JP2010280750A - 非化石原料を用いた環境負荷低減型耐熱性ポリエステルおよびその製造方法 - Google Patents

非化石原料を用いた環境負荷低減型耐熱性ポリエステルおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリエステルの主たる原料として非化石原料を用い、かつ優れた耐熱性を有する環境負荷低減型耐熱性ポリエステルおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】原料としてジオール成分としてバイオマス資源から製造されたエチレングリコールを用いて重合することによって、ポリエステルを構成する成分の総量の20重量%以上が非化石原料で構成されており、かつ全炭素原子中、1950年時点の循環炭素中の14C濃度を基準(100%)とした14C濃度の比率が11%以上であり、固有粘度が0.50〜1.00dL/g、融点が230℃以上であるポリエステル、すなわち化石原料を使用したポリマー並みの高い耐熱性を有する環境負荷低減型耐熱性ポリエステルおよびその製造方法が提供でき、これにより上記課題を解決することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステルを構成する成分の総量の20重量%以上が非化石原料由来で構成されており、優れた耐熱性を有する環境負荷低減型耐熱性ポリエステルおよびその製造方法に関するものである。
ポリエステルを含む多くのプラスチックは、そのほとんどが石油由来の原料より製造されている。石油由来のプラスチックの多くは軽くて強靭であり耐久性に優れ、容易かつ任意に成形することが可能であり、量産されて我々の生活を多岐にわたって支えてきた。しかし、これらプラスチックは、環境中に廃棄された場合、容易に分解されずに蓄積する。また、焼却の際には大量の二酸化炭素を放出し、地球温暖化に拍車を掛けている。近年、化石燃料の減少、大気中の二酸化炭素増加というの環境問題深刻な問題に対する対策が必要となっており、プラスチック、特にポリエステルの分野では、原料として植物から誘導された原料を用いた環境負荷の軽減されたポリエステルが求められている。
植物はその成長時に空気中の二酸化炭素を吸収し、光合成により炭素を自らに固定化する。したがってその植物を原料として製造したプラスチックを使用し、使用後に燃焼された際に発生する二酸化炭素は、その植物がもともと吸収した二酸化炭素と同量である、いわゆるカーボンニュートラルとなり、たとえ燃焼させても地球上の二酸化炭素を増加させないため、たとえばポリ乳酸などの植物を原料としたプラスチックは環境負荷の少ないといわれている。しかしながらこれらのポリマーは脂肪族が主体となっているため融点が低く、汎用ポリマーとして用いるには十分であるとは言い難く、耐熱性の向上が求められている(例えば、特許文献1、2参照。)。
特開2006−321995号公報 特開2007−191625号公報
本発明の目的は、ポリエステルの主たる原料として非化石原料を用い、かつ優れた耐熱性を有する環境負荷低減型耐熱性ポリエステルおよびその製造方法を提供することにある。環境負荷低減型とは、具体的にはその対象となるポリエステルを燃焼させたときに発生する二酸化炭素の実質的な発生量が少ないこと等を表す。
即ち本発明は、ポリエステルを構成する成分の総量の20重量%以上が非化石原料で構成されており、かつ全炭素原子中、1950年時点の循環炭素中の14C濃度を基準(100%)とした14C濃度の比率が11%以上であり、固有粘度が0.50〜1.00dL/g、融点が230℃以上であるポリエステルおよびその製造方法であり、これによって上記の課題が解決できる。以下、ある有機化合物中の全炭素原子中、1950年時点の循環炭素中の14C濃度を基準(100%)としたときに、現時点でのその有機化合物に含まれる14C濃度比率をその有機化合物の「バイオ化率」と称する。この濃度比率の測定原理・測定手法については後述する。
本発明によれば、ポリエステルの主たる原料として非化石原料を用い、かつその非化石原料により一部が構成されることで優れた耐熱性を有する環境負荷低減型耐熱性ポリエステルを得ることができる。すなわち、化石原料を使用して製造される同じ化学構造を有するポリエステルに比べて、該本発明のポリエステルを燃焼させたときに発生する二酸化炭素の実質的な排出量が少なくともポリエステル1kgあたり400g以上削減される耐熱性ポリエステルであるという効果を有する。よって、環境負荷を低減させながら、従来適用できなかった高い耐熱性を必要とする分野への使用を可能とするポリエステルを提供することができる。
本発明における非化石原料とは、石油、石炭、天然ガスといった化石資源由来の原料から作られていないもののことをいう。また近年、盛んに行われているプラスチックのリサイクル、特に使用済の製品をもとの石油資源由来の原料と全く同じ原料に分解、精製することでプラスチックを再生するケミカルリサイクルの原料は、もともとは石油由来の原料であるとはいえ、本来焼却廃棄されるはずの物質が再生されると考えれば、もはやその原料は屑であり、これを有効利用することも環境負荷を低減するには重要である。従って本発明においては、非化石原料をポリエステル製造の際の原料として用いたポリエステルのみならず、原料としてケミカルリサイクルによって得られる屑から得たリサイクル原料を用いて製造されるポリエステルについても述べる。代表的なリサイクル原料としては、リサイクルされたテレフタル酸やリサイクルされたテレフタル酸ジメチルを挙げることができる。
