JP2009139223A - 電流検出回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な回路構成としながら、電流検出線の断線による故障を検出する。電流が流れる状態においても差動アンプのオフセットを補正し、しかも電流を検出しながらオフセット補正をして、オフセットによる誤差を極減して、常に高精度に電流を検出する。
【解決手段】電流検出回路は、互いに直列に接続してなる第1の電流検出抵抗1A及び第2の電流検出抵抗1Bと、第1の電流検出抵抗1Aの電圧を増幅する第1の差動アンプ2Aと、この第1の差動アンプ2Aと逆位相で第2の電流検出抵抗1Bの電圧を増幅する第2の差動アンプ2Bと、第1の差動アンプ2Aの出力電圧と第2の差動アンプ2Bの出力電圧の加算回路4と、第1の差動アンプ2A及び第2の差動アンプ2Bの出力電圧と加算回路4の出力電圧から電池20の電流を検出する検出回路3とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、極めて高い信頼性を実現しながら電流を検出する回路に関し、とくにハイブリッドカーなどの車両用の電源装置にあって、電池の充電電流と放電電流を検出するのに最適な電流検出回路に関する。
ハイブリッドカー等に使用される車両用の電源装置は、電池の充電電流と放電電流を極めて高い信頼性でもって、しかも高精度に検出することが要求される。電池の電流が検出できなくなると、電池による走行ができなくなるからである。従来の電流検出回路は、電池と直列に接続している電流検出抵抗の電圧を差動アンプで増幅し、この差動アンプの出力電圧から電流を検出している。電流検出抵抗の電圧が電流に比例するので、この電圧から電流を検出できる。電流検出抵抗は、電圧降下による損失を少なくするために、電気抵抗を極めて小さい値としている。電流検出抵抗の電圧は、電気抵抗と電流の積に比例するので、電気抵抗が小さいと電圧も小さくなる。小さい電圧を差動アンプで増幅して電流を検出している。
この電流検出回路は、電流検出抵抗と差動アンプの入力側とを接続する電流検出線の断線を判別できない。それは、この電流検出線が断線すると差動アンプの入力電圧は0Vになるが、この状態は電流が流れない状態と同じであるから、電流が流れていない状態と、電流検出線の断線とを識別できないからである。電流検出回路の故障は、特許文献1に記載されるように、複数の電流センサを設けて判別できる。(特許文献1参照)
特開2005−269752号公報 特開2004−120966号公報
しかしながら、複数の電流センサを設ける回路は、部品コストと製造コストが高くなる欠点がある。本発明の第1の目的は、この欠点を解決すること、すなわち、簡単な回路構成としながら、電流検出線の断線による故障を検出できる電流検出回路を提供することにある。
さらに、電流検出抵抗の電圧を差動アンプで増幅して電流を検出する回路は、差動アンプのオフセットが電流を検出する誤差の原因となる。差動アンプにオフセットが発生すると、微少電流における検出誤差の影響が大きくなる。たとえば、電流が流れない状態、すなわち電流検出抵抗の電圧が0Vの状態で、差動アンプがオフセット電圧を出力して、オフセット電圧に相当する電流が流れていると判定するからである。オフセット電圧による電流検出の誤差は、残容量の演算で累積される。それは、電流が流れていない状態で電流が流れていると検出するので、この電流が積算されて残容量が演算されるからである。とくに、ハイブリッドカーは、常に大電流を流す状態では使用されず、電池の電流が流れない時間帯が長いことから、電流が流れない状態で電流を正確に検出する特性が要求される。電池に電流が流れるのは、車両を加速するときに電池からモータに電力を供給してモータで加速するときと、車両を減速するときの回生制動で電池を充電するときと、電池の残容量が設定値よりも小さくなってエンジンで発電機を駆動して充電するときである。このため、電池が充放電されない時間帯は、電池が充放電される時間よりも長くなる。したがって、この状態で電池の電流を正確に検出できないと、残容量を正確に演算できなくなる。
