JP2009142518A - X線ct装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】造影剤を強調した画像を使って造影剤の追跡撮影を実現し、確実に造影剤の断層像撮影を実現するX線CT装置を提供する。
【解決手段】X線CT装置(100)は、第1エネルギースペクトルを有するX線投影データと、第1エネルギースペクトルとは異なる第2エネルギースペクトルを有するX線投影データとに基づいて、デュアルエネルギー画像を画像再構成するデュアルエネルギー画像再構成部(39)と、デュアルエネルギー画像から造影剤の変化部分を検出する造影剤検出部(31)と、造影剤を追跡しながら、クレードル及びガントリを相対的に移動させる制御部(29)と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、医療用X線CT(Computed Tomography)装置における造影剤の流れを把握してスキャン撮影を実現するX線CT装置の技術に関する。
従来、欠陥造影撮影をX線CT撮影で行う技術としては、例えば、被検体に、造影剤が来ているかをモニタする関心領域を設定し、前記関心領域を一定時間おきにモニタスキャンすることによって得られた断層像のCT値より前記関心領域の造影剤の到達を把握し、前記関心領域の造影剤の到達に同期してヘリカルスキャンを用いた本スキャンを開始し、前記本スキャンにおいて得られた断層像のCT値により造影剤の先端を把握し、前記造影剤の先端の位置に応じてヘリカルスキャンの速度を制御する技術が、特許文献1に記載されている。
特開2006−051234号
しかしながら、特許文献1のように、通常のヘリカルスキャンの断層像を用いて造影剤を検出する場合は、骨と造影剤のCT値が近い場合があることから、骨の検出を造影剤の検出と間違えてしまうことがあるという問題点があった。
そこで、本発明の目的は、造影剤を強調した画像を使って造影剤の把握を実現し、確実に造影剤の断層像撮影を実現するX線CT装置を提供することにある。
第1の観点のX線CT装置は、被検体に照射されたX線を検出するX線検出器と、
X線検出器が検出した第1エネルギースペクトルを有するX線投影データと、第1エネルギースペクトルとは異なる第2エネルギースペクトルを有するX線投影データとに基づいて、デュアルエネルギー画像を画像再構成するデュアルエネルギー画像再構成部と、
デュアルエネルギー画像から造影剤の流れの先端領域を検出する造影剤検出部と、
前記造影剤の流れの先端領域を把握しながら、被検体とX線検出器と相対的に移動させる制御部と、
を備える、を備える。
上記第1の観点におけるX線CT装置では、いわゆるデュアルエネルギー撮影により、X線線吸収係数のX線エネルギー依存性がある特定の物質相当の領域が抽出できる。つまり、造影剤を強調して画像再構成を行うことができる。造影剤が強調された画像から造影剤を検出し、その造影剤の位置情報を元に造影剤を把握するため、確実に造影剤の流れの先端領域を把握して撮影することができる。
第2の観点のデュアルエネルギー画像再構成部は、骨を実質的に消去し、造影剤を強調する画像再構成を行う。
骨部と造影剤の部分はX線CT装置の断層像上ではCT値が近い場合があり、CT値を元に造影剤検出を行おうとすると、骨部を間違って検出してしまう場合がある。上記第2の観点におけるX線CT装置では、デュアルエネルギー撮影の断層像において、骨部を消去するようにX線投影データを加重加算処理し画像再構成すると、造影剤の部分が強調されて画像再構成される。
第3の観点のデュアルエネルギー画像再構成部は、複数の異なるX線エネルギー成分の断層像上の画素値の比より、被検体の造影剤に相当する領域を識別する画像再構成を行う。
骨部と造影剤の部分はX線CT装置の断層像上ではCT値が近い場合があり、CT値を元に造影剤検出を行おうとすると、骨部を間違って検出してしまう場合がある。上記第3の観点におけるX線CT装置では、異なるX線エネルギー成分のX線から得られた断層像の各画素同士の比をデュアルエネルギー比(Dual Energy Ratio)として求め、造影剤に相当するデュアルエネルギー比の領域を抽出することで、造影剤領域を検出できる。
第4の観点の制御部は、造影剤の流れの先端領域を把握する際に、被検体とX線検出器を相対的に往復運動させ、デュアルエネルギー画像再構成部は、被検体とX線検出器の往復運動時にデュアルエネルギー画像を画像再構成する。
従来のヘリカルスキャンでは、X線投影データを取得する前の助走期間、スキャン終了後の助走期間が存在していた。上記第4の観点におけるX線CT装置では、クレードル12が相対移動する際に、助走期間においてもデュアルエネルギー画像を画像再構成ができるため、確実に造影剤の流れの先端領域を把握して撮影することができる。
第5の観点の造影剤検出部は、連続したデュアルエネルギー画像からなる三次元画像を、閾値による2値化処理で2値化し三次元ラベリング処理により行い、造影剤の流れの先端領域を把握する。
第5の観点では、デュアルエネルギー撮影された造影剤等価領域を強調した三次元画像を得ることで、造影剤等価画像の三次元領域を抽出することができる。造影剤等価画像の三次元領域を得るには、閾値により2値化し、2値化した三次元画像を三次元ラベリング処理して三次元連続領域を抽出する。
第6の観点のX線CT装置は、第5の観点において、造影剤検出部が、三次元ラベリング処理を行う前に、ノイズ除去処理を行う。
造影剤等価画像の三次元領域を抽出する場合、ある閾値により2値化する際に画像ノイズが多いと三次元ラベリング処理において余計なノイズ領域までも三次元連続領域として抽出してしまい、ノイズ領域を誤認識してしまう可能性がある。上記第6の観点におけるX線CT装置では、これを避けるために2値化処理の前にノイズ除去処理、又は造影剤等価領域の鮮鋭化処理を行うことで余計なノイズ領域を抽出してしまうことを避けられる。
第7の観点の造影剤検出部は、三次元画像を時系列に画像再構成を行い、時間方向に変化のある造影剤領域を抽出する。
第7の観点におけるX線CT装置では、造影剤等価画像の三次元領域を抽出する際には、特に造影剤等価領域のうち、造影剤領域の先端部分である造影剤領域の時間的に変化している部分を特に抽出することで、造影剤の先端領域を把握しやすくなる。
第8の観点のX線CT装置において、第1エネルギースペクトルを有するX線投影データと第2エネルギースペクトルを有するX線投影データとは、1ビュー又は複数ビュー毎にX線管電圧を切り換えるとともに、1ビュー又は複数ビュー毎にX線投影データを分離して組み合せることで得られる。
第8の観点のX線CT装置では、1ビュー又は数ビューおきにX線データ収集のビューを切り換えるため、あたかも1つのX線管電圧でX線データ収集を行っているかのようにX線データ収集を行いながら、異なるX線管電圧のX線データ収集が行える。
第9の観点のX線CT装置において、第1エネルギースペクトルを有するX線投影データと第2エネルギースペクトルを有するX線投影データとは、X線管電圧を360度又は180度+ファン角毎にX線管電圧を切り換えることで得られる。
上記第9の観点のX線CT装置では、最大のヘリカルピッチを0.5以下にしてX線管電圧を360度おき、又は180度+ファン角おきに切換えることで、デュアルエネルギー撮影のX線データ収集を行い、異なるX線管電圧のX線投影データ又は断層像が得られ、造影剤相当の部分を強調して画像再構成を行うことができる。
第10の観点のX線断層像装置は、第1X線検出器と第2X線検出器とを有し、第1エネルギースペクトルを有するX線投影データは第1X線検出器で検出されたX線投影データであり、第2エネルギースペクトルを有するX線投影データは第2X線検出器で検出されたX線投影データである。
上記第10の観点におけるX線CT装置では、例えばX線照射方向に重ねて配置された第1X線検出器と第2X線検出器を持つことで、異なるX線エネルギーのX線投影データが収集できる。従って、造影剤相当の部分を強調して画像再構成を行うことができる。
本発明のX線CT装置によれば、造影剤を強調した状態で造影剤を検出することができ、確実に造影剤を把握することができるX線CT装置を提供できる。
