JP4425486B2 - 鋼管杭と定着鉄筋との位置調整可能な結合構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、杭頭と基礎との接合部構造を簡略化し、工場生産品を使用し、現場での取合い(接合)を少なくし、かつ杭頭の定着鉄筋と基礎鉄筋との取合いを円滑に行えるようにした鋼管杭と定着鉄筋との位置調整可能な機械的な結合構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
地中に打ち込んで埋設する鋼管杭において、杭頭部と基礎(梁)との接合のための鋼管杭と定着鉄筋の結合構造としては、例えば、図12,図13に示す構造が知られている。
【0003】
この第1従来例では、図示のように、鋼管杭1を地中へ打ち込み、地上から上方に突出している杭頭部の外周側面および内周側面に、複数の定着鉄筋16の下端部が直接当てがわれ、現場での溶接で固着されている。また、帯鉄筋17により定着鉄筋16相互間を固定され、杭頭部1aと共にコンクリート基礎18(フーチング)中に埋設される。
【0004】
前記の結合構造において、鋼管杭1の杭頭部の径が1200φの場合、この杭頭部の外周にD38の定着鉄筋を40本を超える多数本を直接溶接することで所定の強度を達成している。このように多数本の定着鉄筋16を必要とするのは、地震時にその水平力により鋼管杭1に曲げモーメントと軸力が作用するとき、鋼管杭1に引張力と圧縮力が働き、鋼管杭1に直接溶接される前記定着鉄筋16にも、引張力と圧縮力が作用するので、これをバランスさせるため、その圧縮力用の定着鉄筋16のほかに引張力用の定着鉄筋16が必要なためである。
【0005】
また、前記の結合構造において、図12,図13に示すように、杭頭部の外周に溶接される定着鉄筋16は、間隔をおいて円形に配置されているので、多数の定着鉄筋16の内のあるものは、コンクリート基礎(地中梁またはフーチング)18内に格子状またはメッシュ状に編まれて配筋される基礎鉄筋19の網目(メッシュ状基準線交点)からずれて、その鉄筋19と干渉する(ぶつかる)ため、配筋作業に手間取り、作業が円滑にいかないという問題がある。
【0006】
このように鋼管杭1に定着鉄筋16を直接溶接により固定する場合は、多数本の定着鉄筋16を鋼管杭1に固定して、地震時等にコンクリート基礎18に作用する上向き力を、定着鉄筋16を介して鋼管杭1に伝達するようにしており、この場合に、鋼管杭15に直接固定した場合の抵抗モーメントは、鋼管杭1中心からの半径距離と、定着鉄筋16の抵抗力との積(モーメント)になるため、設計上は、できるだけ鋼管杭15から半径方向外側に離れた位置に設置するのが有利となる。この点で、前記の場合は、剛性が比較的低く、また鋼管杭15と定着鉄筋16の一体性が確保されない場合が多い。
【0007】
このように、鋼管杭1の半径方向外側に離れた位置に定着鉄筋16を設置した形態として、第2従来例として、特開平3−54736号公報に記載の鉄筋接続具付の鋼管杭が知られている。
【0008】
前記特開平3−54736号公報の場合は、図14(a),(b)に示すように、鋼管杭1の外周面に周方向にほぼ等角度間隔を置いて、垂直板状の鋼製ブラケット21を溶接により固定し、かつ鋼製ブラケット21の先端部に、雌ねじ付カプラーからなる鉄筋接続具22を溶接により固定して、鉄筋接続具付の鋼管杭1に構成し、この鉄筋接続具付の鋼管杭1を地中に打設し、その鉄筋接続具22における雌ねじ部24に、定着鉄筋16の下端部雄ねじ部16aを直接ねじ接合した構造のものが知られている。
【0009】
