JP4194894B2 - コンクリート構造物の補強方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリート構造物、特に、補強材を外周に巻き立てることが不可能な壁、床などの面部材の補強に好適なコンクリート構造物の補強方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、耐震性強化の点から、新たに建造されるコンクリート構造物は勿論、既設のコンクリート構造物についても耐震性の向上を目的とした補強が求められている。
【0003】
例えば、既設上下水道施設の耐震補強では、RC(鉄筋コンクリート)壁の面外せん断力に対する補強が必要となる場合が多い。これは、旧基準で設計されたRC壁には、十分なせん断補強筋が配置されていないことによる。特に、平成10年以前の下水道ボックスカルバート壁の耐震設計には、面外せん断を考慮していないものがあり、このようなボックスカルバート壁にはせん断補強筋がほとんど入っていない。
【0004】
従来、梁や柱、及び壁の曲げ補強のためには、連続繊維シート接着工法、鋼板接着工法、コンクリート(又はモルタル)増厚工法(以下「コンクリート増厚工法」という。)などがある。鋼板接着工法は、コンクリート面に鋼板をアンカーで固定し、接着剤を注入する工法である。連続繊維シート接着工法は、炭素繊維等の高強度強化繊維に常温硬化型エポキシ樹脂などを含浸させたシート状の連続繊維シートをコンクリート面に接着樹脂にて貼り付けて硬化させる工法である。コンクリート増厚工法は、通常直角に交差して格子状に配置された複数の縦補強筋と横補強筋とから成る全体として面状の繊維強化プラスチック(FRP)格子材(連続繊維補強材)又は格子状に配された鉄筋(溶接鉄筋)を、コンクリート面にアンカーボルトで固定することによりコンクリート構造物に取り付け、その後セメントモルタル、セメントコンクリート等を吹き付け、コテ塗りして被覆し、コンクリート面を増厚するか、或いは補強筋を用いずにコンクリート面をセメントモルタル、セメントコンクリート等で増厚する工法である。
【0005】
又、梁や柱のせん断補強のためには、連続繊維シート巻き立て工法、鋼板巻き立て工法、RC巻き立て工法が広く利用されている。連続繊維シート巻き立て工法は、例えばコンクリート柱に強化繊維シートを巻き付け、その繊維に含浸させたマトリクス樹脂を硬化させて補強効果を得る工法である。鋼板巻き立て工法は、コンクリート柱に鋼板を巻き立て、貼り付けた鋼板を互いに溶接するか或いはボルト締めして接合し、コンクリートと鋼板の間隔に樹脂かモルタルを充填する工法である。RC巻き立て工法は、既設コンクリート柱の周囲に鉄筋を増設してコンクリートを打設して増厚する工法である。
【0006】
一方、面部材の面外せん断力に対する補強工法としては、RC床版の押抜きせん断耐力の向上を目的とした上面増厚工法などが研究されている。又、ボックスカルバートの側壁等の面外せん断力に対する補強工法として、壁の内側にコンクリートを増厚する方法が採用されている。この場合、一般に、壁の法線方向に補強筋を設けることなく、コンクリート面をセメントモルタル、セメントコンクリート等で増厚する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、コンクリートを増厚する方法によってせん断耐力、特に、面外せん断耐力の向上を図ろうとすると、断面積の増加が大きく、例えば、槽構造では内容量の減少が問題となる。つまり、コンクリートの増厚により面外せん断力に対する補強を行おうとする場合、増厚したコンクリートが既設のコンクリートと一体化してせん断力を負担し、補強効果を発揮するので、増厚する厚さは不足せん断力によって決まり、非常に厚くなるのが一般的である。
【0008】
上述のようにせん断補強筋がほとんど入っていないボックスカルバート壁をコンクリートの増厚でせん断補強しようとすると、部材厚を2倍程度にする必要がある。これでは、内空断面が縮小され、有効ではない。
【0009】
又、コンクリートの増厚により面外せん断力に対する補強を行おうとすると、圧縮側にコンクリートを増厚する必要があり、地下構造物の側壁、底版、頂版では、施工が困難であることが多い。更に、質量の増加が大きく、基礎に悪影響を与えることもある。加えて、コンクリートの打設を行うために養生期間が長く、工期が長いといった問題がある。
【0010】
一方、連続繊維シート接着工法では、連続繊維シートのせん断剛性、耐力がほとんどなく、面部材の面外せん断力に対する大きな耐力増加は見込めないという問題がある。
【0011】
ところで、前述の連続繊維補強材又は鉄筋を用いたコンクリート増厚工法は、補強筋が荷重を負担し、主にコンクリート部材の曲げ耐力、面内せん断耐力を向上させることができる。つまり、この場合、補強効果は主として補強筋が発揮し、増厚したコンクリートやモルタルは、補強筋を既設部材に固定するバインダーの役目を果たす。従って、この方法では、増厚するコンクリートの厚さは補強筋のかぶりから決まる最低厚さ程度でよい。しかし、この方法では、柱部材のように外周に補強筋を巻き立てられる場合を除いて、補強筋がせん断力を負担しないので、その面外せん断補強効果は小さい。
【0012】
従って、本発明の目的は、コンクリート構造物、特に、補強材を外周に巻き立てることが不可能な壁、床などの面部材のせん断耐力を向上させることのできるコンクリート部材の補強方法を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、コンクリート構造物、特に、面部材のせん断耐力を向上させることができ、且つ、コンクリート増厚工法のように断面寸法の大幅な増加を伴わず、しかも施工が容易なコンクリート部材の補強方法を提供することである。
【0014】
更に、本発明の他の目的は、主に曲げ耐力、面内せん断耐力を向上させ得る連続繊維補強材又は鉄筋を用いたコンクリート増厚工法と共に用いることができ、簡便に該コンクリート部材の面外せん断耐力を向上させることのできるコンクリート構造物の補強方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的は本発明に係るコンクリート構造物の補強方法にて達成される。要約すれば、第1の本発明は、被補強コンクリート部材に、該被補強コンクリート部材の表面に対し軸線方向が所定の角度となる孔を設け、
前記孔の軸線方向に延びる第1部分と、前記孔の軸線方向と交差する方向に延在する第2部分と、を備える補強材の少なくとも前記第1部分を前記孔内に配置し、
前記孔に充填材を充填して前記補強材を固定する、
ことを含むコンクリート構造物の補強方法であって、
前記第2部分として、前記第1部分に連結されていると共に、前記孔外で前記被補強コンクリート部材の表面に沿って配置される定着部を有し、
前記孔を設ける際に、該孔を前記被補強コンクリート部材を貫通して設け、
前記孔内に前記補強材を配置する際に、前記定着部が設けられた端部から前記補強材を前記孔内に差し込んだ後、前記補強材を被補強コンクリート部材の表面に沿う方向に移動させるか又は前記孔の軸線方向の周りで回転させて、前記定着部を被補強コンクリート部材の表面に沿わせて配置させる、
ことを特徴とするコンクリート構造物の補強方法である。本発明の好ましい一実施態様によると、前記孔は、前記孔の軸線方向が、前記被補強コンクリート部材の法線方向に対し60度以内となるように設ける。
【0016】
本発明の好ましい一実施態様によると、前記定着部は、前記補強材の両端部に設けられており、好ましくは、前記補強材の両端部に設けられた各定着部の間に前記被補強コンクリート部材中の既設鉄筋が存在するように、前記補強材を前記被補強コンクリート部材の前記孔内に配置する。
【0017】
第2の本発明によると、被補強コンクリート部材に、該被補強コンクリート部材の表面に対し軸線方向が所定の角度となる孔を設け、
前記孔の軸線方向に延びる第1部分と、前記孔の軸線方向と交差する方向に延在する第2部分と、を備える補強材の少なくとも前記第1部分を前記孔内に配置し、
前記孔に充填材を充填して前記補強材を固定する、
ことを含むコンクリート構造物の補強方法であって、
前記第2部分として、前記第1部分に連結されていると共に、前記孔外で前記被補強コンクリート部材の表面に沿って配置される定着部を有し、
前記孔を設ける際に、該孔を前記被補強コンクリート部材を貫通して設け、
前記孔内に前記補強材を配置する際に、前記孔の両側開口部から前記補強材を差し込み、前記孔内で両補強材の少なくとも一部分が重さなるように配置し、
前記充填材により前記補強材を固定する際に、前記孔の両側開口部から差し込んだ補強材の重ね継手を形成する、
ことを特徴とするコンクリート構造物の補強方法が提供される。本発明の好ましい一実施態様によると、前記孔は、前記孔の軸線方向が前記被補強コンクリート部材の法線方向に対し60度以内となるように設ける。好ましい他の実施態様によると、前記補強材は、前記被補強コンクリート部材に設けられた別個の前記孔内にそれぞれ配置される複数の前記第1部分を有し、前記定着部は、前記複数の第1部分を互いに連結すると共に、前記孔外で前記被補強コンクリート部材の表面に沿って配置される連結部を構成する。好ましい他の実施態様によると、前記補強材は、2つの前記第1部分を前記連結部で連結した略U字形状、3つの前記第1部分を前記連結部で連結した略山字形状、又は4つ以上の前記第1部分を前記連結部で連結した略櫛形状とされる。
