JP6948503B2 - コンクリート構造物の補強方法、コンクリート構造物及び可撓性連続繊維補強材 - Google Patents

コンクリート構造物の補強方法、コンクリート構造物及び可撓性連続繊維補強材 Download PDF

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Description

本発明は、橋梁や高架道路などの土木建築構造物における床版の上、下面、梁の上、下面、側面、更には、柱などの鉄筋コンクリート構造物(以下、単に「コンクリート構造物」又は「構造物」という。)の補強方法に関するものであり、更に、斯かる補強方法にて補強されたコンクリート構造物、及び、コンクリート構造物の補強方法にて使用する連続繊維補強材に関するものである。
従来、コンクリート構造物の補強方法としては、例えば、橋梁や高架道路などのコンクリート床版構造物の補強方法としては、上面増厚工法、鋼板接着工法、連続繊維シート接着工法などが採用されている。いずれの補強方法もコンクリート床版の疲労耐久性の向上に一定の効果があるが、以下のような課題があった。
つまり、上面増厚工法は補強工事に通行止めを必要とし、床版重量が増加し、また、既設床版コンクリートとの剥離の可能性がある。
鋼板接着工法は、補強材である鋼板が腐食するため定期的塗装塗り替えが必要であり、また、劣化が進んで床版コンクリートのひび割れから漏水がある場合には接着面の鋼板が腐食し剥離が進行し易い。床版下面全面を覆うため床版の劣化状況が観察できない。
連続繊維シート接着工法は、連続繊維シートは腐食しないが、床版全面に接着した場合、鋼板接着と同様に床版コンクリートのひび割れからの漏水がコンクリート内に滞水し、コンクリートの劣化促進や、連続繊維シートとコンクリートの剥離を招く。
そこで、上記課題を解決するためのコンクリート補強方法が提案されているが、特許文献1には、下面にクラックが発しているコンクリートの下面のかぶり部に、クラックの一部を横切るように溝を形成し、この溝内に、クラック全体に広がらない程度の粘着力を有した、例えばエポキシパテのような充填材を介して強化繊維補強プラスチックロッドを埋設するコンクリートの補強方法が記載されている。
また、特許文献2には、コンクリート構造物である道路橋床版の路側帯部分のコンクリート表面をはつることにより、切削溝を形成し、該切削溝に、弾性率が100〜1000GPaの繊維から成る繊維強化プラスチックの補強筋を配置し、その後、切削溝に樹脂モルタルを打設する道路橋床版のFRP補強工法が記載されている。
特許第4084618号公報 特許第3877145号公報
しかしながら、上記特許文献1、2に記載のコンクリート補強方法は、何れにおいても、補強材として、炭素繊維等の強化繊維に樹脂を含浸して硬化した、例えば直径5〜15mmの円形のロッド(棒材)を使用しており、斯かるロッドは可撓性を有していないためロール巻にして運搬することはできず、例えば10m以上といった長尺のロッドの運搬は不可能か、又は、困難を伴なった。そこで、通常、ロッド長さは、車両での運搬可能な3〜4m程度とされる。従って、このようなロッドを使用した床版の補強において、3〜4mの長さのロッドを橋軸方向に配置する場合には、3、4mのロッドを重ね継手を設けながら設置することが必要とされる。既設床版コンクリート内に重ね継手部を設けるには、ロッドを設置する切削溝をずらして配置したり、或いは、溝幅を広くするなどの工夫が必要とされ、構造が複雑となることが余儀なくされる。更には、現状では、継手部の疲労強度も確認されていない。
そこで、本発明者らは、コンクリート床版のようなコンクリート構造物の補強方法を研究する過程において、補強材として、従来のような、炭素繊維等の強化繊維に樹脂を含浸して硬化した可撓性のないロッド(棒材)を使用するのではなく、可撓性を有する連続繊維補強材を使用することを想到し、多くの研究実験を重ねた結果、本発明を創案するに至った。
つまり、可撓性を有する連続繊維補強材であれば、運搬時にはロール形状とすることにより、25m以上、必要によっては、50m以上の長尺の補強材の使用が可能となり、重ね継手を必要とせずに橋軸方向に連続して設置することができる。また、可撓性を有する連続繊維補強材を用いることで、二方向に連続繊維補強材を配置する場合も、交差部で連続繊維補強材を押し潰して配置することが可能となり、従来の硬化した可撓性を有していないロッド(棒材)を使用する場合に比べて、連続繊維補強材を設置するための溝深さを浅くすることができる。本発明は、斯かる本発明者らの新規な知見に基づくものである。
本発明の主たる目的は、コンクリート構造物の表面の大部分を覆うことがなくコンクリート構造物表面が視認可能で、コンクリート構造物の劣化状況の視認及びコンクリート構造物内の滞水を防止することのできるコンクリート構造物の補強方法、斯かる補強方法にて補強されたコンクリート構造物、及び、斯かる補強方法に使用する可撓性連続繊維補強材を提供することである。
本発明の他の目的は、可撓性を有した連続繊維補強材を使用することにより、25m以上、必要により50m以上の長尺の補強材の使用が可能であり、そのため、重ね継手の必要を解消し、継手部の疲労強度の心配がなく、また、例え継手を設ける場合でもFRPロッドに比べて長尺の連続繊維補強材を用いることで、継手箇所数を少なくすることが可能で施工時間の短縮を図ることができ、更には、コンクリート構造物に形成する切削溝の深さを浅くすることができ、複雑な構造を必要とせず、コンクリートの表面が脆弱化している場合でも十分な効果が得られるコンクリート構造物の補強方法を提供することである。
更に、本発明の目的は、可撓性を有した連続繊維補強材を使用することにより、作業性、取り扱い性が著しく向上し、作業時間をも短縮することができるコンクリート構造物の補強方法を提供することである。
上記目的は本発明に係るコンクリート構造物の補強方法、コンクリート構造物及び可撓性連続繊維補強材にて達成される。
本発明の一態様によれば、コンクリート構造物の表面に細幅の線状の切削溝を少なくとも1本設け、