ここで、リサイクルされたテレフタル酸ジメチルとは、ポリエチレンテレフタレートを主たる成分とするポリエステル廃棄物等をエチレングリコールを用いて解重合を行い、生成したビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートにメタノール添加しエステル交換反応を行い、生成したテレフタル酸ジメチルを精製することで得られた高純度のテレフタル酸ジメチルのことである。またリサイクルされたテレフタル酸とはそのテレフタル酸ジメチルに対して加水分解反応を行い、精製して得られたテレフタル酸のことをいう。またあるいは、ポリアルキレンテレフタレートを直接メタノール(ヒドロキシアルキル化合物)を用いて解重合工程により解重合反応を行い、得られるテレフタル酸ジメチルをリサイクルされたテレフタル酸ジメチルとして用いても良い。また、リサイクルされたテレフタル酸ジメチル等を用いるのは、市場に流通されているポリエステル製品を回収して用いること、テレフタル酸ジメチル以外のポリエステルの構成成分をも回収することを考慮すると、ポリアルキレンテレフタレートとしては製品として市場で生産・流通している量が多いポリエチレンテレフタレートを用い解重合に用いるアルキレングリコールとしてエチレングリコールを用いることが好ましい。またリサイクルされたテレフタル酸とはそのテレフタル酸ジメチルに対して加水分解反応を行い、精製して得られたテレフタル酸であっても良い。
本発明において、バイオ化率11%以上とは後述するように、構成全炭素量に対する放射性炭素である14Cの濃度を測定し、その14Cの濃度が基準となる物質の濃度である107.44pMCの場合をバイオ化率100%として、その基準濃度(107.44pMC)に対する比率が11%で以上であることを表す。またバイオマスエチレングリコールとはバイオマス資源から製造したエチレングリコールであり、後述の手法にて測定して得られたバイオ化率の値が80%以上100%以下のエチレングリコールのことを指す。ここでバイオマス資源とは太陽エネルギーを使い、水と二酸化炭素から生成される再生可能な生物由来のカーボンニュートラルな有機性資源を指し、石油、石炭、天然ガス等より得られる化石資源を除く資源のことを指す。すなわちこのようなバイオマス資源より製造された原料と成る有機化合物等を上述した非化石原料と称する。
本発明にバイオマス資源はその発生形態から廃棄物系、未利用系、資源作物系の3種に分類される。バイオマス資源は具体的には、セルロース系作物(パルプ、ケナフ、麦わら、稲わら、古紙、製紙残渣など)、リグニン、木炭、堆肥、天然ゴム、綿花、サトウキビ、油脂(菜種油、綿実油、大豆油、ココナッツ油など)、グリセロール、炭水化物系作物(トウモロコシ、イモ類、小麦、米、キャッサバなど)、バガス、テルペン系化合物、パルプ黒液、生ごみ、排水汚泥などが挙げられる。また、バイオマス資源からグリコール化合物を製造する方法は、特に限定はされないが、菌類や細菌などの微生物などの働きを利用した生物学的処理方法、酸、アルカリ、触媒、熱エネルギー若しくは光エネルギーなどを利用した化学的処理方法、又は微細化、圧縮、マイクロ波処理若しくは電磁波処理など物理的処理方法など既知の方法が挙げられる。
バイオマス資源からエチレングリコールに変換する方法としては、種々の製造方法をあげることができる。その製造方法は特に限定されないが、まずバイオマス資源から菌類や細菌などの微生物などの働きを利用した生物学的処理方法、酸、アルカリ、触媒、熱エネルギー若しくは光エネルギーなどを利用した化学的処理方法、又は微細化、圧縮、マイクロ波処理若しくは電磁波処理など物理的処理方法など既知の方法を行う。次にこれらの製造方法により得られた生成物に対して、さらに触媒を用いて水素加熱分解反応を行い精製する方法が挙げられる。また別の1つの製造方法として、サトウキビ、バガス、炭水化物系作物などから生物学処理方法によりエタノールを製造し、更に、エチレンオキサイドを経て、精製する方法が挙げられる。このような手法により製造され、更に蒸留操作等により精製する方法も採用する事ができる。
或いは別の方法としてバイオマス資源から、グリセロール、ソルビトール、キシリトール、グルコール、フルクトースまたはセルロースなどに変換し、さらに触媒を用いて水素化熱分解反応により、エチレングリコールと1,2−プロパンジオールの混合物を生成する。またはサトウキビ、バガス、炭水化物系作物などから生物学処理方法によりエタノールを製造し、更に、エチレンオキサイドを経て、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールの混合物を生成する方法などが挙げられる。
本発明においてバイオ化率とはエチレングリコール、ポリエステルを構成する全炭素原子中、1950年時点の循環炭素中の放射性炭素である14C濃度を基準(この値を100%と設定する)とした場合の14C濃度の比率を表す。その放射性炭素である14Cの濃度は以下の測定方法(放射性炭素濃度測定)により測定する事ができる。すなわち14Cの濃度測定は、タンデム加速器と質量分析計を組み合わせた加速器質量分析法(AMS:Accelerator Mass Spectrometry)によって、分析する試料に含まれる炭素の同位体(具体的には12C、13C、14Cが挙げられる。)を加速器により原子の重量差を利用して物理的に分離し、同位体の原子一つ一つの存在量を計測する方法である。