上記第1及び第2の本発明の他の実施態様によると、前記第2部分として、前記孔内に配置されると共に、前記孔内で前記第1部分と交点を形成する突起部を有し、好ましくは、前記補強材は、前記突起部を複数有する。好ましい他の実施態様によると、前記孔の軸線方向と直交する方向への前記第1部分からの前記突起部の突出量は、前記孔の軸線方向と直交する方向における前記第1部分の断面形状の最大寸法の1/2〜5倍である。
【0018】
本発明の一実施態様では、前記補強材は、金属又は繊維強化プラスチックの棒材で形成される。本発明の他の実施態様では、前記補強材は、連続繊維を複数層交差させて交点が形成された繊維強化プラスチック格子材で形成される。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るコンクリート構造物の補強方法を図面に則して更に詳しく説明する。
【0026】
実施例1
本発明の補強方法は、コンクリート構造物を構成する被補強コンクリート部材、特に、補強材を外周に巻き立てることのが不可能な壁、床などの面部材の耐震補強に好適に適用し得る。勿論、本発明はこれに限定されるものではなく、梁、柱、桁等の補強にも適用することができる。
【0027】
図1は、本発明のコンクリート構造物の補強方法の原理を説明するための被補強コンクリート部材の模式図である。本発明は、例えば、ボックスカルバートの連続壁等のコンクリート壁100の補強に適用される。以下、被補強コンクリート部材たるコンクリート壁100は、底版から略垂直に起立している側壁であるとして説明するが、被補強コンクリート部材が底版、頂版であっても同様である。
【0028】
本発明によれば、先ず、コンクリート壁100をドリル等の適当な手段により穿孔し、コンクリート壁100に孔101を設ける。詳しくは後述するが、孔101は、好ましくは、コンクリート壁100の略法線方向に沿って設ける。この孔101に、補強材1を差し込み、配置する。そして、補強材1を配置した孔101に充填材2を充填することで、補強材1を固定する。
【0029】
図1に示す補強材1Aは、実質的に孔101内に配置されて孔101の軸線方向に延びる第1部分(補強部)11のみから成り、略棒形状とされる。補強材1Aとしては、金属、典型的には鋼製の棒材、即ち、鉄筋コンクリート用棒鋼(以下、単に「鉄筋」という。)、又は連続繊維補強材である繊維強化プラスチック(FRP)製の棒材、即ち、FRP筋を好適に使用することができる。
【0030】
鉄筋を用いる場合、丸鋼、外周に任意適当な形状の起伏(又は突起)が設けられた異形鋼のいずれであってもよい。後述の充填材2との付着性、定着性の点からは、異形鋼が好ましい。又、補強材1Aとして使用される鉄筋の寸法、強度は、要求される補強強度、コンクリート壁100への配筋態様に応じて種々変更することができるが、一般に、引張強度300N/mm2〜600N/mm2、引張弾性率190kN/mm2〜210kN/mm2、外径6mm〜51mmのものが好ましく使用される。この他、金属製の補強材1Aとしては、ステンレス製のボルト等が挙げられる。
【0031】
一方、補強材1AとしてFRP筋を用いれば、軽量、高強度、被腐食、非磁性といった点で好ましい。特に、鋼材を用いた場合に懸念される、酸、アルカリ、塩分による腐食に強く、耐久性に優れるため好都合である。
【0032】
FRP筋は、連続した多数本の強化繊維にマトリクス樹脂を含浸させて棒形状に集束させた後に硬化させて作製される。つまり、図2を参照して、所定本数の強化繊維fを平行に或いは緩く撚りを掛けて集束して作製されるストランドSを更に平行に或いは緩く撚りを掛けて複数本束ねることによって強化繊維束を形成し、これにマトリクス樹脂を含浸させて、硬化させることによって作製される。
【0033】
FRP筋は丸鋼状のものであってもよいが、例えば、図2(a)に示すように、外周に任意適当な形状の起伏(或いは突起)aが設けられた異形棒鋼状に成形されたものでもよい。又、図2(b)に示すように、強化繊維fを平行に或いは緩く撚りを掛けて集束して作製されるストランドSを、積極的に軸線方向に螺旋状に撚りを掛けて複数本束ねた、PC鋼撚り線状に成形された強化繊維束を使用したものであってもよい。更に、図2(c)に示すように、所定本数の強化繊維fを平行に或いは緩く撚りを掛けて集束して作製されるストランドSを更に平行に或いは緩く撚りを掛けて複数本束ねることによって補強繊維束f0を形成し、更にこれを束ねて或いは囲包して、強化繊維fと同質或いは異質の強化繊維f’で作製された編組体、或いは強化繊維fと同質或いは異質の繊維若しくは樹脂製等のテープなどとされる外層部材f1を設けて作製された強化繊維束を使用したものであってもよい(このようなFRP筋は、本発明者らが提案した強化繊維補強筋等に関する特開平11−124957号公報に詳しい。)。又、強化繊維を編み込むことによっても強化繊維束を形成することができる。異形鋼状或いは外層f1を設けた補強材1Aは、後述の充填材2との付着性、定着性の点で好ましい。
【0034】
強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、セラミックス繊維、ボロン繊維を含む無機繊維;アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ポリアセタール繊維、PBO繊維、ポリアクリレート繊維を含む有機繊維;又はチタン繊維、ステンレススチール繊維、鉄繊維を含む金属繊維を単独で、又は複数種を混合して使用することができる。通常、コンクリート構造物のための補強材1Aとしては、炭素繊維を好適に使用することができ、PAN系、ピッチ系、その他、いずれのタイプの炭素繊維であっても構わない。
【0035】
マトリクス樹脂としては、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、常温硬化型ポリエステル樹脂、熱硬化型エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、MMA(メタクリル酸メチル)樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂のいずれか、又はこれらの2種類以上の混合物を使用することができる。
【0036】
又、補強材1Aとして使用されるFRP筋の寸法、強度は、要求される補強強度、コンクリート壁100への配筋態様に応じて種々変更することができるが、一般に、引張強度500N/mm2〜5000N/mm2、引張弾性率20kN/mm2〜500kN/mm2、外径5mm〜100mmのものが好ましく使用される。
【0037】
本発明にて好適に使用し得るFRP筋の一例を示せば、次の通りである。
Figure 0004194894
【0038】
尚、補強材1Aの孔101の軸線方向に延びる補強部11の長さ(図1の補強材1Aでは補強材1Aの長手長さ)L1は、通常、100mm〜2000mmであるコンクリート壁100の厚さTと略同一とすることができる。要求される補強強度等によって種々変更されるものであるが、コンクリート壁100の厚さTの60%〜100%とすることで、施工性、補強効果共に好結果が得られる。
【0039】
補強材1Aを用いてコンクリート壁100を補強するには、通常、コンクリート壁100の複数箇所に孔101を設ける。要求される補強強度、既設鉄筋の配筋態様等によって種々変更されるものであるが、一般には、複数の孔101は、コンクリート壁100の横方向(水平方向)の開口部中心間隔(W1)50mm〜2000mm、縦方向(垂直方向)の開口部中心間隔(W2)50mm〜2000mmとして、好ましくは等間隔にて一様に配列する。当然、孔101は、コンクリート壁100に埋設されている既設鉄筋110を避けて設けるのがよい。
【0040】
図示の例では、コンクリート壁100の略一様に平坦な一方の壁面(第1面)100Aから、その表面100Aに対して略垂直方向、即ち、コンクリート壁100の略法線方向であって、コンクリート壁100内の既設鉄筋(引張鉄筋、圧縮鉄筋)110の軸線方向と略直交する方向に沿い、反対側の壁面(第2面)100Bまで貫通する孔101を、コンクリート壁の縦方向(垂直方向)、横方向(水平方向)のそれぞれにおいて複数箇所設けた。但し、孔101は、配置する補強材1Aの補強部11の長手長さなどに応じて一方の壁面、例えば第1面100Aから所定の深さまで設けることもできる。
【0041】
ここで、コンクリート壁100に設ける孔101の配向について説明する。図3(a)は、被補強コンクリート部材たるコンクリート壁100の断面を模式的に示す。図示のコンクリート壁100は、底版100Cから垂直方向Vに起立しているものとする。そして、コンクリート壁100に埋設された主筋(引張鉄筋、圧縮鉄筋)110は、図3(a)の紙面に垂直な方向に沿って配置されている。
【0042】
例えば、図3(a)に示すようなコンクリート壁100に、図中矢印P方向(図中右側面上方)に加力があり、例えばコンクリート壁100にせん断補強筋がない場合、コンクリート壁100には、ほぼ載荷点と支点(図示の例では、底版100Cとの連結部)とを結ぶ線に沿って斜めひび割れ(せん断ひび割れ)Cが生じ、このひび割れが開口する方向に力が作用し、ついにはせん断破壊に至る。
【0043】
載荷条件によって様々であるが、コンクリート壁100に生じる斜めひび割れCの軸線方向がコンクリート壁100の法線方向Nに対して成す角度βは、通常、30度〜60度となる。
【0044】
