JP2004202026A - X線診断装置及びx線撮影方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】平面検出器を用いたボーラスDSAにおいて、リーク電流に起因する雑音電荷の影響を排除し、良質なDSA画像を得る。
【解決手段】造影剤注入前、及び注入後の被検体の予め設定された複数の撮影位置に対してX線を順次照射するX線発生部1と、このX線を検出する平面検出器21を備えたX線検出部2を機構部3によって前記撮影位置に向け相対移動し、システム制御部10は前記X線発生部1とX線検出部2が前記撮影位置に対して所定の距離に近づいたことを検出したならば、ゲートドライバ22に指示信号を与え、ゲートドライバ22は前記X線検出部2の平面検出器21に蓄積されているリーク電流起因の雑音電荷を排除するためのリセット動作を行なう。
【選択図】 図1
【解決手段】造影剤注入前、及び注入後の被検体の予め設定された複数の撮影位置に対してX線を順次照射するX線発生部1と、このX線を検出する平面検出器21を備えたX線検出部2を機構部3によって前記撮影位置に向け相対移動し、システム制御部10は前記X線発生部1とX線検出部2が前記撮影位置に対して所定の距離に近づいたことを検出したならば、ゲートドライバ22に指示信号を与え、ゲートドライバ22は前記X線検出部2の平面検出器21に蓄積されているリーク電流起因の雑音電荷を排除するためのリセット動作を行なう。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はX線診断装置に係り、特に2次元的に配列された複数の検出素子を有したX線診断装置およびX線撮影方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
X線診断装置やMRI装置あるいはX線CT装置などを用いた医用画像診断技術は、1970年代のコンピュータ技術の発展に伴い急速な進歩を遂げ、今日の医療において必要不可欠なものとなっている。
【0003】
X線診断装置に用いられる検出素子として、従来はX線フィルムやI.I.(イメージ・インテンシファイア)が使用されてきた。I.I.を用いたX線撮影方法ではX線管から発生したX線によって被検体を照射し、このとき被検体を透過して得られるX線の画像情報は、I.I.において光学画像に変換され、更にこの光学画像はX線TVカメラによって撮影され電気信号に変換される。そして、電気信号に変換されたX線画像情報はA/D変換後、モニタに表示される。このため、I.I.を用いた撮影方法は、フィルム方式では出来なかったリアルタイム撮影を可能とし、またデジタル信号で画像データの収集ができるため、種々の画像処理を可能とした。
【0004】
I.I.を用いた循環器用X線診断装置ではデジタルサブトラクションアンギオグラフィ(DSA)に代表されるデジタルフルオログラフィ機能を有し、X線の透過画像情報はデジタル信号に変換されるため種々の画像処理が容易となる。例えば、血管内の狭窄部位の診断を行なう場合、血管内に造影剤を注入する前後で診断部位を撮影し、得られた2枚の画像間の引き算(サブトラクション)を行なうことによって造影剤が注入されている血管のみを高いコントラスト分解能で表示することができる。
【0005】
被検体に対してX線発生器及びX線検出器を固定し、同一の診断部位でサブトラクション画像を連続して撮影する通常のDSA撮影に対して、X線発生器及びX線検出器を被検体に対して相対的に移動しながらサブトラクション画像を撮影するボーラスDSA撮影や回転DSA撮影も広く用いられている。
【0006】
このボーラスDSAや回転DSAでは、撮影しようとする複数の診断部位において造影剤注入前の第1のX線画像(以下マスク画像とよぶ)を予め撮影した後、造影剤を注入し、前記複数の診断部位にこの造影剤が到達した時点で第2のX線画像(以下コントラスト画像とよぶ)を撮影する。そして、前記マスク画像と前記コントラスト画像の間でサブトラクション画像を得ている。
【0007】
ボーラスDSAや回転DSAのコントラスト画像の撮影においては、体内の血管内を流れる血流の速さは血管径や狭窄の有無に依存し一様ではない。従って、造影剤の流れる速度も一様にはならないため、X線発生器及びX線検出器を造影剤の流速に合わせて不定速度で相対移動させる、所謂、非同期撮影方法が一般にとられている。
【0008】
図14にI.I.を用いた従来のX線診断装置によるボーラスDSA撮影のタイムチャートを示す。例えば、被検体200の脚部における撮影位置(X1乃至X3)に対して、X線発生器201及びX線検出器202を不定速度で移動させながらコントラスト画像を撮影する場合、従来のX線診断装置では撮影開始の指示信号を受けたならば、即座に撮影可能な状態に設定することが可能であった。このため、X線発生器201及びX線検出器202が被検体200の所定の撮影位置に到達した時点で、システム制御部より撮影開始の指示信号を受けることによって、ほぼ所定の撮影位置において撮影を行なうことが可能であった(例えば、特許文献1参照。)。
【0009】
このI.I.に替わるものとして、近年2次元配列のX線平面検出器(以下平面検出器)が大きな注目を集め、その一部は既に実用化の段階に入っている。従来のI.I.を用いた装置では上記のようにX線情報を一旦光学画像に変換し、更に電気信号に変換する方式をとっている。これに対して平面検出器を用いた装置では、X線画像情報を直接電気信号に変換できるため、画質性能や安定性の面での大幅向上が期待されている。
【0010】
平面検出器は、X線照射によって、その照射量に比例した電荷(以下信号電荷)が2次元に配列された検出素子の夫々に蓄積され、この蓄積された電荷はスイッチング機能を有するTFT(薄膜トランジスタ)を介して順次信号出力線に読み出される構成になっている。
【0011】
更に信号出力線に出力された電荷は電荷・電圧変換器を介してA/D変換器にてデジタル信号に変換され、X線画像情報として画像記憶回路に保存された後、表示部にて表示される。なおA/D変換されたX線画像信号は種々の画像処理や複数画像間のサブトラクション処理なども容易に行なうことが可能となる。
【0012】
一方、平面検出器を用いたX線撮影において、平面検出器にはX線照射時の透過X線入射量に対応した信号電荷の他に、リーク電流(暗電流)起因の雑音電荷が絶えず蓄積される。このため、X線撮影を行なう直前に前記雑音電荷を排除するためのリセット動作を行なうことによって画質劣化を防いでいた(例えば、特許文献2参照。)。
【0013】
【特許文献1】
特開平9−276259号公報(第3−4頁、第2図)
【0014】
【特許文献2】
特開平9−131337号公報(第6頁、第5図)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
平面検出器を用いて、ボーラスDSA撮影を行なう場合にはX線照射直前に雑音電荷を取り除くためのリセット動作が要求される。このようなリセット動作を同期撮影方式において行なう場合には、X線照射のタイミングが予め定められているため、このX線照射タイミングに対してリセット動作に要する時間(リセット時間)だけ先行してリセット動作を開始することによって暗電流の影響を受けずにX線撮影を行なうことが可能となるが、非同期撮影方式においては、X線照射のタイミングを予め正確に知ることができず、従ってリセット動作開始のタイミングを設定することが困難であった。
【0016】
一方、撮影部位にX線発生器及びX線検出器が到達した時点でリセット動作を行なった場合には、リセット動作期間だけX線撮影のタイミングが遅れる。このため予め設定された撮影位置に対して異なる位置のX線撮影が行われ、またマスク画像とコントラスト画像の撮影位置にズレが発生するため、正確なサブトラクション画像が得られないという問題点があった。
【0017】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、平面検出器を用いた非同期撮影方式のX線撮影において、暗電流の影響を排除することによって高画質を得ることができるX線診断装置及びX線撮影方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る本発明のX線診断装置では、被検体の複数の撮影位置に対してX線を順次照射するX線発生手段と、このX線発生手段によって照射されるX線を検出し、電荷に変換して蓄積するための複数個の検出素子を有したX線検出手段と、このX線検出手段によって蓄積された前記電荷を読み出す電荷読み出し手段と、この電荷読み出し手段によって読み出される前記電荷に基づいて前記複数の撮影位置における画像データを生成する画像データ生成手段と、前記X線発生手段及び前記X線検出手段を被検体の前記撮影位置に向けて相対的に移動させる移動手段と、この移動手段によって移動する前記X線発生手段及び前記X線検出手段の位置を検出し、更に、この検出位置と前記撮影位置との距離を検出する距離検出手段と、この距離検出手段によって得られた距離が予め設定されたリセット開始距離に達したとき、前記X線検出手段の検出素子に蓄積されている電荷の排除を行なうためのリセット動作を行なうリセット手段とを備えたことを特徴としている。
【0019】
また、請求項3に係る本発明のX線診断装置では、造影剤注入前、及び注入後の被検体の予め設定された複数の撮影位置に対してX線を順次照射するX線発生手段と、このX線発生手段によって照射されるX線を検出し、電荷に変換して蓄積するための複数個の検出素子を有したX線検出手段と、このX線検出手段によって蓄積された電荷を読み出す電荷読み出し手段と、この電荷読み出し手段によって読み出される電荷に基づいて前記複数の撮影位置におけるマスク画像データ及びコントラスト画像データを生成する画像データ生成手段と、前記X線発生手段及び前記X線検出手段を被検体の前記撮影位置に向けて相対的に移動する移動手段と、この移動手段によって移動する前記X線発生手段及び前記X線検出手段の位置を検出し、更に、この検出位置と前記撮影位置との距離を検出する距離検出手段と、この距離計測手段によって得られた距離が予め設定されたリセット開始距離に達したとき、前記X線検出手段の検出素子に蓄積されている電荷の排除を行なうためのリセット動作を行なうリセット手段とを備えたことを特徴としている。
【0020】
更に、請求項15に係る本発明のX線撮影方法では、X線発生手段及び平面検出器を備えたX線検出手段を被検体に対して不定速度で相対移動してX線画像データを収集するX線撮影方法であって、前記X線発生手段及びX線検出手段を予め設定された撮影位置に向け相対移動するステップと、前記X線発生手段及びX線検出手段の位置と前記撮影位置との距離が予め設定されたリセット開始距離に達したとき、前記X線検出手段の検出素子に蓄積されている電荷を排除するためのリセット動作を行なうステップと、前記X線発生手段及びX線検出手段の位置と前記撮影位置が一致したとき、前記X線発生手段によって被検体に対しX線を照射するステップと、前記リセット動作が完了してから予め設定された期間後において、前記X線照射によって前記X線検出器の検出素子に蓄積された電荷を読み出すステップと、この読み出された電荷に基づいて画像データを生成するステップとを有することを特徴としている。
【0021】
したがって本発明によれば、平面検出器を用いた非同期撮影方式のX線撮影において、暗電流の影響を排除することができるため、良質なDSA画像が得られる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態の特徴は、非同期撮影方式によるX線撮影において、X線照射開始のタイミングから所定時間遡った時点において雑音電荷排除のためのリセット動作を開始することにある。
【0023】
本発明の実施の形態におけるX線診断装置の構成につき図1及び図2を用いて説明する。但し、図1はX線診断装置全体の概略構成を示すブロック図であり、図2はこのX線診断装置に用いられる平面検出器の構成を示す図である。
【0024】
X線診断装置100は、X線を被検体45に対して照射するX線発生部1と、被検体45を透過したX線を2次元的に検出するX線検出部2と、前記X線発生部1とX線検出部2を例えばCアームによって保持する保持アーム5と、前記被検体45を載せる寝台(天板)17とを備えている。
【0025】
また、X線診断装置100は、前記保持アーム5や寝台17の移動を行なう機構部3と、機構部3の各機構を制御する機構制御部6と、前記X線検出部2によってライン単位で検出されるX線画像データを1枚の画像データとして保存するとともに、画像間のサブトラクション演算を行なう画像演算・記憶部7を備えている。
【0026】
