JP5392749B2 - 鉄筋コンクリート構造物への鉄筋の定着構造 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明に係る鉄筋コンクリート構造物への鉄筋の定着構造は、鉄筋コンクリート構造物へ鉄筋を定着させるための定着構造であって、略平行に配置した一組の鉄筋と、各鉄筋の端部に取り付けて各鉄筋を一体に連結する連結部材とを備え、連結部材は、連結する各鉄筋にそれぞれ相対する接続部と、各接続部の間に掛け渡す本体部とからなり、鉄筋は、その端部の基端部分のみを塑性硬化させて見かけ上の降伏点を増加させ、当該鉄筋の母材と比較して当該端部の強度を増加させた後、塑性加工処理が施された箇所から先端部分に向かって先細り状に切削したテーパーネジ部を有し、連結部材の接続部は、鉄筋の端部に形成したテーパーネジ部に螺着する雌ネジ部を有することを特徴とするものである。
以下、図面を参照して、本発明に係る鉄筋コンクリート構造物への鉄筋の定着構造の実施形態を説明する。
本発明に係る鉄筋コンクリート構造物への鉄筋の定着構造では、略平行に配置した一組の鉄筋と、各鉄筋の端部に取り付けて各鉄筋を一体に連結する連結部材とを備えている。また、連結部材は、連結する各鉄筋にそれぞれ相対する接続部と、各接続部の間に掛け渡す本体部とからなる。
図1は、本発明の実施形態に係る鉄筋コンクリート構造物への鉄筋の定着構造の平面模式図である。
本発明の実施形態に係る鉄筋コンクリート構造物への鉄筋の定着構造は、図1に示すように、略平行に配置した一対の鉄筋10の両端部にそれぞれ連結部材20を連結し、全体として環状の定着構造としたものである。
本実施形態で用いる鉄筋10は、一般的なコンクリート構造物に用いられるものであり、例えば、異径鉄筋を用いることができる。また、鉄筋10の端部には塑性硬化処理が施されると共に、先細り状のテーパーネジ部11が形成されている。
鉄筋10の端部に塑性硬化処理を施すには、加工すべき箇所に治具を取り付け、治具をプレス機で挟み付けて圧力をかければよい。塑性硬化処理に用いるプレス機は、一般的に普及している公知の小型のプレス機を用いることができる。このようにして塑性硬化処理を施すと、加工前と比較して見かけ上の降伏点が増大して、鉄筋10の端部の強度を増加させることができる。
塑性硬化処理が施された鉄筋10の端部には、それぞれ螺合方向が逆となるネジ加工を施すことにより、テーパーネジ部11が形成されている。すなわち、鉄筋10の一端部のネジに対して、他端部のネジは逆ネジとなる。このネジ加工は、旋盤等の公知の切削機を用いて行うことができる。本実施形態では、塑性硬化処理が施された箇所から先端部に向かって先細り状に切削加工することにより、テーパーネジ部11が形成される。
なお、上述した塑性硬化処理は、テーパーネジ部11の基端部分のみに施すことが好ましい。このように、テーパーネジ部11の基端部分のみに塑性硬化処理を施すことにより、塑性硬化処理を行うための治具やプレス機等をさらに小型化することができる。
連結部材20は、図1に示すように、断面略U字状の部材であり、連結する各鉄筋10にそれぞれ相対する接続部21と、各接続部21の間に掛け渡す本体部22とからなる。また、接続部21には、鉄筋10の端部に形成したテーパーネジ部11に螺着する雌ネジ部23が、各テーパーネジ部11の螺合方向に合わせて形成されている。このような形状の連結部材20を用いて定着構造を構成するには、一対の鉄筋10の両端部にそれぞれ連結部材を位置させ、各鉄筋10を螺着方向に回転させればよい。
図2に示す連結部材120a、120bは、各鉄筋10へ接続するための接続部121をそれぞれ独立して設け、鉄筋10の端部に接続部121を螺着した後に、接続部121同士を接続して一体とする。すなわち、図2に示す連結部材120a、120bは分割構造となっており、各鉄筋10の端部に接続部121を取り付けて、分割された接続部121を一体とすることにより定着構造を形成する。
各接続部121には、鉄筋10のテーパーネジ部11を螺着するための雌ネジ部123が設けられている。
各接続部221には、鉄筋10のテーパーネジ部11を螺着するための雌ネジ部223が設けられている。
