JP2009133114A - 壁付き柱部材の補強構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】短時間の施工により既存の構造物の補強を行うことを可能とした既存の壁付き柱部材の補強構造を提供する。
【解決手段】側面に壁部材11が接続された柱部材10と、柱部材10の縦筋と交差する方向に配設される補強体20と、補強体20を固定する複数のアンカー材30,30,…と、を備える壁付き柱部材の補強構造1であって、補強体20が、上下方向で互いに間隔を空けて配設された複数の帯状部材21,21,…を備えており、帯状部材21が、柱部材10と壁部材11との接続部の角部に沿って柱部材10および壁部材11の表面に固定されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、壁付き柱部材の補強構造に関する。
既存の鉄筋コンクリート構造物の中には、大きな地震力を受けた場合に、柱部材にせん断破壊が生じ、構造物の崩壊に至る可能性が高いものがある。
そのため、既存の構造物の柱部材に対して、大きな地震力が作用してもせん断破壊が生じない補強を行う場合がある。このような既存の構造物に対する補強は、構造物の崩壊を防ぐために重要であるばかりでなく、新規に作り変えることによる建設費や、作り変えに要する期間中、供用が停止されることによる社会生活への影響を最小限に抑えるためにも重要である。
従来、柱部材のせん断補強方法としては、コンクリートの増し打ち工法や、鋼板巻き立て工法等により、部材厚を大きくすることで、構造物の耐力を向上させる工法が一般的に行われている。
また、特許文献1には、図7(a)に示すように、断面矩形の鉄筋コンクリート柱110に対して、各角部に配置されたコーナーピース120,120,…をボルト130,130,…等により締め付けることで柱110を圧縮し、柱110の膨張およびひび割れを抑制する補強構造が記載されている。
しかし、コンクリートの増し打ち工法や鋼板巻き立て工法は、補強後の部材厚が増大してしまうため、例えば、上下水道浄化施設の場合には貯水能力や処理能力が減少し、鉄道構造物等の場合は建築限界を満足しなくなるおそれがあった。
また、特許文献1に記載の柱110の周囲を囲むように補強部材120,130を配設する補強構造は、耐震壁や袖壁等の構造壁が一体的に設けられた壁付き柱部材に適用する場合は、壁を部分的に切断する必要があるため、切断部分を補強する必要が生じるなど、施工が煩雑であるとともに、施工費が高価であった。
そのため、特許文献2には、図7(b)に示すように、側面に壁部材211,211が接続された既存のコンクリート柱210に対して、一面側から柱210の前後方向に補強部材挿入用長孔を形成し、この補強部材挿入用長孔にせん断補強部材220を挿入するとともに残部空間にグラウト材等の充填材を充填してせん断補強部材220と柱210とを一体化するする補強構造が開示されている。これにより、既存の柱210の部材厚を増加させることなく、また、柱210に接続された壁部材211に損傷を与えることなくせん断補強を行っている。
特開2000−34842号公報 特開2001−110365号公報
ところが、前記せん断補強方法は、大地震等により生じる大きなせん断力等に対して、十分な耐力発現させることを目的として、多数のせん断補強部材220を柱部材210の全体に配置する必要があり、深い補強部材挿入用長孔の削孔と充填作業により、施工に長時間を要していた。
一方、供用中の構造物の中には、例えば鉄道構造物のように、長時間にわたって供用を休止することができず、深夜等の限られた時間内でしか補強工事を行うことができない場合がある。
また、前記せん断補強方法は、一方向のみからの補強であるため、柱部材の前後方向に生じるせん断破壊に対しては十分な耐力を発現するものの、柱部材の左右方向に生じるせん断破壊に対しては、十分な効果が得られない場合があり、この方向でのせん断破壊が生じた場合に、崩壊する虞があった。