この弊害を避けるために、電流検出回路のオフセットを補正する回路は開発されている(特許文献2参照)。特許文献2の公報は、電流が流れないことを検出して、差動アンプのオフセットを補正する。ただ、この回路は電池の電流が流れる状態でオフセットを補正できない欠点がある。車両は、走行状態にあっては電池の電流が流れないタイミングを特定できない。ドライバーがアクセルやブレーキを踏む状態から電池が充放電されるからである。このため、電流が流れない状態でオフセットを補正する回路は、たとえばイグニッションスイッチをオンに切り換えた直後であって、車両を走行させる前にオフセットを補正する必要がある。この状態でオフセット補正はできるが、オフセット電圧は時間が経過し、あるいは温度によって変動する。このため、特定のタイミングに限ってオフセットを補正する回路は、つねに変動するオフセットを正確に補正できない欠点がある。
本発明の第2の目的は、さらにこの欠点を解消するものであって、電流が流れる状態においても差動アンプのオフセットを補正でき、しかも電流を検出しながらオフセット補正をして、オフセットによる誤差を極減して、常に高精度に電流を検出できる電流検出回路を提供することにある。
本発明の請求項1の電流検出回路は、互いに直列に接続してなる第1の電流検出抵抗1A及び第2の電流検出抵抗1Bと、第1の電流検出抵抗1Aの電圧を増幅する第1の差動アンプ2Aと、この第1の差動アンプ2Aと逆位相で第2の電流検出抵抗1Bの電圧を増幅する第2の差動アンプ2Bと、第1の差動アンプ2Aの出力電圧と第2の差動アンプ2Bの出力電圧の加算回路4と、第1の差動アンプ2A及び第2の差動アンプ2Bの出力電圧と加算回路4の出力電圧から電池20の電流を検出する検出回路3とを備える。
本発明の請求項2の電流検出回路は、電流検出抵抗1と、この電流検出抵抗1の電圧を互いに逆位相で増幅する第1の差動アンプ2A及び第2の差動アンプ2Bと、第1の差動アンプ2Aの出力電圧と第2の差動アンプ2Bの出力電圧の加算回路4と、第1の差動アンプ2A及び第2の差動アンプ2Bの出力電圧と加算回路4の出力電圧から電池20の電流を検出する検出回路3とを備える。
本発明の請求項3の電流検出回路は、加算回路4が、第1の差動アンプ2Aと第2の差動アンプ2Bの出力側に両端を接続している直列抵抗で、この直列抵抗の中間接続点を出力端子6としている。
本発明の請求項4の電流検出回路は、検出回路3が、第1の差動アンプ2A及び第2の差動アンプ2Bの出力電圧と、加算回路4の出力電圧をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ8と、このA/Dコンバータ8でデジタル信号に変換されたデジタル信号から電流を演算する演算処理回路9とを備える。
本発明の請求項5の電流検出回路は、演算処理回路9が、加算回路4の出力電圧から第1の差動アンプ2Aまたは第2の差動アンプ2Bの入力側の断線を判定する。さらに、本発明の請求項6の電流検出回路は、演算処理回路9が第1の差動アンプ2Aまたは第2の差動アンプ2Bの入力側の断線を判定した場合、演算処理回路9が、断線していない方の差動アンプ2の出力電圧に基づいて電流を演算する。
