JP6891491B2 - ポリエステル樹脂 - Google Patents

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Description

本発明は、バイオマス資源由来の原料を使用したポリエステル樹脂に関し、特に品質改善されたポリエステル樹脂に関する。
ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す)は、機械的特性および化学的特性に優れており、多用途への応用、例えば、衣料用や産業資材用の繊維、包装用や磁気テープ用などの各種フィルム、シート、ボトル、エンジニアリングプラスチックなどの成形物への応用がなされている。
ポリエステルは、分子構造内にカルボキシル末端を持つカルボン酸あるいはそのメチルエステル体、および分子構造内にヒドロキシル末端を持つグリコールから合成される。その製造方法としてPETを例にとると、工業的にはテレフタル酸もしくはテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとのエステル化もしくはエステル交換によってビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを製造し、これを高温、真空下で任意の触媒を用いて重縮合することで得られる。
ポリエステルを製造する際、その原料として石油資源から得られるものを使用することが多い。石油資源から得られる原料を使用する場合、純度が高く、原料品質も安定しているため、得られるポリエステルの品質も安定し目標品質を得やすい。しかしながら石油資源の埋蔵量には限りがあり、可採年数が50年程度と言われている通り将来的には枯渇する恐れがある。
これを受け、近年、環境を配慮してさまざまな用途で石油代替原料を使用する動きが強まっている。石油資源からバイオマス資源へ切り替えることが出来れば、石油資源の枯渇を回避することが可能となる。しかしながらバイオマス資源から得られる原料は、その合成や精製条件によっては不純物が生成したり残留したりすることで、それらがポリエステルの不純物となり着色や耐熱性悪化など、石油資源由来原料を用いた場合には起こりえない品質悪化を引き起こすことが問題であった。
これまでに、発酵法を利用したバイオマス資源由来のグルコース、ブドウ糖、セルロース、油脂などからコハク酸、アジピン酸などのジカルボン酸を製造する技術が開発されてきた(特許文献1、非特許文献1、2、3参照)。しかしながら、これらのプロセスは、発酵により一旦ジカルボン酸を有機酸塩として得た後に中和、抽出、晶析等の工程を経て目的とするジカルボン酸を製造するプロセスである為、ジカルボン酸中には、バイオマス資源に含まれる窒素元素の他、発酵菌由来の窒素元素やアンモニアならびに金属カチオン等の多くの不純物が混入する特徴がある。
また、バイオマス資源由来ポリエステルの製造方法が開示されている(特許文献2)。ここでは、窒素や硫黄を精製により特定範囲とし、かつポリマー末端の酸価を制御することで加水分解性を改善したバイオマス資源由来ポリエステルが開示されているが、ポリマーのカラー、重合性、フレーバー性に問題がある。
カラー悪化に対しては、公知のポリエステル色調調整剤(染料、顔料など)や分解抑制剤(リン化合物)を添加することで、バイオマス資源由来原料を使用しても見かけ上の色調や耐熱性は改善することが可能となる。しかし生産工程が煩雑になったり、バイオマス資源由来原料の不純物量が不安定である場合には、それに応じた添加剤の添加量を調整する必要が出てくる。一方、重合性については金属触媒の増量や、温度アップなどの重合条件の変更が有効と考えられるが、これらはカラー悪化へと影響する。またフレーバー性については、原料由来によるところが大きく、改善するためにはバイオマス資源の不純物含有量を低減する必要がある。
特開2005−27533号公報 特許5390255号公報
未来材料、第1巻、第11号、31頁(2001) Biotechnology and Bioengineering Symp.No.17(1986)355−363 Journal of the American Chemical Society No.116(1994)399−400
上述したような不純物を多く含有するバイオマス資源由来のジカルボン酸やジオールは、通常、更に精製処理により不純物量を低減させた上で用いられるが、本発明者らは、そのような精製処理を経たジカルボン酸やジオールにおいても、バイオマス資源に含まれる特定の不純物を減らすことでポリマーのカラー、重合性が改善されることを見いだした。
そこで、本発明の目的は、バイオマス資源由来のジオール成分を原料として用いる場合において、顕著に良好なポリマーカラーと重合性が良好なバイオマス資源由来ポリエステル樹脂を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、バイオマス資源由来のジオールを原料として用いた場合、該ジオールに含まれる不純物により、著しくポリマーのカラーや重合性が著しく低下するという知見を得た。そこで、該ジオール中の特定の不純物を低減することで、これらの問題点が解決されることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の要旨は、以下の通りである。
