して生成されるポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸またはテレフタル酸のジアルキルエステルを主たる原料として用い、エチレングリコールをジオール成分として用いた製造方法により得ることができる。テレフタル酸のジアルキルエステルとしては、テレフタル酸の低級ジアルキルエステル、具体的にはジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステル、ジブチルエステルなどを挙げることができる。
ここで、「主たる」とは、本発明の効果が実質的に損なわれない範囲内で他の酸成分を重合してもよいことを意味する。その共重合成分としては、一般にポリエチレンテレフタレートで用いられているジカルボン酸成分を挙げることができる。具体例としては、ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸およびそれらの低級アルキルエステルなどが好ましく例示される。これらは基本的に化石資源由来であることがほとんどであり、本発明のポリエチレンテレフタレートの原料総量に対して、その他の化石資源由来原料とあわせて最大10重量%まで添加することができる。
本発明のポリエチレンテレフタレートの製造においては、必要に応じて少量の添加剤、例えば滑剤、酸化防止剤、固相重合促進剤、整色剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤または艶消剤などを添加してもよい。しかしながらこれらの添加剤も、基本的に化石資源由来であることが多く、本発明のポリエチレンテレフタレートの原料総量に対して、その他の化石資源由来原料とあわせて最大10重量%まで添加することができる。
上記のポリエチレンテレフタレートは、非化石原料由来原料を用いること以外は任意の方法によって製造することができる。具体的には、テレフタル酸と非化石原料由来エチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメチルと非化石原料由来エチレングリコールとをエステル交換反応させることにより、テレフタル酸のエチレングリコールエステルおよび/またはその低重合体を生成させる第一段階の反応と、第一段階の反応生成物を重合反応触媒の存在下で減圧加熱して所望の重合度になるまで重縮合反応させる第二段階の反応によって製造することができる。
本発明のポリエチレンテレフタレートの中で、酸成分としてテレフタル酸ジメチルまたはテレフタル酸を原料に用いて得られたポリエチレンテレフタレートを構成する繰り返し単位中の全炭素に対する割合は、テレフタル酸ジメチル由来の炭素が80%(8個)、エチレングリコール由来の炭素が20%(2個)で構成されている。ジオール成分としてバイオ化率80%以上のエチレングリコールを用いるということは、ポリエチレンテレフタレートを構成する全炭素のうち、エチレングリコール由来の全炭素(ポリエチレンテレフタレートの繰り返し単位を構成する全炭素のうち20%)の80%以上が非化石原料由来の14Cを含む炭素原子である。したがって、理論計算上、ポリエチレンテレフタレートのバイオ化率は16%以上となる。このようなバイオ化率16%以上のポリエチレンテレフタレートを採用することも本発明における一態様である。
上述した本発明の効果を奏するには、このようなバイオ化率10%以上のポリエチレンテレフタレートであることが必要であり、10%未満であるとその効果を充分に発現させることができない。
生成したポリエチレンテレフタレートの固有粘度は、0.50〜1.00dL/gの範囲内にあることが好ましい。該固有粘度が0.50dL/g未満であると、得られる成形物の強度は非常に弱くなり、成形物としての使用は困難である。一方、固有粘度が1.00dL/gを超えると、溶融粘度が大きくなりすぎて成形性が極度に悪化する。該固有粘度は0.60〜0.70dL/gの範囲にあることが好ましい。固有粘度は後述するように、ポリエチレンテレフタレートを溶解した溶液粘度から算出することができる。
一般的にポリエチレンテレフタレートの重合反応では、エステル交換反応触媒、重合反応触媒が使用され、主にマンガン、アンチモン、ゲルマニウムなどの重金属が使用される。より具体的には、酢酸マンガン、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムなどを挙げることができる。重金属は環境負荷が大きいため、本発明において双方の反応触媒として環境への負荷が比較的少ないチタン触媒の使用がさらに望ましい。酸成分としてテレフタル酸ジメチル、ジオール成分として非化石原料由来エチレングリコールを使用し、重合反応触媒としてチタン触媒を使用することで、地球環境問題をさらに改善し得るポリエチレンテレフタレートを含むカーカス材の提供が可能となる。