本発明は、前記の問題点を解決することを目的とするものであり、短時間の施工により既存の構造物の補強を行うことを可能とした既存の壁付き柱部材の補強構造を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明の壁付き柱部材の補強構造は、側面に壁部材が接続された柱部材と、前記柱部材の縦筋と交差する方向に配設される補強体と、前記補強体を固定する複数のアンカー材と、を備える壁付き柱部材の補強構造であって、前記補強体が、上下方向で互いに間隔を空けて配設された複数の帯状部材を備えており、前記帯状部材が、前記柱部材と前記壁部材との接続部の角部に沿って該柱部材および該壁部材の表面に固定されていることを特徴としている。
かかる壁付き柱部材の補強構造によれば、上下方向で間隔をあけて複数の帯状部材を備えた補強体を配設することで補強を行うため、壁付き柱部材の全体に対して補強を行う従来の補強構造に比べて短時間で施工を行うことが可能である。
また、補強体の設置には、柱部材への深い削孔を多数行うことを必要としないため、簡易な施工により行うことを可能としている。
さらに、補強体を柱部材と壁部材との接続部の角部(入隅)に沿って、つまり、補強体を柱部材と壁部材とに跨って補強体を配設することで、作用応力を分散させる補強効果が期待できる。
また、前記補強体同士の上下方向の間隔が、前記柱部材の部材厚以下の大きさであれば、せん断破壊が生じた場合であっても、柱部材の主筋のはらみ出しを防止することが可能となり、好適である。
なお、前記壁付き柱部材の補強構造における補強体は、複数の帯状部材を組み合わせることにより格子状に形成されていてもよい。
また、前記補強体が、柱固定部と壁固定部とを有し、前記柱部材と前記壁部材との角部に応じて平面視L字状に形成された帯状部材を備えていてもよく、さらにこの帯状部材と直交するように立設されたリブプレートを備えていてもよい。
また、前記壁固定部の長さが、前記柱部材の部材厚以下であれば、補強体としての機能を確保しつつ、補強体の小型化が可能となるため、施工性が向上する。
また、前記複数のアンカー材が、最大でも前記柱部材または前記壁部材の部材厚の半分程度までの間隔により配置されていれば、せん断破壊が生じた場合であっても、アンカー材による帯状部材の固定を維持することが可能となる。
さらに、前記アンカー材の埋め込み長さが、該アンカー材の直径の15倍以上であれば、せん断破壊が生じた場合であっても、アンカー材により斜めひび割れの進行を抑えることが可能となるため、好適である。
本発明の壁付き柱部材の補強構造によれば、短時間の施工により既存構造物の補強を行うことが可能となる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。
<第1の実施の形態>
第1の実施の形態について、図1乃至図3を参照して説明する。
第1の実施の形態に係る壁付き柱部材の補強構造1は、図1に示すように、側面に壁部材11,11が接続された柱部材10と、柱部材10の表面に沿って配置される補強体20と、補強体20を固定する複数のアンカー材30,30,…とを備えて構成されている。第1の実施の携帯に係る補強体20は、上下方向に互いに間隔P1をあけて水平に配設される複数の帯状部材21,21,…により構成されている。
柱部材10は、図1に示すように、断面矩形に形成されており、周囲に沿って、所定のピッチにより縦筋(主筋)R,R,…が所定の被り厚を確保した状態で配筋された鉄筋コンクリート部材である。
柱部材10の左右の側面には、壁部材11,11が一体に接続されている。
ここで、第1の実施の形態における前後左右の方向は、図1に示す方向に統一する。
図2に示すように、帯状部材21は、平板鋼板を折り曲げることによりコの字状の柱固定部22と直線状の壁固定部23,23とを備えて構成されており、柱部材10と壁部材11との接続部の角部(入隅)の表面に沿うように柱部材10および壁部材11,11に跨って配設されている。また、帯状部材21は、図1に示すように、水平となるように、かつ、上下方向で互いに間隔を空けて複数段設置されている。
帯状部材21同士の上下方向の間隔P1(上下に配設された帯状部材21,21の中心から中心までの距離)は、柱部材10の部材厚さT1以下となるように構成されている。ここで、本実施形態における柱部材10の部材厚さT1とは、柱部材10の前後方向の厚さ、つまり壁部材11と直交する方向における柱部材10の厚さをいう。
