JP4533426B2 - 鉄筋コンクリート構造物に使用する鉄筋の端部構造及び定着構造 - Google Patents
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また、摩擦圧接を用いて鉄筋の端部にプレートを取り付けた定着構造や、ネジを用いた定着構造では、大型の製作装置を用いた特殊な加工が必要であり、このような設備を備えた工場等でないと製作が困難であった。
また、鉄筋にネジ加工を施す場合にはネジ部が弱点となるため、鉄筋母材よりも強度の大きいネジを用意して、このネジを鉄筋端部に接合したり、ネジ部の断面積を増加させたりすることにより、定着構造に必要とされるネジ部の強度を確保していた。この場合にも、大型の製作装置を用いた特殊な加工が必要であった。
すなわち、本発明に係る鉄筋コンクリート構造物に使用する鉄筋の端部構造は、鉄筋端部を塑性硬化させて見かけ上の降伏点を増加させ、鉄筋の母材と比較して鉄筋端部の強度を増加させた後、塑性硬化させた部分を残して、その先端部分を先細り状に切削加工してテーパーネジ部を形成し、鉄筋端部の塑性硬化処理は、テーパーネジ部の基端部分にのみ施したことを特徴とするとするものである。
図1〜図3は加工前の鉄筋を示すもので、図1は鉄筋を平面視した模式図、図2は鉄筋を正面視した模式図、図3は図2において鉄筋をA−A断面視した模式図である。また、図4〜図6は塑性硬化処理を施した後の鉄筋を示すもので、図4は鉄筋を平面視した模式図、図5は鉄筋を正面視した模式図、図6は鉄筋を図5においてA−A断面視した模式図である。また、図7及び図8は、切削加工後の鉄筋を示すもので、図7は鉄筋を平面視した模式図、図8は鉄筋を正面視した模式図である。また、図9は、テーパーネジ部に螺着するナットの縦断面形状を示す模式図である。また、図10及び図11は、塑性硬化処理に用いる治具を示すもので、図10は治具を側面視した模式図、図11は治具を縦断面視した模式図、図12は他の形状の治具を示す模式図である。さらに、図13は塑性硬化のイメージを示すもので、一般的な鉄筋の応力歪み関係の説明図である。
本発明の実施形態で用いる鉄筋は、一般的なコンクリート構造物に用いられるものであり、例えば図1〜図8に示すように、異径鉄筋を用いることができる。鉄筋10の端部に塑性硬化処理を施すための治具50は、図10及び図11に示すように、鉄筋10を挟み込むように二分割されている。二分割された各治具50は、内側へ向かって突出した凸部51を有している。治具50を組み合わせた状態で、対向する凸部51間の距離が塑性硬化処理後の鉄筋10の外径にほぼ等しくなっており、これ以外の箇所の距離が塑性硬化前の鉄筋10の外径にほぼ等しくなっている。また、図12に示すように、一対の角柱状の部材52を治具50としてもよい。なお、治具50の材質は、公知の塑性加工に用いられるものでよい。
鉄筋10の端部に塑性硬化処理を施すには、加工すべき箇所に治具50を取り付け、治具50をプレス機で挟み付けて圧力をかければよい。塑性硬化処理に用いるプレス機は、一般的に普及している公知の小型のプレス機を用いることができる。このようにして塑性硬化処理を施すと、図1〜図3に示すような形状を呈していた鉄筋10の端部が、図4〜図6に示すような形状に変化する。図4及び図5において、塑性加工処理を施した範囲を符号20で示す。
続いて、塑性硬化処理が施された鉄筋10の端部にネジ加工を施す。このネジ加工は、旋盤等の公知の切削機を用いて行うことができる。本実施形態では、図7及び図8に示すように、塑性硬化処理が施された箇所から先端部に向かって先細り状に切削加工することにより、テーパーネジ部30が形成される。
テーパーネジ部30に螺着するナット40は、図9に示すように、その雌ネジ部41がテーパーネジ部30の傾斜角度に応じて傾斜している。そして、鉄筋10のテーパーネジ部30にナット40を螺着することにより、定着構造を形成することができる。
なお、テーパーネジを用いた鉄筋継ぎ手に関する技術は、例えば特開平6−57883号公報に詳細に記載されている。
上述したように、本発明では、建築現場等で小型の製作装置を用いて鉄筋10の端部を加工することができる。この点、従来の定着構造のように、鉄筋メイカーの工場等において大型の製作装置を用いた特殊な加工を行う必要がなく、工賃及び運賃等に要するコストが低減される。また、鉄筋メイカーとの工程調整を行う必要がないので、建築現場等における工程に柔軟性を持たせることができる。また、必要に応じてその都度、鉄筋10の端部を加工すればよいので、工程間の仕掛在庫を最小限に抑えることができる。このため、仮置きヤードを削減することが可能となり、この点でもコストを低減することができる。さらに、従来の機械式定着工法と同等の施工性を発揮することができるとともに、施工の容易性を損なうことがない。
本発明に係る鉄筋コンクリート構造物に使用する鉄筋10の端部構造及び定着構造は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えて実施することができる。
例えば、鉄筋10の端部に対して塑性加工処理を施す範囲は、鉄筋10の材質、外径、素材等に応じて適宜変更して実施することができる。また、テーパーネジ部30及びナット40の雌ネジ部41の傾斜角度は、鉄筋10の材質、外径、素材等に応じて適宜変更して実施することができる。
20 塑性加工処理を施した範囲
30 テーパーネジ部
40 ナット
41 雌ネジ部
50 治具
51 凸部
52 角柱状の部材
Claims (2)
- 鉄筋コンクリート構造物に使用する鉄筋の端部構造であって、
鉄筋端部を塑性硬化させて見かけ上の降伏点を増加させ、鉄筋の母材と比較して鉄筋端部の強度を増加させた後、塑性硬化させた部分を残して、その先端部分を先細り状に切削加工してテーパーネジ部を形成し、
前記鉄筋端部の塑性硬化処理は、前記テーパーネジ部の基端部分にのみ施したことを特徴とする鉄筋の端部構造。 - 鉄筋コンクリート構造物に使用する鉄筋の定着構造であって、
鉄筋端部を塑性硬化させて見かけ上の降伏点を増加させ、鉄筋の母材と比較して鉄筋端部の強度を増加させた後、塑性硬化させた部分を残して、その先端部分を先細り状に切削加工して形成したテーパーネジ部と、このテーパーネジ部に螺着するナットと、を備え、
前記鉄筋端部の塑性硬化処理は、前記テーパーネジ部の基端部分にのみ施したことを特徴とする鉄筋の定着構造。
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JPH0657883A (ja) * | 1992-01-24 | 1994-03-01 | Erico Internatl Corp | 補強用バースプライスおよびスリーブおよびスリーブの製造方法並びにバー接合構造 |
JPH1037386A (ja) * | 1996-07-24 | 1998-02-10 | Kyoei Seiko Kk | 継手部を有する鉄筋コンクリート用異形棒鋼及びその継手並びに鉄筋コンクリート用異形棒鋼の継手部の形成方法 |
JP2006283459A (ja) * | 2005-04-04 | 2006-10-19 | Tokyo Tekko Co Ltd | 戸建家屋の基礎用鉄筋組立体 |
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