JP2004011328A - コンクリート充填鋼管柱とｈ形断面梁の高力ボルト接合構造 - Google Patents

Abstract

【課題】接合金物と高力ボルトを用いた角形または円形のコンクリート充填鋼管柱（ＣＦＴ柱）とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造において、コンクリートに対する高力ボルトのアンカー機能を強化し、接合部性能（剛性、耐力）を向上可能な高力ボルト接合構造を提供する。
【解決手段】当接した鋼管柱１と接合金物２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄを接合する高力ボルト１２に、鋼管柱１の内部側でアンカー板１３と角筒状または円筒状のテンションリング１５を連結してなるアンカー部を形成して、このアンカー部を、鋼管柱１内部に充填して固化させたコンクリート６に埋没させてなるもの。
【選択図】　　　　図１

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に、建築構造物を構成する、角形または円形のコンクリート充填鋼管柱（ＣＦＴ柱）にＨ形断面梁を接合金物を介して高力ボルト接合するコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、例えば、Ｓ造の角形鋼管柱とＨ形鋼梁を対象とした柱−梁接合部形式では、特開平１１−２６９９８６号公報に開示されるように、図１３に示すように、角形鋼管柱１の各側部に、それぞれ、上下一対のＴ形接合金物２ａ、２ｂの垂直板（フランジ）２ｆを高力ボルト３で接合し、この上下のＴ形接合金物２ａ、２ｂの水平板（ウエブ）２ｕ間にＨ形鋼梁４の端部を位置させ、上側Ｔ形接合金物２ａの水平板２ｕの下面側にＨ形鋼梁４の上フランジ４ａの上面を、また、下側Ｔ形接合金物２ｂの水平板２ｕの上面側にＨ形鋼梁４の下フランジ４ｂの上面を当接して高力ボルト５で接合する、溶接負担を軽減した角形鋼管柱とＨ形鋼梁の高力ボルト接合構造が一般的に知られている。
【０００３】
このような、高力ボルト接合構造においては、接合部性能は角形鋼管柱の面外曲げ抵抗により発揮されるため、接合部の剛性が比較的低いという問題がある。そのために、上記のような高力ボルト接合構造において、図１４（ａ）、（ｂ）に示すように、角形鋼管柱１の内部にコンクリート６を充填して角形鋼管柱の接合部の剛性を高めることも行われている。
しかし、単純に角形鋼管柱の内部にコンクリートを充填した場合には、Ｈ形鋼梁フランジからの圧縮力に対しては充填コンクリートの抵抗が期待できるものの、引張力に対しては角形鋼管柱側面の内部への変形抑制による性能の向上しか期待できず、コンクリート充填による接合部性能の向上は小さい。
【０００４】
一方、特開平６−２５７２２４号公報において、図１５（ａ）、（ｂ）に示すように、ＣＦＴ造の角形鋼管柱１ａとＨ形鉄骨梁４を対象とした柱−梁接合部形式で、ダイアフラムを設置せず、角形鋼管柱１ａの内部に縦リブ７を設けた柱−梁接合部が開示されている。
この柱−梁接合部においては、縦リブの存在により梁フランジからの引張力に対して充填コンクリートの抵抗が生じるため、縦リブを設けない場合に比較して接合部性能の向上が期待できる。
しかし、縦リブ７を角形鋼管柱内部に溶接する必要があり、溶接加工を角形鋼管製造段階または、角形鋼管柱の接合部付近を切断して溶接するなどの加工負担が大きく、コスト高になる問題がある。
【０００５】
また、特開平６−２４８６９８号公報には、図１６に示すように、ＣＦＴ造の角型鋼管柱１ｂとＨ型鉄骨梁４を対象とした柱−梁接合部形式で、ダイアフラム８を設置した角型鋼管柱１ｂ内部にスタッド９を設け、ダイアフラム８にＨ型鉄骨梁４を溶接した柱−梁接合部が開示され、特開平６−３１３３３５号公報には、図１７（ａ）、（ｂ）に示すように、ＣＦＴ造の角型鋼管柱１ｃとＨ型鉄骨梁４を対象とした柱−梁接合部形式で、ダイアフラム８に縦リブ１０を溶接し、この縦リブを抱くように筒状の縦リブ１１を配置した柱−梁接合部が開示されている。
これらの柱−梁接合部においては、ダイアフラム８とスタッド９、縦リブ１０や、筒状の縦リブ１１の存在によりＨ型鉄骨梁４フランジからの引張力に対して充填コンクリート６の抵抗が生じるため、ダイアフラムとスタッドや縦リブ、筒状の縦リブを設けない角型鋼管柱に比較して接合部性能の向上が期待できる。
しかし、スタッドや縦リブを角型鋼管内部に溶接する必要があり、溶接加工を、角型鋼管の製造段階または角型鋼管の接合部付近を切断して行ったり、加えてダイアフラムのための加工、溶接などの負担が大きく、コスト高になる問題がある。
【０００６】
例えば、図１３に示すような接合金物と高力ボルトを用いた角形鋼管柱とＨ形鋼梁の接合構造において、角形鋼管柱の内部にコンクリートを充填して接合部の剛性を高める場合に、コンクリート６を充填する角形鋼管柱１の内部に図１５〜図１７に示すようなスタッドや縦リブ、筒状の縦リブを配置して接合部性能を強化することが考えられる。
しかし、この接合金物と高力ボルトを用いた、コンクリートを充填する角形鋼管柱とＨ形鋼梁の接合構造において、スタッドや縦リブを角形鋼管柱内部に溶接する場合には、加工、溶接などの負担が大きくコスト高になることに加えて、高力ボルトを角形鋼管柱の内部側からボルト孔に挿入して、外部側でナットを締め付ける施工に支障を来すという問題がある。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、接合金物と高力ボルトを用いた角または円形のコンクリート充填鋼管柱（ＣＦＴ柱）とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造において、コンクリートに対する高力ボルトのアンカー機能を強化し、接合部性能（剛性、耐力）を向上可能とするコンクリート充填鋼管柱（ＣＦＴ柱）とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造を提供するものである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の（１）〜（９）を要旨とするものである。
（１）．接合金物を用いた角形または円形のコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造において、当接した鋼管柱と接合金物を接合した高力ボルトが、鋼管柱の内部側にアンカー板とテンションリングを連結してなるアンカー部を有し、このアンカー部が、鋼管柱内部に充填され固化したコンクリートに埋没されていることを特徴とするコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造。
（２）．接合金物を用いた角形または円形のコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造において、当接した鋼管柱と接合金物のボルト孔に、鋼管柱の内部側から、頭部側に形成したアンカー板とテンションリングを連結してなるアンカー部を有する高力ボルトを挿入して、接合金物の外面から雄ねじ部を突出させ、この突出した雄ねじ部に締結ナットを螺合して、鋼管柱の内部側にある高力ボルトの頭部（ナット）と外部側にある締結ナットの間で鋼管柱と接合金物を締結し、鋼管柱の内部側にある頭部（ナット）およびアンカー板とテンションリングを、鋼管柱内部に充填して固化させたコンクリートに埋没させたことを特徴とするコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造。
