JP6709603B2 - 切削インサートの取り付け機構、刃先回転式ミーリング工具及び刃先回転式ターニング工具 - Google Patents
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Description
特許文献1、2の刃先回転式ミーリング工具は、円板状をなし外周縁に切れ刃を有する切削インサートが、そのインサート軸線回りに回転自在とされてインサート取付座に装着される切削インサートの取り付け機構を備えている。切削インサートは、超硬合金等からなり、インサート取付座は、鋼等からなる工具本体の先端外周部に形成されている。
また、切削インサートとインサート取付座との間には、鋼等からなるシート部材が介装されている。シート部材は、インサート取付座に対してインサート軸線回りの回転が規制された状態、又は回転が許容された状態で、該インサート取付座に配設される。
すなわち、切削時に被削材から受ける力によって、シート部材やインサート取付座が片減りする(偏摩耗する)おそれがあった。具体的に、切削時に切削インサートが被削材から受ける力は、この被削材に切り込む切削インサートの切れ刃近傍の所定位置で大きくなるため、この所定位置に対応するシート部材の部分やインサート取付座の部分が、他の部分に比べて早期に摩耗しやすかった。
なお、上記所定位置とは、インサート取付座に装着され回転する切削インサートが被削材に切り込む所定の位置であり、つまり切削インサートとともに回転移動するものではなく、インサート取付座(工具本体)に対してほぼ移動することのない所定の位置である。
また、シート部材が、インサート取付座に対してインサート軸線回りの回転移動を許容された状態で設けられた場合は、切削インサートの回転に伴って回転するシート部材との摩擦により、インサート取付座におけるインサート軸線方向のシート部材側を向く表面が、早期に偏摩耗する。
特に、耐熱合金等の難削材を被削材とする切削加工においては、切削時に、切削インサートを介してシート部材やインサート取付座へ伝達されるインサート軸線方向の荷重が大きくなり、例えば3000Nにも及ぶため、上記課題が顕著なものとなりやすい。
すなわち本発明は、円板状をなし、インサート軸線回りに延びる円形状の切れ刃を有する切削インサートと、前記切削インサートが前記インサート軸線回りに回転可能に装着されるインサート取付座と、を備えた切削インサートの取り付け機構であって、前記切削インサートと前記インサート取付座との間に、前記インサート軸線方向に重ねて複数のシート部材が介装され、前記複数のシート部材のうち、前記インサート取付座に当接する第1のシート部材は、前記インサート取付座に対して、前記インサート軸線回りに回転不能に設けられており、前記切削インサートに当接する第2のシート部材は、この第2のシート部材の前記インサート軸線方向の両側に隣接する前記切削インサート及び他のシート部材に対して、前記インサート軸線回りに回転可能に設けられ、前記第2のシート部材は、この第2のシート部材の前記インサート軸線方向の両側に隣接する前記切削インサート及び前記他のシート部材の各硬度よりも、低い硬度を有する材料により形成されていることを特徴とする。
また本発明は、円板状をなし、インサート軸線回りに延びる円形状の切れ刃を有する切削インサートと、前記切削インサートが前記インサート軸線回りに回転可能に装着されるインサート取付座と、を備えた切削インサートの取り付け機構であって、前記切削インサートと前記インサート取付座との間に、前記インサート軸線方向に重ねて複数のシート部材が介装され、前記複数のシート部材のうち、前記インサート取付座に当接する第1のシート部材は、前記インサート取付座に対して、前記インサート軸線回りに回転不能に設けられており、前記切削インサートに当接する第2のシート部材は、この第2のシート部材の前記インサート軸線方向の両側に隣接する前記切削インサート及び他のシート部材に対して、前記インサート軸線回りに回転可能に設けられ、前記第1のシート部材は、超硬合金により形成され、前記第2のシート部材は、鋼材により形成されていることを特徴とする。
また本発明は、円板状をなし、インサート軸線回りに延びる円形状の切れ刃を有する切削インサートと、前記切削インサートが前記インサート軸線回りに回転可能に装着されるインサート取付座と、を備えた切削インサートの取り付け機構であって、前記切削インサートと前記インサート取付座との間に、前記インサート軸線方向に重ねて複数のシート部材が介装され、前記複数のシート部材のうち、前記インサート取付座に当接する第1のシート部材は、前記インサート取付座に対して、前記インサート軸線回りに回転不能に設けられており、前記切削インサートに当接する第2のシート部材は、この第2のシート部材の前記インサート軸線方向の両側に隣接する前記切削インサート及び他のシート部材に対して、前記インサート軸線回りに回転可能に設けられ、前記切削インサートには、前記インサート軸線上を延びて該切削インサートの前記インサート軸線に交差する表裏面に開口する貫通孔が形成されており、前記インサート取付座に装着されて、前記切削インサートを前記インサート軸線回りに回転自在に支持する支持軸を備え、前記支持軸は、前記貫通孔内に挿通されて前記インサート取付座に取り付けられる軸部と、前記軸部に接続されるとともに、前記貫通孔の内径よりも大径とされ、前記切削インサートの前記表裏面のうち表面との間に隙間をあけて配置される頭部と、を有し、前記インサート取付座に対する前記支持軸の前記インサート軸線方向への移動が規制可能に構成され、前記インサート取付座に対する前記支持軸の前記インサート軸線方向の位置が調整可能とされ、前記頭部は、前記切削インサートの前記表面に当接可能とされ、前記軸部は、前記インサート取付座に螺着されるネジ部と、当該軸部の中心軸に垂直な断面が多角形状をなす被係止部と、を有し、前記被係止部に前記中心軸回りに形成された複数の平坦面のうちの1つに当接可能とされるとともに、前記インサート取付座に対する前記支持軸の前記中心軸回りの回転を規制する係止部を備えることを特徴とする。