樹脂が含浸されていない可撓性のドライの連続繊維補強材であって、多数本の連続強化繊維にて形成される連続繊維線材を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃え、複数本の前記連続繊維線材は互いに線材固定材にて固定して、細長の帯状に形成された前記連続繊維補強材に樹脂を含浸して、幅方向に縮めたり、巻き込んだり、或いは、畳み込むことにより、幅方向に縮小して、前記切削溝に押し込んで設置し、前記樹脂を硬化することにより、前記樹脂が固着剤として機能して、前記連続繊維補強材を前記切削溝内に固着する、
ことを特徴とするコンクリート構造物の補強方法が提供される。
本発明の他の態様によれば、コンクリート構造物の表面に細幅の線状の切削溝を少なくとも1本設け、
前記切削溝内に固着剤を予め塗布し、
前記固着剤が硬化する前に、樹脂が含浸されていない可撓性のドライの連続繊維補強材であって、多数本の連続強化繊維にて形成される連続繊維線材を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃え、複数本の前記連続繊維線材は互いに線材固定材にて固定して、細長の帯状に形成された前記連続繊維補強材に樹脂を含浸して、幅方向に縮めたり、巻き込んだり、或いは、畳み込むことにより、幅方向に縮小して、前記固着剤が塗布された切削溝に押し込んで設置し、前記樹脂及び前記固着剤を硬化することにより、前記連続繊維補強材を前記切削溝内に固着する、
ことを特徴とするコンクリート構造物の補強方法が提供される。
上記本発明にて一実施態様によれば、前記樹脂は、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニールエステル樹脂、MMA樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、又は、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂;ナイロン、ポリアミド、PEEKなどの熱可塑性樹脂;又は、熱可塑性エポキシ樹脂である。
他の実施態様によれば、前記固着剤は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの熱硬化性樹脂;ナイロン、ポリアミド、PEEKなどの熱可塑性樹脂;或いは、熱可塑性エポキシ樹脂などの有機系材料、又は、セメントモルタル、膨張性セメントモルタル、ポリマーセメントモルタル、石膏などの無機系材料、又は、前記有機系材料及び前記無機系材料を混合した混合材料である。
他の実施態様によれば、前記強化繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、バサルト繊維などの無機繊維;アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維などの有機繊維;若しくは、鋼繊維、ステンレス繊維などの金属繊維のいずれかの一つの繊維、又は、これらの繊維を複数種類組み合わせたハイブリッド繊維である。
他の実施態様によれば、前記連続繊維補強材の樹脂含浸硬化後のヤング係数は、10GPa〜600GPaである。
他の実施態様によれば、前記コンクリート構造物は、コンクリート床版であり、
前記連続繊維補強材は、床版支間直角方向又は床版支間方向のいずれか一方向、又は、前記床版支間直角方向及び前記床版支間方向の両方向に設置される。
他の実施態様によれば、補強対象範囲の前記連続繊維補強材の樹脂含浸硬化後の一方向の引張剛性は、下記式で示される床版単位幅当りの引張剛性Sfが30〜100kN/mmとされる。
Sf=Af×Ef×nf
Af:1本当りの連続繊維補強材の公称断面積(mm
Ef:連続繊維補強材の材軸方向のヤング係数(GPa)
nf:連続繊維補強材の単位幅当たりの配置本数(本/mm)
本発明の他の態様によれば、上記いずれかに記載のコンクリート構造物の補強方法にて補強されたことを特徴とするコンクリート構造物が提供される。
本発明の更に他の態様によれば、上記いずれかに記載のコンクリート構造物の補強方法にて使用する連続繊維補強材であって、
多数本の連続強化繊維を有し、樹脂が含浸されていないドライ状態とされ可撓性を有することを特徴とする可撓性連続繊維補強材が提供される。
本発明によれば、コンクリート構造物の表面の大部分を覆うことがなくコンクリート構造物表面が視認可能で、コンクリート構造物の劣化状況の視認及びコンクリート構造物内の滞水を防止することができる。また、本発明は、可撓性を有した連続繊維補強材を使用することにより、25m以上、必要により50m以上の長尺の補強材の使用が可能であり、そのため、重ね継手の必要を解消し、継手部の疲労強度の心配がなく、また、例え継手を設ける場合でもFRPロッドに比べて長尺の連続繊維補強材を用いることで、継手箇所数を少なくすることが可能で施工時間の短縮を図ることができ、更には、可撓性を有した連続繊維補強材を使用することにより、コンクリート床版に形成する切削溝の深さを浅くすることができ、複雑な構造を必要とせず、コンクリートの表面が脆弱化している場合でも十分な効果を得ることができる。更に、本発明は、可撓性を有した連続繊維補強材を使用することにより、作業性、取り扱い性が著しく向上し、作業時間をも短縮することができる。
図1(a)は、コンクリート床版の概略構成を示す斜視図であり、図1(b)は、本発明の補強方法の一実施例により補強されたコンクリート床版の断面図であり、図1(c)は、コンクリート床版の連続繊維補強材が固着された切削溝部分の断面図である。 図2(a)〜(c)は、本発明の補強方法における連続繊維補強材の配置例を説明するためのコンクリート床版の下面の平面図である。 図3(a)〜(d)は、本発明の補強方法により補強されるコンクリート構造物の例を示す概略斜視図である。 図4(a)、(b)、(c)は、本発明の補強方法に使用する連続繊維補強材の実施例を示す斜視図である。 図5(a)、(b)は、本発明の補強方法に使用する連続繊維線材の実施例を示す斜視図である。 (a)〜(h)は、本発明の補強方法の一実施例を説明する工程図である。 (a)は、本発明の補強方法を実施するためのコンクリート構造物に形成される切削溝の実施例を示す断面図であり、図(b)、(c)は、帯状連続繊維補強材を幅方向に縮小したり、巻き込んで賦形する例を説明する図である。 (a)〜(h)は、本発明の補強方法の他の実施例を説明する工程図である。 (a)は、従来の棒状連続繊維補強材を使用したコンクリート構造物補強方法による補強材の交差部を説明する図であり、図(b)、(c)は、本発明による可撓性の連続繊維補強材を使用したコンクリート構造物補強方法による補強材の交差部を説明する図である。 10は、本発明の補強方法の他の実施例を説明するコンクリート構造物の断面図である。