本発明の請求項7の電流検出回路は、第1の差動アンプ2Aの入力側に接続されて第1の差動アンプ2Aの入力電圧を設定電圧とする第1の入力スイッチ11Aと、第2の差動アンプ2Bの入力側に接続されて第2の差動アンプ2Bの入力電圧を設定電圧とする第2の入力スイッチ11Bとを備える。この電流検出回路は、検出回路3が、第1の入力スイッチ11Aで第1の差動アンプ2Aの入力電圧を設定電圧として第1の差動アンプ2Aのオフセット電圧を検出すると共に、第2の入力スイッチ11Bで第2の差動アンプ2Bの入力電圧を設定電圧として第2の差動アンプ2Bのオフセット電圧を検出する。
さらに、本発明の請求項8の電流検出回路は、入力スイッチ11でもって差動アンプ2に入力する設定電圧を0Vとする。
本発明の電流検出回路は、簡単な回路構成としながら、電流検出線の断線による故障を検出できる特徴がある。とくに、本発明の電流検出回路は、電流が流れる状態においてもすべての電流検出線の断線を検出できる特徴がある。それは、本発明の電流検出回路が、電流検出抵抗の電圧を第1の差動アンプと第2の差動アンプとで逆位相に増幅して、これを加算回路で加算することから、電流検出線が断線して片方の差動アンプに電圧が入力されなくなると、加算回路の出力電圧が0Vにならないからである。すなわち、本発明の電流検出回路は、加算回路の出力電圧が0Vであるかどうかで電流検出線の断線を判定できる。また、加算回路の出力電圧が0Vとならず、電流検出線が断線する状態にあっては、第1の差動アンプと第2の差動アンプの一方又は両方の出力電圧から電流を検出することができる。
また、本発明の請求項6の電流検出回路は、電流が流れる状態において差動アンプのオフセットを補正でき、しかも電流を検出しながらオフセット補正をして、オフセットによる誤差を解消して常に高い精度で電流を検出できる特徴がある。それは、差動アンプの入力側に接続している入力スイッチで差動アンプに設定電圧、好ましくは0Vを入力して、オフセット電圧を検出できるからである。とくに、本発明の電流検出回路は、第1の差動アンプと第2の差動アンプを有することから、一方の差動アンプのオフセット電圧を検出する状態で他方の差動アンプで電流を検出できるので、電流を検出しながらオフセット電圧を検出して、差動アンプのオフセットを補正できる特徴がある。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための電流検出回路を例示するものであって、本発明は電流検出回路を以下のものに特定しない。
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
図1ないし図3は、車両用の電源装置、とくにハイブリッドカーに搭載される電源装置に使用される電流検出回路を示す。この電流検出回路は、車両を走行させるモータ22に電力を供給して放電され、また回生制動やエンジンで駆動される発電機23で充電される電池20の充電電流と放電電流を検出する。ただし、本発明は、電流検出回路を車両用の電源装置に使用されるものには特定しない。電流を高い信頼性で検出するすべての回路に使用できるからである。
図1と図2の電流検出回路は、互いに直列に接続してなる第1の電流検出抵抗1A及び第2の電流検出抵抗1Bと、第1の電流検出抵抗1Aの電圧を増幅する第1の差動アンプ2Aと、第2の電流検出抵抗1Bの電圧を増幅する第2の差動アンプ2Bと、第1の差動アンプ2Aの出力電圧と、第2の差動アンプ2Bの出力電圧と、第1の差動アンプ2Aと第2の差動アンプ2Bの差電圧から電池20の電流を検出する検出回路3とを備える。図の電流検出回路は、電池20の充放電の電流を検出するので、電流検出抵抗1を電池20と直列に接続している。
