JP5421120B2 - バイオマスエチレングリコールを用いた耐熱性向上ポリエステル - Google Patents

バイオマスエチレングリコールを用いた耐熱性向上ポリエステル Download PDF

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、ジオール成分としてバイオ化率80%以上のエチレングリコールが使用されたポリエステルであり、優れた耐熱性を有するポリエステルに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートは多くの優れた特性を有しているため、特に繊維、フィルムなど様々な用途に広く利用されている。また、一般には溶融成形にて繊維、フィルムが製造されている。しかしながらこの溶融成形時の溶融温度はポリエステルの融点以上の温度であり、ポリエステルの溶融時の滞留に伴う熱劣化により成形品の品質が悪化する。耐熱性を改良する為にはポリエステルの高温度雰囲気下での滞留時間に対する固有粘度の低下を抑制することが重要であるが、これはポリエステルの熱劣化に対してはポリエステル中のジエチレングリコール含有量が関係していると考えられる。すなわちポリエステル中のジエチレングリコール含有量が低いほど熱劣化を抑制でき、その結果、ポリエステルの固有粘度の低下が抑制され溶融成形時の安定化が可能となる。重縮合反応時の雰囲気下が酸性である場合、酸性化合物触媒の存在によりジエチレングリコールが生成することが知られている。従って、ポリエステルの耐熱性の改良方法としては、重縮合反応時に塩基性化合物の添加によるジエチレングリコール生成の抑制が行われている。しかし、添加される塩基性化合物はおおむね金属元素を含有する化合物であり、その金属元素成分が触媒となり高温度雰囲気下で重縮合反応の逆反応が促進されることがある。その結果、塩基性化合物を添加してもポリエステルの固有粘度の低下を誘発することがある。
【0003】
また従来のポリエステルは主に石油由来の原料を重縮合することにより製造されているが近年、化石燃料の減少、大気中の二酸化炭素含有量の増加という環境問題が深刻になってきており、この問題に対する対策が必要となっている。そこで、ポリエステルの原料として、化石燃料由来ではなく植物から誘導された原料を用いた環境負荷の軽減されたポリエステルが求められている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−321995号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、耐熱性の向上したポリエステルを提供することにある。また本発明の別の目的は、そのようなポリエステルの製造方法を提供する事である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上記従来技術が有していた問題点を解消する為、ポリエステルに関して鋭意検討を重ねた。その結果、ジオール成分としてバイオマス資源から製造されたエチレングリコールを用いてポリエステルを製造することによって、従来公知のポリエステルと比較し、溶融状態下の耐熱性が向上することを見出した。より詳細にはポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂の融点+30℃の温度における溶融状態下においた場合のポリエステルの固有粘度低下が小さく、ポリエステルの耐熱性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明の目的は、ポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂であり、前記ポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂が、1950年時点の循環炭素中の 14 C濃度を100%の基準とした 14 C濃度の比率が16%以上のポリエチレンテレフタレート又は1950年時点の循環炭素中の 14 C濃度を100%の基準とした 14 C濃度の比率が11%以上のポリエチレンナフタレートであり、ポリエステル可溶性のチタン元素を含み固有粘度が0.50〜1.00dL/gの範囲であるポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂を提供する事であり、これにより上記課題を解決する事ができる。また好ましくは、本発明はポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂中にトリメリット酸チタンを含むポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂である。また好ましくは、本発明はそのポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂が1950年時点の循環炭素中の14C濃度を100%の基準とした14C濃度の比率が16%以上のポリエチレンテレフタレート又は1950年時点の循環炭素中の14C濃度を100%の基準とした14C濃度の比率が11%以上のポリエチレンナフタレートである。
【0008】
別の本発明の目的は、芳香族ジカルボン酸ジメチルエステルを主たる酸成分原料として用い、エチレングリコール中に含まれる全炭素原子中1950年時点の循環炭素中の14C濃度を100%の基準とした14C濃度の比率が80%以上であるエチレングリコールをジオール成分として用いる上述のいずれかのポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂の製造方法によって達成する事ができる。またその芳香族ジカルボン酸ジメチルエステルがテレフタル酸ジメチル又はナフタレンジカルボン酸ジメチルであることが好ましい。更に、テレフタル酸ジメチルがポリエチレンテレフタレートを原料としアルキレングリコール、好ましくはエチレングリコールによる解重合反応工程を含む工程により、ポリエチレンテレフタレートを解重合し、その後にメタノールを用いてエステル交換反応を行うことによって得られたテレフタル酸ジメチルであることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、耐熱性の向上したポリエステル、即ち285℃下においた場合の固有粘度低下の少ないポリエステルを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明において、バイオ化率が11%以上とは後述するように、構成全炭素量に対する放射性炭素である14Cの濃度を測定し、その14Cの濃度が基準となる物質の濃度である107.44pMCの場合をバイオ化率100%として、その基準濃度(107.44pMC)に対する比率が11%で以上であることを表す。またバイオマスエチレングリコールとはバイオマス資源から製造したエチレングリコールであり、後述の手法にて測定して得られたバイオ化率の値が80%以上のエチレングリコールのことを指す。
【0011】
