JP5166837B2 - 壁構造物の補強方法および補強構造 - Google Patents
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一方、供用中の構造物の中には、例えば鉄道構造物のように、長時間にわたって供用を休止することができず、深夜等の限られた時間内でしか補強工事を行うことができない場合がある。
さらに、壁構造物にせん断破壊が生じたとしても、有効厚さ以下の間隔により配設された帯状材により、この壁構造物が急激に崩壊することを防止することができる。
図1乃至図4を参照して、第1の実施の形態について説明する。
第1の実施の形態に係る補強構造1は、図1に示すように、既設の壁構造物10と、壁構造物10の表面(前面)11に水平方向に配設される複数の帯状材20,20,…と、これらの帯状材20,20,…を固定する複数のアンカー材30,30,…とを備えて構成されている。
ここで、アンカー材30の埋め込み長a2は、アンカー材30の先端が、被り厚さt1よりも内部に配置されるように、被り厚さt1の2倍以上とするとともに、「曲げとせん断を受ける場合はアンカーの埋め込み長さは15φ以上とする」(「あと施工アンカー工法設計施工の手引き」、財団法人鉄道総合技術研究所)に基づき、設定されている。
第1の実施の形態に係る壁構造物の補強方法は、まず、図2(a)に示すように、帯状材20を壁構造物10に配筋された縦筋R1と交差する方向(水平)となるように壁構造物10の表面に配置する。
続いて、図2(a)および(b)に示すように、アンカー材30を、帯状材20に形成されたアンカー孔21を挿通させるとともに、壁構造物10の前面11から背面12方向に打ち込むことにより、帯状材20を壁構造物10に固定する。
また、アンカー材30の位置決めは、帯状材20を定規として、予め帯状材20に形成されたアンカー孔21を利用して行うため、施工性に優れている。
また、多数の削孔やグラウト注入等を要しないため、騒音や粉塵等の周囲環境への悪影響を最小限に抑えることを可能としている。また、現場を汚すこともない。
また、角鋼管を帯状材20として使用する場合において、図4(d)示すように、角鋼管の内部をモルタルやコンクリート等の充填材22により充填してもよい。
また、帯状材10の長さは限定されるものではなく、縦筋の配筋ピッチ以上の長さにおいて適宜設定することが可能である。
次に、図5および図6を参照して第2の実施の形態について参照する。
第2の実施の形態に係る補強構造は、図5に示すように、既設の壁構造物10と、壁構造物10の表面(前面11)に水平に配設される複数の帯状材20と、帯状材20を固定するアンカー材30とを備えて構成されている。
この他、帯状材20に関する事項は、第1の実施の形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
第2の実施の形態にかかる壁構造物の補強方法は、はつり工程と、帯状材固定工程と、充填工程と、を備えている。
また、溝13は、上下に複数、互いに平行かつ水平に形成するものとし、この溝13同士の間隔は、壁構造物10の有効厚さ以下となるように構成されている。
帯状材20には、予めアンカー材30を挿通するためのアンカー孔21が形成されており、アンカー材30をこのアンカー孔21を挿通させた状態で壁構造物10に打ち込むことで帯状材20を固定する。
なお、第2の実施の形態では、帯状材20を溝13に設置してからアンカー材30を埋め込むことで帯状材20を固定するものとしたが、アンカー材30を溝13の内部に固定してから、このアンカー材30の頭部に帯状材20を固定する構成としてもよい。
この他、第2の実施の形態係る壁構造物の補強方法および補強構造2による作用効果は、第1の実施の形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
次に、第3の実施の形態について、図7を参照して説明する。
第3の実施の形態に係る補強構造3は、図7に示すように、既設の壁構造物10と、壁構造物10の前面11に水平に配設される複数の帯状材20,20,…と、帯状材20,20,…を固定する複数のアンカー材30,30,…とを備えて構成されている。
また、帯状材20は平鋼板に限定されるものではなく、適宜他の材料から選定して使用することが可能である。
また、一枚の帯状材20を固定するアンカー材30の本数は限定されるものではなく、適宜設定することが可能である。
10 壁構造物
13 溝
20 帯状材
30 アンカー材
40 充填材
R1 縦筋
R2 横筋
t1 被り厚さ
t2 主筋同士の間隔
Claims (2)
- 既設の鉄筋コンクリート造の壁構造物の表面に、前記壁構造物の縦筋の配筋間隔よりも大きな長さを有した複数の帯状材をアンカー材により固定する壁構造物の補強方法であって、
前記帯状材を、前記縦筋と交差するように、かつ、他の帯状材との上下方向の間隔が前記壁構造物の有効厚さ以下となるように配置し、
前記アンカー材を、前記縦筋の配筋間隔以下の間隔で配置することを特徴とする、壁構造物の補強方法。 - 既設の鉄筋コンクリート造の壁構造物と、
前記壁構造物の表面に該壁構造物の縦筋と交差する方向に配設される複数の帯状材と、
前記帯状材を固定するアンカー材と、を備える補強構造であって、
前記帯状材は、前記縦筋の配筋間隔以下の間隔で配置された複数の前記アンカー材により前記壁構造物に圧着されており、
該帯状材同士の上下方向の間隔が前記壁構造物の有効厚さ以下であることを特徴とする補強構造。
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