<X線CT装置の全体構成>
図1は、本発明の一実施例にかかるX線CT装置100の構成ブロック図である。このX線CT装置100は、操作コンソール1と、撮影テーブル10と、走査ガントリ20とを具備している。
操作コンソール1は、操作者の入力を受け付けるキーボード又はマウスなどの入力装置2と、前処理、画像再構成処理、後処理などを実行する中央処理装置3と、走査ガントリ20で収集したX線検出器データを収集するデータ収集バッファ5とを具備している。さらに、操作コンソール1は、X線検出器データを前処理して求められた投影データから画像再構成した断層像を表示するモニタ6と、プログラム、X線検出器データ、投影データ又はX線断層像を記憶する記憶装置7とを具備している。撮影条件の入力はこの入力装置2から入力され、記憶装置7に記憶される。撮影テーブル10は、被検体HBを乗せて走査ガントリ20の開口部に出し入れするクレードル12を具備している。クレードル12は撮影テーブル10に内蔵するモータで昇降及びテーブル直線移動される。
走査ガントリ20は、X線管21と、X線コントローラ22と、コリメータ23と、ビーム形成X線フィルタ28と、多列X線検出器24と、データ収集装置(DAS:Data Acquisition System)25とを具備している。X線コントローラ22は、X線管21に供給する電圧電流をコントロールする。ガントリ回転部15はベアリングを介して回転可能になっている。不図示の回転モータが回転すると、不図示のベルトを介して回転がガントリ回転部15に伝えられ、ガントリ回転部15が回転する。さらに、走査ガントリ20は、被検体HBの体軸の回りに回転しているガントリ回転部15を制御する回転部コントローラ26と、回転部コントローラ26との通信及びクレードル12と信号の送受信を行う制御コントローラ29とを具備している。ビーム形成X線フィルタ28は撮影中心である回転中心に向かうX線の方向にはフィルタの厚さが最も薄く、周辺部に行くに従いフィルタの厚さが増し、X線をより吸収できるようになっているX線フィルタである。
中央処理装置3は、造影剤検出部31、前処理部37、画像再構成部38及びデュアルエネルギー画像再構成部39を有している。
造影剤検出部31は、デュアルエネルギー画像から造影剤の流れの先端領域を検出する。造影剤検出部31は、造影剤強調したデュアルエネルギー画像を2値化処理で2値化し、三次元ラベリング処理により造影剤を検出する。
前処理部37は、データ収集装置25で収集された生データに対して、チャネル間の感度不均一を補正し、またX線強吸収体、主に金属部による極端な信号強度の低下又は信号脱落を補正するX線量補正等の前処理を実行する。
画像再構成部38は、前処理部37で前処理された投影データを受け、その投影データに基づいて画像を再構成する。投影データは、周波数領域に変換する高速フーリエ変換(FFT: Fast Fourier Transform)がなされて、それに再構成関数Kernel(j)を重畳し、逆フーリエ変換する。そして、画像再構成部38は、再構成関数Kernel(j)を重畳処理した投影データに対して、三次元逆投影処理を行い、被検体HBの体軸方向(Z方向)ごとに断層像(xy平面)を求める。画像再構成部38は、この断層像を記憶装置7に記憶させる。
デュアルエネルギー画像再構成部39は、低いX線エネルギースペクトルの投影データ及び高いX線エネルギースペクトルの投影データから、原子の分布に関連したX線管電圧依存情報の二次元分布断層像、いわゆるデュアルエネルギー撮影の断層像を画像再構成する。
<X線CT装置の動作フローチャート>
図2は、本実施例のX線CT装置100についての動作の概要を示すフローチャートである。
ステップP1では、被検体HBをクレードル12に乗せ、位置合わせを行う。ここでは、クレードル12の上に乗せられた被検体HBは各部位の基準点に走査ガントリ20のスライスライト中心位置を合わせる。そして、スカウト像(スキャノ像)収集を行う。スカウト像撮影では、X線管21と多列X線検出器24とを固定させ、クレードル12を直線移動させながらX線検出器データのデータ収集動作を行う。ここでは、スカウト像は通常0度,90度のビュー角度位置で撮影される。図2中の右側は、0度で胸部付近のを撮影したスカウト像41の例である。このスカウト像41上から断層像の撮影位置を計画できる。
ステップP2では、スカウト像41上に撮影する断層像の位置、大きさを表示させながら撮影条件設定を行う。スカウト像41中に示した点線は、断層像画像の位置である。本実施例では、コンベンショナルスキャン、ヘリカルスキャン、可変ピッチヘリカルスキャン、ヘリカルシャトルスキャンなどの複数のスキャンパターンを有している。コンベンショナルスキャンとは、クレードル12をz軸方向に所定の間隔で移動するごとにX線管21及び多列X線検出器24を回転させてX線投影データRを取得するスキャン方法である。ヘリカルスキャンとは、X線管21と多列X線検出器24を有する回転部15が回転しながらクレードル12を一定速度で移動させ、X線投影データRを収集する撮影方法である。可変ピッチヘリカルスキャンとは、ヘリカルスキャンと同様にX線管21及び多列X線検出器24を有する回転部15を回転させながらクレードル12の速度を可変させてX線投影データRを収集する撮影方法である。ヘリカルシャトルスキャンとは、ヘリカルスキャンと同様にX線管21及び多列X線検出器24とを有する回転部15を回転させながらクレードル12を加速・減速させて、z軸の正方向又はz軸の負方向に往復移動させてX線投影データRを収集するスキャン方法である。これらの複数の撮影を設定すると、1回分の全体としてのX線線量情報の表示を行う。
断層像の撮影条件設定においては、X線CT装置100の自動露出機構を用いることにより、被検体HBの被曝を最適化することもできる。また、この断層像撮影条件設定において、後述のデュアルエネルギー撮影の断層像撮影のために、X線管21の低いX線管電圧、例えば80kV、の撮影条件と、高いX線管電圧、例えば140kV、の撮影条件とを設定できる。また、デュアルエネルギー撮影における自動露出機構においては、デュアルエネルギー断層像の最終的な画像のノイズ指標値が設定されたノイズ指標値にほぼ等しくなるように、低いX線管電圧の撮影条件と高いX線管電圧の撮影条件を定めることができる。
ステップP3ないしステップP9では、後述のデュアルエネルギー撮影の断層像撮影を行う。ステップP3において、X線データ収集を行う。ここで後述の可変ピッチヘリカルスキャンによってデータ収集を行う場合には、X線管21と多列X線検出器24とを被検体HBの回りに回転させ、かつ、撮影テーブル10上のクレードル12を直線移動させながら、X線検出器データのデータ収集動作を行う。そして、ビュー角度viewと、検出器列番号jと、チャネル番号iとで表わされるX線検出器データD0(view,j,i)(j=1〜ROW,i=1〜CH)にz方向座標位置Ztable(view)を付加させる。このようにヘリカルスキャンにおいては、一定速度の範囲のX線検出器データ収集を行う。このz方向座標位置はX線投影データR(X線検出器データ)に付加させても良いし、また別ファイルとしてX線投影データRと関連付けて用いても良い。
ステップP4では、前処理部37がX線検出器データD0(view,j,i)に対して前処理を行い、投影データRに変換する。具体的には、オフセット補正を行い、対数変換を行い、X線線量補正を行い、そして感度補正を行う。
ステップP5では、ビームハードニング補正を行う。ここでは、前処理された投影データR1(view,j,i)に対して、ビームハードニング補正を行う。この時、検出器の各j列ごとに独立したビームハードニング補正を行うことができるため、撮影条件で各X線管21の管電圧が異なっていれば、列ごとの検出器のX線エネルギー特性の違いを補正できる。本実施例では、被検体HBのプロファイル面積、楕円率などに応じて、ビームハードニング補正の処理を変更する。
ステップP6では、画像再構成部38がzフィルタ重畳処理を行う。ここでは、ビームハードニング補正された投影データR11(view,j,i)に対して、z方向(列方向)のフィルタをかけるzフィルタ重畳処理を行う。すなわち、前処理後、ビームハードニング補正された多列X線検出器R11(view,j,i) (i=1〜CH, j=1〜ROW)のX線投影データRに対し、列方向に例えば列方向フィルタサイズが5列のフィルタをかける。