ここでバイオマス資源とは太陽エネルギーを使い、水と二酸化炭素から生成される再生可能な生物由来のカーボンニュートラルな有機性資源を指し、石炭、石油、天然ガスなどに由来する化石資源を除く資源のことを指す。
【0012】
本発明にバイオマス資源はその発生形態から廃棄物系、未利用系、資源作物系の3種に分類される。バイオマス資源は具体的には、セルロース系作物(パルプ、ケナフ、麦わら、稲わら、古紙、製紙残渣など)、リグニン、木炭、堆肥、天然ゴム、綿花、サトウキビ、油脂(菜種油、綿実油、大豆油、ココナッツ油など)、グリセロール、炭水化物系作物(トウモロコシ、イモ類、小麦、米、キャッサバなど)、バガス、テルペン系化合物、パルプ黒液、生ごみ、排水汚泥などが挙げられる。また、バイオマス資源からグリコール化合物を製造する方法は、特に限定はされないが、菌類や細菌などの微生物などの働きを利用した生物学的処理方法、酸、アルカリ、触媒、熱エネルギー若しくは光エネルギーなどを利用した化学的処理方法、又は微細化、圧縮、マイクロ波処理若しくは電磁波処理など物理的処理方法など既知の方法が挙げられる。
【0013】
バイオマス資源からエチレングリコールに変換する方法としては、種々の方法をあげることができる。その製造方法は特に限定されないが、まずバイオマス資源から菌類や細菌などの微生物などの働きを利用した生物学的処理方法、酸、アルカリ、触媒、熱エネルギー若しくは光エネルギーなどを利用した化学的処理方法、微細化、圧縮、マイクロ波処理若しくは電磁波処理など物理的処理方法など既知の方法を行う。これらの方法により得られた生成物に対して、さらに触媒を用いて水素加熱分解反応を行い精製する方法が挙げられる。
【0014】
また別の方法の1つとして、サトウキビ、バガス、その他の炭水化物系作物などから生物学処理方法によりエタノールを製造し、更にこのエタノールからエチレンオキサイドを経て、精製する方法も挙げられる。このような手法により製造され、更に蒸留操作等により精製する方法も採用する事ができる。或いはバイオマス資源からエチレングリコールを得る別の方法として、以下の方法も挙げることができる。すなわちバイオマス資源からグリセロール、ソルビトール、キシリトール、グルコール、フルクトース又はセルロースなどに変換し、さらに触媒を用いて水素加熱分解反応により、それらの化合物からエチレングリコールと1,2−プロパンジオールの混合物を生成する方法である。又更なる別の方法として、サトウキビ、バガス、炭水化物系作物などから生物学処理方法によりエタノールを製造し、更に、エチレンオキサイドを経て、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールの混合物を生成する方法などが挙げられる。
【0015】
本発明においてバイオ化率とはエチレングリコール、ポリエステル構成全炭素原子中、1950年時点の循環炭素中の放射性炭素である14C濃度を基準(この値を100%と設定する)とした場合の14C濃度の比率を表す。その放射性炭素である14Cの濃度は以下の測定方法(放射性炭素濃度測定)により測定する事ができる。すなわち14Cの濃度測定は、タンデム加速器と質量分析計を組み合わせた加速器質量分析法(AMS:Accelerator Mass Spectrometry)によって、分析する試料に含まれる炭素の同位体(具体的には12C、13C、14Cが挙げられる。)を加速器により原子の重量差を利用して物理的に分離し、同位体の原子一つ一つの存在量を計測する方法である。
【0016】
炭素原子1モル(6.02×1023個)中には、通常の炭素原子の約一兆分の一である約6.02×1011個の14Cが存在する。14Cは放射性同位体と呼ばれ、その半減期は5730年で規則的に減少している。これらが全て崩壊するには22.6万年を要する。従って大気中の二酸化炭素等が植物等に取り込まれて固定化された後、22.6万年以上が経過したと考えられる石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料においては、固定化当初はこれらの中にも含まれていた14C元素は全てが崩壊している。故に21世紀である現在は石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料においては14C元素は全く含まれていない。故にこれらの化石燃料を原料として生産された化学物質にも14C元素は全く含まれていない。一方、14Cは宇宙線が大気中で原子核反応を行い、絶え間なく生成され、放射壊変による減少とがバランスし、地球の大気環境中では、14Cの量は一定量となっている。
【0017】
一方、大気中の二酸化炭素が植物やそれを食する動物などに取り込まれて固定化された場合には、その取り込まれた状態では14Cは新たに補充されることなく、14Cの半減期に従って時間の経過とともに14C濃度は一定の割合で低下する。このため、グリコール化合物中の14C濃度を分析することにより、化石燃料などの化石資源を原料としたものか、或いはバイオマス資源を原料にしたグリコール化合物か簡易に判別することが可能となる。またこの14C濃度は1950年時点の自然界における循環炭素中の14C濃度をmodern standard referenceとし、この14C濃度を100%とする基準を用いる事が通常行われる。現在のこのようにして測定される14C濃度は約110pMC(percent Modern Carbon)前後の値であり、仮に試料として用いられているプラスチック等が100%天然系(生物系)由来の物質で製造されたものであれば、110pMC程度の値を示すことが知られている。この値が上述で言うバイオ化率100%に相当する。一方石油等の化石燃料由来の化学物質を用いてこの14C濃度を測定した場合、ほぼ0pMCを示すことも知られている。この値が上述で言うバイオ化率0%に相当する。これらの値を利用して天然資源由来の化合物(バイオマス資源由来の化合物)−化石資源由来の化合物の混合比を算出する事が出来る様になる。
【0018】
更にこの14C濃度の基準となるmodern standard referenceとしてはNIST(National Institute of Standards and Technology:米国国立標準・技術研究所)が発行した蓚酸標準体を用いる事が好ましく採用する事が出来る。この蓚酸中の炭素の比放射能(炭素1g当たりの14Cの放射能強度)を炭素同位体毎に分別し、13Cについて一定値に補正して、西暦1950年から測定日までの減衰補正を施した値を標準の14濃度の値として用いている。
【0019】
グリコール化合物中の14C濃度の詳細な分析方法は、まずグリコール化合物の前処理が必要となる。具体的にはグリコール化合物に含まれる炭素を酸化処理し、すべて二酸化炭素へと変換する。更に、得られた二酸化炭素を水や窒素と分離し、二酸化炭素を還元処理し、固形炭素であるグラファイトへと変換する。この得られたグラファイトにCsなどの陽イオンを照射して炭素の負イオンを生成させる。引き続いて、タンデム加速器を用いてその炭素イオンを加速し、負イオンから陽イオンへ荷電変換させ、質量分析電磁石により123+133+143+の進行する軌道を分離し、分離した143+を静電分析器により測定を行う。