また本発明は、円板状をなし、インサート軸線回りに延びる円形状の切れ刃を有する切削インサートと、前記切削インサートが前記インサート軸線回りに回転可能に装着されるインサート取付座と、を備えた切削インサートの取り付け機構であって、前記切削インサートと前記インサート取付座との間に、前記インサート軸線方向に重ねて複数のシート部材が介装され、前記複数のシート部材のうち、前記インサート取付座に当接する第1のシート部材は、前記インサート取付座に対して、前記インサート軸線回りに回転不能に設けられており、前記切削インサートに当接する第2のシート部材は、この第2のシート部材の前記インサート軸線方向の両側に隣接する前記切削インサート及び他のシート部材に対して、前記インサート軸線回りに回転可能に設けられ、前記切削インサートには、前記インサート軸線上を延びて該切削インサートの前記インサート軸線に交差する表裏面に開口する貫通孔が形成されており、前記インサート取付座に装着されて、前記切削インサートを前記インサート軸線回りに回転自在に支持する支持軸を備え、前記支持軸は、前記貫通孔内に挿通されて前記インサート取付座に取り付けられる軸部と、前記軸部に接続されるとともに、前記貫通孔の内径よりも大径とされ、前記切削インサートの前記表裏面のうち表面との間に隙間をあけて配置される頭部と、を有し、前記インサート取付座に対する前記支持軸の前記インサート軸線方向への移動が規制可能に構成され、前記支持軸の前記頭部と、前記切削インサートとの間に、前記切削インサートを、前記第2のシート部材に対して前記インサート軸線方向に付勢する付勢手段として圧縮ばねが介装されることを特徴とする。
切削インサートとインサート取付座との間には、複数のシート部材が重ねて介装されており、これらシート部材のうち、インサート取付座の直上に隣接配置された第1のシート部材は、インサート取付座に対して回転不能である一方、切削インサートの直下に隣接配置された第2のシート部材は、該切削インサートの回転に伴ってインサート軸線回りに回転(供回り)させられる。
このように、本発明によれば、複数のシート部材及びインサート取付座の偏摩耗を抑制できるので、切削インサートの着座安定性を良好に維持することができる。
また、切削インサートの取り付け機構全体をコンパクトに形成することが容易であり、省スペース化を図ることが可能である。
また、本発明の切削インサートの取り付け機構において、前記第2のシート部材は、この第2のシート部材の前記インサート軸線方向の両側に隣接する前記切削インサート及び前記他のシート部材の各硬度よりも、低い硬度を有する材料により形成されている。
この場合、切削インサートや他のシート部材との摩擦により、第2のシート部材を優先的に摩耗させて、偏摩耗を抑制できる、という上述した本発明の作用効果が、より確実に奏功される。
また、本発明の切削インサートの取り付け機構において、前記第1のシート部材は、超硬合金により形成され、前記第2のシート部材は、鋼材により形成されている。
この場合、第1のシート部材の摩耗を顕著に防止することが可能になる。
また、第2のシート部材の製造が容易であり、製造コストを低減できる。また切削時に、第2のシート部材に大きな力(インサート軸線方向への高荷重など)が作用しても、第2のシート部材が靱性により破損しにくくなる。なお、鋼材としては、例えばSKD等の鋼材の中でも高硬度のものを用いることが好ましい。
また、本発明の切削インサートの取り付け機構において、前記切削インサートには、前記インサート軸線上を延びて該切削インサートの前記インサート軸線に交差する表裏面に開口する貫通孔が形成されており、前記インサート取付座に装着されて、前記切削インサートを前記インサート軸線回りに回転自在に支持する支持軸を備え、前記支持軸は、前記貫通孔内に挿通されて前記インサート取付座に取り付けられる軸部と、前記軸部に接続されるとともに、前記貫通孔の内径よりも大径とされ、前記切削インサートの前記表裏面のうち表面との間に隙間をあけて配置される頭部と、を有し、前記インサート取付座に対する前記支持軸の前記インサート軸線方向への移動が規制可能に構成される。
この場合、切削インサートは、その貫通孔内に挿通された支持軸の軸部によって、インサート軸線に直交するインサート径方向の内側から支持されつつ、インサート取付座に対して従動回転させられ、かつ、支持軸の頭部によって抜け止めされている。そして、支持軸の頭部と切削インサートの表面との間の隙間(クリアランス)を所期する値に設定して、インサート取付座に対する支持軸のインサート軸線方向への移動を規制することができる。
従って、支持軸により切削インサートを、インサート軸線回りに安定して回転させることができる。また支持軸により、切削インサート(及び複数のシート部材)が、インサート取付座からインサート軸線方向に大きく離間するような移動を規制することができて、がたつきの発生を抑えることができる。
また、本発明の切削インサートの取り付け機構において、前記インサート取付座に対する前記支持軸の前記インサート軸線方向の位置が調整可能とされ、前記頭部は、前記切削インサートの前記表面に当接可能とされ、前記軸部は、前記インサート取付座に螺着されるネジ部と、当該軸部の中心軸に垂直な断面が多角形状をなす被係止部と、を有し、前記被係止部に前記中心軸回りに形成された複数の平坦面のうちの1つに当接可能とされるとともに、前記インサート取付座に対する前記支持軸の前記中心軸回りの回転を規制する係止部を備える。
この場合、インサート取付座に対する支持軸のインサート軸線方向の位置を調整することで、該支持軸の頭部と切削インサートの表面との間の隙間(クリアランス)を所期する値に設定することができ、この調整後には、インサート取付座に対する支持軸のインサート軸線方向への移動を規制することができる。詳しくは、支持軸の軸部に形成されたネジ部をインサート取付座にねじ込む程度(ねじ込み量)を調整することによって、インサート取付座に対して支持軸を軸部の中心軸方向(インサート軸線方向)に精度よく移動させることができ、支持軸の位置の微調整が容易である。