第1の電流検出抵抗1Aと第2の電流検出抵抗1Bは、同じ電気抵抗としている。ただし、本発明の電流検出回路は、第1の電流検出抵抗と第2の電流検出抵抗を、必ずしも同じ電気抵抗とする必要はない。それは、電流検出抵抗の電圧を増幅する差動アンプの増幅率でもって、電流検出抵抗に同じ電流が流れる状態で、差動アンプの出力電圧を同じ電圧にできるからである。たとえば、第1の電流検出抵抗の電気抵抗を他方の第2の電流検出抵抗の1/2とし、第1の差動アンプの増幅率を第2の差動アンプの増幅率の2倍として、差動アンプの出力電圧を同じにできる。したがって、第1の電流検出抵抗と第2の電流検出抵抗は、差動アンプの増幅率によって、第1の差動アンプと第2の差動アンプの出力電圧が同じ電圧となる電気抵抗に設定される。ただ、第1の差動アンプと第2の差動アンプは、好ましくは同じ増幅率とするので、第1の電流検出抵抗と第2の電流検出抵抗は同じ電気抵抗とする。
図3の電流検出回路は、ひとつの電流検出抵抗1に、互いに逆位相に電圧を増幅するように第1の差動アンプ2Aと第2の差動アンプ2Bの入力側を電流検出線10で接続している。この回路は、第1の差動アンプ2Aと第2の差動アンプ2Bに、同じ電圧が入力される。したがって、第1の差動アンプ2Aと第2の差動アンプ2Bの増幅率は同じとする。
ただ、図3の回路においても、第1の差動アンプと第2の差動アンプの増幅率は、必ずしも同じには設定されない。それは、加算回路4の直列抵抗の電気抵抗でもって、加算回路4の出力電圧を調整できるからである。2個の抵抗器5の直列抵抗からなる加算回路4は、好ましくは同じ電気抵抗の2個の抵抗器5を直列に接続する。この回路にあっては、第1の差動アンプ2Aと第2の差動アンプ2Bの増幅率を同じにして、正常な状態における加算回路4の出力電圧を0Vにできる。しかしながら、加算回路を構成する2個の抵抗器の電気抵抗を同じとせず、一方の抵抗器の電気抵抗を他方の抵抗器の2倍とすれば、2倍の電気抵抗の抵抗器に接続される差動アンプの増幅率を2倍として、正常時に加算回路の出力電圧を0Vにできる。したがって、ひとつの電流検出抵抗の電圧を互いに逆位相で増幅する第1の差動アンプと第2の差動アンプにおいても、増幅率は必ずしも同じには設定しない。正常な状態で加算回路の出力電圧が0Vとなるように設定する。また、図1と図2の回路においても、第1の差動アンプと第2の差動アンプの出力電圧が同じ出力電圧となるように、第1の電流検出抵抗と第2の電流検出抵抗の電気抵抗と、第1の差動アンプ及び第2の差動アンプの増幅率を特定しない。この回路においても、正常な状態、すなわち電流検出線が断線しない状態であって、第1の差動アンプと第2の差動アンプに正常に電流検出抵抗の電圧が入力される状態において、加算回路の出力電圧が0Vとなるように設定される。
電流検出抵抗1は、電池20に流れる電流で電圧が発生する。電流検出抵抗1の両端に発生する電圧は、電気抵抗(R)と電流(I)の積に比例する。したがって、電気抵抗を大きくして電圧を高くできる。ただ、電流検出抵抗1に発生する電圧は、電池20の出力電圧を低下させて無駄に電力を消費する。電流検出抵抗1の無駄な電力消費を少なくするために、電気抵抗はできる限り小さく設定される。
たとえば、200Aの充放電電流を検出する車両用の電源装置において、電流検出抵抗1の電気抵抗を0.02mΩに設定して、200Aにおける電流検出抵抗1の電圧が4mVとなる。この電流検出抵抗1は、200Aの電流が流れる状態で、電池20の出力電圧を4mV低下して、800mWの電力を消費する。このように、電流検出回路は、電流検出抵抗1の電気抵抗を小さく設定して、電流を検出するために設けている電流検出抵抗1の無駄な電力消費と電圧降下を小さくしている。したがって、電流検出抵抗1は、その用途、とくに、検出する最大電流によって電気抵抗を最適値に設定するが、小さい電気抵抗に設定して電圧降下と無駄な電力消費を少なくする。たとえば、車両用の電源装置にあっては、電流検出抵抗1の電気抵抗は、最大電流における電圧降下が数mV〜数十mVとなる電気抵抗に設定される。車両用の電源装置以外の用途に使用する電流検出回路においても、好ましくは、電流検出抵抗の電気抵抗は、最大電流を検出する状態で電圧が数mV〜数Vとなる抵抗値に設定される。