【0020】
本発明において、重合して生成されるポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂は芳香族ジカルボン酸ジメチルエステルを主たる原料として用い、バイオ化率80%以上のエチレングリコールをジオール成分として用いた製造方法により得ることができる。その芳香族ジカルボン酸ジメチルエステルとしてテレフタル酸ジメチル又はナフタレンジカルボン酸ジメチルを用いる事は、好ましく採用する事が出来る。他の種類の芳香族ジカルボン酸ジメチルエステルより入手が比較的容易なので工業的に実施しやすいからである。ナフタレンジカルボン酸ジメチルは多数の構造異性体が存在するが、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル、又は2,7−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルがより好ましい。
【0021】
ここで、「主たる原料として」とは、本発明の効果が実質的に損なわれない範囲内でテレフタル酸ジメチル等以外の酸成分を重合してもよいことを意味する。具体的にはポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂[以下単にポリエステルと呼称することがある。]を構成する芳香族ジカルボン酸成分(芳香族ジカルボン酸の誘導体を含む)の全量に対して80モル%以上の割合で用いることを表す。より好ましくは90モル%以上の割合で用いることを表す。
【0022】
テレフタル酸ジメチル又はナフタレンジカルボン酸ジメチル以外のジカルボン酸成分として、芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジカルボン酸の誘導体として芳香族ジカルボン酸の低級ジアルキルエステルがあげられる。具体的には芳香族ジカルボン酸ジエチルエステル、芳香族ジカルボン酸ジプロピルエステル、芳香族ジカルボン酸ジブチルエステルを挙げることができる。芳香族ジカルボン酸としては、イソフタル酸、フタル酸、ビフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、ジフェノキシメタンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸を挙げる事ができる。またこれらの芳香族ジカルボン酸の芳香環に直結している1つまたは2つ以上の水素原子がハロゲン原子、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、エステル基、エーテル基、スルホン酸金属塩基、スルホン酸アンモニウム塩基、スルホン酸ホスホニウム塩基に置き換えられた化合物を用いることもできる。また本発明のポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂は芳香族ジカルボン酸ジメチルエステルの代わりに上述の芳香族ジカルボン酸を原料に用いて、製造することもできる。即ち芳香族ジカルボン酸とバイオ化率80%以上のエチレングリコールを用いて、エステル化反応を行い次いで得られたエステル化反応生成物を重縮合することによっても製造する事ができる。
【0023】
更に本発明のポリエステルにおいては、上述したテレフタル酸又はテレフタル酸ジメチルとして、リサイクルされたテレフタル酸、又はリサイクルされたテレフタル酸ジメチルを使用することが望ましい。近年の環境問題、化石燃料枯渇問題の対策として、リサイクルされたテレフタル酸ジメチルとバイオマスエチレングリコールによる環境負荷の軽減されたポリエステルの提供が可能となるからである。
【0024】
リサイクルされたテレフタル酸ジメチルとは、例えば以下のような手法によって得られたテレフタル酸ジメチルを指す。すなわち、ポリエチレンテレフタレートを主たる成分とするポリエステル廃棄物を原料に用い、エチレングリコールを用いて解重合反応を行い、まずビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを得る。次に得られたビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートにメタノール添加しエステル交換反応を行い、テレフタル酸ジメチル、メタノール、エチレングリコールを含む混合物を得る。最後に生成したテレフタル酸ジメチルを含む混合物を蒸留等などの操作により精製することで高純度のテレフタル酸ジメチルを得ることができる。このようにして得られたテレフタル酸ジメチルがリサイクルされたテレフタル酸ジメチルの一例である。またリサイクルされたテレフタル酸とはそのテレフタル酸ジメチルに対して加水分解反応を行い、精製して得られたテレフタル酸を表す。
【0025】
上記のポリエステルはバイオマスエチレングリコールを用いる事以外はポリエステルの製造方法として知られている任意の方法によって製造することができる。具体的には、テレフタル酸とバイオマスエチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメチルのようなテレフタル酸の低級アルキルエステルとバイオマスエチレングリコールとをエステル交換反応させることにより、テレフタル酸のエチレングリコールエステル及び/又はその低重合体を生成させる第一段階の反応を最初に行う。次いで、その第一段階の反応生成物を重縮合反応触媒の存在下で減圧加熱して所望の重合度になるまで重縮合反応させる第二段階の反応によって製造することができる。
【0026】
本発明のポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂の中で、酸成分としてテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸等を原料に用いて得られたポリエチレンテレフタレートを構成する繰り返し単位中の全炭素に対する割合は、テレフタル酸ジメチル等由来の炭素原子が80%(8個)、エチレングリコール由来の炭素原子が20%(2個)で構成されている。ジオール成分としてバイオ化率80%以上のエチレングリコールを用いるということは、ポリエチレンテレフタレートを構成する全炭素原子のうち、エチレングリコール由来の全炭素原子、即ちポリエチレンテレフタレートの繰り返し単位を構成する全炭素原子のうち20%の炭素原子であるが、その80%以上がバイオマス由来の14Cを含む炭素原子であることを表す。故に、理論計算上、この場合のポリエチレンテレフタレートのバイオ化率は16%以上となる。
【0027】
本発明のポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂の中で、酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸等を原料に用いて得られたポリエチレンナフタレートを構成する繰り返し単位中の全炭素原子に対する割合は、2,6−ナフタレンジカルボン酸等由来の炭素原子が86%(12個)、エチレングリコール由来の炭素原子が14%(2個)で構成されている。ジオール成分としてバイオ化率80%以上のエチレングリコールを用いるということは、ポリエチレンナフタレートの繰り返し単位を構成する全炭素原子のうち、エチレングリコール由来の全炭素原子、即ちポリエチレンナフタレートの繰り返し単位を構成する全炭素原子のうち14%の炭素原子であるが、その80%以上がバイオマス由来の14Cを含む炭素原子であることを表す。故に、理論計算上、この場合のポリエチレンテレフタレートのバイオ化率は11%以上となる。