更に、X線診断装置100は、前記画像演算・記憶部7に保存されているX線画像データを表示する表示部8と、X線発生部1におけるX線放射に必要な高電圧を発生する高電圧発生部4と、上記各ユニットを制御するシステム制御部10と、装置操作者がこのX線診断装置100に対して種々の指示を与えるための操作部9を備えている。
【0027】
X線発生部1は、被検体45に対しX線を放射するX線管15と、このX線管15から放射されたX線をコリメートするX線絞り器16を備えている。X線管15はX線を発生する真空管であり、陰極(フィラメント)より放出された電子を高電圧によって加速させてタングステン陽極に衝突させX線を発生させる。一方、X線絞り器16は、X線管15と被検体45の間に位置し、拡大撮影の場合には、X線管15から放射されたX線ビームを拡大撮影領域のサイズに絞り込む機能を有している。
【0028】
X線検出部2は、被検体45を透過したX線を電荷に変換して蓄積する平面検出器21と、この平面検出器21に蓄積された電荷をX線画像信号として読み出すためのゲートドライバ22と、読み出された電荷を画像データに変換する画像データ生成部11とを備えている。
【0029】
平面検出器21は、図2に示すように微小な検出素子51を列方向及びライン方向に2次元的に配列して構成されており、各々の検出素子51はX線を感知し、入射X線量に応じて電荷を生成する光電膜52と、この光電膜52に発生した電荷を蓄積する電荷蓄積コンデンサ53と、この電荷蓄積コンデンサ53に蓄積された電荷を所定のタイミングで読み出すTFT(薄膜トランジスタ)54を備えている。以下では説明を簡単にするために、例えば、検出素子51が列方向(図2の上下方向)、及びライン方向(図2の左右方向)に2素子づつ配列されている場合の平面検出器21の構成について説明する。
【0030】
図2の光電膜52−11、52−12、52−21、52−22の第1の端子と、電荷蓄積コンデンサ53−11、53−12、53−21、53−22の第1の端子は接続され、更に、その接続点はTFT54−11、54−12、54−21、54−22のソース端子へ接続される。一方、光電膜52−11、52−12、52−21、52−22の第2の端子は、図示しないバイアス電源に接続され、電荷蓄積コンデンサ53−11、53−12、53−21、53−22の第2の端子は接地される。更に、ライン方向のTFT54−11及びTFT54−21のゲートはゲートドライバ22の出力端子22−1に接続され、また、TFT54−12、及びTFT54−22のゲートはゲートドライバ22の出力端子22−2に接続される。
【0031】
一方、列方向のTFT54−11、及び54−12のドレイン端子は信号出力線59−1に共通接続され、また、TFT54−21及び54−22のドレイン端子は信号出力線59−2にそれぞれ共通接続される。そして、信号出力線59−1、59−2は画像データ生成部11に接続されている。
【0032】
図1のゲートドライバ22は、X線照射によって検出素子51の光電膜52で発生し電荷蓄積コンデンサ53にて蓄積される信号電荷と、リーク電流に起因する雑音電荷を読み出すために、TFT54のゲート端子に読み出し用の駆動パルスを供給する。
【0033】
画像データ生成部11は、平面検出器21から読み出された電荷を電圧に変換する電荷・電圧変換器23と、この電荷・電圧変換器23の出力をデジタル信号に変換するA/D変換器24と、平面検出器21からライン単位でパラレルに読み出される画像信号をシリアルな信号に変換するパラレル・シリアル変換器25とを備えている。
【0034】
機構部3は、X線発生部1及びX線検出部2を被検体45の体軸方向に対して相対的に移動させて撮影断面を設定するために寝台17の移動を行なう寝台移動機構42と、X線発生部1及びX線検出部2を被検体45の周囲で回転させて撮影断面を設定するために保持アーム5の移動を行なう保持アーム移動機構41を備えている。なお、本実施の形態では寝台移動機構42によって被検体45を載せた寝台17を移動させて撮影位置の設定を行ない、この移動量は内部に設けられたエンコーダによって出力される。
【0035】
機構制御部6は、システム制御部10からの制御信号によって機構部3の保持アーム移動機構41及び寝台移動機構42を制御する。また機構部3に設けられたエンコーダ出力信号を受け、寝台17の位置検出(即ち被検体45とX線発生部1及びX線検出部2との相対位置の検出)を行なう位置検出器を備えている。
【0036】
画像演算・記憶部7は、画像データ生成部11からシリアルに送られてくる所定部位のマスク画像データを保存するマスク画像データ記憶回路、コントラスト画像データを保存するコントラスト画像データ記憶回路、X線を照射しない場合に得られる画像データ(以下では暗時画像データと呼ぶ)を保存する暗時画像データ記憶回路、更にはサブトラクション後の画像データを保存するサブトラクション画像データ記憶回路などから構成される画像データ記憶回路13と、この画像データ記憶回路13にて保存された所定部位のマスク画像データやコントラスト画像データと暗時画像データとのサブトラクション、更には、上記暗時画像データとのサブトラクション後のマスク画像データ(補正マスク画像データ)とコントラスト画像データ(補正コントラスト画像データ)とのサブトラクションを行なう画像演算回路12を備えている。
【0037】
高電圧発生部4は、X線管15の陰極から発生する熱電子を加速するために、陽極と陰極の間に印加する高電圧を発生させる。通常は、インバータ方式により80KW乃至100KWの大出力容量を有している。
【0038】
操作部9はキーボード、各種スイッチ、マウス等を備えたインターラクティブなインターフェースであり、装置の操作者は操作部9において、撮影の各種条件や検査の開始、機構部3の移動制御などのコマンド信号を入力し、これらのコマンド信号はシステム制御部10を介して各ユニットに送られる。また、被検体45に注入した造影剤の移動速度に合わせて寝台17の移動速度や移動方向の指示を行なう機能を有している。
【0039】
表示部8は、画像演算・記憶部7において生成されたマスク画像、コントラスト画像、サブトラクション画像の中の所望の画像データと、この画像データの付帯情報である数字や各種文字などを合成して一旦保存する表示用画像メモリ31と、このX線画像データや付帯情報をアナログ信号に変換するD/A変換器32と、このアナログ信号をTVフォーマット変換して映像信号を生成する表示回路33と、前記映像信号を表示する液晶、あるいはCRTのモニタ34から構成される。
【0040】
システム制御部10は、CPUと記憶回路を備え、操作部9から送られてくる操作者の指示や撮影条件などの情報を一旦記憶した後、これらの情報に基づいてX線画像データの収集や表示の制御、あるいは移動機構に関する制御などシステム全体の制御を行なう。また、前記記憶回路にはボーラスDSAのためのN箇所の撮影位置情報(X1乃至XN)や、X線を照射しない状態で得られる装置固有の暗時画像データが予め保存されている。
【0041】
更に、システム制御回路10は、機構制御部6の位置検出器から送られてくる機構部3の検出位置に基づいてゲートドライバ22に対してリセットトリガ信号を供給し、また前記検出位置と予め設定されている撮影位置情報とが一致した場合には、高電圧発生部4に対してX線照射の制御信号を供給する。
【0042】
(撮影方法の概要)
X線診断装置100を用いて行なうボーラスDSAの主なる対象部位として足部大腿動脈がある。以下では、造影剤を鼠ケイ部の大腿動脈に注入し、この造影剤が足先の抹消血管まで流れる状態をサブトラクション画像として観察する場合を例に、本実施の形態におけるDSA撮影方法の概要につき図4乃至図6を用いて説明する。
【0043】
図4は被検体45の足部大腿動脈のサブトラクション画像を得る際のマスク画像データ、及びコントラスト画像データの撮影位置と撮影順序を示した図である。但し、図4におけるマスク画像撮影及びコントラスト画像撮影はいずれも鼠ケイ部から足部末端部の方向に順次行っているが、マスク画像撮影は足部末端部から鼠けい部の方向(XN→N1)で行ってもよい。
【0044】
ボーラスDSAは既に述べたように、まず被検体45に対してX線発生部1、及び平面検出器21(以下では前記X線発生部1と前記平面検出器21を纏めて映像系と呼ぶ)を相対的に移動し、予め設定された複数の撮影位置における造影剤注入前のマスク画像データを収集して保存する。
【0045】
次いで、被検体45に造影剤を注入し、前記複数の撮影位置に造影剤が到達した時点でコントラスト画像データの収集を行ない、更に、このコントラスト画像データと前記マスク画像データからサブトラクション画像データを得る。この場合、被検体45の血管内に注入された造影剤の流れ(特にフロントエッジ)を追跡するために、被検体45を搭載した寝台17を体軸方向に移動させながらマスク画像の撮影位置と同一の位置においてコントラスト画像の撮影を行なう。
【0046】
また、平面検出器21を用いたボーラスDSAでは、所定位置におけるマスク画像データ、あるいはコントラスト画像データを収集する際、雑音電荷を排除するためのリセット動作を行なう必要がある。図5は、例えば撮影位置X1乃至X3におけるX線照射期間(図5(a))と、雑音電荷排除のためのリセット期間及び信号電荷の読み出し期間(図5(b))を示したものであり、X線照射期間の周期は寝台17の不等速な移動のため一定ではないが、いずれの場合もリセット期間と信号読み出し期間の間に設定される。
【0047】
図6は図5に示した撮影位置X1におけるX線照射期間(ΔT2)とリセット期間(ΔT1)及び信号読み出し期間(ΔT3)を拡大して示したものであり、T11からT11+ΔT1の期間で平面検出器21において雑音電荷の排除が行われ、T12からT12+ΔT2の期間でX線発生部1によるX線照射が行われる。更に、T13からT13+ΔT3の期間で前記平面検出器21において信号電荷の読み出しと画像データの生成及び保存が行われる。
【0048】
但し、上記の各期間はT11+ΔT1<T12、T12+ΔT2<T13の関係にある。また、ΔT1及びΔT3は平面検出器21のライン数とゲートドライバ22のクロックパルスの周波数によって決定される期間であり、X線照射期間と同様に寝台17の移動速度に依存しない。
【0049】
一方、リセット終了時刻T11+ΔT1から読み出し開始時刻T13までは、変換素子51の電荷蓄積コンデンサ53に新たにリーク電流起因の雑音電荷が蓄積される雑音電荷蓄積期間(ΔT31)であり、この雑音電荷蓄積期間も寝台17の移動速度に関係なく常に一定になるように設定される。なお、上記雑音電荷蓄積期間中に設定されるX線照射期間(ΔT2)において信号電荷が同じ変換素子51の電荷蓄積コンデンサ53に蓄積される。
【0050】
従って、寝台17の移動速度の変動に伴って変化する期間は、リセット終了時刻T11+ΔT1からX線照射開始時刻T12までの期間(X線照射開始可能期間)となる。即ち、雑音電荷蓄積期間(T31)は寝台17の移動速度に依存しないため、全ての撮影位置(X1乃至XN)において得られるマスク画像データ及びコントラスト画像データに含まれる雑音電荷の大きさはほぼ同じとなり、更に、この値はX線照射しないで得られる暗時画像データとして予め測定することが可能である。このため、マスク画像データあるいはコントラスト画像データから暗時画像データをサブトラクションすることによって雑音電荷の影響が除かれた補正マスク画像データ及び補正コントラスト画像データを得ることができる。
【0051】
(X線画像の撮影手順)
次に、図1乃至図8を用いて本実施の形態におけるX線診断装置100の撮影手順について説明する。但し、図3は本実施の形態における撮影手順のフローチャートを示す。
【0052】
撮影に先立って、X線装置の操作者は操作部9においてボーラスDSA撮影モードを選択し、種々の撮影条件を設定する(図3のステップS1)。この設定信号を受信したシステム制御部10は、内部の記憶回路に予め保存されている暗時画像データを画像演算・記憶部7の画像データ記憶回路13に設けられた暗時画像データ記憶回路に送り保存する。
【0053】
更に、システム制御部10は機構制御部6に対して制御信号を送り、機構制御部6は機構部3の寝台移動機構42に対して駆動信号を供給して、初期位置(X0)に映像系が位置するように寝台17を移動する。
【0054】
次に、操作者は操作部9よりマスク画像の撮影開始コマンドを入力し、このコマンド信号が操作部9よりシステム制御部10に送られると、システム制御部10は機構制御部6に対して制御信号を送り、機構制御部6は機構部3の寝台移動機構42に駆動信号を供給して、最初の撮影位置(X1)に映像系が位置するように寝台17を任意の速度で移動する。
【0055】
一方、機構制御部6に設けられた位置検出器は機構部3の寝台移動機構42に備えられたエンコーダから送られてくる信号に基づいて寝台17の位置検出を継続的に行ない、その検出位置(X)が最初の撮影位置(X1)に対して