（３）．接合金物を用いた角形または円形のコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造において、予め鋼管柱の内部側にナットを固定しておき、当接した鋼管柱と接合金物のボルト孔に、外部側から、軸部に雄ねじを形成した頭部締め高力ボルトを挿入して、鋼管柱の内部側で雄ねじ部にナットを螺合し、その先端部側にテンションリングを挿通してから、先端部にアンカー板を形成して、外部側にある頭部と鋼管柱の内部側にあるナット間で鋼管柱と接合金物を頭部締めで締結し、鋼管柱内部側に位置させたナットおよびアンカー板とテンションリングを、鋼管柱内部に充填して固化させたコンクリートに埋没させたことを特徴とするコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造。
（４）．（１）〜（３）のいずれかにおいて、テンションリングが角筒状であり、鋼管柱と概ね同心に配置され、このテンションリングと各高力ボルトのアンカー板が連結されていることを特徴とするコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造。
（５）．（１）〜（３）のいずれかにおいて、テンションリングが円筒状であり、鋼管柱と概ね同心に配置され、このテンションリングと各高力ボルトのアンカー板が連結されていることを特徴とするコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造。
（６）．（１）〜（５）のいずれかにおいて、テンションリングが格子を配したものであることを特徴とするコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造。
（７）．（１）〜（６）のいずれかにおいて、テンションリングが、周方向で１列の高力ボルト列単位で配置され、この単位の各高力ボルトのアンカー板に連結されていることを特徴とするコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造。
（８）．（１）〜（６）のいずれかにおいて、テンションリングが、上下各々の接合金物単位で配置され、この単位の各高力ボルトのアンカー板に連結されていることを特徴とするコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造。
（９）．（１）〜（６）のいずれかにおいて、テンションリングが、上下一対の接合金物単位で配置され、この単位の各高力ボルトのアンカー板に連結されていることを特徴とするコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造。
【０００９】
【発明の実施の形態】
本発明は、Ｔ形接合金物やＬ形接合金物などの接合金物（以下「接合金物」という。）と引張高力ボルトを用いた角形または円形のコンクリート充填鋼管柱（ＣＦＴ柱）とＨ形鋼梁などのＨ形断面梁の高力ボルト接合構造において、接合金物と鋼管柱を高力ボルト接合する場合に適用されるものである。
本発明においては、この接合金物を用いたコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造において、基本的には、当接した鋼管柱と接合金物を接合した高力ボルトが鋼管柱の内部側にアンカー板とテンションリングからなるアンカー部を有し、このアンカー部を、鋼管柱内部に充填して固化させたコンクリートに埋没させることで、アンカー板とテンションリングによるアンカー効果により、充填コンクリートの抵抗力を、高力ボルトを介して鋼管柱の接合部に作用させ、この接合部における圧縮力と引張力に対する接合部性能（剛性、耐力）を向上させるものである。
【００１０】
この種の接合構造においては、高力ボルトにアンカー板によるアンカー部を形成しても相応の効果が得られるが、アンカー板のみではアンカー効果に限界があることから、アンカー板とテンションリングを連結して併用することが有効である。
高力ボルトのアンカー板とテンションリングを併用する場合には、両者をある程度、遊動可能に連結することが好ましい。剛で連結した場合には、鋼管柱内部での施工性、特に高力ボルトを鋼管柱内部からボルト孔に挿入する作業が難しくなる。
【００１１】
本発明で用いるテンションリングは、基本的には、角筒状または円筒状（複数のリングの組み合わせも可）のものであり、鋼管柱と概ね同心に配置するものである。このテンションリングの配置は、テンションリングと高力ボルトのアンカー板の連結による接合部性能の効率的強化を図るために、周方向で１列の高力ボルト列単位を最小単位として配置され、各列の各高力ボルトのアンカー板に連結される。また、上下各々の接合金物単位、または上下一対の接合金物単位（各Ｈ形断面梁単位）で配置され、各高力ボルトのアンカー板に連結することも可能である。
【００１２】
本発明で用いる高力ボルトとしては、鋼管柱の内部側に頭部があり、内部側からボルト孔に挿入し、外部側で締結ナットを螺合して締め付けるようにした高力ボルトと、鋼管柱の外部側に頭部があり外部側からボルト孔に挿入して、予め内部側に固定した締結ナットに螺合し頭部を締め付ける頭部締め高力ボルトがあり、いずれも、鋼管柱の内部側にアンカー板を有しこのアンカー板にテンションリングを連結してアンカー部を形成するものである。
頭部締め高力ボルトを用いる場合には、鋼管柱の内部に締結ナットを予め固定しておき、内部側にテンションリングを配置してから高力ボルトを外部側から挿入するものである。
【００１３】
高力ボルトは、高力ボルト機能と、鋼管柱の内部に充填されたコンクリートに対するアンカー機能を併備したものであり、このアンカー部を形成するアンカー板は、基本形は円形または角形で鍔状に形成されたものであり、テンションリングとの連結を容易にするものである。
このアンカー板は、鋼管柱のサイズやボルトの軸径にもよるが、鋼管柱の内部側にあって締結に機能する高力ボルトの頭部またはナットの先端から、鋼管径の０．１〜０．５倍程度離れた位置に形成するものであり、アンカー板の径（角形の場合は１辺）がボルト軸径の１．５〜１０．０倍程度のものである。
このアンカー板は、鋼管柱の内部側にある高力ボルトの先端部に形成するものであり、この形成方法としては、螺合、先端ストッパーとの接着、固定ナットによる固定、ボルト軸に一体形成等がある。
【００１４】
テンションリングは、鋼管柱の内部側にある接合金物と鋼管柱を締結する、鋼管柱の内部側にある頭部またはナットとアンカー板との間に挿通され、連結される。
本発明においては、高力ボルトのアンカー板を鋼管柱の内部側に形成してテンションリングと連結するために鋼管柱の内部での作業を必要とする。高力ボルトの挿入位置が手の届かないところ、あるいは人が入れないところにある場合は、この内部作業には、特殊な装置が用いられることもあるが、この発明は、主として大径の鋼管柱を使用する場合に適用されるので、内部に人が入って手作業で行うことが主体になる。
【００１５】
【実施例】
［実施例１］
以下に本発明の実施例１について、図１〜図３に基づいて説明する。
この実施例１は、コンクリートを充填する角形の鋼管柱の四側面に上下一対のＴ形接合金物を高力ボルト接合し、この上下一対のＴ形接合金物にＨ形断面梁を高力ボルト接合するコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造において本発明を適用した場合のものである。
図１は、この実施例１による角形のコンクリート充填鋼管柱１とＨ形断面梁４の高力ボルト接合構造の完成図で、（ａ）は平面断面説明図、（ｂ）は、（ａ）図の側断面説明図を示す。
