JP2003176508A - コンクリート構造物のfrp補強工法 - Google Patents

コンクリート構造物のfrp補強工法

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JP2003176508A
JP2003176508A JP2001375939A JP2001375939A JP2003176508A JP 2003176508 A JP2003176508 A JP 2003176508A JP 2001375939 A JP2001375939 A JP 2001375939A JP 2001375939 A JP2001375939 A JP 2001375939A JP 2003176508 A JP2003176508 A JP 2003176508A
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Sanehiro Kube
修弘 久部
Kensuke Taniki
謙介 谷木
Mitsuharu Tezuka
光晴 手塚
Shoichi Sato
正一 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンクリート構造物を補強するためのコンク
リート構造物のFRP補強工法であって、施工が容易で
且つ工期を短縮でき、しかも、工事費を十分に低減で
き、そして、高強度化および疲労耐久性の向上を十分に
図ることが出来るコンクリート構造物のFRP補強工法
を提供する。 【解決手段】 コンクリート構造物のFRP補強工法
は、鉄筋(2)が露出しない深さでコンクリート(1)
の表層部をはつり、次いで、弾性率が100〜1000
GPaの繊維から成る繊維強化プラスチック製補強筋を
追加補強筋(4)としてはつり部分(3)に配置した
後、樹脂モルタル(5)を打設してコンクリート(1)
の表層部を復元する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート構造
物のFRP補強工法に関するものであり、詳しくは、高
弾性率の繊維強化プラスチック製補強筋によって補強す
ることにより、高強度化および疲労耐久性の向上を図っ
たコンクリート構造物のFRP補強工法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】例えば、道路橋鉄筋コンクリート床版に
おいては、活荷重の変更、あるいは、実際の通行車両の
大型化、通行量の増加による疲労損傷を防止するため、
補強筋の補充による補強が必要とされる。道路橋床版な
どのコンクリート構造物の補強においては、通常、鉄筋
が完全に露出する深さまでコンクリート表面をはつった
後、既存の鉄筋に添わせて追加の補強筋を配置し、そし
て、はつり(削り)部分をコンクリートで埋め戻してい
る。
【0003】これに対し、コンクリート構造物に対する
昨今の補強工法では、軽量で施工性に優れ、しかも、耐
久性に優れた繊維強化プラスチック製の補強筋が補充用
の補強筋として使用される傾向にある。また、コンクリ
ート構造物の補修などにおいては、工期を短縮する観点
から、補修部分に樹脂モルタルも使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、道路橋床版
などの補強は、コンクリート表面からのはつり代が深い
ため、工期が長く、また、修復施工にて上記の樹脂モル
タルを使用せんとすると、多くの量が必要となり、工事
費が極めて高くなる。一方、工期を短縮し、工事費を低
減するには、補強部分のはつり代を浅くすることもこと
も考えられるが、はつり代を浅くした場合には、補修後
の樹脂モルタル(マトリックス)の厚さも薄く、実際、
その変形のために使用に耐えられない。
【0005】本発明は、上記の実情に鑑みなされたもの
であり、その目的は、鉄筋が埋設されたコンクリート構
造物を補強するためのコンクリート構造物のFRP補強
工法であって、施工が容易で且つ工期を短縮でき、しか
も、工事費を十分に低減でき、そして、高強度化および
疲労耐久性の向上を十分に図ることが出来るコンクリー