本発明に従う補強材1は、コンクリート壁100に生じる斜めひび割れCに働く力に対抗するように、補強部11の軸線方向が斜めひび割れCの軸線方向と交差する方向に設けることが好ましい。本発明者の検討によれば、図3(b)に示すように、孔101の軸線方向Oがコンクリート壁100の法線方向Nに対して成す角度αが、0度(即ち、法線方向N)〜60度となるようにすれば、コンクリート壁100のせん断耐力を良好に向上させることができる。角度αが60度を超えると、補強材1が負担可能なせん断力が低下する、或いは補強材1の長さ及び孔101の長さが長くなるといった問題がある。但し、地震力のように正負2方向にせん断力が繰り返し作用することを考慮すると、より好ましくは、角度αは、0度〜45度とし、更に好ましくは、角度αは0度、即ち、孔101の軸線方向Oがコンクリート壁100の法線方向Nに沿うように孔101を設ける。
【0045】
尚、角度αは、コンクリート壁100の垂直方向Vと、コンクリート壁100の法線方向Nで形成される平面内、即ち、コンクリート壁100中の主筋と直交する平面内にある場合に限定されるものではない。但し、角度αがこの平面上にあるとき、孔101を設ける際の穿孔距離が最も短くなり、又より良好な補強効果を得ることができ、好ましい。即ち、これに限定するものではないが、図3(c)に示すように、コンクリート壁100をその法線方向Nから見た場合に、孔101の軸線がコンクリート壁100の垂直方向Vと成す角度γは、好ましくは0度(即ち、垂直方向V)〜45度、より好ましくは0度〜5度、更に好ましくは0度である。角度α及びγはせん断力の作用方向によって規定されるものであり、例えば被補強コンクリート部材が床面(底版)、頂版である場合など、面部材の配置によっては上記垂直方向Vは水平方向となる。上記垂直方向Vに相当する被補強コンクリート部材の配向は任意である。
【0046】
以下、簡単のために、孔101は、上記角度αが0度で、角度γが0度であるとして説明する。
【0047】
孔101の断面形状(孔101の軸線方向と直交する方向の断面。以下同様。)は、典型的には円形であるのが、これに限定されるものではない。孔101の断面寸法は、使用される補強材1Aの断面寸法との関係で種々変更されるものであるが、断面略円形の補強材1Aを使用する場合、通常、孔101の内径D2は補強材1Aの補強部11の外径より5〜50mmだけ大きくすることで、施工性、補強効果のいずれにおいても好結果が得られる。補強材1Aの補強部11の断面形状が略円形以外である場合でも、孔101の断面形状の長辺、短辺を、それぞれ補強材1Aの補強部11の断面形状の長辺、短辺の寸法よりも上記の通り大きくすればよい。勿論、補強材1Aの断面形状の最大寸法よりも上記の通り大きい直径を有する孔101を穿孔してもよい。
【0048】
充填材2としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂を含むコンクリート及び補強材1Aと良好な接着性を持つ樹脂材料;ポリマーモルタル、ポリマーセメントモルタル、セメントモルタル、無収縮モルタル、膨張性モルタルを含むモルタル;ポリマーコンクリート、ポリマーセメントコンクリート、セメントコンクリート、無収縮性コンクリート、膨張性コンクリートを含むコンクリートなどを好適に使用することができる。膨張材が混合される膨張性モルタル又は膨張性コンクリートを使用すると、孔101の内部に挿入した補強材1Aを、モルタル又はコンクリートの膨張圧による摩擦力で強固に定着させることが可能となる。
【0049】
尚、本発明において、孔101への補強材1の配置と、孔101への充填材2の充填とは、この順序にて実施することに何ら限定されない。孔101に充填材2を注入した後、充填材2が硬化する前に補強材1をその孔に挿入して、孔101内にて補強材1の周囲が充填材2で充填された状態とし、その後補強材1を充填材2で固着するようにしてもよい。
【0050】
上述のようにして、コンクリート壁100に設けた孔101に補強材1を配置し、この補強材1を充填材2で固着することによって、極めて簡単な施工方法によって、コンクリート壁100のせん断耐力を向上を図ることができる。
【0051】
ところで、上述のように、実質的に孔101内に配置されてこの孔101の軸線方向に延びる棒状の第1部分(補強部)11のみから成る補強材1Aを、充填材2で固着することで、一定の補強効果が得られる。しかし、コンクリート壁100の引張応力作用面(図1中矢印Pに示す方向に力が加わる場合、第1面100A)側では、補強材1Aが孔101から抜け出すように力が加わり、補強効果が低下することがある。そこで、コンクリートに対する定着を向上するために、補強材1を以下に説明するような構成とする。
【0052】
本発明によれば、補強材1をより強固に定着するために、補強材1は、孔101内でその軸線方向に延びる第1部分(補強部)11と、孔101の軸線方向と交差する方向に延在する第2部分とを有する構成とする。本発明の一実施態様では、この第2部分は、第1部分(補強部)11に連結されていると共に、孔101外でコンクリート壁100の表面、特に、少なくともコンクリート壁100の引張応力作用面に沿って配置される。
【0053】
特に、本実施例では、補強材1は、図4に示すようにコンクリート壁100に設けられた別個の孔101内にそれぞれ配置される複数の第1部分(補強部)11を有し、そして、第2部分として、孔101外でコンクリート壁100の表面に沿って配置され、複数の第1部分(補強部)11を互いに連結する連結部12を有するように構成する。
【0054】
更に説明すると、このような補強材1は、図4に示すように、2つの補強部11を連結部12で連結した略U字形状の補強材1Bとして構成することができる。又、図5に示すように、3つの補強部11を連結部12で連結した山型の補強材1C、或いは更に多数の補強部11(図示の例では5つ)を連結部12で連結した櫛型の補強材1Dとすることができる。
【0055】
このように、連結部12を少なくともコンクリート壁100の想定される引張応力作用面側に配置して複数の補強部11を連結することで、この連結部12が、引張応力作用面で機械的に補強材1を定着する定着部の効果を発揮し、補強材1によるコンクリート壁100の補強効果を向上させることができる。
【0056】
図4、図5に示す例では、複数の補強部11はコンクリート壁101の縦方向に沿って配列された複数の孔101内に配置される。これにより、連結部12は、コンクリート壁100の縦方向に配向し、コンクリート壁100内の既設鉄筋(引張鉄筋、圧縮鉄筋)110の軸線方向と略直交する方向に延びる。この場合、補強部11の間隔は、コンクリート壁100縦方向における孔101の開口部中心間隔W2と略同一とする。これにより、連結部12の長さ(ここでは、補強部11の間隔W2と略同一)に相当する長さL2の定着部を設けることができる。上記のように、孔101がコンクリート壁100の法線方向Nに対して角度α(>0)を有する場合には、複数の補強部11の間隔は、孔101間の垂直距離(中心間距離)と略同一で、連結部12の長さL2は、孔101の開口部中心間隔W2と略同一である。
【0057】
尚、本実施例では、第2部分たる連結部(定着部)12は、第1部分たる補強部11に対して略直角に設けられているが、本発明はこれに限定されるものではない。第2部分は第1部分に対して交差する方向に設けられていればよく、例えば、図3を参照して説明したように、孔101がコンクリート壁100の法線方向Nに対して角度α(>0)を有する場合などには、第2部分は、第1部分に対して直角以外の角度で交差する。好ましくは、第2部分が第1部分に対して成す角度は、90度±60度の範囲内にあり、より好ましくは90度±45度、更に好ましくは90度である。
【0058】
又、連結部(定着部)の長さL2は、コンクリート壁100の厚さT、補強材1(孔101)の配置態様などによって決まる。せん断補強筋のピッチは、通常、壁の厚さ以下で所用の耐力を得るのに必要な本数が確保できるように決定される。このようにして決められた補強材1(孔101)の配置態様に応じて、典型的には隣り合う孔101に配置される補強材1の補強部11を連結する任意の長さの連結部12を設けることによって、これを設けない場合と比較して飛躍的に定着効果が向上する。
【0059】
連結部12の配向をコンクリート壁100の縦方向に沿う方向とすることは、補強部11の引抜き耐力を向上させると共に、コンクリート壁100の引張側面(図示の例では第1面100A)の破壊を防止する点で好ましい。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
【0060】
又、図6に示すように、コンクリート壁100の縦方向に配列された複数の孔101内に配置される複数の補強部11と、コンクリート壁100の横方向に沿って配列された複数の孔101内にされる複数の補強部11とを、縦方向連結部12aと横方向連結部12bとによって互いに連結した補強材1Eを形成してもよい。この場合、補強部11の縦方向の間隔、横方向の間隔は、それぞれコンクリート壁100縦方向、横方向における孔101の間隔W2、W1と略同一とする。これにより、縦方向連結部12a、横方向連結部12bの長さ(ここでは、それぞれW2、W1と略同一。)にそれぞれ相当する長さL2a、L2bの定着部を設けることができる。
【0061】
尚、補強部11と連結部12は、上述のような鉄筋、FRP筋でそれぞれ溶接、成型などにより一体的に形成されるか、適当な連結手段によって接合されたものであってよい。FRP筋であれば、マトリクス樹脂が未含浸の状態、或いは含浸されているが未硬化若しくは半硬化の状態で、任意の形状に比較的容易に成形することができる。
【0062】