この実施例１の高力ボルト接合構造においては、図１（ａ）、（ｂ）に示すように、コンクリート６を充填した鋼管柱１の四側面に、それぞれ、上下一対のＴ形接合金物２ａと２ｂの垂直板２ｆが所定の間隔をおいて高力ボルト１２により接合されており、Ｈ形断面梁４の上フランジ４ａは上側Ｔ形接合金物２ａの水平板２ｕの下面に、また、下フランジ４ｂは下側Ｔ形接合金物２ｂの水平板２ｕの上面に高力ボルト５で接合されている。
ここで、鋼管柱１に上下一対のＴ形接合金物２ａと２ｂを接合している高力ボルト１２は、鋼管柱１の内部側に形成したアンカー板１３に鋼管柱１と同心に配置した角筒状のテンションリング１５を連結してアンカー部を形成したものであり、このアンカー部を鋼管柱１の内部に充填・固化させたコンクリート６に埋没させ、アンカー板１３と角筒状のテンションリング１５によるアンカー効果で、充填コンクリートの抵抗力を、高力ボルト１２を介して鋼管柱１の接合部に作用させ、この接合部における圧縮力と引張力に対する接合部性能（剛性、耐力）を向上させるようにしたことを特徴としている。
【００１６】
以下にこの実施例１について詳細に説明する。ここでは、鋼管柱１の一側面と上側Ｔ形接合金物２ａの垂直板２ｆの接合部について、１本の高力ボルト１２を対象として部分図で代表説明する。
この実施例１で用いた高力ボルト１２は、図２（ａ）、（ｂ）図に示すように、先端にストッパーＳｔと、雄ねじ部１２ｓを有する軸部１２ｂと、軸部１２ｂに挿通するボルト孔を有しストッパーＳｔに当接するアンカー板１３と、雄ねじ部１２ｓと螺合する雌ねじを有しアンカー板１３を固定する固定ナット１４と、軸部１２ｂに挿通するボルト孔１５ｐを有する角筒状のテンションリング１５と、軸部１２ｂの雄ねじに螺合・締結して頭部を形成するダブルナット１６、１７と座金１８で形成されるものであり、（ｃ）図に示すように、軸部１２ｂの先端部の雄ねじ１２ｓ部に座金１９を挿通し締結ナット２０を螺合するように構成されたものである。図中２１はトルク導入用のピンテールである。
アンカー板１３は、図３（ａ）〜（ｃ）に示すような、通常、円形、四角形、六角形で、中心部にボルト孔１３ｐまたはねじ孔を有するもの１３、１３′、１３″を用いるが、ここでは、（ａ）図に示すボルト孔１３ｐを有する円形のアンカー板１３を用いた。角筒状のテンションリング１５は、周方向の１列の高力ボルト列単位に配置して、各高力ボルトのアンカー部に連結するようにした。
【００１７】
高力ボルト１２は、図２（ａ）、（ｂ）に示すように、予め、ストッパーＳｔとアンカー板１３と固定ナット１４でアンカー部を形成し、軸部１２ｂを角筒状のテンションリング１５に挿通し、アンカー板１３から離れた位置にダブルナット１６、１７により頭部を形成してから、図２（ｃ）に示すように、雄ねじ１２ｓ部の先端部側を、外部側に上側Ｔ形接合金物２ａの垂直板２ｆを当接した鋼管柱１の内部側からボルト孔１ｐ、２ｐに挿入して、鋼管柱１の内部側にアンカー板１３と角筒状のテンションリング１５からなるアンカー部とダブルナット１６、１７による頭部を位置させ、雄ねじ１２ｓ部の先端部をＴ形接合金物２ａの垂直板２ｆの外面から突出させて、座金１９を挿通し締結ナット２０を螺合して、鋼管柱１の内部側にある高力ボルト１２の頭部と外部側にある締結ナット２０間で鋼管柱１とＴ形接合金物２ａを締結する。
【００１８】
このようにして、鋼管柱１と上部Ｔ形接合金物２ａの垂直板２ｆを高力ボルト１２で接合することができ、鋼管柱１の内部側において高力ボルト１２にアンカー板１３と角筒状のテンションリング１５からなるアンカー部を形成することができる。
同様にして、鋼管柱１と下側Ｔ形接合金物２ｂの垂直板２ｆも高力ボルト１２で接合し、鋼管柱１の内部側において高力ボルト１２にアンカー板１３と角筒状のテンションリング１５からなるアンカー部を形成することができる。
このようにして、鋼管柱１の四側面に各Ｔ形接合金物２ａ、２ｂの接合を完了した後、（ｄ）図に示すように、鋼管柱１の内部にコンクリート６を充填して固化させ、アンカー板１３と角筒状のテンションリング１５によるアンカー部と頭部を、鋼管柱１の内部に充填して固化させたコンクリート６に埋没させ、図１
（ａ）、（ｂ）に示すような角形のコンクリート充填鋼管柱１とＨ形断面梁４の高力ボルト接合構造を得ることができる。
【００１９】
この実施例１では、鋼管柱１の内部に人が入って、角筒状のテンションリング１５を連結した高力ボルト１２をＴ形接合金物２ａ、２ｂの垂直板２ｆを当接した鋼管柱１の内部からボルト孔１ｐ、２ｐに挿入し、鋼管柱１の内部側にある高力ボルト１２の頭部と、Ｔ形接合金物の垂直板２ｆの外部側に突出させた先端部の雄ねじ１２ｓ部に螺合した締結ナット２０との間で、鋼管柱１とＴ形接合金物の垂直板２ｆを締結することによって、鋼管柱１とＴ形接合金物２ａ、２ｂの垂直板２ｆを容易に接合することができる。
Ｈ形断面梁４をＴ形接合金物２ａ、２ｂに取り付ける場合には、通常はＴ形接合金物２ａ、２ｂを鋼管柱１に接合した後に行う。
【００２０】
この実施例１においては、高力ボルト１２のアンカー部からダブルナット１６、１７による頭部までを、鋼管柱１の内部に充填して固化させたコンクリート６に埋没させることにより、アンカー板と角筒状のテンションリング１５によるアンカー効果で、充填コンクリートの抵抗力を、高力ボルトを介して鋼管柱の接合部に作用させ、この接合部における圧縮力と引張力に対する接合部性能（剛性、耐力）を一段と向上させることができる。
なお、実施例１では、アンカー板１３を用いたが、これを省略し、ストッパーＳｔで角筒状のテンションリング１５を連結して、このテンションリング１５主体のアンカー部を形成しても相応の効果が期待できる。
【００２１】
［実施例２］
この実施例２について、図４（ａ）〜（ｃ）に基づいて説明する。
実施例２は、実施例１と同様、角形のコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造において本発明を適用した場合のものであるが、使用した高力ボルトとアンカー板、この高力ボルトと角筒状のテンションリング１５との連結および高力ボルトによる締結手順において、実施例１と異なるものである。
この実施例２の角形のコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造の完成図は、図１（ａ）、（ｂ）と概ね同様に示されるので、図１（ａ）、（ｂ）を、高力ボルト１２を高力ボルト２２に置き換え、アンカー板１３をアンカー板２４に置き換えて使用し、実施例１と共通部分については説明を省略し、異なる部分を主体に説明する。
【００２２】
ここで用いた高力ボルトは、頭部締め高力ボルト２２であり、図４（ａ）に示すように、トルク導入用のピンテール２２ｐを形成した頭部２２ａを有し、予め鋼管柱１の内部側に固定した締結ナット２０に螺合・締結するとともに、角筒状のテンションリング１５を挿通した後、先端部を用いてテンションリング１５の内部側でアンカー板２４の雌ねじ２４ｓ部に螺合・締結する雄ねじ２２ｓ部を形成した軸部２２ｂを有するものであり、座金１９を挿通して頭部２２ａの座面に当接して使用されるものである。
予め鋼管柱１の内部側に締結ナット２０を固定する方法としては、鋼管柱１の内部側に挿入するナット設置ボルトを用いた装置（図示省略）を用い、接着や保持具（図示省略）により固定することができる。
また、鋼管柱１が一対の溝型材を２シーム溶接によって得られるものである場合には、２シーム溶接前に溝型材を固定しておくこともできる。
ここで用いたアンカー板２４は、円形で中心部に高力ボルト２２の雄ねじ２２ｓに螺合する（雌）ねじ２４ｓ孔を有し、このねじ孔２４ｓをストッパー板２５の固定により閉塞したものである。
角筒状のテンションリング１５は、周方向の１列の高力ボルト列単位に配置して、各高力ボルトのアンカー部に連結するようにした。
