JP2006353020A - 車両用の電源装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数のマルチプレクサを使用し、かつ抵抗分圧回路の消費電力を小さくし、さらに簡単な回路構成としながら、電池電圧を正確に検出する。
【解決手段】車両用の電源装置は、電池の電圧を電圧検出回路3で検出して充放電を制御する。電圧検出回路3は、複数の電池の接続点の電圧を抵抗分圧回路5で分圧し、分圧された接続点の電圧を複数のマルチプレクサ4で順番に切り換えてA/Dコンバータ12に出力し、A/Dコンバータ12が接続点の電圧をデジタル信号に変換して、演算回路13でもって電池の電圧を検出する。さらに、電源装置は、複数のマルチプレクサ4の出力側にバッファアンプ11を接続し、このバッファアンプ11の出力側にサブマルチプレクサ6を接続しており、マルチプレクサ4とサブマルチプレクサ6を切り換えて、各々の接続点の電圧を順番にA/Dコンバータ12に入力して電池電圧を検出する。
【選択図】図3

Description

本発明は、ハイブリッドカーや電気自動車等の電動車両を走行させるモーターを駆動する車両用の電源装置であって、直列に接続している複数の電池の電圧を正確に検出できる車両用の電源装置に関する。
電動車両を走行させる電源装置は、出力を大きくするためにバッテリの電圧を高くする必要がある。出力がバッテリの電圧と電流の積に比例するからである。たとえば、ハイブリッドカーや電気自動車を走行させる電源装置のバッテリは、200V以上と極めて高い。高電圧のバッテリは、複数の二次電池を直列に接続して電池モジュールとし、さらに電池モジュールを直列に接続して出力電圧を高くしている。
以上のように、多数の電池モジュールを直列に接続しているバッテリは、各々の電池モジュールの過充電と過放電を防止しながら充放電することが大切である。過充電と過放電が電池の電気性能を低下させると共に、劣化させて寿命を短くするからである。電池モジュールの過充電や過放電を防止するために、電池モジュールの電圧を検出してバッテリの充放電を制御する車両用の電源装置が開発されている(特許文献1参照)。
特開2002−199510号公報
この公報に記載される電源装置は、各々の電池モジュールの電圧を差動増幅器で検出する。この電源装置は、各々の差動増幅器の一対の入力端子間の電圧はほぼ一定であるが、入力端子のアースに対する電圧が次第に高くなる。それは、直列に接続して次第に電圧が高くなる電池モジュールの電圧を、各々の差動増幅器で検出するからである。したがって、差動増幅器の電源回路の設計が複雑になったり、あるいは差動増幅器として電源電圧が高いものを使用する必要がある。
この欠点は、図1に示すように、電池モジュール82の中点電位付近の基準点88に対する各々の接続点87の電圧を検出する電圧検出回路83で解消できる。この図の電圧検出回路83は、電池モジュール82の接続点87の電圧の差から、電池モジュール82の電圧を検出する。この電圧検出回路83は、基準点88に対する電池モジュール82の接続点87の電圧を検出するので、全ての検出電圧が基準点88に対する電圧となる。したがって、図に示すように、マルチプレクサ84で電池モジュール82の接続点87を切り換えて、接続点87の電圧を検出できる。
ただ、この電圧検出回路83は、全ての電圧を基準点88に対する電圧として検出するので、基準点から離れるに従って、いいかえると、出力端子に近い接続点になるにしたがって、基準点に対する電圧が高くなる。マルチプレクサや電圧を検出する回路は、たとえば、5〜10Vの電源電圧で動作される。この回路は検出できる最大電圧を電源電圧の80%とすれば、検出できる電圧は最大でも4〜8Vとなる。基準点に対する接続点の電圧が、4〜8Vの検出電圧に比較して極めて高く、基準点に対する電圧が100Vを越えるものもある。したがって、接続点の電圧は、抵抗分圧回路で電源電圧の80%以下に分圧して、マルチプレクサに入力する必要がある。すなわち、接続点とマルチプレクサとの間に抵抗分圧回路を接続する必要がある。