尚、上記では、第2部分は、複数の補強部11を連結する連結部12であるとして説明したが、これに限定されるものではない。図7に示すように、複数の補強部11を有していないが、補強部11と、この補強部11に連結されて孔101外でコンクリート壁100の表面に沿って配置される第2部分としての屈曲部15(図示の例では補強部11に対して略直角)を有する補強材1F、即ち、略L字形状の補強材1Fを構成してもよい。この場合、要求される補強強度等により種々変更されるものであるが、屈曲部(定着部)15の長さL2は、補強部11の断面形状の最大寸法(厚さ又は直径)の1倍〜100倍、より好ましくは5倍〜20倍とする。一般に、この長さL2は、20mm〜200mmとすることで良好な定着効果が得られる。又、第2部分たる屈曲部15は、第1部分たる補強部11に対して略直角に設ける態様に限定されるものではなく、上記連結部(定着部)12と同様に種々変更し得るものである。又、屈曲部15は、一つの補強部11に対して複数連結された態様でも何ら構わない。
【0063】
更に、第1部分(補強部)11に連結されていると共に、孔101外でコンクリート壁100の表面に沿って配置され、定着部の作用を有する第2部分(連結部12、屈曲部15)は、棒状に延びたものに何ら限定されるものではない。例えば、図7に示すように、孔101の軸線方向と交差する方向に面状に延在する第2部分を設けてもよい。図示の例では、円盤状に延在する第2部分(連結部12又は屈曲部15)が、複数又は単一の第1部分(補強部)11に連結された補強材1Ba、1Faを示す。面状に延在する第2部分は、例えば、溶接或いはボルト締結等の適当な手段により連結されるか或いは一体的に成形された鋼板或いはFRP板で形成することができる。
【0064】
以上説明したように、本発明によれば、極めて簡単な施工方法によって、補強材を外周に巻き立てることが不可能なコンクリート壁100のせん断耐力を向上させることができる。特に、本発明によれば、コンクリート壁100の面外せん断力に対する補強効果を得ることができる。しかも、コンクリート壁100がボックスカルバートの連続壁のように増厚による内容量の減少が問題となる場合であっても、断面寸法の大幅な増加を伴わずにせん断耐力を向上させることができる。
【0065】
実施例2
次に、本発明の他の実施例について説明する。以下、実施例1におけるものと同一又は相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0066】
補強材1としては、連続繊維補強材であるFRP格子材を用いることもできる。図23を参照して説明すると、FRP格子材200は、通常、直角に交差して格子状に配置された複数の補強筋、即ち、縦補強筋201と横補強筋202で構成される。縦補強筋201、横補強筋202は、主にガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の強化繊維(上記FRP筋と同様のものであってよい。)を一方向に並べて、ビニルエステル樹脂等のマトリクス樹脂(上記FRP筋と同様のものであってよい。)を含浸させた帯状の強化繊維を複数積層して形成されたものである。又、縦補強筋201、横補強筋202は、筋幅(w)3〜20mm、厚さ(t)1〜20mmであり、格子間距離(縦補強筋中心間距離、横補強筋中心間距離)(W3)25〜200mmの格子板状に成形硬化され、全体としてシート状のFRP格子材200を形成する。
【0067】
又、使用されるFRP格子材200の寸法、強度は、要求される補強強度、コンクリート壁100への配筋態様に応じて種々変更することができるが、一般に、縦補強筋201、横補強筋202は、それぞれ引張強度500N/mm2〜2000N/mm2、引張弾性率20kN/mm2〜300kN/mm2のものが好ましく使用される。
【0068】
本発明にて好適に使用し得るFRP格子材200の一例を示せば、次の通りである。
Figure 0004194894
【0069】
このFRP格子材200は、例えば、図8に示すように切り出して、本発明に従う補強材1として用いることができる。図8に示す補強材1Gは、実質的に孔101内に配置される部分のみから成る。更に説明すると、孔101の軸線方向に沿って配置される補強部11と、孔101の軸線方向と交差する方向に延在する第2部分として、孔101内に配置されて補強部11と交点13を形成する突起部14を有する。本実施例では、補強部11は、孔101の軸線方向に沿って配置される縦補強筋201で形成され、突出部14はこの縦補強筋201に略直交する横補強筋202で形成され、これらは孔101内で複数の交点13を形成する。図示の例では、突出部14は、交点13において、縦補強筋201から成る補強部11の両側に、孔101の軸線方向に略直交する方向に所定の突出量pにて突出するように、横補強筋202を切断することで形成されている。
【0070】
このように、補強部11がFRP格子材200の縦補強筋201と横補強筋202との交点13を少なくとも1つ有することで、孔101内でこの交点13により補強材1の充填材2との付着が確保される。これにより、補強材1による補強効果が向上する。
【0071】
突出部14の孔101の軸線方向に直交する方向への突出量pは、補強部11の断面形状の最大寸法(厚さ又は直径)の1/2〜5倍であることが好ましい。突出量pが上記範囲より少ない場合、突出部14を設けることによる付着性の向上の効果は得られない。一方、突出量pが上記範囲を超えると、耐力がより向上することはなく、又孔101の径が大きくなるといった問題がある。従って、より好ましくは、突出量pは、補強部11の断面形状の最大寸法(厚さ又は直径)の1/2〜2倍とする。使用するFRP格子材200の筋幅(w)、厚さ(t)(或いは使用する補強材1の直径)等の寸法に応じて種々変更することができるが、突出量pは、通常、5mm〜25mmで施工性、補強効果、特に、補強材1の定着性の点で好結果が得られる。
【0072】
尚、本実施例のように、補強部11の両側に突出部14を設けることにより(突出量2p)、充填材2とのより良好な付着性を発揮することができるが、突出部14は、補強部11の一方の側面のみに設けてもよい。又、突出部14は、補強部11に略直交する方向に突出している態様に限定されるものではない。
【0073】
図9には、FRP格子材200から形成される補強材1の他の実施例を示す。図9に示す補強材1Hは、孔101内に配置される2つの補強部11と、これらを連結する連結部12とを有し、全体として略U字型となるように切り出されたものである。補強部11は、孔101の軸線方向に沿って配置される縦補強筋201から成り、連結部12は、縦補強筋に略直交する横補強筋202から成る。更に、補強部11には、孔101の軸線方向と交差する方向に延在する第2部分として、横補強筋202で形成される突出部14が複数設けられており、補強部11と突出部14との複数の交点13を形成している。図示の例では、突出部14は、交点13において、縦補強筋201から成る補強部11の両側に、所定の突出量pにて突出するように横補強筋202を切断することで形成されている。
【0074】
尚、図9に示す補強材1Hにおいては、補強部11と連結部12とはそれぞれFRP格子材200の交差する縦補強筋201、横補強筋202で構成されるが、これに限定されるものではなく、例えば縦補強筋201を屈曲させて略U字型とすることによって、補強部11と連結部12とを縦補強筋201で形成することができる。
【0075】
又、図10には、3つの補強部11が連結部12で連結され、更に各補強部11の両側に突出量pにて突出部14が複数設けられた、全体として山型の補強材1Iを示す。補強部11は更に多数設けてもよい。
【0076】
更に、図11には、縦方向及び横方向に配列された複数の補強部11が、互いに連結部12で連結され形状を有するように成形され、切り出された補強材1Jを示す。図示の例では、縦補強筋201を屈曲することにより、縦補強筋201から成る略U字型の3つの補強部11が、それぞれ横補強筋202から成る3の連結部12で連結された形状に成形されている。又、各補強部11の両側に、突出量pにて複数の突出部14が設けられている。
【0077】
図8に示す補強材1Gは、図1に示すものと同様にしてコンクリート壁100に設けた孔101に差し込むことができる。又、図9〜11に示す補強材1H、1I、1Jは、それぞれ、図4〜6に示すものと同様にして、コンクリート壁100に設けられた孔101に差し込むことができる。連結部12をコンクリート壁100の引張応力作用面に配置することにより、連結部12の長さに相当する長さL2(図11のものでは縦方向連結部12a、横方向連結部12bの長さにそれぞれ相当する長さL2a、L2b)の定着部を設けることができ、上記同様の定着効果を得ることができる。
【0078】
FRP格子材200から形成される補強材1を用いる場合、孔101は、一方向において筋幅wと突出量pとの合計である幅W4より5〜50mmだけ大きく、他の一方向においてFRP格子材200の厚さtより5〜50mmだけ大きい断面形状(矩形、楕円等)とすることで、施工性、補強効果のいずれにおいても好結果が得られる。勿論、孔101内に配置される補強材1の断面形状の最大寸法よりも上記の通り大きい直径を有する孔101を穿孔してもよい。
【0079】
尚、FRP格子材200を用いて、図12に示すように、複数の補強部を有していないが、補強部11と、この補強部11に連結されて孔101外でコンクリート壁100の表面に沿って配置される第2部分としての屈曲部15とを有する補強材1K、即ち、略L字形状の補強材1Kを構成してもよい。
【0080】