【0028】
驚くべき事に上記のようにバイオ化率80%以上のエチレングリコールを用いてバイオ化率が11%以上であるポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂を製造すると、耐熱性の向上、すなわち溶融時の固有粘度低下幅が小さいことを我々は見出した。このとき芳香族ジカルボン酸等の選択によって得られるポリエステルの融点が変わるので、耐熱性の評価を行うのに適切な溶融時の温度としては、得られるポリエステルの融点+10〜40℃、好ましくは融点+30℃を選択することができる。
【0029】
生成したポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂の固有粘度は、0.50〜1.00dL/gの範囲内にあることが好ましい。その固有粘度が0.50dL/g未満であると、得られるポリエステル成形物の強度は非常に弱くなり、成形物としての使用は困難である。一方その固有粘度が1.00dL/gを越えると、溶融粘度が大きくなりすぎて成形性が極度に悪化する。該固有粘度は0.60〜0.70dL/gの範囲にあることが好ましい。
【0030】
またポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂を製造する際には、用いるエチレングリコールのpHが5.5〜7.6である事も好ましく採用する事ができる。より好ましくは6.0〜7.0である。このpHは後述のように、エチレングリコールを同容量の水で希釈し、通常市販されているpHメーターを用いて測定する事ができる。
【0031】
一般的にポリエステルの重合反応では、エステル交換反応触媒、重縮合反応触媒が使用され、主にマンガン、アンチモン、ゲルマニウム等の重金属が使用される。より具体的には、酢酸マンガン、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムを挙げることができる。重金属は一般に環境負荷が大きい為、本発明においてエステル交換反応触媒、重縮合反応触媒の双方の触媒として、環境への負荷が比較的少ないチタン化合物を触媒として使用することがさらに望ましい。ポリエステルの原料に用いる酸成分、ジオール成分としてそれぞれリサイクルされたテレフタル酸ジメチル、バイオマスエチレングリコールを使用し、重縮合反応触媒としてチタン化合物を触媒として使用することで地球環境問題をさらに改善したポリエステルの提供が可能である。
【0032】
又重縮合反応触媒として用いるチタン化合物については、通常市販されている酢酸チタン又はチタンテトラブトキシド若しくはチタンテトライソプロポキシド等のテトラアルコキシチタンを用いる事ができる。また下記一般式(I)で表されるチタン化合物と下記一般式(II)で表されるリン化合物とを、チタン元素のモル数に対するリン元素のモル数の比率(P/Ti)が1.0〜4.0となる範囲の組成で反応させたチタン/リン反応物を重合反応触媒として用いることもできる。
【0033】
【化1】
Figure 0005421120
【0034】
[上記式中、R、R、R及びRはそれぞれ同一若しくは異なって、アルキル基又はフェニル基を表す。mは1〜4の整数を表し、且つmが2〜4のとき、それぞれ2〜4個あるR及びRはそれぞれ同一の基又は異なる基を表す。]
ここでより具体的にはR、R、R及びRは炭素数1〜10個のアルキル基又はフェニル基が好ましい。
【0035】
【化2】
Figure 0005421120
【0036】
[上記式中、Rは炭素数2〜18個のアルキル基又は炭素数6〜20個のアリール基を表す。]
ここでチタン元素のモル数に対するリン元素のモル数の比率(P/Ti)が1.0より小さい場合、得られるポリエステルの色調が、不良になり、かつその耐熱性が低下することがあり好ましくない。一方、その比率が4.0より大きい場合、ポリエステル製造工程における、エステル交換反応又は重縮合反応に対する触媒活性が不十分になり好ましくない。チタン元素のモル数に対するリン元素のモル数の比率(P/Ti)は1.2〜3.5の範囲が好ましく、1.5〜3.0の範囲が更に好ましく、1.8〜2.8の範囲が最も好ましい。
【0037】
また、一般式(I)で表されるチタン化合物と一般式(II)で表されるリン化合物との反応物は、一例として、アルキレングリコール、好ましくはエチレングリコール中で加熱反応することで得ることができる。双方の化合物の反応方法としては、以下の方法を挙げることができる。例えば一般式(II)で表されるリン化合物からなる成分とエチレングリコールとを混合して、リン化合物の一部又は全部をエチレングリコール中に溶解した混合液を得る。次いで、この混合液に一般式(I)で表されるチタン化合物(エチレングリコール等を溶媒とする溶液であっても良い)を滴下し、反応混合物を0℃〜200℃の温度に30分間以上、好ましくは60〜150℃の温度に40〜90分間、加熱することによって行われることが好適である。この反応において、反応圧力については格別の制限はなく、通常常圧下で行われる。
【0038】
ここで上記一般式(I)で表されるチタン化合物としては例えば、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラ−n−プロポキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラメトキシドなどのチタンテトラアルコキシドや、チタンテトラフェノキシド、オクタアルキルトリチタネート、ヘキサアルキルジチタネート、オクタフェニルトリチタネート、又はヘキサフェニルジチタネートを挙げることができる。又上記一般式(I)で表されるチタン化合物以外のチタン化合物として、酢酸チタン、プロピオン酸チタン、安息香酸チタン等を挙げることができる。
【0039】
また、上記一般式(II)で表されるリン化合物としては例えば、モノメチルホスフェート、モノエチルホスフェート、モノ−n−プロピルホスフェート、モノイソプロプルホスフェート、モノ−n−ブチルホスフェート、モノ−sec−ブチルホスフェート、モノ−t−ブチルホスフェート、モノペンチルホスフェート、モノヘキシルホスフェート、モノヘプチルホスフェート、モノオクチルホスフェート、モノノニルホスフェート、モノデシルホスフェート、モノウンデシルホスフェート、モノドデシルホスフェート、モノトリデシルホスフェート、モノテトラデシルホスフェート、モノペンタデシルホスフェート、モノドヘキサデシルホスフェート、モノヘプタデシルホスフェート、モノオクタデシルホスフェート、モノフェニルホスフェート、モノベンジルホスフェート、モノ(4−メチルフェニル)ホスフェート、モノ(4−エチルフェニル)ホスフェート、モノ(4−プロピルフェニル)ホスフェート、モノ(4−ブチルフェニル)ホスフェート、モノ(4−ペンチルフェニル)ホスフェート、モノ(4−ヘキシルフェニル)ホスフェート、モノ(4−オクチルフェニル)ホスフェート、モノ(4−デシルフェニル)ホスフェート、モノ(4−ドデシルフェニル)ホスフェート、モノトリルホスフェート、モノキシリルホスフェート、モノビフェニルホスフェート、モノナフチルホスフェート、モノアントリルホスフェート等が挙げられる。