なお、帯状部材21同士の上下方向の間隔P1は、せん断破壊により急激な破壊が生じた場合であっても、柱部材10が地震前の常時の自重を保持して、柱部材10の急激な崩壊を防ぐことが可能な程度の補強ができるように、柱部材10の部材厚さT1以下に設定されている。
本実施形態では、図3(a)に示すように、帯状部材21として、柱固定部22と壁固定部23,23とを一体に形成するものとしたが、帯状部材21の構成は、限定されるものではなく、適宜設定することが可能である。例えば、図3(b)に示すように、L字状の帯状部材23’,23’とコの字状の帯状部材22’とを組み合わせて補強部材21’を構成してもよく、また、図3(c)に示すように、L字状の帯状部材22”,22”,23”,23”を組み合わせることにより補強部材20”を構成してもよい。
柱固定部22は、図2に示すように、柱部材10の表面に沿う部分であり、本実施形態では、柱部材10と壁部材11との一方の角部から他方の角部までを囲うようにコの字状に形成された部分が該当する。なお、柱固定部の形状は限定されるものではなく、縦筋(主筋)Rの配筋ピッチ以上の長さを有していればよい。
また、壁固定部23は、柱部材10の部材厚T以下の長さを有して形成された直線部分であって、壁部材11に固定されている。
帯状部材21は、所定の間隔a1により配設された複数のアンカー材30,30,…により柱部材10および壁部材11の表面に圧着されている。
図3(a)に示すように、帯状部材21には、予め柱部材10の縦筋R1の配筋ピッチと同間隔でアンカー孔24,24,…が形成されている。なお、アンカー孔24のピッチは、柱部材10または壁部材11の部材厚の半分以下であれば、限定されるものではない。つまり、柱固定部22に形成されるアンカー孔24の間隔は、柱部材10の部材厚T1の半分以下、壁固定部23形成されるアンカー孔24の間隔は、壁部材11の部材厚T2(図2参照)の半分以下となるように構成されている。
また、アンカー孔24は、アンカー材30の施工により柱部材10および壁部材11に配筋された主筋(縦筋R等)に損傷を与えることがないように、柱部材10および壁部材11の施工時の配筋図や非破壊試験の情報をもとに、縦筋R等にアンカー材30が接触することがない位置に形成するものとする。さらにアンカー孔24は、アンカー材30の配置に応じて、現地にて形成してもよい。
アンカー材30には、一般的に使用されているアンカーピンを使用するものとし、図2に示すように、アンカー材30同士の間隔a1が壁構造物10に配筋された縦筋(主筋)Rの間隔と同間隔となるように配置する。このようなアンカー材30としては、機械式アンカーピン、樹脂接着系アンカーピン、樹脂接着併用型機械式アンカーピン等、適宜公知のアンカーピンの中から選定して使用すればよい。
ここで、アンカー材30の間隔a1は、「棒部材において計算上せん断補強鋼材が必要な場合は、スターラップの間隔は、部材の有効高さの1/2倍以下で、かつ、300mm以下としなければならない」(「コンクリート標準示方書 構造性能照査編」土木学会より)との指針の記載に基づき、柱部材10のせん断補強体としての機能も有するアンカー材30同士の間隔a1を、柱部材10または壁部材11の部材厚T1,T2の半分以下に設定することで、アンカー材30によるせん断補強強をも行うものとしている。
アンカー材30の埋め込み長さは、アンカー材30の直径の15倍以上、かつ、縦筋(主筋)Rの被り厚さの2倍以上、なおかつ、柱部材10または壁部材11の部材厚T1,T2の1/2以下とする。
ここで、アンカー材30の埋め込み長さは、アンカー材30の先端が、被り厚さよりも内部に配置されるように、被り厚さの2倍以上とするとともに、「曲げとせん断を受ける場合はアンカーの埋め込み長さは15φ以上とする」(「あと施工アンカー工法設計施工の手引き」、財団法人鉄道総合技術研究所)に基づき、設定されている。なお、アンカー材30の埋め込み長さはこれに限定されるものではない。
以上、第1の実施の形態に係る補強構造1によれば、柱部材10の上部および下部において縦筋(主筋)Rに沿って発生する斜めひび割れに対して、上下方向で柱部材10の部材厚T1以下の間隔により配設されている複数の帯状部材21,21,…が、ひび割れの進行を抑えるため、急激に柱部材10が崩壊することを防止する。
また、帯状部材21は、縦筋(主筋)Rの配筋ピッチと同間隔で配置されたアンカー材30,30,…により固定されているため、柱部材10にせん断破壊が生じた際に、縦筋(主筋)Rのはらみ出しを抑えることを可能としている。