又、上述のように、FRP格子材200は、縦補強筋201、横補強筋202を適宜切断などすることによって、容易に突起部14を形成することができるため、突起部14を有する補強材1を形成するのには好都合である。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、溶接鉄筋、或いは適当に成形されたFRP筋を用いることもできる。
【0081】
実施例3
次に、本発明の他の実施例について説明する。上述のように、コンクリート壁100の引張応力作用面に連結部12を配置することによって、せん断補強効果が向上する。
【0082】
本実施例では、更に、図13に示すように、コンクリート壁100の両面側、即ち、孔101の両端開口部から、実施例1にて説明したものと概略同様の略U字型の補強材1B、1B’を差し込む。この時、補強材1B、1B’の補強部11が、各孔101内で重ね継手を形成するように、補強材1B、1B’を成形する。補強材1Bの強度、直径、充填材2の種類、或いはコンクリートの種類に応じて、両補強材1B、1B’間の十分な応力伝達が得られるような重ね長さL2を設ける。種々変更されるものであるが、通常、重ね長さL2は、補強材1の補強部11の断面形状の最大寸法(厚さ又は直径)の5倍〜20倍とすることで好結果が得られる。
【0083】
このように補強材1B、1B’の重ね継手を設けて閉鎖系とすることによって、コンクリート壁100に対して両面方向から力(図中矢印P、P’)が加わる正負交番載荷に対する補強効果を向上させることができる。
【0084】
尚、上述では、鉄筋、FRP筋からなる略U字型の補強材1Bを用いた場合について説明したが、図5、図6を参照して説明した他の形状のもの、或いは図9〜11を参照して説明したFRP格子材から形成されたものを用いてもよいことは明らかである。又、上述のような略L字形状の補強材1F(若しくは補強材1K)(図7、図12)、或いは面状の第2部分12又は15を有する補強材1Ba又は1Fa(図7)を、孔101の両側開口部から差し込み、継手を設ける構成としてもよい。図14には、略L字形状の補強材1F、1F’を用いた例を示す。
【0085】
実施例4
次に、本発明の他の実施例について説明する。例えば、地下構造物の底版、側壁などでは、構造物が地盤に埋設されており、構造物内部の一面のみからしか作業ができない場合がある。このような場合、地盤側のコンクリート面に引張応力が作用する場合であっても、地盤側から補強材1を挿入することができないか、困難である。そのため、例えば、図4に示すような定着効果を有する補強材1Bの連結部12を、コンクリート壁100の引張応力作用面に配置することができない。
【0086】
図15を参照すると、ここでは、ボックスカルバートの連続壁等とされるコンクリート壁100の一方の面(第1面)100Aはボックスカルバートの内空間に面しているが、反対側面(第2面)100Bは地盤Gに面している。この場合、第1面100A側からしか作業を行うことができないが、図示矢印P方向に加力がある場合には、第2面100B側の下側に引張応力が作用する。
【0087】
そこで、本実施例では、補強材1Lは、孔101内でその軸線方向に延びる補強部11と、孔101の軸線方向と交差する方向に延在する第2部分として、この補強部11に連結されていると共に、孔101外で少なくとも引張応力作用面に沿って配置される屈曲部15を有する構成とする。本実施例では、補強部11の軸線方向両端部に、補強部11に対して略直角に延びる屈曲部15を有するように成形する。ここでは、両屈曲部15、15間の間隔W5は、コンクリート壁100の厚さTとほぼ同じで、孔101内に配置される補強部11の長さL1とほぼ同じとした。この屈曲部15は、コンクリート壁の、特に、引張応力作用面に配置されることで、補強材1Lをコンクリート壁100に定着させる定着部の効果を発揮する。
【0088】
要求される補強強度等により種々変更されるものであるが、屈曲部(定着部)15の長さL2は、上述のように、補強部11の断面形状の最大寸法(厚さ又は直径)の1倍〜100倍、より好ましくは5倍〜20倍とする。一般に、この長さL2は、20mm〜200mmとすることで好結果が得られる。
【0089】
この場合、孔101は、コンクリート壁100を貫通して、コンクリート壁100の略法線方向に穿孔するが、孔101が断面略円形である場合、内径D4は、屈曲部15の長さL2以上とされ、通常、内径D4は、屈曲部15の長さL2より5〜50mmだけ大きくすることで、施工性、補強効果のいずれにおいても好結果が得られる。
【0090】
尚、後述するように、補強材1Lの屈曲部15を第2面100Bに沿わせて配置するために、予め地盤Gまで余分に穿孔しておくことができる。
【0091】
図15に示すように、補強材1Lを、第1面100A側から孔101に差し込み、屈曲部15が孔101の第2面100B側開口部を通過したら、補強材1Lを、孔101の外周方向、即ち、コンクリート壁100の第2面100Bに沿う方向に、ここでは下方に移動させて、屈曲部15が第2面100Bにかかるように配置する。その後、孔101内に充填材2を充填して、補強材1Lを固定、定着させる。
【0092】
図16を参照すると、コンクリート壁100の引張応力作用面側に地盤等の障害物が存在する場合に、その面に補強材1Lの屈曲部15を配置する他の方法が示されている。ここでは、コンクリート壁100に設ける孔101の断面形状を長方形又は楕円(図示の例では長方形)とする。孔101の断面の長辺の長さL4は、屈曲部15の長さL2以上とされ、通常、長さL4は、屈曲部15の長さL2より5〜50mmだけ大きくする。又、孔101の断面の短辺の幅D5を、補強材1Lの断面形状の最大寸法(厚さ又は直径)D1以上とされ、通常、幅D5は、補強材1Lの厚さ又は直径D1より5〜50mmだけ大きくする。これにより、ことで、施工性、補強効果のいずれにおいても好結果が得られる。
【0093】
図16に示すように、補強材1Lを、第1面100A側から孔101に差し込み、屈曲部15が孔101をの第2面100B側開口部を通過したら、屈曲部15が第2面100B上に来るように、補強材1Lを孔101の軸線方向の周りで回転させる。その後、孔101内に充填材2を注入して、補強材1Lを固定、定着させる。
【0094】
このようにして、コンクリート壁100の引張応力作用面側に地盤等の障害物が存在する場合にも、その面に屈曲部15、即ち、定着効果を有する定着部を配置することで、補強材1Lの補強効果を向上させることができる。
【0095】
ここで、補強材1Lの補強部11の軸線方向両端部に屈曲部15を設ける場合、屈曲部15がコンクリート壁100中の既設鉄筋を跨ぐように、即ち、補強材1Lを固定、定着した状態で、両方の屈曲部15の間にコンクリート壁100中の既設鉄筋が存在するように補強材1Lを配置することによって、補強材の引抜き耐力が向上するため、更に補強効果を向上させることができる。
【0096】
尚、図16に示す態様において、孔101の断面の長辺方向は、図示のように水平に制限されるものではなく他の如何なる角度であってもよい。
【0097】
本実施例の補強材1Lは、上述のような鉄筋、FRP筋等の棒状の補強筋、FRP格子材のいずれで形成してもよい。又、上述したような略L字形状の補強材1F或いは1K(図7、図12)、即ち、補強部11の一端側に屈曲部15が設けられている補強材1を用いて、その屈曲部15側から孔101に挿入してもよい。
【0098】
実施例5
次に、本発明の他の実施例について説明する。
【0099】
以上の実施例において説明したように、コンクリート壁100に孔101を設け、この孔に配置した補強材1を充填材2で固着することによって、コンクリート壁100のせん断耐力を増加させることができる。
【0100】
本実施例では、補強材1を更に強固に定着する方法について説明する。尚、ここでは、簡単のために、図1に示すような実質的に孔101内に配置される補強部11のみから成る棒状の補強材1Aの端部を定着する場合について説明するが、以下説明する定着方法は、上述して説明してきた本発明に従う補強材1について同様に適用し得るものである。
【0101】
図17に示されるように、補強材1を挿入する孔101の端部に、孔101の軸線方向中心から、コンクリート壁100の表面側に向けて拡幅した形状とする。これに限定されるものではないが、孔101が断面略円形であるとき、孔101は、上述のように小径部101Aから、これより10%〜100%大きな大径開口部101Bへと、深さL5が20〜200mmで漸次径が拡大する拡幅部101Cとを有するように穿孔される。
【0102】
これにより、例えば、図中矢印Pで示すように第1面100Aに力が加わり、孔101中の補強材1Aを第1面100A側に引き抜く力が加わった場合、孔101の第2面100B側の端部において、拡幅部101C内に充填された充填材2が楔効果により補強材1をコンクリート壁100に強固に定着することが可能となる。斯かる楔作用をより効果的にするために、充填材2として膨張性モルタル、膨張性コンクリートを好適に使用し得る。
【0103】
図示の通り、孔101の軸線方向両端部にこのような拡幅部101Cを設けることによって、コンクリート壁100の第1面100A、第2面100Bのいずれに引張応力が作用した場合であっても、補強材1を強固に定着することができる。但し、これに限定されるものではなく、例えば、図4に示す補強材1Bのように、コンクリート壁100の一方の表面側に定着部として作用する連結部(第2部分)12を有する場合などにおいて、他方の表面側の孔101の開口部を上述の通り拡幅することで、正負交番載荷に対しての補強効果を向上することができる。