また、頭部２２ａの座面に当接される座金１９は、座金機能とピンテール２２ｐにトルクを付与するための機能を有するものであり、専用の締結具（基本的には、連動動作する座金に係合する外筒とピンテールに係合する内筒を有するものであり、ピンテールを回してトルク付与する構造のもの。図示省略）の外筒に係合するためにここでは頭部径より大径の六角形に形成されたものである。
【００２３】
この頭部締め高力ボルト２２で、鋼管柱１にＴ形接合金物２ａを当接して接合する場合には、図４（ａ）に示すように、予め鋼管柱１の内部側に座金１８とともに締結ナット２０を固定し、角筒状テンションリング１５を配置した状態で、当接したＴ形接合金物２ａの外部側からボルト孔２ｐ、１ｐに挿入し、図４（ｂ）に示すように、雄ねじ２２ｓ部に座金１８を挿通して締結ナット２０を螺合して、図４（ｃ）に示すように、角筒状のテンションリング１５を挿通し、角筒状のテンションリング１５の内部側で先端部の雄ねじ２２ｓにアンカー板２４を螺合・締結した後、頭部締め高力ボルト２２を頭部締めして、この頭部２２ａと鋼管柱１と鋼管柱１の内部側にある締結ナット２０との間で鋼管柱１と上側Ｔ形接合金物２ａを接合することができる。
また、先端部の雄ねじ２２ｓ部を角筒状のテンションリング１５に挿通して、角筒状のテンションリング１５の内部でアンカー板２４に螺合・締結して、アンカー板２４と角筒状のテンションリング１５からなるアンカー部を形成することができる。
下側Ｔ形接合金物２ｂの垂直板２ｆと鋼管柱１も、頭部締め高力ボルト２２により同様にして接合し、高力ボルト２２の鋼管柱１の内部側に、アンカー板２４と角筒状のテンションリング１５からなるアンカー部を形成することができる。このようにして、鋼管柱１の４側面において、各Ｔ形接合金物２ａ、２ｂの接合を完了した後、図４（ｃ）に示すように、鋼管柱１の内部にコンクリート６を充填して固化させ、アンカー板２４と角筒状のテンションリング１５によるアンカー部と締結ナット２０を、鋼管柱１の内部に充填して固化させたコンクリート６に埋没させ、Ｔ形接合金物２ａ、２ｂにＨ形断面梁４を高力ボルト５により接合して、概ね図１（ａ）、（ｂ）に示すようなコンクリート充填鋼管柱１とＨ形断面梁４の高力ボルト接合構造を得ることができる。
この実施例２においては、概ね実施例１と同様の効果が得られる。
【００２４】
［実施例３］
この実施例３について、図５（ａ）〜（ｃ）に基づいて説明する。
実施例３は、実施例１、２と同様、角形のコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造において本発明を適用した場合のものであるが、使用した高力ボルトとアンカー板、高力ボルトと角筒状のテンションリング１５との連結および高力ボルトの締結手順において実施例１、２と異なるものである。
この実施例３の角形のコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造の完成図は、図１（ａ）、（ｂ）と概ね同様に示されるので、図１（ａ）、（ｂ）を、高力ボルト１２を高力ボルト２６に置き換え、アンカー板１３をアンカー板２９に置き換えて使用し、実施例１、２と共通部分については説明を省略し、異なる部分を主体に説明する。
【００２５】
ここで用いた高力ボルトは、頭部締め高力ボルト２６であり、図５（ａ）に示すように、トルク導入用のピンテール２６ｐを形成した頭部２６ａを有し、予め角形の鋼管柱１の内部側に固定した締結ナット２８に螺合・締結する雄ねじ２６ｓと、角筒状のテンションリング１５を挿通した後、角筒状のテンションリング１５の内部側でアンカー板２９の雌ねじ２９ｓ部に螺合・締結する小径の雄ねじ３０ｓ部を形成した軸部２６ｂを有するものであり、座金２７を挿通して頭部２６ａの座面に当接して使用されるものである。
予め鋼管柱１の内部側に締結ナット２８を固定する方法としては、鋼管柱１の内部側に挿入するナット設置ボルトを用いた装置（図示省略）を用い、接着や保持具（図示省略）により固定することができる。また、鋼管柱１が一対の溝型材を２シーム溶接によって得られるものである場合には、２シーム溶接前に溝型材を固定しておくこともできる。
【００２６】
アンカー板２９は、中心部に頭部締め高力ボルト２６の先端部の雄ねじ３０ｓに螺合する雌ねじ２９ｓを有する円形のものである。角筒状のテンションリング１５は、周方向の１列の高力ボルト列単位に配置して、各頭部締め高力ボルト２６のアンカー部に連結するようにした。
アンカー板２９と螺合・締結する先端部の雄ねじ３０ｓは、雄ねじ２６ｓより若干小径であり、雄ねじ２６ｓとの境界に段差部が形成される。この段差部は、アンカー板２９の締結部になる。
また、頭部２６ａの座面に当接される座金２７は、座金機能とピンテール２６ｐにトルクを付与するための機能を有するものであり、専用の締結具（基本的には、連動動作する座金に係合する外筒とピンテールに係合する内筒を有するものであり、ピンテールを回してトルク付与する構造のもの。図示省略）の外筒に係合するためにここでは頭部径より大径の六角形に形成されたものである。
【００２７】
この頭部締め高力ボルト２６で、鋼管柱１に上側Ｔ形接合金物２ａを当接して接合する場合には、図５（ａ）に示すように、予め鋼管柱１の内部側に座金１８とともに締結ナット２８を固定し、角筒状テンションリング１５を配置した状態で、当接したＴ形接合金物２ａの外部側からボルト孔２ｐ、１ｐに挿入し、図５（ｂ）に示すように、雄ねじ２６ｓ部に座金１８を挿通し締結ナット２８を螺合して、図５（ｃ）に示すように、角筒状のテンションリング１５を挿通し、角筒状のテンションリング１５の内部側で先端部の雄ねじ３０ｓにアンカー板２９を螺合し、段差部で締結した後、頭部締め高力ボルト２６と鋼管柱１の内部側にある締結ナット２８との間で鋼管柱１と上側Ｔ形接合金物２ａを接合することができる。
また、先端部の雄ねじ２６ｓを、角筒状のテンションリング１５の内部でアンカー板２９に螺合・締結して、アンカー板２９と角筒状のテンションリング１５からなるアンカー部を形成することができる。
【００２８】
下側Ｔ形接合金物２ｂの垂直板２ｆと鋼管柱１も、頭部締め高力ボルト２６により同様にして接合し、頭部締め高力ボルト２６の鋼管柱１の内部側に、アンカー板２９と角筒状のテンションリング１５からなるアンカー部を形成することができる。
このようにして、鋼管柱１の４側面において、各Ｔ形接合金物２ａ、２ｂの接合を完了した後、図５（ｃ）に示すように、鋼管柱１の内部にコンクリート６を充填して固化させ、アンカー板２９と角筒状のテンションリング１５によるアンカー部と締結ナット２８を、鋼管柱１の内部に充填して固化させたコンクリート６に埋没させ、Ｔ形接合金物２ａ、２ｂにＨ形断面梁４を高力ボルト５により接合して、概ね図１（ａ）、（ｂ）に示すようなコンクリート充填鋼管柱１とＨ形断面梁４の高力ボルト接合構造を得ることができる。
この実施例３においては、実施例１〜実施例２と概ね同様の効果が得られる。
【００２９】
［実施例４］
以下に本発明の実施例４について、図６（ａ）、（ｂ）、図７（ａ）、（ｂ）、（ｃ）、（ｄ）に基づいて説明する。
この実施例４は、実施例１〜３と同様、角形のコンクリート充填鋼管柱１とＨ形断面梁４の高力ボルト接合構造において適用した場合のものであり、基本的には、円筒状のテンションリング３１を用い、この円筒状のテンションリング３１を高力ボルト１２のアンカー部に連結した点で実施例１〜３と異なるものである。