[1] ジカルボン酸成分及びジオール成分を構成単位とするポリエステル樹脂であって、該ジオール成分がバイオマス資源由来のジオールを含み、該バイオマス資源由来のジオールをガスクロマトグラフィーで分析した際に、リテンションタイムが14.4〜14.6分で検出される成分Aが1000ppm以下であることを特徴とするポリエステル樹脂。
[2] 前記バイオマス資源由来のジオール成分が、エチレングリコールである[1]に記載のポリエステル樹脂。
本発明によれば、バイオマス資源由来のジオールをポリエステルの原料として用いる場合において、不純物により促進されるポリマーカラーの悪化、重合性の低下を抑え、ポリマーカラーや重合性が良好なポリエステルを提供することができる。また、この手法の開発は、環境問題、化石燃料資源の枯渇問題等の解決に大きく貢献し、実用的な物性を有する樹脂を提供することができる。特に、現在の大気圏の地球環境下で植生した天然材料から発酵等の手法により入手した、いわゆるジオール単位をポリエステルのモノマーとして使用するために、原料が非常に安価に入手できる。植物原料生産が各地に分散して多様化できるので、原料供給が非常に安定していること、および大気圏の地球環境下において為されるために、二酸化炭素の吸収および放出の物質収支の較差が比較的均衡している。しかも環境に非常に優しい、安全なポリエステルと認識できる。このような本発明のポリエステルは、材料の物性、構造および機能において評価できるばかりでなく、化石燃料由来のポリエステルには全く期待できない、リサイクルを含めた循環型社会の実現性を潜在的に保有する利点を有する。これは、従来型の化石燃料依存型の指向とは異なる、あらたな視点のポリエステル製造プロセスを提供するものであるから、新たな第2ステージのプラスチックという、全く新たな視点から、プラスチック材料の利用および発展に著しく寄与するものである。本発明のポリエステルは、土壌投棄をやめて仮に焼却処分しても、有害物、悪臭を発生することが少ない。
以下、本発明につき詳細に説明する。
本発明の対象とするポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分およびジオール成分を構成単位とするポリエステル樹脂である。該ポリエステル樹脂は、モノマー由来の不純物や重縮合時に用いた触媒成分等を含むもので、純粋なポリエステルと言う化学物質のみからなるものではなく一種の組成物と考えられるが、不純物や触媒成分等は微量であることから、本発明においては「ポリエステル樹脂」と表す。
ジカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸を主成分とするものが好ましい。主成分とは、全ジカルボン酸単位に対して、通常50モル%以上、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、特に好ましくは90モル%以上を示す。芳香族ジカルボン酸以外では、脂肪族ジカルボン酸が使用可能である。
ジカルボン酸成分をモノマーとして用いる際、ジカルボン酸化合物のほか、ジカルボン酸の誘導体も使用可能である。ジカルボン酸の誘導体としては、ジカルボン酸の低級アルキルエステル、具体的には、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル及びブチルエステル等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルエーテルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸が挙げられ、これらの中では、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましく、芳香族ジカルボン酸の誘導体としては、ジメチルテレフタレート、ジメチルイソフタレートが好ましい。
ジカルボン酸成分として、スルホン酸塩基を含有する成分も使用可能である。具体的には、5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、5〔4−スルホフェノキシ〕イソフタル酸などの金属塩、スルホイソフタル酸トリ−n−ブチルデシルホスホニウム塩、スルホイソフタル酸トリ−n−ブチルオクタデシルホスホニウム塩、スルホイソフタル酸トリ−n−ブチルヘキサデシルホスホニウム塩、スルホイソフタル酸トリ−n−ブチルテトラデシルホスホニウム塩、スルホイソフタル酸トリ−n−ブチルドデシルホスホニウム塩、スルホテレフタル酸トリ−n−ブチルデシルホスホニウム塩、スルホテレフタル酸トリ−n−ブチルオクタデシルホスホニウム塩、スルホテレフタル酸トリ−n−ブチルヘキサデシルホスホニウム塩、スルホテレフタル酸トリ−n−ブチルテトラデシルホスホニウム塩、スルホテレフタル酸トリ−n−ブチルドデシルホスホニウム塩、4−スルホナフタレン−2、7−ジカルボン酸トリ−n−ブチルデシルホスホニウム塩、4−スルホナフタレン−2、7−ジカルボン酸トリ−n−ブチルオクタデシルホスホニウム塩、4−スルホナフタレン−2、7−ジカルボン酸トリ−n−ブチルヘキサデシルホスホニウム塩、4−スルホナフタレン−2、7−ジカルボン酸トリ−n−ブチルテトラデシルホスホニウム塩、4−スルホナフタレン−2、7−ジカルボン酸トリ−n−ブチルドデシルホスホニウム塩、等があげられる。5−スルホイソフタル酸,スルホテレフタル酸,4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸,5〔4−スルホフェノキシ〕イソフタル酸などの金属塩が好ましく、5−スルホイソフタル酸の金属塩が着色、重合性より好ましい傾向にある。