また、帯状部材21を固定するアンカー材30の埋め込み長が、柱部材10の被り厚さの2倍以上であるため、せん断破壊により柱部材10に斜めひび割れ等が発生した場合であっても、アンカー材30に定着力により急激な破壊の進行を抑え、急激に柱部材10が崩壊することを防止する。
また、アンカー材30の埋め込み長は、柱部材10または壁部材11の部材厚T1,T2の1/2以下であるため、深い削孔を要することなくアンカー材30の設置を行うことができ、施工性に優れている。
また、アンカー材30の位置決めは、帯状部材21を定規として、予め帯状部材21に形成されたアンカー孔24を利用して行うため、施工性に優れている。
したがって、第1の実施の形態に係る補強構造1によれば、短時間で既存の壁付き柱部材10の補強を行うことができるため、供用中の構造物であって、施工時間に限りのある構造物であっても、短時間の施工により、利用者の安全性を確保できる。つまり、柱部材10にせん断破壊が生じた場合であっても、急激な破壊の進行を抑止することが可能であるため、急激に柱部材10が崩壊することを防止することで、利用者の安全性を確保することを可能としている。
また、補強構造1によれば、大地震等により大きな応力が作用することでせん断破壊が生じた場合であっても、例えば利用者が避難することができる程度の時間が確保できるように、構造物がすぐに崩壊することを防止することができる補強構造を、短時間で構築することが可能となる。したがって、既存の構造物の利用状況により、大地震等において想定される応力に対して十分な耐力を発現する補強構造を時間をかけて構築するのではなく、短時間の施工により必要最小限の補強が求められる場合に好適に採用可能である。
また、補強構造1は、比較的軽量な帯状部材21をアンカー材30により固定するという簡易な構成のため、施工性に優れており、材料費も安価である。また、部材の取り扱いも容易なため、施工の手間の省力化や施工時の安全性の向上も可能である。
また、多数の削孔やグラウト注入等を要しないため、騒音や粉塵等の周囲環境への悪影響を最小限に抑えることを可能としている。また、現場を汚すこともない。
なお、帯状部材21の壁付き柱部材10への取り付けは、柱部材10および壁部材11の表面に帯状部材21を設置した状態で、アンカー材30を埋め込む(打ち込む)ことにより行ってもよいし、アンカー材30を柱部材10および壁部材11に埋め込んだ後、このアンカー材30の頭部に帯状部材21を固定することにより行ってもよい。
また、第1の実施の形態では、帯状部材21として平板鋼板を使用するものとしたが、帯状部材21を構成する材料は限定されるものではなく、例えば、断面コの字状の鋼製プレートや、断面L字状の鋼製プレートや、角鋼管等、適宜公知の材料から選定して使用すればよい。
また、角鋼管を帯状部材21として使用する場合において、角鋼管の内部をモルタルやコンクリート等の充填材により充填してもよい。
また、第1の実施の形態では、帯状部材21を水平に配置するものとしたが、帯状部材21は、縦筋(主筋)Rと交差するように配置されていれば必ずしも水平に配設されている必要はなく、斜めに配設されていてもよい。
<第2の実施の形態>
次に、図4を参照して第2の実施の形態について参照する。
第2の実施の形態に係る壁付き柱部材の補強構造2は、図4に示すように、側面に壁部材11,11が接続された柱部材10と、柱部材10と壁部材11,11の表面に沿って配設される補強体20と、この補強体20を固定する複数のアンカー材30,30,…とを備えて構成されている。
補強体20は、平板状の鋼板を折り曲げることにより、形成された複数の帯状部材21,21,…を組み合わせることにより格子状に形成された部材であって、柱部材10の前面および左右の側面を覆うように形成されている。
ここで、帯状部材21,21,…同士の上下方向の間隔P1(上下に配設された帯状部材21,21の中心から中心までの距離)は、柱部材10の部材厚さT1以下となるように構成されている。ここで、本実施形態における柱部材10の部材厚さT1とは、柱部材10の前後方向の厚さ、つまり壁部材11と直交する方向における柱部材10の厚さをいう。