また、支持軸の軸部に形成された断面多角形状の被係止部のうち、1つの平坦面に対して係止部を当接させることによって、インサート取付座に対する支持軸の回転を確実に規制して、支持軸のインサート軸線方向への移動を規制することができる。
また、例えば、第2のシート部材がインサート軸線回りに周方向に均等に摩耗して、該第2のシート部材のインサート軸線方向の厚さが小さくなったときには、切削インサートとインサート取付座との間の距離の減少量に応じて、支持軸をインサート軸線方向に移動させることにより、所期する上記隙間(クリアランス)となるように位置を微調整することができる。また、この微調整後には、支持軸の位置を固定して、所期する上記隙間を維持できる。
具体的には、下記に説明する手順により、支持軸の頭部と切削インサートの表面との間の隙間(クリアランス)を所期する値に容易に設定できる。
すなわち、まず、支持軸の頭部が切削インサートの表面に当接するまで、該支持軸のネジ部をインサート取付座にねじ込む。支持軸の頭部が切削インサートの表面に当接したら、係止部を該支持軸の被係止部に当接させる。
このとき、係止部が、被係止部の平坦面における最も中心軸に近い部分(つまり被係止部のうち最も小径となる部分)以外の部位に当接した場合には、支持軸をインサート軸線回りに回転させることができる(インサート取付座へのねじ込みを緩めることができる)ので、支持軸をねじの緩み側へ僅かに回転させる。
なお、この際に支持軸を回転させる角度(中心軸回りの回転角)は、被係止部の断面に表れる多角形の1つの外角以下であることが好ましい。具体的には、例えば被係止部が断面正六角形状をなす場合には、回転角は60°以下である。また、被係止部が断面正八角形状をなす場合には、回転角は45°以下である。
そして、再び係止部を被係止部に当接させる。この作業を繰り返すことにより、係止部が、被係止部の平坦面に正面から当接し(つまり平坦面の最も小径となる部分に当接し)、この当接によって、支持軸のそれ以上の回転が規制されて、該支持軸の中心軸方向(インサート軸線方向)への移動も規制される。
またこれにより、支持軸の頭部と切削インサートの表面との間に、支持軸のネジ部のねじピッチと上記回転角に応じた所定の隙間(クリアランス)が形成される。具体的に、例えば支持軸のネジ部のねじピッチ(リード)が中心軸回りの一周あたり中心軸方向へ向けて0.5mmである場合、支持軸の頭部が切削インサートの表面に当接した状態から、該支持軸をねじの緩み側に60°以下の範囲で回転させて係止部で固定した場合には、0.5mm×60°/360°=0.0833mmより、0.0833mm以下の上記隙間(クリアランス)を精度よく設定することができる。また、支持軸をねじの緩み側に45°以下の範囲で回転させて係止部で固定した場合には、0.5mm×45°/360°=0.0625mmより、0.0625mm以下の上記隙間(クリアランス)を精度よく設定することができる。
なお、上記隙間は、例えば0.01〜0.6mmの範囲に設定されることが好ましく、より望ましくは、0.03〜0.2mmの範囲に設定される。
また、係止部が、最初から、被係止部の平坦面に正面から当接(平坦面の最も小径の部分に当接)した場合には、この当接によって、支持軸のそれ以上の回転が規制されるので、一旦係止部を平坦面から後退させた後、支持軸をねじの緩み側へ僅かに回転させて、上述と同様の手順で作業を行えばよい。
このように、上記構成によれば、作業者に熟練を要することなく、支持軸の中心軸方向(インサート軸線方向)の位置合わせを正確かつ簡単に行うことができ、該支持軸の頭部と切削インサートの表面との隙間(クリアランス)を精度よく設定できる。
また、本発明の切削インサートの取り付け機構において、前記支持軸の前記頭部と、前記切削インサートとの間に、前記切削インサートを、前記第2のシート部材に対して前記インサート軸線方向に付勢する付勢手段として圧縮ばねが介装される。
この場合、後述の作用効果が得られる付勢手段を、圧縮コイルばねや皿バネ等の圧縮ばねにより簡単に形成することができ、切削インサートの取り付け機構の製造やメンテナンスが容易である。
具体的に、付勢手段により付勢された切削インサートは、概ね被削材に切り込んだ際に受ける力のみによって回転させられるため、各切り込み毎に所期する回転量を付与しやすく、安定した回転が得られやすい。
一方、本発明の上記構成によれば、切削インサートに所期する回転を安定して付与しやすくなり、該切削インサートの切れ刃全体が満遍なく(均等に)切削加工に寄与することとなって、良好な切削状態を安定して維持することが可能になる。
なお、被削材から受ける力により回転させられる部材である切削インサートの裏面に、潤滑被膜が形成される場合には、被膜の偏摩耗を防止でき、より好ましい。
なお、被削材から受ける力により回転させられる部材である第2のシート部材の裏面に、潤滑被膜が形成される場合には、被膜の偏摩耗を防止でき、より好ましい。
さらに、インサート軸線方向に隣接する部材同士の間に潤滑被膜が介在することによって、該潤滑被膜を介して当接するこれら部材同士が滑りやすくなり、これら部材(特に第2のシート部材)の摩耗そのものを顕著に抑制することができる。
1.切削インサートとの摩擦抵抗により回転するモード。
2.他のシート部材との摩擦抵抗により回転しなくなるモード。
3.上記1.2.が混在するモード(回転と回転停止が交互に繰り返されるモード)。
そして、本発明の上記構成によれば、潤滑被膜が設けられることにより、上記2.のモードを確実に回避できるようになっている。
具体的に、潤滑被膜が、潤滑剤からなる膜で形成される場合は、この潤滑被膜を簡単に作製することができ、かつ、種々の所期する性能(摩擦抵抗、回転力、寿命等)を安定して付与することが可能である。また、潤滑被膜が、PVD膜で形成されていたり、めっき膜で形成されている場合には、所期する潤滑性能が得られつつ、該潤滑被膜の膜厚制御等が容易である。
この刃先回転式ミーリング工具は、上述の切削インサートの取り付け機構を備えているので、高精度な転削加工(ミーリング加工)を安定して行うことができる。