また重合反応触媒として用いるチタン触媒については、下記一般式(I)で表わされる化合物、または一般式(I)で表わされる化合物と下記一般式(II)で表わされる芳香族多価カルボン酸もしくはその無水物とを反応させた生成物を用いることも好ましく挙げることができる。
Figure 2020045579

[但し、式(I)中、R、R、RおよびRはそれぞれ同一もしくは異なって、アルキル基またはフェニル基を表す。mは1〜4の整数を表し、且つmが2〜4のとき、それぞれ2〜4個あるRおよびRはそれぞれ同一の基または異なる基を表す。]
Figure 2020045579

[但し、式(II)中、nは2〜4の整数を表す。]
ここで上記式(I)で表されるチタン化合物としては例えば、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラ−n−プロポキシド、チタンテトラブトキシドなどのチタンテトラアルコキシドのほか、チタンテトラフェノキシド、ヘキサエチルジチタネート、ヘキサプロピルジチタネート、ヘキサブチルジチタネート、ヘキサフェニルジチタネート、オクタエチルトリチタネート、オクタプロピルトリチタネート、オクタブチルトリチタネート、オクタフェニルトリチタネートなどを挙げることができる。また、一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸またはその無水物としては、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸およびこれらの無水物が好ましく用いられる。
上記チタン化合物と芳香族多価カルボン酸またはその無水物とを反応させる場合には、溶媒に芳香族多価カルボン酸またはその無水物の一部または全部を溶解し、この混合液にチタン化合物を滴下し、0〜200℃の温度で少なくとも30分間、好ましくは30〜150℃の温度で40〜90分間加熱することによって行われる。この際の反応圧力については特に制限はなく、常圧で十分である。なお、芳香族多価カルボン酸またはその無水物を溶解させる溶媒としては、エタノール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ベンゼンおよびキシレンなどから所望に応じていずれを用いることもできる。
ここで、チタン化合物と芳香族多価カルボン酸またはその無水物との反応モル比には特に限定はないが、チタン化合物の割合が高すぎると、この化合物を触媒として用いて得られるポリエチレンテレフタレートの色調が悪化したり、軟化点が低下したりすることがある。逆にチタン化合物の割合が低すぎるとポリエチレンテレフタレート製造工程において重縮合反応が進みにくくなることがある。このため、チタン化合物と芳香族多価カルボン酸またはその無水物との反応モル比は、2/1〜2/5の範囲内とすることが好ましい。特に好ましくは2/2〜2/4である。
本発明のポリエチレンテレフタレート中に含まれる、ポリエチレンテレフタレート可溶性のチタン元素量は全ジカルボン酸成分を基準として5〜70ppmの範囲にあるようにすることが好ましい。ここでポリエチレンテレフタレート可溶性のチタン元素とは二酸化チタンのような無機粒子としてポリエチレンテレフタレート中に配合され、ポリエチレンテレフタレートと分子レベルで混和することなくポリエチレンテレフタレート中に存在するTi元素は該当しないことを意味する。より具体的には有機系のTi系触媒などに含まれているチタン元素がポリエチレンテレフタレート可溶性のチタン元素に該当する。より具体的には、ポリエチレンテレフタレート可溶性のチタン元素とは、艶消し目的で添加される二酸化チタンのような無機のチタン化合物は含まれず、通常触媒として用いられている有機のチタン化合物や艶消し剤として使用される二酸化チタンに不純物として含有されている有機チタン化合物を指す。該ポリエチレンテレフタレート可溶性のチタン元素量が5ppm未満の場合は重縮合反応が遅くなり、70ppmを超える場合は得られるポリエチレンテレフタレートの色調が、不良になり、かつその耐熱性が低下することがあり好ましくない。チタン元素量はポリエチレンテレフタレートに対して7〜60ppmの範囲が好ましく、10〜50ppmの範囲がさらに好ましい。
本発明のポリエチレンテレフタレートを製造する際は、エステル交換触媒や重縮合触媒以外に、任意のリン化合物を添加することができる。リン化合物の種類は特に限定するものではないが、たとえば特にチタン系触媒を使用した場合には、下記一般式(III)により表されるリン化合物を任意の段階で添加することが好ましい。
Figure 2020045579
[上記式中、RおよびRは同一または異なっている、炭素原子数1〜4個のアルキル基を表し、Xは−CH−または−CHPh−を表す。]