抵抗分圧回路は、ふたつの抵抗器の直列回路である。この直列回路は、一端を接続点に、他端を基準点に接続して、接続点の電圧をふたつの抵抗器の電気抵抗の比率に分圧する。この直列回路は電力を消費する。直列回路の電力消費は電池を放電させるので、電池の無駄な放電を極力少なくすることが要求される。電池の直列回路の消費電力は、直列回路の電気抵抗に反比例する。したがって、直列回路の電気抵抗をできるかぎり大きくして、電力消費を少なくするように設計している。このため、抵抗分圧回路は電気抵抗を極めて大きくして、ここを流れる検出電流を数十μAと極めて小さくしている。
抵抗分圧回路を流れる検出電流の一部は、マルチプレクサに漏れ電流として分流する。マルチプレクサの漏れ電流は、抵抗分圧回路を流れる検出電流に比べて充分に小さくする必要がある。検出電流に対して漏れ電流が大きくなると、接続点の電圧を正確に分圧できなくなって、検出電圧の誤差の原因となるからである。抵抗分圧回路の消費電流を小さくするために、検出電流を極めて小さくしているので、わずかな漏れ電流が検出誤差の原因となる。
さらに、車両用の電源装置は、電圧を検出する接続点が多いので、現実には複数のマルチプレクサが使用される。図2の電源装置は、4組のマルチプレクサ94を使用しており、各マルチプレクサ94を切り換えて各々の抵抗分圧回路95を流れる検出電流を検出して、複数の接続点97の電圧を検出している。この装置は、図の矢印で示すように、各々のマルチプレクサ94に漏れ電流が流れるので、4組のマルチプレクサ94を備える装置は、漏れ電流が4倍と大きくなる。とくに、マルチプレクサは、オフ時の漏れ電流を小さくするのが難しい。さらに、マルチプレクサの漏れ電流は、温度に依存し、温度が高くなると急激に増加する。車両は極めて広い温度範囲で使用されるので、温度が高いときに、マルチプレクサの漏れ電流が増加して、電池の電圧を正確に検出できなくなる。
具体的には、抵抗分圧回路に流れる電流を標準で40μAで設計したとする。マルチプレクサ94により発生する漏れ電流を1回路あたり最大20nAと想定すると、4回路で80nAに達する。高電圧を高精度で計測するためA/Dコンバータを13bit(8,192カウント)とした場合、40μA/8,192=4.8nAが1LSBの誤差を発生させる電流となる。20nAでは4.1LSBの誤差であるが、80nAでは16.7LSBに達する。なお、LSBは、Least Significant Bitの略で、要するにADの1ビットの単位である。
本発明は、このような難しい問題を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、複数のマルチプレクサを使用し、かつ抵抗分圧回路の消費電力を小さくし、さらに簡単な回路構成としながら、電池電圧を正確に検出できる車両用の電源装置を提供することにある。
本発明の車両用の電源装置は、前述の目的を達成するために以下の構成を備える。
車両用の電源装置は、電池の電圧を電圧検出回路3で検出し、検出した電池電圧で充放電を制御する。電圧検出回路3は、複数の電池を直列に接続している接続点の電圧を分圧する複数組の抵抗分圧回路5と、抵抗分圧回路5から出力される電圧をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ12と、このA/Dコンバータ12から出力されるデジタル信号を演算して電池電圧を演算する演算回路13と、A/Dコンバータ12と抵抗分圧回路5との間に接続されて、複数の抵抗分圧回路5を時分割にA/Dコンバータ12の入力側に接続する複数のマルチプレクサ4とを備える。電源装置は、抵抗分圧回路5で分圧された接続点の電圧を複数のマルチプレクサ4で順番に切り換えてA/Dコンバータ12に出力し、A/Dコンバータ12が、入力される接続点の電圧をデジタル信号に変換して、演算回路13でもって電池の電圧を検出する。さらに、電源装置は、複数のマルチプレクサ4の出力側にバッファアンプ11を接続し、さらにバッファアンプ11の出力側にサブマルチプレクサ6を接続している。電源装置は、マルチプレクサ4の出力を、バッファアンプ11を介してサブマルチプレクサ6に入力し、マルチプレクサ4とサブマルチプレクサ6を切り換えて、各々の接続点の電圧を順番にA/Dコンバータ12に入力してデジタル信号に変換し、演算回路13が電池電圧を演算して検出する。
本発明の電源装置は、演算回路13が、抵抗分圧回路5から出力される接続点の差電圧から電池の電圧を検出することができる。