この刃先回転式ターニング工具は、上述の切削インサートの取り付け機構を備えているので、高精度な旋削加工(ターニング加工)を安定して行うことができる。
図1〜図6に示されるように、本実施形態の刃先回転式ミーリング工具30は、鋼材等で形成された工具本体2と、超硬合金等の硬質材料で形成された切削インサート3と、を備えており、工具軸線O回りに回転させられる工具本体2の先端外周部に形成されたインサート取付座4に、円板状をなす切削インサート3がそのインサート軸線C回りに回転可能とされて、着脱可能に装着される。
切削インサート3は、インサート軸線C回りに延びる円形状の切れ刃5を有する、所謂丸駒インサートである。インサート取付座4に取り付けられた切削インサート3は、その切れ刃5が、工具本体2の先端側及び径方向外側に突出して配置される。
この刃先回転式ミーリング工具30は、切削インサート3が被削材に切り込んで加工する際に切れ刃5が受ける力(切削力又は切削抵抗であり、刃先力又はエッジフォースの成分を含む)によって、インサート取付座4に対して該切削インサート3がインサート軸線C回りに従動(受動)的に回転する、ロータリーミーリング工具である。
本明細書においては、工具本体2の工具軸線O方向に沿うインサート取付座4側を工具先端側(図2及び図3における下側)といい、工具軸線O方向に沿うインサート取付座4とは反対側(工作機械の主軸側)を工具基端側(図2及び図3における上側)という。
また、工具軸線Oに直交する方向を工具径方向といい、工具径方向のうち、工具軸線Oに接近する向きを工具径方向の内側といい、工具軸線Oから離間する向きを工具径方向の外側という。
また、工具軸線O回りに周回する方向を工具周方向といい、工具周方向のうち、切削時に主軸により工具本体2が回転させられる向きを工具回転方向Tといい、これとは反対の回転方向を、工具回転方向Tとは反対側(つまり反工具回転方向)という。
また、インサート軸線Cに直交する方向をインサート径方向といい、インサート径方向のうち、インサート軸線Cに接近する向きをインサート径方向の内側といい、インサート軸線Cから離間する向きをインサート径方向の外側という。
また、インサート軸線C回りに周回する方向をインサート周方向という。
図1〜図4において、工具本体2は、円柱状又は円盤状をなしており、その中心軸である工具軸線O回りに、主軸により回転させられる。本実施形態の例では、工具本体2は円柱状をなしており、該工具本体2の先端部(刃部)に比べて、該先端部以外の部位(シャンク部)が大径に形成されている。また、工具本体2の先端部は、工具先端側へ向かうに従い縮径されている。
図4〜図6において、ネジ孔7には、イモネジ(係止部)18が螺着されており、イモネジ18はネジ孔7内に収容されるとともに、支持軸装着孔4c内に突出可能である。
図4において、インサート取付座4には、工具回転方向Tを向く取付面4aと、取付面4aの周縁部から立ち上がる壁面4bと、取付面4aに穿設された支持軸装着孔4cと、が形成されている。また、このインサート取付座4には、切削インサート3と取付面4aとの間に介装される円板状の複数のシート部材21、22が着脱可能に装着される。
図3に示される工具本体2の側面視(インサート取付座4の側面視)で、取付面4aは、工具本体2の工具先端側(図3における下側)へ向かうに従い漸次工具回転方向Tとは反対側(図3における右側)へ向かって傾斜している。
図7〜図9に示されるように、切削インサート3は、インサート軸線Cに交差する(インサート軸線Cに略直交する)表裏面9、10(表面9及び裏面10)と、これら表裏面9、10の周縁同士を接続する外周面11と、を有している。
なお、本明細書でいう「インサート軸線Cに交差する表裏面9、10」とは、インサート軸線Cが直接的に表裏面9、10に交差している構成に限らず、例えば本実施形態のように、インサート軸線Cが表裏面9、10に開口する後述する貫通孔14内に位置しつつも、該インサート軸線Cがこれら表裏面9、10の中心(仮想中心)を貫いている構成を含んでいる。
また、外周面11は、表裏面9、10の周縁同士を、インサート軸線C方向に沿うように繋いでいる。
平面部13、15は、それぞれ円形リング状をなしている。これら平面部13、15のうち、すくい面12のインサート径方向の内側に隣接する平面部13の直径は、該平面部13よりもインサート径方向の内側に配置される平面部(頭部当接部)15の直径よりも大きくなっている。内周壁(頭部収容部)16は、大径の平面部13におけるインサート径方向の内側の周縁と、小径の平面部15におけるインサート径方向の外側の周縁と、をインサート軸線C方向に繋いでいる。
平面部15のインサート径方向の内側には、貫通孔14が開口している。
また、貫通孔14における小径部14bよりもインサート軸線C方向の表面9から裏面10側に位置する部分は、該小径部14bよりも大径に形成されており、前記部分は裏面10に開口している。
図4及び図5に示されるように、切削インサートの取り付け機構1は、切削インサート3とインサート取付座4との間に、インサート軸線C方向に積層された複数のシート部材21、22を備えている。本実施形態では、切削インサート3とインサート取付座4との間に、円板状のシート部材21、22が2枚重ねて介装されている。
本実施形態では、シート部材21、22は計2枚であり、よってこれら第1、第2のシート部材21、22同士も、インサート軸線C方向に互いに当接している。
また、第1、第2のシート部材21、22は、各中心軸がインサート軸線Cに同軸とされて、インサート取付座4に配置されている。本明細書では、これらシート部材21、22の中心軸についても、インサート軸線Cと同一の符号Cを用いて表し、またシート部材21、22の各中心軸を、インサート軸線Cと言い換えることがある。
具体的に本実施形態では、切削インサート3及び第1のシート部材21が、超硬合金により形成されており、第2のシート部材22は、超硬合金よりも硬度が低いSKD等の鋼材により形成されている。
なお、第2のシート部材22は、鋼材よりも高硬度の材料で形成されていてもよく、例えば超硬合金により形成されていてもよい。
