JP2009136244A - ゼリー状菓子製造用凝固液、ゼリー状菓子及びこれらの製造方法 - Google Patents

ゼリー状菓子製造用凝固液、ゼリー状菓子及びこれらの製造方法 Download PDF

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Abstract


【課題】 ゼリー状菓子製造用の凝固液として寒天とゼラチンを使用しながら適度な弾力性があり滑らかな食感で口に入れた瞬間に溶け、そして幼児や高齢者(介護食としても)にも安心して食してもらうことができる理想の滑らかさを追求したゼリー状菓子を製造する。
【解決手段】 野菜や果実から抽出した汁からなる液体に寒天を0.5重量パーセント濃度以下、さらに好ましくは、0.3重量パーセント濃度以下となるよう加えて、50℃よりも高い温度、好ましくは90℃の温度に加熱してから約50℃の温度に下げ、前記液体と同量の水にゼラチンを前記寒天と同量の重量パーセント濃度となるよう加えて水でふやかしてから、湯せんにかけ約50℃の温度に上げて、これらの液体を同じ温度条件として混合する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ゼリー状菓子製造用の凝固液として寒天とゼラチンを使用しながら適度な弾力性があり滑らかな食感で口に入れた瞬間に溶け、そして幼児や高齢者(介護食としても)にも安心して食してもらうことができる理想の滑らかさを追求したゼリー状菓子製造用凝固液、ゼリー状菓子及びこれらの製造方法に関する。
近年の菓子ブームにより菓子スイーツは種々のものが製造されるようになっている。他方、健康ブームの高まりにより、無添加の食品や材料として有機栽培の野菜等を使用することも盛んになっている。
菓子製造の現場では、ゼリー状の菓子の製造に、葛粉・こんにゃく粉・コーンスターチなどのほかにも、凝固剤(ゲル化剤)として、ゼラチン、カラギーナン、ペクチン、寒天
、ジェランガム等が使用されている(特許文献1)。しかし、無添加で設計となるとゲル化剤としては限定されてくる。自然な添加剤として、ゼラチン・寒天・カラギーナン・ペクチン等があるが、その中でも原材料が植物性のカラギーナン・ペクチンは国の食品添加物として認定されており、無添加だと表示する上で妥当なゲル化剤とは言えない。また、同じような性質を持つ、葛粉・こんにゃく粉・コーンスターチなどもあるが、滑らかな食感を追及するには至らなかった。
特開平10−179034号公報
ところで、寒天とゼラチンは、各々ゼリー状の菓子に使用されることは知られており、寒天は常温では溶けないが、ゼラチンは常温では溶ける。このため、ゼラゼラチンで作ったゼリーは口溶けがよく、寒天で作ったゼリーは少し固めに仕上がる。また、寒天は和菓子(例えば羊羹)で多く使用され、ゼラチンは洋菓子(例えばプリン)で多く使用される傾向にある。
しかし、本発明者が求める理想の口溶け感は、ゼリー状菓子を口に入れた瞬間に溶け、しかも滑らかさをできるだけ高めたいと考え、他方、いわゆる添加物を含まず、幼児や高齢者(介護食としても)にも安心して食してもらうことを理想に掲げると、寒天とゼラチンであってもその添加は限りなく少なくする必要があると考えていた。
この点、寒天で実験すると、水200mlに対し0.5%の重量パーセント濃度添加すると、固さが残り上記理想の食感までには至らなかった。そこで、水200mlに対し0.34%の重量パーセント濃度までに落とすと、固まらなくなってしまった。また、ゼラチンで実験すると、水200mlに対し0.2%の重量パーセント濃度添加すると、もったりとした弾力感が残り上記理想の食感までには至らなかった。そこで、水200mlに対し1.5%の重量パーセント濃度までに落とすと、固まらなくなってしまった。他方、ゼラチンや寒天と同じような性質を持つ、葛粉・こんにゃく粉・コーンスターチなどで混合し実験したが、寒天とゼラチンの混合のような滑らかな食感には至らなかった。
そこで本発明の目的は、カラギーナンやペクチン等を使用せずに、ゼリー状菓子製造用の凝固液として寒天とゼラチンを使用しながら適度な弾力性があり滑らかな食感で口に入れた瞬間に溶け、そして幼児や高齢者(介護食としても)にも安心して食してもらうことができる理想の滑らかさを追求したゼリー状菓子製造用凝固液、ゼリー状菓子及びこれらの造方法を提供することにある。