(X1−X)/Vmax=ΔT1 ・・・(1)
の関係が成立する時点(t=T11)で、システム制御部10は雑音電荷除去のためのトリガ信号をX線検出部2のゲートドライバ22に供給し、ゲートドライバ22は平面検出器21の各ゲート端子に対して、雑音電荷読み出しのための駆動パルスを供給する。なお、上記のVmaxは寝台17の最大移動速度である。
【0056】
平面検出器21は図7に示すようにライン方向にM個、列方向にN個、2次元配列された検出素子51から構成されている。この平面検出器21において、ライン方向に配列されたM個の検出素子51のそれぞれの駆動端子(即ち、図2に示すTFT54のゲート端子)は共通接続され、ゲートドライバ22の出力端子に接続される。例えば、ゲートドライバ22の出力端子22−1は検出素子51−11、51−21、51−31、・・・51−M1の各駆動端子に接続され、ゲートドライバ22の出力端子22−Nは検出素子51−1N、51−2N、51−3N、・・・51−MNの各駆動端子に接続される。
【0057】
一方、列方向に配列されたN個の検出素子51のそれぞれの出力端子(即ち、図2に示すTFT54のドレイン端子)は信号出力線59によって共通接続され、この信号出力線59は画像データ生成部11の電荷・電圧変換器23の入力端子に接続される。例えば、検出素子51−11、51−12、51−13、・・・51−1Nの出力端子は信号出力線59−1によって共通接続され、この信号出力線59−1は電荷・電圧変換器23−1に接続される。同様にして、検出素子51−M1、51−M2、51−M3、・・・51−MNの出力端子は信号出力線59−Mによって共通接続され、この信号出力線59−Mは電荷・電圧変換器23−Mに接続される。
【0058】
t=T11において、システム制御部10からリセット動作のトリガ信号がゲートドライバ22に供給されたならば、ゲートドライバ22は周期τ1のクロックパルスによって駆動され、その出力端子22−1乃至22−Nにおいて図8に示すような幅τ1の駆動パルスが順次出力される。
【0059】
即ち、ゲートドライバ22の出力端子22−1はT11乃至T11+τ1においてON電圧になり、第1ラインの検出素子51−11、51−21,・・・,51−M1を駆動する。そして、これらの検出素子51の電荷蓄積コンデンサ53に蓄積されているリーク電流起因の雑音電荷をTFT54のドレイン−ソースを介して信号出力線59−1乃至59−Mに排出する。
【0060】
次に、T11+τ1乃至T11+2τ1においてゲートドライバ22は、その出力端子22−2のみをON電圧にして第2ラインの検出素子51−12、51−22、51−32,・・・,51−M2に蓄積された雑音電荷を信号出力線59−1乃至59−Mに排出する。
【0061】
以下同様にして、ゲートドライバ22の出力端子22−3乃至22−Nが順次ON電圧になると、第3ライン乃至第Nラインに配置された検出素子51は内部に蓄積していた雑音電荷を順次信号出力線59−1乃至59−Mに排出する。そして、信号出力線59に排出された各検出素子51の雑音電荷は接地線を介して装置外へ放出される。
【0062】
一方、機構部3の寝台移動機構42に設けられているエンコーダの出力は機構制御部6に送られ、内部の位置検出器によって寝台17の位置(X)が検出される。この位置検出器による検出位置はシステム制御部10に供給され、システム制御部10は、位置検出器の前記検出位置(X)と予め設定された最初の撮影位置(X1)とを比較し、両者が一致した時点(t=T12)で、高電圧発生部4にX線発生のための制御信号を送る。
【0063】
システム制御部10からの前記制御信号に基づいて、高電圧発生部4は、X線発生部1にX線照射のための高電圧を供給し、X線発生部1はT12乃至T12+ΔT2の期間において被検体45に対してX線を照射する。一方、X線検出部2の平面検出器21は被検体45を透過したX線を受信して、そのX線照射強度に比例した信号電荷を検出素子51の電荷蓄積コンデンサ53に蓄積する。
【0064】
システム制御部10は、t=T11+ΔT1にリセット動作が終了してからΔT31後のT13において、ゲートドライバ22に対してマスク画像データ収集のためのトリガ信号を供給し、このトリガ信号によってゲートドライバ22は周期τ2のクロックパルスによって駆動され、その出力端子22−1乃至22−Nにおいて図8に示すような幅τ2の駆動パルスを順次出力する。
【0065】
即ち、ゲートドライバ22の出力端子22−1はT13乃至T13+τ2においてON電圧になり、第1ラインの検出素子51−11、51−21,・・・,51−M1を駆動する。そして、これらの検出素子51の電荷蓄積コンデンサ53に蓄積されていた信号電荷をTFT54のドレイン−ソースを介して信号出力線59−1乃至59−Mに出力する。
【0066】
信号出力線59−1乃至59−Mに出力された信号電荷は、電荷・電圧変換器23−1乃至23−Mにおいて電荷から電圧に変換され、更に、A/D変換器24−1乃至24−Mにおいてデジタル信号に変換される。システム制御部10は、A/D変換器24−1乃至24−Mの出力をパラレル・シリアル変換器25のメモリ25−1乃至25−Mにパラレル入力して一旦保存した後、シリアルに読み出して第1ラインのマスク画像データとして画像演算・記憶部7の画像データ記憶回路13に備えられたマスク画像データ記憶回路に保存する。
【0067】
次に、T13+τ2乃至T13+2τ2においてゲートドライバ22は、その出力端子22−2のみをON電圧にして第2ラインの検出素子51−12、51−22、51−32,・・・,51−M2に蓄積された信号電荷を信号出力線59−1乃至59−Mに出力する。
【0068】
信号出力線59−1乃至59−Mに出力された第2ラインの信号電荷は、第1ラインの信号電荷の場合と同様にして、電荷・電圧変換器23−1乃至23−M、A/D変換器24−1乃至24−M、パラレル・シリアル変換器25によって画像データに生成され、第2ラインのマスク画像データとして画像データ記憶回路13のマスク画像データ記憶回路に保存される。
【0069】
以下同様にして、ゲートドライバ22の出力端子22−3乃至22−Nが順次ON電圧になると、第3ライン乃至第Nラインに配置された検出素子51は内部に蓄積していた信号電荷を順次信号出力線59−1乃至59−Mに出力し、この信号電荷は、電荷・電圧変換器23−1乃至23−M、A/D変換器24−1乃至24−M、パラレル・シリアル変換器25によって画像データに生成され、第3ライン乃至第Nラインのマスク画像データとして画像データ記憶回路13のマスク画像データ記憶回路に保存される(図3のステップS2)。
【0070】
以上述べた手順によって画像データ記憶回路13にX=X1におけるマスク画像データが保存されたならば、画像演算回路12はシステム制御部10の制御のもとに、前記マスク画像データと、既に保存されている暗時画像データを読み出してサブトラクションすることによって雑音電荷の影響を相殺する。そしてサブトラクション後の補正マスク画像データを前記マスク画像データ記憶回路に一旦保存する(図3のステップS3)。
【0071】
次いで、システム制御部10は、必要に応じて前記マスク画像データ記憶回路の補正マスク画像データを読み出し、表示部8の表示用画像メモリ31に一旦保存した後、更に、D/A変換器32と表示回路33によってD/A変換とTVフォーマットへの変換を行なった後モニタ34にて表示する。
【0072】
このようにして、X=X1におけるマスク画像データの生成と表示が行われている間に、前記映像系の位置と第2の撮影位置(X2)が一致するように寝台17の移動が機構部3の寝台移動機構42によって継続的に行われ、この寝台移動機構42に設けられたエンコーダの出力信号に基づいて検出される位置(X)が
(X2−X)/Vmax=ΔT1 ・・・(2)
になった時点(t=T21)で、再度、システム制御部10はリセット動作のためのトリガパルスをゲートドライバ22に対して供給する。
【0073】
以下、図5に示したように、T21乃至T21+ΔT1で雑音電荷の排出が行われて、T13+ΔT3以降に平面検出器21において蓄積された雑音電荷は信号出力線9を介して除去される。更に、T22乃至T22+ΔT2でX線照射、T23乃至T23+ΔT3で信号電荷の読み出しと画像データの保存が行われる。そして、画像データ記憶回路13に一旦保存されたX=X2のマスク画像データは、画像演算回路12において暗時画像データとのサブトラクションが行われた後、補正マスク画像データとして画像記憶回路13のマスク画像データ記憶回路に保存され、更に、表示部8のモニタ34に表示される。
【0074】
以下同様の手順によってX=X3乃至XNにおいても補正マスク画像データが生成され、画像データ記憶回路13のマスク画像記憶回路に保存される。
【0075】
(コントラスト画像データの収集)
X1乃至XNの撮影位置においてN枚のマスク画像データの収集が終了したならば、システム制御部10は映像系が被検体45の初期位置(X=X0)に再び設置されるように機構制御部6を介して機構部3の寝台移動機構42を制御し、寝台17を移動する。次いで、被検体45の鼠ケイ部大動脈に造影剤を注入した後(図3のステップS4)、操作者は操作部9よりコントラスト画像の撮影開始コマンドを入力し、このコマンド信号が操作部9よりシステム制御部10に送られると、システム制御部10は機構制御部6に対して制御信号を送り、機構制御部6は機構部3の寝台移動機構42に駆動信号を供給して、最初の撮影位置(X1)に映像系が位置するように寝台17を任意の速度で移動する。
【0076】
以下、マスク画像データの場合と同様な収集手順によって、撮影位置X1乃至XNにおいて得られたコントラスト画像データは画像演算・記憶部7の画像データ記憶回路13に設けられたコントラスト画像データ記憶回路に一旦保存された後(図3のステップS5)、画像演算回路12にて暗時画像データとのサブトラクションが行われる(図3のステップS6)。その結果得られた補正コントラスト画像データは前記コントラスト画像データ記憶回路に保存されるとともに、必要に応じて表示部8のモニタ34において表示される。
【0077】
なお、体内の血管内を流れる血流の速さは血管径や狭窄の有無に依存し一様ではないため、造影剤の流速に合わせて寝台17の移動速度を制御する必要があるが、機構制御回路6より寝台移動機構42に供給される駆動信号の周波数を操作者が操作卓9において切り替えることで制御可能となる。
【0078】
(サブトラクション画像データの生成)
以上のようにして、撮影位置X1乃至XNにおけるコントラスト画像データの収集が完了したならば、システム制御部10は、画像演算回路12に制御信号を供給し、画像演算回路12は画像演算・記憶部7の画像データ記憶回路13に記憶されているN枚の補正マスク画像データと補正コントラスト画像データを読み出し、サブトラクションを行なう(図3のステップS7)。更に得られたサブトラクション画像データを前記画像データ記憶回路13に設けられたサブトラクション画像データ記憶回路に保存するとともに、操作者の指示によって所望のサブトラクション画像データは表示部8のモニタ34において表示される(図3のステップS8)。
【0079】
以上述べた本実施の形態によれば、非同期撮影のボーラスDSAにおいても、X線照射前の好適なタイミングにおいてリセット動作を行なうことが可能となるため雑音電荷を大幅に低減することが可能となる。更に、各撮影位置のマスク画像及びコントラスト画像を撮影する際の雑音電荷蓄積時間を一定に設定することが出来るため、マスク画像データ及びコントラスト画像データと暗時画像データとのサブトラクションによって前記雑音電荷の影響は更に低減し、良質なX線画像を得ることが可能となる。
【0080】
(第1の変形例)
次に、本実施の形態における第1の変形例につき図9乃至図11を用いて説明する。上述の実施の形態では、リセット動作の終了時(T11+ΔT1)を基準に設定されるX線照射開始可能期間(ΔT21)においてX線照射が開始される場合について述べてきた。
【0081】
このX線照射開始可能期間とは、図9に示すようにΔT2期間を要するX線照射が信号電荷の読み出し開始時刻(T13)までに終了可能となるX線照射開始時刻の範囲を示しており、寝台17の移動速度が式(1)あるいは式(2)で示した寝台17の最大移動速度(Vmax)の場合のX線照射開始時刻はリセット動作終了時(T11+ΔT1)と一致し、一方、許容される最小移動速度(Vmin)の場合のX線照射終了時刻は信号電荷読み出し開始時刻(T13)と一致するように設定されている。
【0082】