ト構造物のFRP補強工法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明においては、コン
クリートの表層部に補強筋を配置することによりコンク
リート構造物を補強するにあたり、工期を短縮するため
にはつり代を浅くし、これにより、高級であるが施工容
易な樹脂モルタルをマトリックスとして使用する。そし
て、はつり代の深さを浅くすることによる樹脂モルタル
の変形を特定の弾性率の繊維強化プラスチック製補強筋
によって防止する。
【0007】すなわち、本発明の要旨は、鉄筋が埋設さ
れたコンクリート構造物を補強するためのコンクリート
構造物のFRP補強工法であって、鉄筋が露出しない深
さでコンクリート(1)の表層部をはつり、次いで、弾
性率が100〜1000GPaの繊維から成る繊維強化
プラスチック製補強筋を追加補強筋としてはつり部分に
配置した後、当該はつり部分に樹脂モルタルを打設して
前記の表層部を復元することを特徴とするコンクリート
構造物のFRP補強工法に存する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に係るコンクリート構造物
のFRP補強工法の一実施形態を図面に基づいて説明す
る。図1は、本発明に係るコンクリート構造物のFRP
補強工法の適用例としての道路橋床版の一部を示す平面
図であり、分図(b)は、分図(a)におけるA部の拡
大図である。図2は、コンクリート構造物のFRP補強
工法による補強構造を図1中のII−II線に沿って破断し
て示す部分的な縦断面図であり、図3は、コンクリート
構造物のFRP補強工法による補強構造を図1中のIII
−III線に沿って破断して示す部分的な縦断面図であ
る。以下、実施形態の説明においては、コンクリート構
造物のFRP補強工法を「補強工法」と略記する。
【0009】本発明の補強工法は、鉄筋が埋設された種
々のコンクリート構造物、典型的には道路橋鉄筋コンク
リート床版などのコンクリート構造物を補強するための
補強工法であり、斯かる補強工法は、活荷重の変更、通
行車両の大型化、通行量の増加などに対応するための道
路橋床版の補強において、工期を短縮でき、工事費を十
分に低減できる。本発明の補強工法は、図1(a)に示
す様に、例えば、道路橋床版の橋軸と平行な路側帯部分
に適用される。図1に示す道路橋床版においては、矢印
の方向が車輌の走行方向である。
【0010】本発明の補強工法によって道路橋床版を補
強するには、先ず、図2及び図3に示す様に、補強すべ
き路側帯部分に対し、鉄筋(2)が露出しない深さでコ
ンクリート(1)の表層部をはつる。すなわち、コンク
リート(1)の表面を浅くはつる。はつり代は、埋設す
る後述の追加補強筋(4)の太さ、および、既存の鉄筋
(2)の深さにもよるが、通常は10〜25mm程度で
ある。また、片方の路側帯補強部分におけるはつり幅
(橋軸に直交する方向のはつり長さ)は、橋幅の10〜
20%程度に相当する長さとされる。
【0011】上記の様にコンクリート(1)の表層部を
はつった後は、図1(b)〜図3に示す様に、はつり部
分(3)に対し、追加補強筋(4)として繊維強化プラ
スチック製の棒状の補強筋を配置する。追加補強筋
(4)は、例えば、橋幅方向に沿わせて配置し、その配
列ピッチは、追加補強筋(4)の断面積にもよるが、鉄
筋(2)の配列ピッチと同様に、通常は100〜300
mm程度とされる。
【0012】本発明においては、鉄筋(2)の強度を補
完し且つ後述の樹脂モルタル(5)の変形を防止するた
め、追加補強筋(4)としては、弾性率が100〜10
00GPa、好ましくは400〜1000GPaであっ
て且つ補強筋の長さ方向に引き揃えられた連続繊維から
成る繊維強化プラスチック製の補強筋を使用することが
重要である。上記の弾性率の連続繊維を使用した場合、
補強筋そのものの弾性率は、65〜650GPa、好ま
しくは260〜650GPaである。
【0013】補強繊維の弾性率を上記の範囲に規定する
理由は次の通りである。すなわち、弾性率が100GP
a未満の場合は、構成される補強筋が柔軟になるため、
はつり部分に打設される後述の樹脂モルタルの変形を十
分に防止できず、樹脂モルタルに亀裂を生じる場合があ