さらに、本発明の電源装置は、複数の素電池を直列に接続して電池モジュール2とし、複数の電池モジュール2を直列に接続して電池とすることができる。この電源装置は、各々の電池モジュール2の接続点の電圧を抵抗分圧回路5で分圧してマルチプレクサ4に入力し、演算回路13で電池モジュール2の電圧を検出することができる。
本発明の電源装置は、複数のマルチプレクサを使用し、かつ抵抗分圧回路の消費電力を小さくし、さらに簡単な回路構成としながら、電池電圧を正確に検出できる特徴がある。それは、本発明の車両用の電源装置が、各々のマルチプレクサの出力側にバッファアンプを接続し、このバッファアンプの出力をサブマルチプレクサに接続し、サブマルチプレクサの出力をA/Dコンバータに入力して、電池の電圧を検出するからである。マルチプレクサの出力側に接続されるバッファアンプは、入力インピーダンスを極めて大きくできる。それは、バッファアンプが電圧を増幅する必要がなく、インピーダンスのみを変換する回路であるから、100%負帰還として、入力インピーダンスを大きくできるからである。このため、本発明の電源装置は、従来のように複数のマルチプレクサの出力側を並列に接続することがなく、各々のマルチプレクサの漏れ電流が加算されることがない。図3に示すように、4組のマルチプレクサを備える電源装置においても、マルチプレクサの漏れ電流は、1組のマルチプレクサの漏れ電流のみとなる。このため、4組のマルチプレクサを装備する電源装置において、マルチプレクサの漏れ電流を従来の1/4に減少できる。
さらに、本発明の電源装置は、各々のマルチプレクサの出力にバッファアンプを接続し、バッファアンプの出力をサブマルチプレクサに接続するので、バッファアンプの個数を少なくしながら、漏れ電流の影響を少なくして、電池電圧を正確に検出できる。たとえば、8チャンネルのマルチプレクサを4組使用して、32点の接続点の電圧を検出する回路において、4組のバッファアンプを使用して漏れ電流の影響を少なくできる。漏れ電流の影響は、抵抗分圧回路とマルチプレクサとの間にバッファアンプを接続しても解消できるが、この回路方式によると、接続点の数と同じ数のバッファアンプを使用する必要がある。このため、32チャンネルの接続点の電圧を検出する装置においては、32組のバッファアンプを使用する必要があり、回路構成が複雑になる。これに対して、本発明の電源装置は、多チャンネルの接続点の電圧を検出しながら、少ないバッファアンプを使用して漏れ電流による電圧の測定誤差を少なくできる。このため、回路構成を簡単にしながら、多数の電池の電圧を正確に検出できる特徴がある。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための電源装置を例示するものであって、本発明は電源装置を以下のものに特定しない。
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
図3と図4に示す車両用の電源装置は、電池の電圧を電圧検出回路3で検出し、検出した電池電圧で充放電を制御する。図の電源装置の電池1は、複数の素電池を直列に接続して電池モジュール2として、複数の電池モジュール2を直列に接続している。この電源装置は、複数の電池モジュール2を直列に接続している走行用の電池1と、この走行用の電池1を構成する電池モジュール2の電圧を検出する電圧検出回路3とを備える。
図3の電圧検出回路3は、各々の電池モジュール2の電圧を検出する。したがって、この電源装置は、各々の電池モジュール2の接続点を電圧検出点7として、電圧検出回路3に接続している。なお、電圧検出点7とは、電圧検出回路3が電圧を検出する接続点である。ただし、図示しないが、電圧検出回路は、複数の電池モジュールをひとつのユニットとして、1ユニットの電圧を検出することもできる。たとえば、50個の電池モジュールを直列に接続している電池は、好ましくは50個の全ての電池モジュールの電圧を各々独立して電圧検出回路で検出し、あるいは2個の電池モジュールを1ユニットして2個の電池モジュールの電圧をトータル電圧として検出することもできる。
検出された電池モジュール2の電圧は、電池モジュール2の残容量の検出に使用され、あるいは充放電の電流を積算して演算される残容量の補正に使用され、あるいはまた、残容量が0になって完全に放電されたことを検出して過充電される状態では放電電流を遮断し、さらに満充電されたことを検出して、過充電される状態になると充電電流を遮断するために使用される。