【0104】
又、補強材1の端部は、定着具によって定着することもできる。例えば、図18に示すように、補強材1Aの端部を、楔形状の定着具40によって定着することができる。更に説明すると、例えば、孔101の補強材1の差し込み方向に楔定着具40の楔41を挿入し、上記同様の孔101の拡幅部101Cに楔41を配置し(図18(a))、次いで、孔101に補強材1を挿入する(図18(b))。更に、補強材1を拡幅部101Cに配置された楔41を通して差し込み(図18(c))、補強材1を孔101内の所定の位置に配置する(図18(d))。
【0105】
これにより、楔定着具40の楔作用によって、図18(d)中矢印方向へ補強材1を引き抜く力に対して、補強材1は強固に定着される。
【0106】
更に、図18(d)に示すように、楔41の表面に、図中矢印方向への補強材1の移動を阻止するように補強材1の表面と係合する係止部42を設けることによって、楔41の定着効果を向上させることができる。この場合、楔41の係止部42は、補強材1が異形鋼或いは異形鋼状の表面を有するものでれば、その表面に設けられた突起に係合するようにしてもよいが、補強材1の楔定着具40に対応する表面に楔41の係止部と係合する受け部16を加工してもよい。
【0107】
尚、孔101に拡幅部101Cが設けられていない場合であっても、上述のような楔定着具40を使用することができる。
【0108】
加えて、例えば補強材1の上記楔定着具40を設けた側とは反対側の端部を、更に、図19に示すように、鋼製の定着板51とナット52を備えた一般的な定着具によって定着することができる。つまり、孔101の開口部上に定着板51を配置し、定着板51の開口部を貫通して延びる補強材1の表面に加工したねじにナット52を螺合することによって定着する。
【0109】
以上のように、充填材2による固着に加えて、定着具(定着手段)を用いることにより、より一層強固に補強材1を定着することができる。
【0110】
実施例6
次に、本発明の他の実施例について説明する。上述のFRP筋は、孔101内に配置される以前に既にマトリクス樹脂が含浸され、硬化されたものであった。これに対して、本実施例では、FRP筋は、孔101内で硬化される。
【0111】
図20を参照して更に説明すると、先ず、所定本数の強化繊維(上記FPR筋と同様のものであってよい。)を束ねた可撓性を有する強化繊維束20を、マトリクス樹脂(上記FRP筋と同様のものであってよい。)の含浸前にコンクリート壁101の孔101に挿入し、その後マトリクス樹脂21を孔101に注入して強化繊維束に含浸させ、硬化させることで孔101内に配置されるFRP筋(補強材)1Mを形成する。その後、充填材2を孔101に充填してFRP筋とされた補強材1Mを孔101内に固着させる。
【0112】
強化繊維束20としては、限定されるものではないが、実施例1にて説明したFRP筋を構成するものと同様の態様で集束されたものを用いることができる。
【0113】
或いは、強化繊維束20としては、次のものを用いることができる。図22に示すように、多数本の強化繊維fで構成される補強繊維束f0から成る強化繊維束20は、この強化繊維束20を囲包して配置された可撓性の管状被覆部材bの中心孔b1内に配置することができる。管状被覆部材bと強化繊維束20との間には、例えば十分な空隙を保持するなどして樹脂を注入し得るようにする。強化繊維束20は、一般には、強化繊維fを平行状態に配列して作成される。即ち、所定本数の強化繊維fを平行或いは緩く撚りを掛けて集束して作製されるストランドSを更に平行に或いは緩く撚りを掛けて複数本束ねることによって作製される。又、別法として、図2(c)に示したようにして集束された補強繊維束f0と外層部材f1とから成る強化繊維束20を、可撓性の管状被覆部材b内に配してもよい。
【0114】
可撓性の管状被覆部材bは、用途によって種々の材料及びサイズのものとすることができ、一般に、中心孔b1の内径が2〜100mm、肉厚は0.01mm〜50mmとされ、金属製とすることもできるが、樹脂材料で作製するのが好適である。好ましい樹脂材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、塩化ビニール、ゴム系樹脂などを挙げることができる。又、管状被覆部材bは、充填材2との付着力を増大させるために、外表面に凹凸形状を設けることができる。凹凸形状としては、所定間隔でふし状に環状の起伏(或いは突起)を形成したり、螺旋状に起伏(或いは突起)を形成したりすることで設けることができる。管状被覆部材b内に配置された強化繊維束20は、コンクリート壁100の孔101内に配置した後、管状被覆部材b内にマトリクス樹脂を注入することで、樹脂が含浸される(このような補強材、樹脂の注入方法は、本発明者らが提案した強化繊維補強筋等に関する特開平11−70596号公報に詳しい。)。
【0115】
又、上述のようなマトリクス樹脂未含浸の強化繊維束20の代わりに、予めマトリクス樹脂が含浸されているが、未硬化或いは半硬化状態の、所謂、プリプレグ状態の強化繊維束30を孔101に挿入した後、孔101内で硬化させることによって、孔101内に配置されるFRP筋(補強材)1Mを形成してもよい。
【0116】
プリプレグ状態の強化繊維束30を形成する場合も、限定されるものではないが、上記FRP筋を構成するものと同様の態様で集束されたものとすることができる。この場合、マトリクス樹脂は、樹脂を収容した樹脂槽中に樹脂未含浸の強化繊維束を浸漬することなどによって含浸させることができる。
【0117】
或いは、上記のような管状被覆部材b内に多数本の強化繊維fで形成される補強繊維束f0を配してプリプレグ状の強化繊維束30を構成してもよく、この場合、コンクリート壁100の孔101内に配置する以前に、管状被覆部材bの内部に予めマトリクス樹脂を注入し、この樹脂補強繊維束f0へと含浸させてプリプレグ状態としておく。別法では、予め多数本の強化繊維fから成る補強繊維束f0に樹脂を含浸させた上で、その外側に可撓性を有する被覆材を巻き付けるか、射出成形などにより被覆層を形成することで、可撓性を有する管状被覆部材b内に配置されたプリプレグ状の強化繊維束30を得ることができる。
【0118】
ところで、強化繊維束20、30に含浸された樹脂は、放置することにより硬化するが、積極的にヒータなどの加熱手段により加熱することにより、その硬化を促進することができる。
【0119】
例えば、強化繊維束20、30を炭素繊維、金属線(金属繊維)などの導電性を有する繊維で構成する(全部が導電性を有する繊維であってもよい。)か、若しくは導電性を有する繊維を混合して構成し、これに通電して発熱させ、マトリクス樹脂を加熱硬化することができる。これにより、樹脂の硬化時間を短縮することができる。例えば、強化繊維束20、30を構成する強化繊維fが炭素繊維のように導電性を有する繊維であれば、これに通電して発熱させ、樹脂を加熱硬化することで、硬化時間を短縮することが可能となる。又、強化繊維束20、30の、好ましくは略中心位置に加熱部材としてヒータ線を配置し、ヒータ線に通電して発熱させ、樹脂を加熱硬化することができる。ヒータ線としては、例えばニクロム線、タングステン線、ニッケル線などが使用可能であり、線径0.1〜20mmの可撓性のあるものが好適である。
【0120】
上述のような、強化繊維束20、30は可撓性を有するため、極めて容易に任意の形状とすることができる。例えば、図21に示すように、略U字形状として2つの孔101に挿入し、極めて簡便に、補強材1Mの補強部11、連結部12を形成することができる。
【0121】
或いは、このように可撓性を有する強化繊維束20、30は、図21に示すように、一方の端部から他方の端部まで、複数の孔101に連続して配置することができる。図示の例では、先ず、コンクリート壁100の一方の面(第1面)100A側から孔101aに挿入された強化繊維束20、30は、次いで反対側の面(第2面)100B側で次の孔101bに挿入される。更に、第1面100A側で次の孔101cに挿入された後、第2面100B側で次の孔101dに挿入されて、第1面100A側開口部まで達する。これにより、簡単にコンクリート壁100の第1面100A、第2面100Bの両方において、補強材1Mの連結部12を形成することができる。
【0122】
当然、強化繊維束20、30によって、図7に示して説明したような略L字形状の補強材Mを形成することもできる。
【0123】
ここで、強化繊維束の体積をVF、強化繊維束に含浸された樹脂の量(体積)をVR、VF+VR=VTとすると、樹脂充填率(%)、即ち、(VR÷VT)×100は、5〜90%となるように選定するのが好ましい。樹脂充填率が5%より少ないと、強化繊維と強化繊維との間で応力の伝達ができなくなり、結果として全体の引張強度が低下するといった問題があり、又、90%より大きいと、繊維の量が相対的に少なくなり全体の引張強度が高くならないだけでなく、物理的に樹脂を含浸できないといった問題が発生する。従って、好ましくは、この樹脂充填率は30〜80%とされる。
【0124】
樹脂が未含浸の強化繊維束20は、例えば、適当な単位のロール状として施工現場に搬送され、そこでコンクリート壁100に設ける孔101の任意の孔間隔に対応して切断することができる。又、施工現場でこの強化繊維に樹脂を含浸させてプリプレグ状態の強化繊維束30を作製し、用いることができる。或いは、マトリクス樹脂が予め含浸されたプリプレグ状態の強化繊維束30を、例えば、適当な単位のロール状として施工現場に搬送してもよい。
【0125】