ステップP7では、画像再構成部38が再構成関数重畳処理を行う。すなわち、X線投影データを周波数領域に変換するフーリエ変換(Fourier Transform)を行い、再構成関数を掛け、逆フーリエ変換する。
ステップP8では、画像再構成部38が三次元逆投影処理を行う。ここでは、再構成関数重畳処理した投影データR3(view,j,i)に対して、三次元逆投影処理を行い、逆投影データD3(x,y,z)を求める。画像再構成される画像はz軸に垂直な面である。xy平面に三次元画像再構成される。以下の再構成領域Pはxy平面に平行なものとする。
ステップP9では、画像再構成部38が後処理を行う。逆投影データD3(x,y,z)に対して画像フィルタ重畳、CT値変換などの後処理を行い、断層像D31(x,y,z)を得る。
ステップP10では、画像再構成された断層像を表示する。断層像の例として、図2の右側に断層像Gを示す。
ステップP11では、デュアルエネルギー画像再構成部39がデュアルエネルギー画像GCSの表示を行う。ここでは、デュアルエネルギー画像再構成部39は、高いエネルギースペクトルのX線投影データに加重加算係数を乗じた値から、高いエネルギースペクトルのX線投影データを減算して、デュアルエネルギー画像GCSを画像再構成する。
以下に実施例を用いて、上記のX線CT装置100を用いて、デュアルエネルギー撮影(Dual Energy Scan)を行って造影剤強調させ、その断層像から造影剤のz軸座標位置を把握する方法を説明する。
<実施例1>
<デュアルエネルギー撮影>
以下、本実施形態に係るX線管電圧を切り替えて行うデュアルエネルギー撮影について説明する。図3(a)は、X線管電圧の切り換えを示す図である。
体動を防ぎ、短時間でより被検体負荷の少ない撮影方法は、図3(a)に示すように、1スキャン目のX線管電圧80kVの撮影時間t1の撮影と、2スキャン目のX線管電圧140kVの撮影時間t2の撮影を続けて撮影する。この時X線管電圧は、撮影時間t1とt2との間に変化させる。通常はt1=t2と同じ撮影時間にし、例えば撮影時間をフルスキャンF−Scanである360度スキャンでX線投影データRを収集する。またこれらの撮影方法は、t1、t2の順を逆にしても良い。
ハーフスキャンは、X線ファンビームのファン角を60度とすると、180度+ファン角=240度分、つまり2/3回転分のX線投影データRを収集することになる。例えば、走査ガントリ20内の回転部15の回転速度が0.35秒/回転であれば、ハーフスキャンの撮影時間Th=t1+t2は0.46秒、フルスキャンの撮影時間Tfは0.7秒となる。撮影時間が1秒以下であれば、被検体の体動はかなり押さえることができる。
なお、この場合はX線管電圧を撮影時間t1とt2との間において、撮影時間よりもかなり短い時間で、又は無視できる短い時間でX線管電圧を切り換えているものとする。
図3(b)は、X線管電圧を切り換える時間が撮影時間に比べて所定の長さがある場合を示している。撮影時間t1,t2の間に、X線管電圧を切り替えるためのΔtのISD(Inter Scan Delay)を挿入することで、X線管電圧を80kVから140kVに、又はその逆を切り換える。この時の1スキャン目,X線オフしたISD期間、2スキャン目を合わせた撮影時間T=t1+t2+Δtは0.58秒となり、被検体の体動もかなり押さえることができる。
この時にデュアルエネルギー画像再構成部39は、1スキャン目と2スキャン目を同一ビュー角度からデータ収集するため、Δtの間はデータ収集を中止し、X線管電圧を切り替え2スキャン目のデータ収集を行うようにすれば、同一ビュー角度でX線投影データRを収集することができる。
このように、デュアルエネルギー画像再構成部39は、収集開始ビュー角度を合わせておくと、低いX線管電圧のX線投影データRと高いX線管電圧のX線投影データRとの演算において、2つのX線投影データRの対応するビューを探す手間がなくなる。このため、デュアルエネルギー画像再構成部39は、2つのX線投影データRの加重加算処理が容易にできる。
図3で説明した360度フルスキャン又は180度+ファン角ごとにX線管電圧を切り換える際には、低いヘリカルピッチによるヘリカルスキャンを行う。ここで、多列X線検出器を用いていることから、1回転のヘリカルスキャンにより収集したデータからスライス位置の異なる複数の断層像のデータが収集される。
この造影剤の先端領域の把握方法は、X線管電圧80kVのX線投影データR又はX線管電圧140kVのX線投影データRの重なった部分で後述のデュアルエネルギー処理し、骨等価画像又はデュアルエネルギー比画像より造影血管の造影剤領域を求め、クレードル12を位置制御して、造影血管の先端領域を把握する。
そして、何スライス目まで造影された血流の最先端があるかがわかれば、その時刻とあわせて造影された血流の速度がわかる。そして、血流の速度の方がヘリカルスキャンの速度(テーブルの速度)と、所定の基準より大きな相違がある場合は、ヘリカルピッチの速度(テーブルの速度)を調整する。
例えば、まずX線管電圧80kVを用いてヘリカルピッチ0.5以下で360度X線投影データRの収集を行い、続けてX線管電圧140kVを用いてヘリカルピッチ0.5以下で360度のX線投影データRの収集を行う。ピッチが0.5以下であるため、X線管電圧80kVとX線管電圧140kVとの断層像が重なる。この得られた断層像より造影剤の時間変化部分を抽出し、時系列三次元画像から血流の速度を予測し、造影剤の先端領域把握できるようにクレードル12を制御する。この場合、360度フルスキャンごとにX線管電圧80kVとX線管電圧140kVを切り換えてヘリカルピッチ0.5以下のヘリカルスキャンでなく、180度+ファン角のハーフスキャンでも構わない。
フルスキャン又はハーフスキャン方法でデュアルエネルギー撮影をした後に、造影剤を抽出する必要がある。以下にその画像再構成方法を示す。
図5は投影データ空間におけるデュアルエネルギー撮影の画像再構成方法の概要を示す。
デュアルエネルギー画像再構成部39は、低いX線管電圧のX線投影データR−Lowに加重加算係数w1を乗算し、同様に高いX線管電圧のX線投影データR−Highに加重加算係数w2を乗算し、定数C1とともに加重加算処理し、デュアルエネルギー断層像GCSを作成する。
また、デュアルエネルギー画像再構成部39は、画像空間、断層像空間おいても投影データR空間と同様に加重加算処理することでデュアルエネルギー断層像GCSを得ることができる。これら加重加算係数w1,w2及び定数C1は、抽出したい原子、強調したい原子、表示上で消したい原子又は部位により定まる。
例えば、デュアルエネルギー画像再構成部39はCT値の近い骨、石灰化を構成するカルシウム成分(Ca成分)と、ヨウ素を主成分とする造影剤(Iodine成分)を分離するために、カルシウム成分を表示上で実質的に消去する。つまり、画素値を0になるような加重加算処理を行うと造影剤成分が抽出され、強調して表示することができる。また反対に、デュアルエネルギー画像再構成部39は造影剤成分を表示上で消すと、つまり画素値を0にするとカルシウム成分が抽出され、骨や石灰化の部分を強調して表示することができる。この時に用いるX線投影データRは、前処理及びビームハードニング補正したX線投影データRを用いる。特にビームハードニング補正では、各X線管電圧において水等価でない物質の部分を水等価なX線透過経路長にすることにより、水以外の物質のX線管電圧依存性をより正しく評価することができる。
同様に断層像空間においても、前処理及びビームハードニング補正が補正済であるとする。上記のようにして、デュアルエネルギー画像再構成部39は断層像空間でも投影データR空間でも、デュアルエネルギー断層像を作成することができる。
<造影剤撮影>
次に、上述のビューごとに低いX線管電圧と高いX線管電圧を切り換えてヘリカルスキャンを行い、造影剤の流れの先端領域を撮影する方法を説明する。