本発明者は、さらに実験を繰り返し、寒天とゼラチンを各々水200mlに対し0.5%添加して混合すると、上記理想の滑らかさまでは至らなかったが、ゼリー状菓子として固まらせることに成功した。そこで、上記理想の滑らかさまで至らせしめるために、水200mlに対し寒天とゼラチンとを各々0.3%の重量パーセント濃度で同量混合することが上記理想の滑らかさを出すには必要であることを突き止めた。
そこで、本発明は、水と寒天とゼラチンのみを混合して凝固液としたことを特徴とする。滑らかさにこだわるが故に、2種のゲル化剤である寒天とゼラチンを最小濃度まで落とし試作したところ、寒天とゼラチンのそれぞれの特徴が生かされる凝固液が得られ、このゼリー状菓子製造用凝固液は、野菜や果実やこれらの混合材料等を主原料とするゼリー状菓子としての加工を施し易いものとなった。
本発明としては、水に対する寒天とゼラチンの重量パーセント濃度を各々0.5%以下、さらに好ましくは、水に対する寒天とゼラチンの重量パーセント濃度を各々0.3%以下として同量混合することが好ましい。寒天は、0.5%の重量パーセント濃度では固まらないものであるが、ゼラチンと混合すると0.5%以下の重量パーセント濃度でも固まることが分かった。そして、寒天とゼラチンのどちらの性質が勝っても、固くなりすぎたりもったりしたりして、適度な弾力性があり滑らかな食感で口に入れた瞬間に溶け、そして幼児や高齢者(介護食としても)にも安心して食してもらうことができる理想の滑らかにはならなかった。
そこで、本発明によれば、2種のゲル化剤である寒天とゼラチンとを同量混合させることとした。寒天とゼラチンとを最小の重量パーセント濃度まで落とし試作したところ、滑らかな食感が得られる傾向があり、この食感を更に高めるためには、さらに上記重量パーセント濃度を落とし凝固液とすると良く、しかも同量とすることで、どちらの性質が勝つことがなく、固くなりすぎたりもったりしたりすることがないことが分かった。
また、寒天とゼラチンのどちらの性質が勝っても、固くなりすぎたりもったりしたりするが、これを防止するためには、温度の選定は重要である。具体的な製造方法としては、前記寒天を水に入れ50℃よりも高い温度に加熱してから約50℃の温度に下げ、前記ゼラチンを上記と同量の水でふやかしてから、湯せんにかけて約50℃の温度に上げて、これら同じ温度条件として同量混合することが好ましい。
寒天は室温で固まり、ゼラチンは室温では固まらない。これら両者の性質の違いに着目して、どちらかの性質も勝ってしまうようなことがないようにするためには、上記の温度の選定が重要である。このように製造すると、寒天とゼラチンとが同量で同じ温度であることから、互いの性質に悪影響を与えることなくゼリー状菓子を製造することができる。すなわち、寒天とゼラチンを混合する上で、温度を気にせず作った場合、どちらかの性質が勝ってしまい固くなりすぎたり、もったりしすぎたりするが、寒天とゼラチンとが同量で同じ温度であることから、互いの性質が相乗効果として表れるように考えられる。
本発明によれば、水と寒天とゼラチンとを混合して凝固液としたことにより、各々の凝固のために使用される重量パーセント濃度よりも低くてもゼリー状菓子としての凝固液となり、いわゆる添加剤と認識されるカラギーナンやペクチン等を使用せずに、ゼリー状菓子を製造することができる。そして、水200mlに対し寒天とゼラチンとを各々0.5%以下の重量パーセント濃度で、さらに好ましくは、水200mlに対し寒天とゼラチンとを各々0.3%の重量パーセント濃度で同量混合することにより、寒天とゼラチンのどちらの性質が勝つことなく、固くなりすぎたりもったりしたりすることなく、適度な弾力性があり滑らかな食感で口に入れた瞬間に溶け、そして幼児や高齢者(介護食としても)にも安心して食してもらうことができる理想の滑らかのゼリー状菓子を製造することが可能になる。
