JP2009148875A - シート材切断装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明は、直線状の刃先線を有する固定刃と、該固定刃の刃先線と剪断角をもって順次噛み合うことでシート材の切断を営む回転刃とを備えたシート材切断装置であって、前記回転刃は、長尺状のシャンク部と、該シャンク部の長手方向に設けられた刃先線を有する刃部とを有し、該刃部と前記シャンク部とが一体の金属焼結体でなる、シート材切断装置である。本発明において、回転刃には金属粉末射出成形体が焼結された金属焼結体でなる回転刃を用いることができる。
【選択図】 図1
Description
すなわち本発明は、直線状の刃先線を有する固定刃と、該固定刃の刃先線と剪断角をもって順次噛み合うことでシート材の切断を営む回転刃とを備えたシート材切断装置であって、前記回転刃は、長尺状のシャンク部と、該シャンク部の長手方向に設けられた刃先線を有する刃部とを有し、該刃部と前記シャンク部とが一体の金属焼結体でなる、シート材切断装置である。
また、前記刃部は前記固定刃の両端側から噛み合い可能な刃先線を有することができる。
また、上記いずれの回転刃においても、前記刃部の刃先線に切り欠きを有することができる。
このような所望形状に形成可能な金属焼結体でなる回転刃を用いて、本発明のシート材切断装置、すなわち、直線状の刃先線を有する固定刃と、該固定刃の刃先線と剪断角をもって順次噛み合うことでシート材の切断を営む回転刃とを備えたシート材切断装置を構成することができる。
なお、本発明でいう平行とは、数学的に厳密な平行状態でなく、回転刃と固定刃との噛み合い状態を調整するためなど所要の微量な例えば0.5°程度の噛込角などの傾きを含んでおり、実質的に平行状態といえる程度の平行をいう。
また、刃部の刃先線は、相手刃となる固定刃の刃先線とで剪断角を画成するためのリード角をもって形成できる。また、刃先線の途中においてリード角が変化するように形成でき、例えば切断前半側よりも切断後半側が大きなリード角となるように形成できる。大きなリード角は切断時に回転刃に作用する切断負荷の低減に有効である。例えば、装置サイズの制約などの理由によりシート材切断装置内のスペースが限定され、切断終了側の回転刃断面において十分な断面係数が確保し難い場合などでは、切断開始側よりも切断終了側のリード角を大きく形成することで切断時に回転刃に作用する切断負荷を低減することが望ましい。
本発明における回転刃であって、曲線状の刃先線を有する回転刃の一例を説明する。図9に模式図を、図10に断面図を示す。回転刃100は、長尺状のシャンク部101と、シャンク部101の長手方向の両端側に回転軸部104a、104bと、シャンク部101の長手方向に連なる刃部102を有する。そして、刃部102は、曲線状の刃先線103として形成されている。切断を営む回転刃断面の形状は切断開始側と切断終了側とではその形状が異なって形成され、これにより切断負荷に耐えるための強度を確保しつつ相手刃となる固定刃と回転刃との間にシート材を通紙するための間隙を画成している。また、刃部の刃先部の形状は、切断開始側から切断終了側まで刃先角などが同じ形状となるように形成されており、これにより切断の安定化を図ることができる。
このように、本発明における回転刃は、従来のように粗加工から仕上げ加工までのすべてを機械加工に拠らないので、回転刃の生産効率や製造コストが格段に改善される。
また、回転刃に好適な材料としては、上述したMIMなどの金属焼結法に適用できる金属粉末が使用でき、例えば、ステンレス系刃物鋼、ダイス鋼、高速度工具鋼等が刃物材料として好適である。
本発明における回転刃である、図9に示す回転刃100の刃先線103と同様の形状を有し、曲線状の刃先線を有する図3に示す回転刃1を以下の製造手段によって得た。
まず、回転刃1の近似形状を有する金属焼結体を、金属射出成形法(以下、MIMという)を適用して製造した。具体的には、金属粉末として合金工具鋼であるSKD11を用い、これに対してバインダとなるパラフィンワックスやポリプロピレン、この他のゴム材(SBR)を混合し混練して射出成形素材を得た後、該射出用素材を回転刃1の形状に対応する空間形状のキャビティを有する加温された金型内に射出して成形し、常温(25℃)まで冷却した後に型開きし、回転刃1に近似する外観形状を有するグリーン体を得た。次いで、得られたグリーン体を炭化水素系溶剤に浸漬してパラフィンワックスを除去し、乾燥させた後に加熱することでポリプロピレンやゴム材を除去し、この後さらに加熱して金属粉末を焼結させることにより、回転刃1の近似形状を有する金属焼結体を得た。