さらに、X線管電圧を各ビューごと又は複数ビューごとに高速に切り換えるデュアルエネルギー撮影をしても良い。
図4(a)は、ビューごとにX線管電圧を切り換えた360度フルスキャンの2スキャン分を示す図である。(b)は、ビューごとにX線管電圧を切り換えた180度+ファン角ハーフスキャンの2スキャン分を示す図である。図4では、奇数ビューと偶数ビューとでX線管電圧を切り替える。そして、例えば奇数ビューでX線管電圧80kVのX線投影データRを収集し、偶数ビューでX線管電圧140kVのX線投影データRを収集する。1スキャン目と2スキャン目とがちょうど角度0度と角度180度とを結ぶ線を対称にしてX線管電圧80kVとX線管電圧140kVとを収集すると、デュアルエネルギー撮影に適した投影データRを収集することができる。1ビューごとではなく、複数の連続したビューごとにX線管電圧80kVと、X線管電圧140kVとのX線投影データRの収集を交互に繰り返しても良い。
図6は、造影剤撮影のフローチャートを示す。
ステップD1では、X線管電圧80kVとX線管電圧140kVとをビューごと、又は数ビューごとに切り換えながらヘリカルスキャンを行う。つまり、X線データ収集をビューごと又は数ビューごとに、X線管電圧80kVとX線管電圧140kVのX線データ収集を交互に行いながら、ヘリカルスキャンのテーブル移動制御のようにz軸座標位置z0とz1の間を連続的にX線投影データRの収集を行う。ここで、多列X線検出器を用いていることから、1回転のヘリカルスキャンにより収集したデータからスライス位置の異なる複数の断層像のデータが収集される。
ステップD2では、X線管電圧80kVのビューのみを抽出し、X線管電圧80kVのヘリカルスキャンのX線投影データRを組み合わせる。
ステップD3では、X線管電圧140kVのビューのみを抽出し、X線管電圧140kVのヘリカルスキャンのX線投影データRを組み合わせる。
ステップD2及びステップD3における、X線管電圧80kV及びX線管電圧140kVのビューごとの投影データRの抽出について説明する。図7は、低いX線管電圧及び高いX線管電圧の各X線投影データビューの抽出と補間処理を示す図である。
図7に示すようにX線投影データRを1回転Nビューとすると、X線管電圧80kVのX線投影データRの各ビュー、X線管電圧140kVのX線投影データRの各ビューを抽出する。X線管電圧80kVのみのX線投影データN/2ビュー分、X線管電圧140kVのみのX線投影データN/2ビュー分を組み合わせる。
ステップD4では、画像再構成部38がX線管電圧80kVの断層像を画像再構成する。
ステップD5では、画像再構成部38がX線管電圧140kVの断層像を画像再構成する。
ステップD4,ステップD5における各X線管電圧のX線投影データRの画像再構成は、図2で説明した「断層像撮影」を行えば良い。ただし、後述のヘリカルシャトルスキャンしたX線投影データRの三次元画像再構成処理は、X線投影データRの各ビューのz軸座標位置を測定又は予測する。そして、画像再構成部38は、各ビューをその座標位置に合わせて、各ビューに対応するチャネル列のX線投影データRを三次元逆投影処理する。
画像再構成部38は、ステップD4,ステップD5のX線管電圧80kVのX線投影データRの画像再構成、及びX線管電圧140kVのX線投影データRの画像再構成を行う。しかし、X線投影データRNが1000ビュー程度と少なく、また各ビューのチャネル方向の幅が再構成中心又は回転中心において約0.5mmと薄く、かつ撮影領域が約50cmと大きい場合には、N/2ビューで画像再構成を行うと撮影領域の周辺領域においてビューデータ不足によりエリアジング・アーチファクト(aliasing artifact)が発生する場合がある。これを避けるために、X線投影データRビュー数を増やするには、図7の右側に示すように、ビュー方向に補間処理、又は補間処理のボケを避けたビュー方向の加重加算処理の逆重畳フィルタ(De-Convolution Filter)を行っても良い。
ステップD6では、デュアルエネルギー画像再構成部39が、X線管電圧80kVの断層像とX線管電圧140kVの断層像とを加重加算処理し、造影剤強調断層像を画像再構成する。デュアルエネルギー画像再構成部39は、X線管電圧80kVの断層像とX線管電圧140kVの断層像との断層像から、造影剤強調画像(カルシウム等価画像)を抽出した断層像を作成する。
ステップD7では、デュアルエネルギー撮影の断層像である造影剤強調断層像を表示する。
そして、何スライス目まで造影された血液の最先端があるかがわかれば、その時刻とあわせて造影された血流の速度がわかる。そして、血流の速度の方がヘリカルスキャンの速度(テーブルの速度)と、所定の基準より大きな相違がある場合は、ヘリカルピッチの速度(テーブルの速度)を調整する。
以上の実施例は、X線管電圧をX線管電圧80kVとX線管電圧140kVとに高速にビューごとに切り換えて、ヘリカルスキャンのX線データ収集を行い、画像再構成することで造影剤強調画像を抽出した断層像を作成した。このように、X線CT装置100は、高速にX線管電圧を切り換えてヘリカルスキャンを行うことで、あたかも通常のヘリカルシャトルスキャンを行いながらも2つの異なるX線管電圧のX線投影データRを得ることができる。
<実施例2>
上述の説明においては、通常のヘリカルスキャンを行ったが、クレードルを往復させるヘリカルシャトルスキャンを行ってもよい。
図8は、低いX線管電圧と高いX線管電圧との切り換えによるX線データ収集を行い、z方向に往復の可変ピッチヘリカルシャトルスキャンすることで造影剤の流れの先端領域の把握を行うフローチャートである。
ステップT1では、X線コントローラ22はX線管電圧を切り換え、データ収集バッファはX線データを収集する。
ステップT2では、デュアルエネルギー画像再構成部39は、デュアルエネルギー画像の画像再構成を行う。
ステップT1,ステップT2におけるヘリカルシャトルスキャンは、図6のフローチャートで説明したように、X線データ収集、画像再構成、及びデュアルエネルギー画像の画像再構成を行う。
ステップT3では、制御コントローラ29は、クレードル12がスキャンの終点位置まで行ったかを判断し、YESであれば終了し、NOであればステップT4へ行く。
ステップT4では、造影剤検出部31は、造影剤の流れの先端領域を検出したかを判断し、YESであればステップT5へ行き、NOであればステップT1へ戻る。
ステップT5では、制御コントローラ29は、ヘリカルシャトルスキャンを中止し、クレードル12の進行方向を変える。
ステップT1からステップT4までの処理のループにおいては、例えばz軸のプラス方向のヘリカルスキャンと、z軸のマイナス方向のヘリカルスキャンを交互に行い、造影剤の流れの先端領域を把握するようにX線管21及びX線検出器24を被検体に対し相対的にz軸方向に動かしている。実際にはクレードル12を動かすことにより被検体をz軸方向に動かすことになる。
<クレードル動作:往復タイプ>
図9A(a)及び(b)並びに図9B(c)及び(d)は、縦軸にz軸をとり横軸に時間をとり、造影剤の先端領域を把握するためクレードル12の軌道COを示した図である。
図9A(a)は、可変ピッチヘリカルシャトルスキャンにより、ジグザグにクレードル12が移動して造影剤を把握する方法である。例えば、造影剤の先端位置の軌道IOが、時刻tとともにz軸のプラス方向へ行くとすると、クレードル12は、この造影剤の先端部分を把握するのにz軸のプラス方向へスキャンし、造影剤の先端を抜いてしまったら、z軸のマイナス方向へスキャンして造影剤の先端を見つけるまで戻る、戻ったら、再度z軸のプラス方向へ造影剤の先端を抜くまでスキャンを行う。
これを図8のフローチャート上で説明すると、ステップT1からステップT4まで順方向のヘリカルスキャンにより造影剤の先端部を追いかけ、その後、クレードル12は向きを変えて再度ステップT1からステップT4まで逆方向のヘリカルスキャンにより造影剤の先端を見つけるまで逆方向のヘリカルスキャンを続ける。
<クレードル動作:往復休止タイプ>
もしヘリカルシャトルスキャンの往復回数が多くなり過ぎるのであれば、図9A(b)のようにヘリカルシャトルスキャン中にX線データ収集及び撮影の休止期間PAを入れても良い。