しかしながら、被検体45の造影剤の流速に従う寝台17の移動速度が前記最小移動速度より更に遅いために、寝台17の位置信号(X)と予め設定された位置情報(Xn)との一致が前記X線照射開始可能期間内に得られない場合には、前記X線照射開始可能期間内においてX線照射を開始することが不可能となる。図10はこのような場合における実施の形態を示したものであり、所定の期間(X線照射開始可能期間)においてX線照射が開始されない場合は再度リセット動作を実施する。
【0083】
即ち、システム制御部10は、最初のリセットトリガ信号をゲートドライバ22に送り、第1の実施の形態と同様な手順によって平面検出器21における最初の雑音電荷の排出を行ない、更に、寝台17の位置信号(X)と予め設定された位置情報(Xn)との一致が前記X線照射開始可能期間内に得られない場合には、第2のリセットトリガ信号を前記ゲートドライバ22に供給し、再度、平面検出器21における雑音電荷の排出を行なう。そして、この第2のリセット動作の終了時刻から前記X線照射開始可能期間の間に寝台17の位置(X)と設定位置(Xn)との一致が得られた場合はX線照射を実施し、一致が得られない場合はリセット動作を繰り返す。
【0084】
一方、図11に示すように第2回目以降のリセット期間中において、寝台17の位置(X)と設定位置(Xn)との一致が得られた場合、システム制御部10はこのリセット動作が完了した後に高電圧発生部4にX線照射のための制御信号を供給し、X線発生部1によって被検体45に対するX線照射を行なう。この場合、寝台17の位置(X)と設定位置(Xn)が一致してからX照射までに遅延が発生するため、実際の撮影位置と前記設定位置との間にはズレが発生する。しかしながら、上記現象が発生する場合の寝台17の移動速度は極めて遅いために、この位置ズレは大きな問題とはならない。
【0085】
以下に、本実施の形態を具体的な数値を用いて補足説明する。平面検出器21のライン数が1000本、ゲートドライバ22のクロックパルス周期が10μsecの場合、リセット期間(ΔT1)は10msecとなる。一方、雑音電荷蓄積期間(ΔT31)が100msec、X線照射期間(ΔT2)が10msecの場合、X線爆射開始可能期間(ΔT21)は90msecとなる。また、寝台移動速度範囲は一般に4cm/sec乃至12cm/secに設定される。
【0086】
従って、従来の装置のように、所定の撮影位置に映像系が到達してからリセット動作を開始した場合、最大1.20mm(リセット期間10msec×最大移動速度12cm/sec)だけズレが発生する。このような問題点に対して本実施の形態では、映像系が前記撮影位置の1.20mm手前でリセット動作を開始し、更に、寝台17は移動速度が1.2cm/sec乃至12cm/secの範囲で移動することによってX線照射開始可能期間内で前記撮影位置にX線照射することが可能となる。
【0087】
但し、寝台17が停止直前の場合は、移動速度は1.2cm/sec以下となり、X線爆射開始可能期間中に、所定の撮影位置に到達しない場合がある。このような場合、再びリセット動作を繰り返し、リセット終了後に、映像系が前記撮影位置に到達した場合は上述の場合と同様に正確な位置でのX線照射が可能となる。これに対して、映像系がリセット期間中に前記撮影位置に達した場合には、既に述べたようにリセット動作が終了するまでX線照射を待つ必要があり、実際のX線照射位置と予め設定された撮影位置はズレが発生する。この場合の最大位置ズレが発生するのは2番目のリセット動作が開始された直後に映像系が設定された撮影位置に到達した場合であり、到達時の映像系の平均移動速度は1.2cm/secゆえ、最大ズレの大きさは1.2cm/sec×10msec=120μmとなり、許容できる範囲に抑えることが可能である。
【0088】
以上のべた第1の変形例によれば、非同期撮影のボーラスDSAにおいて寝台17の移動速度を遅くしなければならないような場合であっても、X線照射前の好適なタイミングにおいてリセット動作を行なうことが可能となるため雑音電荷を低減することが可能となる。更に、マスク画像データ及びコントラスト画像データと暗時画像データとのサブトラクションによって前記雑音電荷の影響は大幅に低減できる。
【0089】
(第2の変形例)
次に、本発明の第2の変形例を図12及び図13を用いて説明する。図12は血流速度が極めて遅いために鼠ケイ部方向に映像系の位置を戻す場合の移動方法を示し、図13はそのときのX線照射期間とリセット期間及び信号電荷読み出し期間を示す。なお、マスク画像の撮影手順は第1の実施の形態と同様であるため説明を省略する。
【0090】
図12において、映像系はX1から足部末端部XNに向け移動しながら第1の実施の形態で述べた手順と同様な手順によりコントラスト画像データの収集を行なう。ただし映像系はその末端部(XN)に向かう途中のXoで一旦停止した後、マスク画像撮影方向とは逆の方向に移動させ、この移動は造影剤のフロントエッジが観測可能になるXcに到達するまで行なわれる。更に、映像系はXcで一旦停止した後、再度足部末端部の方向に造影剤速度とほぼ同程度の速度で移動するように寝台17を移動する。図13は、例えば前記Xoが予め設定された撮影位置XaとXbの間にある場合に、本発明を適用する場合のX線照射期間とリセット期間及び信号電荷読み出し期間の関係を示す。
【0091】
操作者が操作部9から入力する指示信号に従って、システム制御部10は機構制御部6に停止の制御信号を与え、機構制御部6は機構部3の寝台移動機構42に対して寝台移動の駆動信号の供給を停止する。このときゲートドライバ22に対するリセット動作のトリガ信号の供給も停止される。
【0092】
更に、操作者によって寝台17を逆方向に移動させる指示信号が操作部9から入力された場合、システム制御部10は機構制御部6に制御信号を与え、機構制御部6は機構部3の寝台移動機構42に対して寝台17を逆方向に移動させるための駆動信号を供給する。
【0093】
この駆動信号によって、寝台17は再度予め設定された撮影位置(Xa)に向け移動を開始し、機構制御部6に設けられた位置検出器は寝台移動機構42のエンコーダから送られてくる信号に基づいて寝台17の位置を継続的に検出する。そして、その検出位置(X)が前記撮影位置(Xa)に対して
(X−Xa)/Vmax=ΔT1 ・・・(3)
の関係が成立する時点(t=Ta1’)で、システム制御部10は雑音電荷除去のためのトリガパルスをX線検出部2のゲートドライバ22に供給し、ゲートドライバ22は平面検出器21の各ゲート端子に雑音電荷読み出しのための駆動パルスを供給する。
【0094】
このようにして、t=Ta1’において雑音電荷除去用のリセット動作が、また、t=Ta2’及びTa3’において夫々X線照射と信号電荷の読み出しが行われ、コントラスト画像データが収集される。
【0095】
血流速度が遅い場合、寝台17の移動を一旦停止し、造影剤が到達するまで待機する場合には、寝台停止中のリセット動作は既に述べた手順により停止させることが望ましい。
【0096】
以上のべた第2の変形例によれば、非同期撮影のボーラスDSAにおいて寝台17の移動速度を反転するような場合であっても、X線照射前の好適なタイミングにおいてリセット動作を行なうことが可能となるため雑音電荷を低減することが可能となる。更に、マスク画像データ及びコントラスト画像データと暗時画像データとのサブトラクションによって前記雑音電荷の影響は大幅に低減できる。
【0097】
以上、本発明の実施の形態について述べてきたが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものでは無く、変形して実施することが可能である。例えば、本発明の実施の形態ではボーラスDSAを例に述べてきたが、被検体45に対して保持アーム5を回転して行なう回転DSAにおいても本発明は有効である。
【0098】
更に、本実施の形態によれば、上記暗時画像データとのサブトラクションを行わなくとも、マスク画像データとコントラスト画像データのサブトラクションによって雑音電荷の影響を排除したDSA画像を得ることができる。
【0099】
一方、本実施の形態のボーラスDSAにおいては、寝台17を移動させることによって映像系を所定の撮影部位に一致させる方法について述べたが、この映像系を固定している保持アーム5を移動させてもよい。
【0100】
更に、本実施の形態ではシステム制御部10に暗時画像データが予め保存されている場合について述べたが、これに限定されるものではなく、例えば画像演算・記憶部7の記憶回路に保存してもよく、またこの暗時画像データはDSA撮影前にその都度収集してもよい。
【0101】
尚、本実施の形態の平面検出器21は光を介さずにX線を直接電荷信号に変換する直接変換方式について述べたが、CSIなどのシンチレータとフォトダイオードを組み合わせた間接変換方式など他の方式であってもよい。
【0102】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば平面検出器を用いた非同期撮影方式のX線撮影において、暗電流の影響を排除することができるため、良質な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるX線診断装置全体の概略構成を示す図。
【図2】平面検出器の構成を示す図。
【図3】本発明の実施の形態における画像データ生成手順を示すフローチャート。
【図4】同実施の形態におけるマスク画像データ、及びコントラスト画像データの撮影位置と撮影順序を示す図。
【図5】同実施の形態における雑音電荷排除のためのリセット期間及び信号電荷の読み出し期間を示す図。
【図6】同実施の形態におけるX線照射期間と雑音電荷蓄積期間との関係を示す図。
【図7】同実施の形態における平面検出器とその周辺回路を示す図。
【図8】同実施の形態におけるゲートドライバのタイムチャートを示す図。
【図9】同実施の形態の変形例におけるX線照射開始可能期間について示した図。
【図10】同実施の形態の第1の変形例を示す図。
【図11】同実施の形態の第1の変形例を示す図。
【図12】同実施の形態の第2の変形例を示す図。
【図13】同実施の形態の第2の変形例を示す図。
【図14】従来のX線診断装置における画像データ収集方法を示す図。
【符号の説明】
1…X線発生部
2…X線検出部
3…機構部
4…高電圧発生部
5…保持アーム
6…機構制御部
7…画像演算・記憶部
8…表示部
9…操作部
10…システム制御部
11…画像データ生成部
12…画像演算回路
13…画像データ記憶回路
15…X線管
16…X線絞り器
17…寝台
21…平面検出器
22…ゲートドライバ
23…電荷・電圧変換器
24…A/D変換器
25…パラレル・シリアル変換器
31…表示用画像メモリ
32…D/A変換器
33…表示回路
34…モニタ
41…保持アーム移動機構
42…寝台移動機構
45…被検体
【発明の属する技術分野】
本発明はX線診断装置に係り、特に2次元的に配列された複数の検出素子を有したX線診断装置およびX線撮影方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
X線診断装置やMRI装置あるいはX線CT装置などを用いた医用画像診断技術は、1970年代のコンピュータ技術の発展に伴い急速な進歩を遂げ、今日の医療において必要不可欠なものとなっている。
【0003】
X線診断装置に用いられる検出素子として、従来はX線フィルムやI.I.(イメージ・インテンシファイア)が使用されてきた。I.I.を用いたX線撮影方法ではX線管から発生したX線によって被検体を照射し、このとき被検体を透過して得られるX線の画像情報は、I.I.において光学画像に変換され、更にこの光学画像はX線TVカメラによって撮影され電気信号に変換される。そして、電気信号に変換されたX線画像情報はA/D変換後、モニタに表示される。このため、I.I.を用いた撮影方法は、フィルム方式では出来なかったリアルタイム撮影を可能とし、またデジタル信号で画像データの収集ができるため、種々の画像処理を可能とした。
【0004】
I.I.を用いた循環器用X線診断装置ではデジタルサブトラクションアンギオグラフィ(DSA)に代表されるデジタルフルオログラフィ機能を有し、X線の透過画像情報はデジタル信号に変換されるため種々の画像処理が容易となる。例えば、血管内の狭窄部位の診断を行なう場合、血管内に造影剤を注入する前後で診断部位を撮影し、得られた2枚の画像間の引き算(サブトラクション)を行なうことによって造影剤が注入されている血管のみを高いコントラスト分解能で表示することができる。
【0005】
被検体に対してX線発生器及びX線検出器を固定し、同一の診断部位でサブトラクション画像を連続して撮影する通常のDSA撮影に対して、X線発生器及びX線検出器を被検体に対して相対的に移動しながらサブトラクション画像を撮影するボーラスDSA撮影や回転DSA撮影も広く用いられている。
【0006】