炭素原子1モル(6.02×1023個)中には、通常の炭素原子の約一兆分の一である約6.02×1011個の14Cが存在する。14Cは放射性同位体と呼ばれ、その半減期は5730年で規則的に減少している。これらが全て崩壊するには22.6万年を要する。従って大気中の二酸化炭素等が植物等に取り込まれて固定化された後、22.6万年以上が経過したと考えられる石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料においては、固定化当初はこれらの中にも含まれていた14C元素は全てが崩壊している。故に、21世紀である現在は石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料においては14C元素は全く含まれていない。故にこれらの化石燃料を原料として生産された化学物質にも14C元素は全く含まれていない。一方、14Cは宇宙線が大気中で原子核反応を行い、絶え間なく生成され、放射壊変による減少とがバランスし、地球の大気環境中では、14Cの量は一定量となっている。
一方、大気中の二酸化炭素が植物やそれを食する動物などに取り込まれて固定化された場合には、その取り込まれた状態では、14Cは新たに補充されることなく、14Cの半減期に従って、時間の経過とともに14C濃度は一定の割合で低下する。このため、グリコール化合物中の14C濃度を分析することにより、化石資源を原料としたものか、或いはバイオマス資源を原料にしたグリコール化合物かを簡易に判別することが可能となる。またこの14C濃度は1950年時点の自然界における循環炭素中の14C濃度をmodern standard referenceとし、この14C濃度を100%とする基準を用いる事が通常行われる。現在のこのようにして測定される14C濃度は約110pMC(percent Modern Carbon)前後の値であり、仮に試料として用いられているプラスチック等が100%天然系(生物系)由来の物質で製造されたものであれば、110pMC程度の値を示すことが知られている。この値が上述で言うバイオ化率100%に相当する。一方石油系(化石系)由来の物質を用いてこの14C濃度を測定した場合、ほぼ0pMCを示す。この値が上述で言うバイオ化率0%に相当する。これらの値を利用して天然由来系−化石由来系の混合比を算出する事が出来る様になる。更にこの14C濃度の基準となるmodern standard referenceとしてはNIST(National Institute of Standards and Technology:米国国立標準・技術研究所)が発行した蓚酸標準体を用いる事が好ましく採用する事が出来る。この蓚酸中の炭素の比放射能(炭素1g当たりの14Cの放射能強度)を炭素同位体毎に分別し、13Cについて一定値に補正して、西暦1950年から測定日までの減衰補正を施した値を標準の14C濃度の値として用いている。
グリコール化合物中の14C濃度の分析方法は、まずグリコール化合物の前処理が必要となる。具体的にはグリコール化合物に含まれる炭素を酸化処理し、すべて二酸化炭素へと変換する。更に、得られた二酸化炭素を水や窒素と分離し、二酸化炭素を還元処理し、固形炭素であるグラファイトへと変換する。この得られたグラファイトにCs+などの陽イオンを照射して炭素の負イオンを生成させる。引き続いて、タンデム加速器を用いて炭素イオンを加速し、負イオンから陽イオンへ荷電変換させ、質量分析電磁石により123+133+143+の進行する軌道を分離し、143+は静電分析器により測定を行う。
本発明において、重合して生成されるポリエステルは芳香族ジカルボン酸または芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルを主たる原料として用い、バイオ化率が80%以上100%以上のエチレングリコールをジオール成分として用いた製造方法により得ることができる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などが好ましく用いられるが、テレフタル酸がもっとも好ましく用いられる。また芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルとしては、芳香族ジカルボン酸の低級ジアルキルエステル、具体的にはジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステル、ジブチルエステルを挙げることができるが、なかでもテレフタル酸ジメチルが好ましく用いられる。すなわち、本発明のポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
ここで、「主たる」とは、本発明の効果が実質的に損なわれない範囲内で他の酸成分を重合してもよいことを意味する。その共重合成分としては、一般にポリエステルで用いられているジカルボン酸成分を挙げることができる。具体例としては、ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸およびそれらの低級アルキルエステルなどが好ましく例示される。これらは基本的に化石資源由来であることがほとんどであり、本発明のポリエステルの原料総量に対して、その他の化石資源由来原料とあわせて最大10重量%まで添加することができる。