とくに、図に示すように、第1の電流検出抵抗1Aと第2の電流検出抵抗1Bを直列に接続する回路にあっては、電流検出抵抗1の電気抵抗が2倍となるので、その電気抵抗を小さくして、差動アンプ2の増幅率を高くする。
第1の差動アンプ2Aと第2の差動アンプ2Bは、電流検出抵抗1の電圧を増幅して、検出回路3に入力する。最大検出電流において、電流検出抵抗1の電圧が4mVである電流検出回路は、差動アンプ2の増幅率を2000倍として、最大電流を検出する状態における差動アンプ2の出力電圧を8Vにできる。差動アンプ2の増幅率は、電流検出抵抗1の電圧と、検出回路3に入力する電圧で特定される。好ましくは、差動アンプ2の増幅率は、最大電流を検出する状態で、検出回路3の入力電圧を2.5V〜10Vとする増幅率に設定される。差動アンプ2の増幅率は、出力電圧を入力側に逆位相で入力している負帰還量で調整される。
第1の差動アンプ2Aと第2の差動アンプ2Bは同じ増幅率として、第1の電流検出抵抗1Aと第2の電流検出抵抗1Bの電圧を逆位相で入力している。第1の差動アンプ2Aと第2の差動アンプ2Bは、電流検出抵抗1の電圧を逆位相で増幅して出力するが、必ずしも入力側に逆位相の電圧を入力する必要はない。それは、差動アンプの出力側に位相反転回路を接続して逆位相にできるからである。
加算回路4は、第1の差動アンプ2Aと第2の差動アンプ2Bの出力側に接続している、同じ電気抵抗の抵抗器5からなる直列抵抗で構成される。直列抵抗は、両端を第1の差動アンプ2Aと第2の差動アンプ2Bの出力側に接続して、中間接続点を出力端子6としている。この加算回路4は、第1の差動アンプ2Aと第2の差動アンプ2Bの出力を加算して出力端子6に出力する。したがって、同じ電圧で逆位相の電圧が入力されると、加算回路4の出力電圧は常に0Vとなる。加算回路4の抵抗器5は、好ましくは同じ電気抵抗とするが、前述したように必ずしも同じ電気抵抗とする必要はない。
第1の差動アンプ2Aと第2の差動アンプ2Bは、電流検出線10を介して入力側を電流検出抵抗1に接続している。図1と図2の電流検出回路は、第1の差動アンプ2Aのプラス入力端子を、第1の電流検出抵抗1Aの電池20側に接続して、マイナス入力端子を、第1の電流検出抵抗1Aと第2の電流検出抵抗1Bの中間接続点に接続している。第2の差動アンプ2Bは、プラス入力端子を、第2の電流検出抵抗1Bの負荷側に接続して、マイナス側入力端子を、第1の電流検出抵抗1Aと第2の電流検出抵抗1Bの中間接続点に接続している。
図3の電流検出回路は、第1の差動アンプ2Aのプラス入力端子を、電流検出抵抗1の電池20側に接続して、マイナス入力端子を電流検出抵抗1の負荷側に接続している。第2の差動アンプ2Bは、プラス入力端子を電流検出抵抗1の負荷側に接続して、マイナス側入力端子を電流検出抵抗1の電池20側に接続している。
図1と図2の電流検出回路で、矢印で示す方向に、電池20に充電電流(I)が流れると、第1の電流検出抵抗1Aと第2の電流検出抵抗1Bには、図において電池20側をプラス、インバータ21からなる負荷側をマイナスとする電圧が発生する。このため、第1の差動アンプ2Aにはプラス入力端子にプラス電圧が入力され、第2の差動アンプ2Bはプラス入力端子にマイナス電圧が入力される。したがって、第1の差動アンプ2Aはプラスの電圧を出力し、第2の差動アンプ2Bはマイナスの電圧を出力する。第1の電流検出抵抗1Aと第2の電流検出抵抗1Bを同じ電気抵抗(R)とする回路においては、第1の電流検出抵抗1Aと第2の電流検出抵抗1Bの電圧が同じとなる。したがって、この回路は、第1の差動アンプ2Aと第2の差動アンプ2Bに同じ電圧で逆位相の電圧が入力される。