【0040】
上記一般式(I)で表されるチタン化合物は予め下記一般式(III)で表される芳香族多価カルボン酸及び/又はその無水物と反応させて使用する方法も好ましく用いられる。その場合チタン化合物と、芳香族多価カルボン酸及び/又はその無水物の反応モル比は(2:1)〜(2:5)の範囲が好ましく、特に好ましい範囲は(1:1)〜(1:2)である。
【0041】
【化3】
Figure 0005421120
【0042】
[上記式中、nは2〜4の整数を表す。]
本発明のポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂中に含まれるポリエステル可溶性のチタン元素量は、ポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂の重量を基準として5〜70ppmの範囲にあるようにすることが好ましい。ここでポリエステル可溶性のチタン元素とは二酸化チタンのような無機粒子としてポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂中に配合され、ポリエステルと分子レベルで混和することなくポリエステル中に存在するTi元素は該当しないことを意味する。より具体的には有機のチタン化合物からなる触媒等に含まれているチタン元素がそのポリエステル可溶性のチタン元素に該当する。つまり上述の一般式(I)で表されるチタン化合物、酢酸チタンのチタン元素はポリエステル可溶性のチタン元素に該当する。該ポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂中のポリエステル可溶性のチタン元素量が5ppm未満の場合は重縮合反応が遅くなり、70ppmを超える場合は得られるポリエステルの色調が不良になり、且つその耐熱性が低下することがあり好ましくない。チタン元素量は7〜60ppmの範囲が好ましく、10〜50ppmの範囲が更に好ましい。
【0043】
更に別途上記一般式(I)で表されるチタン化合物、及び下記一般式(I)で表されるチタン化合物と上記一般式(III)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物からなる群から選ばれた少なくとも一種を含むチタン化合物成分を重縮合反応触媒として用いても良い。更にこれらのチタン化合物成分と、下記一般式(IV)で表されるリン化合物との未反応混合物から実質的になる触媒化合物を下記数式(1)及び(2)を同時に満足するようにして調製して、重縮合反応触媒として用いても良い。
【0044】
【化4】
Figure 0005421120
【0045】
[上記式中、R及びRは、同一又は異なっている炭素原子数1〜4個のアルキル基を表し、Xは−CH−又は−CHPh−を表す。]
0.65 ≦ P/Ti ≦ 5.0 (1)
10 ≦ P+Ti ≦ 200 (2)
[上記数式中、Tiはポリエステル中に含有されるポリエステル可溶性のチタン金属元素の濃度(重量ppm)を、Pはポリエステル中に含有されるリン化合物のリン元素の濃度(重量ppm)を表す。]
ここで、(P/Ti)が0.65未満の場合、得られるポリエステルの色相が黄味を帯びたものとなることがあり、好ましくない。また、(P/Ti)が5.0を越えるとポリエステルの重合反応速度が大幅に低下し、目的とする充分に高い固有粘度を有するポリエステルを得ることが困難となる。この(P/Ti)の適正範囲は従来通常に用いられる金属元素を含む触媒化合物よりも狭いことが特徴的であるが、適正範囲にある場合、本発明のような従来にない効果を得ることができる。
【0046】
一方、(Ti+P)が10に満たない場合は、製糸プロセス等の成形工程における生産性が大きく低下し、得られる成形品も実用的な使用に充分な性能が得られなくなる。また、(Ti+P)が200を越える場合には、触媒に起因する異物が少量ではあるが発生し好ましくない。
【0047】
数式(1)中の(P/Ti)の値の範囲は、好ましくは1.0〜4.5の範囲であり、より好ましくは2.0〜4.0の範囲である。数式(2)中の(P+Ti)の値の範囲は、好ましくは12〜150の範囲であり、より好ましくは15〜100の範囲である。
【0048】
本発明のポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂の製造において、重縮合反応に触媒として用いられるチタン化合物成分は、触媒に起因する異物を低減する観点から、ポリエステル可溶性のチタン元素を含むチタン化合物を使用することもできる。該ポリエステル可溶性のチタン元素を含むチタン化合物成分としては、下記一般式(I)で表されるチタン化合物、若しくは一般式(I)で表されるチタン化合物と下記一般式(III)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物をあげることができる。
【0049】
【化5】
Figure 0005421120
【0050】
[上記式中、R、R、R及びRはそれぞれ同一若しくは異なって、アルキル基又はフェニル基を表す。mは1〜4の整数を表し、且つmが2〜4のとき、それぞれ2〜4個あるR及びRはそれぞれ同一の基又は異なる基を表す。]
【0051】
【化6】
Figure 0005421120
【0052】
[上記式中、nは2〜4の整数を表す。]
ここで、一般式(I)で表されるチタン化合物としては、上述の一般式(I)について詳述したチタン化合物などが好ましく用いられる。
【0053】
また、本発明のポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂の製造において、該上記式(I)で表されるチタン化合物と反応させる一般式(III)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物としては、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物、即ちフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ヘミメリット酸無水物が好ましく用いられる。
【0054】
上記チタン化合物と芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させる場合には、溶媒に芳香族多価カルボン酸又はその無水物の一部又は全部を溶解し、この混合液にチタン化合物を滴下し、0〜200℃の温度で少なくとも30分間、好ましくは30〜150℃の温度で40〜90分間加熱することによって行われる。この際の反応圧力については特に制限はなく、常圧で十分である。なお、芳香族多価カルボン酸又はその無水物を溶解させる溶媒としては、エタノール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ベンゼン及びキシレン等から所望に応じていずれを用いることもできる。