図9A(b)は、ヘリカルシャトルスキャンにより、休止状態を設けてジグザグにクレードル12が移動して造影剤を把握する方法である。造影剤の先端位置の軌道IOを追うように、クレードル12は一度造影剤の先端部を追い抜いた後に、逆戻りし、再度造影剤の先端部を捕えた後にz軸座標位置za1で停止する。この停止した一定時間ΔtだけX線管21からのX線の照射を停止する。休止期間PA後、また同様にクレードル12はヘリカルスキャンで撮影を再開する。クレードル12はこの動作を繰り返し、z軸座標位置za2、za3,za4においても同様にX線の照射を停止する。そしてX線データ収集を一定時間Δtだけ休止させる。
これを図8のフローチャートで説明すると、クレードル12が逆戻りしている場合、ステップT4の後にX線の照射を停止することになる。そして、X線データ収集を一定時間Δtの休止期間PA後、ステップT5へ行き進行方向を変え、ステップT1に戻り、再度ヘリカルシャトルスキャンを続行する。
<クレードル動作:追い抜き休止タイプ>
また、造影剤の速度が予測可能な場合は、クレードル12が一度造影剤を追い抜いた後に、休止期間PAを設けて一定時間Δtだけ造影剤の到達を待てば良い。つまり、クレードル12は逆戻りしなくても良い。
図9B(c)は、ヘリカルシャトルスキャンにより、休止状態を設けて一方向にクレードル12が移動して造影剤を把握する方法である。クレードル12が造影剤の先端部を追い抜いた後に、その場所zb1に留まる。そして休止区間PAには、X線管21はX線の照射を一定時間Δt休止させる。この後、クレードル12が再度ヘリカルシャトルスキャンで造影剤を追いかける。クレードル12はこのz方向の動作を繰り返し、X線管21は、z軸座標位置zb2,zb3,zb4において同様にX線の照射を一定時間Δt休止する。
これを図8のフローチャートで説明すると、ステップT1からステップT4までの順方向のヘリカルスキャンを行った後、ステップT5において順方向のヘリカルスキャンを中止し、一定時間ΔtだけX線の照射を休止させる。この後、ステップT5ではスキャンの進行方向を変えているが、そのまま進行方向を変えることなくステップT1に戻る。この後、再度ステップT1からステップT4までを繰り返す。
このため、従来のヘリカルスキャンは、厳密には図9B(d)に示す点線部分では、クレードル12の加減速のために実質的にX線データの収集を行うことができない。しかし、回転部15の回転とクレードル12の速度とを同期させる可変ヘリカルスキャンにおいては、図9B(e)に示すようにヘリカルスキャンにおける助走部分もX線データ収集を行うことができる。このため、加減速の区間であっても、絶え間なくX線データ収集を行うことができる。X線データ収集の無駄時間もなく、助走によるクレードル12の行き過ぎ又は戻り過ぎもなく、応答性よく造影剤を把握できる。これらのことは、被検体の被曝低減の観点からも好ましく、また、z軸座標位置の制御の観点でも好ましい。
<実施例3>
次の実施例は、他の造影剤の把握処理について示す。
図10は、いわゆるラン・オフ(Run Off)と言われる被検体の腹部から下肢動脈を流れる造影剤をヘリカルシャトルスキャンにより、造影剤の先端を検出しながら撮影する処理を示す。
図11はその処理のフローチャートを示す。
ステップR1では、デュアルエネルギー画像再構成部39は、デュアルエネルギー撮影で造影剤強調した三次元画像を求める。デュアルエネルギー撮影のヘリカルシャトルスキャンにより、造影剤を把握する部分でz軸方向に連続した断層像、つまり三次元画像を求める。なお、断層像は骨等価画像、つまり造影剤強調した三次元画像を求めておく。
ステップR2では、デュアルエネルギー画像再構成部39は、ノイズ除去フィルタの重畳を行う。デュアルエネルギー撮影した三次元画像Gde(x,y,z)に対してノイズフィルタFN(x,y,z)を重畳する。ノイズ除去された三次元画像をGde1(x,y,z)とすると、計算式は、以下の(数式1)のようになる。
...(数式1)
なお、この時のノイズフィルタFN(x,y,z)としては、以下の(数式2)に示すような3×3×3の受動的なノイズフィルタでも良いし、又は能動的な適応型(アダプティブ Adaptive)フィルタでも良い。
...(数式2)
ステップR3では、デュアルエネルギー画像再構成部39は、造影血管部を強調するフィルタの重畳を行う。造影血管部を強調するフィルタの重畳を行う。フィルタの種類としては、ノイズ強調せずに血管造影部を強調できるアンシャープマスクフィルタなどを考えることができる。血管造影部を強調した三次元画像Gde2(x,y,z)は、平滑化フィルタをFLP(x,y,z)、ゲイン係数をgとすると、以下の(数式3)のようになる。
...(数式3)
また、フィルタ処理部はアンシャープマスクフィルタをかける際に、造影した血管径と同等の空間周波数が強調されるように平滑化フィルタの大きさを調整すると効果的である。
また、フィルタ処理はアンシャープマスクフィルタ以外のフィルタでも良い。
ステップR4では、造影剤検出部31は、閾値による2値化を行う。造影剤検出部31は、造影血管が抽出できるような閾値で2値化を行う。この閾値は、被検体の大きさによるビームハードニングを考慮すれば、ある一定の濃度を超える造影剤の値においてある程度予想ができる。
ステップR5では、造影剤検出部31は、三次元ラベリング処理を行う。ステップR4で2値化した三次元連続領域を抽出し、各三次元連続領域である各セグメント領域(各三次元ラベル領域)を求める。
ステップR6では、造影剤検出部31は、各セグメント領域(各ラベル領域)の幾何学的特徴パラメータを求める。各セグメント領域の三次元幾何学的特徴量は、例えば、体積、表面積、濃度和、球形率、三次元のフェレ径、三次元のフェレ径の比、三次元の面積率などである。
ステップR7では、造影剤検出部31は、各セグメント領域(各ラベル領域)のうち、造影血管の候補を求め抽出する。各三次元幾何学的特徴量より、造影血管のセグメント領域か否かを判断する。この判断ポイントとして、血管は細長いため表面積は大きく、球形率は球から遠い。また濃度和は造影剤で満たされているので大きいなどの特徴を用いる。なおこの時の判断は、判断木(Decision Tree)方式などを活用する。
ステップR8では、造影剤検出部31は、造影血管の先端部のz軸座標位置HPを求める。ステップR7で検出した血管領域でヘリカルシャトルスキャンの進行方向側の座標を求める。図12(a)のように三次元画像3Gを造影血管が貫通している場合において、進行方向座標HPは、図中の右端断層像のz軸座標となる。また、図12(b)のように三次元画像3Gの途中で造影血管が止まっている場合において、進行方向座標HPは、図中の左端断層像のz軸座標となる。
ステップR9では、造影剤検出部31は、ヘリカルスキャンの終点まで行き、撮影終了かを判断し、YESであれば終了し、NOであればステップR10へ行く。
ステップR10では、制御コントローラ29は、クレードル12の位置制御を行う。その後、ステップR1へ戻る。ステップR10においては、図12(a)のように複数枚の断層像による三次元画像3G内を造影血管が貫通している場合は、クレードル12を進行方向にさらに進めれば良い。それに対し、図12(b)のように三次元画像の途中で造影血管が終わっていて貫通していない場合は、クレードル12を減速させて逆方向に進める準備をするか、又はX線をオフしてX線データ収集Rを中断するかの準備をすれば良い。
<実施例4>
<デュアルエネルギー画像からの造影剤の検出方法2>
実施例3では、制御コントローラ29は、造影血管の領域より座標位置を求めてクレードル12の位置を制御した。しかし、造影剤の先端部分は血流速度と共に変化する部分であるため、造影剤の時間変化部分を抽出できれば造影剤の先端部分を見つけやすい。本実施例では、造影剤の時間変化の三次元画像を収集することを考える。
図13は、ヘリカルシャトルスキャンにおける時系列三次元画像の収集を示す図である。なお、理解を助けるために、断層像をずらして描いている。