しかし、この構造形式の場合は、各鋼製ブラケット21の先端部に、雌ねじ付カプラーからなる鉄筋接続具22を溶接により予め固定している形態であるので、多数の鋼製ブラケット21を密に溶接により鋼管杭1に取り付けることが煩雑な溶接作業になると共に、鋼製ブラケット21を密に鋼管杭23に取り付けることは困難である。また定着鉄筋16の取り付け形式が、位置固定形式であり、鉄筋コンクリート製フーチングまたは鉄筋コンクリート製地中梁におけるメッシュ状に配筋される基礎鉄筋19の配筋作業においては、図12に示す多数本の前後方向の下部主筋19aおよび左右方向の下部主筋19bが配筋されるため、密に鋼製ブラケット21を取り付けた場合では、定着鉄筋16と、主筋19aまたは主筋19bとが干渉した場合に、これを現場作業上で回避する適当な手段がないため、いずれかの鉄筋を曲げ配置せざるを得ないという問題があり、配筋作業が円滑にできず、煩雑になる恐れがある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前述のとおりであって、従来の鋼管の杭頭部構造には、次の欠点があった。
▲1▼定着鉄筋を杭頭部外周部に直接溶接する構造では、定着鉄筋の配置が密になり、その溶接作業及び検査に手間がかかる。
▲2▼従来の杭頭部の剛性は一体性が確保されていないことが多いので、杭頭固定して計算した値よりも、実際の地震時などの杭頭の変形が大きく破壊する場合もある。
▲3▼さらに、鋼管杭1に鋼製ブラケットに位置固定方式で、定着鉄筋が固定される形式は、現場作業上の自由度が低く、鋼製ブラケットを密に配置した場合は、各定着鉄筋が基礎鉄筋と干渉した場合に、鉄筋の曲げ配置以外の簡易な処理手段がなく、鉄筋の組立に手間取り、作業が円滑に行かない。
▲4▼前述のように、▲1▼〜▲3▼の要因により、鋼管杭と定着鉄筋との結合構造鋼管杭の構築施工に手間取り、施工コストが嵩むという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、鋼管杭に対する定着鉄筋の接合位置を可変にして、基礎鉄筋との干渉を容易に避け得るようにして、機械的な接合作業を容易化することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、鋼管杭1の杭頭部に、外周側に環状の係合部3を有する環状ブラケット2が固定され、前記環状ブラケット2に、前記係合部3に係合するブラケット把持金具4が前記環状ブラケット2の周方向に位置調整可能に複数配置され、その各ブラケット把持金具4に定着鉄筋7の下部がねじ接合により固定されていることを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記環状のブラケット2が、水平板部と外周側の縦部分とからなる断面ほぼ倒T字状に形成された鋼製部材であり、鋼管杭1の杭頭部外周面1bに溶接により固定されていることを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、定着鉄筋7の下部に、雌ねじ部を有する継ぎ手スリ−ブ12が固定され、前記継ぎ手スリ−ブ12に螺合連結されると共に、前記ブラケット把持金具の縦孔に挿通され、かつ前記ブラケット把持金具の下側に配置される雌ねじ部材に螺合される回動工具係合部を有する中継雄ねじ部材により、前記定着鉄筋はブラケット把持金具に固定されていることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、定着鉄筋の下部に、雌ねじ部を有する継ぎ手スリ−ブが固定され、前記継ぎ手スリ−ブに螺合連結されると共に、前記ブラケット把持金具の縦孔に挿通され、かつ前記ブラケット把持金具の下側に配置される回動工具係合部を有する中継雄ねじ部材により、前記定着鉄筋はブラケット把持金具に固定されていることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれかに記載の発明において、前記環状ブラケットの外周側の縦部分が、前記ブラケット把持金具の半径方向の位置を規制する係合凸部を構成していることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記ブラケット把持金具は、上部ブラケット把持体とブラケット下部把持体とにより構成され、各ブラケット把持体に前記環状ブラケットの縦部分に係合する凹部が形成されていることを特徴とする。