脂肪族ジカルボン酸としては、具体的には、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸ならびにシクロヘキサンジカルボン酸等の、通常、炭素数が2以上40以下の鎖状或いは脂環式ジカルボン酸が挙げられる。また、脂肪族ジカルボン酸の誘導体として、上記脂肪族ジカルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル及びブチルエステル等の低級アルキルエステルや例えば無水コハク酸等の上記脂肪族ジカルボン酸の環状酸無水物も使用できる。これらの内、脂肪族ジカルボン酸としては、得られる重合体の物性の面から、アジピン酸、コハク酸、ダイマー酸またはこれらの混合物が好ましく、コハク酸を主成分とするものが特に好ましい。脂肪族ジカルボン酸の誘導体としては、アジピン酸及びコハク酸のメチルエステル、またはこれらの混合物がより好ましい。
以上のジカルボン酸成分は、単独でも2種以上混合して使用することもできる。ジカルボン酸成分も入手が可能であれば、バイオマス由来の成分を用いることがより好ましい態様である。
ジカルボン酸成分及びジオール成分以外に、ヒドロキシカルボン酸成分やラクトン成分を共重合しても構わない。その使用量は、全モノマー成分に対して、30モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましく、10モル%以下がさらに好ましい。
ジオール成分としては、バイオマス資源から得られたジオールを含む。全ジオール成分に対して、バイオマス資源から得られたジオールは50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、75モル%以上がさらに好ましい。
バイオマス資源から得られたジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール,1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール,2−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。このうち、工業的にも安定して生産されているエチレングリコールが好ましい。
本発明において、バイオマスエチレングリコールとはバイオマス資源のみから製造したエチレングリコールであり、後述の手法にて測定して得られたバイオ化率の値がおよそ100%のエチレングリコールのことを指す。ここで、バイオマス資源のみから製造した原料であっても、核実験などによる放射性炭素の人工的な導入や補正により、ちょうど100%を示すとは限らないため、実質的には、石油資源由来のエチレングリコールを含有しないものを、バイオマスエチレングリコールと記載する。
バイオマス資源から得られたジオール以外のジオール成分としては、上記で挙げたジオールが好ましく用いられる。
ジオール成分として、スルホン酸塩基を含有する成分も使用可能である。具体的には、2−スルホ−1,4−ブタンジオ−ル,2,5−ジメチル−3−スルホ−2,5−ヘキサンジオ−ル等の金属塩などが挙げられる。
本発明において、バイオマス資源とは、太陽エネルギーを使い、水と二酸化炭素から生成される再生可能な生物由来のカーボンニュートラルな有機性資源を指し、石炭、石油、天然ガスなどに由来する化石資源を除く資源のことを指す。
本発明において、バイオマス資源はその発生形態から廃棄物系、未利用系、資源作物系の3種に分類される。バイオマス資源は具体的には、セルロース系作物(パルプ、ケナフ、麦わら、稲わら、古紙、製紙残渣など)、リグニン、木炭、堆肥、天然ゴム、綿花、サトウキビ、油脂(菜種油、綿実油、大豆油、ココナッツ油など)、グリセロール、炭水化物系作物(トウモロコシ、イモ類、小麦、米、キャッサバなど)、バガス、テルペン系化合物、パルプ黒液、生ごみ、排水汚泥などが挙げられる。また、バイオマス資源からグリコール化合物を製造する方法は、特に限定はされないが、菌類や細菌などの微生物などの働きを利用した生物学的処理方法、酸、アルカリ、触媒、熱エネルギー若しくは光エネルギーなどを利用した化学的処理方法、又は微細化、圧縮、マイクロ波処理若しくは電磁波処理など物理的処理方法など既知の方法が挙げられる。
バイオマス資源からエチレングリコールに変換する方法としては、種々の方法をあげることができる。その製造方法は特に限定されないが、まずバイオマス資源から菌類や細菌などの微生物などの働きを利用した生物学的処理方法、酸、アルカリ、触媒、熱エネルギー若しくは光エネルギーなどを利用した化学的処理方法、微細化、圧縮、マイクロ波処理若しくは電磁波処理など物理的処理方法など既知の方法を行う。これらの方法により得られた生成物に対して、さらに触媒を用いて水素加熱分解反応を行い、精製する方法が挙げられる。
