JP2006241696A - 基礎またはフーチングのコンクリートと杭頭部の結合部構造および該結合部構造を有する構造物 - Google Patents

基礎またはフーチングのコンクリートと杭頭部の結合部構造および該結合部構造を有する構造物 Download PDF

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Abstract

【課題】 現場での作業効率の向上はもちろんのこと、鉄筋の固定作業自体の作業性と効率の向上、さらには溶接時の熱による脆性的特性の問題のない基礎またはフーチングと杭頭部の結合構造を提供する。
【解決手段】 複数の棒状部材5を介して基礎コンクリート1と杭頭部3の力の伝達を行う基礎コンクリートと杭頭部の結合部構造であって、各棒状部材5の一端部および杭頭部3にそれぞれ貫通穴9,11を設け、これら貫通穴9,11にせん断力負担部材13を挿通することによって各棒状部材5を杭頭部3に取り付けた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複数の棒状部材を介して基礎またはフーチングのコンクリートと杭頭部の力の伝達を行う基礎またはフーチングのコンクリートと杭頭部の結合部構造および該結合部構造を有する構造物に関する。
地中へ打ち込んで埋設する鋼管杭において、杭頭部と基礎コンクリートとの接合部構造であって、特に複数の定着鉄筋を介して杭頭部と基礎コンクリートを連結するものとしては以下のようなものがある。
(1)定着筋の杭頭部への連結を、杭頭部の外周に定着鉄筋の下端部を当てがい、現場で溶接により固着することによって行う(特許文献1における図7参照)。
(2)定着筋の杭頭部への連結を、ベースプレートに定着鉄筋を溶接により固着し、このベースプレートを杭頭部に溶接またはボルトにて接合することによって行う(特許文献1における図2参照)。
特開2000−154536号公報
上記の背景技術で挙げた(1)の方法のように、杭頭部に鉄筋を現場で溶接するとなると、作業性の悪さから時間がかかり、作業効率が非常に悪い。また、現場での溶接作業となると天候にも左右されるので、この点でも作業効率が悪い。さらには、多数の鉄筋を杭頭部に効率よく溶接するには熟練が必要であり、このような作業は熟練工に頼らざるを得ずこの点でも作業効率が悪い。またさらに、技術的な問題として、溶接による場合には鉄筋に熱が入るため、鉄筋に脆性的特性が増えるという問題もある。
この点、上記(2)の方法のものは、鉄筋を溶接したベースプレートを杭頭部にボルト接合するものであることから、この作業のみを現場で行えばよいことから、この点では作業効率がよいようにも思える。
しかしながら、(2)の方法のものもベースプレートへの鉄筋の固定は溶接で行うものであり、現場での作業に起因する問題点は解決できるものの、多数の鉄筋をベースプレートの円周に沿って溶接することから、上記(1)の方法と同様に作業効率の悪さ、熟練工の問題、さらには溶接時の熱による脆性的特性の問題が存在する。
つまり、(2)の方法は、そもそも作業効率の向上を図ったものではないことから、むしろベースプレートという別体のものを製作してこれを杭頭に固着するので、この分余計な作業が必要となっており、作業効率の面では大きな進歩は認められない。
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、現場での作業効率の向上はもちろんのこと、鉄筋の取付作業自体の作業効率の向上、さらには溶接時の熱による脆性的特性の問題のない基礎またはフーチングのコンクリートと杭頭部の結合部構造および該結合部構造を有する構造物を提供することを目的としている。
(1)本発明に係る基礎またはフーチングのコンクリートと杭頭部の結合部構造は、複数の棒状部材を介して基礎コンクリートと杭頭部の力の伝達を行うものであって、前記各棒状部材の一端部および前記杭頭部にそれぞれ貫通穴を設け、これら貫通穴にせん断力負担部材を挿通することによって前記各棒状部材を前記杭頭部に取り付けたことを特徴とするものである。
また、上記(1)に記載のものにおいて、各棒状部材は一つの部材からなることを特徴とするものである。
また、上記(1)に記載のものにおいて、各棒状部材は少なくとも2つの部材からなり、貫通穴を有する一つの部材と、該部材が連結される他の部材とを備えてなることを特徴とするものである。