図６は、この実施例４の角形のコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の接合構造の完成図で、（ａ）は平面断面説明図、（ｂ）は、（ａ）図の側断面説明図を示す。この実施例４の高力ボルト接合構造においては、図６（ａ）、（ｂ）に示すように、コンクリート６を充填した角形の鋼管柱１の４側面に、それぞれ、上下一対のＴ形接合金物２ａと２ｂの垂直板２ｆが所定の間隔をおいて、高力ボルト１２により接合されており、Ｈ形断面梁４の上フランジ４ａは上側Ｔ形接合金物２ａの水平板２ｕの下面に高力ボルト５で接合され、Ｈ形断面梁４の下フランジ４ｂは下側Ｔ形接合金物２ｂの水平板２ｕの上面に当接され高力ボルト５で接合されている。
ここで、鋼管柱１に上下一対のＴ形接合金物２ａと２ｂを接合している高力ボルト１２は、鋼管柱１の内部側に形成したアンカー板１３に鋼管柱１と同心に配置した円筒状のテンションリング３１を遊動可能に連結してアンカー部を形成したものであり、このアンカー部を鋼管柱１の内部に充填・固化させたコンクリート６に埋没させている。
【００３０】
この実施例４で用いた高力ボルト１２は、実施例１と同様のもので、図７（ａ）、（ｂ）に示すように、雄ねじ１２ｓを形成した軸部１２ｂに、ストッパーＳｔとアンカー板１３と固定ナット１４でアンカー部を形成し、軸部１２ｂに円筒状のテンションリング３１に挿通して、アンカー板１３から離れた位置にダブルナット１６、１７により頭部（ナット）を形成し、アンカー板１３と頭部との間に円筒状のテンションリング３１を遊動可能に連結したものである。
このアンカー板１３としては、中心部にボルト孔１３ｐを有する円形のものを用いた。また、円筒状のテンションリング３１は、上側Ｔ形接合金物２ａ、下側Ｔ形接合金物２ｂ単位で配置し、周方向の２列の高力ボルト列単位に配置して、各高力ボルトのアンカー部に連結するようにした。
【００３１】
高力ボルト１２で鋼管柱１とＴ形接合金物２ａを接合する場合には、図７（ｃ）に示すように、高力ボルト１２を、外部側にＴ形接合金物２ａの垂直板２ｆを当接した鋼管柱１の内部側からボルト孔１ｐ、２ｐに挿入し、アンカー板１３と円筒状のテンションリング３１からなるアンカー部とダブルナット１６、１７による頭部ナット、鋼管柱１の内部側に位置させた状態で、先端部の雄ねじ１２ｓ部をＴ形接合金物２ａの垂直板２ｆの外部側に突出させ、座金１９を挿通し締結ナット２０を螺合して締め付けることにより、締結ナット２０と頭部ナットとの間で上側Ｔ形接合金物２ａの垂直板２ｆと鋼管柱１を締結することができる。
また、先端部の雄ねじ１２ｓ部を円筒状のテンションリング３１に挿通して、円筒状のテンションリング３１の内部でアンカー板１３を螺合・締結して、アンカー板１３と円筒状のテンションリング３１からなるアンカー部を形成することができる。
下側Ｔ形接合金物２ｂの垂直板２ｆと鋼管柱１も、高力ボルト１２により同様にして接合し、高力ボルト１２の鋼管柱１の内部側に、アンカー板１３と円筒状のテンションリング３１からなるアンカー部を形成することができる。
【００３２】
このようにして、鋼管柱１の４側面に各Ｔ形接合金物２ａ、２の接合を完了した後、図７（ｄ）図に示すように、鋼管柱１の内部にコンクリート６を充填して固化させ、アンカー板１３と円筒状のテンションリング３１によるアンカー部と頭部を、鋼管柱１の内部に充填して固化させたコンクリート６に埋没させ、図６（ａ）、（ｂ）に示すようなコンクリート充填鋼管柱１とＨ形断面梁４の高力ボルト接合構造を得ることができる。
この実施例４では、鋼管柱１の内部に、円筒状のテンションリング３１を配置し、アンカー部を形成した高力ボルト１２に円筒状リング３１に内部から挿通して、高力ボルト１２の雄ねじ１２ｓの先端部側を鋼管柱１の内部側から挿入する作業は、鋼管柱１の内部に人が入り、人手作業により行った。
Ｈ形断面梁４をＴ形接合金物２ａ、２ｂに取り付ける場合には、通常はＴ形接合金物２ａ、２ｂを鋼管柱１に接合した後に行う。
【００３３】
この実施例４においては、高力アンカーボルト１２のアンカー部からダブルナット１６、１７による頭部までを、鋼管柱１の内部に充填して固化させたコンクリート６に埋没させることにより、アンカー板と円筒状のテンションリング３１によるアンカー部効果で、上記実施例１〜実施例３と同様、充填コンクリートの抵抗力を高力ボルトを介して鋼管柱の接合部に作用させ、この接合部における圧縮力と引張力に対する接合部性能（剛性、耐力）を向上させることができる。
なお、実施例４では、アンカー板１３を用いたが、これを省略し、ストッパーＳｔで円筒状のテンションリング３１を連結して、このテンションリング３１主体のアンカー部を形成しても相応の効果が得られる。
【００３４】
［実施例５］
この実施例５について、図８（ａ）〜（ｃ）に基づいて説明する。
実施例５は、実施例４と同様、角形のコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造において本発明を適用した場合のものであり、実施例４と同様、円筒状のテンションリング３１を使用するものであるが、使用する高力ボルトとアンカー板、この高力ボルトと円筒状のテンションリング３１との連結および高力ボルトによる締結手順において、実施例４と異なるものである。
この実施例５の角形のコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造の完成図は、実施例４を示す図６（ａ）、（ｂ）と概ね同様に示されるので、図６（ａ）、（ｂ）を、高力ボルト１２を頭部締め高力ボルト２２に置き換えアンカー板１３をアンカー板２４に置き換えて使用し、実施例４と共通部分については説明を省略し異なる部分を主体に説明する。
【００３５】
ここで用いた高力ボルトは、頭部締め高力ボルト２２であり、図８（ａ）に示すように、トルク導入用のピンテール２２ｐを形成した頭部２２ａを有し、予め鋼管柱１の内部側に固定した締結ナット２０に螺合・締結するとともに、円筒状のテンションリング３１を挿通した後、先端部を用いて、円筒状のテンションリング３１の内部側でアンカー板２４の雌ねじ２４ｓ部に螺合・締結する雄ねじ２２ｓを形成した軸部２２ｂを有するものであり、座金１９を挿通して頭部２２ａの座面に当接して使用されるものである。
予め鋼管柱１の内部側に締結ナット２０を固定する方法としては、実施例２と同様の方法を用いることができる。アンカー板２４は、円形で中心部に高力ボルト２２の雄ねじ２２ｓに螺合する（雌）ねじ２４ｓ孔を有するものである。円筒状のテンションリング３１は、上側Ｔ形接合金物２ａ、下側Ｔ形接合金物２ｂ単位で配置されており、周方向の２列の高力ボルト列単位に配置して、各高力ボルトのアンカー部に連結するようにした。
【００３６】
また、頭部２２ａの座面に当接される座金１９は、座金機能とピンテール２２ｐにトルクを付与するための機能を有するものであり、専用の締結具（基本的には、連動動作する座金に係合する外筒とピンテール２２ｐに係合する内筒を有するものであり、ピンテール２２ｐを回してトルク付与する構造のもの。図示省略）の外筒に係合するために、ここでは、頭部径より大径の六角形に形成されたものである。
この頭部締め高力ボルト２２で、鋼管柱１に上側Ｔ形接合金物２ａを当接して接合する場合には、図８（ａ）に示すように、予め鋼管柱１の内部側に締結ナット２０を固定し、円筒状のテンションリング３１を配置した状態で、鋼管柱１に当接した上側Ｔ形接合金物２ａの外部側からボルト孔２ｐ、１ｐに挿入し、図８（ｂ）に示すように、雄ねじ２２ｓに座金１８を挿通して締結ナット２０を螺合して、図８（ｃ）に示すように、円筒状のテンションリング３１を挿通し、先端部の雄ねじ２２ｓにアンカー板２４を螺合・締結した後、頭部締め高力ボルト２２を頭部締めして、この頭部２２ａと鋼管柱１の内部側にある締結ナット２０との間で鋼管柱１と上側Ｔ形接合金物２ａを接合することができる。