なお、本実施形態では、第1のシート部材21は、インサート取付座4に対して、該インサート取付座4との間の摩擦抵抗によって回転不能とされており、回転を規制するための特別な構造が設けられているわけではない。ただしこれに限定されるものではなく、例えば第1のシート部材21の外周に横断面視で直線状をなす切り欠き部を設けるとともに、該切り欠き部を壁面4bに当接させることで第1のシート部材21の回転を規制する構成などにより、第1のシート部材21をインサート取付座4に対して回転不能としてもよい。
また、第2のシート部材22の表裏面のうち、他のシート部材(第1のシート部材21)に当接する裏面、及び、他のシート部材のインサート軸線Cに交差する表裏面のうち、第2のシート部材22に当接する表面、の少なくともいずれかに、潤滑被膜が形成されている。
具体的には、切削インサート3の裏面10及び該裏面10に当接する第2のシート部材22の表面の少なくともいずれかに潤滑被膜が形成されており、又は/及び、第2のシート部材22の裏面及び該裏面に当接する他のシート部材(第1のシート部材21)の表面の少なくともいずれかに潤滑被膜が形成されている。
なお、本実施形態では、製造容易性などの観点から、第2のシート部材22における表裏面(表面及び裏面)に、潤滑被膜が形成されている。
具体的に本実施形態では、潤滑被膜として、エポキシ系、グラファイト系などの塗料タイプの潤滑剤からなる膜、つまり有機系結合剤又は無機系結合剤を含有し、塗布面に塗布した後、加熱硬化又は常温乾燥させることにより固化して形成された乾性被膜潤滑剤を採用している。このような潤滑剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング社の製品名:モリコート(登録商標)を挙げることができる。本実施形態においては、潤滑被膜の静摩擦係数が、例えば5/100以下となっている。
なお、潤滑被膜として、PVD膜を採用する場合には、例えばクロム系PVD膜等を用いることができる。また、潤滑被膜として、めっき膜を採用する場合には、例えば硬質クロムめっき膜等を用いることができる。
図4、図5、図11及び図12(a)(b)に示されるように、切削インサートの取り付け機構1は、インサート取付座4に装着されて、切削インサート3をインサート軸線C回りに回転自在に支持する支持軸17を備えている。
また、支持軸17は、その中心軸がインサート軸線Cに同軸に配置されて、インサート取付座4に着脱可能に装着されている。本明細書では、支持軸17の中心軸についても、インサート軸線Cと同一の符号Cを用いて表し、また支持軸17の中心軸を、インサート軸線Cと言い換えることがある。
なお、軸部17aにおいて、被係止部17cと雄ネジ部17dのインサート軸線C方向の位置が、互いに入れ替えられて形成されていてもよい。この場合、軸本体17e、雄ネジ部17d、被係止部17cは、この順に外径が小さくされる。
また、図6に示されるように本実施形態の例では、被係止部17cが、インサート軸線Cに垂直な横断面視で正六角形状をなしている。すなわち、この被係止部17cには、インサート軸線C回りに複数の平坦面が形成されており、本実施形態の例では、これら平坦面が6つ設けられている。
また、雌ネジ部4dに対する雄ネジ部17dのねじ込み量を調整することにより(深くねじ込むことにより)、頭部17bは、表面9の平面部15に当接可能である。
また、軸部17aの軸本体17eが、切削インサート3の貫通孔14における小径部(軸部支持部)14b、及び、複数のシート部材21、22の円孔21a、22aを、インサート径方向の内側から支持する。
なお、図5に示される例では、軸部17aの軸本体17eにおける被係止部17c側の部分が、インサート取付座4における支持軸装着孔4cの開口部に嵌合するように挿入されているとともに、該開口部によって軸部17aは、インサート径方向の外側から支持されている。
図4〜図6に示されるように、切削インサートの取り付け機構1は、被係止部17cにインサート軸線C回りに形成された複数の平坦面のうちの1つに当接可能とされるとともに、インサート取付座4に対する支持軸17のインサート軸線C回りの回転を規制する係止部として、ネジ孔7に螺着するイモネジ18を備えている。
本実施形態では、イモネジ18の先端が、支持軸17の被係止部17cに当接して該支持軸17のインサート周方向の回転を規制することにより、インサート取付座4に対する支持軸17のインサート軸線C方向への移動を規制可能に構成されている。
図4及び図5に示されるように、切削インサートの取り付け機構1は、切削インサート3を、第2のシート部材22に対してインサート軸線C方向に付勢する付勢手段として、圧縮コイルばね(圧縮ばね)23を備えている。圧縮コイルばね23は、その中心軸がインサート軸線Cに同軸とされて、支持軸17の頭部17bと、切削インサート3の貫通孔14における大径部14aの底面との間に、インサート軸線C方向に縮むように弾性変形させられた状態で介装されている。
圧縮コイルばね23は、切削インサート3の大径部(付勢手段収容部)14a内に収容される。
なお、付勢手段として、圧縮コイルばね23を用いる代わりに、皿バネ(圧縮ばね)を用いてもよく、或いはそれ以外の板バネ等を用いてもよい。
図3に示されるように、本実施形態の例では、インサート取付座4に切削インサート3が装着された状態で、該切削インサート3のインサート軸線C(図3においては不図示)が、工具回転方向Tに向かうに従い漸次工具先端側へ向けて傾斜して延びている。ただしこれに限定されるものではなく、切削インサート3のインサート軸線Cは、工具回転方向Tに向かうに従い漸次工具径方向の外側へ向けて傾斜して延びていてもよく、或いは、工具回転方向Tに向かうに従い漸次工具先端側かつ工具径方向の外側へ向けて傾斜して延びていてもよい。
具体的に、切削インサート3のインサート軸線Cが傾斜する向きは、例えば、切削時において支持軸17に作用するインサート径方向の力を十分に抑えることができ、かつ、切削インサート3をより従動回転させやすくできること等を考慮して設定される。