図3の電流検出回路は、矢印で示す方向に充電電流(I)が流れると、第1の差動アンプ2Aと第2の差動アンプ2Bに逆位相で同じ電圧が入力される。このため、第1の差動アンプ2Aと第2の差動アンプ2Bは、同じ電圧をプラス電圧とマイナス電圧として出力する。
したがって、図1ないし図3の電流検出回路は、第1の差動アンプ2Aと第2の差動アンプ2Bの出力を加算回路4で加算すると、その電圧差は0Vとなる。すなわち、加算回路4の出力端子6の電圧は0Vとなる。第1の差動アンプ2Aと第2の差動アンプ2Bの出力電圧は、電流の大きさによって変動する。第1の差動アンプ2Aと第2の差動アンプ2Bの出力を互いに逆位相で同じ出力電圧とする回路は、電流が変動して第1の差動アンプ2Aと第2の差動アンプ2Bに入力される電圧が変動しても、その出力電圧は常に同じ電圧となる。したがって、図1ないし図3の電流検出回路は、回路が正常に動作するかぎり、第1の差動アンプ2Aと第2の差動アンプ2Bから出力される電圧は同じ電圧で逆位相となるので、加算回路4から出力される電圧値は常に0Vとなる。
図1と図3の回路において、いずれか一方の差動アンプ2の入力側に接続している電流検出線10が断線して、一方の差動アンプ2に電流検出抵抗1の電圧が入力されなくなると、加算回路4の出力電圧が0Vとならなくなる。したがって、この状態では、出力電圧が0Vとなる差動アンプ側を故障と判定して、出力電圧が0Vとならない差動アンプの出力電圧から電流を検出する。
図2の電流検出回路も、いずれかの電流検出線10が断線すると、加算回路4の出力電圧が0Vとならない。したがって、加算回路4の出力電圧が0Vとならないことを検出して、電流検出線10の断線を判定できる。電流検出線10の断線を検出する状態では、表1に示すように、第1の差動アンプ2Aと第2の差動アンプ2Bの出力電圧が変化する。
Figure 2009139223
図2の電流検出回路では、いずれかの電流検出線10が断線すると、第1の差動アンプ2Aと第2の差動アンプ2Bのいずれかに正常な電圧が入力されなくなる。図2において、Aで示す電流検出線10が断線すると、第2の差動アンプ2Bには電圧が入力されなくなるので、第2の差動アンプ2Bの出力電圧は0Vとなる。第1の差動アンプ2Aは正常に電流検出抵抗1の電圧が入力されるので、このアンプの出力電圧は、第1の電流検出抵抗1Aの電圧(RI)と増幅率(A)の積の電圧(RIA)となる。したがって、この状態で、第1の差動アンプ2Aと第2の差動アンプ2Bの電圧が加算回路4に入力されて、加算回路4の出力電圧は(RIA/2)となる。検出回路3は、加算回路4の出力電圧が0Vでないことから、いずれかの電流検出線10が断線したと判定する。さらに、検出回路3は、第2の差動アンプ2Bの出力電圧が0Vとなることから、Aで示す電流検出線10の断線と判定し、正常な電圧を出力する第1の差動アンプ2Aの出力電圧(RIA)から電流を検出する。
また、図において、Bで示す電流検出線10が断線すると、第1の差動アンプ2Aと第2の差動アンプ2Bには、第2の電流検出抵抗1の負荷側の電圧が入力されるので、第1の差動アンプ2Aと第2の差動アンプ2Bの出力電圧は等しくなり、第2の電流検出抵抗1Bの電圧(−RI)と増幅率(A)の積の電圧(−RIA)となる。この状態で、第1の差動アンプ2Aと第2の差動アンプ2Bの電圧が加算回路4に入力されて、加算回路4の出力電圧は(−RIA)となる。検出回路3は、加算回路4の出力電圧が0Vでないことから、いずれかの電流検出線10が断線したことを判定する。さらに、検出回路3は、第1の差動アンプ2Aと第2の差動アンプ2Bの出力電圧が等しくなることから、Bで示す電流検出線10の断線と判定し、第2の差動アンプ2Bの出力電圧(−RIA)から電流を検出する。