補強体20は、図4(a)および(b)に示すように、柱固定部22と壁固定部23とを有して平面視L字状に形成された部材であって、柱部材10と壁部材11とにより形成された角部に配置されるL字帯部材25を備えている。
また、柱部材10の前面と側面との角部にも、複数のL字帯状部材27,27,…が配設されている。さらに、L字帯状部材25,27は、柱部材10の表面において斜めに配設された複数の直帯状部材26,26,…により互いに連結されている。
L字帯状部材25,27と直帯状部材26との連結は、互いに重ね合わせた状態で、重ね合わせた部分を挿通するアンカー部材30により固定することで行うものとする。
ここで、各帯状部材25,26,27は、少なくとも縦筋(主筋)Rの配筋間隔よりも大きい長さを有して形成されている。
第2の実施の形態では、補強体20をL字帯状部材25,27と直帯状部材26を組み合わせることにより格子状に構成するものとしたが、壁付き柱部材10の形状に応じて形成された帯状部材を組み合わせることにより格子状に形成してもよい。また、各帯状部材25,26,27同士の連結方法は限定されるものではない。
また、第2の実施の形態では、L字帯状部材25,27を、水平に配設するものとしたが、L字帯状部材25,27は斜めに配設されていてもよい。
この他、第2の実施の形態に係る補強構造2の構成は、第1の実施の形態で示した補強構造1と同様なため、詳細な説明は省略する。
以上、第2の実施の形態に係る補強構造2によれば、格子状に形成された補強体20により、面的に柱部材10の表面を覆っているため、せん断破壊が柱部材に生じたとしても、破壊の進行を抑え、急激な崩壊を防止することができる。
また、鋼板により覆う従来の補強構造と比較して、材料費の低減化および施工性の向上が図れるため、好適である。
この他、第2の実施の形態に係る補強構造2による作用効果は、第1の実施の形態で示した補強構造1と同様なため、詳細な説明は省略する。
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態について、図5を参照して説明する。
第3の実施の形態に係る壁付き柱部材の補強構造3は、図5に示すように、側面に壁部材11,11が接続された柱部材10と、柱部材10と壁部材11,11の表面に沿って配設される補強体20と、この補強体20を柱部材10および壁部材11,11固定する複数のアンカー材30,30,…とを備えて構成されている。
補強体20は、図5(a)および(b)に示すように、柱固定部22と壁固定部23とを有し、柱部材10と壁部材11との角部に応じて平面視L字状に形成された複数の帯状部材21と、帯状部材21を補強するために柱固定部22および壁固定部23に直交するように各帯状部材21にそれぞれ固定されたリブプレート28,28と、から構成されている。
帯状部材21は、図5(a)に示すように、帯状部材21同士の上下方向の間隔P1が、柱部材10の部材厚さT1(図5(b)参照)となるように配置されている。
帯状部材21の柱固定部22は、柱部材10の側面の厚さ(柱部材10の部材厚さT1から壁部材11の部材厚さT2を差し引いた長さ)と同じ長さに形成されており、柱部材10に固定された状態で、先端が柱部材10の前面と一致している。
また、壁固定部23は、柱部材10の部材厚T以下の長さを有して形成された直線部分であって、壁部材11に固定されている。
帯状部材21は、所定の間隔a1により配設された複数のアンカー材30,30,…により柱部材10および壁部材11の表面に圧着されている。
帯状部材20には、予め柱部材10の縦筋Rの配筋ピッチと同間隔でアンカー孔が形成されている。なお、アンカー孔のピッチは、柱部材10または壁部材11の部材厚の半分以下であれば、限定されるものではない。
リブプレート28は、図5(a)および(b)に示すように、台形に形成された板材であって、帯状部材21に立設された状態で帯状部材21に一体に固定されている。
リブプレート28の帯状部材21への固定方法は限定されるものではなく、例えば、溶接により行えばよい。
この他、第3の実施の形態に係る補強構造3の構成は、第1の実施の形態で示した補強構造1の構成と同様なため、詳細な説明は省略する。