本発明のポリエステルの製造においては、必要に応じて少量の添加剤、例えば滑剤、酸化防止剤、固相重合促進剤、整色剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤または艶消剤等を添加してもよい。しかしながらこれらの添加剤も、基本的に化石資源由来であることが多く、本発明のポリエステルの原料総量に対して、その他の化石資源由来原料とあわせて最大10重量%まで添加することができる。
上記のポリエステルはバイオマスエチレングリコールを用いる事以外は任意の方法によって製造することがでる。ポリエチレンテレフタレートの場合を例示すれば、リサイクルされたテレフタル酸とバイオマスエチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、リサイクルされたテレフタル酸ジメチルとバイオマスエチレングリコールとをエステル交換反応させることにより、テレフタル酸のエチレングリコールエステルおよび/またはその低重合体を生成させる第一段階の反応と、第一段階の反応生成物を重合反応触媒の存在下で減圧加熱して所望の重合度になるまで重縮合反応させる第二段階の反応によって製造することができる。
本発明のポリエステルの中で、酸成分としてテレフタル酸ジメチルまたはテレフタル酸を原料に用いて得られたポリエチレンテレフタレートを構成する繰り返し単位中の全炭素に対する割合は、テレフタル酸ジメチル由来の炭素が80%(8個)、エチレングリコール由来の炭素が20%(2個)で構成されている。ジオール成分としてバイオ化率80%以上のエチレングリコールを用いるということは、ポリエチレンテレフタレートを構成する全炭素のうち、エチレングリコール由来の全炭素(ポリエチレンテレフタレートの繰り返し単位を構成する全炭素のうち20%)の80%以上がバイオマス由来の14Cを含む炭素原子である。故に、理論計算上、ポリエチレンテレフタレートのバイオ化率は16%以上となる。このようなバイオ化率16%以上のポリエチレンテレフタレートを採用することも本発明において好ましい態様である。
本発明のポリエステルの中で、酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸等を原料に用いて得られたポリエチレンナフタレートを構成する繰り返し単位中の全炭素に対する割合は、2,6−ナフタレンジカルボン酸由来の炭素が86%(12個)、エチレングリコール由来の炭素が14%(2個)で構成されている。ジオール成分としてバイオ化率80%以上のエチレングリコールを用いるということは、ポリエチレンナフタレートの繰り返し単位を構成する全炭素のうち、エチレングリコール由来の全炭素(ポリエチレンナフタレートの繰り返し単位を構成する全炭素のうち14%)の80%以上がバイオマス由来の14Cを含む炭素原子である。故に、理論計算上、ポリエチレンテレフタレートのバイオ化率は11%以上となる。このようなバイオ化率11%以上のポリエチレンナフタレートを採用することも本発明において好ましい態様である。上述した本発明の効果を奏するには、このようなバイオ化率11%以上のポリエステルであることが必要であり、11%未満であるとその効果を充分に発現させることができない。
生成したポリエステルの固有粘度は、0.50〜1.00dL/gの範囲内にあることが好ましい。該固有粘度が0.50dL/g未満であると、得られる成形物の強度は非常に弱くなり、成形物としての使用は困難である。一方固有粘度が1.00dL/gを越えると、溶融粘度が大きくなりすぎて成形性が極度に悪化する。該固有粘度は0.60〜0.70dL/gの範囲にあることが好ましい。固有粘度は後述するように、ポリエステルを溶解した溶液粘度から産出することができる。
また本発明のポリエステルにおいては、融点が230℃以上であることが好ましい。融点が230℃以上であることによって、繊維、フィルム、シート、ボトル等の中空成形体、その他の成形品に成形したときに充分な耐熱性を有し、上記の目的を達成することができるようになる。融点をこの数値範囲にするためには、ポリエステルの繰り返し単位を構成するジカルボン酸成分とジオール成分の選択に起因すると考えられる。中でもジカルボン酸成分又はジオール成分の少なくとも一方に芳香環を有する化合物を選択することが好ましく採用することができ、より好ましくはジカルボン酸成分として芳香環を有する芳香族ジカルボン酸を採用することがより好ましい。
一般的にポリエステルの重合反応では、エステル交換反応触媒、重合反応触媒が使用され、主にマンガン、アンチモン、ゲルマニウム等の重金属が使用される。より具体的には、酢酸マンガン、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムを挙げることができる。重金属は環境負荷が大きい為、本発明において双方の反応触媒として環境への負荷が比較的少ないチタン触媒の使用がさらに望ましい。酸成分としてリサイクルされたテレフタル酸ジメチル、ジオール成分としてバイオマスエチレングリコールを使用し、重合反応触媒としてチタン触媒使用することで地球環境問題をさらに改善したポリエステルの提供が可能である。