下側Ｔ形接合金物２ｂの垂直板２ｆと鋼管柱１も、頭部締め高力ボルト２２により同様にして接合し、頭部締め高力ボルト２２の鋼管柱１の内部側に、アンカー板２４と円筒状のテンションリング３１からなるアンカー部を形成することができる。
【００３７】
このようにして、鋼管柱１の４側面において、各Ｔ形接合金物２ａ、２ｂの接合を完了した後、図８（ｃ）に示すように、鋼管柱１の内部にコンクリート６を充填して固化させ、アンカー板２４と円筒状のテンションリング３１によるアンカー部と締結ナット２０を、鋼管柱１の内部に充填して固化させたコンクリート６に埋没させ、概ね図６（ａ）、（ｂ）に示すようなコンクリート充填鋼管柱１とＨ形断面梁４の高力ボルト接合構造を得ることができる。
この実施例５においては、実施例１〜４と概ね同様の効果が得られる。
【００３８】
［実施例６］
この実施例６について、図９（ａ）〜（ｃ）に基づいて説明する。
実施例６は、実施例５と同様、角形のコンクリート充填鋼管柱１とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造において本発明を適用した場合のものであり、実施例５と同様、円筒状のテンションリング３１を使用するものであるが、使用する高力ボルト２６とアンカー板２９、この高力ボルト２６と円筒状のテンションリング３１との連結および高力ボルトによる締結手順において、実施例５と異なるものである。
この実施例６の角形のコンクリート充填鋼管柱１とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造の完成図は、図６（ａ）、（ｂ）と概ね同様に示されるので、図６（ａ）、（ｂ）を、高力ボルト１２を頭部締め高力ボルト２６に置き換え、アンカー板１３をアンカー板２９に置き換えて使用し実施例５と共通部分については説明を省略し、異なる部分を主体に説明する。
【００３９】
ここで用いた高力ボルトは、頭部締め高力ボルト２６であり、図９（ａ）に示すように、トルク導入用のピンテール２６ｐを形成した頭部２６ａを有し、予め鋼管柱１の内部側に固定した締結ナット２８に螺合・締結する雄ねじ２６ｓと、円筒状のテンションリング３１を挿通した後、先端部側に円筒状のテンションリング３１の内部側でアンカー板２９の雌ねじ２９ｓ部に螺合・締結する小径の雄ねじ３０ｓ部を形成した軸部２６ｂを有するものであり、座金２７を挿通して頭部２６ａの座面に当接して使用されるものである。予め鋼管柱１の内部側に締結ナット２８を固定する方法としては、実施例５と同様の方法を用いることができる。
アンカー板２９は、円形で中心部に高力ボルト２６の雄ねじ３０ｓに螺合する（雌）ねじ孔２９ｓを有するものである。円筒状のテンションリング３１は、上側Ｔ形接合金物２ａ、下側Ｔ形接合金物２ｂ単位で配置されており、周方向の２列の高力ボルト列単位に配置して、各高力ボルトのアンカー部に連結するようにした。アンカー板２９と螺合・締結する先端部の雄ねじ３０ｓは、雄ねじ２６ｓより若干小径であり、雄ねじ２６ｓとの境界に段差部が形成される。この段差部は、アンカー板２９の締結部になる。
【００４０】
また、頭部２６ａの座面に当接される座金２７は、座金機能とピンテール２６ｐにトルクを付与するための機能を有するものであり、専用の締結具（基本的には、連動動作する座金に係合する外筒とピンテールに係合する内筒を有するものであり、ピンテール２６ｐを回してトルク付与する構造のもの。図示省略）の外筒に係合するためにここでは頭部径より大径の六角形に形成されたものである。この頭部締め高力ボルト２６で、鋼管柱１に上側Ｔ形接合金物２ａを当接して接合する場合には、図９（ａ）に示すように、予め鋼管柱１の内部側に締結ナット２８を固定し、円筒状のテンションリング３１を配置した状態で、鋼管柱１に当接したＴ形接合金物２ａの外部側からボルト孔２ｐ、１ｐに挿入し、図９（ｂ）に示すように、雄ねじ２６ｓ部に座金１８を挿通してナット２８を螺合して、図９（ｃ）に示すように、円筒状のテンションリング３１を挿通し、先端部の雄ねじ３０ｓにアンカー板２９を螺合し、段差部で締結した後、頭部締め高力ボルト２６を頭部締めして、この頭部２６ａと鋼管柱１の内部側にある締結ナット２８との間で鋼管柱１と上側Ｔ形接合金物２ａを接合することができる。
【００４１】
下側Ｔ形接合金物２ｂの垂直板２ｆと鋼管柱１も、頭部締め高力ボルト２６により同様にして接合し、頭部締め高力ボルト２６の鋼管柱１の内部側に、アンカー板２９と円筒状のテンションリング３１からなるアンカー部を形成することができる。
このようにして、鋼管柱１の４側面において、各Ｔ形接合金物２ａ、２ｂの接合を完了した後、（ｃ）図に示すように、鋼管柱１の内部にコンクリート６を充填して固化させ、アンカー板２９と円筒状のテンションリング３１によるアンカー部とナット２８を、鋼管柱１の内部に充填して固化させたコンクリート６に埋没させ、概ね図６（ａ）、（ｂ）に示すようなコンクリート充填鋼管柱１とＨ形断面梁４の高力ボルト接合構造を得ることができる。
この実施例６においては、実施例１〜５と概ね同様の効果が得られる。
【００４２】
［実施例７］
以下に本発明の実施例７について、図１０（ａ）、（ｂ）に基づいて説明する。
この実施例７は、円形のコンクリート充填鋼管柱１ａと、垂直板２ｆが曲面に形成された異形Ｔ形接合金物２ｃ、２ｄを用いた点で実施例６と異なるものであるが、その以外の部分では、基本的には、実施例６と概ね共通するので、この共通部分の詳細説明は省略し、異なる部分を主体に説明する。
図１０は、この実施例７の円形のコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造の完成図で、（ａ）は平面断面説明図、（ｂ）は、（ａ）図の側断面説明図を示す。
この実施例７の円形のコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造においては、図１０（ａ）、（ｂ）に示すように、コンクリート６を充填した円形の鋼管柱１ｓの４側面に、それぞれ、上下一対の異形Ｔ形接合金物２ｃと２ｄの垂直板２ｆが所定の間隔をおいて、円形の鋼管柱１の中心を向くようにボルト孔に挿入された頭部締め高力ボルト２６により接合されており、Ｈ形断面梁４の上フランジ４ａは上側異形Ｔ形接合金物２ｃの水平板２ｕの下面に高力ボルト５で接合され、Ｈ形断面梁４の下フランジ４ｂは下側異形Ｔ形接合金物２ｄの水平板２ｕの上面に当接され高力ボルト５で接合されている。
この頭部締め高力ボルト２６の円形の鋼管柱１ｓの内部側には、アンカー板２９と円形鋼管柱１ａと同心に配置した円筒状のテンションリング３１を遊動可能に連結してアンカー部を形成して、円形の鋼管柱１ｓの内部に充填・固化させたコンクリート６に埋没させている。
なお、この実施例７では、円形の鋼管柱１ｓと上下一対の異形Ｔ形接合金物２ｃと２ｄは、頭部締め高力ボルト２６によって接合しているが、前記他の実施例で用いたような、他の高力ボルト１２や頭部締めボルト２２などを用いることができる。
この実施例７においては、実施例６と概ね同様の効果が得られる。
【００４３】
［実施例８］
この実施例８は、図１１（ａ）、（ｂ）に示すように、基本的には、実施例１〜３と同様、角筒状テンションリングを用いるものであるが、この角筒状のテンションリング１５が、十字形の補強格子１５ｋ付きの角筒状テンションリング１５ａである点において、実施例１〜３と異なるものである。
使用する各高力ボルト（１２、２２、２６）とアンカー板（１３、２４、２９）、これらの高力ボルトと角筒状のテンションリング１５ａとの連結およびこれらの高力ボルトによる締結手順は、実施例１〜３と共通するので、実施例１〜実施例３において、角筒状のテンションリング１５を十字形の補強格子１５ｋ付きの角筒状テンションリング１５ａに置き換えて説明できる。したがって、詳細説明は省略する。