上記一般式(III)のリン化合物(ホスホネート化合物)としては、カルボメトキシメタンホスホン酸、カルボエトキシメタンホスホン酸、カルボプロポキシメタンホスホン酸、カルボプトキシメタンホスホン酸、カルボメトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボエトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボプロトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸およびカルボブトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸のジメチルエステル類、ジエチルエステル類、ジプロピルエステル類およびジブチルエステル類から選ばれることが好ましい。これらの化合物の中でより好ましいのは、カルボメトキシメタンホスホン酸、カルボメトキシメタンホスホン酸ジメチルエステル、カルボメトキシメタンホスホン酸ジエチルエステル、カルボエトキシメタンホスホン酸、カルボエトキシメタンホスホン酸ジメチルエステルまたはカルボエトキシメタンホスホン酸ジエチルエステルである。上記のホスホネート化合物は、通常安定剤として使用されるリン化合物に比較して、チタン化合物との反応が比較的緩やかに進行するので、反応中におけるチタン化合物の触媒活性持続時間が長くなり、結果として該チタン化合物のポリエチレンテレフタレートへの添加量を少なくすることができる。
また、上記のチタン化合物を含む触媒系は下記数式(1)および数式(2)を同時に満足するものであることが好ましい。
0.65 ≦ P/Ti ≦ 5.0 (1)
10 ≦ P+Ti ≦ 200 (2)
[上記数式(1)、数式(2)中、Tiはポリエチレンテレフタレート中に含有されるポリエチレンテレフタレート可溶性のチタン金属元素の濃度(重量ppm)を、Pはポリエチレンテレフタレート中に含有されるリン化合物のリン元素の濃度(重量ppm)を表す。]
ここで、(P/Ti)が0.65未満の場合、ポリエチレンテレフタレートの色相が黄味を帯び、好ましくない。また、(P/Ti)が5.0を超えるとポリエチレンテレフタレートの重合反応性が大幅に低下し、目的とするポリエチレンテレフタレートを得ることが困難となる。この(P/Ti)の適正範囲は通常の金属触媒系よりも狭いことが特徴的であるが、適正範囲にある場合、本発明のような従来にない効果を得ることができる。一方、(Ti+P)が10に満たない場合は、製糸プロセスにおける生産性が大きく低下し、満足な性能が得られなくなる。また、(Ti+P)が200を超える場合には、少量ではあるが触媒に起因する異物が発生し好ましくない。上記数式(1)、(2)の範囲は好ましくは(1)式中の(P/Ti)は1.0〜4.5の範囲、(2)式中の(Ti+P)は12〜150の範囲であり、さらに好ましくは、(1)式中の(P/Ti)は2.0〜4.0の範囲、(2)式中の(Ti+P)は15〜100の範囲である。本発明の製造方法において、前記触媒系を用いて行われる重合反応は、230〜320℃の温度において、常圧下または減圧下、好ましくは0.05Pa〜0.2MPaにおいて、これらの条件を組み合わせて、15〜300分間重合反応させることが好ましい。
本発明によって得られるポリエチレンテレフタレートは、最終的に燃焼処理された場合の二酸化炭素発生量を実質的に削減することができる。前述のとおり、植物がその成長時に空気中の二酸化炭素を吸収し、光合成により炭素を自らに固定化するため、その植物を原料として製造したプラスチックを使用し、使用後に燃焼された際に発生する二酸化炭素は、その植物がもともと吸収した二酸化炭素と同量であり、カーボンニュートラルとなり、たとえ燃焼させても地球上の二酸化炭素を実質的には増加させない、とみなせるからである。完全燃焼時の二酸化炭素発生量は計算により求めることができる。例えばポリエチレンテレフタレート(PET)の1構成単位(分子量192.1)を完全燃焼させた場合、10倍モル量のCO(分子量44.0)が発生することから、二酸化炭素発生量は下記数式(3)によって求められる。
二酸化炭素発生量CO(g)
=燃焼させたPET重量(g)/192.1×10×44 (3)
ただし、エチレングリコールがバイオマス由来であれば、上述のカーボンニュートラルの考え方から、PETの1構成単位を完全燃焼させた場合、エチレングリコール分を除く8倍モル量のCOが発生すると考えてよい。したがって、バイオマス由来のエチレングリコールを使用した場合は、二酸化炭素発生量は下記数式(4)によって求められる。
二酸化炭素発生量CO(g)
=燃焼させたPET重量(g)/192.1×8×44 (4)
ゆえに、バイオマスエチレングリコールを使用することにより、従来のポリエチレンテレフタレートに比べて、実質的な二酸化炭素排出量をポリエチレンテレフタレート1kgあたり300g以上抑制することができる。