【0055】
ここで、チタン化合物と芳香族多価カルボン酸又はその無水物との反応モル比には特に限定はないが、チタン化合物の割合が高すぎると、得られるポリエステルの色調が悪化したり、軟化点が低下したりすることがある。逆にチタン化合物の割合が低すぎると重縮合反応が進みにくくなることがある。このため、チタン化合物と芳香族多価カルボン酸又はその無水物との反応モル比は、2/1〜2/5の範囲内とすることが好ましい。
【0056】
本発明のポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂の製造に重縮合反応触媒として用いる別の触媒化合物は、上記のチタン化合物成分は、下記一般式(IV)により表されるリン化合物との未反応混合物から実質的になるものであっても良い。
【0057】
【化7】
Figure 0005421120
【0058】
[上記式中、R及びRは、同一又は異なっている炭素原子数1〜4個のアルキル基を表し、Xは−CH−又は−CHPh−を表す。]
上記一般式(IV)で表されるリン化合物(ホスホネート化合物)としては、カルボメトキシメタンホスホン酸、カルボエトキシメタンホスホン酸、カルボプロポキシメタンホスホン酸、カルボプロポキシメタンホスホン酸、カルボメトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボエトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボプロトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸及びカルボブトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸のジメチルエステル類、ジエチルエステル類、ジプロピルエステル類及びジブチルエステル類から選ばれることが好ましい。これらの化合物の中でより好ましいのは、カルボメトキシメタンホスホン酸、カルボメトキシメタンホスホン酸ジメチルエステル、カルボメトキシメタンホスホン酸ジエチルエステル、カルボエトキシメタンホスホン酸、カルボエトキシメタンホスホン酸ジメチルエステル又はカルボエトキシメタンホスホン酸ジエチルエステルである。
【0059】
上記のホスホネート化合物は、通常安定剤として使用されるリン化合物に比較して、チタン化合物との化学反応が比較的緩やかに進行するので、その化学反応中におけるチタン化合物の触媒活性持続時間が長く維持することができる。その結果として、該チタン化合物のポリエステルへの添加量を少なくしても、必要な触媒活性を維持することができる。また、一般式(IV)で表されるリン化合物を含む触媒化合物に多量に安定剤を添加しても、得られるポリエステルの熱安定性を低下させることがなく、その色調を不良化することが無い。この点においても一般式(IV)で表されるリン化合物を用いることは好ましい。
【0060】
また、上記の一般式(IV)で表されるリン化合物を含む触媒化合物は下記数式(1)及び(2)を同時に満足するものであることが好ましい。
0.65 ≦ P/Ti ≦ 5.0 (1)
10 ≦ P+Ti ≦ 200 (2)
[上記数式中、Tiはポリエステル中に含有されるポリエステル可溶性のチタン金属元素の濃度(重量ppm)を、Pはポリエステル中に含有されるリン化合物のリン元素の濃度(重量ppm)を表す。]
ここで、(P/Ti)が0.65未満の場合、得られるポリエステルの色相が黄味を帯びたものとなることがあり、好ましくない。また、(P/Ti)が5.0を越えるとポリエステルの重合反応速度が大幅に低下し、目的とする充分に高い固有粘度を有するポリエステルを得ることが困難となる。この(P/Ti)の適正範囲は従来通常に用いられる金属元素を含む触媒化合物よりも狭いことが特徴的であるが、適正範囲にある場合、本発明のような従来にない効果を得ることができる。
【0061】
一方、(Ti+P)が10に満たない場合は、製糸プロセス等の成形工程における生産性が大きく低下し、得られる成形品も実用的な使用に充分な性能が得られなくなる。また、(Ti+P)が200を越える場合には、触媒に起因する異物が少量ではあるが発生し好ましくない。
【0062】
数式(1)中の(P/Ti)の値の範囲は、好ましくは1.0〜4.5の範囲であり、より好ましくは2.0〜4.0の範囲である。数式(2)中の(P+Ti)の値の範囲は、好ましくは12〜150の範囲であり、より好ましくは15〜100の範囲である。
【0063】
本発明のポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂の製造方法において、前記触媒化合物を用いて行われる重縮合反応は、230〜320℃の温度において、常圧下、又は減圧下、好ましくは0.05Pa〜0.2MPaにおいて、これらの条件を組み合わせて、15〜300分間重合反応させることが好ましい。
【0064】
本発明のポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂中に含まれるポリエステル可溶性のチタン元素量は、ポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂の重量を基準として5〜70ppmの範囲にあるようにすることが好ましい。ここで、「ポリエステル可溶性のチタン元素」の詳細については上述のとおりである。該ポリエステル可溶性のチタン元素量が5ppm未満の場合は重縮合反応速度が遅くなることがあり、該ポリエステル可溶性のチタン元素量が70ppmを超える場合は得られるポリエステルの色調が不良になり、かつその得られたポリエステルの耐熱性が低下することがあり好ましくない。得られるポリエステル可溶性のチタン元素量は7〜60ppmの範囲が好ましく、10〜50ppmの範囲が更に好ましい。
【0065】
なお、本発明のポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂には、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、蛍光増白剤、艶消剤、着色剤若しくは消泡剤又はその他の添加剤等を配合してもよい。
【実施例】
【0066】
以下実施例で本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部及び%は、特別な記載がない限り重量部及び重量%を表し、また各測定値は下記の方法にしたがった。
【0067】