このボーラスDSAや回転DSAでは、撮影しようとする複数の診断部位において造影剤注入前の第1のX線画像(以下マスク画像とよぶ)を予め撮影した後、造影剤を注入し、前記複数の診断部位にこの造影剤が到達した時点で第2のX線画像(以下コントラスト画像とよぶ)を撮影する。そして、前記マスク画像と前記コントラスト画像の間でサブトラクション画像を得ている。
【0007】
ボーラスDSAや回転DSAのコントラスト画像の撮影においては、体内の血管内を流れる血流の速さは血管径や狭窄の有無に依存し一様ではない。従って、造影剤の流れる速度も一様にはならないため、X線発生器及びX線検出器を造影剤の流速に合わせて不定速度で相対移動させる、所謂、非同期撮影方法が一般にとられている。
【0008】
図14にI.I.を用いた従来のX線診断装置によるボーラスDSA撮影のタイムチャートを示す。例えば、被検体200の脚部における撮影位置(X1乃至X3)に対して、X線発生器201及びX線検出器202を不定速度で移動させながらコントラスト画像を撮影する場合、従来のX線診断装置では撮影開始の指示信号を受けたならば、即座に撮影可能な状態に設定することが可能であった。このため、X線発生器201及びX線検出器202が被検体200の所定の撮影位置に到達した時点で、システム制御部より撮影開始の指示信号を受けることによって、ほぼ所定の撮影位置において撮影を行なうことが可能であった(例えば、特許文献1参照。)。
【0009】
このI.I.に替わるものとして、近年2次元配列のX線平面検出器(以下平面検出器)が大きな注目を集め、その一部は既に実用化の段階に入っている。従来のI.I.を用いた装置では上記のようにX線情報を一旦光学画像に変換し、更に電気信号に変換する方式をとっている。これに対して平面検出器を用いた装置では、X線画像情報を直接電気信号に変換できるため、画質性能や安定性の面での大幅向上が期待されている。
【0010】
平面検出器は、X線照射によって、その照射量に比例した電荷(以下信号電荷)が2次元に配列された検出素子の夫々に蓄積され、この蓄積された電荷はスイッチング機能を有するTFT(薄膜トランジスタ)を介して順次信号出力線に読み出される構成になっている。
【0011】
更に信号出力線に出力された電荷は電荷・電圧変換器を介してA/D変換器にてデジタル信号に変換され、X線画像情報として画像記憶回路に保存された後、表示部にて表示される。なおA/D変換されたX線画像信号は種々の画像処理や複数画像間のサブトラクション処理なども容易に行なうことが可能となる。
【0012】
一方、平面検出器を用いたX線撮影において、平面検出器にはX線照射時の透過X線入射量に対応した信号電荷の他に、リーク電流(暗電流)起因の雑音電荷が絶えず蓄積される。このため、X線撮影を行なう直前に前記雑音電荷を排除するためのリセット動作を行なうことによって画質劣化を防いでいた(例えば、特許文献2参照。)。
【0013】
【特許文献1】
特開平9−276259号公報(第3−4頁、第2図)
【0014】
【特許文献2】
特開平9−131337号公報(第6頁、第5図)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
平面検出器を用いて、ボーラスDSA撮影を行なう場合にはX線照射直前に雑音電荷を取り除くためのリセット動作が要求される。このようなリセット動作を同期撮影方式において行なう場合には、X線照射のタイミングが予め定められているため、このX線照射タイミングに対してリセット動作に要する時間(リセット時間)だけ先行してリセット動作を開始することによって暗電流の影響を受けずにX線撮影を行なうことが可能となるが、非同期撮影方式においては、X線照射のタイミングを予め正確に知ることができず、従ってリセット動作開始のタイミングを設定することが困難であった。
【0016】
一方、撮影部位にX線発生器及びX線検出器が到達した時点でリセット動作を行なった場合には、リセット動作期間だけX線撮影のタイミングが遅れる。このため予め設定された撮影位置に対して異なる位置のX線撮影が行われ、またマスク画像とコントラスト画像の撮影位置にズレが発生するため、正確なサブトラクション画像が得られないという問題点があった。
【0017】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、平面検出器を用いた非同期撮影方式のX線撮影において、暗電流の影響を排除することによって高画質を得ることができるX線診断装置及びX線撮影方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る本発明のX線診断装置では、被検体の複数の撮影位置に対してX線を順次照射するX線発生手段と、このX線発生手段によって照射されるX線を検出し、電荷に変換して蓄積するための複数個の検出素子を有したX線検出手段と、このX線検出手段によって蓄積された前記電荷を読み出す電荷読み出し手段と、この電荷読み出し手段によって読み出される前記電荷に基づいて前記複数の撮影位置における画像データを生成する画像データ生成手段と、前記X線発生手段及び前記X線検出手段を被検体の前記撮影位置に向けて相対的に移動させる移動手段と、この移動手段によって移動する前記X線発生手段及び前記X線検出手段の位置を検出し、更に、この検出位置と前記撮影位置との距離を検出する距離検出手段と、この距離検出手段によって得られた距離が予め設定されたリセット開始距離に達したとき、前記X線検出手段の検出素子に蓄積されている電荷の排除を行なうためのリセット動作を行なうリセット手段とを備えたことを特徴としている。
【0019】
また、請求項3に係る本発明のX線診断装置では、造影剤注入前、及び注入後の被検体の予め設定された複数の撮影位置に対してX線を順次照射するX線発生手段と、このX線発生手段によって照射されるX線を検出し、電荷に変換して蓄積するための複数個の検出素子を有したX線検出手段と、このX線検出手段によって蓄積された電荷を読み出す電荷読み出し手段と、この電荷読み出し手段によって読み出される電荷に基づいて前記複数の撮影位置におけるマスク画像データ及びコントラスト画像データを生成する画像データ生成手段と、前記X線発生手段及び前記X線検出手段を被検体の前記撮影位置に向けて相対的に移動する移動手段と、この移動手段によって移動する前記X線発生手段及び前記X線検出手段の位置を検出し、更に、この検出位置と前記撮影位置との距離を検出する距離検出手段と、この距離計測手段によって得られた距離が予め設定されたリセット開始距離に達したとき、前記X線検出手段の検出素子に蓄積されている電荷の排除を行なうためのリセット動作を行なうリセット手段とを備えたことを特徴としている。
【0020】
更に、請求項15に係る本発明のX線撮影方法では、X線発生手段及び平面検出器を備えたX線検出手段を被検体に対して不定速度で相対移動してX線画像データを収集するX線撮影方法であって、前記X線発生手段及びX線検出手段を予め設定された撮影位置に向け相対移動するステップと、前記X線発生手段及びX線検出手段の位置と前記撮影位置との距離が予め設定されたリセット開始距離に達したとき、前記X線検出手段の検出素子に蓄積されている電荷を排除するためのリセット動作を行なうステップと、前記X線発生手段及びX線検出手段の位置と前記撮影位置が一致したとき、前記X線発生手段によって被検体に対しX線を照射するステップと、前記リセット動作が完了してから予め設定された期間後において、前記X線照射によって前記X線検出器の検出素子に蓄積された電荷を読み出すステップと、この読み出された電荷に基づいて画像データを生成するステップとを有することを特徴としている。
【0021】
したがって本発明によれば、平面検出器を用いた非同期撮影方式のX線撮影において、暗電流の影響を排除することができるため、良質なDSA画像が得られる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態の特徴は、非同期撮影方式によるX線撮影において、X線照射開始のタイミングから所定時間遡った時点において雑音電荷排除のためのリセット動作を開始することにある。
【0023】
本発明の実施の形態におけるX線診断装置の構成につき図1及び図2を用いて説明する。但し、図1はX線診断装置全体の概略構成を示すブロック図であり、図2はこのX線診断装置に用いられる平面検出器の構成を示す図である。
【0024】
X線診断装置100は、X線を被検体45に対して照射するX線発生部1と、被検体45を透過したX線を2次元的に検出するX線検出部2と、前記X線発生部1とX線検出部2を例えばCアームによって保持する保持アーム5と、前記被検体45を載せる寝台(天板)17とを備えている。
【0025】
また、X線診断装置100は、前記保持アーム5や寝台17の移動を行なう機構部3と、機構部3の各機構を制御する機構制御部6と、前記X線検出部2によってライン単位で検出されるX線画像データを1枚の画像データとして保存するとともに、画像間のサブトラクション演算を行なう画像演算・記憶部7を備えている。
【0026】
更に、X線診断装置100は、前記画像演算・記憶部7に保存されているX線画像データを表示する表示部8と、X線発生部1におけるX線放射に必要な高電圧を発生する高電圧発生部4と、上記各ユニットを制御するシステム制御部10と、装置操作者がこのX線診断装置100に対して種々の指示を与えるための操作部9を備えている。
【0027】
X線発生部1は、被検体45に対しX線を放射するX線管15と、このX線管15から放射されたX線をコリメートするX線絞り器16を備えている。X線管15はX線を発生する真空管であり、陰極(フィラメント)より放出された電子を高電圧によって加速させてタングステン陽極に衝突させX線を発生させる。一方、X線絞り器16は、X線管15と被検体45の間に位置し、拡大撮影の場合には、X線管15から放射されたX線ビームを拡大撮影領域のサイズに絞り込む機能を有している。
【0028】
X線検出部2は、被検体45を透過したX線を電荷に変換して蓄積する平面検出器21と、この平面検出器21に蓄積された電荷をX線画像信号として読み出すためのゲートドライバ22と、読み出された電荷を画像データに変換する画像データ生成部11とを備えている。
【0029】
平面検出器21は、図2に示すように微小な検出素子51を列方向及びライン方向に2次元的に配列して構成されており、各々の検出素子51はX線を感知し、入射X線量に応じて電荷を生成する光電膜52と、この光電膜52に発生した電荷を蓄積する電荷蓄積コンデンサ53と、この電荷蓄積コンデンサ53に蓄積された電荷を所定のタイミングで読み出すTFT(薄膜トランジスタ)54を備えている。以下では説明を簡単にするために、例えば、検出素子51が列方向(図2の上下方向)、及びライン方向(図2の左右方向)に2素子づつ配列されている場合の平面検出器21の構成について説明する。
【0030】
図2の光電膜52−11、52−12、52−21、52−22の第1の端子と、電荷蓄積コンデンサ53−11、53−12、53−21、53−22の第1の端子は接続され、更に、その接続点はTFT54−11、54−12、54−21、54−22のソース端子へ接続される。一方、光電膜52−11、52−12、52−21、52−22の第2の端子は、図示しないバイアス電源に接続され、電荷蓄積コンデンサ53−11、53−12、53−21、53−22の第2の端子は接地される。更に、ライン方向のTFT54−11及びTFT54−21のゲートはゲートドライバ22の出力端子22−1に接続され、また、TFT54−12、及びTFT54−22のゲートはゲートドライバ22の出力端子22−2に接続される。
【0031】
一方、列方向のTFT54−11、及び54−12のドレイン端子は信号出力線59−1に共通接続され、また、TFT54−21及び54−22のドレイン端子は信号出力線59−2にそれぞれ共通接続される。そして、信号出力線59−1、59−2は画像データ生成部11に接続されている。
【0032】
図1のゲートドライバ22は、X線照射によって検出素子51の光電膜52で発生し電荷蓄積コンデンサ53にて蓄積される信号電荷と、リーク電流に起因する雑音電荷を読み出すために、TFT54のゲート端子に読み出し用の駆動パルスを供給する。
【0033】
画像データ生成部11は、平面検出器21から読み出された電荷を電圧に変換する電荷・電圧変換器23と、この電荷・電圧変換器23の出力をデジタル信号に変換するA/D変換器24と、平面検出器21からライン単位でパラレルに読み出される画像信号をシリアルな信号に変換するパラレル・シリアル変換器25とを備えている。
【0034】