さらにまた、図において、Eで示す電流検出線10が断線すると、第1の差動アンプ2Aと第2の差動アンプ2Bの出力電圧は、表1に示すようになる。検出回路3は、加算回路4の出力電圧が0Vでないことから、いずれかの電流検出線10が断線したことを判定する。さらに、検出回路3は、第2の差動アンプ2Bの出力電圧が0Vでなく、かつ、第1の差動アンプ2Aと第2の差動アンプ2Bの出力電圧が等しくないことから、Eで示す電流検出線10の断線と判定し、第1の差動アンプ2Aと第2の差動アンプ2Bの出力電圧の和から電流を検出する。
検出回路3は、第1の差動アンプ2A及び第2の差動アンプ2Bの出力電圧と、加算回路4の出力電圧を順番に切り換えて出力するマルチプレクサ7と、マルチプレクサ7から出力される出力電圧をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ8と、このA/Dコンバータ8でデジタル信号に変換されたデジタル信号から電流を演算する演算処理回路9とを備える。演算処理回路9は、加算回路4の出力電圧をデジタル信号に変換した信号から電流検出線10の断線を検出する。演算処理回路9は、加算回路4の出力電圧を変換したデジタル信号が0Vであると、電流検出線10が断線していないと判定し、この信号が0Vでないと電流検出線10の断線と判定する。
また、演算処理回路9は、第1の差動アンプ2Aと第2の差動アンプ2Bの出力電圧をデジタル信号に変換した信号から電流を演算する。第1の差動アンプ2Aと第2の差動アンプ2Bの出力電圧は、電流検出抵抗1の電気抵抗(R)と電流(I)と差動アンプ2の増幅率(A)の積となる。演算処理回路9は、電流検出抵抗1の電気抵抗(R)と差動アンプ2の増幅率(A)をメモリ(図示せず)に記憶しており、メモリに記憶される電気抵抗(R)と増幅率(A)から入力電圧に基づいて電流を演算する。
さらに、図1ないし図3の電流検出回路は、第1の差動アンプ2Aの入力側に接続されて第1の差動アンプ2Aの入力電圧を設定電圧とする第1の入力スイッチ11Aと、第2の差動アンプ2Bの入力側に接続されて第2の差動アンプ2Bの入力電圧を設定電圧とする第2の入力スイッチ11Bとを備える。入力スイッチ11は、電流検出線10と直列に接続されて電流検出抵抗1からの入力を遮断する直列スイッチ11aと、差動アンプ2のプラス側とマイナス側の入力端子の間に接続されて入力をショートする並列スイッチ11bからなる。この入力スイッチ11は、直列スイッチ11aをオフとし、並列スイッチ11bをオンに切り換えて、差動アンプ2の入力をショートして入力電圧を、設定電圧の0Vとする。この状態で、差動アンプ2から出力されるオフセット電圧を検出して差動アンプ2のオフセットを補正する。入力スイッチ11は、検出回路3に制御される。
検出回路3は、差動アンプ2のオフセット補正をしない通常の状態において、直列スイッチ11aをオン、並列スイッチ11bをオフに保持する。差動アンプ2のオフセット補正するときは、直列スイッチ11aをオフ、並列スイッチ22bをオンに切り換える。検出回路3は、片方の差動アンプ2のオフセット補正をするときに、他方の差動アンプ2はオフセット補正をしないで、電流を検出する。このため、常に電流を検出しながら、一方の差動アンプ2のオフセット補正ができる。
図の電流検出回路は、差動アンプ2のオフセット補正をするために、入力スイッチ11でもって差動アンプ2に入力する設定電圧を0Vとしているが、設定電圧は必ずしも0Vとする必要はない。基準電圧を入力してオフセット補正することもできるからである。
本発明の一実施例にかかる電流検出回路の概略構成図である。 本発明の他の実施例にかかる電流検出回路の概略構成図である。 本発明の他の実施例にかかる電流検出回路の概略構成図である。
符号の説明
1…電流検出抵抗 1A…第1の電流検出抵抗