以下、本発明に係るコンクリート構造物の補強方法、コンクリート構造物及び可撓性連続繊維補強材を図面に則して更に詳しく説明する。以下に説明する本実施例のコンクリート構造物の補強方法において、コンクリート構造物として道路橋の床版を例にとって説明するが、本発明の補強方法は、これに限定されるものではなく、梁、柱などの鉄筋コンクリート構造物にも広く適用し得るものである。
図1(a)に、本実施例のコンクリート構造物であるコンクリート床版1の概略構成を示す。コンクリート床版1の車両等が走行する上面1Aは舗装2が施され、下面1Bは車両等の進行方向(橋軸方向)に設置された主桁3にて橋脚4などに支持されている。図1(b)、(c)は、コンクリート床版1における床版支間方向、即ち、図1(a)にて橋軸方向に直交する方向に取ったコンクリート床版1の断面図を示す。図2(a)、(b)、(c)に、コンクリート床版1を補強するに際しての連続繊維補強材10の配置例を示す。
本発明に従ったコンクリート床版1の補強方法は、コンクリート床版下面1Bに細幅の線状とされる切削溝30を少なくとも1本、本実施例では、複数本設け、この切削溝30内に連続繊維補強材10を設置し、連続繊維補強材10を切削溝30内に固着剤40にて固着し、床版1に一体に固定する。
本発明の補強方法にて、連続繊維補強材10は、切削溝30内に設置される前は、図4(a)〜(c)などに記載されるように、例えば、一例を挙げれば、幅(W)、長さ(L)の細長の帯状とされる可撓性の連続繊維補強材であって、多数本の連続強化繊維fにて形成される連続繊維線材11を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃え、各連続繊維線材11は互いに線材固定材12にて固定された帯状連続繊維補強材10Sとされる。本実施例では、帯状連続繊維補強材10Sは、切削溝30の形状に適合するように幅方向に縮小して、即ち、所定断面形状に賦形されて切削溝30内に装入して設置される。本実施例では、帯状連続繊維補強材10Sとされる連続繊維補強材10は、固着剤40により切削溝30内に固着される。固着剤40は、樹脂などの有機系材料若しくはセメントモルタルなどの無機系材料、又は、これらの混合材料とすることができる。
図1(a)〜(c)、図2(a)〜(c)を参照して更に説明すると、コンクリート床版1は、鉄筋コンクリート(RC)にて作製され、図1(b)に示すように、床版コンクリート1aに埋設されて床版支間方向に主鉄筋100が配置され、主鉄筋100に直交する態様で、即ち、橋軸方向に配力鉄筋101が配置されている。通常、床版コンクリート1aの表面から所定のかぶり深さH0をもって主鉄筋100が配筋されている。従って、本発明に従ったコンクリート床版の補強方法によれば、コンクリート床版1の下面1Bに、且つ、主鉄筋100の下方部の、かぶり深さH0部分に切削溝30を形成し、該溝30内に適合するように、長手方向に直交する断面形状が所定形状に賦形された帯状連続繊維補強材10S、即ち、連続繊維補強材10が設置され、固着剤40にて溝30に固着される。補強方法のより具体的な説明は、後で詳述する。
図2(a)、(b)、(c)は、コンクリート床版1を図1(b)の下方から矢印A方向に見たコンクリート床版1の下面1Bを示す図であるが、本実施例のコンクリート床版の補強方法によれば、連続繊維補強材10は、床版支間直角方向(図1(b)、図2(a))若しくは床版支間方向(図2(b))のいずれか一方向、又は、床版支間直角方向及び床版支間方向の両方向(図2(c))に設置される。従って、上述のように、コンクリート床版1の下面1Bには、連続繊維補強材10を埋設して固着剤40にて固着するための切削溝30が、所望される連続繊維補強材10の配置態様に対応して、床版支間直角方向(図1(b)、図2(a))若しくは床版支間方向(図2(b))のいずれか一方向、又は、床版支間直角方向及び床版支間方向の両方向(図2(c))に形成される。
上述したように、本発明のコンクリート構造物の補強方法は、上記実施例にて説明した道路橋の床版の補強に限定されることはなく、梁、柱などの鉄筋コンクリート構造物の補強にも適用することができる。
つまり、図3(a)〜(c)は、本発明をコンクリート柱1に適用した例を示す。この場合には、コンクリート柱1の外表面に切削溝30が、柱の軸線方向(図3(a))、柱の軸線方向に直交する方向(図3(b))、或いは、螺旋状(図3(c))に、又は、これらを組み合せた態様(図示せず)にて形成され、該溝30に連続繊維補強材10を埋設して固着剤40にて固定される。また、図3(d)は、本発明をコンクリート梁1に適用した例を示す。この場合には、コンクリート梁1の、例えば上、下面1A、1B、或いは、側面1C、1Dなどに、切削溝30が形成され、該溝に連続繊維補強材10が埋設され、固着剤40にて固定される。
次に、図4(a)〜(c)、図5(a)、(b)を参照して、本発明の補強方法を実施するに際して使用する連続繊維補強材10について更に説明する。
(連続繊維補強材)
・具体例1