また、本発明に係る構造物は、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の基礎またはフーチングのコンクリートと杭頭部の結合部構造を有することを特徴とするものである。
本発明においては、各棒状部材の一端部および杭頭部にそれぞれ貫通穴を設け、これら貫通穴にせん断力負担部材を挿通することによって前記各棒状部材を前記杭頭部に取り付けるようにしたので、各棒状部材の取り付けに溶接が不要となり、溶接による作業性、脆性特性の問題を解決でき、作業性、安全性の高い杭頭部の構造が得られる。
図1は本発明の一実施の形態に係る基礎コンクリートと杭頭部の結合部構造の説明図、図2は図1において丸で囲んだ一部を拡大して示す拡大図、図3は本発明の一実施の形態に係る杭頭部の構造の説明図である。以下、図1〜図3に基づいて本実施の形態を説明する。
本実施の形態に係る杭頭部の構造は、複数の棒状部材5を介して基礎コンクリート1と杭頭部3の力の伝達を行うものであって、各棒状部材5の一端部および杭頭部3にそれぞれ貫通穴9,11を設け、これら貫通穴9,11にせん断力負担部材13を挿通することによって各棒状部材5を杭頭部3に取り付けたものである。各構成をさらに詳細に説明する。
<棒状部材>
棒状部材5は基礎コンクリート1と杭頭部3の力の伝達を行うために引張力、曲げ力を負担できる棒状の部材であればよい。例えば、外周面に凹凸を有する異形鉄筋などを用いることができる。異形鉄筋のように外周面に凹凸が設けられていると基礎コンクリートとの定着力が向上するので好ましい。
この棒状部材5の一端部には、図3に示すように、貫通穴9が設けられている。この棒状部材5の一端部は例えば鍛造によって平坦にして機械加工によって貫通穴9を設ける。
なお、平坦にする場合には鍛造による場合の他、プレス等によって押圧して形成してもよい。また、平坦面を杭の周面に沿うように湾曲させてもよい。
もっとも、棒状部材の一端部は平坦にして機械加工による貫通穴を設けたものに限られず、たとえば、棒状部材の一端部を曲げ加工でリング状にして貫通穴となるようにしてもよい。
なお、棒状部材5は一つの部品から構成されている必要はなく、例えば2つの部品から構成してもよい。一例を挙げると、図4(a)、(b)に示すように、異形鉄筋15と、その一端に固着するスリーブ部材17から構成する。スリーブ部材17は一端側が平坦面に形成されこの平坦面部に図3に示した棒状部材5の貫通穴9と同様の貫通穴19が設けられている。また、スリーブ部材17の他端側は、図4(a)に示すように筒状になっている。この筒状部21に、図4(b)に示すように異形鉄筋15の一端を挿入して圧着して連結する。
このように、棒状部材5を異形鉄筋15とこの異形鉄筋15の一端に固着するスリーブ部材17の2つの部品から構成すれば、スリーブ部材17のみ別途製作し、これを汎用品である異形鉄筋15に固着すればよいので、製造コストを低減できる。
<杭頭部>
杭頭部3には図3に示すように、複数の貫通穴11がその周方向に所定の数だけ形成されている。貫通穴11の加工は工場にて予め機械加工できるので、現場作業とはならず、現場での作業効率には何らのマイナス要素もない。
なお、貫通穴11の数は、例えば杭径φ800の鋼管杭の場合には約20個設ける。なお、杭頭部3に貫通穴11を複数設けて棒状部材5を取り付けた場合に力の伝達が十分でき耐力上の問題が生じないことを以下に示す実験により確認している。
<実験の内容>
図5は実験に用いた試験モデルの概要を示す図である。この試験モデルは鋼管31の下端に図1と同様に複数の棒状部材33をボルトにて取り付け、該一端側を基礎またはフーチングのコンクリートに相当するコンクリート35に埋め込んで固定している。
上記のように構成された試験モデルにおける鋼管31の上端部に水平方向の交番荷重Pを載荷することにより、鋼管31の下部にモーメントを発生させ、その構造耐力を確認した。
図6はこの実験における荷重変位履歴曲線を模式的に記載したものである。
図6からも分かるように、この実験においてコンクリート35と鉄筋が十分に一体化され、力の伝達が行われることが確認された。また、実験後に鋼管31に設けた貫通穴を検査したところ十分な形状が保たれていることが確認された。
<せん断力負担部材>
せん断力負担部材13は、棒状部材5と杭頭部3との間に介在して、棒状部材5に伝達された引張力および曲げ力をそのせん断面を介して杭頭部3に伝達する機能を有する。
せん断力負担部材13としては、例えば図3に示すようにボルトを用いることができる。ボルトを用いる場合には、同じく図3に示すように、棒状部材5を杭頭部3における外周側に配置し、棒状部材5の貫通穴9と杭頭部3の貫通穴11の位置を合わせ、この状態でボルトを外側から挿通して、杭の内側からナット23で締め付ける。