また別の方法の1つとして、サトウキビ、バガス、その他の炭水化物系作物などから生物学処理方法によりエタノールを製造し、更にこのエタノールからエチレンオキサイドを経て、精製する方法も挙げられる。このような手法により製造され、更に蒸留操作等により精製する方法も採用する事ができる。或いはバイオマス資源からエチレングリコールを得る別の方法として、以下の方法も挙げることができる。すなわちバイオマス資源からグリセロール、ソルビトール、キシリトール、グルコール、フルクトース又はセルロースなどに変換し、さらに触媒を用いて水素加熱分解反応により、それらの化合物からエチレングリコールと1,2−プロパンジオールの混合物を生成する方法である。又、更なる別の方法として、サトウキビ、バガス、炭水化物系作物などから生物学処理方法によりエタノールを製造し、更に、エチレンオキサイドを経て、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールの混合物を生成する方法などが挙げられる。
本発明においてバイオ化率とは、エチレングリコール、またはポリエステル構成全炭素原子中、1950年時点の循環炭素中の放射性炭素である14C濃度を基準(この値を100%と設定する)とした場合の14C濃度の比率を表す。その放射性炭素である14Cの濃度は、以下の測定方法(放射性炭素濃度測定)により測定する事ができる。すなわち14Cの濃度測定は、タンデム加速器と質量分析計を組み合わせた加速器質量分析法(AMS:Accelerator Mass Spectrometry)によって、分析する試料に含まれる炭素の同位体(具体的には12C、13C、14Cが挙げられる。)を加速器により原子の重量差を利用して物理的に分離し、同位体の原子一つ一つの存在量を計測する方法である。
炭素原子1モル(6.02×1023個)中には、通常の炭素原子の約一兆分の一である約6.02×1011個の14Cが存在する。14Cは放射性同位体と呼ばれ、その半減期は5730年で規則的に減少している。これらが全て崩壊するには22.6万年を要する。従って大気中の二酸化炭素等が植物等に取り込まれて固定化された後、22.6万年以上が経過したと考えられる石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料においては、固定化当初はこれらの中にも含まれていた14C元素は全てが崩壊している。故に21世紀である現在は石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料においては、14C元素は全く含まれていない。故に、これらの化石燃料を原料として生産された化学物質にも、14C元素は全く含まれていない。一方、14Cは宇宙線が大気中で原子核反応を行い、絶え間なく生成され、放射壊変による減少とがバランスし、地球の大気環境中では、14Cの量は一定量となっている。
一方、大気中の二酸化炭素が植物やそれを食する動物などに取り込まれて固定化された場合には、その取り込まれた状態では14Cは新たに補充されることなく、14Cの半減期に従って時間の経過とともに14C濃度は一定の割合で低下する。このため、ジオール化合物中の14C濃度を分析することにより、化石燃料などの化石資源を原料としたものか、或いはバイオマス資源を原料にしたジオール化合物か簡易に判別することが可能となる。また、この14C濃度は1950年時点の自然界における循環炭素中の14C濃度をmodern standard referenceとし、この14C濃度を100%とする基準を用いる事が通常行われる。現在のこのようにして測定される14C濃度は、約110pMC(percent Modern Carbon)前後の値であり、仮に試料として用いられているプラスチック等が100%天然系(生物系)由来の物質で製造されたものであれば、110pMC程度の値を示すことが知られている。この値が上述で言うバイオ化率100%に相当する。一方、石油等の化石燃料由来の化学物質を用いてこの14C濃度を測定した場合、ほぼ0pMCを示すことも知られている。この値が上述で言うバイオ化率0%に相当する。これらの値を利用して天然資源由来の化合物(バイオマス資源由来の化合物)/化石資源由来の化合物の混合比を算出する事が出来る様になる。
更にこの14C濃度の基準となるmodern standard referenceとしては、NIST(National Institute of Standards and Technology:米国国立標準・技術研究所)が発行した蓚酸標準体を用いる事が好ましく採用する事が出来る。この蓚酸中の炭素の比放射能(炭素1g当たりの14Cの放射能強度)を炭素同位体毎に分別し、13Cについて一定値に補正して、西暦1950年から測定日までの減衰補正を施した値を標準の14C濃度の値として用いている。
ジオール化合物中の14C濃度の詳細な分析方法は、まずジオール化合物の前処理が必要となる。具体的にはジオール化合物に含まれる炭素を酸化処理し、すべて二酸化炭素へと変換する。更に、得られた二酸化炭素を水や窒素と分離し、二酸化炭素を還元処理し、固形炭素であるグラファイトへと変換する。この得られたグラファイトにCsなどの陽イオンを照射して炭素の負イオンを生成させる。引き続いて、タンデム加速器を用いてその炭素イオンを加速し、負イオンから陽イオンへ荷電変換させ、質量分析電磁石により123+133+143+の進行する軌道を分離し、分離した143+を静電分析器により測定を行う。