多数の電池モジュール2を直列に接続している走行用の電池1は、同じ電流で充放電される。したがって、全ての電池モジュール2の充電量と放電量は同じになる。しかしながら、必ずしも全ての電池モジュール2の電気特性は、等しく揃って変化するわけではない。とくに、充放電の繰り返し回数が多くなると、各々の電池モジュール2は劣化する程度が異なって、満充電できる容量が変化する。この状態になると、満充電できる容量の減少した電池モジュール2は、過充電されやすく、また過放電もされやすくなる。電池モジュール2は、過充電と過放電で著しく電気特性が劣化するので、満充電できる容量が減少した電池モジュール2が過充電や過放電されると急激に劣化してしまう。このため、走行用の電池1は、多数の電池モジュール2を直列に接続しているが、全ての電池モジュール2の過充電と過放電を防止しながら、すなわち、電池モジュール2を保護しながら充放電することが大切となる。全ての電池モジュール2を保護しながら充放電するために、電圧検出回路3は、各々の電池モジュール2の電圧を検出している。
各々の電池モジュール2は、5個のニッケル水素電池を直列に接続している。この電池モジュール2は、50個を直列に接続して全体で250個のニッケル水素電池を直列に接続してなる出力電圧300Vの電源となる。電池モジュールは、必ずしも5個の電池を直列に接続するものではなく、たとえば、4個以下、あるいは6個以上の二次電池を直列に接続することもできる。また、走行用の電池は、必ずしも50個の電池モジュールを直列に接続する必要はなく、これよりも少なく、あるいは多くの電池モジュールを直列に接続することができる。さらにまた、電池モジュールの二次電池は、リチウムイオン二次電池やニッケルカドミウム電池等の他の二次電池も使用できる。
50個の電池モジュール2を直列に接続している電源装置は、図5に示すように、全体を2ブロックの電池51に分割して、電池モジュール52の電圧を検出することができる。この電源装置は、2ブロックに分割された電池の電池モジュール52の電圧を検出するために、2組の電圧検出回路53を備える。たとえば、全体で50個の電池モジュール52を直列に接続している走行用の電池51は、25個の第1ブロック51Aと、25個の第2ブロック51Bに分割し、あるいは24個の第1ブロックと26個の第2ブロック等と異なる個数に分割してトータルで50個となるように2ブロックに分割することができる。
マルチプレクサ4として、8チャンネルの入力を切り換えできるものを使用する場合、3組のマルチプレクサを使用して24個の電池モジュールの電圧を検出できる。また、4組のマルチプレクサを使用して32個の電池モジュールの電圧を検出できる。したがって、電池装置は、電池モジュールの個数によって、マルチプレクサの使用個数を調整する。図3と図4に示す電源装置は、4組のマルチプレクサ4を使用するので、電圧検出回路3は、最大32個の電池モジュール2の電圧を検出できる。
図4に示す電源装置は、中点電位付近の基準点8のプラス側とマイナス側に直列に複数の電池モジュール2を接続している。図4においては、基準点8は中点電位であるが、多数の電池モジュールを接続している場合においては、中点電位付近であればよい。電圧検出回路3は、基準点8に対する電圧検出点7の電圧を検出し、検出した電圧検出点7の電圧差から各々の電池モジュール2の電圧を演算する。電池1の基準点8は、電圧検出回路3のアースラインに接続される。ただ、電圧検出回路のアースラインは、車両のシャーシーアースには接続されない。感電を防止するためである。
電池モジュール2の接続点である電圧検出点7は、電圧検出ライン10を介して電圧検出回路3に接続される。電圧検出回路3は、電圧検出点7の電圧を検出して、各々の電池モジュール2の電圧を検出する。
電圧検出回路3は、図3と図4に示すように、各々の電池モジュール2の接続点である電圧検出点7の電圧を分圧する抵抗分圧回路5と、抵抗分圧回路5で分圧された電圧を時分割に切り換える複数のマルチプレクサ4と、各々のマルチプレクサ4の出力側に接続しているバッファアンプ11と、バッファアンプ11の出力側に接続しているサブマルチプレクサ6と、サブマルチプレクサ6の出力側に接続しているA/Dコンバータ12と、A/Dコンバータ12から出力されるデジタル信号を演算して電池電圧、すなわち電池モジュール2の電圧を検出する演算回路13とを備える。