シート材切断装置A(以下、切断装置Aという)は、切断を営む回転刃1と固定刃2、固定刃2を取り付けたホルダ5、回転刃1とホルダ5を支持するフレーム3と側板4、回転刃1と固定刃2との噛み合いを調整する調整板6などで構成されている。
側板4は、回転刃1を軸支する軸受7を取り付ける貫通孔4bと、支軸8および圧接バネ9を逃がす逃げ孔4cを有し、フレーム3に対して貫通孔4aの個所でネジ10によって固定されている。また、側板4の外側には、支軸8を挿入する貫通孔6bと、圧接バネ9の一端9aを連通して係止する貫通孔6cを有する調整板6が、タップ孔4dの個所でネジ11によって取り付けられている。
表1に回転刃1と従来刃、および固定刃の略仕様を示す。また、表2に被切断シート材を切断した際に測定した切断トルク(N・m)を示す。この切断トルク(N・m)は、切断時に回転刃1の刃先に作用する切断力を計測し、計測した測定値に対して回転刃1の刃先から回転軸心までの距離を乗じた算定値である。
以上のことから、小径であるにもかかわらず、回転刃の刃先線において、固定刃の刃先線とでなす剪断角に対応するリード角を大きく設定して形成できる本発明における回転刃1は、切断トルクが従来刃よりも十分に小さいことが確認でき、これによって回転刃の駆動動力を従来よりも低減できることが認められた。また、従来刃よりも小径化が可能となって軽量化でき、従来よりも小さい駆動動力でさらに厚いシート材が切断可能であることがわかった。
実施例1で述べた切断装置Aに用いた回転刃1と固定刃2を使用し、回転刃1と固定刃2とが合体分離可能な本発明のシート材切断装置B(以下、切断装置Bという)を製造した。図4に合体時の模式図、図5に構成図、図6に合体時の断面図、図7に分離時の模式図、図8に分離時の断面図を示す。
切断装置Bは、切断を営む回転刃1と固定刃2、回転刃1を合体分離可能に支持する回転刃ホルダ32、合体時に回転刃1を係止する係止フレーム34、固定刃2を取り付けたホルダ25、回転刃ホルダ32と係止フレーム34とホルダ25を支持するフレーム23、回転刃1と固定刃2との噛み合いを調整する調整板26などで構成されている。
ホルダ25は、固定刃取付面25aに対して固定刃2が固着され、長手方向の両端側には支軸28を挿入する貫通孔25bと、圧接バネ29の他端29bを連通して係止する貫通孔25cを有している。また、支軸28はホルダ25および圧接バネ29を軸支し、圧接バネ29はその付勢力によって固定刃2の刃先線2aを回転刃1のシャンク部1aや刃先線1cに対して付勢している。
上述した切断装置Bは、切断装置Aと同様に、回転刃1と固定刃2との間の通紙口1eに被切断シート材を挿入後、回転刃1を回転させて回転刃1の刃先線1cと固定刃2の刃先線2aとを順次噛み合わせていくことで、切断開始から切断終了まで被切断シート材を安定して切断することが可能である。
110.回転刃、111.シャンク部、112.刃部、113.刃先線、114a、114b.回転軸部、120.回転刃、121.シャンク部、122.刃部、123.刃先線、124a、124b.回転軸部、125.切り欠き
Claims (6)
- 直線状の刃先線を有する固定刃と、該固定刃の刃先線と剪断角をもって順次噛み合うことでシート材の切断を営む回転刃とを備えたシート材切断装置であって、前記回転刃は、長尺状のシャンク部と、該シャンク部の長手方向に設けられた刃先線を有する刃部とを有し、該刃部と前記シャンク部とが一体の金属焼結体でなることを特徴とするシート材切断装置。
- 前記刃部は曲線状の刃先線を有することを特徴とする請求項1に記載のシート材切断装置。
- 前記刃部は前記固定刃の両端側から噛み合い可能な刃先線を有することを特徴とする請求項1または2に記載のシート材切断装置。
- 前記刃部の刃先線に切り欠きを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシート材切断装置。
- 前記回転刃と前記固定刃とが合体分離可能でなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のシート材切断装置。
- 前記回転刃は、金属粉末射出成形体が焼結された金属焼結体でなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のシート材切断装置。
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