本発明にて得られる、以下に示すような精製を経たバイオマスエチレングリコールを原料として使用したポリエステル樹脂は、ポリエステルの着色や重合性などが改善される傾向にある。精製方法としては限定されていないが、具体的には上記で得たバイオマスエチレングリコールを溶解性の違いで精製する方法、活性炭やイオン交換ポリマーで精製する方法、シリカゲル基材のカラムで精製する方法、超臨界カラムで精製する方法が挙げられ、好ましくは、イオン交換ポリマーやシリカゲル基材のカラムで精製する方法が好ましく、最も好ましくはシリカゲル基材のカラムで精製する方法が好ましい。また、上記の精製方法を組み合わせて使用しても良い。
バイオマスエチレングリコールをポリエステルの原料として使用した場合に、得られるポリエステルの色調、耐熱性を、石油資源由来エチレングリコールと同等とするためには、バイオマスエチレングリコールを後記する実施例に記載の条件下にてガスクロマトグラフィーで分析した際のリテンションタイムが、14.4〜14.6分で検出される成分Aが1000ppm以下となるまで、上記のような精製を行う必要がある。ここで「ppm」は、バイオマスエチレングリコール中に含まれる成分Aを1,4−ブタンジオールに換算した場合の質量割合で表したものである。
上記精製が不十分、あるいは上記精製を行わずにバイオマスエチレングリコールをポリエステルの原料として使用した場合、得られるポリエステルの着色が発生したり、耐熱性が悪化する。特に、バイオマスエチレングリコールをガスクロマトグラフィーで分析した際のリテンションタイムが14.4〜14.6分で検出される成分Aが、1000ppmより多い場合には、ポリエステルの着色や耐熱性悪化が顕著となり、好ましくない。また、バイオマスエチレングリコールを使用したポリエステル樹脂からなる中空容器に飲料などを充填した場合、上述の成分Aの量と内容物のフレーバー性には関係性が見られ、成分Aが1000ppmより多い場合には、フレーバー性の悪化が見られる。以上の点から、前記成分Aの上限は、1000ppm以下である必要がある。
バイオマスエチレングリコールをガスクロマトグラフィーで分析した際のリテンションタイムが14.4〜14.6分で検出される成分Aの含有量の下限は、0ppmであることが好ましいが、コストを度外視した精製は非現実的である。成分Aの含有量の下限は、現実的には0.1ppmである。
バイオマスエチレングリコールをガスクロマトグラフィーで分析した際のリテンションタイムが14.4〜14.6分で検出される成分Aとは、構造を同定することはできていないが、リテンションタイムが12.4〜12.6分に検出されるシクロペンタン−1,2−ジオン、およびリテンションタイムが14.7〜14.9分に検出されるプロピレングリコール系成分の間のピークである。ここでいうプロピレングリコール系成分とは、構造は明確にはなっていないが、下記式1に示すようなプロピレングリコールの片方のヒドロキシル基が何らかの構造(下記式1のX)で置換され、エーテル結合となった化合物である。
Figure 0006891491
(ポリエステル樹脂の製造方法)
ポリエステル樹脂の製造方法としては、例えば、エステル交換法、直接エステル化法などでジカルボン酸成分とジオール成分を反応させてプレポリマーとした後、減圧下250〜290℃で重縮合反応させる方法が挙げられる。この際にはエステル交換反応やエステル化反応の触媒、重縮合反応触媒を適宜用いることができる。
エステル交換反応触媒としてはZn,Cd,Mg,Mn,Co,Ca,Baなどの脂肪酸塩、炭酸塩や、Pb,Zn,Sb,Geなどの酸化物等が挙げられる。
ポリエステルを重合する際の重縮合触媒としては一般に用いられているものいずれでも良く、例えばAl化合物、Sb化合物、Ge化合物、Ti化合物が挙げられる。
アルミニウム化合物は単独では活性が低く、他の金属との組合せにより触媒活性を上げたものが好ましい。Al/Co、Al/Li、Al/Na、Al/Mg等が好ましく用いられる。また、Alもしくは、Alと他の金属と組み合わせたものにさらに、リン化合物を組合せて触媒活性を向上したものが好ましい。好ましいリン化合物は、Ar−CH−P(=O)(OH)(Arはアリール基を表し、ヒンダードフェノール構造となったものが特に好ましい)で示される芳香族基を分子内に持つホスホン酸類であり、これらのアルキルエステル、塩化合物も含む。
ゲルマニウム化合物としては、二酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウムなどが挙げられ、これらのうち二酸化ゲルマニウムが好ましい。
チタン化合物としては、テトラ−n−プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソブチルチタネート、テトラ−tert−ブチルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラフェニルチタネート、蓚酸チタン、フタル酸チタネート、トリメリット酸チタネート、ピロメリット酸チタネート等が挙げられ、これらのうちテトラ−n−ブトキシチタネート、トリメリット酸チタネートが好ましい。特に耐黄変性、熱安定性の面でトリメリット酸チタネートが好ましい。
アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモングリコキサイドなどが挙げられ、これらのうち三酸化アンチモンが好ましい。
さらに、ポリエステル樹脂の使用目的に応じて、無機粒子、蛍光増白剤、紫外線防止剤、赤外線吸収剤、熱安定剤、酸化防止剤などの添加物を含んでいても良い。
本発明で得られるポリエステル樹脂の製造方法について、以下に一例を示す。なお、本発明のポリエステル樹脂は、これに限るものではない。
3基の連続エステル化反応槽および3基の重縮合反応槽よりなる連続式ポリエステル製造装置に高純度テレフタル酸1質量部に対してエチレングリコール0.75質量部をスラリー調製槽に連続的に供給する。また、同時に触媒として三酸化アンチモンのエチレングリコール溶液を、ポリエステル中の酸成分に対しアンチモン原子として0.05モル%となるようスラリーに添加する。調製されスラリーを連続的に供給し第1エステル化槽が反応温度250℃、110kPa、第2エステル化反応槽が260℃、105kPa、第3エステル化反応槽が260℃、105kPaとして、第2エステル化反応槽にエチレングルコール0.015質量部を連続的に投入しポリエステルオリゴマーを得る。該オリゴマーを、初期重縮合反応槽が265℃、9kPa、中期重縮合反応槽が265〜268℃、0.7kPa、最終重縮合反応槽が273℃、13.3Paの条件下で重縮合する。
重縮合後のポリエステル樹脂は反応容器から取り出され、冷却して固体状とする。一般的には、ストランド状に取り出されて冷却水中で固化もしくは半固形状とした後にストランドカッターで切断する方法、水中に押し出しながら水中カッターで切断する方法などが採用され、ペレットとなる。
得られたポリエステルペレットは、用途や目的に応じ固相重合を行うことができる。ポリエステルペレットは、固相重合の前に予め予備結晶化しておくことが望ましい。このような予備結晶化は、ポリエステルペレットを乾燥状態で通常100〜200℃、1分〜4時間加熱することによって行うことができる。加熱温度はポリエステルを構成する成分に合わせて、ペレット同士が融着しないよう、適当な条件とすることができる。またこのような予備結晶化は、真空状態、および不活性ガス雰囲気下で行うことができる。不活性ガス雰囲気下で予備結晶化を行う場合、不活性ガス中の酸素濃度が10ppm以下であることが好ましい。不活性ガス雰囲気中で予備結晶化を行う場合、酸素濃度が10ppmより大きいと、予備結晶化中に熱酸化劣化が起こるため、好ましくない。予備結晶化されたポリエステルペレットは、結晶化度が20〜50%であることが望ましい。なお、予備結晶化工程によって固相重合は進行せず、予備結晶化前後での極限粘度(IV)の差は、通常0.06dl/g以下である。また、予備結晶化後の水分率は、100ppm以下とすることが望ましい。100ppmより大きいと、後述する固相重合の際に、加水分解によるIV低下が起こり、好ましくない。
以上のように、予備結晶化を行ったポリエステルペレットを、続いて固相重合する。
固相重合工程は、不活性ガス流通下、または高真空下において、温度が150〜250℃の条件下で行われる。固相重合工程の加熱温度も、ポリエステルを構成する成分に合わせて、ペレット同士が融着しないよう、適当な条件とすることができる。得られたポリエステル樹脂の使用目的によって、最終的な到達IVを、固相重合時間などにより調整することができる。
本発明のポリエステル樹脂の極限粘度は、0.5〜1.5dl/gであることが好ましく、0.6〜1.2dl/gであることがより好ましい。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
<評価方法>
(バイオマスエチレングリコール中の成分Aの分析方法)
ガスクロマトグラフィー/水素炎イオン化型検出器法による定量分析を行った。島津製作所製ガスクロマト分析装置「GC−2010Plus」にて、Agilent社製カラム「HP−INNOWAX(長さ30m、内径0.53mm、膜厚1.0μm)」を使用した。成分Aの定量は、1,4−ブタンジオール換算にて成分Aを定量した。つまり、1,4−ブタンジオールについて「GCピーク面積/溶液濃度(μg/mL)」の検量線をとっておき、成分Aのピーク面積からAの濃度(μg/mL)を算出した。測定時の条件は、注入口温度250℃、キャリアガスはヘリウム、カラム線速度40cm/sec、スプリット比5とした。またカラムオーブン温度は、50℃で2分間保持した後、毎分15℃で240℃まで昇温し、240℃で20分間保持した。さらに水素炎イオン化型検出器温度は250℃とした。このような条件において、リテンションタイムが14.4〜14.6分で検出された成分を、成分Aとした。標準1,4−ブタンジオールは1,4−ブタンジオールをメタノールで希釈し、エチレングリコールと同条件で分析した。
(極限粘度(IV)の評価方法)
ポリエステル樹脂サンプル0.1gを精秤し、25mLのフェノール/テトラクロロエタン=3/2(質量比)の混合溶媒に溶解し、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。