以下、発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明を適用した第1の実施の形態のゼリー状菓子製造用凝固液を使用して作った紫芋ゼリーの斜視図である。本実施の形態の紫芋ゼリーは、生鮮野菜とストレート果汁にこだわった設計であり、トレーQ1に入れた状態で食する設定である。アレルギー対策と糖尿病等への配慮し、卵と牛乳は使用していない。幼児や高齢者(介護食としても)にも安心して食してもらうためである。ゼリー状菓子1とは、羊羹やプリンやヨーグルト状のものを広く含むものである。ただし、本発明者が求める理想の滑らかさを醸し出すためには、ヨーグルトの食感よりも柔らかく滑らかで、口に入れると瞬間に溶けて口の中で広がる食感である。
上記紫芋ゼリーの配合割合は、下記の通りである。
水:44%
豆乳:12.4%
紫芋:33%
砂糖:10%
寒天:0.3%
ゼラチン:0.3%
ここで、ゼラチンは、牛・豚由来のものであると特に匂いが気になり、また、BSE問題や豚インフルエンザという問題点からも魚由来のものを使用することに決定した。
本実施の形態のゼリー状菓子は、図3の製造フローに従って製造される。上記紫芋ゼリー1のように、生野菜又は加熱処理した野菜や、果汁を入れてミキシングする(図3の符号S1)。野菜としては、金時草、黒豆、かぼちゃ、トマト、茄子、蓬、紫イモ、キャベツ、人参等を使用した。金時草は、胆石症予防や骨粗しょう症予防の効能があり、黒豆は、胆石症予防や骨粗しょう症予防の効能があり、かぼちゃは貧血予防や口腔炎予防の効能があり、トマトは高血圧症予防や風邪の予防の効能があり、茄子は動脈硬化予防や肥満症予防の効能があり、蓬は高血圧症予防や視力回復の効能があり、紫イモは肩こりや便秘予防や大腸がん予防の効能がある。
上記ミキシングの後、寒天を0.5重量パーセント濃度以下、さらに好ましくは、0.3重量パーセント濃度以下となるよう加える(図3の符号S2)。
寒天は、寒天(かんてん)は、テングサ(天草)、オゴノリなどの紅藻類の粘液質を凍結・乾燥したものである。ほとんどカロリーがないこと、腸において油や糖分の吸収をさまたげることから、ダイエット食品として、また、前述のアガロオリゴ糖に着目した健康食品としても注目されている。粉末寒天、フレーク寒天、固形寒天、角寒天、糸寒天等があるが、粉末寒天が溶解性に優れ、高純度で品質が均一なことから、粉末寒天を使用した。寒天は、室温(18℃から25℃)で固まる、ゲル化の強いものである。
ゼラチンは、ゼリーを固める元で、動物の骨や皮に含まれているたんぱく質の一種コラーゲンよりつくられている。骨にも多くのコラーゲンが含まれカルシウム間の結合や骨の強度、柔軟性を保つ役割を担っている。この他、内臓や血管、目にもコラーゲンは必須の成分で、不足すると白内障や血管の弾力性が失われるなど様々な障害があらわれる。身体に欠かせないコラーゲンから作られるゼラチンにはトリプトファンを除く18種類の必須アミノ酸が含まれ、また100gあたり338カロリーと低カロリーである。ゼラチンは、・動物性でカロリーがあり、美肌効果やダイエット効果がある。ゼラチンは、10℃以下でしか固まらない。
本発明者は、寒天とゼラチンとをそれぞれ1%と0.8%と0.5%とそれぞれ固さの実験をした。少し固めで口溶けが良く、しかも滑らかさを出すためには、水200mlに対し0.5%添加すると良いことが分かった。しかし、更に理想の滑らかさを追求するためには、濃度を落とすことが必要であった。最終的には水200mlに対し0.3%の重量パーセント濃度0.3%が適していることが良いことが分かった。重量パーセント濃度を落としても、寒天とゼラチンとを混合させることでゼリー状菓子として固まらせることができた。
寒天を約90℃で加熱してから約50℃に下げた。この寒天を野菜や果汁に加えてから、この加えた液に対して、次にゼラチンを添加する(図3の符号S3)。ゼラチンは、水でふやかしてから、湯せんにかけ約50℃に上げて、これら同じ温度条件として混合する。すなわち、同じ温度帯として混合する。なお、野菜汁のみ果汁のみに寒天等を加えても良い。なお、適宜、蜂蜜等を加えても良い。
次いで、上記のように加えた液状態のものを(ゼリー状菓子)冷蔵庫に入れ、0℃〜10℃程度に保管してゼリー液を固めた(図3の符号S4)。寒天は室温でも固まるが、ゼラチンは室温では固まらず約0℃以下にしないと固まらない。室温で放置すると、寒天の性質が強く出てしまうため、0℃〜10℃程度に冷却することで、寒天の性質が強く出る事態を抑制して、両者の性質の違いに基づく凝固が調和を持ってゼリー状菓子1に製造する。なお、水と寒天とゼラチンとを混合して凝固液として使用することも可能である(図4)。この場合の製造フローを図4に示す。