なお、一般にボルト接合と言う場合には、ボルトによって二つの部材を締め付け、これによって締め付けられた2つの部材間に生ずる摩擦力によって二つの部材を定着させる場合をいうが、本実施の形態においてはボルトの締め付け力は必ずしも必要ではない。なぜなら、本実施の形態では主としてボルトの軸におけるせん断面にて力の伝達を行うからである。したがって、ボルトに代えて、例えばリベットのようなものを用いることもできる。もっとも、ボルトによって棒状部材5と杭頭部3を締め付けることを排除するものではない。
<棒状部材と杭頭部との配置>
図3に示した例では棒状部材5を杭頭部3の外周側に配置した例を示した。
しかし、本発明においては棒状部材5を杭頭部3の内周側に配置するものを排除するものではない。
もっとも、棒状部材5を杭頭部3の外周側に配置した方が同じモーメントが作用した場合に棒状部材5に作用する力が小さくなるので、棒状部材5の太さを細くしたり、せん断力負担部材13を細くしたりできるというメリットがある。
以上のように構成された本実施の形態による基礎コンクリートと杭頭部の結合部構造を現地で構築する際の作業手順を簡単に説明する。
杭体7を地中に打ち込む。その後、棒状部材5の一端の貫通穴9と杭頭部3の貫通穴11との穴の位置を合わせ、せん断力負担部材5であるボルトを挿入してナット23にて締め付ける。この作業を杭頭部3に設けた貫通穴11の数だけ行うことにより、各棒状部材5を杭頭部3の全周に亘って取り付ける。
棒状部材5の杭頭部3への取付が完了したら、図1に示すように杭頭部3が埋設されるようにコンクリート基礎の打ち込みを行う。
このように、本実施の形態の基礎コンクリートと杭頭部の結合部構造であれば、棒状部材の取付に関しての現場作業はボルト締めのみであるので、熟練工による作業が不要となり、また溶接のように天候に左右されることもない。また、溶接のように熱による脆性特性の問題もない。
このように、本実施の形態によれば、簡易な構造でありながら従来問題であった、作業効率、脆性特性の問題を解決できるという優れた効果を奏する基礎コンクリートと杭頭部の結合部構造となる。
なお、上記の実施の形態では鋼管杭を例に挙げたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えばコンクリート杭にも適用できる。コンクリート杭の場合には、杭頭部に設ける貫通穴に鋼製のリングを嵌め込むようにすればよい。また、杭頭部に設ける貫通穴をせん断力負担部材の外径よりも大きめに開けておき、せん断力負担部材と貫通穴との接触面積を大きくすることにより、貫通穴が破壊するのを防止するようにするのが好ましい。
本発明の一実施形態に係る基礎コンクリートと杭頭部の結合部構造の説明図である。 図1の一部を拡大して示す拡大図である。 本発明の一実施の形態に係る杭頭部の構造の斜視図である。 本発明の一実施の形態の他の態様の説明図である。 本発明の一実施形態の実験に用いた試験モデルの説明図である。 図5に示した試験モデルによる実験結果を示すグラフである。
符号の説明
1 基礎コンクリート、3 杭頭部、5 棒状部材、7 杭体、9 貫通穴、11 貫通穴、13 せん断力負担部材。

Claims (4)

  1. 複数の棒状部材を介して基礎またはフーチングのコンクリートと杭頭部の力の伝達を行う基礎コンクリートと杭頭部の結合部構造であって、前記各棒状部材の一端部および前記杭頭部にそれぞれ貫通穴を設け、これら貫通穴にせん断力負担部材を挿通することによって前記各棒状部材を前記杭頭部に取り付けたことを特徴とする基礎またはフーチングのコンクリートと杭頭部の結合部構造。
  2. 各棒状部材は一つの部材からなることを特徴とする請求項1に記載の基礎またはフーチングのコンクリートと杭頭部の結合部構造。
  3. 各棒状部材は少なくとも2つの部材からなり、貫通穴を有する部材と、該部材が連結される他の部材とを備えてなることを特徴とする請求項1に記載の基礎またはフーチングのコンクリートと杭頭部の結合部構造。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の基礎またはフーチングのコンクリートと杭頭部の結合部構造を有することを特徴とする構造物。
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