【0018】
本発明によると、鋼管杭頭部の環状ブラケットに、ブラケット把持金具を介して定着鉄筋を機械的にねじ接合すると共に、把持金具を鋼管杭の周方向に位置調整することにより、網目状に配筋される基礎鉄筋との干渉を容易に避けて、定着鉄筋を配置することができるので、接合作業性が向上する。
【0019】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について図1〜図7を参照して説明する。図1および図2は、本実施形態の杭頭部の断面を示す全体図および断面図である。図3、図4、図5は、それぞれ杭頭部の平面図、その拡大図、説明図である。図6および図7は、杭頭の定着鉄筋と基礎鉄筋との実際の配置状態を示す概略平面図、側断面図である。
【0020】
地中に打ち込んで埋設され、地表に突出している鋼管杭1の杭頭部1aの外周面1bには、図1および図2に示すように、内周側の水平板部2aと外周側の縦部分2bとからなる断面ほぼ倒T字形断面に形成された鋼製環状のブラケット2における内周側脚部が予め工場で、その上下部で周方向に連続または断続した溶接wにより固着されている。
【0021】
このように、定着鉄筋固定用の鋼製ブラケット2を固定したブラケット付きの鋼管杭1が、予め工場において製作され、現場に搬送して基礎地盤25に打設される。図1は、この状態で打設された鋼管杭1に、定着鉄筋7を固定した状態を示したものである。
【0022】
そして、このブラケット2外周の上下面に突出する縦部分2bにより環状の凸部3aからなる係合部3が形成され、その係合部3に、ブラケット把持金具4(以下単に把持金具4と略す)を構成する上部ブラケット把持体5と、ブラケット下部把持体5(以下単に把持体5と略す)とに、それぞれ設けられた凹部6aからなる係合部6が係合している。
【0023】
そして、図3、図4に示すように、把持金具4は、杭頭部1aの周囲に放射状に多数配置され、後述するように、周方向に固定位置を選定された後に、定着鉄筋7と共に固定される。この固定される前の、凹凸部6a,3aが係合した状態の把持金具4は、図5に矢印で示すように、杭頭部1aの周囲(周方向)に移動可能である。移動可能とするために、凹部6aの曲率は、相手凸部3aの曲率に合わせて形成されている。一方、凹凸部6a,3aの係合により、把持金具4は、杭頭部1aの半径方向には、位置が固定される。なお、前記各把持体5の鋼管杭1側の一端側は、平面円弧状に形成されて、鋼管杭1の外周面に近接または接触するように構成されている。
【0024】
前記各把持体5の先端部(内側)の凹部6aは、鋼製環状ブラケット2の内周側よりに配置され、その凹部6aを形成する突出部6bの突出寸法Lは、前記凸部3aの上部または下部の突出寸法L3よりも、若干小さい寸法で、前記凸部3aの内周面に近接または係合する円弧状内周面6cを有する突出部6bと、前記凸部3aの上面または下面側に係合する溝底部6dと、前記鋼製環状ブラケット2の外周面に、近接または係合する円弧状内周面6eとにより形成されている。また前記凸部6bの鋼管杭半径の厚みは、前記係合部3と鋼管杭1の外周面との間の寸法よりも、若干小さな寸法に設定されている。前記円弧状外周面6fとしては、円弧状曲面に代えて、鋼管杭1の法線方向に直交する平面でもよい。
【0025】
前記定着鉄筋7は、異形鋼棒からなる鉄筋本体7aの下部に、下部外面に回動工具係合部12aを有すると共に、内側に継ぎ手となる鋼製筒状雌ねじ部12bを備えた継ぎ手付きスリーブ12の上部側が所定長さ嵌合された状態で、圧着固定されて、雌ねじ継ぎ手付きの定着鉄筋7とされている。なお、前記鉄筋本体7aの上端部は円弧状に湾曲されて、かぎ部が形成されている。
【0026】