(色調の評価方法)
色差計(日本電色工業(株)製、ZE−2000)を用いて、ポリエステル樹脂のペレットの色差(L、a、b)を測定した。ペレットは測定セルに入れて反射法で測定した。
(耐熱性の評価方法)
ポリエステル樹脂(極限粘度が[IV])を冷凍粉砕して20メッシュ以下の粉末にした。この粉末を130℃で12時間真空乾燥し、粉末300mgを内径約8mm、長さ約140mmのガラス試験管に入れ70℃で12時間真空乾燥した。次いで、シリカゲルを入れた乾燥管を試験管上部につけて乾燥した空気下で、230℃の塩バスに浸漬して15分間加熱した後の極限粘度[IV]f1を測定した。この結果を利用し、耐熱性の指標としてTOSを以下の式に従い算出した。ただし、[IV]および[IV]f1はそれぞれ加熱試験前と加熱試験後のIV(dL/g)を指す。冷凍粉砕は、フリーザーミル(米国スペックス社製、6750型)を用いて行った。専用セルに約2gのポリエステル樹脂と専用のインパクターを入れた後、セルを装置にセットし液体窒素を装置に充填して約10分間保持し、次いでRATE10(インパクターが1秒間に約20回前後する)で5分間粉砕を行った。
TOS=0.245{[IV]f1 −1.47−[IV] −1.47
TOSの値が小さい程、耐熱性が高いと判断できる。
(官能試験(フレーバー性))
ヤマト科学製真空乾燥器DP61型を用いて、予め減圧乾燥したポリエステル樹脂チップを用い、成形中にチップの吸湿を防止するために、成形材料ホッパー内は乾燥不活性ガス(窒素ガス)パージを行った。
M−150C(DM)射出成形機による可塑化条件としては、フィードスクリュウ回転数:70%、スクリュウ回転数:120rpm、背圧:0.5MPa、金型温度:50℃、シリンダー温度はホッパー直下から順に45℃、250℃、以降ノズルを含め290℃に設定して段付き成形板を成形し、得られた成形板のうち3mm板を切り出した。この3mm板を70℃のイオン交換水に浸漬させ、その容器を密栓し、30分保持した。室温へ冷却し1ケ月間放置し、開栓後風味、臭い等の試験を行った。比較用のブランクとして、イオン交換水を使用した。官能試験は10人のパネラ−により次の基準により点数付けし、平均値で比較した。
2点:異味、臭いを感じない。1点:ブランクとの差を感じる。0点:ブランクとの非常に大きな差を感じる。
○:1.7点以上 △:1.0点以上1.7点未満 ×:1.0点未満
<原料の調製方法>
(バイオマスエチレングリコール精製例1)
バイオマスエチレングリコールは、イオン交換ポリマーやシリカゲル基材のODSカラム(オクタデシルシリル基を化学結合にて修飾したシリカゲル担体が充填されたカラム)にて精製することで、ガスクロマトグラフィー法でリテンションタイムが14.5分に検出される成分Aを効果的に低減させることが出来る。一般的な方法、すなわちサトウキビから発酵法を利用し糖類、さらにはエタノールを経て得られたバイオマスエチレングリコールは、ガスクロマトグラフィー法でリテンションタイムが14.5分に検出される成分Aが1325ppmであった。このバイオマスエチレングリコールを、イオン交換ポリマーで精製した後にシリカゲル基材のODSカラムで3回精製することで、成分Aが検出限界である0.1ppmのバイオマスエチレングリコールを得た。
(バイオマスエチレングリコール精製例2)
サトウキビから発酵法を利用し糖類、さらにはエタノールを経て得られたバイオマスエチレングリコールを、シリカゲル基材のODSカラムで3回精製することで、ガスクロマトグラフィー法でリテンションタイムが14.5分に検出される成分Aが54ppmであるバイオマスエチレングリコールを得た。
(バイオマスエチレングリコール精製例3)
サトウキビから発酵法を利用し糖類、さらにはエタノールを経て得られたバイオマスエチレングリコールを、シリカゲル基材のODSカラムで2回精製することで、ガスクロマトグラフィー法でリテンションタイムが14.5分に検出される成分Aが328ppmであるバイオマスエチレングリコールを得た。
(バイオマスエチレングリコール精製例4)
サトウキビから発酵法を利用し糖類、さらにはエタノールを経て得られたバイオマスエチレングリコールを、シリカゲル基材のODSカラムで1回精製することで、ガスクロマトグラフィー法でリテンションタイムが14.5分に検出される成分Aが974ppmであるバイオマスエチレングリコールを得た。
(実施例1)
撹拌機、蒸留塔、圧力調整器を備えたステンレス製オートクレーブにテレフタル酸、バイオマスエチレングリコール精製例1で得たバイオマスエチレングリコール、さらに触媒として、三酸化アンチモンのエチレングリコール溶液を、得られるポリエステルの質量に対しアンチモン原子として180ppmとなるよう加え、240℃、ゲージ圧3.5MPaで、エステル化で生成する水を逐次除去しながら2時間エステル化反応を行った。続いて、1時間で系の温度を280℃まで昇温して、この間に系の圧力を徐々に減じて150Paとし、この条件下でさらに1時間重縮合反応を行い、IV=0.63dl/gのポリエステル樹脂を得た。
(実施例2)
バイオマスエチレングリコール精製例2で得たバイオマスエチレングリコールを原料として使用すること以外は実施例1と同様に反応を行い、IV=0.62dl/gのポリエステル樹脂を得た。
(実施例3)