抵抗分圧回路5は、ふたつの抵抗器14を直列に接続している直列回路である。抵抗分圧回路5は、電圧検出点7の電圧を分圧してマルチプレクサ4に入力する。電圧検出点7の最高電圧は、数百Vとなって、マルチプレクサ4の最高入力電圧よりも高電圧となる。電源電圧を5〜10Vとするマルチプレクサ4は、最高入力電圧を電源電圧の80%以下とする必要がある。抵抗分圧回路5は、特定の分圧比で電圧検出点7の電圧を降下させる。抵抗分圧回路5の分圧比は、直列に接続している抵抗器14の電気抵抗で特定される。マルチプレクサ4の入力と並列に接続している並列抵抗14Bに比較して、直列に接続している直列抵抗14Aの電気抵抗を大きくして、抵抗分圧回路5の分圧比を大きく、すなわちマルチプレクサ4の入力電圧を低くできる。抵抗分圧回路5を構成する直列回路は、電池の消費電力を少なくするために、ここに流れる検出電流を100μA以下、好ましくは50μA以下と極めて小さくする。
抵抗分圧回路5は、電圧検出点7の電圧を数Vに降圧してマルチプレクサ4に入力する。抵抗分圧回路5が電圧検出点7の電圧を低下させる割合は電気抵抗の比で特定される。抵抗分圧回路5で分圧された電圧は、マルチプレクサ4とバッファアンプ11とサブマルチプレクサ6とA/Dコンバータ12を経て、演算回路13に入力される。演算回路13は、抵抗分圧回路5の分圧比を考慮して、実際の電圧に補正して電池モジュール2の電圧を演算する。たとえば、抵抗分圧回路5の分圧比が1/50であれば、演算回路13は、検出された電圧を50倍して電圧検出点7の電圧とする。
抵抗分圧回路5は、各々の電圧検出点7に接続される。すなわち、全ての電圧検出点7の電圧は、抵抗分圧回路5で降圧してマルチプレクサ4に入力される。各々の電圧検出点7に接続される抵抗分圧回路5は、マルチプレクサ4の入力電圧がほぼ等しくなる分圧比に設定される。
各々のマルチプレクサ4は、出力側にバッファアンプ11を接続している。バッファアンプ11は、入力電圧を増幅することなく、また位相を反転することなく出力する。バッファアンプ11は、FET入力のものであって、入力インピーダンスが極めて大きいものが使用される。このバッファアンプ11は、入力側の漏れ電流をpAオーダと極めて小さいものを使用する。バッファアンプ11は、全てのマルチプレクサ4の出力側に接続される。各々のマルチプレクサ4の出力側に接続しているバッファアンプ11は、図3に示すように、バッファアンプ11の出力側に並列に漏れ電流が流れるのを遮断する。バッファアンプ11が、マルチプレクサ4の出力側を互いに分離してサブマルチプレクサ6に入力するからである。接続入力インピーダンスが極めて大きく、マルチプレクサ4の出力側をバッファアンプ11を介してサブマルチプレクサ6に接続するからである。
バッファアンプ11の出力は、サブマルチプレクサ6を介してA/Dコンバータ12に入力される。サブマルチプレクサ6は、バッファアンプ11を介してマルチプレクサ4から入力される信号を順番に切り換えてA/Dコンバータ12に入力する。たとえば、サブマルチプレクサ6は、第1のマルチプレクサ4A、第2のマルチプレクサ4B、第3のマルチプレクサ4C、第4のマルチプレクサ4Dの順番に切り換えて、バッファアンプ11から入力される信号をA/Dコンバータ12に出力する。サブマルチプレクサ6が第1のマルチプレクサ4Aからの入力信号をA/Dコンバータ12に出力するタイミングにおいて、第1のマルチプレクサ4Aは順番に8チャンネルの信号を切り換えて出力する。その後、サブマルチプレクサ6は第2のマルチプレクサ4Bの入力を出力するように切り換え、このタイミングで第2のマルチプレクサ4Bは順番に8チャンネルの入力を切り換えて出力する。
たとえば、第1のマルチプレクサ4Aのチャンネル0の入力をA/Dコンバータ12に出力する場合、第1のマルチプレクサ4Aのチャンネル0と、サブマルチプレクサ6のチャンネル0をオンに切り換える。このとき、第1のマルチプレクサ4A以外の信号はサブマルチプレクサ6に入力されないので、第2のマルチプレクサ4Bと第3のマルチプレクサ4Cと第4のマルチプレクサ4Dは、全てのチャンネルを必ずしもオフに切り換える必要はない。ただ、オフに切り換えることもできる。
各々のマルチプレクサ4とサブマルチプレクサ6は、制御回路(図示せず)や演算回路13に制御されて、電池モジュール2の接続点の電圧を順番にA/Dコンバータ12に出力する。