この実施例８においては、角筒状のテンションリングとして、十字形の補強格子付きの角筒状テンションリング１５ａを用いるので、角筒状のテンションリング１５の強度を強化し、高力ボルトのアンカー板と連結して更にアンカー部効果を強化することができ、充填コンクリートの抵抗力を高力ボルトを介して鋼管柱の接合部に作用させ、この接合部における圧縮力と引張力に対する接合部性能
（剛性、耐力）を一段と向上させることができる。
なお、実施例８では、高力ボルトのアンカー板と十字形の補強格子１５ｋ付きの角筒状テンションリング１５ａを連結してアンカー部を形成したが、アンカー板を省略した高力ボルトと連結し、この十字形の補強格子１５ｋ付きの角筒状テンションリング１５ａ主体のアンカー部を形成しても、実施例１〜３に遜色ない効果が得られる。
【００４４】
［実施例９］
この実施例９は、図１２（ａ）、（ｂ）に示すように、基本的には、実施例４〜６と同様、円筒状テンションリングを用いるものであるが、この円筒状テンションリング３１が、十字形の補強格子３１ｋ付きの円筒状テンションリング３１ａである点において、実施例４〜６と異なるものである。
使用する高力ボルト（１２、２２、２６）とアンカー板（１３、２４、２９）、この高力ボルトと円筒状テンションリング３１ａとの連結手順は、実施例４〜６と共通するので、実施例４〜実施例６において、円筒状テンションリング３１を十字形の補強格子付きの円筒状のテンションリング３１ａに置き換えて説明できるので、詳細説明は省略する。
この実施例９においては、円筒状のテンションリングとして、十字形の補強格子３１ｋ付きの円筒状テンションリング３１ａを用いるので、円筒状テンションリング３１の強度を強化し、高力ボルトのアンカー板と連結して更にアンカー部効果を強化することができ、充填コンクリートの抵抗力を高力ボルトを介して鋼管柱の接合部に作用させ、この接合部における圧縮力と引張力に対する接合部性能（剛性、耐力）を一段と向上させることができる。
【００４５】
なお、実施例９では、高力ボルトのアンカー板と十字形の補強格子３１ｋ付きの円筒状テンションリング３１ａを連結してアンカー部を形成したが、アンカー板を省略した高力ボルトと連結し、この十字形の補強格子３１付きの円筒状のテンションリング３１ａ主体のアンカー部を形成しても、実施例４〜６に遜色ない効果が得られる。
なお、実施例８、実施例９では、角形のコンクリート充填鋼管柱１の場合において、高力ボルトに補強格子付きの角筒状のテンションリング１５ａ、補強格子付きの円筒状のテンションリング３１ａを連結しているが、円形のコンクリート充填鋼管柱１ｓの場合においても、高力ボルトに補強格子付きの角筒状のテンションリング１５ａ、補強格子付きの円筒状のテンションリング３１ａを連結して用いることができる。
本発明は、上記の実施例の内容に限定されるものではない。高力ボルト、アンカー板、テンションリングの構造、高力ボルトとテンションリングの連結構造、鋼管柱および接合金物の形状、鋼管柱内部への高力ボルトの挿入手段、接合部の施工手順などについては、接合対象物、接合部配置、要求される接合部性能などに応じて、上記請求項を満足する範囲内で変更のあるものである。
【００４６】
【発明の効果】
本発明においては、接合金物を用いた角形または円形のコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造において、当接した鋼管柱と接合金物を接合した高力ボルトが、鋼管柱の内部側にアンカー板とテンションリングを連結してなるアンカーを有し、このアンカー部を、鋼管柱内部に充填して固化させたコンクリートに埋没させるものであり、アンカー板とテンションリングによるアンカー効果により充填コンクリートの抵抗力を高力ボルトを介して鋼管柱の接合部に作用させ、この接合部における接合部性能（剛性、耐力）をより安定的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施例１におけるコンクリート充填鋼管柱とＴ形接合金物の高力ボルト接合構造例で、（ａ）図は、接合が完了した状態を示す平面説明図、（ｂ）図は、（ａ）図のＡａ−Ａｂ矢視断面説明図。
【図２】（ａ）図は、実施例１で用いられる高力ボルトの構造例を示す側面説明図、（ｂ）図は、（ａ）図の高力ボルトの組み立て過程を示す断面側面説明図、（ｃ）図は、（ａ）図、（ｂ）図の高力ボルトによる鋼管柱とＴ形接合金物の高力ボルト接合とアンカー部形成過程を示す部分断面側面説明図、（ｄ）図は、鋼管柱とＴ形接合金物の高力ボルト接合を完成し鋼管柱にコンクリートを充填・固化させた状態を示す部分側面断面説明図。
【図３】本発明で用いるアンカー板の形状例を示す正面説明図。
【図４】（ａ）図は、実施例２で用いられる高力ボルトと、鋼管柱とＴ形接合金物の高力ボルト接合過程を示す部分側面断面説明図、（ｂ）図は、（ａ）図の高力ボルトによる鋼管柱とＴ形接合金物の高力ボルト接合とアンカー部形成過程を示す部分側面断面説明図、（ｃ）図は、高力ボルトによるコンクリート充填鋼管柱とＴ形接合金物の高力ボルト接合を完成し鋼管柱にコンクリートを充填・固化させた状態を示す部分側面断面説明図。
【図５】（ａ）図は、実施例３で用いられる高力ボルトと、鋼管柱とＴ形接合金物の高力ボルト接合過程を示す部分側面断面説明図、（ｂ）図は、（ａ）図の高力ボルトによる鋼管柱とＴ形接合金物の高力ボルト接合とアンカー部形成過程を示す部分側面断面説明図、（ｃ）図は、高力ボルトによる鋼管柱とＴ形接合金物の高力ボルト接合を完成し鋼管柱にコンクリートを充填・固化させた状態を示す部分側面断面説明図。
【図６】本発明の実施例４におけるコンクリート充填鋼管柱とＴ形接合金物の高力ボルト接合構造例で、（ａ）図は、接合が完了した状態を示す平面説明図、（ｂ）図は、（ａ）図のＢａ−Ｂｂ矢視断面説明図。
【図７】（ａ）図は、実施例４で用いられる高力ボルトの構造例を示す側面説明図、（ｂ）図は、（ａ）図の高力ボルトの組み立て過程を示す断面側面説明図、（ｃ）図は、（ａ）図、（ｂ）図の高力ボルトによる鋼管柱とＴ形接合金物の高力ボルト接合とアンカー部形成過程を示す部分断面側面説明図、（ｄ）図は、鋼管柱とＴ形接合金物の高力ボルト接合を完成し鋼管柱にコンクリートを充填・固化させた状態を示す部分側面断面説明図。
【図８】（ａ）図は、実施例５で用いられる高力ボルトと、コンクリート充填鋼管柱とＴ形接合金物の高力ボルト接合過程を示す部分側面断面説明図、（ｂ）図は、（ａ）図の高力ボルトによる鋼管柱とＴ形接合金物の高力ボルト接合とアンカー部形成過程を示す部分側面断面説明図、（ｃ）図は、高力ボルトによる鋼管柱とＴ形接合金物の高力ボルト接合を完成し鋼管柱にコンクリートを充填・固化させた状態を示す部分側面断面説明図。
【図９】（ａ）図は、実施例６で用いられる高力ボルトと、コンクリート充填鋼管柱とＴ形接合金物の高力ボルト接合過程を示す部分側面断面説明図、（ｂ）図は、（ａ）図の高力ボルトによるコンクリート充填鋼管柱とＴ形接合金物の高力ボルト接合とアンカー部形成過程を示す部分側面断面説明図、（ｃ）図は、高力ボルトによる鋼管柱とＴ形接合金物の高力ボルト接合を完成し鋼管柱にコンクリートを充填・固化させた状態を示す部分側面断面説明図。
【図１０】（ａ）図は、実施例７におけるコンクリート充填鋼管柱とＴ形接合金物の高力ボルト接合構造例で、（ａ）図は、接合が完了した状態を示す平面説明図、
（ｂ）図は、（ａ）図のＣａ−Ｃｂ矢視断面説明図。
【図１１】本発明の実施例８におけるコンクリート充填鋼管柱とＴ形接合金物の高力ボルト接合構造例で、（ａ）図は、接合が完了した状態を示す平面説明図、（ｂ）図は、（ａ）図のＤａ−Ｄｂ矢視断面説明図。