画像再構成部38は、三次元画像再構成を行った場合は、一度に複数枚の断層像ができあがる。例えば図13に示すように、時刻t1には、s1、s2、s3、s4の位置における断層像が一度に画像再構成できる。同様に断層像は、時刻t2,t3,t4において、各時刻でs1、s2、s3、s4の位置における断層像ができる。ただし、時刻t1のs2の位置における断層像は時刻t2のs1の位置における断層像の位置に一致するものとする。同様に時刻t1のs3の位置における断層像は時刻t3のs1の位置における断層像の位置に一致するものとする。
各時刻t1,t2,t3,t4…を各スライス位置s1,s2,s3,s4…の位置で組み換えた断層像は、時刻t1,t2,t3,t4・・・の各s1の断層像を集めた三次元画像gs1(x,y,z,t)、同様に各s2の断層像を集めた三次元画像gs2(x,y,z,t)、各s3の断層像を集めた三次元画像gs3(x,y,z,t)、各s4の断層像を集めた三次元画像gs4(x,y,z,t)となる。この時の三次元画像gs1(x,y,z,t)、gs2(x,y,z,t)、gs3(x,y,z,t)、gs4(x,y,z,t)のずれは、同一z軸座標で比較すると、各Δtだけ各三次元画像の各画素の間でずれていることになる。ただし、Δtは各時刻t1,t2,t3,t4の各時間差である。また、各断層像間のz軸方向のピッチΔsは各スライス位置s1,s2,s3,s4の差であるとする。
この時に、以下の時間方向の差画像Δgs2−s1(x,y,z)、Δgs3−s2(x,y,z)、Δgs4−s3(x,y,z)を(数式4)〜(数式6)のように求めることができる。
...(数式4)
...(数式5)
...(数式6)
このヘリカルシャトルスキャンによる時間方向の差画像を用いて、造影血管の先端部分、つまり造影血管の時間変化部分を見つける。
図14は、時系列差分三次元画像から造影血管の先端部を把握するフローチャートである。
ステップR21では、デュアルエネルギー撮影で造影剤強調した三次元画像を入力する。
ステップR22では、デュアルエネルギー画像再構成部39は、時系列三次元画像を求める。
ステップR23では、デュアルエネルギー画像再構成部39は、時系列差分の三次元画像を求める。
次に図11と同様に「中間処理」を行い各セグメント領域の幾何学的特徴量を求めておく。
ステップR24では、造影剤検出部31は、各セグメント領域(各ラベル領域)のうち、時間変化した造影血管部分の候補を求め抽出する。
ステップR25では、造影剤検出部31は、造影血管の先端部として時間変化している造影剤部分を抽出する。
ステップR24,ステップR25においては、各三次元連続領域の幾何学的特徴量により、時間変化した造影血管部分か否かを判断する。この時の判断のポイントとして、造影剤検出部31は、濃度和、造影血管径のx方向フェレ径、y方向フェレ径をポイントにして判断木(Decision Tree)方式などにより判断を行う。
ステップR26においては、図12(c)に示すように三次元画像内で時間変化した造影剤が見つからない場合は、制御コントローラ29は、時間変化した造影剤領域はまだ進行方向の先にあるとして、ステップR27においてクレードル12をさらに進行方向に進めれば良い。また、図12(d)のように三次元画像内で時間変化した造影剤が見つかった場合は、制御コントローラ29は、クレードル12を減速させて逆方向に進める準備をするか、又はX線をオフしてX線データ収集を中断するかの準備をすれば良い。
なお、図11で示した造影剤の検出方法1と、図14で示した造影剤の検出方法2とを合わせて行うと、より精度の高いクレードル12の位置制御を行うことができる。
このようにして造影剤の検出方法2は、三次元画像から造影剤の時間変化部分を抽出し、このz軸座標位置によりクレードル12の位置制御を行うことができる。
<実施例5>
上記実施例においては、固定ヘリカルピッチのヘリカルシャトルスキャンにより造影剤の先端、つまり造影剤の時間変化部分を把握していた。しかし、本実施例では、造影剤の速度に合わせてヘリカルピッチを最適化しながら造影剤の時間変化部分を把握し、クレードル12の位置制御の最適化、被検体の被曝低減が行うことができる。
図15の(a)は、可変ピッチヘリカルスキャンによりヘリカルピッチを変化させたクレードル12の軌道VPSを示す図である。(a)に示す図は、縦軸にz軸をとり横軸に時間をとり、造影剤の軌道IOと、造影剤を把握するためクレードル12の軌道VPSとを示した図である。(b)は、可変ピッチのヘリカルスキャンにより三次元画像で造影剤速度を予測して造影剤の把握を行うフローチャートである。
ステップR41では、デュアルエネルギー画像再構成部39は、可変ピッチヘリカルスキャンにより撮影したデュアルエネルギー撮影の造影剤強調された三次元画像を入力する。
次の処理は、図14で説明したフローチャートと同様に行う。
次にステップR51では、造影剤検出部31は、撮影が終了したかを判断し、YESであれば終了し、NOであればステップR52へ行く。
ステップR52では、造影剤検出部31は、造影剤の速度を予測して求める。
ステップR53では、クレードル12の位置制御を行う。その後、ステップR41へ戻る。
本実施例においては、造影剤検出部31は、血流の速度を可変ピッチヘリカルスキャンの三次元画像より予測して求める。そして、造影剤の先端、つまり造影剤の時間変化部分をクレードル12が把握する際に、制御コントローラ29は、最適なヘリカルピッチでクレードル12の位置制御が行うことができる。
<実施例6>
上記実施例においては、造影血管を強調するのに骨等価画像を用いていた。本実施例ではX線管電圧80kVにおけるX線断層像のCT値と、X線管電圧140kVにおけるX線断層像のCT値の比を画像化し、造影剤に相当する部分を抽出して造影剤の時間変化部分を把握する。
図16(a)は、低いX線管電圧と高いX線管電圧との断層像でのCT値比を画像化する方法を示す図であり、(b)は、低いX線管電圧と高いX線管電圧との断層像でのCT値を加重加算処理し物質Aの等価画像の方法を示す図である。
図16(a)に示すように、各物質は横軸にX線管電圧80kVの断層像のCT値と縦軸にX線管電圧140kVの断層像のCT値とをプロットすると、物質ごとに異なる傾きを持つ直線で表示できる。例えば、物質A,物質Bは異なる傾きを持つ直線で示すことができる。各物質A,Bの密度の違いは直線上の原点からの距離に比例する。
本実施例においては、図16(a)のデュアルエネルギー比(Dual Energy Ratio)RA(x,y,z)であるX線管電圧80kVの断層像のCT値G80(x,y,z)、X線管電圧140kVの断層像のCT値G140(x,y,z)の比を以下の(数式7)で求めて画像化を行う。
...(数式7)
このフローは例えば図15(b)のステップR41を図16(b)のステップR61を差し替えることで処理することができる。図16(b)のステップR61は、可変ピッチヘリカルスキャンのX線データ収集をビューごとに高速にX線管電圧80kVとX線管電圧140kVを切り換えて行い、それぞれの断層像からデュアルエネルギー比画像を画像再構成する。
通常、ヨウ素Iを含む造影剤の場合は、デュアルエネルギー比は約1.8前後になるので、このデュアルエネルギー比に相当する画素を造影剤領域として識別することができることから、造影血管の造影剤領域を求めることができる。 なお、この時、血流中の造影剤密度が多少異なっていてもデュアルエネルギー比画像においては、その密度ムラが画像上に出ずに表現される。このため、デュアルエネルギー比画像はより安定した造影血管を抽出できる。
本実施例では図15で説明したヘリカルピッチ制御と同様に、時系列三次元画像と時系列差分三次元画像の両方を用いて、血流の時間変化部分を抽出している。このため、より精度良く血流先端部のz軸座標を求めることができ、クレードル12はより安定した位置制御をすることができる。
<実施例7>
図17は、2層のX線検出器を有するX線CT装置100を示すブロック図である。図1に示した実施例1のX線CT装置100が1層のX線検出器24を有しているのに対して、実施例7のX線CT装置100が2層のX線検出器24を有している点で異なる。
多列X線検出器24は、例えば半導体シリコンX線検出器SiDとシンチレータ・フォトダイオードX線検出器SPDとを有している。また、データ収集装置25も、空間分解能の高い多列X線検出器KD用のDAS25Kと密度分解能の良い多列X線検出器MD用のDAS25Mとを備えている。