以上説明した本実施形態の切削インサートの取り付け機構1では、切削時に、切削インサート3が切れ刃5で被削材に切り込み、この際に被削材から受ける力によって、切削インサート3はインサート取付座4に対してインサート軸線C回りに従動回転させられる。
切削インサート3とインサート取付座4との間には、複数のシート部材21、22が重ねて介装されており、これらシート部材21、22のうち、インサート取付座4の直上に隣接配置された第1のシート部材21は、インサート取付座4に対して回転不能である一方、切削インサート3の直下に隣接配置された第2のシート部材22は、該切削インサート3の回転に伴ってインサート軸線C回りに回転(供回り)させられる。
このように、本実施形態によれば、複数のシート部材21、22及びインサート取付座4の偏摩耗を抑制できるので、切削インサート3の着座安定性を良好に維持することができる。
また、切削インサートの取り付け機構1全体をコンパクトに形成することが容易であり、省スペース化を図ることが可能である。
具体的に、付勢手段により付勢された切削インサート3は、概ね被削材に切り込んだ際に受ける力のみによって回転させられるため、各切り込み毎に所期する回転量を付与しやすく、安定した回転が得られやすい。
一方、本実施形態の上記構成によれば、切削インサート3に所期する回転を安定して付与しやすくなり、該切削インサート3の切れ刃5全体が満遍なく(均等に)切削加工に寄与することとなって、良好な切削状態を安定して維持することが可能になる。
なお、本実施形態では、圧縮コイルばね23が、切削インサート3の貫通孔14の大径部(付勢手段収容部)14a内に収容されているので、該圧縮コイルばね23が切屑やクーラントの影響を受けにくくされて、この圧縮コイルばね23の性能を安定して良好に維持することができる。
また、付勢手段として、圧縮コイルばね23以外の皿バネや板バネ等を用いた場合にも、上記同様の効果を得ることができる。
なお、被削材から受ける力により回転させられる部材である切削インサート3の裏面10に、潤滑被膜が形成される場合には、被膜の偏摩耗を防止でき、より好ましい。
なお、被削材から受ける力により回転させられる部材である第2のシート部材22の裏面に、潤滑被膜が形成される場合には、被膜の偏摩耗を防止でき、より好ましい。
さらに、インサート軸線C方向に隣接する部材(切削インサート3、シート部材21、22)同士の間に潤滑被膜が介在することによって、該潤滑被膜を介して当接するこれら部材同士が滑りやすくなり、これら部材(特に第2のシート部材22)の摩耗そのものを顕著に抑制することができる。
1.切削インサート3との摩擦抵抗により回転するモード。
2.他のシート部材(第1のシート部材21)との摩擦抵抗により回転しなくなるモード。
3.上記1.2.が混在するモード(回転と回転停止が交互に繰り返されるモード)。
そして、本実施形態の上記構成によれば、潤滑被膜が設けられることにより、上記2.のモードを確実に回避できるようになっている。
なお、本実施形態では、付勢手段(圧縮コイルばね23)により切削インサート3が第2のシート部材22に押し付けられることで、切削インサート3は、被削材に切り込んだときのみ該被削材から受ける力によって、従動回転させられる。従って、第2のシート部材22においても、切削インサート3の回転状態に応じて、上記3.のモードに近い回転状態が付与されている。
具体的に、切削時には、切削インサート3がインサート軸線C回りに毎秒十数回転させられており、第2のシート部材22が、毎秒その半分程度の回転数で回転させられている。
具体的に、潤滑被膜が、潤滑剤からなる膜で形成される場合は、この潤滑被膜を簡単に作製することができ、かつ、種々の所期する性能(摩擦抵抗、回転力、寿命等)を安定して付与することが可能である。また、潤滑被膜が、PVD膜で形成されていたり、めっき膜で形成されている場合には、所期する潤滑性能が得られつつ、該潤滑被膜の膜厚制御等が容易である。
また、支持軸17の軸部17aに形成された断面多角形状の被係止部17cのうち、1つの平坦面に対してイモネジ(係止部)18をねじ込み当接させることによって、インサート取付座4に対する支持軸17の回転を確実に規制して、支持軸17のインサート軸線C方向への移動を規制することができる。
すなわち、まず、支持軸17の頭部17bが切削インサート3の表面9に当接するまで、該支持軸17の雄ネジ部17dをインサート取付座4の雌ネジ部4dにねじ込む。支持軸17の頭部17bが切削インサート3の表面9に当接したら、イモネジ18をねじ込んで該支持軸17の被係止部17cに当接させる。
なお、この際に支持軸17を回転させる角度(インサート軸線C回りの回転角)は、被係止部17cの断面に表れる多角形の1つの外角以下であることが好ましい。具体的には、本実施形態のように被係止部17cが断面正六角形状をなす場合には、回転角は60°以下である。また、例えば被係止部17cが断面正八角形状をなす場合には、回転角は45°以下である。
また、例えば被係止部17cが断面正八角形状をなすとともに、支持軸17をねじの緩み側に45°以下の範囲で回転させて、イモネジ18で固定した場合には、0.5mm×45°/360°=0.0625mmより、0.0625mm以下の上記隙間(クリアランス)を精度よく設定することができる。
このように、上記構成によれば、作業者に熟練を要することなく、支持軸17の中心軸方向(インサート軸線C方向)の位置合わせを正確かつ簡単に行うことができ、該支持軸17の頭部17bと切削インサート3の表面9との隙間(クリアランス)を精度よく設定できる。
従って、切削インサート3の表面9上を流れる切屑が、支持軸17の頭部17bに強く当たって切削抵抗が増大させられたり、該頭部17bを摩耗させるようなことが抑制される。
また、第2のシート部材22が、鋼材又は超硬合金により形成されているので、下記の作用効果を奏する。
また、第2のシート部材22を超硬合金により形成した場合は、該第2のシート部材22の偏摩耗は勿論のこと、摩耗そのものが顕著に抑制されて、工具寿命を長寿命化することができる。