定着鉄筋7の取り付けに当たっては、現場にて、各把持体5の後端部(外側)縦孔8に、上部雄ねじ軸部9cおよび下部雄ねじ軸部9bを備えた中継雄ねじ部材9における下部雄ねじ軸部9bを挿通する。前記中継雄ねじ部材9の中央部には、六角膨出部からなる回動工具係合部9aが一体に設けられると共に、回動工具係合部9aの上側には、例えば右ねじの上部雄ねじ軸部9cが形成され、下側には逆方向の左ねじの下部雄ねじ軸部9bが形成されている。この回動工具係合部9aを把持金具4の上部に配置すると共に、同下部に座金10を挟んで雌ねじ部材11を配置し、雌ねじ部材11を保持し回り止めして、上記回動工具係合部9aを右回転させ、回動工具係合部9aと雌ねじ部材11との間に、把持金具4(つまり上下の把持体5)を挟み込んで、中継雄ねじ部材9を把持金具4を介して杭頭部1aに所定のトルク(例えば570N・m)で固定する。すなわち、上下の把持体5の挟み込みにより、把持体5の両凹部6aが、ブラケット2の両凸部3aを挟み込むので、把持金具4が、中継雄ねじ部材9と共に杭頭部1aに固定される。
【0027】
このとき、回動工具係合部9aの上側の右ねじ部にねじ係合された継ぎ手スリーブ12下端部外面の六角部12aを保持し回り止めすると、継ぎ手スリーブ12が中継雄ねじ部材9(把持金具4)の上側の右ねじ軸部9cに、前記と同様に所定のトルクでねじ接合される。
【0028】
一方、継ぎ手スリーブ12の上端部には、定着鉄筋7の下端部が圧着固定されているので、中継雄ねじ部材9を把持金具4に固定することにより、定着鉄筋7を杭頭部1aへ固定することができる。なお、このとき、図6および図7に示すように、定着鉄筋7が網目状の基礎鉄筋13に干渉しないような位置に把持金具4が予め位置決めされている。
【0029】
前記回動工具係合部9を所定のトルクで回動する場合、定着鉄筋7と、把持金具4と、雌ねじ部材11と、中継雄ねじ部材9とを弛緩状態でねじ接合した状態で、図5に2点鎖線で示すように、鋼製ブラケット2の周方向に位置調整可能に仮装着すると施工性がよい。また、図6に示すように、基礎鉄筋19を配置した後の状態で、定着鉄筋7と、把持金具4と、雌ねじ部材11と、中継雄ねじ部材9とを配置するようにしてもよく、また先にこれらの部品を鋼製環状ブラケット2に周方向に移動可能に弛緩した状態で取り付けた後に、基礎鉄筋19を配筋し、その後、回動工具係合部9を手動または電動して回動工具により所定の回動トルク(例えば570N・m)で緊締して、取り付けるようにしてもよい。
【0030】
[第2実施形態]
本発明の第2施形態について図8〜図11を参照して説明する。図8、図9はそれぞれ本実施形態の杭頭部の断面図、平面図である。図10は図9のB−B断面図である。また、図11は要部の説明図である。なお、説明を簡単にするために、上記第1施形態と同じ部材には、同一符号を付して示す。
【0031】
図8〜図10に示すように、鋼管杭1の杭頭部1aの外周面1bには、ほぼ倒T字形断面を有する環状のブラケット2の内周側脚部が、予め工場で溶接により固着されている。そして、このブラケット2の外周面に、水平板部2aの上下面から突出する環状の凸部3aからなる係合部3に、図5に示すように、前記実施形態と同様な把持金具4を構成する上下の把持体5,5の各凹部6aが係合して、杭頭部1aの周囲に放射状に多数、鋼製ブラケット2の周方向に移動可能に、雄ねじ部材14および継ぎ手スリーブ12が弛緩状態で取り付けられ、地中梁またはフーチング15における基礎鉄筋13、特に基礎鉄筋13における下部主筋13a,13bとの位置関係を調整した後に、手動式または電動式回動工具により、所定の緊締トルク(例えば570N・m)で緊締されて、鋼製ブラケット2に固定される。
【0032】
定着鉄筋7の取り付けに当たっては、現場にて、把持金具4の縦孔8に下方から六角頭付きボルト14aからなる雄ねじ部材14(回動工具係合部を有する雄ねじ部材)を挿通し、把持金具4上の継ぎ手スリーブ12を、把持金具4に所定の締付けトルク(570N・m)で緊締して、ボルト接合する。なお、この実施形態の場合に、継ぎ手スリーブ12と鋼製ブラケット2との間、および鋼製ブラケット2と雄ねじ部材14との間に適宜座金を介在させることができる。
この実施形態の場合は、前記実施形態の雌ねじ部材11と中継雄ねじ部材9を、一本の雄ねじ部材14に置き換えられているので、構造が簡単で、比較的低コストの位置調整自在な、かつ容易に締付け施工できる施工性のよい結合構造とすることができる。