連続繊維補強材10は、一例によれば、切削溝30内に装入、設置される前は、図4(a)〜(c)などに示すように、細長の帯状とされる可撓性の連続繊維補強材10Sとされる。帯状連続繊維補強材10Sは、多数本の連続強化繊維fにて形成される連続繊維線材11を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃え、各連続繊維線材11は互いに線材固定材12にて一体に固定され、幅W、長さLとされる細長の帯形状に形成される。帯状連続繊維補強材10Sは、可撓性を有しており、ロール状としたり、或いは、折り畳むことにより運搬することができ、運搬上の制約がないことから帯状連続繊維補強材10Sの幅W及び長さLは、任意の寸法に製造することができ、使用に際して適宜切断される。通常、取り扱い上の点から幅Wは、50〜1000m、長さLは、10〜100mにて製造される。
次に、上記帯状連続繊維補強材10Sを更に詳しく説明する。
帯状連続繊維補強材10Sの一例によれば、連続繊維線材11は、図5(a)に示すように、多数本の連続した強化繊維(モノフィラメント)fを一方向に引き揃えて、或いは、必要に応じて緩く撚りをかけて収束した、樹脂未含浸の可撓性を有した連続繊維束11Aとされる。例えば、強化繊維として炭素繊維を使用した場合を例にとれば、例えば平均径7μmの単繊維(炭素繊維モノフィラメント)fを、例えば、1000本〜100000本、一般には、3000本〜60000本収束した樹脂未含浸の可撓性を有した連続繊維束11Aを使用することができる。
この連続繊維束11Aを複数本、図4(a)に示すように、長手方向にスダレ状に引き揃え、即ち、互いに空隙gだけ離間して引き揃えて、各連続繊維束11Aを互いに線材固定材12にて固定することにより、一体とされた可撓性を有する帯状連続繊維補強材10Sが作製される。このとき、各連続繊維束11A、11A間の空隙gは、限定されるものではないが、0.1〜50mmとされ、通常、製造上及び取り扱い上の点から、0.5〜5mmとされる。
各連続繊維束11Aを線材固定材12にて固定する方法としては、図4(a)に示すように、例えば、線材固定材12として横糸を使用し、一方向にスダレ状に配列された複数本の線材、即ち、連続繊維束11Aに対して直交して一定の間隔(Pc)にて打ち込み、編みつける方法を採用し得る。横糸の打込み間隔(Pc)は、特に制限されないが、作製された帯状連続繊維補強材10Sの取り扱い性を考慮して、通常10〜200mmの間隔の範囲で選定される。
このとき、横糸12は、例えば直径2〜50μmのガラス繊維或いは有機繊維を複数本束ねた糸条とされる。また、有機繊維としては、ナイロン、ビニロンなどが好適に使用される。
各連続繊維束11Aをスダレ状に固定する他の方法としては、図4(b)に示すように、線材固定材12として、例えば、粘着テープ又は接着テープなどとされる可撓性部材を使用することができる。可撓性部材12は、スダレ状に配列された複数本の連続繊維線材11、即ち、本例では連続繊維束11Aに対して直交して一定の間隔(Pc)にて、線材の片側面、又は、両面に張り付けて固定する。可撓性部材12は、幅(w1)が1〜30mm程度の、塩化ビニルテープ、紙テープ、布テープ、不織布テープなどの粘着テープ又は接着テープなどが使用される。
更に、各連続繊維束11Aをスダレ状に固定する他の方法としては、図4(c)に示すように、線材固定材12として、メッシュ状支持体シートを使用することもできる。メッシュ状の支持体シート12を構成する縦糸12a及び横糸12bの表面に低融点タイプの熱可塑性樹脂を予め含浸させておき、メッシュ状支持体シート12をスダレ状に配列した複数本の線材、即ち、連続繊維束11Aの片面或いは両面に積層して加熱加圧し、メッシュ状支持体シート12の縦糸12a及び横糸12bの部分を連続繊維束11Aに溶着する。
メッシュ状支持体シート12は、2軸構成のほかに、ガラス繊維を3軸に配向して形成したり、或いは、ガラス繊維を一方向に配列された炭素繊維に対して直交する横糸12bのみを配置した、所謂、1軸に配向して形成して前記スダレ状に配列した連続繊維束11Aに接着することもできる。
又、上記線材固定材12の糸条としては、例えばガラス繊維を芯部に有し、低融点の熱融着性ポリエステルをその周囲に配したような二重構造の複合繊維も又好ましく用いられる。
上記説明では、連続繊維線材11は、図5(a)に示すように、多数本の連続した強化繊維(モノフィラメント)fを一方向に引き揃えて、或いは、必要に応じて緩く撚りをかけて収束した、樹脂未含浸の可撓性を有した連続繊維束11Aであるとして説明したが、図5(b)に示すように、更にこの連続繊維束11Aに対し長手方向に沿ってカバーリング糸条13により束ねた連続繊維束11Amとすることもできる。
カバーリング糸条13としては、50デニールポリエステル繊維から成る糸条2本を使用して、編組編みでS巻き、Z巻きにてカバーリング糸条13a、13bが上下する方式にて連続繊維束11Aの外周囲に巻き付けることができる。カバーリングピッチPcは、例えば、連続繊維束11Aの長手方向10cm当たり巻付け回数25〜33回(図5(b)にてPc=3〜4mm)とすることができる。また、連続繊維束11Aの長手方向に沿って曲がりを発生せず、良好な直線性を得るために、カバーリング糸条13には、50〜80g/本の範囲の張力を与え、強化繊維、即ち、連続繊維束11Aには200g/本の張力を与えてカバーリングを行うのが好ましい。
カバーリング糸条13により束ねた連続繊維束11Amを使用して、図4(a)〜(c)で説明したと同様にして、連続繊維束11Amを固定材12にて一体とし、樹脂未含浸の、所謂、ドライの帯状連続繊維補強材10Sを作製することができる。
上記具体例1にて説明した連続繊維補強材10の強化繊維fは、炭素繊維、ガラス繊維、バサルト繊維などの無機繊維;アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維などの有機繊維;若しくは、鋼繊維、ステンレス繊維などの金属繊維のいずれかの一つの繊維、又は、これらの繊維を複数種類組み合わせたハイブリッド繊維とすることができる。
本発明にて使用される連続繊維補強材10にて形成されるFRP材としては、好ましくは、強化繊維fとして炭素繊維を使用した高強度型CFRPであるが、これに限らず高弾性型CFRPや、強化繊維fとしてアラミド繊維を使用したAFRP、ガラス繊維を使用したGFRP、バサルト繊維を使用したBFRP、などが使用でき、そのヤング係数としては10GPa〜600GPaが好適である。