この刃先回転式ミーリング工具30は、上述の切削インサートの取り付け機構1を備えているので、高精度な転削加工(ミーリング加工)を安定して行うことができる。
この刃先回転式ターニング工具は、切削インサート3が被削材に切り込んで加工する際に切れ刃5が受ける力(切削力又は切削抵抗であり、刃先力又はエッジフォースの成分を含む)によって、インサート取付座4に対して該切削インサート3がインサート軸線C回りに従動(受動)的に回転する、ロータリーターニング工具である。
この刃先回転式ターニング工具は、上述の切削インサートの取り付け機構1を備えているので、高精度な旋削加工を安定して行うことができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
すなわち、インサート取付座4の取付面4aに当接する第1のシート部材21と、切削インサート3の裏面10に当接する第2のシート部材22との間に、さらに他のシート部材が、一枚又は複数枚インサート軸線C方向に重ねて設けられていてもよい。この場合、第1、第2のシート部材21、22間に挟まれる他のシート部材は、インサート軸線C回りに回転してもよく、或いは回転しなくてもよい。
またこの場合、第2のシート部材22は、その直下(インサート軸線C方向の切削インサート3とは反対側)に隣接配置される前記他のシート部材に対して、インサート軸線C回りに回転可能に設けられる。また好ましくは、第2のシート部材22は、前記他のシート部材の硬度よりも、低い硬度を有する材料又は同等の硬度を有する材料で形成される。
さらに、付勢手段が設けられていなくてもよい。
すなわち、切削インサート3は、その外周面11が、切れ刃5からインサート軸線C方向の表面9から裏面10側へ向かうに従い漸次拡径するように形成された、上記とは異なる形状のネガティブインサートであってもよい。或いは、切削インサート3は、その外周面11が、切れ刃5からインサート軸線C方向の表面9から裏面10側へ向かうに従い漸次縮径するように形成された、ポジティブインサートであってもよい。
また、係止部として、イモネジ18以外のネジ部材や、ピン部材等を用いてもよい。
この変形例は、前述の実施形態とは、主に支持軸17、支持軸装着孔4c及びイモネジ(係止部)18の構成が異なっている。
当接段部17fは、雄ネジ部17dと軸本体17eとの間に位置してこれらを接続しており、図示の例では、軸部17aの中心軸方向の先端側(雄ネジ部17d側)を向く円形リング状をなしている。また、軸本体17eの外周面のうち中心軸方向の先端部(下端部)には、他の部位(該先端部以外の部位)よりも縮径された被係止部17gが形成されている。図14に示されるように、被係止部17gは、断面円形状をなしている。
被当接段部4fは、雌ネジ部4dと挿通孔部4eとの間に位置してこれらを接続しており、図示の例では、支持軸装着孔4cの中心軸方向の開口部側(支持軸17の頭部17b側)を向く円形リング状をなしている。
ただしこれに限定されるものではなく、図17に示される例のように、イモネジ18の中心軸(ネジ孔7の中心軸)の延長線上に、支持軸17の中心軸(支持軸装着孔4cの中心軸。インサート軸線C)が位置しておらず、つまりイモネジ18の中心軸と支持軸17の中心軸とが交差させられずに、支持軸17の軸本体17eに対して、イモネジ18の先端部に設けられたテーパ面18aが当接させられてもよい。
そして、軸部17aの軸本体17eに対してイモネジ(係止部)18を当接させることによって、支持軸装着孔4cに対する軸部17aの中心軸回りの回転を規制するとともに、インサート取付座4に対する支持軸17の回転を規制して、支持軸17のインサート軸線C方向への移動を規制することができる。
2 工具本体
3 切削インサート
4 インサート取付座
4c 支持軸装着孔
4d 雌ネジ部
4e 挿通孔部
4f 被当接段部
5 切れ刃
9 表面
10 裏面
14 貫通孔
17 支持軸
17a 軸部
17b 頭部
17c 被係止部
17d 雄ネジ部(ネジ部)
17e 軸本体
17f 当接段部
18 イモネジ(係止部)
21 第1のシート部材(他のシート部材)
22 第2のシート部材
23 圧縮コイルばね(付勢手段)
30 刃先回転式ミーリング工具
C インサート軸線
O 工具軸線
Claims (10)
- 円板状をなし、インサート軸線回りに延びる円形状の切れ刃を有する切削インサートと、
前記切削インサートが前記インサート軸線回りに回転可能に装着されるインサート取付座と、を備えた切削インサートの取り付け機構であって、
前記切削インサートと前記インサート取付座との間に、前記インサート軸線方向に重ねて複数のシート部材が介装され、
前記複数のシート部材のうち、
前記インサート取付座に当接する第1のシート部材は、前記インサート取付座に対して、前記インサート軸線回りに回転不能に設けられており、
前記切削インサートに当接する第2のシート部材は、この第2のシート部材の前記インサート軸線方向の両側に隣接する前記切削インサート及び他のシート部材に対して、前記インサート軸線回りに回転可能に設けられ、
前記第2のシート部材は、この第2のシート部材の前記インサート軸線方向の両側に隣接する前記切削インサート及び前記他のシート部材の各硬度よりも、低い硬度を有する材料により形成されていることを特徴とする切削インサートの取り付け機構。 - 円板状をなし、インサート軸線回りに延びる円形状の切れ刃を有する切削インサートと、
前記切削インサートが前記インサート軸線回りに回転可能に装着されるインサート取付座と、を備えた切削インサートの取り付け機構であって、
前記切削インサートと前記インサート取付座との間に、前記インサート軸線方向に重ねて複数のシート部材が介装され、
前記複数のシート部材のうち、
前記インサート取付座に当接する第1のシート部材は、前記インサート取付座に対して、前記インサート軸線回りに回転不能に設けられており、