【0033】
図11は、前記第1および第2実施形態において使用される把持金具4の構造を示す。図11(a)は、ブラケット2の下側に配置されるブラケット下部把持体(またはブラケット上部把持体)5の平面図であり、同(b)は(a)のB矢視図である。ブラケット2の環状の凸部3aからなる係合部3に係合する凹部6aは、前記実施形態と同様に、相手凸部3aの曲率に一致する円弧状に形成されている。またブラケット下部把持体(またはブラケット上部把持体)5の鋼管杭1側に向かって接近するように傾斜する各傾斜側面5a間の寸法L1は、前記各傾斜側面5aに接続する他端側の平行な側面5b間の寸法L2に比べて、小さくなるように形成されている。この場合、前記の各傾斜側面5aの延長面が鋼管杭1のほぼ中心付近を通るように設定しておくと、各傾斜側面5aを平行な側面5bの延長面とする場合よりも、周方向に隣接配置されるブラケット下部把持体(またはブラケット上部把持体)5を接近または接触させて、配置させることができる。なお、図中8は縦孔(ボルト孔)である。
【0034】
こうして、本実施形態によれば、上記第一実施形態と同等の作用が、より簡単な部品構成により得られる。
【0035】
なお、把持体5の杭頭部1a側端部面は、図3〜図5および図11に示すような円弧状にせずに、平面直線状(平坦面)に形成してもよい。
【0036】
本発明を実施する場合、前記鋼製環状ブラケット2としては、鋼管杭1の上端部外周面または上面に、溶接により取り付けるようにしてもよい。
【0037】
なお、前記各実施形態において、使用されている各把持体5の円弧状内周面6cまたは円弧状内周面6eを、鋼製環状ブラケット2の凸部3aに接触または近接して配置するようにしているので、各把持体5を、鋼製環状ブラケット2の凸部3aに係合させて、効率よく引張力または圧縮力を伝達させることができる。
【0038】
本発明を実施する場合、各把持体5を鋼管杭周方向に広幅にして、縦孔8を複数設けるようにしてもよく、あるいは縦孔8を一つまたは複数の長孔とするようにしてもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、鋼管杭頭部のブラケットに、ブラケット把持金具を介して定着鉄筋をねじ接合すると共に、把持金具を鋼管杭頭部の周囲に周方向に位置調整することにより、網目状に配筋される基礎鉄筋との干渉を容易に避けて、定着鉄筋を配置し、機械的に接合することができ、接合作業性が向上する。
【0040】
また、断面ほぼ倒T字状に形成された鋼製部材により、環状ブラケットを鋼管杭の頭部外周面に溶接により固定すると、容易に環状の係合部を形成することができる。さらに、回動工具係合部を有する中継雄ねじ部材を使用すると、継ぎ手スリーブと雌ねじ部材とを、ブラケット把持金具に容易に固定することができる。さらにまた、鋼製ブラケットの下側に、回動工具係合部を有する雄ねじ部材を配置し、これにより、定着鉄筋をブラケット把持金具に固定すると、さらに結合構造を簡単にすることができる。
【0041】
また、環状ブラケットの外周側の縦部分により、ブラケット把持金具の半径方向の位置を規制する係合凸部を構成すると、簡単な構造で、ブラケット把持金具の半径方向の位置を規制することができる。さらに、各ブラケット把持体に環状ブラケットの縦部分に係合する凹部が形成されていると、周方向の位置調整が容易で、半径方向の位置を規制する係合部とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における杭頭部の縦断面を示す全体図である。
【図2】図1に示す第1実施形態の要部を拡大して示す断面図である。
【図3】図1に示す第1実施形態のA−A断面図である。
【図4】図3に示す第1実施形態の一部の拡大平面図である。
【図5】第1実施形態の要部の平面説明図である。
【図6】第1実施形態の定着鉄筋と基礎鉄筋との実際の配置状態を示す概略平面図である。