1B…第2の電流検出抵抗
2…差動アンプ 2A…第1の差動アンプ
2B…第2の差動アンプ
3…検出回路
4…加算回路
5…抵抗器
6…出力端子
7…マルチプレクサ
8…A/Dコンバータ
9…演算処理回路
10…電流検出線
11…入力スイッチ 11A…第1の入力スイッチ
11B…第2の入力スイッチ
11a…直列スイッチ
11b…並列スイッチ
20…電池
21…インバータ
22…モータ
23…発電機

Claims (8)

  1. 互いに直列に接続してなる第1の電流検出抵抗(1A)及び第2の電流検出抵抗(1B)と、第1の電流検出抵抗(1A)の電圧を増幅する第1の差動アンプ(2A)と、この第1の差動アンプ(2A)と逆位相で第2の電流検出抵抗(1B)の電圧を増幅する第2の差動アンプ(2B)と、前記第1の差動アンプ(2A)の出力電圧と前記第2の差動アンプ(2B)の出力電圧の加算回路(4)と、前記第1の差動アンプ(2A)及び第2の差動アンプ(2B)の出力電圧と前記加算回路(4)の出力電圧から電池(20)の電流を検出する検出回路(3)とを備える電流検出回路。
  2. 電流検出抵抗(1)と、この電流検出抵抗(1)の電圧を互いに逆位相で増幅する第1の差動アンプ(2A)及び第2の差動アンプ(2B)と、前記第1の差動アンプ(2A)の出力電圧と前記第2の差動アンプ(2B)の出力電圧の加算回路(4)と、前記第1の差動アンプ(2A)及び第2の差動アンプ(2B)の出力電圧と前記加算回路(4)の出力電圧から電池(20)の電流を検出する検出回路(3)とを備える電流検出回路。
  3. 前記加算回路(4)が、前記第1の差動アンプ(2A)と前記第2の差動アンプ(2B)の出力側に両端を接続している直列抵抗で、この直列抵抗の中間接続点を出力端子(6)としている請求項1または2に記載される電流検出回路。
  4. 前記検出回路(3)が、前記第1の差動アンプ(2A)及び第2の差動アンプ(2B)の出力電圧と、前記加算回路(4)の出力電圧をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ(8)と、このA/Dコンバータ(8)でデジタル信号に変換されたデジタル信号から電流を演算する演算処理回路(9)とを備える請求項1または2に記載される電流検出回路。
  5. 前記演算処理回路(9)が、前記加算回路(4)の出力電圧から前記第1の差動アンプ(2A)または前記第2の差動アンプ(2B)の入力側の断線を判定する請求項1または2に記載される電流検出回路。
  6. 前記演算処理回路(9)が、前記第1の差動アンプ(2A)または前記第2の差動アンプ(2B)の入力側の断線を判定した場合、前記演算処理回路(9)は、断線していない方の差動アンプ(2)の出力電圧に基づいて電流を演算する請求項5に記載される電流検出回路。
  7. 前記第1の差動アンプ(2A)の入力側に接続されて第1の差動アンプ(2A)の入力電圧を設定電圧とする第1の入力スイッチ(11A)と、前記第2の差動アンプ(2B)の入力側に接続されて第2の差動アンプ(2B)の入力電圧を設定電圧とする第2の入力スイッチ(11B)とを備え、
    検出回路(3)が、第1の入力スイッチ(11A)で第1の差動アンプ(2A)の入力電圧を設定電圧として第1の差動アンプ(2A)のオフセット電圧を検出すると共に、第2の入力スイッチ(11B)で第2の差動アンプ(2B)の入力電圧を設定電圧として第2の差動アンプ(2B)のオフセット電圧を検出する請求項1または2に記載される電流検出回路。
  8. 入力スイッチ(11)でもって差動アンプ(2)に入力する設定電圧を0Vとする請求項7に記載される電流検出回路。
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