また、上記具体例にて説明したプリプレグ状態の連続繊維補強材10に含浸されるマトリックス樹脂Rとしては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの熱硬化性樹脂;ナイロン、ポリアミド、PEEKなどの熱可塑性樹脂;又は、熱可塑性エポキシ樹脂などが利用できる。樹脂含有量は、20〜75重量%とされるが、好ましくは、40〜60重量%である。
(補強方法)
上記説明にて理解されるように、本発明のコンクリート構造物の補強方法によれば、コンクリート構造物1の表面に形成された細幅の線状の切削溝30に設置された、多数本の連続強化繊維fと未硬化の樹脂Rとを有する可撓性の連続繊維補強材10が、切削溝30内にて樹脂Rを硬化する。同時に、切削溝30内にて硬化されたFRP材とされる連続繊維補強材10が固着剤40により切削溝30内に固定され、これにより、FRP材とされる連続繊維補強材10がコンクリート構造物に一体に固定され、コンクリート構造物の補強が達成される。
次に、本発明に係るコンクリート構造物の補強方法を実施例に即して更に具体的に説明する。
実施例1
本発明の補強方法の一実施例として、上記具体例1で説明した、連続繊維線材11として連続繊維束11A(或いは連続繊維束11Am)を有する帯状連続繊維補強材10Sを使用した場合のコンクリート床版の補強方法について説明する。
本実施例によれば、帯状連続繊維補強材10Sの連続繊維線材11である樹脂未含浸の可撓性の連続繊維線材11に樹脂Rを含浸させて、樹脂Rが未硬化の状態で、図(b)に示すように、この帯状連続繊維補強材10Sを幅方向に縮小して切削溝30内に押し込み装入して設置される。次いで、溝30内に設置された連続繊維補強材10の含浸樹脂Rを硬化する。このとき、含浸樹脂Rは固着剤40として作用し、樹脂Rを硬化することによって、FRP(繊維強化プラスチック)材とされた連続繊維補強材10は、切削溝30内に固着され、床版1に一体に固定される。
更に、図(a)〜(h)を参照して詳しく説明すると、本実施例のコンクリート床版の補強方法によれば、図(a)に示すように、先ず、コンクリート床版1の下面1Bに、所望に応じて、図2(a)、(b)、(c)にて説明した何れかの態様にて切削溝30が形成される。切削溝30は、ダイヤモンドカッター或いはウォータージェットなどを利用して、所定のピッチPにて形成される。ピッチPは、50〜500mm、通常、100〜300mmの範囲の所定の値とされる。また、切削溝30の断面形状は、図(a)の(a−1)〜(a−4)に示すように、正方形若しくは長方形である矩形状、半円形状、半楕円形状など任意の形状とすることができる。ただ、図(a)にて、床版1のかぶり深さH0は、一般には、20〜50mm程度とされるので、通常、切削溝30は、幅(W1)及び深さ(H1)が、それぞれ、5〜50mmとされる。一例を挙げれば、例えば、切削溝30は、その幅(W1)及び深さ(H1)が、各々15mmの正方形とされ、ピッチPは125mmとすることができる。この場合、上述したように、連続繊維補強材10は、例えば、図4(a)に示す帯状連続繊維補強材10Sの構成とすることができ、強化繊維として炭素繊維を使用した場合、平均径7μmの単繊維(炭素繊維モノフィラメント)fを24000本収束した連続繊維束11A、或いは、更にカバーリング糸条を有する連続繊維束11Amを、互いに5mm離間してスダレ状に72本配列したものを使用することができる。
次に、図(b)にて、図(a)の工程にて切削した溝30内にプライマーPm、例えば、エポキシ樹脂プライマーを塗布する。ただ、プライマーPmは必ずしも必要とするものではない。
本実施例にて使用される図4(a)に示す構成の樹脂未含浸の、所謂、ドライの帯状連続繊維補強材10Sは、樹脂Rが注がれた容器内に浸漬して樹脂Rを含浸させた後、図(b)、(c)に示すように、例えば、先端部(図(b)の左側端部)より順次、幅方向に縮小して、即ち、例えば、幅方向に縮めたり(図(b))、巻き込んだり(図(c))、或いは、図示してはいないが、長手方向に沿って折り返しながら畳み込むことなどにより、切削溝30内に適合するような形状へと賦形される。樹脂含浸は、上述したように、例えば、樹脂が満たされた容器内に連続繊維補強材を浸漬し、ローラで脱泡することで行うことができるが、これに限定されるものではなく任意の方法を採用し得る。連続繊維補強材10における樹脂含有量は、20〜75重量%、好ましくは、40〜60重量%とされる。
所定形状へと賦形され且つ樹脂含浸された連続繊維補強材10は、樹脂未硬化の状態で先端部より順次切削溝30内に装入して設置される(図(c)、(d))。このとき、連続繊維補強材10は、切削溝30の外側より押入することにより、切削溝30内に、且つ、切削溝30の断面形状に倣って、即ち、断面形状に適合した状態で密着して装入、設置される。連続繊維補強材10に含浸された樹脂R、即ち、マトリクス樹脂としては、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニールエステル樹脂、MMA樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、又は、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂;ナイロン、ポリアミド、PEEKなどの熱可塑性樹脂;又は、熱可塑性エポキシ樹脂などを使用し得る。好適には、常温硬化型液状樹脂を使用し、切削溝30内に設置した後、常温にて硬化させるか、又は、熱硬化型液状樹脂を使用し、切削溝30内に設置した後、加熱して硬化させることも可能である。これにより、連続繊維補強材10の含浸樹脂が硬化すると共に、連続繊維補強材10が切削溝30内に固着する。本実施例では、連続繊維補強材10に含浸された樹脂R、即ち、マトリクス樹脂が、固着剤40として作用する。