また重合反応触媒として用いるチタン触媒については、下記一般式(I)で表わされる化合物、または一般式(I)で表わされる化合物と下記一般式(II)で表わされる芳香族多価カルボン酸もしくはその無水物とを反応させた生成物を用いることも好ましく挙げることができる。
Figure 2010280750
[但し、式(I)中、Rは、2〜10個の炭素原子を有するアルキル基またはフェニル基を表し、pは1〜3の整数を表す。]
Figure 2010280750
[但し、式(II)中、nは2〜4の整数を表す。]
ここで上記式(I)で表されるチタン化合物としては例えば、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラ−n−プロポキシド、チタンテトラブトキシドなどのチタンテトラアルコキシドのほか、チタンテトラフェノキシド、ヘキサエチルジチタネート、ヘキサプロピルジチタネート、ヘキサブチルジチタネート、ヘキサフェニルジチタネート、オクタエチルトリチタネート、オクタプロピルトリチタネート、オクタブチルトリチタネート、オクタフェニルトリチタネート等を挙げることができる。また、一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸またはその無水物としては、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸およびこれらの無水物が好ましく用いられる。
上記チタン化合物と芳香族多価カルボン酸またはその無水物とを反応させる場合には、溶媒に芳香族多価カルボン酸またはその無水物の一部または全部を溶解し、この混合液にチタン化合物を滴下し、0〜200℃の温度で少なくとも30分間、好ましくは30〜150℃の温度で40〜90分間加熱することによって行われる。この際の反応圧力については特に制限はなく、常圧で十分である。なお、芳香族多価カルボン酸またはその無水物を溶解させる溶媒としては、エタノール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ベンゼンおよびキシレン等から所望に応じていずれを用いることもできる。
ここで、チタン化合物と芳香族多価カルボン酸またはその無水物との反応モル比には特に限定はないが、チタン化合物の割合が高すぎると、この化合物を触媒として用いて得られるポリエステルの色調が悪化したり、軟化点が低下したりすることがある。逆にチタン化合物の割合が低すぎるとポリエステル製造工程において重縮合反応が進みにくくなることがある。このため、チタン化合物と芳香族多価カルボン酸またはその無水物との反応モル比は、2/1〜2/5の範囲内とすることが好ましい。特に好ましくは2/2〜2/4である。
本発明のポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)中に含まれる、ポリエステル可溶性のチタン元素量は全ジカルボン酸成分を基準として5〜70ppmの範囲にあるようにすることが好ましい。ここでポリエステル可溶性のチタン元素とは二酸化チタンのような無機粒子としてポリ(エチレン芳香族ジカルボキシレートエステル)中に配合され、ポリエステルと分子レベルで混和することなくポリエステル中に存在するTi元素は該当しないことを意味する。より具体的には有機系のTi系触媒等に含まれているチタン元素がポリエステル可溶性のチタン元素に該当する。より具体的には、ポリエステル可溶性のチタン元素とは、艶消し目的で添加される二酸化チタンのような無機のチタン化合物は含まれず、通常触媒として用いられている有機のチタン化合物や艶消し剤として使用される二酸化チタンに不純物として含有されている有機チタン化合物を指す。該ポリエステル可溶性のチタン元素量が5ppm未満の場合は重縮合反応が遅くなり、70ppmを超える場合は得られるポリエステルの色調が、不良になり、かつその耐熱性が低下することがあり好ましくない。チタン元素量はポリエステルに対して7〜60ppmの範囲が好ましく、10〜50ppmの範囲が更に好ましい。
本発明のポリエステルを製造する際は、エステル交換触媒や重縮合触媒以外に、任意のリン化合物を添加することができる。リン化合物の種類は特に限定するものではないが、たとえば特にチタン系触媒を使用した場合には、下記一般式(III)により表されるリン化合物を任意の段階で添加することが好ましい。
Figure 2010280750
[上記式中、Rは同一または異なっている、炭素原子数1〜4個のアルキル基を表し、Xは−CH−または−CHPh−を表す。]