機構部3は、X線発生部1及びX線検出部2を被検体45の体軸方向に対して相対的に移動させて撮影断面を設定するために寝台17の移動を行なう寝台移動機構42と、X線発生部1及びX線検出部2を被検体45の周囲で回転させて撮影断面を設定するために保持アーム5の移動を行なう保持アーム移動機構41を備えている。なお、本実施の形態では寝台移動機構42によって被検体45を載せた寝台17を移動させて撮影位置の設定を行ない、この移動量は内部に設けられたエンコーダによって出力される。
【0035】
機構制御部6は、システム制御部10からの制御信号によって機構部3の保持アーム移動機構41及び寝台移動機構42を制御する。また機構部3に設けられたエンコーダ出力信号を受け、寝台17の位置検出(即ち被検体45とX線発生部1及びX線検出部2との相対位置の検出)を行なう位置検出器を備えている。
【0036】
画像演算・記憶部7は、画像データ生成部11からシリアルに送られてくる所定部位のマスク画像データを保存するマスク画像データ記憶回路、コントラスト画像データを保存するコントラスト画像データ記憶回路、X線を照射しない場合に得られる画像データ(以下では暗時画像データと呼ぶ)を保存する暗時画像データ記憶回路、更にはサブトラクション後の画像データを保存するサブトラクション画像データ記憶回路などから構成される画像データ記憶回路13と、この画像データ記憶回路13にて保存された所定部位のマスク画像データやコントラスト画像データと暗時画像データとのサブトラクション、更には、上記暗時画像データとのサブトラクション後のマスク画像データ(補正マスク画像データ)とコントラスト画像データ(補正コントラスト画像データ)とのサブトラクションを行なう画像演算回路12を備えている。
【0037】
高電圧発生部4は、X線管15の陰極から発生する熱電子を加速するために、陽極と陰極の間に印加する高電圧を発生させる。通常は、インバータ方式により80KW乃至100KWの大出力容量を有している。
【0038】
操作部9はキーボード、各種スイッチ、マウス等を備えたインターラクティブなインターフェースであり、装置の操作者は操作部9において、撮影の各種条件や検査の開始、機構部3の移動制御などのコマンド信号を入力し、これらのコマンド信号はシステム制御部10を介して各ユニットに送られる。また、被検体45に注入した造影剤の移動速度に合わせて寝台17の移動速度や移動方向の指示を行なう機能を有している。
【0039】
表示部8は、画像演算・記憶部7において生成されたマスク画像、コントラスト画像、サブトラクション画像の中の所望の画像データと、この画像データの付帯情報である数字や各種文字などを合成して一旦保存する表示用画像メモリ31と、このX線画像データや付帯情報をアナログ信号に変換するD/A変換器32と、このアナログ信号をTVフォーマット変換して映像信号を生成する表示回路33と、前記映像信号を表示する液晶、あるいはCRTのモニタ34から構成される。
【0040】
システム制御部10は、CPUと記憶回路を備え、操作部9から送られてくる操作者の指示や撮影条件などの情報を一旦記憶した後、これらの情報に基づいてX線画像データの収集や表示の制御、あるいは移動機構に関する制御などシステム全体の制御を行なう。また、前記記憶回路にはボーラスDSAのためのN箇所の撮影位置情報(X1乃至XN)や、X線を照射しない状態で得られる装置固有の暗時画像データが予め保存されている。
【0041】
更に、システム制御回路10は、機構制御部6の位置検出器から送られてくる機構部3の検出位置に基づいてゲートドライバ22に対してリセットトリガ信号を供給し、また前記検出位置と予め設定されている撮影位置情報とが一致した場合には、高電圧発生部4に対してX線照射の制御信号を供給する。
【0042】
(撮影方法の概要)
X線診断装置100を用いて行なうボーラスDSAの主なる対象部位として足部大腿動脈がある。以下では、造影剤を鼠ケイ部の大腿動脈に注入し、この造影剤が足先の抹消血管まで流れる状態をサブトラクション画像として観察する場合を例に、本実施の形態におけるDSA撮影方法の概要につき図4乃至図6を用いて説明する。
【0043】
図4は被検体45の足部大腿動脈のサブトラクション画像を得る際のマスク画像データ、及びコントラスト画像データの撮影位置と撮影順序を示した図である。但し、図4におけるマスク画像撮影及びコントラスト画像撮影はいずれも鼠ケイ部から足部末端部の方向に順次行っているが、マスク画像撮影は足部末端部から鼠けい部の方向(XN→N1)で行ってもよい。
【0044】
ボーラスDSAは既に述べたように、まず被検体45に対してX線発生部1、及び平面検出器21(以下では前記X線発生部1と前記平面検出器21を纏めて映像系と呼ぶ)を相対的に移動し、予め設定された複数の撮影位置における造影剤注入前のマスク画像データを収集して保存する。
【0045】
次いで、被検体45に造影剤を注入し、前記複数の撮影位置に造影剤が到達した時点でコントラスト画像データの収集を行ない、更に、このコントラスト画像データと前記マスク画像データからサブトラクション画像データを得る。この場合、被検体45の血管内に注入された造影剤の流れ(特にフロントエッジ)を追跡するために、被検体45を搭載した寝台17を体軸方向に移動させながらマスク画像の撮影位置と同一の位置においてコントラスト画像の撮影を行なう。
【0046】
また、平面検出器21を用いたボーラスDSAでは、所定位置におけるマスク画像データ、あるいはコントラスト画像データを収集する際、雑音電荷を排除するためのリセット動作を行なう必要がある。図5は、例えば撮影位置X1乃至X3におけるX線照射期間(図5(a))と、雑音電荷排除のためのリセット期間及び信号電荷の読み出し期間(図5(b))を示したものであり、X線照射期間の周期は寝台17の不等速な移動のため一定ではないが、いずれの場合もリセット期間と信号読み出し期間の間に設定される。
【0047】
図6は図5に示した撮影位置X1におけるX線照射期間(ΔT2)とリセット期間(ΔT1)及び信号読み出し期間(ΔT3)を拡大して示したものであり、T11からT11+ΔT1の期間で平面検出器21において雑音電荷の排除が行われ、T12からT12+ΔT2の期間でX線発生部1によるX線照射が行われる。更に、T13からT13+ΔT3の期間で前記平面検出器21において信号電荷の読み出しと画像データの生成及び保存が行われる。
【0048】
但し、上記の各期間はT11+ΔT1<T12、T12+ΔT2<T13の関係にある。また、ΔT1及びΔT3は平面検出器21のライン数とゲートドライバ22のクロックパルスの周波数によって決定される期間であり、X線照射期間と同様に寝台17の移動速度に依存しない。
【0049】
一方、リセット終了時刻T11+ΔT1から読み出し開始時刻T13までは、変換素子51の電荷蓄積コンデンサ53に新たにリーク電流起因の雑音電荷が蓄積される雑音電荷蓄積期間(ΔT31)であり、この雑音電荷蓄積期間も寝台17の移動速度に関係なく常に一定になるように設定される。なお、上記雑音電荷蓄積期間中に設定されるX線照射期間(ΔT2)において信号電荷が同じ変換素子51の電荷蓄積コンデンサ53に蓄積される。
【0050】
従って、寝台17の移動速度の変動に伴って変化する期間は、リセット終了時刻T11+ΔT1からX線照射開始時刻T12までの期間(X線照射開始可能期間)となる。即ち、雑音電荷蓄積期間(T31)は寝台17の移動速度に依存しないため、全ての撮影位置(X1乃至XN)において得られるマスク画像データ及びコントラスト画像データに含まれる雑音電荷の大きさはほぼ同じとなり、更に、この値はX線照射しないで得られる暗時画像データとして予め測定することが可能である。このため、マスク画像データあるいはコントラスト画像データから暗時画像データをサブトラクションすることによって雑音電荷の影響が除かれた補正マスク画像データ及び補正コントラスト画像データを得ることができる。
【0051】
(X線画像の撮影手順)
次に、図1乃至図8を用いて本実施の形態におけるX線診断装置100の撮影手順について説明する。但し、図3は本実施の形態における撮影手順のフローチャートを示す。
【0052】
撮影に先立って、X線装置の操作者は操作部9においてボーラスDSA撮影モードを選択し、種々の撮影条件を設定する(図3のステップS1)。この設定信号を受信したシステム制御部10は、内部の記憶回路に予め保存されている暗時画像データを画像演算・記憶部7の画像データ記憶回路13に設けられた暗時画像データ記憶回路に送り保存する。
【0053】
更に、システム制御部10は機構制御部6に対して制御信号を送り、機構制御部6は機構部3の寝台移動機構42に対して駆動信号を供給して、初期位置(X0)に映像系が位置するように寝台17を移動する。
【0054】
次に、操作者は操作部9よりマスク画像の撮影開始コマンドを入力し、このコマンド信号が操作部9よりシステム制御部10に送られると、システム制御部10は機構制御部6に対して制御信号を送り、機構制御部6は機構部3の寝台移動機構42に駆動信号を供給して、最初の撮影位置(X1)に映像系が位置するように寝台17を任意の速度で移動する。
【0055】
一方、機構制御部6に設けられた位置検出器は機構部3の寝台移動機構42に備えられたエンコーダから送られてくる信号に基づいて寝台17の位置検出を継続的に行ない、その検出位置(X)が最初の撮影位置(X1)に対して
(X1−X)/Vmax=ΔT1 ・・・(1)
の関係が成立する時点(t=T11)で、システム制御部10は雑音電荷除去のためのトリガ信号をX線検出部2のゲートドライバ22に供給し、ゲートドライバ22は平面検出器21の各ゲート端子に対して、雑音電荷読み出しのための駆動パルスを供給する。なお、上記のVmaxは寝台17の最大移動速度である。
【0056】
平面検出器21は図7に示すようにライン方向にM個、列方向にN個、2次元配列された検出素子51から構成されている。この平面検出器21において、ライン方向に配列されたM個の検出素子51のそれぞれの駆動端子(即ち、図2に示すTFT54のゲート端子)は共通接続され、ゲートドライバ22の出力端子に接続される。例えば、ゲートドライバ22の出力端子22−1は検出素子51−11、51−21、51−31、・・・51−M1の各駆動端子に接続され、ゲートドライバ22の出力端子22−Nは検出素子51−1N、51−2N、51−3N、・・・51−MNの各駆動端子に接続される。
【0057】
一方、列方向に配列されたN個の検出素子51のそれぞれの出力端子(即ち、図2に示すTFT54のドレイン端子)は信号出力線59によって共通接続され、この信号出力線59は画像データ生成部11の電荷・電圧変換器23の入力端子に接続される。例えば、検出素子51−11、51−12、51−13、・・・51−1Nの出力端子は信号出力線59−1によって共通接続され、この信号出力線59−1は電荷・電圧変換器23−1に接続される。同様にして、検出素子51−M1、51−M2、51−M3、・・・51−MNの出力端子は信号出力線59−Mによって共通接続され、この信号出力線59−Mは電荷・電圧変換器23−Mに接続される。
【0058】
t=T11において、システム制御部10からリセット動作のトリガ信号がゲートドライバ22に供給されたならば、ゲートドライバ22は周期τ1のクロックパルスによって駆動され、その出力端子22−1乃至22−Nにおいて図8に示すような幅τ1の駆動パルスが順次出力される。
【0059】
即ち、ゲートドライバ22の出力端子22−1はT11乃至T11+τ1においてON電圧になり、第1ラインの検出素子51−11、51−21,・・・,51−M1を駆動する。そして、これらの検出素子51の電荷蓄積コンデンサ53に蓄積されているリーク電流起因の雑音電荷をTFT54のドレイン−ソースを介して信号出力線59−1乃至59−Mに排出する。
【0060】
次に、T11+τ1乃至T11+2τ1においてゲートドライバ22は、その出力端子22−2のみをON電圧にして第2ラインの検出素子51−12、51−22、51−32,・・・,51−M2に蓄積された雑音電荷を信号出力線59−1乃至59−Mに排出する。
【0061】
以下同様にして、ゲートドライバ22の出力端子22−3乃至22−Nが順次ON電圧になると、第3ライン乃至第Nラインに配置された検出素子51は内部に蓄積していた雑音電荷を順次信号出力線59−1乃至59−Mに排出する。そして、信号出力線59に排出された各検出素子51の雑音電荷は接地線を介して装置外へ放出される。
【0062】
一方、機構部3の寝台移動機構42に設けられているエンコーダの出力は機構制御部6に送られ、内部の位置検出器によって寝台17の位置(X)が検出される。この位置検出器による検出位置はシステム制御部10に供給され、システム制御部10は、位置検出器の前記検出位置(X)と予め設定された最初の撮影位置(X1)とを比較し、両者が一致した時点(t=T12)で、高電圧発生部4にX線発生のための制御信号を送る。
【0063】