本発明の実施形態に係る鉄筋コンクリート構造物への鉄筋の定着方法は、基本的な工程として、鉄筋コンクリート構造物に対して、鉄筋10及び連結部材20を挿入するための挿入孔を形成する工程と、鉄筋10及び連結部材20を挿入孔30、130a、130b(図4、図5参照)内に挿入する工程と、挿入孔30、130a、130b内への鉄筋10及び連結部材20の挿入前あるいは挿入後のいずれかの時点で、挿入孔30、130a、130b内に充填材を注入すると共に、鉄筋10の端部に連結部材20を接続する工程と、を含んでいる。
図4及び図5を参照して、鉄筋コンクリート構造物に形成する挿入孔について説明する。図4及び図5は、挿入孔の形状を示す断面模式図である。
図4に示す例は、定着構造全体を1つの挿入孔30内に挿入する1孔タイプのものである。すなわち、1孔タイプの挿入孔30は、鉄筋10及び連結部材20が一体となった定着構造の最大直径よりも大きな直径を有する1つの挿入孔30を形成し、この挿入孔30内に定着構造を挿入するようになっている。この1孔タイプの挿入孔30は、1回の穿孔工程で挿入孔30を形成することができるため、迅速な施工を行うことができる。
挿入孔として、いずれのタイプのものを形成するかは、施工対象となる鉄筋コンクリート構造物の構成や状態等に応じて適宜選択することができる。
本発明の鉄筋コンクリート構造物への鉄筋の定着構造及び定着方法は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜変更して実施することができる。例えば、一対(2本)の鉄筋10を用いるのではなく、3本以上の鉄筋10を一組として用いてもよい。この場合、連結部材20には鉄筋10の数に応じた接続部21が形成される。
また、鉄筋10の両端部に連結部材20を取り付けるのではなく、施工対象となる鉄筋コンクリート構造物の構成や状態等に応じて、いずれか一方の端部のみに連結部材20を取り付けてもよい。
さらに、上述した実施形態では、鉄筋10と連結部材20とをテーパーネジ構造により接続しているが、一般的なネジ構造を用いて接続してもよいし、摩擦圧接等の技術を用いて接続してもよい。
以上説明したように、本発明の鉄筋コンクリート構造物への鉄筋の定着構造及び定着方法では、鉄筋コンクリート構造物に形成した挿入孔内に鉄筋を挿入し、この鉄筋の端部に連結部材を連結した構造であるため、半円形フックを適用できない箇所であっても鉄筋の定着を行うことが可能となる。
11 テーパーネジ部
20 連結部材
21 接続部
22 本体部
23 雌ネジ部
30 挿入孔
120a、120b 連結部材
121 接続部
123 雌ネジ部
124 連結突起
125 凹部
126 楔部材
127 バネ
130a、130b 挿入孔
220a、220b 連結部材
221 接続部
223 雌ネジ部
224 ボルト挿通孔
225 ボルト
226 ナット
Claims (4)
- 鉄筋コンクリート構造物へ鉄筋を定着させるための定着構造であって、
略平行に配置した一組の鉄筋と、各鉄筋の端部に取り付けて各鉄筋を一体に連結する連結部材とを備え、
前記連結部材は、連結する各鉄筋にそれぞれ相対する接続部と、各接続部の間に掛け渡す本体部とからなり、
前記鉄筋は、その端部の基端部分のみを塑性硬化させて見かけ上の降伏点を増加させ、当該鉄筋の母材と比較して当該端部の強度を増加させた後、塑性加工処理が施された箇所から先端部分に向かって先細り状に切削したテーパーネジ部を有し、
前記連結部材の接続部は、前記鉄筋の端部に形成したテーパーネジ部に螺着する雌ネジ部を有することを特徴とする鉄筋コンクリート構造物への鉄筋の定着構造。 - 前記連結部材は、分割して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の鉄筋コンクリート構造物への鉄筋の定着構造。
- 前記鉄筋コンクリート構造物は、前記鉄筋及び前記連結部材を挿入すると共に、充填材を注入するための挿入孔を有し、
前記挿入孔は、一体となった前記鉄筋及び前記連結部材の最大直径よりも大きな直径を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄筋コンクリート構造物への鉄筋の定着構造。 - 前記鉄筋コンクリート構造物は、前記鉄筋及び前記連結部材を挿入すると共に、充填材を注入するための挿入孔を有し、
前記挿入孔は、各鉄筋の外径にそれぞれ対応して別個に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄筋コンクリート構造物への鉄筋の定着構造。
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