【図7】第1実施形態の定着鉄筋と基礎鉄筋との配置を示す縦断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態における杭頭部の断面図である。
【図9】第2実施形態の杭頭部の平面図である。
【図10】図9のB−B断面図である。
【図11】(a)は第2実施形態の要部の平面図である。(b)は同(a)のB矢視図である。
【図12】第1従来例の杭頭部の断面図である。
【図13】第1従来例の定着鉄筋と基礎鉄筋との配置を示す平面図である。
【図14】(a)は第2従来例の杭頭部の平面図である。(b)は同(a)のC−C断面図である。
【符号の説明】
1 鋼管杭
1a 杭頭部
1b 外周面
2 ブラケット
2a 水平板部
2b 縦部分
3 係合部
3a 凸部
4 把持金具
5 把持体
5a 傾斜側面
5b 側面
6 係合部
6a 凹部
6b 突出部
6c 円弧状内周面
6d 溝底部
6f 円弧状外周面
6e 円弧状内周面
7 定着鉄筋
8 縦孔
9 中継雄ねじ部材(中継雄ねじ部材)
9a 中継雄ねじ部材の回動工具係合部
10 座金
11 雌ねじ部材
12 継ぎ手スリーブ
12a 継ぎ手スリーブの六角部
13 基礎鉄筋
13a 下部主筋
14 六角頭付き中継ボルト(回動工具係合部を有する中継雄ねじ部材)
15 鉄筋コンクリート製地中梁またはフーチング
16 定着鉄筋
17 帯鉄筋
18 コンクリート基礎
19 基礎鉄筋
21 鋼製ブラケット
22 鉄筋接続具
23 鋼管杭
24 雌ねじ部
25 基礎地盤
w 溶接
Claims (6)
- 鋼管杭の杭頭部に、外周側に環状の係合部を有する環状ブラケットが固定され、前記環状ブラケットに、前記係合部に係合するブラケット把持金具が前記環状ブラケットの周方向に位置調整可能に複数配置され、その各ブラケット把持金具に定着鉄筋の下部がねじ接合により固定されていることを特徴とする鋼管杭と定着鉄筋との位置調整可能な結合構造。
- 前記環状のブラケットが、水平板部と外周側の縦部分とからなる断面ほぼ倒T字状に形成された鋼製部材であり、鋼管杭の杭頭部外周面に溶接により固定されていることを特徴とする請求項1に記載の鋼管杭と定着鉄筋との位置調整可能な結合構造。
- 定着鉄筋の下部に、雌ねじ部を有する継ぎ手スリ−ブが固定され、前記継ぎ手スリ−ブに螺合連結されると共に、前記ブラケット把持金具の縦孔に挿通され、かつ前記ブラケット把持金具の下側に配置される雌ねじ部材に螺合される回動工具係合部を有する中継雄ねじ部材により、前記定着鉄筋はブラケット把持金具に固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の鋼管杭と定着鉄筋との位置調整可能な結合構造。
- 定着鉄筋の下部に、雌ねじ部を有する継ぎ手スリ−ブが固定され、前記継ぎ手スリ−ブに螺合連結されると共に、前記ブラケット把持金具の縦孔に挿通され、かつ前記ブラケット把持金具の下側に配置される回動工具係合部を有する雄ねじ部材により、前記定着鉄筋はブラケット把持金具に固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の鋼管杭と定着鉄筋との位置調整可能な結合構造。
- 前記環状ブラケットの外周側の縦部分が、前記ブラケット把持金具の半径方向の位置を規制する係合凸部を構成していることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の鋼管杭と定着鉄筋との位置調整可能な結合構造。
- 前記ブラケット把持金具は、上部ブラケット把持体とブラケット下部把持体とにより構成され、各ブラケット把持体に前記環状ブラケットの縦部分に係合する凹部が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の鋼管杭と定着鉄筋との位置調整可能な結合構造。
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