システム制御部10からの前記制御信号に基づいて、高電圧発生部4は、X線発生部1にX線照射のための高電圧を供給し、X線発生部1はT12乃至T12+ΔT2の期間において被検体45に対してX線を照射する。一方、X線検出部2の平面検出器21は被検体45を透過したX線を受信して、そのX線照射強度に比例した信号電荷を検出素子51の電荷蓄積コンデンサ53に蓄積する。
【0064】
システム制御部10は、t=T11+ΔT1にリセット動作が終了してからΔT31後のT13において、ゲートドライバ22に対してマスク画像データ収集のためのトリガ信号を供給し、このトリガ信号によってゲートドライバ22は周期τ2のクロックパルスによって駆動され、その出力端子22−1乃至22−Nにおいて図8に示すような幅τ2の駆動パルスを順次出力する。
【0065】
即ち、ゲートドライバ22の出力端子22−1はT13乃至T13+τ2においてON電圧になり、第1ラインの検出素子51−11、51−21,・・・,51−M1を駆動する。そして、これらの検出素子51の電荷蓄積コンデンサ53に蓄積されていた信号電荷をTFT54のドレイン−ソースを介して信号出力線59−1乃至59−Mに出力する。
【0066】
信号出力線59−1乃至59−Mに出力された信号電荷は、電荷・電圧変換器23−1乃至23−Mにおいて電荷から電圧に変換され、更に、A/D変換器24−1乃至24−Mにおいてデジタル信号に変換される。システム制御部10は、A/D変換器24−1乃至24−Mの出力をパラレル・シリアル変換器25のメモリ25−1乃至25−Mにパラレル入力して一旦保存した後、シリアルに読み出して第1ラインのマスク画像データとして画像演算・記憶部7の画像データ記憶回路13に備えられたマスク画像データ記憶回路に保存する。
【0067】
次に、T13+τ2乃至T13+2τ2においてゲートドライバ22は、その出力端子22−2のみをON電圧にして第2ラインの検出素子51−12、51−22、51−32,・・・,51−M2に蓄積された信号電荷を信号出力線59−1乃至59−Mに出力する。
【0068】
信号出力線59−1乃至59−Mに出力された第2ラインの信号電荷は、第1ラインの信号電荷の場合と同様にして、電荷・電圧変換器23−1乃至23−M、A/D変換器24−1乃至24−M、パラレル・シリアル変換器25によって画像データに生成され、第2ラインのマスク画像データとして画像データ記憶回路13のマスク画像データ記憶回路に保存される。
【0069】
以下同様にして、ゲートドライバ22の出力端子22−3乃至22−Nが順次ON電圧になると、第3ライン乃至第Nラインに配置された検出素子51は内部に蓄積していた信号電荷を順次信号出力線59−1乃至59−Mに出力し、この信号電荷は、電荷・電圧変換器23−1乃至23−M、A/D変換器24−1乃至24−M、パラレル・シリアル変換器25によって画像データに生成され、第3ライン乃至第Nラインのマスク画像データとして画像データ記憶回路13のマスク画像データ記憶回路に保存される(図3のステップS2)。
【0070】
以上述べた手順によって画像データ記憶回路13にX=X1におけるマスク画像データが保存されたならば、画像演算回路12はシステム制御部10の制御のもとに、前記マスク画像データと、既に保存されている暗時画像データを読み出してサブトラクションすることによって雑音電荷の影響を相殺する。そしてサブトラクション後の補正マスク画像データを前記マスク画像データ記憶回路に一旦保存する(図3のステップS3)。
【0071】
次いで、システム制御部10は、必要に応じて前記マスク画像データ記憶回路の補正マスク画像データを読み出し、表示部8の表示用画像メモリ31に一旦保存した後、更に、D/A変換器32と表示回路33によってD/A変換とTVフォーマットへの変換を行なった後モニタ34にて表示する。
【0072】
このようにして、X=X1におけるマスク画像データの生成と表示が行われている間に、前記映像系の位置と第2の撮影位置(X2)が一致するように寝台17の移動が機構部3の寝台移動機構42によって継続的に行われ、この寝台移動機構42に設けられたエンコーダの出力信号に基づいて検出される位置(X)が
(X2−X)/Vmax=ΔT1 ・・・(2)
になった時点(t=T21)で、再度、システム制御部10はリセット動作のためのトリガパルスをゲートドライバ22に対して供給する。
【0073】
以下、図5に示したように、T21乃至T21+ΔT1で雑音電荷の排出が行われて、T13+ΔT3以降に平面検出器21において蓄積された雑音電荷は信号出力線9を介して除去される。更に、T22乃至T22+ΔT2でX線照射、T23乃至T23+ΔT3で信号電荷の読み出しと画像データの保存が行われる。そして、画像データ記憶回路13に一旦保存されたX=X2のマスク画像データは、画像演算回路12において暗時画像データとのサブトラクションが行われた後、補正マスク画像データとして画像記憶回路13のマスク画像データ記憶回路に保存され、更に、表示部8のモニタ34に表示される。
【0074】
以下同様の手順によってX=X3乃至XNにおいても補正マスク画像データが生成され、画像データ記憶回路13のマスク画像記憶回路に保存される。
【0075】
(コントラスト画像データの収集)
X1乃至XNの撮影位置においてN枚のマスク画像データの収集が終了したならば、システム制御部10は映像系が被検体45の初期位置(X=X0)に再び設置されるように機構制御部6を介して機構部3の寝台移動機構42を制御し、寝台17を移動する。次いで、被検体45の鼠ケイ部大動脈に造影剤を注入した後(図3のステップS4)、操作者は操作部9よりコントラスト画像の撮影開始コマンドを入力し、このコマンド信号が操作部9よりシステム制御部10に送られると、システム制御部10は機構制御部6に対して制御信号を送り、機構制御部6は機構部3の寝台移動機構42に駆動信号を供給して、最初の撮影位置(X1)に映像系が位置するように寝台17を任意の速度で移動する。
【0076】
以下、マスク画像データの場合と同様な収集手順によって、撮影位置X1乃至XNにおいて得られたコントラスト画像データは画像演算・記憶部7の画像データ記憶回路13に設けられたコントラスト画像データ記憶回路に一旦保存された後(図3のステップS5)、画像演算回路12にて暗時画像データとのサブトラクションが行われる(図3のステップS6)。その結果得られた補正コントラスト画像データは前記コントラスト画像データ記憶回路に保存されるとともに、必要に応じて表示部8のモニタ34において表示される。
【0077】
なお、体内の血管内を流れる血流の速さは血管径や狭窄の有無に依存し一様ではないため、造影剤の流速に合わせて寝台17の移動速度を制御する必要があるが、機構制御回路6より寝台移動機構42に供給される駆動信号の周波数を操作者が操作卓9において切り替えることで制御可能となる。
【0078】
(サブトラクション画像データの生成)
以上のようにして、撮影位置X1乃至XNにおけるコントラスト画像データの収集が完了したならば、システム制御部10は、画像演算回路12に制御信号を供給し、画像演算回路12は画像演算・記憶部7の画像データ記憶回路13に記憶されているN枚の補正マスク画像データと補正コントラスト画像データを読み出し、サブトラクションを行なう(図3のステップS7)。更に得られたサブトラクション画像データを前記画像データ記憶回路13に設けられたサブトラクション画像データ記憶回路に保存するとともに、操作者の指示によって所望のサブトラクション画像データは表示部8のモニタ34において表示される(図3のステップS8)。
【0079】
以上述べた本実施の形態によれば、非同期撮影のボーラスDSAにおいても、X線照射前の好適なタイミングにおいてリセット動作を行なうことが可能となるため雑音電荷を大幅に低減することが可能となる。更に、各撮影位置のマスク画像及びコントラスト画像を撮影する際の雑音電荷蓄積時間を一定に設定することが出来るため、マスク画像データ及びコントラスト画像データと暗時画像データとのサブトラクションによって前記雑音電荷の影響は更に低減し、良質なX線画像を得ることが可能となる。
【0080】
(第1の変形例)
次に、本実施の形態における第1の変形例につき図9乃至図11を用いて説明する。上述の実施の形態では、リセット動作の終了時(T11+ΔT1)を基準に設定されるX線照射開始可能期間(ΔT21)においてX線照射が開始される場合について述べてきた。
【0081】
このX線照射開始可能期間とは、図9に示すようにΔT2期間を要するX線照射が信号電荷の読み出し開始時刻(T13)までに終了可能となるX線照射開始時刻の範囲を示しており、寝台17の移動速度が式(1)あるいは式(2)で示した寝台17の最大移動速度(Vmax)の場合のX線照射開始時刻はリセット動作終了時(T11+ΔT1)と一致し、一方、許容される最小移動速度(Vmin)の場合のX線照射終了時刻は信号電荷読み出し開始時刻(T13)と一致するように設定されている。
【0082】
しかしながら、被検体45の造影剤の流速に従う寝台17の移動速度が前記最小移動速度より更に遅いために、寝台17の位置信号(X)と予め設定された位置情報(Xn)との一致が前記X線照射開始可能期間内に得られない場合には、前記X線照射開始可能期間内においてX線照射を開始することが不可能となる。図10はこのような場合における実施の形態を示したものであり、所定の期間(X線照射開始可能期間)においてX線照射が開始されない場合は再度リセット動作を実施する。
【0083】
即ち、システム制御部10は、最初のリセットトリガ信号をゲートドライバ22に送り、第1の実施の形態と同様な手順によって平面検出器21における最初の雑音電荷の排出を行ない、更に、寝台17の位置信号(X)と予め設定された位置情報(Xn)との一致が前記X線照射開始可能期間内に得られない場合には、第2のリセットトリガ信号を前記ゲートドライバ22に供給し、再度、平面検出器21における雑音電荷の排出を行なう。そして、この第2のリセット動作の終了時刻から前記X線照射開始可能期間の間に寝台17の位置(X)と設定位置(Xn)との一致が得られた場合はX線照射を実施し、一致が得られない場合はリセット動作を繰り返す。
【0084】
一方、図11に示すように第2回目以降のリセット期間中において、寝台17の位置(X)と設定位置(Xn)との一致が得られた場合、システム制御部10はこのリセット動作が完了した後に高電圧発生部4にX線照射のための制御信号を供給し、X線発生部1によって被検体45に対するX線照射を行なう。この場合、寝台17の位置(X)と設定位置(Xn)が一致してからX照射までに遅延が発生するため、実際の撮影位置と前記設定位置との間にはズレが発生する。しかしながら、上記現象が発生する場合の寝台17の移動速度は極めて遅いために、この位置ズレは大きな問題とはならない。
【0085】
以下に、本実施の形態を具体的な数値を用いて補足説明する。平面検出器21のライン数が1000本、ゲートドライバ22のクロックパルス周期が10μsecの場合、リセット期間(ΔT1)は10msecとなる。一方、雑音電荷蓄積期間(ΔT31)が100msec、X線照射期間(ΔT2)が10msecの場合、X線爆射開始可能期間(ΔT21)は90msecとなる。また、寝台移動速度範囲は一般に4cm/sec乃至12cm/secに設定される。
【0086】
従って、従来の装置のように、所定の撮影位置に映像系が到達してからリセット動作を開始した場合、最大1.20mm(リセット期間10msec×最大移動速度12cm/sec)だけズレが発生する。このような問題点に対して本実施の形態では、映像系が前記撮影位置の1.20mm手前でリセット動作を開始し、更に、寝台17は移動速度が1.2cm/sec乃至12cm/secの範囲で移動することによってX線照射開始可能期間内で前記撮影位置にX線照射することが可能となる。
【0087】
但し、寝台17が停止直前の場合は、移動速度は1.2cm/sec以下となり、X線爆射開始可能期間中に、所定の撮影位置に到達しない場合がある。このような場合、再びリセット動作を繰り返し、リセット終了後に、映像系が前記撮影位置に到達した場合は上述の場合と同様に正確な位置でのX線照射が可能となる。これに対して、映像系がリセット期間中に前記撮影位置に達した場合には、既に述べたようにリセット動作が終了するまでX線照射を待つ必要があり、実際のX線照射位置と予め設定された撮影位置はズレが発生する。この場合の最大位置ズレが発生するのは2番目のリセット動作が開始された直後に映像系が設定された撮影位置に到達した場合であり、到達時の映像系の平均移動速度は1.2cm/secゆえ、最大ズレの大きさは1.2cm/sec×10msec=120μmとなり、許容できる範囲に抑えることが可能である。
【0088】