前記切削インサートに当接する第2のシート部材は、この第2のシート部材の前記インサート軸線方向の両側に隣接する前記切削インサート及び他のシート部材に対して、前記インサート軸線回りに回転可能に設けられ、
前記第1のシート部材は、超硬合金により形成され、
前記第2のシート部材は、鋼材により形成されていることを特徴とする切削インサートの取り付け機構。 - 円板状をなし、インサート軸線回りに延びる円形状の切れ刃を有する切削インサートと、
前記切削インサートが前記インサート軸線回りに回転可能に装着されるインサート取付座と、を備えた切削インサートの取り付け機構であって、
前記切削インサートと前記インサート取付座との間に、前記インサート軸線方向に重ねて複数のシート部材が介装され、
前記複数のシート部材のうち、
前記インサート取付座に当接する第1のシート部材は、前記インサート取付座に対して、前記インサート軸線回りに回転不能に設けられており、
前記切削インサートに当接する第2のシート部材は、この第2のシート部材の前記インサート軸線方向の両側に隣接する前記切削インサート及び他のシート部材に対して、前記インサート軸線回りに回転可能に設けられ、
前記切削インサートには、前記インサート軸線上を延びて該切削インサートの前記インサート軸線に交差する表裏面に開口する貫通孔が形成されており、
前記インサート取付座に装着されて、前記切削インサートを前記インサート軸線回りに回転自在に支持する支持軸を備え、
前記支持軸は、
前記貫通孔内に挿通されて前記インサート取付座に取り付けられる軸部と、
前記軸部に接続されるとともに、前記貫通孔の内径よりも大径とされ、前記切削インサートの前記表裏面のうち表面との間に隙間をあけて配置される頭部と、を有し、
前記インサート取付座に対する前記支持軸の前記インサート軸線方向への移動が規制可能に構成され、
前記インサート取付座に対する前記支持軸の前記インサート軸線方向の位置が調整可能とされ、
前記頭部は、前記切削インサートの前記表面に当接可能とされ、
前記軸部は、
前記インサート取付座に螺着されるネジ部と、
当該軸部の中心軸に垂直な断面が多角形状をなす被係止部と、を有し、
前記被係止部に前記中心軸回りに形成された複数の平坦面のうちの1つに当接可能とされるとともに、前記インサート取付座に対する前記支持軸の前記中心軸回りの回転を規制する係止部を備えることを特徴とする切削インサートの取り付け機構。 - 円板状をなし、インサート軸線回りに延びる円形状の切れ刃を有する切削インサートと、
前記切削インサートが前記インサート軸線回りに回転可能に装着されるインサート取付座と、を備えた切削インサートの取り付け機構であって、
前記切削インサートと前記インサート取付座との間に、前記インサート軸線方向に重ねて複数のシート部材が介装され、
前記複数のシート部材のうち、
前記インサート取付座に当接する第1のシート部材は、前記インサート取付座に対して、前記インサート軸線回りに回転不能に設けられており、
前記切削インサートに当接する第2のシート部材は、この第2のシート部材の前記インサート軸線方向の両側に隣接する前記切削インサート及び他のシート部材に対して、前記インサート軸線回りに回転可能に設けられ、
前記切削インサートには、前記インサート軸線上を延びて該切削インサートの前記インサート軸線に交差する表裏面に開口する貫通孔が形成されており、
前記インサート取付座に装着されて、前記切削インサートを前記インサート軸線回りに回転自在に支持する支持軸を備え、
前記支持軸は、
前記貫通孔内に挿通されて前記インサート取付座に取り付けられる軸部と、
前記軸部に接続されるとともに、前記貫通孔の内径よりも大径とされ、前記切削インサートの前記表裏面のうち表面との間に隙間をあけて配置される頭部と、を有し、
前記インサート取付座に対する前記支持軸の前記インサート軸線方向への移動が規制可能に構成され、
前記支持軸の前記頭部と、前記切削インサートとの間に、前記切削インサートを、前記第2のシート部材に対して前記インサート軸線方向に付勢する付勢手段として圧縮ばねが介装されることを特徴とする切削インサートの取り付け機構。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の切削インサートの取り付け機構であって、
前記切削インサートを、前記第2のシート部材に対して前記インサート軸線方向に付勢する付勢手段を備えたことを特徴とする切削インサートの取り付け機構。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の切削インサートの取り付け機構であって、
前記切削インサートの前記インサート軸線に交差する表裏面のうち、前記第2のシート部材に当接する裏面、及び、前記第2のシート部材の前記インサート軸線に交差する表裏面のうち、前記切削インサートに当接する表面、の少なくともいずれかに、潤滑被膜が形成されていることを特徴とする切削インサートの取り付け機構。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載の切削インサートの取り付け機構であって、
前記第2のシート部材の前記インサート軸線に交差する表裏面のうち、前記他のシート部材に当接する裏面、及び、前記他のシート部材の前記インサート軸線に交差する表裏面のうち、前記第2のシート部材に当接する表面、の少なくともいずれかに、潤滑被膜が形成されていることを特徴とする切削インサートの取り付け機構。 - 請求項6又は7に記載の切削インサートの取り付け機構であって、
前記潤滑被膜は、潤滑剤からなる膜、PVD膜、及びめっき膜のいずれかであることを特徴とする切削インサートの取り付け機構。 - 請求項1〜8のいずれか一項に記載の切削インサートの取り付け機構と、
前記インサート取付座が形成された工具本体と、を備えたことを特徴とする刃先回転式ミーリング工具。 - 請求項1〜8のいずれか一項に記載の切削インサートの取り付け機構と、
前記インサート取付座が形成された工具本体と、を備えたことを特徴とする刃先回転式ターニング工具。
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