【図１２】本発明の実施例９におけるコンクリート充填鋼管柱とＴ形接合金物の高力ボルト接合構造例で、（ａ）図は、接合が完了した状態を示す平面説明図、（ｂ）図は、（ａ）図のＥａ−Ｅｂ矢視断面説明図。
【図１３】従来のＴ形接合金物と高力ボルトを用いた角形鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造例を示す立体説明図。
【図１４】（ａ）図は、従来の他のＴ形接合金物と高力ボルトを用いたコンクリート充填角形鋼管柱とＨ形鋼梁の高力ボルト接合構造例を示す平面断面説明図、（ｂ）図は、（ａ）図のＦａ−Ｆｂ矢視断面説明図。
【図１５】（ａ）図は、従来の他のコンクリート充填角形鋼管柱とＨ形鋼梁の溶接による接合構造例を示す平面説明図、（ｂ）図は、（ａ）図のＧａ−Ｇｂ矢視断面説明図。
【図１６】従来のダイアフラムとスタッドを用いたコンクリート充填角形鋼管柱とＨ形鋼梁の溶接による接合構造例を示す平面説明図。
【図１７】従来のダイアフラムと縦リブを用いた他のコンクリート充填角形鋼管柱とＨ形鋼梁の溶接による接合構造例を示す平面説明図、（ｂ）図は、（ａ）図のＨａ−Ｈｂ矢視断面説明図。
【符号の説明】
１　角形の鋼管柱　　　　　　　　　　　１ｓ　円形の鋼管柱
１ａ、１ｂ、１ｃ　角形（角型）鋼管柱　１ｐ　　ボルト孔
２ａ　上側Ｔ形接合金物　　　　　　　　２ｂ　下側Ｔ形接合金物
２ｃ　上側異形Ｔ形接合金物　　　　　　２ｄ　下側異形Ｔ形接合金物
２ｐ　ボルト孔　　　　　　　　　　　　２ｆ　垂直板
２ｕ　水平板　　　　　　　　　　　　　３　　高力ボルト
４　　Ｈ形断面梁（Ｈ型鉄骨梁、Ｈ形鋼梁）
４ａ　上フランジ　　　　　　　　　　　４ｂ　下フランジ
５　　高力ボルト　　　　　　　　　　　６　　コンクリート
７　　縦リブ（アンカー）　　　　　　　８　　ダイアフラム
９　　スタッド（アンカー）　　　　　１０　　筒状リブ
１１　　ダイアフラム　　　　　　　　　１２　　高力ボルト
１２ｂ　軸部　　　　　　　　　　　　　１２ｓ　雄ねじ
Ｓｔ　　ストッパー
１３、１３′、１３″　アンカー板　　　１３ｐ　ボルト挿通孔
１３ｓ　雌ねじ　　　　　　　　　　　　１４　　アンカー板固定ナット
１５　　角筒状のテンションリング　　　１５ｐ　ボルト挿通孔
１５ａ　補強格子付き角筒状テンションリング
１５ｋ　補強格子　　　　　　　　　　　１６　　頭部固定ナット
１７　　頭部ナット　　　　　　　　　　１８　　座金
１９　　座金　　　　　　　　　　　　　２０　　締結ナット
２１　　ピンテール　　　　　　　　　　２２　　頭部締め高力ボルト
２２ａ　頭部　　　　　　　　　　　　　２２ｂ　軸部
２２ｐ　ピンテール　　　　　　　　　　２２ｓ　雄ねじ
２３　　欠番　　　　　　　　　　　　　２４　　アンカー板
２４ｐ　ボルト挿通孔　　　　　　　　　２４ｓ　雌ねじ
２５　　ストッパー板　　　　　　　　　２６　　頭部締め高力ボルト
２６ａ　頭部　　　　　　　　　　　　　２６ｂ　軸部
２６ｓ　雄ねじ　　　　　　　　　　　　２６ｐ　ピンテール
２７　　座金　　　　　　　　　　　　　２８　　締結ナット
２９　　アンカー板　　　　　　　　　　２９ｓ　雌ねじ
３０ｓ　雄ねじ　　　　　　　　　　　３１　　円筒状テンションリング
３１ａ　補強格子付き円筒状のテンションリング
３１ｋ　補強格子　　　　　　　　　　　３１ｐ　ボルト挿通孔

Claims (9)

1. 接合金物を用いた角形または円形のコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造において、当接した鋼管柱と接合金物を接合した高力ボルトが、鋼管柱の内部側にアンカー板とテンションリングを連結してなるアンカー部を有し、このアンカー部が、鋼管柱内部に充填され固化したコンクリートに埋没されていることを特徴とするコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造。
2. 接合金物を用いた角形または円形のコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造において、当接した鋼管柱と接合金物のボルト孔に、鋼管柱の内部側から、頭部側に形成したアンカー板とテンションリングを連結してなるアンカー部を有する高力ボルトを挿入して、接合金物の外面から雄ねじ部を突出させ、この突出した雄ねじ部に締結ナットを螺合して、鋼管柱の内部側にある高力ボルトの頭部（ナット）と外部側にある締結ナットの間で鋼管柱と接合金物を締結し、鋼管柱の内部側にある頭部（ナット）およびアンカー板とテンションリングを、鋼管柱内部に充填して固化させたコンクリートに埋没させたことを特徴とするコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造。
3. 接合金物を用いた角形または円形のコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造において、予め鋼管柱の内部側にナットを固定しておき、当接した鋼管柱と接合金物のボルト孔に、外部側から、軸部に雄ねじを形成した頭部締め高力ボルトを挿入して、鋼管柱の内部側で雄ねじ部にナットを螺合し、その先端部側にテンションリングを挿通してから、先端部にアンカー板を形成して、外部側にある頭部と鋼管柱の内部側にあるナット間で鋼管柱と接合金物を頭部締めで締結し、鋼管柱内部側に位置させたナットおよびアンカー板とテンションリングを、鋼管柱内部に充填して固化させたコンクリートに埋没させたことを特徴とするコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造。
4. テンションリングが角筒状であり、鋼管柱と概ね同心に配置され、このテンションリングと各高力ボルトのアンカー板が連結されていることを特徴とする請求項１〜請求項３のいずれか１項に記載のコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造。
5. テンションリングが円筒状であり、鋼管柱と概ね同心に配置され、このテンションリングと各高力ボルトのアンカー板が連結されていることを特徴とする請求項１〜請求項３のいずれか１項に記載のコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造。
6. テンションリングが格子を配したものであることを特徴とする請求項１〜請求項５のいずれか１項に記載のコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造。
7. テンションリングが、周方向で１列の高力ボルト列単位で配置され、この単位の各高力ボルトのアンカー板に連結されていることを特徴とする請求項１〜請求項６のいずれか１項に記載のコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造。
8. テンションリングが、上下各々の接合金物単位で配置され、この単位の各高力ボルトのアンカー板に連結されていることを特徴とする請求項１〜請求項６のいずれか１項に記載のコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造。
9. テンションリングが、上下一対の接合金物単位で配置され、この単位の各高力ボルトのアンカー板に連結されていることを特徴とする請求項１〜請求項６のいずれか１項に記載のコンクリート充填鋼管柱とＨ形断面梁の高力ボルト接合構造。

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