以上、本実施例のように可撓性を有する強化繊維束20、30を、孔101に配置した後効果させることで、上記各実施例と同様にコンクリート壁100のせん補強効果を得ることができると共に、補強材1を施工現場で切断し、屈曲させるなどして、容易に任意の形状とすることができるので施工性がよい。
【0126】
実施例7
次に、本発明の更に他の実施例について説明する。本実施例は、面外せん断耐力に加えて、曲げ及び面内せん断力に対しても補強が要求される場合に、公知のコンクリート増厚工法と組み合わせる方法である。
【0127】
上述のように、上記各実施例にて説明した方法によれば、主にコンクリート部材の面外せん断耐力を向上させることができる。
【0128】
一方、従来、図23に示すようなFRP格子材200、又は例えば溶接にて格子状とされた鉄筋とされる格子材(以下、ここではFRP格子材200を用いるものとする。)をコンクリート面にアンカーボルトで固定することによりコンクリート構造物に取り付け、その後セメントモルタル等を吹き付け、コテ塗りして被覆し、コンクリート面を増厚するか、或いは型枠を配置した後、生コンクリートを注入してFPR格子材とコンクリート構造物とを一体化させることによりコンクリート構造物を補強する方法がある。斯かる方法によって、主にコンクリート部材の曲げ耐力、面内せん断耐力を向上させることができる。
【0129】
そこで、本実施例では、図24に示すように、被補強コンクリート部材としてのコンクリート壁100の所定の位置に孔101を設け、コンクリート壁100の表面にFRP格子材200を配置する。そして、孔101外でコンクリート壁100の表面に沿って配置される補強材1の第2部分、例えば、図4に示す補強材1Bの連結部12によって、FRP格子材200(図示の例では、2本の横補強筋202)を固定するように、コンクリート壁100の孔101に補強材1Bを差し込む。そして、孔101に充填材2を充填することによって補強材1Bを固定する。勿論、補強材1を挿入する以前に孔101内に充填材2を充填しておいてよいことは上述の通りである。
【0130】
これにより、従来用いられていた、コンクリート部材の補強効果に関しないアンカーボルトを用いることなく或いは使用量を減らして、補強材1でFRP格子材200を固定することができる。
【0131】
その後、FRP格子材200、補強材1Bが設けられたコンクリート壁100の表面にセメントモルタル、ポリマーモルタル、ポリマーセメントモルタルを含むモルタル、或いはセメントコンクリート、ポリマーコンクリート、ポリマーセメントコンクリートを含むコンクリートなどの増厚材300を吹き付け、コテ塗りするなど、公知の方法で設けてコンクリート壁100を増厚する。
【0132】
補強材1としては、上記連結部12を有する補強材1の他、FRP格子材200を固定し得るように、コンクリート壁100の表面方向に配置される第2部分を有するものであれば用いることもできる。
【0133】
尚、コンクリート壁100の反対側面にもFRP格子材200を設けるこができる。この場合、コンクリート壁100の水平方向において異なる位置でコンクリート壁100の表裏面から上述と同様にして補強材1Bを差し込み、固定してもよいが、例えば、図13、図14に示すように孔101内で継手を有するもの、或いは図15、図16に示すような補強部11の両端に屈曲部15を有するものを用いることができる。
【0134】
以上、本実施例によれば、補強材1を、コンクリート増厚工法と組み合わせて用いることで、コンクリート壁100の面外せん断耐力に加えて、曲げ耐力及び面内せん断耐力の向上をも図ることができる。
【0135】
実験例1
本発明の補強方法の効果を立証するために、RC単純梁供試体をコンクリート壁部材にみたてて、2点支持2点静的載荷試験を行った。
【0136】
図25を参照して、梁供試体500の寸法は、幅(W0)300mm、高さ(H0)460mm、長さ(L0)2700mmとされ、内部に引張鉄筋501、圧縮鉄筋502、スターラップ(支点位置のみ)503から成る鉄筋構造体を有するものであり、支点間距離(Ls)は2100mm、荷重間距離(Lp)は300mmとした。コンクリートは、早強ポルトランドセメントを用いて、目標圧縮圧縮強度を30N/mm2として打設した。
【0137】
この供試体500は、コンクリート打設14日後に、上面500Aよりドリル(コアカッター)を用いて直径30mmの孔101を貫通させた。孔101は、供試体500の長手軸線方向(主筋軸線方向)にほぼ直角、即ち、表面に対し略垂直方向である供試体500の略法線方向に沿って設けた。又、孔101は、供試体500の長手方向において、一方の支点から一方の載荷点の間に孔中心間距離(Lr1)175mmで5箇所、又他方の支点から他方の載荷点の間に孔中心間距離(Lr2)140mmで6箇所、又供試体500の幅(W0)方向において間隔(Wr)100mmで2列、合計22箇所設けた。供試体500の幅W0方向において2列設ける孔101は、それぞれ表面から100mm内側に配置した。そして、補強材1として図9に示すFRP格子材から形成したものを用い、補強材1の2つの補強部11を、供試体500の幅W0方向に設けた2つの孔にそれぞれ差し込んだ。補強材1を差し込んだ孔101に充填材2を充填し、7日間養生させた。孔中心間距離(Lr1)175mmで孔101を設けたせん断スパンの片側を計測スパンとした。
【0138】
実験は、供試体500の上面500Aから(供試体番号3)、下面500Bから(供試体番号4)、又は上面及び下面500A、500Bの両面から(供試体番号2)それぞれ補強材1を挿入した供試体と、補強材1を設けない無補強の供試体(供試体番号1)のそれぞれについて行った。補強材1、充填材2としては、次のものを用いた。
【0139】
Figure 0004194894
計測項目は、主鉄筋ひずみ、ひび割れ発生状況、耐荷重及び供試体の変異とした。
【0140】
【表1】
Figure 0004194894
【0141】
表1は、各供試体に関する最大荷重と破壊モードの結果を示す。無補強の供試体(供試体番号1)がせん断圧縮破壊、補強材1でせん断補強した3つの供試体(供試体番号2〜4)がいずれも曲げ圧縮破壊した。供試体番号2〜4では、最大荷重はほぼ同じ(500kN)であった。いずれの供試体も約100kNで初期曲げひび割れが発生し、250kN前後で斜めひび割れが発生した。このように、せん断破壊する無補強の供試体が、補強材1によって曲げ破壊になったことによって、補強材1のせん断補強効果が確認できた。
【0142】
図26に荷重変異曲線を示す。供試体番号2〜4では、等曲げ区間に曲げ圧縮破壊ひび割れが視認できたところで除荷した。図26から、無補強の供試体(供試体番号1)に対して、最大荷重は、供試体番号2〜4のいずれにおいても35%以上向上して曲げ破壊に到っていることから、せん断耐力は、供試体番号2〜4に対するいずれの補強方法であっても35%以上向上することが確認された。
【0143】
このように、補強材1を孔101に差し込み、ボルト、ナット等の定着具により定着せず、樹脂定着することにより、せん断耐力を増加させ、破壊モードをせん断破壊から曲げ破壊に移行させることが可能であることが明らかとなった。
【0144】
図27は、補強材1の測定ひずみから算定した、補強材1とコンクリートの負担せん断力を示す。この結果から、いずれの供試体でも、斜めひび割れの発生した荷重130kN(載荷荷重260kN)まではコンクリートがせん断力を負担し、斜めひび割れ発生以降、補強材1の負担せん断耐力Vsが徐々に増加し、補強材1がせん断補強筋として機能していることが分かる。終局時の補強材1の負担せん断力は、補強材1の断面積の多い供試体番号2(上下面から)が最も大きく、次いで供試体番号4(下面から)が大きく、供試体番号3(上面から)が最も少なくなっている。
【0145】
図27から、供試体番号3(上面から)、供試体番号4(下面から)、供試体番号2(上下面から)の順に、補強材1のせん断補強材としての効果が大きくなることが分かる。つまり、供試体500の下面500Bは、引張応力作用面であり、引張応力作用面に沿って補強材1の連結部(定着部)12を配置することがより好ましいことが分かる。
【0146】
一方、上面500A側から補強材1を挿入した供試体番号3においてもせん断補強効果が見られることから、例えば、コンクリート壁面に沿う連結部2を有さず、実質的に孔101内に配置される部分のみから成る補強材1を用いることによっても本発明の効果が得られることが分かる。
【0147】
更に説明すると、供試体番号4(下面から)では、梁の引張面では連結部(横補強筋)12による機械的定着と、樹脂による付着により定着され、圧縮領域である梁の上側では孔101内に樹脂による付着のみで定着されている。これに対して、供試体番号3(上面から)では、引張領域となる梁の下側で樹脂による付着のみ定着されている。この場合、圧縮領域では拘束効果により樹脂定着でも十分な定着強度が得られるが、引張領域では拘束効果がなく、逆にコンクリートと樹脂が剥離する方向にコンクリートに応力が作用する。上述の結果より、引張領域に連結部(即ち、コンクリート壁の表面に沿って配置される第2部分)による機械的な定着を提供することで、補強材1の定着をより確実にして、更に良好な補強効果を得られることが確認された。
【0148】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のコンクリート構造物の補強方法は、被補強コンクリート部材に、該被補強コンクリート部材の表面に対し軸線方向が所定の角度となる孔を設け;孔の軸線方向に延びる第1部分と、孔の軸線方向と交差する方向に延在する第2部分と、を備える補強材の少なくとも第1部分を孔内に配置し;孔に充填材を充填して補強材を固定する