図18は、2層のX線検出器24を示している。X線CT装置100は、X線管電圧を切り替えることなく、同時に異なるX線エネルギーのX線投影データRを分けて出力できる。実施例2は、このようなX線CT装置100を用いて、デュアルエネルギー撮影の骨等価画像又はデュアルエネルギー比画像を求めて造影剤を追跡する方法を示す。この場合、造影剤先端部では時系列三次元画像から造影された血流速度を予測して求め、最適ヘリカルピッチで追跡できるようにクレードル12を制御する。
<2層検出器モジュール1>
まずX線検出器としてはX線のエネルギーをシンチレータSDで光のエネルギーに変換して、フォトダイオードPDにより電気信号に変えるシンチレータ・フォトダイオードX線検出器の場合を示す。
図18(a)は、2層のシンチレータ・フォトダイオードX線検出器MSPの処理を示す。2層シンチレータ・フォトダイオードX線検出器MSPは、シンチレータSP及びフォトダイオードPDが2層に重ねられている。
この処理は図15(b)のステップR41を図19で示すようにステップR81、ステップR82、ステップR83で置き換えることで処理できる。
ステップR81では、ヘリカルスキャンによりX線投影データRの収集を行い、第1層のシンチレータ・フォトダイオードX線検出器1Lと第2層のシンチレータ・フォトダイオードX線検出器2Lとが各X線エネルギー成分の各X線投影データRを得る。まずX線が入射する第1層のシンチレータ・フォトダイオードX線検出器1Lでは、第2層のX線検出器2Lに比べてより広いX線エネルギースペクトルの範囲のX線を検出できる。これは第1層のシンチレータ・フォトダイオードX線検出器1LのX線投影データRは低いX線管電圧のX線投影データRに相当する。また第2層のシンチレータ・フォトダイオードのX線検出器のX線投影データRは高いX線管電圧のX線投影データRに相当する。
ステップR82では、第1層と第2層との各X線投影データRを画像再構成する。
ステップR83では、第1層の断層像と、第2層の断層像よりデュアルエネルギー比断層像を画像再構成する。
<2層検出器モジュール2>
図18(b)に示す多列X線検出器SSPは、X線が入射する1層目にシリコン半導体X線検出器SiDを備え、2層目にシンチレータSDとフォトダイオードPDとを備えている。特にシリコン半導体X線検出器SiDはシンチレータ・フォトダイオードのX線検出器に比べ、より細かく作りやすいために空間分解能が高い。また、シリコン半導体X線検出器SiDは吸収X線量が少なくX線変換効率が高いため、少ないX線線量で大きな出力のX線検出器出力を得ることができる。また、シリコン半導体X線検出器SiDはX線吸収が少ないため、入射X線はシンチレータ・フォトダイオードX線検出器にも充分なX線線量が届く。またシンチレータ・フォトダイオードX線検出器は、X線吸収が大きく密度分解能の良いX線投影データRを得ることができる。
シリコン半導体X線検出器SiDの代わりに、エネルギー弁別機能を持った別のX半導体検出器も考えられる。このX線半導体検出器は放射線エネルギーを直接電気エネルギーに変換できる。例えば、カドミウム・テルル(Ca・Te)を用いた半導体検出器CdTe検出器や、カドミウム(Cd)、亜鉛(Z)、テルリウム(Te)を用いた半導体検出器CZT検出器がある。このX線半導体検出器は、入射したX線1つ1つのフォトンエネルギーを弁別して、複数の異なるX線エネルギーのX線投影データRを収集する。
図20は、半導体シリコンX線検出器SiDとシンチレータ・フォトダイオードX線検出器SPDとを使った多列X線検出器24の複数のタイプを示した図である。
<2層検出器タイプ1>
図20(a)は、全チャネル及び全列に半導体シリコンX線検出器SiDとシンチレータ・フォトダイオードX線検出器SPDとを配置した図である。この場合は、全撮影視野においてシリコン半導体X線検出器SiDによる空間分解能の良い断層像と、シンチレータ・フォトダイオードX線検出器SDPDによる密度分解能の良い断層像とを得ることができる。画像再構成時に両方のX線検出器からのX線投影データRを合成して、空間分解能と密度分解能の良いX線投影データRを得ることもできる。
<2層検出器タイプ2>
図20(b)は、特に高い空間分解能が必要なのは心臓撮影の時だけと割り切り、中心部にのみシリコン半導体X線検出器SiDを配置し、チャネル方向の周辺部には通常のシンチレータ・フォトダイオードX線検出器SDPDを配置した図である。
中心部周辺の撮影領域で空間分解能の良い断層像と、密度分解能の良い断層像の両方を得ることができる。又は画像再構成時に両方のX線検出器のX線投影データRを合成して、空間分解能と密度分解能の良いX線投影データRを得ることもできる。また、全体の撮影領域ではシンチレータ・フォトダイオードX線検出器SDPDによる通常の断層像を得ることもできる。
<2層検出器タイプ3>
図20(c)は、2つの多列X線検出器24が接しておらず離れている例を示しているが、X線散乱の状態が異なるだけで、基本的に半導体シリコンX線検出器SiDとシンチレータ・フォトダイオードX線検出器SPDとが接している場合とほとんど変わらない。
<2層検出器タイプ4>
図20(d)は、最初にX線が入射する検出器を360度全方向にシリコン半導体X線検出器SiDで固定配置した第4世代型の例を示している。次に入射する多列X線検出器24は他の例と同じく第3世代型のシンチレータ・フォトダイオードX線検出器SPDを示している。この場合の第4世代X線投影データRの画像再構成は、通常の第3世代X線検出器におけるX線ファン(Source Fan)によるX線投影データRで画像再構成を行うのではなく、一度、X線検出器ファン(Detector Fan)によるX線投影データRに変換した後に画像再構成を行う。
<同時デュアルエネルギー撮影>
以上4タイプの2層多列X線検出器でX線データ収集した場合は、空間分解能の良いX線投影データRと、密度分解能の良いX線投影データRとで、X線エネルギーが異なる。
これらの検出器は、一方のX線検出器が吸収したX線エネルギー分だけ他方の多列X線検出器の受光したX線に差が生じる。これは1層目のシリコン半導体X線検出器SiDが検出するX線エネルギーの方が、より広いX線エネルギースペクトル範囲を検出でき、より多くの被検体の組成情報を得ることができる。このX線のエネルギー差を利用してデュアルエネルギー撮影を行うことができる。
シリコン半導体X線検出器SiDを用いて、2種類のX線エネルギーのX線投影データRを得る場合の処理の流れは図19のフローチャートと同様に処理できる。
シリコン半導体X線検出器SiDを用いた場合に異なる点を下記に示す。
ステップR81の処理では、シリコン半導体X線検出器SiDの各フォトンの電気信号がX線エネルギーに依存することを利用する。画像再構成部38は閾値処理により第1と第2との各X線エネルギー成分のフォトン数を計数することにより、各X線エネルギー成分のX線投影データRを得ることができる。
ステップR82の処理では、第1層のシリコン半導体X線検出器SiDのX線投影データRが第1のX線エネルギー成分に対応し、第2層のシンチレータ・フォトダイオードX線検出器SPDのX線投影データRが第2のX線エネルギー成分に対応する。画像再構成部38はそれぞれのX線投影データRを画像再構成することができる。
ステップR83の処理も同様に、デュアルエネルギー画像再構成部39は第1のX線エネルギー成分の断層像と第2のX線エネルギー成分の断層像よりデュアルエネルギー画像を画像再構成する。
このように、本実施例においては、図18で示した構造のX線検出器モジュールを用いて、造影剤の流れの先端部分を把握することもできる。
なお、上述の実施例における画像再構成法は、従来公知のフェルドカンプ法による三次元画像再構成法でもよい。さらに、他の三次元画像再構成方法でもよい。又は二次元画像再構成でも良い。