以上、第3の実施の形態に係る補強構造によれば、柱部材10と壁部材11との角部に、補強体20を所定のピッチにより上下方向で間隔を空けて配置するのみで構成されるため、施工が容易で、短時間で構成することが可能なため、時間的な制約がある供用中の構造物に対して好適に採用することが可能である。
この他の第3の実施の形態に係る補強構造3の作用効果は第1の実施の形態で示した補強構造1と同様なため、詳細な説明は省略する。
以上、本発明について、好適な実施形態について説明した。しかし、本発明は、前述の各実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜設計変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、前記各実施形態では、柱部材10の前面側のみにおいて、補強構造を構成する場合について説明したが、柱部材の前後方向の中間部に壁部材11が接続される場合は、図6(a)および(b)に示すように、壁部材の前面側および後面側にそれぞれ補強体20を配設して補強を行ってもよい。
第1の実施の形態に係る壁付き柱部材の補強構造の概略を示す斜視図である。 図1に示す壁付き柱部材の補強構造の断面図を示す。 (a)は図1に示す補強体を示す斜視図であって、(b)および(c)は(a)の補強体の変形例である。 第2の実施の形態に係る壁付き柱部材の補強構造の概略を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は断面図である。 第3の実施の形態に係る壁付き柱部材の補強構造の概略を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は断面図である。 (a)および(b)は本発明に係る壁付き柱部材の補強構造の変形例を示す断面図である。 (a)および(b)は従来の柱部材の補強構造を示す断面図である。
符号の説明
1,2,3 補強構造
10 柱部材
11 壁部材
20 補強体
21 帯状部材
22 柱固定部
23 壁固定部
28 リブプレート
30 アンカー材
R 縦筋

Claims (8)

  1. 側面に壁部材が接続された柱部材と、
    前記柱部材の縦筋と交差する方向に配設される補強体と、
    前記補強体を固定する複数のアンカー材と、を備える壁付き柱部材の補強構造であって、
    前記補強体が、上下方向で互いに間隔を空けて配設された複数の帯状部材を備えており、
    前記帯状部材が、前記柱部材と前記壁部材との接続部の角部に沿って該柱部材および該壁部材の表面に固定されていることを特徴とする、壁付き柱部材の補強構造。
  2. 前記帯状部材同士の上下方向の間隔が、前記柱部材の部材厚以下の大きさであることを特徴とする、請求項1に記載の壁付き柱部材の補強構造。
  3. 前記補強体が、前記複数の帯状部材を組み合わせることにより格子状に形成されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の壁付き柱部材の補強構造。
  4. 前記帯状部材が、柱固定部と壁固定部とを有し、前記柱部材と前記壁部材との角部に応じて平面視L字状に形成された部位を備えることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の壁付き柱部材の補強構造。
  5. 前記補強体が、前記帯状部材を補強するために前記柱固定部および前記壁固定部に直交するように立設されたリブプレートを備えることを特徴とする、請求項4に記載の壁付き柱部材の補強構造。
  6. 前記壁固定部の長さが、前記柱部材の部材厚以下であることを特徴とする、請求項4または請求項5に記載の壁付き柱部材の補強構造。
  7. 隣り合う前記アンカー材の間隔が、前記柱部材または前記壁部材の部材厚の半分以下の間隔により配置されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の壁付き柱部材の補強構造。
  8. 前記アンカー材の埋め込み長さが、該アンカー材の直径の15倍以上であることを特徴とする、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の壁付き柱部材の補強構造。
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