電池モジュール2の電圧は、電池モジュール2の両端を接続している接続点の電圧差として検出される。たとえば、図4において電池モジュールM1の電圧E1は、V1−V0として検出され、電池モジュールM2の電圧E2は、V2−V1で検出される。電圧検出点7の電圧差から電池モジュール2の電圧を検出する演算は、演算回路13で処理される。図の電圧検出回路3は、マルチプレクサ4の出力側にバッファアンプ11を介してサブマルチプレクサ6を接続し、サブマルチプレクサ6の出力側にA/Dコンバータ12を接続している。この電圧検出回路3は、マルチプレクサ4とサブマルチプレクサ6を切り換えて、電圧検出点7の電圧を順番にA/Dコンバータ12に入力する。A/Dコンバータ12は入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換して演算回路13に出力する。演算回路13は、入力されるデジタル信号の電圧信号を演算して、電池モジュール2の電圧を検出する。
従来の電源装置を示す回路図である。 複数のマルチプレクサを備える電源装置の一例を示す概略構成図である。 本発明の一実施例にかかる車両用の電源装置の概略構成図である。 図3に示す電源装置の回路構成を示す回路図である。 本発明の他の実施例にかかる車両用の電源装置の概略構成図である。
符号の説明
1…電池
2…電池モジュール
3…電圧検出回路
4…マルチプレクサ 4A…第1のマルチプレクサ
4B…第2のマルチプレクサ
4C…第3のマルチプレクサ
4D…第4のマルチプレクサ
5…抵抗分圧回路
6…サブマルチプレクサ
7…電圧検出点
8…基準点
10…電圧検出ライン
11…バッファアンプ
12…A/Dコンバータ
13…演算回路
14…抵抗器 14A…直列抵抗
14B…並列抵抗
51…電池 51A…第1ブロック
51B…第2ブロック
52…電池モジュール
53…電圧検出回路
82…電池モジュール
83…電圧検出回路
84…マルチプレクサ
87…接続点
88…基準点
94…マルチプレクサ
95…抵抗分圧回路
97…接続点

Claims (3)

  1. 電池の電圧を電圧検出回路(3)で検出し、検出した電池電圧で充放電を制御する車両用の電源装置であって、
    電圧検出回路(3)が、複数の電池を直列に接続している接続点の電圧を分圧する複数組の抵抗分圧回路(5)と、抵抗分圧回路(5)から出力される電圧をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ(12)と、このA/Dコンバータ(12)から出力されるデジタル信号を演算して電池電圧を演算する演算回路(13)と、A/Dコンバータ(12)と抵抗分圧回路(5)との間に接続されて、複数の抵抗分圧回路(5)を時分割にA/Dコンバータ(12)の入力側に接続する複数のマルチプレクサ(4)とを備え、
    抵抗分圧回路(5)で分圧された接続点の電圧を複数のマルチプレクサ(4)で順番に切り換えてA/Dコンバータ(12)に出力し、A/Dコンバータ(12)が入力される接続点の電圧をデジタル信号に変換して、演算回路(13)でもって電池の電圧を検出するようにしてなる車両用の電源装置であり、
    複数のマルチプレクサ(4)の出力側にバッファアンプ(11)を接続し、さらにバッファアンプ(11)の出力側にサブマルチプレクサ(6)を接続しており、
    マルチプレクサ(4)の出力を、バッファアンプ(11)を介してサブマルチプレクサ(6)に入力し、マルチプレクサ(4)とサブマルチプレクサ(6)を切り換えて、各々の接続点の電圧を順番にA/Dコンバータ(12)に入力してデジタル信号に変換し、演算回路(13)が電池電圧を演算して検出するようにしてなる車両用の電源装置。
  2. 演算回路(13)が、抵抗分圧回路(5)から出力される接続点の差電圧から電池の電圧を検出する請求項1に記載される車両用の電源装置。
  3. 電池が、複数の素電池を直列に接続して電池モジュール(2)として、複数の電池モジュール(2)を直列に接続しており、各々の電池モジュール(2)の接続点の電圧を抵抗分圧回路(5)で分圧してマルチプレクサ(4)に入力し、演算回路(13)が電池モジュール(2)の電圧を検出するようにしてなる請求項2に記載される車両用の電源装置。
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