上述の実施例は、走査ガントリ20が傾斜していない場合について記載しているが、走査ガントリ20が傾斜した、いわゆるチルト・スキャンの場合でも同様な効果を出すことができる。また、本実施例においては、撮影テーブル10のクレードル12をz軸方向に動かすことにより、ヘリカルスキャンを実現している。しかし、走査ガントリ20又は走査ガントリ20内の回転部15を撮影テーブル10のクレードル12に対して動かすことによっても、同様な効果を得ることができる。
上述の実施例では、医用X線CT装置を元について記載されているが、産業用X線CT装置、又は、他の装置と組み合わせたX線CT−PET装置,X線CT−SPECT装置などにおいても利用できる。
本発明のX線CT装置100を示すブロック図である。 被検体のX線断層像撮影を示すフローチャートである。 (a)は、X線管電圧を瞬時に切り換える図で、(b)はX線管電圧を切り換える間に所定時間が必要な場合の図である。 (a)は、ビューごとにX線管電圧を切り換えた360度フルスキャンの2スキャン分を示す図である。(b)は、ビューごとにX線管電圧を切り換えた180度+ファン角ハーフスキャンの2スキャン分を示す図である。 投影データ空間におけるデュアルエネルギー撮影の画像再構成の概要を示す図である。 ビューごとにX線管電圧を切り換えたヘリカルスキャンの処理を示すフローチャートである。 低いX線管電圧及び高いX線管電圧の各X線投影データビューの抽出と補間処理を示す図である。 X線管電圧の切り換えによりX線投影データを収集し、z方向にヘリカルスキャンを往復することで造影剤の先端領域の把握を行うフローチャートである。 (a)は、ヘリカルスキャンの場合の造影剤の先端領域の把握を示す図である。 (b)は、休止時間を設けた造影剤の先端領域の把握を示す図である。 (c)は、順方向のヘリカルスキャンに休止時間を設けた造影剤の先端領域の把握を示す図である。 (d)は、固定ピッチのヘリカルスキャンの場合の造影の先端領域の把握を示す図である。 (e)は、可変ピッチのヘリカルスキャンを説明する図である。 下肢動脈を流れる造影剤の造影剤の先端領域の把握の例を示す図である。 造影血管の先端部を把握するフローチャートである。 (a)三次元画像3G内を造影血管が貫通している場合を示す図である。(b)三次元画像3G内を造影血管が貫通していない場合を示す図である。(c)三次元画像3G内で時間変化した造影剤が見つからない場合を示す図である。(d)三次元画像3G内で時間変化した造影剤が見つかった場合を示す図である。 0.5ピッチ以下のヘリカルスキャンにおける時系列三次元画像の収集を示す図である。 時系列三次元画像から造影血管の先端部を把握するフローチャートである。 (a)可変ピッチヘリカルスキャンによりヘリカルピッチを変化させての造影剤の先端領域の把握を示す図である。 (b)可変ピッチヘリカルスキャンにより三次元画像で造影剤速度を予測して造影剤を行うフローチャートである。 (a)低いX線管電圧と高いX線管電圧との断層像でのCT値比を画像化する方法を示す図である。(b)ステップR61を説明する図である。 2層のX線検出器を有するX線CT装置100を示すブロック図である。 (a)多層のシンチレータ・フォトダイオードのX線検出器を示す図である。(b)分解能の異なる検出器を組み合わせた検出器モジュールを示す図である。 2層のシンチレータ・フォトダイオードのX線検出器を用いた場合の可変ピッチヘリカルスキャンによる造影剤の先端領域の把握の制御を示すフローチャートである。 (a)全範囲に半導体シリコンX線検出器SiDとシンチレータ・フォトダイオードX線検出器SPDとを示した図である。(b)大きさの異なる半導体シリコンX線検出器SiDとシンチレータ・フォトダイオードX線検出器SPDとを示した図である。(c)離れて存在する半導体シリコンX線検出器SiDとシンチレータ・フォトダイオードX線検出器SPDとを示した図である。(d)離れて存在する第四世代半導体シリコンX線検出器SiDと第三世代シンチレータ・フォトダイオードX線検出器SPDとを示した図である。
符号の説明
1 操作コンソール
2 入力装置
3 中央処理装置
5 データ収集バッファ
6 モニタ
7 記憶装置
10 撮影テーブル
12 クレードル
15 回転部
20 走査ガントリ
21 X線管
22 X線コントローラ
23 コリメータ
24 多列X線検出器 (SiD シリコン半導体X線検出器、SPD シンチレータ・フォトダイオードX線検出器)
25 データ収集装置(DAS)
26 回転部コントローラ
27 走査ガントリ傾斜コントローラ
28 ビーム形成X線フィルタ
29 制御コントローラ
31 造影剤検出部
37 前処理部
38 画像再構成部
39 デュアルエネルギー画像再構成部
IO 造影剤の軌道
CO VPS クレードルの軌道
PA 休止期間

Claims (10)

  1. 被検体に照射されたX線を検出するX線検出器と、
    前記X線検出器が検出した第1エネルギースペクトルを有するX線投影データと、前記第1エネルギースペクトルとは異なる第2エネルギースペクトルを有するX線投影データとに基づいて、デュアルエネルギー画像を画像再構成するデュアルエネルギー画像再構成部と、
    前記デュアルエネルギー画像から造影剤の流れの先端領域を検出する造影剤検出部と、
    前記造影剤の流れの先端領域を把握しながら、前記被検体と前記X線検出器と相対的に移動させる制御部と、
    を備えることを特徴とするX線CT装置。
  2. 前記デュアルエネルギー画像再構成部は、骨を実質的に消去し前記造影剤を強調する画像再構成を行うことを特徴とする請求項1に記載のX線CT装置。
  3. 前記デュアルエネルギー画像再構成部は、複数の異なるX線エネルギー成分の断層像上の画素値の比より、被検体の造影剤に相当する領域を識別する画像再構成を行うことを特徴とする請求項1に記載のX線CT装置。
  4. 前記制御部は、前記造影剤の流れの先端領域を把握する際に、前記前記被検体と前記X線検出器を相対的に往復運動させ、
    前記デュアルエネルギー画像再構成部は、前記前記被検体と前記X線検出器の往復運動時にデュアルエネルギー画像を画像再構成することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のX線CT装置。
  5. 前記造影剤検出部は、連続した前記デュアルエネルギー画像からなる三次元画像を、閾値による2値化処理で2値化し三次元ラベリング処理により行い、造影剤の流れの先端領域を把握することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のX線CT装置。
  6. 前記造影剤検出部は、三次元ラベリング処理を行う前に、ノイズ除去処理を行うことを特徴とする請求項5に記載のX線CT装置。
  7. 前記造影剤検出部は、三次元画像を時系列に画像再構成を行い、時間方向に変化のある造影剤領域を抽出することを特徴とする請求項5に記載のX線CT装置。
  8. 前記第1エネルギースペクトルを有するX線投影データと前記第2エネルギースペクトルを有するX線投影データとは、1ビュー又は複数ビュー毎にX線管電圧を切り換えるとともに、1ビュー又は複数ビュー毎にX線投影データを分離して組み合せることで得られることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のX線CT装置。
  9. 前記第1エネルギースペクトルを有するX線投影データと前記第2エネルギースペクトルを有するX線投影データとは、X線管電圧を360度又は180度+ファン角毎にX線管電圧を切り換えることで得られることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のX線CT装置。
  10. 前記X線断層像装置は、第1X線検出器と第2X線検出器とを有し、
    前記第1エネルギースペクトルを有するX線投影データは前記第1X線検出器で検出されたX線投影データであり、前記第2エネルギースペクトルを有するX線投影データは前記第2X線検出器で検出されたX線投影データであることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のX線CT装置。
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