バイオマスエチレングリコール精製例3で得たバイオマスエチレングリコールを原料として使用すること以外は実施例1と同様に反応を行い、IV=0.63dl/gのポリエステル樹脂を得た。
(実施例4)
バイオマスエチレングリコール精製例4で得たバイオマスエチレングリコールを原料として使用すること以外は実施例1と同様に反応を行い、IV=0.62dl/gのポリエステル樹脂を得た。
(参考例1)
撹拌機、蒸留塔、圧力調整器を備えたステンレス製オートクレーブにテレフタル酸、ガスクロマトグラフィー法でリテンションタイムが14.5分に検出される成分Aの無い石油由来のエチレングリコールを原料として使用すること以外は、実施例1と同様に反応を行い、IV=0.63dl/gのポリエステル樹脂を得た。
(比較例1)
サトウキビから発酵法を利用し糖類、さらにはエタノールを経て得られたバイオマスエチレングリコールで、ガスクロマトグラフィー法でリテンションタイムが14.5分に検出される成分Aが1325ppmであったバイオマスエチレングリコールをそのまま原料として使用すること以外は、実施例1と同様に反応を行い、IV=0.56dl/gのポリエステル樹脂を得た。
(実施例5)
撹拌機、蒸留塔、圧力調整器を備えたステンレス製オートクレーブにテレフタル酸、バイオマスエチレングリコール精製例4で得たバイオマスエチレングリコールをジオール成分全体のうち80モル%、またガスクロマトグラフィー法でリテンションタイムが14.5分に検出される成分Aの無い石油由来のネオペンチルグリコールを、ジオール成分全体のうち20モル%となるように原料として添加した。さらに触媒として、三酸化アンチモンのエチレングリコール溶液を、得られるポリエステルの質量に対しアンチモン原子として180ppmとなるよう加え、240℃、ゲージ圧3.5MPaで、エステル化で生成する水を逐次除去しながら2時間エステル化反応を行った。続いて、1時間で系の温度を280℃まで昇温して、この間に系の圧力を徐々に減じて150Paとし、この条件下でさらに2時間重縮合反応を行い、IV=0.72dl/gのネオペンチルグリコール共重合ポリエステル樹脂を得た。
(参考例2)
バイオマスエチレングリコールの代わりに、ガスクロマトグラフィー法でリテンションタイムが14.5分に検出される成分Aの無い石油由来のエチレングリコールを原料として使用すること以外は、実施例5と同様に反応を行い、IV=0.71dl/gのネオペンチルグリコール共重合ポリエステル樹脂を得た。
実施例、比較例及び参考例により得られたポリエステル樹脂の特性を表1に示す。
Figure 0006891491
ガスクロマトグラフィーでリテンションタイムが14.5分に検出される成分Aが1000ppm以下の範囲にあるバイオマスエチレングリコールを使用することで、ポリエステル樹脂を得るための重合活性、および得られたポリエステルのカラー、耐熱性、フレーバー性は、石油由来エチレングリコールを使用する場合と同等であった。
バイオマス資源由来の原料を使用した場合でも、本発明のように色調、フレーバー性などが改善されたポリエステル樹脂を得ることができれば、要求品質レベルの高い飲料用中空容器をはじめ、用途に限定されることなく、これまでポリエステルが展開されてきた様々な用途に適用することが可能となり、ひいては、石油資源を使用することにより引き起こされる環境問題の解決に貢献することが可能となる。

Claims (1)

  1. ジカルボン酸成分及びジオール成分を構成単位とするポリエステル樹脂の製造方法であって、
    該ジカルボン酸成分はテレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルエーテルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸、及びアントラセンジカルボン酸から選ばれる芳香族ジカルボン酸を全ジカルボン酸成分に対して50モル%以上含み、
    該ジオール成分がバイオマス資源由来のジオールを全ジオール成分に対して50モル%以上含み、前記バイオマス資源由来のジオール成分が、発酵法を用いたエチレングリコールであって、該バイオマス資源由来のジオールをガスクロマトグラフィーで下記の条件にて分析した際に、リテンションタイムが14.4〜14.6分で検出される成分Aが1000ppm以下であり、
    該ジオール成分をイオン交換ポリマーとシリカゲル基材のカラムで精製する方法、もしくはシリカゲル基材のカラムで精製する方法により得て、
    該ジオール成分を用いることを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法
    ガスクロマトグラフィー(ガスクロマトグラフィー/水素炎イオン化型検出器法)の条件
    Agilent社製カラム「HP−INNOWAX(長さ30m、内径0.53mm、膜厚1.0μm)」を使用し、注入口温度250℃、キャリアガスはヘリウム、カラム線速度40cm/sec、スプリット比5とする。カラムオーブン温度は、50℃で2分間保持した後、毎分15℃で240℃まで昇温し、240℃で20分間保持する。水素炎イオン化型検出器温度は250℃とする。
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