(第2の実施の形態)
図2は、上層が人参ゼリーの層であり、下の層が上記紫芋ゼリーの2層構造のゼリー状菓子11の断面図である。このように、本実施の形態のゼリー状菓子は複数の層構造にすることができる。第1層(下層)は、上記第1の実施の形態の紫芋ゼリーを約50℃の液体状態でトレーQ11に入れた後、上記のように冷蔵庫に入れて固めてから、その上に、今度は紫芋ゼリーと同じように製造した人参ゼリーNを約50℃の液体状態で冷蔵庫で冷却して積層状態にしたものである。ここで、上記第1の実施の形態の紫芋ゼリーを約50℃にトレーQ11に入れ、これが固まってから(室温で固まっても良く、冷蔵庫での冷却で固まっても良い。)、その状態の上に人参ゼリーNを液状態で入れて積層状態にしても良い。
以上、本実施の形態では、一つ一つトレーQ1,Q11に入れてゼリー状菓子1,11を製造したが、大きなトレーで製造して、これをカットすることも可能である。また、本実施の形態では、無添加、無香料で無着色の菓子を製造する場合を例に説明したが、蜂蜜や砂糖を適宜加えて製造することも可能であり、本発明の趣旨を脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
本発明の第1の実施形態のゼリー状菓子を示す外観図である。 本発明の第2の実施形態のゼリー状菓子を示す断面図である。 上記各実施形態のゼリー状菓子の製造手順を示すフローチャートである。 上記各実施形態のゼリー状菓子の製造手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1,11 ゼリー状菓子、
Q1,Q11 トレー、

Claims (9)

  1. 水と寒天とゼラチンのみを混合して凝固液としたことを特徴とするゼリー状菓子製造用凝固液。
  2. 水に対する寒天とゼラチンの重量パーセント濃度を各々0.5%以下、さらに好ましくは、水に対する寒天とゼラチンの重量パーセント濃度を各々0.3%以下として同量混合することを特徴とする請求項1記載のゼリー状菓子製造用凝固液。
  3. 請求項1又は2記載のゼリー状菓子製造用凝固液を使用して、野菜や果実から抽出した汁に混合して製造するゼリー状菓子。
  4. 野菜や果実から抽出した汁からなる液体に対する寒天の重量パーセント濃度が0.5%以下、さらに好ましくは、野菜や果実から抽出した汁からなる液体に対する寒天の重量パーセント濃度が0.3%以下とされるとともに、上記寒天と同量のゼラチンを混合して製造するゼリー状菓子。
  5. 水と寒天とゼラチンとを所定の温度で混合して凝固液としたことを特徴とするゼリー状菓子製造用凝固液の製造方法。
  6. 水に対する寒天とゼラチンの重量パーセント濃度を各々0.5%以下、さらに好ましくは、水に対する寒天とゼラチンの重量パーセント濃度を各々0.3%以下として同量混合することを特徴とする請求項5記載のゼリー状菓子製造用凝固液の製造方法。
  7. 前記寒天を水に入れ50℃よりも高い温度に加熱してから約50℃の温度に下げ、前記ゼラチンを上記と同量の水でふやかしてから、湯せんにかけて約50℃の温度に上げて、これら同じ温度条件として同量混合することを特徴とする請求項5記載のゼリー状菓子製造用凝固液の製造方法。
  8. 請求項5ないし7のいずれか一項記載のゼリー状菓子製造用凝固液を使用して、野菜や果実から抽出した汁に混合して製造することを特徴とするゼリー状菓子の製造方法。
  9. 野菜や果実から抽出した汁からなる液体に寒天を0.5重量パーセント濃度以下、さらに好ましくは、0.3重量パーセント濃度以下となるよう加えて、50℃よりも高い温度、好ましくは90℃の温度に加熱してから約50℃の温度に下げ、前記液体と同量の水にゼラチンを前記寒天と同量の重量パーセント濃度となるよう加えて水でふやかしてから、湯せんにかけ約50℃の温度に上げて、これらの液体を同じ温度条件として混合することを特徴とするゼリー状菓子の製造方法。
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