ことを含むコンクリート構造物の補強方法であって、
(A)前記第2部分として、前記第1部分に連結されていると共に、前記孔外で前記被補強コンクリート部材の表面に沿って配置される定着部を有し、
前記孔を設ける際に、該孔を前記被補強コンクリート部材を貫通して設け、
前記孔内に前記補強材を配置する際に、前記定着部が設けられた端部から前記補強材を前記孔内に差し込んだ後、前記補強材を被補強コンクリート部材の表面に沿う方向に移動させるか又は前記孔の軸線方向の周りで回転させて、前記定着部を被補強コンクリート部材の表面に沿わせて配置させる構成とするか、又は、
(B)前記第2部分として、前記第1部分に連結されていると共に、前記孔外で前記被補強コンクリート部材の表面に沿って配置される定着部を有し、
前記孔を設ける際に、該孔を前記被補強コンクリート部材を貫通して設け、
前記孔内に前記補強材を配置する際に、前記孔の両側開口部から前記補強材を差し込み、前記孔内で両補強材の少なくとも一部分が重さなるように配置し、
前記充填材により前記補強材を固定する際に、前記孔の両側開口部から差し込んだ補強材の重ね継手を形成する構成とされるので、
(1)コンクリート構造物、特に、補強材を外周に巻き立てることが不可能な壁、床などの面部材のせん断耐力を向上させることができる。
(2)コンクリート構造物、特に、面部材のせん断耐力を向上させることができ、且つ、コンクリート増厚工法のように断面寸法の大幅な増加を伴わず、しかも施工が容易である。
といった作用効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコンクリート構造物の補強方法の原理を説明するためのコンクリート壁の斜視図である。
【図2】補強材の一実施例を示す斜視図である。
【図3】コンクリート壁の穿孔方向を説明するための説明図である。
【図4】本発明に係るコンクリート構造物の補強方法の他の実施例を説明するためのコンクリート壁の斜視図である。
【図5】本発明に係るコンクリート構造物の補強方法の他の実施例を説明するためのコンクリート壁の斜視図である。
【図6】本発明に係るコンクリート構造物の補強方法の他の実施例を説明するためのコンクリート壁の斜視図である。
【図7】本発明に係るコンクリート構造物の補強方法の他の実施例を説明するためのコンクリート壁の斜視図である。
【図8】補強材の他の実施例を示す斜視図である。
【図9】補強材の他の実施例を示す斜視図である。
【図10】補強材の他の実施例を示す斜視図である。
【図11】補強材の他の実施例を示す斜視図である。
【図12】補強材の他の実施例を示す斜視図である。
【図13】本発明に係るコンクリート構造物の補強方法の他の実施例を説明するためのコンクリート壁の斜視図である。
【図14】本発明に係るコンクリート構造物の補強方法の他の実施例を説明するためのコンクリート壁の斜視図である。
【図15】本発明に係るコンクリート構造物の補強方法の他の実施例を説明するためのコンクリート壁の斜視図である。
【図16】本発明に係るコンクリート構造物の補強方法の他の実施例を説明するためのコンクリート壁の斜視図である。
【図17】本発明に係るコンクリート構造物の補強方法に適用し得る補強材の定着方法の一実施例を示す断面図である。
【図18】本発明に係るコンクリート構造物の補強方法に適用し得る補強材の定着方法の他の実施例を示す要部断面図である。
【図19】本発明に係るコンクリート構造物の補強方法に適用し得る補強材の定着方法の他の実施例を示す断面図である。
【図20】本発明に係るコンクリート構造物の補強方法の他の実施例を説明するためのコンクリート壁の斜視図である。
【図21】本発明に係るコンクリート構造物の補強方法の他の実施例を説明するためのコンクリート壁の斜視図である。
【図22】補強材の更に他の実施例を示す斜視図である。
【図23】補強材を形成するFRP格子材を説明するための斜視図である。
【図24】本発明に係るコンクリート構造物の補強方法の他の実施例を説明するためのコンクリート壁の斜視図である。
【図25】本発明の効果を示すために用いた供試体の説明図である。
【図26】本発明の効果を示す荷重変異曲線のグラフ図である。
【図27】本発明の効果を示す負担せん断力のグラフ図である。
【符号の説明】
1(1A〜1M) 補強材
2 充填材
11 補強部(第1部分)
12 連結部(第2部分)
15 屈曲部(第2部分)
20 強化繊維束
30 プリプレグ状の強化繊維束
100 コンクリート壁(被補強コンクリート部材)
101 孔

Claims (13)

  1. 被補強コンクリート部材に、該被補強コンクリート部材の表面に対し軸線方向が所定の角度となる孔を設け、
    前記孔の軸線方向に延びる第1部分と、前記孔の軸線方向と交差する方向に延在する第2部分と、を備える補強材の少なくとも前記第1部分を前記孔内に配置し、
    前記孔に充填材を充填して前記補強材を固定する、
    ことを含むコンクリート構造物の補強方法であって、
    前記第2部分として、前記第1部分に連結されていると共に、前記孔外で前記被補強コンクリート部材の表面に沿って配置される定着部を有し、
    前記孔を設ける際に、該孔を前記被補強コンクリート部材を貫通して設け、
    前記孔内に前記補強材を配置する際に、前記定着部が設けられた端部から前記補強材を前記孔内に差し込んだ後、前記補強材を被補強コンクリート部材の表面に沿う方向に移動させるか又は前記孔の軸線方向の周りで回転させて、前記定着部を被補強コンクリート部材の表面に沿わせて配置させる、
    ことを特徴とするコンクリート構造物の補強方法。
  2. 前記孔は、前記孔の軸線方向が前記被補強コンクリート部材の法線方向に対し60度以内となるように設けることを特徴とする請求項1のコンクリート構造物の補強方法。
  3. 前記定着部は、前記補強材の両端部に設けられていることを特徴とする請求項1又は2のコンクリート構造物の補強方法。
  4. 前記補強材の両端部に設けられた各定着部の間に前記被補強コンクリート部材中の既設鉄筋が存在するように、前記補強材を前記被補強コンクリート部材の前記孔内に配置することを特徴とする請求項のコンクリート構造物の補強方法。
  5. 被補強コンクリート部材に、該被補強コンクリート部材の表面に対し軸線方向が所定の角度となる孔を設け、
    前記孔の軸線方向に延びる第1部分と、前記孔の軸線方向と交差する方向に延在する第2部分と、を備える補強材の少なくとも前記第1部分を前記孔内に配置し、
    前記孔に充填材を充填して前記補強材を固定する、
    ことを含むコンクリート構造物の補強方法であって、
    前記第2部分として、前記第1部分に連結されていると共に、前記孔外で前記被補強コンクリート部材の表面に沿って配置される定着部を有し、
    前記孔を設ける際に、該孔を前記被補強コンクリート部材を貫通して設け、
    前記孔内に前記補強材を配置する際に、前記孔の両側開口部から前記補強材を差し込み、前記孔内で両補強材の少なくとも一部分が重さなるように配置し、
    前記充填材により前記補強材を固定する際に、前記孔の両側開口部から差し込んだ補強材の重ね継手を形成する、
    ことを特徴とするコンクリート構造物の補強方法。
  6. 前記孔は、前記孔の軸線方向が前記被補強コンクリート部材の法線方向に対し60度以内となるように設けることを特徴とする請求項5のコンクリート構造物の補強方法。
  7. 前記補強材は、前記被補強コンクリート部材に設けられた別個の前記孔内にそれぞれ配置される複数の前記第1部分を有し、前記定着部は、前記複数の第1部分を互いに連結すると共に、前記孔外で前記被補強コンクリート部材の表面に沿って配置される連結部を構成することを特徴とする請求項5又は6のコンクリート構造物の補強方法。
  8. 前記補強材は、2つの前記第1部分を前記連結部で連結した略U字形状、3つの前記第1部分を前記連結部で連結した略山字形状、又は4つ以上の前記第1部分を前記連結部で連結した略櫛形状とされることを特徴とする請求項7のコンクリート構造物の補強方法。
  9. 前記第2部分として、前記孔内に配置されると共に、前記孔内で前記第1部分と交点を形成する突起部を有することを特徴とする請求項1〜のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の補強方法。
  10. 前記補強材は、前記突起部を複数有することを特徴とする請求項のコンクリート構造物の補強方法。
  11. 前記孔の軸線方向と直交する方向への前記第1部分からの前記突起部の突出量は、前記孔の軸線方向と直交する方向における前記第1部分の断面形状の最大寸法の1/2〜5倍であることを特徴とする請求項9又は10のコンクリート構造物の補強方法。
  12. 前記補強材は、金属又は繊維強化プラスチックの棒材で形成されることを特徴とする請求項1〜11のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の補強方法。
  13. 前記補強材は、連続繊維を複数層交差させて交点が形成された繊維強化プラスチック格子材で形成されることを特徴とする請求項1〜11のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の補強方法。
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