上記一般式(III)のリン化合物(ホスホネート化合物)としては、カルボメトキシメタンホスホン酸、カルボエトキシメタンホスホン酸、カルボプロポキシメタンホスホン酸、カルボプトキシメタンホスホン酸、カルボメトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボエトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボプロトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸およびカルボブトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸のジメチルエステル類、ジエチルエステル類、ジプロピルエステル類およびジブチルエステル類から選ばれることが好ましい。これらの化合物の中でより好ましいのは、カルボメトキシメタンホスホン酸、カルボメトキシメタンホスホン酸ジメチルエステル、カルボメトキシメタンホスホン酸ジエチルエステル、カルボエトキシメタンホスホン酸、カルボエトキシメタンホスホン酸ジメチルエステルまたはカルボエトキシメタンホスホン酸ジエチルエステルである。上記のホスホネート化合物は、通常安定剤として使用されるリン化合物に比較して、チタン化合物との反応が比較的緩やかに進行するので、反応中における、チタン化合物の触媒活性持続時間が長く、結果として該チタン化合物のポリエステルへの添加量を少なくすることができる。
また、上記のチタン化合物を含む触媒系は下記数式(1)および数式(2)を同時に満足するものであることが好ましい。
0.65 ≦ P/Ti ≦ 5.0 (1)
10 ≦ P+Ti ≦ 200 (2)
[上記数式(1)、数式(2)中、Tiはポリエステル中に含有されるポリエステル可溶性のチタン金属元素の濃度(重量ppm)を、Pはポリエステル中に含有されるリン化合物のリン元素の濃度(重量ppm)を表す。]
ここで、(P/Ti)が0.65未満の場合、ポリエステルの色相が黄味を帯び、好ましくない。また、(P/Ti)が5.0を越えるとポリエステルの重合反応性が大幅に低下し、目的とするポリエステルを得ることが困難となる。この(P/Ti)の適正範囲は通常の金属触媒系よりも狭いことが特徴的であるが、適正範囲にある場合、本発明のような従来にない効果を得ることができる。一方、(Ti+P)が10に満たない場合は、製糸プロセスにおける生産性が大きく低下し、満足な性能が得られなくなる。また、(Ti+P)が200を越える場合には、少量ではあるが触媒に起因する異物が発生し好ましくない。上記数式(1)、(2)の範囲は好ましくは(1)式中の(P/Ti)は1.0〜4.5の範囲、(2)式中の(Ti+P)は12〜150の範囲であり、更に好ましくは、(1)式中の(P/Ti)は2.0〜4.0の範囲、(2)式中の(Ti+P)は15〜100の範囲である。本発明の製造方法において、前記触媒系を用いて行われる重合反応は、230〜320℃の温度において、常圧下または減圧下、好ましくは0.05Pa〜0.2MPaにおいて、これらの条件を組み合わせて、15〜300分間重合反応させることが好ましい。
本発明によって得られるポリエステルは、最終的に燃焼処理された場合の二酸化炭素発生量を実質的に削減することができる。前述のとおり、植物がその成長時に空気中の二酸化炭素を吸収し、光合成により炭素を自らに固定化するため、その植物を原料として製造したプラスチックを使用し、使用後に燃焼された際に発生する二酸化炭素は、その植物がもともと吸収した二酸化炭素と同量であり、カーボンニュートラルとなり、たとえ燃焼させても地球上の二酸化炭素を実質的には増加させない、とみなせるからである。完全燃焼時の二酸化炭素発生量は計算により求めることができる。例えばポリエチレンテレフタレート(PET)の1構成単位(分子量192.1)を完全燃焼させた場合、10倍モル量のCO2(分子量44.0)が発生することから、二酸化炭素発生量は下記数式(3)によって求められる。
二酸化炭素発生量CO2(g)
=燃焼させたPET重量(g)/192.1×10×44 (3)
ただし、エチレングリコールがバイオマス由来であれば、上述のカーボンニュートラルの考え方から、PETの1構成単位を完全燃焼させた場合、エチレングリコール分を除く8倍モル量のCO2が発生すると考えてよい。したがって、バイオマス由来のエチレングリコールを使用した場合は、二酸化炭素発生量は下記数式(4)によって求められる。
二酸化炭素発生量CO2(g)
=燃焼させたPET重量(g)/192.1×8×44 (4)
一方ポリマーがポリエチレンナフタレート(PEN)の場合、PENの1構成単位(分子量242.2)を完全燃焼させた場合、14倍モル量のCO2(分子量44.0)が発生することから、二酸化炭素発生量は下記数式(5)によって求められる。
二酸化炭素発生量CO2(g)
=燃焼させたPEN重量(g)/242.2×14×44 (5)
ただし、エチレングリコールがバイオマス由来であれば、上記のPETの場合と同様に考えると二酸化炭素発生量は下記数式(6)によって求められる。
二酸化炭素発生量CO2(g)
=燃焼させたPEN重量(g)/242.2×12×44 (6)
ゆえに、バイオマスエチレングリコールを使用することにより、従来のポリエステルに比べて、実質的な二酸化炭素排出量をポリエステル1kgあたり300g以上抑制することができる。
また本発明においてはポリエステルを構成する成分の総量の20重量%以上が非化石原料で構成されている必要がある。非化石原料とは上述のように、バイオマス資源より製造された原料と成る有機化合物を非化石原料と称している。本発明者らの検討の結果、このようなポリエステル中の非化石原料の構成率が20重量%以上のポリエステルを採用することによって、上述した本発明の効果を奏することができ、20重量%未満であるとその効果を充分に発現させることができない。一例として上述のようにポリマーがポリエチレンテレフタレート(PET)でそのエチレングリコールがバイオマス由来であれば、エチレングリコール部分が非化石原料で構成されている場合に該当する。この場合には、ポリエステル中非化石原料で構成されている重量比率は以下の式(7)によって表すことができる。