なお、その後必要に応じて、図(e)に示すように、溝30の外側から連続繊維補強材10に固着剤40を塗布して空隙を充填することができる。その後、図(f)に示すように、固着剤40の表面がコンクリート表面1Bと概ね同一平面となるようにコテ仕上げを行う。固着剤40としては、上述したように、樹脂などの有機系材料若しくはセメントモルタルなどの無機系材料、又は、これらの混合材料を使用し得るが、連続繊維補強材10に含浸した上記樹脂Rと同じ樹脂を使用することができる。但し、粘性が大とされたパテ状樹脂を使用するのが好ましい。
次に、図(g)に示すように、固着剤40が硬化した後、耐候性を向上させるため固着剤の表面に保護塗装41を施すことができる。保護塗装41としては、例えば、アクリル系塗料を塗布することができる。
更に、必要に応じて、図(h)に示すように、ASR或いは凍害によるコンクリートの劣化を抑制する目的で、連続繊維補強材10による補強前に(即ち、上記図(a)の工程を実施する前に、又は、補強後に(即ち、上記図(g)の工程を実施した後に)、コンクリートの表面処理工法として、撥水剤(たとえば、シラン系撥水剤)塗布や、含浸剤(例えば、亜硝酸リチウム)圧入などのコンクリート表面保護工42を行うことができる。
実施例2
本発明の第二の実施例を図(a)〜(h)を参照して説明する。本実施例は、上記図(a)〜(h)に示す補強方法とは、図(c)、(d)に対応する工程である図(c)、(d)に示す工程において異なり、その他の工程は同じである。
つまり、上記実施例1では、切削溝30内に、所定形状へと賦形された樹脂含浸済みの連続繊維補強材10が押し込んで装入設置されるものであった(図(c)、(d))。これに対して、本実施例2では、図(c)に示すように、切削溝30内には、予め、固着剤40が充填されている。
固着剤40の溝30への充填方法としては、固着剤40をコテで塗布する方法、スタティックミキサーノズルを備えたカートリッジガンのノズルから充填する方法、撹拌した固着剤40をポンプから送り出しホースから充填する方法などがある。
本実施例にて使用される帯状連続繊維補強材10Sは、実施例1の場合と同様に、図(b)、(c)に示すように、例えば、先端部より順次、幅方向に縮小して、即ち、例えば、幅方向に縮めたり、巻き込んだり、或いは、畳み込むことにより、切削溝30内に適合するような形状へと賦形され、樹脂Rが含浸される。
次いで、所定形状へと賦形された樹脂含浸、未硬化の連続繊維補強材10は、固着剤40が充填された切削溝30内に、固着剤40が硬化する前に、装入して設置される(図(c)、(d))。このとき、連続繊維補強材10は、外側より押入することにより、切削溝30内に、且つ、切削溝30の断面形状に倣って、即ち、断面形状に適合した状態で密着して装入、設置される。次いで、切削溝30内の固着剤40が硬化して連続繊維補強材10を溝30内に固着する。なお、表面から加熱することにより連続繊維補強材10を硬化させることもできる。
本実施例にて、固着剤40は、上述した材料を使用し得るが、連続繊維補強材10のマトリクス樹脂と同様の樹脂Rが好適に使用される。ただ、樹脂は、塗布後において垂れない程度の粘度を有した樹脂が好適に使用される。樹脂粘度としては、例えば、その粘度が23℃において50000〜5000000mPa・secの範囲にあり、チクソトロピックインデックスが4〜7の範囲とすることができる。
その後、実施例1の図(e)〜(h)に示す工程と同じ工程である図(e)〜(h)に示す工程を実施することができる。
以上、実施例1、2を参照して説明したコンクリート床版補強方法によれば、切削溝30内には1本の連続繊維補強材10が配置されるものとして説明したが、複数本の連続繊維補強材10を配置することも可能である。
なお、本発明の補強方法にて補強対象範囲の連続繊維補強材10の一方向の引張剛性は、下記式で示される床版単位幅当りの引張剛性Sfが30〜100kN/mmとされる。
Sf=Af×Ef×nf
Af:1本当りの連続繊維補強材の公称断面積(mm
Ef:連続繊維補強材の材軸方向のヤング係数(GPa)
nf:連続繊維補強材の単位幅当たりの配置本数(本/mm)
また、上記実施例1、2においては、連続繊維補強材10は、図2(a)、(b)に示すように、コンクリート構造物である床版支間直角方向、或いは、床版支間方向に沿って配置される実施態様について説明したが、連続繊維補強材10は、図2(c)に示すように、床版支間直角方向及び床版支間方向の両方に沿って配置することもできる。勿論、コンクリート床版以外のコンクリート構造物、例えば、図3に示すコンクリート柱、或いは、梁などにおいても同様に、柱或いは梁の長手方向、及び、柱或いは梁の長手方向に直交する方向において連続繊維補強材10を配置することができる。なお、コンクリート柱の場合は、図3(c)に示すように、切削溝30を螺旋状に形成し、この溝30に連続繊維補強材10を設置することができることは上述の通りである。
コンクリート床版を例にとって説明すれば、図(a)は、従来の棒状連続繊維補強材10PR(10PRA、10PRB)を使用した比較例を示すものであるが、この例に示すように、切削溝30(30A、30B)は、図(a)に示すように、かぶり深さH0の範囲内において、例えば、床版支間直角方向に切削された切削溝30Aと、床版支間方向に切削される切削溝30Bとを高さ方向において異ならせて切削する。ここで、床版支間直角方向に切削された切削溝30Aに棒状連続繊維補強材10PRAを配置し、次いで、床版支間方向に切削された切削溝30Bに棒状連続繊維補強材10PRBが配置されるものとする。従って、棒状連続繊維補強材10PRA、10PRBを配置するためには、例えば、床版支間直角方向の溝30Aは、その深さH1Aが床板下面1B側から略かぶり深さH0(H1A≒H0)にて切削され、一方、床版支間方向の溝30Bは、その深さH1Bがかぶり深さH0の半分の深さ(H1B≒H0×1/2)にて切削する必要がある。