実施例2,3,5、参考例1,4,6,7では、ポリエステル原料のジオール成分としてバイオマスエチレングリコールを使用し、比較例1〜では、ポリエステル原料のジオール成分として化石資源から製造されたエチレングリコールを使用した。エチレングリコールのバイオ化率の測定結果、バイオマスエチレングリコールのバイオ化率は90%であった。一方、化石資源から製造されたエチレングリコールのバイオ化率は0.06%未満であった。ここで、化石資源から製造したエチレングリコールとは、通常工業的に製造されている石油、天然ガス又は石炭などの化石資源から得られる成分を原料として製造されたエチレングリコールを指す。またリサイクルされたテレフタル酸ジメチルとは、ポリエチレンテレフタレートを主として含むポリエステル廃棄物をエチレングリコールを用いて解重合反応を行い、生成したビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートにメタノール添加しエステル交換反応を行い、生成したテレフタル酸ジメチルを蒸留精製することで得られたテレフタル酸ジメチルを使用した。
(1)固有粘度
ポリエステルの固有粘度は、35℃のオルソクロロフェノール溶液で測定した。
(2)ジエチレングリコール(DEG)含有量
得られたポリエステルを粉砕し、得られた粉砕物をヒドラジンにて分解し、得られた上澄み液をガスクロマトグラフで分析し定量した。
(3)耐熱性評価
まず、ポリエステルがポリエチレンテレフタレートの場合について述べる。ポリエステルのチップを160℃で6時間熱風乾燥した後、60分間、常圧で285℃の温度で窒素雰囲気下に置き、60分間経過直後にポリエステルチップを採取した。そして285℃加熱処理前後それぞれのポリエステルチップの固有粘度を35℃のオルソクロロフェノール溶液にて測定した。この285℃とは各実施例・比較例で重合するポリエチレンテレフタレートの融点+30℃の温度として採用した温度である。熱風乾燥後であり285℃の温度の雰囲気下に置く前の固有粘度を基準として、285℃、60分間処理後の固有粘度の低下幅を△IVで表した。この285℃、窒素雰囲気下に60分間保持し、その加熱処理前後のΔIVが0.100dL/g以下である場合を良好な耐熱性を有していると判断した。更にΔIVが0.085dL/g以下である場合を優秀な耐熱性を有していると判断した。
【0068】
次にポリエステルがポリエチレンナフタレートの場合には、同様の考え方を適用しポリエチレンナフタレートの融点+30℃の温度として295℃を採用する他は、ポリエチレンテレフタレートの場合と同様の操作にて耐熱性の評価を行った。
(4)バイオ化率評価(14C濃度測定)
14Cの濃度測定は、測定サンプルに対して上述のようにタンデム加速器と質量分析計を組み合わせた加速器質量分析法によって、構成全炭素量に対する放射性炭素である14Cの濃度を測定する。次に、107.44pMCの場合をバイオ化率100%として基準としこの値に対する濃度比として、バイオ化率を算出した。
(5)pH測定
実施例・比較例で用いるエチレングリコールのpHは、エチレングリコール試料を同容量の水で希釈し、株式会社堀場製作所製のpHメーター(D−25型)を用いて測定を行った。測定の都度pHが4.01、6.86、9.18の3種のpH校正液により補正を行い測定した。
【0069】
参考例1]
リサイクルされたテレフタル酸ジメチル100部、バイオマスエチレングリコール(pH=6.1)60部、酢酸マンガン4水塩0.031部をエステル交換缶に仕込み、窒素ガス雰囲気下、約3時間かけて140℃から240℃まで昇温して生成するメタノールをエステル交換缶外に留出しながらエステル交換反応を実施した。エステル交換反応を終了させた後、安定剤としてリン酸化合物0.004部及び重縮合反応触媒として三酸化アンチモン0.04部添加し、ただちに285℃まで昇温し、減圧下、重縮合反応を行い、ポリエステルを得た。
【0070】
得られたポリエステルのジエチレングリコール含有量を測定した。その結果、ジエチレングリコール含有量は0.72wt%であった。またこのポリエステルを窒素雰囲気下60分間285℃の温度雰囲気下にさらし、処理前後の固有粘度の測定を行った。その結果、上記の60分間加熱処理後の固有粘度の低下幅(△IV)は0.079dL/gであった。なお得られたポリエステルのバイオ化率は18%であった。評価結果を表1に示した。
【0071】
本実施例で用いたリサイクルされたテレフタル酸ジメチルとは、以下のような操作による得られたテレフタル酸ジメチルを用いた。ポリエチレンテレフタレート100部、エチレングリコール360部及び炭酸ナトリウム2.7部を解重合反応槽に供給し、攪拌下180℃で4時間解重合反応を行った。得られた解重合反応処理液を熱時ろ過を行い、フィルター上の残留物は170℃に加熱されたエチレングリコール90部にて洗浄した。得られた洗浄液は解重合反応処理液と混合した。洗浄液と混合された解重合反応処理液を6.65kPaの減圧蒸留によって濃縮し、エチレングリコール270部を回収した。得られた濃縮液に炭酸ナトリウム2.7部とメタノール180部を加えてエステル交換反応槽に投入し、攪拌下常圧にて液温を75℃に1時間保持してエステル交換反応を実施した。得られたテレフタル酸ジメチル、メタノール及びエチレングリコールなどからなる混合物を40℃まで冷却し、遠心分離装置にて固液分離を行い固体のテレフタル酸ジメチルを得た。得られたテレフタル酸ジメチルを180部のメタノール中に投入し攪拌下40℃にて洗浄を行い、再度遠心分離装置にて固液分離を行った。固液分離により得られたテレフタル酸ジメチルを160℃にて溶融すると同時に残存するメタノールを留去した。メタノール留去後の溶融テレフタル酸ジメチルを蒸留塔に投入し、圧力6.65kPaの減圧蒸留の留分としてテレフタル酸ジメチル83部を得た。
【0072】
[比較例1]
参考例1において、バイオマスエチレングリコールを使用することに換えて、従来の化石資源から製造され更に精製されたエチレングリコール(pH=6.1)を使用する以外は参考例1と同様の操作を行い、ポリエステルを得た。評価結果を表1に示した。
【0073】
[実施例2]
リサイクルされたテレフタル酸ジメチル100部、バイオマスエチレングリコール(pH=6.1)60部、トリメリット酸チタン0.0012部をエステル交換缶に仕込み、エステル交換缶を0.08MPaで加圧し、窒素ガス雰囲気下、約3時間かけて140℃から240℃まで昇温して生成するメタノールをエステル交換缶外に留出しながらエステル交換反応を実施した。エステル交換反応を終了させた後、安定剤としてリン酸化合物0.012部添加し、ただちに285℃まで昇温し、減圧下、重縮合反応を行い、ポリエステルを得た。なお、リサイクルされたテレフタル酸ジメチルは参考例1で用いたテレフタル酸ジメチルと同じものを用いた。
【0074】
得られたポリエステルのジエチレングリコール含有量を測定した。その結果、ジエチレングリコール含有量は0.84wt%であった。またこのポリエステルを窒素雰囲気下60分間285℃の温度雰囲気下にさらし、処理前後の固有粘度の測定を行った。その結果、上記の60分間加熱処理後の固有粘度の低下幅(ΔIV)は0.075dL/gであった。なお得られたポリエステルのバイオ化率は17%であった。評価結果を表1に示した。
【0075】
[比較例2]