PET1構成単位中のEG部分の分子量/PET1構成単位の分子量
=60/192.1×100=31.2% (7)
またポリマーがポリマーがポリエチレンナフタレート(PEN)でそのエチレングリコールがバイオマス由来である場合には、同様にして以下の式(8)に示すようにしてポリエステル中の非化石原料で構成されている重量比率を算出することができる。
PEN1構成単位中のEG部分の分子量/PEN1構成単位の分子量
=60/242.2×100=24.8% (8)
よって好ましくはポリエステルを構成する総量の24重量%以上が、さらにより好ましくは31重量%以上が非化石原料で構成されていることが好ましい。これらの要件を満たすことによって、本発明のポリエステルは実質的な二酸化炭素発生量の削減を達成することができる。
また本発明のポリエステルは、ポリエステル製品屑からケミカルリサイクルされた芳香族ジカルボン酸を使用している。このケミカルリサイクルにより、原料から製造され最終的に廃棄されるまでのライフサイクルは大幅に延長され、地球環境保全に対して非常に有用であることは間違いない。例えば、化石原料から3つの製品を作り、それをすべて焼却処分するよりは、1つの製品を3度リサイクルされた後に焼却処分されれば、製造時に多量の二酸化炭素を発生させない限り、トータルでの二酸化炭素発生量は削減できるであろう。この場合の削減量は、さまざまな条件により異なるため一般化は困難であるが、過去のライフサイクルアセスメント(LCA)調査によれば、リサイクルされたテレフタル酸ジメチルの製造における二酸化炭素排出量は、石油から合成されたテレフタル酸ジメチルの製造における二酸化炭素排出量に比べておよそ40%の排出量が削減される、というデータがある(「繊維製品(衣料品)のLCA調査報告書 p.26」 経済産業省経済産業局 繊維課 参照: http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g40218bj.pdf)。
以上のとおり、本発明によって、耐熱性が高く、かつ化石原料を使用した同じに比べて該ポリエステルを燃焼させたときに発生する二酸化炭素量が削減される、環境負荷が低減されたポリエステルが得られる。
以下実施例で本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」および「%」は、特別な記載がない限り「重量部」および「重量%」を表し、また各測定値は下記の方法にしたがった。また各実施例等で用いる「バイオマスエチレングリコール」とはバイオ化率100%のEGを指すものである。
実施例1〜3では、ジオール成分としてバイオマスエチレングリコールを使用し、比較例1〜3では、ジオール成分として化石資源から製造されたエチレングリコールを使用した。バイオ化率の測定結果、バイオマスエチレングリコールのバイオ化率は90%であった。一方、化石資源から製造されたエチレングリコールのバイオ化率は<0.06%であった。ここで、化石資源から製造したグリコール化合物とは、通常工業的に製造されている石油、天然ガスまたは石炭などの化石資源を原料として製造されたグリコール化合物を指す。
またリサイクルされたテレフタル酸ジメチルとして、ポリエチレンテレフタレートを主として含むポリエステル廃棄物をエチレングリコールを用いて解重合反応を行い、生成したビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートにメタノール添加しエステル交換反応を行い、生成したテレフタル酸ジメチルを蒸留精製することで得られたテレフタル酸ジメチルを使用した。さらにポリエチレンナフタレートを主として含むポリエステル廃棄物をエチレングリコールを用いて解重合反応を行い、生成したビス(2−ヒドロキシエチル)−2,6−ナフタレートにメタノール添加しエステル交換反応を行い、生成した2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルを蒸留精製することで得られた2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルも使用した。
(1)固有粘度
ポリマーの固有粘度は、35℃のオルソクロロフェノール溶液で測定した。
(2)バイオ化率評価(14C濃度測定)
14Cの濃度測定は、タンデム加速器と質量分析計を組み合わせた加速器質量分析法によって、構成全炭素量に対する放射性炭素である14Cの濃度を測定し、107.44pMCの場合をバイオ化率100%として基準としこの値に対する濃度比として、バイオ化率を求めた。
(3)融点
融点は、TAインストゥルメンツ社製Q20型示差走査熱量計を用い、窒素雰囲気下、20℃/分の昇温速度で測定した。
[参考例]チタン触媒Aの合成
無水トリメリット酸のエチレングリコール溶液(0.2重量%)にテトラブトキシチタンを無水トリメリット酸に対して1/2モル添加し、空気中常圧下で80℃に保持して60分間反応せしめた。その後常温に冷却し、10倍量のアセトンによって生成触媒を再結晶化させた。析出物をろ紙によって濾過し、100℃で2時間乾燥せしめ、目的の化合物を得た。得られた化合物のチタン含有量は11.5重量%であった。これをチタン触媒Aとする。