これに対して、図(b)、(c)に示す本発明の一実施例によれば、従来と同様に、かぶり深さH0の範囲内において、例えば、床版支間直角方向に切削された切削溝30Aと、床版支間方向に切削される切削溝30Bとを高さ方向においてずらして切削するとしても、各切削溝30A、30Bに設置される連続繊維材10A、10Bは可撓性を有しており、溝30内に設置された後においても圧縮変形することが可能とされる。従って、図(b)、(c)に示す連続繊維材10A、10Bの交差部10ISにおいては、少なくとも交差部10IS領域の溝幅を若干広幅に形成することにより、連続繊維材10A、10Bの交差部を圧縮することにより、その厚さを薄くすることができる。従って、例え床版支間方向の溝30Bの深さH2Bをかぶり深さH0の半分の深さ(H2B≒H0×1/2)にて切削したとしても、床版支間直角方向の溝30Aは、その深さH2Aが床板下面1B側から略かぶり深さH0より下方にて切削することができ、即ち、H2A<H1Aとされ、溝深さを浅くすることが可能とされ、作業の効率を向上させることができる。
更に、本発明によれば、可撓性の連続繊維束11Aとされる連続繊維線材11にて形成される連続繊維補強材10は可撓性を有している。従って、図10に示すように、床版下面1Bの不陸が大きい場合には、切削溝30に、上述したような可撓性の連続繊維補強材10を配置することにより、床版形状に合わせた連続繊維補強材10の配置が容易に達成でき、コンクリート構造物の補強を有効且つ容易に行うことが可能である。
性能試験
本発明の補強方法が実施されたコンクリート床版の性能を検討するために、以下の実験を行った。
上記具体例1で説明した帯状連続繊維補強材10Sを使用し、上記実施例1で説明した手順にてコンクリート床版の補強を行った。使用した帯状連続繊維補強材10Sの仕様等は次の通りであった。
連続繊維束(11A)
強化繊維:高強度型炭素繊維
繊維の平均径:7μm
繊維の集束本数:24000本
連続繊維束の本数:48本
連続繊維束間空隙(g):5.3mm
帯状連続繊維補強材(10S):幅(W)250mm、長さ(L)25m
樹脂含浸後の連続繊維補強材(10)
樹脂R(固着剤40):エポキシ樹脂
樹脂含浸量:25重量%
連続繊維補強材(10)の公称外径(d):15mm
ロッドの公称断面積(Af):176mm
ヤング係数(Ef):60GPa
引張強度:850N/mm
上記連続繊維補強材10を設置するために、図(a)にて幅(W1)15mm、深さ(H1)15mmとされる断面形状が正方形の切削溝30を、図1(b)、図2(a)などに示すように、コンクリート床版1の下面1Bの床版支間直角方向(橋軸方向)にピッチP=125mmにて、ダイヤモンドカッターで切削して形成した。
上記寸法の帯状連続繊維補強材10Sを先端部より縮小しながら賦形し、マトリクス樹脂Rとしての2液混合常温硬化型のパテ状エポキシ樹脂を賦形した連続繊維補強材10にハケ塗りしながら含浸させ、先端部より順次切削溝30に押圧しながら装入し、設置した。斯かる作業は、帯状連続繊維補強材10Sの取扱いが容易であり、作業性が極めて良好であった。その後、6時間放置することにより、樹脂が硬化し、樹脂Rが固着剤40としても機能し、FRP材とされる連続繊維補強材10が切削溝30内に固着され、連続繊維補強材10が床版1に一体に固定された。
斯かる構成にて補強したコンクリート床版1の単位幅当たりの引張剛性Sfは下記となる。なお、nf=1/Pである。従って、
Sf=Ef×Af/P=84.5kN/mm
このことより、本発明の補強方法によると、コンクリート床板に対する十分な補強効果が達成されることが分かった。
(本発明の補強方法の作用効果)
上述のように実施される本発明の作用効果について纏めて説明すれば、次の通りである。
本発明のコンクリート構造物の補強方法は、細幅の溝内に連続繊維補強材を設置固定する工法であり、補強後も補強材の設置面積が少なく広範なコンクリート表面が露出しているため表面状態の視認が容易でコンクリート構造物内の水分が容易に排出され滞水の虞がない。また、コンクリート面の下地処理面積が少なく、補強材の設置面積が少ないため工期短縮及び工費の低減が図れ、コンクリート内に設けた溝の内に連続繊維補強材が強固に固定されるためコンクリートの表層が脆弱化している構造物に対しても高い補強効果を得ることができる。
コンクリート構造物の疲労劣化は、例えばコンクリート床版を例にとれば、床版支間方向に発生したコンクリートのひび割れが下面から上面に貫通し梁状化した後に加速されることから、ASRなどにより貫通ひび割れが発生すると床版の劣化は促進される。従って、梁状化した床版の下面に床版支間直角方向に連続繊維補強材を固定することで、床版の連続性が回復され疲労耐久性を向上させることが可能である。連続繊維補強材の配置方向は、主たるひび割れ方向に直交する1方向とすることも、床版支間直角方向及び床版支間方向の2方向とすることもできる。
本発明では、例えば、連続繊維補強材10としての帯状連続繊維補強材10Sは、可撓性を有し、幅方向に容易に縮小して切削溝に装入設置することが極めて作業性良く行うことができる。また、使用する連続繊維補強材11が硬化前において可撓性を有し、横断面方向に圧縮可能とされ、そのため、切削溝の深さを浅くすることができ、従って、床版の既設鉄筋のかぶり深さ以内とすることで既設鉄筋の損傷を防ぐことができる。
また、コンクリート構造物表面の不陸が大きい場合には、可撓性の連続繊維補強材を配置した後に固着剤又は連続繊維補強材のマトリックス樹脂を硬化させることで構造物の形状に合わせて連続繊維補強材を容易に配置することができる。
連続繊維シート接着工法や鋼板接着工法では、接着強度を確保するために補強材とコンクリートの接着面に撥水剤や含浸材などのコンクリートの表面保護工を併用することが困難であったが、本発明では補強材がコンクリート内部に埋め込まれるため、コンクリートの表面にASRや凍害に対するシラン系撥水剤や亜硝酸リチウム圧入などのコンクリート表面保護工を併用することが可能であり、例えばコンクリート床版においては、輪荷重による疲労のみならずASRや凍害などとの複合劣化を生じたRC床版に対しても有効である。