る。一方、弾性率が1000GPaを越える場合は、構
成される補強筋としての引張強度が不足する。上記の高
弾性の繊維としては、特に限定されるものではないが、
炭素繊維が好適に使用される。
【0014】なお、上記の繊維強化プラスチックを形成
するためのマトリックス樹脂としては、エポキシ樹脂、
フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シアネート
樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。また、繊維強化
プラスチックの製造方法としては、補強繊維を一方向に
引き揃え、これらの繊維に未硬化のマトリックス樹脂を
含浸してプリプレグを形成した後、斯かるプリプレグを
マンドレルに積層捲回して硬化するシートワインド法、
補強繊維を樹脂に含浸しながら直接マンドレルに捲回し
て硬化するフィラメントワインド法、補強繊維に樹脂を
含浸して連続的に金型で硬化する引き抜き成形法などが
挙げられる。
【0015】追加補強筋(4)の断面形状は、図示する
様な円形の他、楕円形、方形などの種々の形状に設計可
能である。追加補強筋(4)の太さは、前述の配列ピッ
チ等を勘案して決定されるが、通常、円形断面の場合で
5〜15mm程度とされる。
【0016】本発明においては、上記の様にはつり部分
(3)に追加補強筋(4)を配置した後、図2及び図3
に示す様に、既存のコンクリート(1)の表面と面一
に、すなわち、コンクリート(1)のはつっていない部
位の表面と同一面となる様に、はつり部分(3)に樹脂
モルタル(5)を打設する。これにより、床版のコンク
リート(1)の表層部を復元する。通常、追加補強筋
(4)に対する表面側の樹脂モルタル(5)の被覆厚さ
(かぶり)は5〜10mm程度である。
【0017】樹脂モルタル(5)としては、特許第31
87753号、特許第3165590号の各公報などに
開示されている公知の各種樹脂モルタルを使用すること
が出来る。樹脂モルタルは、セメントを含む微粒子及び
珪石粉を混合した骨材としての粉末成分と、バインダと
しての接着剤系樹脂とから成る組成物であり、短時間に
強度が得られ、硬化までの時間制御が可能であり、しか
も、硬化した際の体積変化が少ないなどの優れた特性を
有する。
【0018】上記の様な樹脂モルタルは、例えば、次の
様にして調製される。すなわち、先ず、水分散可能な変
性ポリアミドアミン及び/またはポリアミンの存在下、
液状のビスフェノールA型又はビスフェノールA/F型
のエポキシ樹脂を水に乳化させてエポキシ樹脂エマルシ
ョンとなし、次いで、このエポキシ樹脂エマルション
に、セメント、珪砂、その他の骨材、充填材などが含ま
れる粉末成分を配合する。上記の骨材としては、粒度5
0〜500μ程度の人工または天然の粒子が使用され、
充填材としては、鉱物繊維、ベントナイト等が使用され
る。また、増粘剤などの各種添加剤が必要に応じて配合
される。
【0019】上記の様に、樹脂モルタル(5)によって
床版のコンクリート(1)の表層部を復元した後は、図
3に示す様に、通常の施工仕様に従って、床版の表面に
防水層(6)及びアスファルト層(7)を付設すること
により路面を構成する。施工後の樹脂モルタル(5)の
表面は、既存のはつっていない部分のコンクリート
(1)表面と略同等の付着性を発揮するため、防水層
(6)やアスファルト層(7)の施工が容易である。
【0020】本発明の補強工法においては、上記の様
に、特定の弾性率の繊維から成る繊維強化プラスチック
製補強筋を追加補強筋(4)として使用するため、施工
後の樹脂モルタル(5)の変形や亀裂の発生を有効に防
止できる。すなわち、樹脂モルタルの弾性率は、一般的
にはバインダ樹脂の弾性率が小さいためにコンクリート
の弾性率の1/10程度であり、補強部分(はつり部
分)に樹脂モルタルを使用せんとした場合、樹脂モルタ
ルの変形や亀裂を防止するには、十分な厚さで打設しな
ければならない。これに対し、本発明においては、樹脂
モルタル(5)に埋設する追加補強筋(4)として高弾
性の繊維から成る繊維強化プラスチック製補強筋を適用
したことにより、樹脂モルタル(5)の薄くしたことに