[実施例1]
リサイクルされたテレフタル酸ジメチル100部、バイオマスエチレングリコール60部、酢酸マンガン4水塩0.031部をエステル交換缶に仕込み、窒素ガス雰囲気下、約3時間かけて140℃から240℃まで昇温して生成するメタノールを系外に留出しながらエステル交換反応した。
エステル交換を終了させた後、安定剤としてリン酸0.004部および重縮合反応触媒として三酸化アンチモン0.04部を添加し、ただちに285℃まで昇温し、減圧下、重縮合反応を行い、ポリマーを得た。得られたポリマーの固有粘度は0.64であった。また得られたポリマーのバイオ化率は18%であった。このポリマーを完全燃焼させたときに発生する二酸化炭素量は、ポリマー1kgあたり1,832gである。
[比較例1]
実施例1において使用したバイオマスエチレングリコールに換えて従来の化石資源から製造され、更に精製されたエチレングリコールを使用して行った。結果を表1に示した。このポリマーを完全燃焼させたときに発生する二酸化炭素量は、ポリマー1kgあたり2,290gである。したがって、実施例1の結果と比較すると、実施例1のポリマーは比較例1のポリマーに比べて、ポリマー1kgあたり458gの二酸化炭素排出量が削減される。
[実施例2]
リサイクルされたテレフタル酸ジメチル100部、バイオマスエチレングリコール60部、さらに参考例で得られたチタン触媒A0.011部をエステル交換缶に仕込み、0.08MPaで加圧し、窒素ガス雰囲気下、約3時間かけて140℃から240℃まで昇温して、生成するメタノールを系外に留出しながらエステル交換反応した。エステル交換を終了させた後、安定剤としてカルボエトキシメタンホスホン酸ジエチルエステル0.012部を添加し、ただちに285℃まで昇温し、減圧下重縮合反応を行い、ポリマーを得た。結果を表1に示した。
[比較例2]
実施例2において使用したバイオマスエチレングリコールに換えて従来の化石資源から製造され、更に精製されたエチレングリコールを使用して行った。結果を表1に示した。また実施例1、比較例1と同様に、完全燃焼時の二酸化炭素発生量の比較を行った。
[実施例3]
リサイクルされた2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル126部、バイオマスエチレングリコール60部、さらに参考例で得られたチタン触媒A0.011部をエステル交換缶に仕込み、0.08MPaで加圧し、窒素ガス雰囲気下、約3時間かけて140℃から240℃まで昇温して、生成するメタノールを系外に留出しながらエステル交換反応した。エステル交換を終了させた後、安定剤としてカルボエトキシメタンホスホン酸ジエチルエステル0.012部を添加し、ただちに285℃まで昇温し、減圧下、重縮合反応を行い、ポリマーを得た。結果を表1に示した。
[比較例3]
実施例3において使用したバイオマスエチレングリコールにかえて従来の化石資源から製造され、更に精製されたエチレングリコールを使用して行った。結果を表1に示した。また実施例1、比較例1と同様に、完全燃焼時の二酸化炭素発生量の比較を行った。
[比較例4]
とうもろこしを素原料として製造されたL−ラクチド(株式会社武蔵野化学研究所製、光学純度100%)100重量部に対し、オクチル酸すずを0.005重量部加え、窒素雰囲気下攪拌翼のついた反応機中にて、180℃で2時間反応し、その後、減圧して残存するラクチドを除去し、チップ化し、ポリ−L−乳酸を得た。得られたポリ−L−乳酸は固有粘度1.20dL/g、融点は180℃であった。
Figure 2010280750
本発明により、従来の環境負荷が低いといわれるポリ乳酸などのポリエステルに比べ耐熱性の向上した、すなわち融点が230℃以上で200℃以上の高温にさらされるような用途にも活用でき、かつ該ポリエステルからなる製品を最終的に燃焼廃棄したときに発生する二酸化炭素量が、少なくとも該ポリエステル1kgあたり300g以上削減される耐熱性ポリエステルを提供することができる。この知見は産業発達の上で意義が大きい。

Claims (4)

  1. ポリエステルを構成する成分の総量の20重量%以上が非化石原料で構成されており、かつ全炭素原子中、1950年時点の循環炭素中の14C濃度を基準(100%)とした14C濃度の比率が11%以上であり、固有粘度が0.50〜1.00dL/g、融点が230℃以上であるポリエステル。
  2. ポリエステルが、1950年時点の循環炭素中の14C濃度を基準(100%)とした14C濃度の比率が16%以上のポリエチレンテレフタレートである請求項1記載のポリエステル。
  3. 芳香族ジカルボン酸ジメチルエステルを主たる酸成分原料として用い、エチレングリコール中に含まれる全炭素原子中1950年時点の循環炭素中の14C濃度を基準(100%)とした14C濃度の比率が80%以上100%以下であるエチレングリコールをジオール成分として用いる請求項1〜2のいずれか1項記載のポリエステルの製造方法。
  4. 芳香族ジカルボン酸ジメチルエステルが、ポリエチレンテレフタレートを解重合して得られたテレフタル酸ジメチルである請求項3記載のポリエステルの製造方法。
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