以上のべた第1の変形例によれば、非同期撮影のボーラスDSAにおいて寝台17の移動速度を遅くしなければならないような場合であっても、X線照射前の好適なタイミングにおいてリセット動作を行なうことが可能となるため雑音電荷を低減することが可能となる。更に、マスク画像データ及びコントラスト画像データと暗時画像データとのサブトラクションによって前記雑音電荷の影響は大幅に低減できる。
【0089】
(第2の変形例)
次に、本発明の第2の変形例を図12及び図13を用いて説明する。図12は血流速度が極めて遅いために鼠ケイ部方向に映像系の位置を戻す場合の移動方法を示し、図13はそのときのX線照射期間とリセット期間及び信号電荷読み出し期間を示す。なお、マスク画像の撮影手順は第1の実施の形態と同様であるため説明を省略する。
【0090】
図12において、映像系はX1から足部末端部XNに向け移動しながら第1の実施の形態で述べた手順と同様な手順によりコントラスト画像データの収集を行なう。ただし映像系はその末端部(XN)に向かう途中のXoで一旦停止した後、マスク画像撮影方向とは逆の方向に移動させ、この移動は造影剤のフロントエッジが観測可能になるXcに到達するまで行なわれる。更に、映像系はXcで一旦停止した後、再度足部末端部の方向に造影剤速度とほぼ同程度の速度で移動するように寝台17を移動する。図13は、例えば前記Xoが予め設定された撮影位置XaとXbの間にある場合に、本発明を適用する場合のX線照射期間とリセット期間及び信号電荷読み出し期間の関係を示す。
【0091】
操作者が操作部9から入力する指示信号に従って、システム制御部10は機構制御部6に停止の制御信号を与え、機構制御部6は機構部3の寝台移動機構42に対して寝台移動の駆動信号の供給を停止する。このときゲートドライバ22に対するリセット動作のトリガ信号の供給も停止される。
【0092】
更に、操作者によって寝台17を逆方向に移動させる指示信号が操作部9から入力された場合、システム制御部10は機構制御部6に制御信号を与え、機構制御部6は機構部3の寝台移動機構42に対して寝台17を逆方向に移動させるための駆動信号を供給する。
【0093】
この駆動信号によって、寝台17は再度予め設定された撮影位置(Xa)に向け移動を開始し、機構制御部6に設けられた位置検出器は寝台移動機構42のエンコーダから送られてくる信号に基づいて寝台17の位置を継続的に検出する。そして、その検出位置(X)が前記撮影位置(Xa)に対して
(X−Xa)/Vmax=ΔT1 ・・・(3)
の関係が成立する時点(t=Ta1’)で、システム制御部10は雑音電荷除去のためのトリガパルスをX線検出部2のゲートドライバ22に供給し、ゲートドライバ22は平面検出器21の各ゲート端子に雑音電荷読み出しのための駆動パルスを供給する。
【0094】
このようにして、t=Ta1’において雑音電荷除去用のリセット動作が、また、t=Ta2’及びTa3’において夫々X線照射と信号電荷の読み出しが行われ、コントラスト画像データが収集される。
【0095】
血流速度が遅い場合、寝台17の移動を一旦停止し、造影剤が到達するまで待機する場合には、寝台停止中のリセット動作は既に述べた手順により停止させることが望ましい。
【0096】
以上のべた第2の変形例によれば、非同期撮影のボーラスDSAにおいて寝台17の移動速度を反転するような場合であっても、X線照射前の好適なタイミングにおいてリセット動作を行なうことが可能となるため雑音電荷を低減することが可能となる。更に、マスク画像データ及びコントラスト画像データと暗時画像データとのサブトラクションによって前記雑音電荷の影響は大幅に低減できる。
【0097】
以上、本発明の実施の形態について述べてきたが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものでは無く、変形して実施することが可能である。例えば、本発明の実施の形態ではボーラスDSAを例に述べてきたが、被検体45に対して保持アーム5を回転して行なう回転DSAにおいても本発明は有効である。
【0098】
更に、本実施の形態によれば、上記暗時画像データとのサブトラクションを行わなくとも、マスク画像データとコントラスト画像データのサブトラクションによって雑音電荷の影響を排除したDSA画像を得ることができる。
【0099】
一方、本実施の形態のボーラスDSAにおいては、寝台17を移動させることによって映像系を所定の撮影部位に一致させる方法について述べたが、この映像系を固定している保持アーム5を移動させてもよい。
【0100】
更に、本実施の形態ではシステム制御部10に暗時画像データが予め保存されている場合について述べたが、これに限定されるものではなく、例えば画像演算・記憶部7の記憶回路に保存してもよく、またこの暗時画像データはDSA撮影前にその都度収集してもよい。
【0101】
尚、本実施の形態の平面検出器21は光を介さずにX線を直接電荷信号に変換する直接変換方式について述べたが、CSIなどのシンチレータとフォトダイオードを組み合わせた間接変換方式など他の方式であってもよい。
【0102】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば平面検出器を用いた非同期撮影方式のX線撮影において、暗電流の影響を排除することができるため、良質な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるX線診断装置全体の概略構成を示す図。
【図2】平面検出器の構成を示す図。
【図3】本発明の実施の形態における画像データ生成手順を示すフローチャート。
【図4】同実施の形態におけるマスク画像データ、及びコントラスト画像データの撮影位置と撮影順序を示す図。
【図5】同実施の形態における雑音電荷排除のためのリセット期間及び信号電荷の読み出し期間を示す図。
【図6】同実施の形態におけるX線照射期間と雑音電荷蓄積期間との関係を示す図。
【図7】同実施の形態における平面検出器とその周辺回路を示す図。
【図8】同実施の形態におけるゲートドライバのタイムチャートを示す図。
【図9】同実施の形態の変形例におけるX線照射開始可能期間について示した図。
【図10】同実施の形態の第1の変形例を示す図。
【図11】同実施の形態の第1の変形例を示す図。
【図12】同実施の形態の第2の変形例を示す図。
【図13】同実施の形態の第2の変形例を示す図。
【図14】従来のX線診断装置における画像データ収集方法を示す図。
【符号の説明】
1…X線発生部
2…X線検出部
3…機構部
4…高電圧発生部
5…保持アーム
6…機構制御部
7…画像演算・記憶部
8…表示部
9…操作部
10…システム制御部
11…画像データ生成部
12…画像演算回路
13…画像データ記憶回路
15…X線管
16…X線絞り器
17…寝台
21…平面検出器
22…ゲートドライバ
23…電荷・電圧変換器
24…A/D変換器
25…パラレル・シリアル変換器
31…表示用画像メモリ
32…D/A変換器
33…表示回路
34…モニタ
41…保持アーム移動機構
42…寝台移動機構
45…被検体
Claims (14)
- 被検体の複数の撮影位置に対してX線を順次照射するX線発生手段と、
このX線発生手段によって照射されるX線を検出し、電荷に変換して蓄積するための複数個の検出素子を有したX線検出手段と、
このX線検出手段によって蓄積された前記電荷を読み出す電荷読み出し手段と、この電荷読み出し手段によって読み出される前記電荷に基づいて前記複数の撮影位置における画像データを生成する画像データ生成手段と、
前記X線発生手段及び前記X線検出手段を被検体の前記撮影位置に向けて相対的に移動させる移動手段と、
この移動手段によって移動する前記X線発生手段及び前記X線検出手段の位置を検出し、更に、この検出位置と前記撮影位置との距離を検出する距離検出手段と、
この距離検出手段によって得られた距離が予め設定されたリセット開始距離に達したとき、前記X線検出手段の検出素子に蓄積されている電荷の排除を行なうためのリセット動作を行なうリセット手段とを
備えたことを特徴とするX線診断装置。 - 画像演算手段と暗時画像データ記憶手段を更に設け、前記画像演算手段は、前記画像データ生成手段によって生成される前記撮影位置における画像データと、前記暗時画像データ記憶手段に保存されている暗時画像データとのサブトラクションを行なうことを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
- 造影剤注入前、及び注入後の被検体の予め設定された複数の撮影位置に対してX線を順次照射するX線発生手段と、
このX線発生手段によって照射されるX線を検出し、電荷に変換して蓄積するための複数個の検出素子を有したX線検出手段と、
このX線検出手段によって蓄積された電荷を読み出す電荷読み出し手段と、
この電荷読み出し手段によって読み出される電荷に基づいて前記複数の撮影位置におけるマスク画像データ及びコントラスト画像データを生成する画像データ生成手段と、
前記X線発生手段及び前記X線検出手段を被検体の前記撮影位置に向けて相対的に移動する移動手段と、
この移動手段によって移動する前記X線発生手段及び前記X線検出手段の位置を検出し、更に、この検出位置と前記撮影位置との距離を検出する距離検出手段と、
この距離計測手段によって得られた距離が予め設定されたリセット開始距離に達したとき、前記X線検出手段の検出素子に蓄積されている電荷の排除を行なうためのリセット動作を行なうリセット手段とを
備えたことを特徴とするX線診断装置。 - 画像演算手段と暗時画像データ記憶手段を更に設け、前記画像演算手段は、前記画像データ生成手段によって生成される前記撮影位置におけるマスク画像データ及びコントラスト画像データと前記暗時画像データとのサブトラクションを行なうことを特徴とする請求項3記載のX線診断装置。
- 前記画像演算手段は、暗時画像データとのサブトラクションが行われたマスク画像データ及びコントラスト画像データとの間で更にサブトラクションを行ないDSA画像データを生成することを特徴とする請求項4記載のX線診断装置。
- 画像演算手段を更に設け、前記画像演算手段は、前記画像データ生成手段によって生成される前記撮影位置におけるマスク画像データとコントラスト画像データとの間でサブトラクションを行ないDSA画像データを生成することを特徴とする請求項3記載のX線診断装置。
- 表示手段を更に設け、前記表示手段は、前記画像演算手段によって生成された各種画像データを表示することを特徴とする請求項4乃至請求項6のいづれか1項に記載したX線診断装置。
- 前記リセット手段によってリセットが開始されるリセット開始距離は、前記移動手段の最大移動速度と前記リセット手段によるリセット動作に要する時間に基づいて設定されることを特徴とする請求項1又は請求項3に記載のX線診断装置。
- 前記リセット手段は、リセット動作終了後の予め設定した第1の期間内において前記検出位置と前記撮影位置との一致が検出されない場合、再度リセット動作を行なうことを特徴とする請求項1又は請求項3に記載のX線診断装置。
- 前記X線発生手段は、前記検出位置と前記撮影位置との一致がリセット動作中に検出された際、リセット動作の終了を待ってX線照射を開始することを特徴とする請求項1又は請求項3に記載のX線診断装置。
- 前記X線発生手段は、前記距離計測手段によって前記検出位置と前記撮影位置との一致が検出された時点で被検体に対してX線を照射することを特徴とする請求項1又は請求項3に記載のX線診断装置。
- 前記電荷読み出し手段は、リセット動作の終了から予め設定された第2の期間後に電荷の読み出しを開始することを特徴とする請求項1又は請求項3に記載のX線診断装置。
- 前記画像データ生成手段は、X線を照射しない状態でX線検出手段の検出素子に蓄積される電荷に基づいて暗時画像データを生成することを特徴とする請求項1又は請求項3に記載のX線診断装置。
- X線発生手段及び平面検出器を備えたX線検出手段を被検体に対して不定速度で相対移動してX線画像データを収集するX線撮影方法であって、前記X線発生手段及びX線検出手段を予め設定された撮影位置に向け相対移動するステップと、
前記X線発生手段及びX線検出手段の位置と前記撮影位置との距離が予め設定されたリセット開始距離に達したとき、前記X線検出手段の検出素子に蓄積されている電荷を排除するためのリセット動作を行なうステップと、
前記X線発生手段及びX線検出手段の位置と前記撮影位置が一致したとき、前記X線発生手段によって被検体に対しX線を照射するステップと、
前記リセット動作が完了してから予め設定された期間後において、前記X線照射によって前記X線検出器の検出素子に蓄積された電荷を読み出すステップと、この読み出された電荷に基づいて画像データを生成するステップとを
有することを特徴とするX線撮影方法。
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