また本発明においてはポリエチレンテレフタレートを構成する成分の総量の20重量%以上が非化石原料で構成されている必要がある。非化石原料とは上述のように、バイオマス資源より製造された原料と成る有機化合物を非化石原料と称している。本発明者らの検討の結果、このようなポリエチレンテレフタレート中の非化石原料の構成率が20重量%以上のポリエチレンテレフタレートを採用することによって、上述した本発明の効果を奏することができ、20重量%未満であるとその効果を充分に発現させることができない。上述のようにポリマーがポリエチレンテレフタレート(PET)でそのエチレングリコールがバイオマス由来であれば、エチレングリコール部分が非化石原料で構成されている場合に該当する。この場合には、ポリエチレンテレフタレート中、非化石原料で構成されている重量比率は以下の式(5)によって表すことができる。
PET1構成単位中のEG部分の分子量/PET1構成単位の分子量
=60/192.1×100=31.2% (5)
よって好ましくはポリエチレンテレフタレートを構成する総量の31重量%以上が非化石原料で構成されていることが好ましい。これらの要件を満たすことによって、本発明のポリエチレンテレフタレートは実質的な二酸化炭素発生量の削減を達成することができる。
以上のとおり、本発明によって、化石原料を使用した同じに比べて該ポリエチレンテレフタレートを燃焼させたときに発生する二酸化炭素量が削減される、環境負荷が低減されたポリエチレンテレフタレート、それから構成されるカーカス材が得られる。
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
従来の化石原料由来の原料と非化石原料由来の原料を用いて製造したポリエチレンテレフタレート(PET)を用いたタイヤおよびタイヤ部材を作成し、性能試験を行った。
Figure 2020045579

各測定方法は以下の通りである。
・バイオ化率:ASTM D6866 Method Bに準拠し、コード中に含まれる14C濃度を測定後、1950年時点の循環炭素中の放射性炭素である14C濃度を基準(この値を100%と設定する)とした場合の14C濃度の比率。
・上より数:JIS L1017に準拠し、上より数を測定。
・コード径:JIS L1017に準拠し、コード径を測定。
・繊度:JIS L1017に準拠し、正量繊度を測定。
・強力:JIS L1017に準拠し、引張試験を行い、コードが破断した時の荷重を測定。
・切伸:JIS L1017に準拠し、引張試験を行い、コードが破断した時の伸び率を測定。
・EASL@2cN/dtex:JIS L1017に準拠し、引張試験を行い、2cN/dtex時の伸び率を測定。
・乾熱収縮率:JIS L1017 B法に準拠し、無荷重状態で加熱した際のコードの長さ変化により収縮率を測定。
・T−pull接着:JIS L1017に準拠し、引抜試験を行い、引抜接着力を測定。
・Disc疲労:JIS L1017に準拠し、コードをGCF疲労試験機で疲労させた後、コードの強力を測定し、強力保持率を求める。圧縮/伸長歪=10%/5%, 疲労時間:72時間
・一般耐久性:JIS D4230−A法終了後にタイヤから取り出したコードを、JIS L1017に準拠し、コード強力を測定。得られたコード強力を新品タイヤから取り出したコードの強力で除することにより強力保持率を求める。
・高速耐久性:ECS−30の試験条件でスピードレンジ+30km/hr.×10minを上限として評価。終了後解体。タイヤから取り出したコードを、JIS L1017に準拠し、コード強力を測定。得られたコード強力を新品タイヤから取り出したコードの強力で除することにより強力保持率を求める。
・操縦安定性 Dry/Wet:東洋ゴム工業株式会社所有のテストコースで試験。
テストに使用した車両は当該タイヤを標準とする車両。
テストドライバー3人による官能評価。満点=5点/標準=3点、の平均値。
Dryは乾燥路、Wetは水深1mmに調整。走路は別。
表から明らかなように、本発明の非化石原料由来原料を用いたポリエチレンテレフタレートから製造した空気入りタイヤならびにそれを構成する部材の性能は、従来の化石原料由来原料を用いたものと同等であることが示された。
したがって、本発明によれば、環境負荷低減型のカーカス材を提供することができる。

Claims (3)

  1. カーカス材に非化石原料由来の原料を用いて製造されたポリエチレンテレフタレートを用いた空気入りタイヤ。
  2. 該ポリエチレンテレフタレートの直鎖部分もしくは環状部分が非化石原料由来の原料を用いて製造されたポリエチレンテレフタレートをカーカス材に用いた、請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 該ポリエチレンテレフタレートの直鎖部分および環状部分が非化石原料由来の原料を用いて製造されたポリエチレンテレフタレートをカーカス材に用いた、請求項1記載の空気入りタイヤ。
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