本発明では、コンクリート構造物に形成した溝内に連続繊維補強材が強固に固定されることから、連続繊維補強材を必ずしも2方向に配置せずに1方向に配置しただけでも所要の構造物の延命効果を得ることができる。また1方向当たりの引張剛性が45kN/mmより少ない場合でも補強効果が得られる。従来の連続繊維シート接着工法やFRPプレート接着工法では連続繊維補強材の引張剛性が過大となると接着面の付着せん断応力が過大となり剥離疲労が早期に進展するため補強量に上限があったが、本発明では補強材が溝内に埋め込まれているため剥離が発生しないため、従来の接着工法よりも引張剛性が高い100kN/mm程度まで連続繊維補強材を使用することが可能でより高い構造物の延命効果を得ることができる。
1 コンクリート床版(コンクリート構造物)
1a 床版コンクリート
2 舗装
3 主桁
10 連続繊維補強材
10S 帯状連続繊維補強材
11 連続繊維線材
11A 連続繊維束
30 切削溝
40 固着剤
100 主鉄筋
101 配力鉄筋

Claims (10)

  1. コンクリート構造物の表面に細幅の線状の切削溝を少なくとも1本設け、
    樹脂が含浸されていない可撓性のドライの連続繊維補強材であって、多数本の連続強化繊維にて形成される連続繊維線材を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃え、複数本の前記連続繊維線材は互いに線材固定材にて固定して、細長の帯状に形成された前記連続繊維補強材に樹脂を含浸して、幅方向に縮めたり、巻き込んだり、或いは、畳み込むことにより、幅方向に縮小して、前記切削溝に押し込んで設置し、前記樹脂を硬化することにより、前記樹脂が固着剤として機能して、前記連続繊維補強材を前記切削溝内に固着する、
    ことを特徴とするコンクリート構造物の補強方法。
  2. コンクリート構造物の表面に細幅の線状の切削溝を少なくとも1本設け、
    前記切削溝内に固着剤を予め塗布し、
    前記固着剤が硬化する前に、樹脂が含浸されていない可撓性のドライの連続繊維補強材であって、多数本の連続強化繊維にて形成される連続繊維線材を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃え、複数本の前記連続繊維線材は互いに線材固定材にて固定して、細長の帯状に形成された前記連続繊維補強材に樹脂を含浸して、幅方向に縮めたり、巻き込んだり、或いは、畳み込むことにより、幅方向に縮小して、前記固着剤が塗布された切削溝に押し込んで設置し、前記樹脂及び前記固着剤を硬化することにより、前記連続繊維補強材を前記切削溝内に固着する、
    ことを特徴とするコンクリート構造物の補強方法。
  3. 前記樹脂は、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニールエステル樹脂、MMA樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、又は、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂;ナイロン、ポリアミド、PEEKなどの熱可塑性樹脂;又は、熱可塑性エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンクリート構造物の補強方法。
  4. 前記固着剤は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの熱硬化性樹脂;ナイロン、ポリアミド、PEEKなどの熱可塑性樹脂;或いは、熱可塑性エポキシ樹脂などの有機系材料、又は、セメントモルタル、膨張性セメントモルタル、ポリマーセメントモルタル、石膏などの無機系材料、又は、前記有機系材料及び前記無機系材料を混合した混合材料であることを特徴とする請求項に記載のコンクリート構造物の補強方法。
  5. 前記強化繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、バサルト繊維などの無機繊維;アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維などの有機繊維;若しくは、鋼繊維、ステンレス繊維などの金属繊維のいずれかの一つの繊維、又は、これらの繊維を複数種類組み合わせたハイブリッド繊維であることを特徴とする請求項1〜のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の補強方法。
  6. 前記連続繊維補強材の樹脂含浸硬化後のヤング係数は、10GPa〜600GPaであることを特徴とする請求項1〜のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の補強方法。
  7. 前記コンクリート構造物は、コンクリート床版であり、
    前記連続繊維補強材は、床版支間直角方向又は床版支間方向のいずれか一方向、又は、前記床版支間直角方向及び前記床版支間方向の両方向に設置されることを特徴とする請求項1〜のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の補強方法。
  8. 補強対象範囲の前記連続繊維補強材の樹脂含浸硬化後の一方向の引張剛性は、下記式で示される床版単位幅当りの引張剛性Sfが30〜100kN/mmとされることを特徴とする請求項に記載のコンクリート構造物の補強方法。
    Sf=Af×Ef×nf
    Af:1本当りの連続繊維補強材の公称断面積(mm
    Ef:連続繊維補強材の材軸方向のヤング係数(GPa)
    nf:連続繊維補強材の単位幅当たりの配置本数(本/mm)
  9. 請求項1〜のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の補強方法にて補強されたことを特徴とするコンクリート構造物。
  10. 請求項1〜のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の補強方法にて使用する連続繊維補強材であって、
    多数本の連続強化繊維を有し、樹脂が含浸されていないドライ状態とされ可撓性を有することを特徴とする可撓性連続繊維補強材。
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