実施例2において、バイオマスエチレングリコールを使用することに換えて、従来の化石資源から製造され更に精製されたエチレングリコール(pH=6.1)を使用する以外は実施例2と同様の操作を行い、ポリエステルを得た。評価結果を表1に示した。
【0076】
[実施例3]
従来の化石資源より精製されたテレフタル酸ジメチル100部、バイオマスエチレングリコール(pH=6.1)60部、トリメリット酸チタン0.0012部をエステル交換缶に仕込み、エステル交換缶を0.08MPaで加圧し、窒素ガス雰囲気下、約3時間かけて140℃から240℃まで昇温して生成するメタノールをエステル交換缶外に留出しながらエステル交換反応を実施した。エステル交換反応を終了させた後、安定剤としてリン酸化合物0.012部添加し、ただちに285℃まで昇温し、減圧下、重縮合反応を行い、ポリエステルを得た。
【0077】
得られたポリエステルのジエチレングリコール含有量を測定した。その結果、ジエチレングリコール含有量は0.81wt%であった。またこのポリエステルを窒素雰囲気下60分間285℃の温度雰囲気下にさらし、処理前後の固有粘度の測定を行った。その結果、上記の60分間加熱処理後の固有粘度の低下幅(ΔIV)は0.075dL/gであった。なお得られたポリエステルのバイオ化率は18%であった。評価結果を表1に示した。
【0078】
[比較例3]
実施例3において、バイオマスエチレングリコールを使用することに換えて、従来の化石資源から製造され更に精製されたエチレングリコール(pH=6.1)を使用する以外は実施例3と同様の操作を行い、ポリエステルを得た。評価結果を表1に示した。
【0079】
参考例4]
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル100部、バイオマスエチレングリコール(pH=6.1)50部、酢酸マンガン4水塩0.030部をエステル交換缶に仕込み、窒素ガス雰囲気下、約3時間かけて140℃から240℃まで昇温して生成するメタノールをエステル交換缶外に留出しながらエステル交換反応を実施した。エステル交換を終了させた後、安定剤としてリン酸化合物0.005部及び重縮合反応触媒として三酸化アンチモン0.024部添加し、ただちに285℃まで昇温し、減圧下、重縮合反応を行い、ポリエステルを得た。ジエチレングリコール含有量、耐熱性評価及びポリエステルのバイオ化率の評価結果を表1に示した。
【0080】
[比較例4]
参考例4において、バイオマスエチレングリコールを使用することに換えて、従来の化石資源から製造され更に精製されたエチレングリコール(pH=6.1)を使用する以外は参考例4と同様の操作を行い、ポリエステルを得た。評価結果を表1に示した。
【0081】
[実施例5]
実施例2で得られたポリエステルを、160℃で1時間結晶化処理を施した後、密封容器に仕込み、220℃の真空下で0.75dL/gになるまで8時間固相重合を行った。評価結果を表1に示した。
【0082】
参考例6]
参考例1において、バイオマスエチレングリコールを使用することに換えて、バイオマスエチレングリコールと従来の化石資源から製造され更に精製されたエチレングリコール(pH=6.1)の重量比2:1の混合物を使用する以外は参考例1と同様の操作を行い、ポリエステルを得た。評価結果を表1に示した。
【0083】
参考例7]
参考例1でエステル交換反応によって得られたバイオマスエチレングリコールとリサイクルされたテレフタル酸ジメチルを原料として得られたポリエステルオリゴマーが225部滞留する反応器内に、撹拌下、窒素雰囲気で255℃、常圧下に維持された条件下に、179部の高純度テレフタル酸と95部のバイオマスエチレングリコールとを混合して調製されたスラリーを一定速度で供給した。エステル化反応により発生する水とバイオマスエチレングリコールを反応器外に留去しながら、エステル化反応を4時間実施しエステル化反応を完結させた。
【0084】
このエステル化反応で得られたポリエステルオリゴマー225部を重縮合反応槽に移し、重合触媒として、参考例1と同様に三酸化アンチモン0.09部、リン化合物0.009部、水酸化テトラエチルアンモニウムの20%水溶液2.45部を重縮合反応槽投入した。引き続いて、重縮合反応槽内の反応温度を255℃から285℃に、また重縮合反応槽内の反応圧力を大気圧から30Pa以下までそれぞれ段階的に上昇及び減圧し、重縮合反応で発生する水、エチレングリコールなどを重縮合反応槽外に除去しながら重縮合反応を行い、固有粘度0.63dL/g、ジエチレングリコール含有量が1.0重量%であるポリエステルを得た。さらに常法に従い得られたポリエステルをチップ化した。評価結果を表1に示した。
【0085】
[比較例5]
参考例7において、バイオマスエチレングリコールを使用することに換えて、従来の化石資源から製造され更に精製されたエチレングリコール(pH=6.1)を使用する以外は参考例7と同様の操作を行い、ポリエステルを得た。評価結果を表1に示した。
【0086】
【表1】
Figure 0005421120
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明により、耐熱性の向上したポリエステル、即ち285℃下に置いた場合の固有粘度低下の少ないポリエステルを提供する事ができる。更にテレフタル酸ジメチルを主たる酸成分とし、ジオール成分としてエチレングリコール中に含まれる全炭素原子中1950年時点の循環炭素中の14C濃度を100%の基準とした14C濃度の比率が80%以上のエチレングリコールを使用したポリエステルの製造方法であって、耐熱性の向上した即ち285℃下に置いた場合の固有粘度低下の少ないポリエステルの製造方法を提供することができる。この知見は産業発達の上で意義が大きい。

Claims (2)

  1. ポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂であり、前記ポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂が、1950年時点の循環炭素中の14C濃度を100%の基準とした14C濃度の比率が16%以上のポリエチレンテレフタレート又は1950年時点の循環炭素中の14C濃度を100%の基準とした14C濃度の比率が11%以上のポリエチレンナフタレートであり、前記ポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂中にトリメリット酸チタンを含み、前記トリメリット酸チタンに由来するポリエステル可溶性のチタン元素を含み固有粘度が0.50〜1.00dL/gの範囲であるポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂。
  2. 前記ポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)がポリエチレンテレフタレートである請求項1に記載のポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)樹脂。
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