よる変形などを防止している。
【0021】また、本発明の補強工法においては、はつ
り部分(3)を深さ(はつり代)を浅くし、取扱い容易
な樹脂モルタル(5)によって追加補強筋(4)を埋設
するため、施工が容易で且つ工期を短縮でき、しかも、
樹脂モルタル(5)の使用量が少ないため、工事費を一
層低減できる。更に、本発明の補強工法においては、高
弾性の繊維から成る繊維強化プラスチック製補強筋を追
加補強筋(4)として使用するため、通常の繊維強化プ
ラスチック製補強筋を使用する場合に比べ、追加補強筋
(4)の使用量を低減でき、それによっても工事費をよ
り一層低減できる。
【0022】そして、本発明の補強工法によれば、樹脂
モルタル(5)の高い接着性により、当該樹脂モルタ
ル、および、高弾性の繊維から成る繊維強化プラスチッ
ク製の追加補強筋(4)をコンクリート(1)に一体化
できるため、道路橋床版(コンクリート構造物)の強度
を高め、疲労耐久性を向上させることが出来る。
【0023】更に、本発明の補強工法においては、鉄筋
に比べて耐久性に優れた繊維強化プラスチック製補強筋
を追加補強筋(4)として使用し、当該追加補強筋の埋
設深さを浅くする(所謂かぶりを少なくする)ため、最
初のはつり施工において既存の鉄筋(2)が支障になる
ことがない。また、追加補強筋(4)は、樹脂モルタル
(5)に埋設されるため、防水層(6)の改装工事の際
にも損傷する虞がない。
【0024】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明に係るコンク
リート構造物のFRP補強工法によれば、コンクリート
の表層部を浅くはつり、取扱い容易な樹脂モルタルによ
って追加補強筋を埋設するため、施工が容易で且つ工期
を短縮でき、しかも、樹脂モルタルの使用量が少ないた
め、工事費を一層低減できる。そして、樹脂モルタル、
および、高弾性の繊維から成る繊維強化プラスチック製
の追加補強筋をコンクリートに一体化できるため、コン
クリート構造物の強度を高め、疲労耐久性を向上させる
ことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコンクリート構造物のFRP補強
工法の適用例としての道路橋床版の一部を示す平面図
【図2】コンクリート構造物のFRP補強工法による補
強構造を図1中のII−II線に沿って破断して示す部分的
な縦断面図
【図3】コンクリート構造物のFRP補強工法による補
強構造を図1中のIII−III線に沿って破断して示す部分
的な縦断面図
【符号の説明】
1:コンクリート 2:鉄筋 3:はつり部分 4:追加補強筋 5:樹脂モルタル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 手塚 光晴 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学産資株式会社内 (72)発明者 佐藤 正一 東京都千代田区丸の内一丁目8番2号 三 菱化学産資株式会社内 Fターム(参考) 2D059 AA14 BB37 BB39 GG02 GG23 GG37 GG40 2E176 AA03 BB29

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄筋(2)が埋設されたコンクリート構
    造物を補強するためのコンクリート構造物のFRP補強
    工法であって、鉄筋(2)が露出しない深さでコンクリ
    ート(1)の表層部をはつり、次いで、弾性率が100
    〜1000GPaの繊維から成る繊維強化プラスチック
    製補強筋を追加補強筋(4)としてはつり部分(3)に
    配置した後、当該はつり部分に樹脂モルタル(5)を打
    設して前記の表層部を復元することを特徴とするコンク
    リート構造物のFRP補強工法。
  2. 【請求項2】 追加補強筋(4)として、炭素繊維強化
    プラスチック製の補強筋を使用する請求項1に記載のコ
    ンクリート構造物のFRP補強工法。
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